DtoCの限界と大手ECモールの寡占化と
2026年4月20日 ネット通販 0
ここに来て、ネット通販は大手ECモール経由での売れ方が伸びており、自社サイトの売れ行きが苦戦する傾向が強まっている。
以前から何度か引用しているアンケート調査記事でもAmazon、楽天に代表される大手ECモールの使用比率が高まり、直営公式サイトの利用率は概して低調に終わっているという結果が示されている。調査によって差はあるが、直営サイトの利用率はわずか9%に止まっているという調査結果もある。
もちろん平均して9%だからもっと高い公式サイトもあるだろうが、9%よりもはるかに使われていない公式サイトも少なくないと考えられるから、公式サイト通販はまさに冬の時代を迎えているといえる。
公式サイトが伸び悩むと利益率が悪化するため、どのメーカーやショップにとっても頭の痛い話だが、それ以上にベンチャー的なDtoCブランドの多くはまさに危機的状況にあると推察される。
国内市場では大手ECモールの占有化が始まり、DtoCの伸び悩みが推察されるが、アメリカ市場でもDtoCブランドのオールバーズの経営破綻やナイキのDtoC特化戦略の失敗を見ればわかるようにDtoCビジネスの頭打ち感、限界点が露呈しているといえる。
まあ、そもそも当方は当初からDtoCなるものが無限に伸び続けるなんてこれっぽっちも思っていなかったから、予想通りとしか言いようがない。
個人的には、例外を除くと、ベンチャー的DtoCブランド、工場のオリジナルのファクトリーブランドでネット通販に主軸を置いているもの、などは全般的に伸び悩んでいて、今後なかなか成長するきっかけは訪れにくいと見ている。
先日、繊研新聞に掲載されたこの記事もそんなベンチャーDtoCブランド、しかもファクトリー系の厳しさがうかがえる内容になっている。
「理想だけでは続かない」 ニットブランド「ライテンダー」、DtoCから卸への転換で成長 | 繊研新聞
ヒューズ(東京)が運営する環境配慮のニットブランド「ライテンダー」の売り上げが好調だ。工場に眠る残糸などを使ったニット製品のDtoC(消費者直販)ブランドとしてデビューしたが、24年の運営会社の変更を機に物作りを見直し、卸売りの強化にかじを切った。製品〝コスパ〟の高さが受け、年商は創業当初の10倍ほどの約2億円にまで成長した。
とのことで、ライテンダーというDtoCブランドが2年前から卸売りの強化に取り組んだところ、売上高は10倍になったという。
景気の良い話ではあるが、10倍といっても現在の年商は2億円である。ということは2000万円しかなかったということになる。
物作りをしていて年商2000万円ということはかなり苦しい経営実態である。記者やライター、コンサルタントのように仕入れや製造コストがかからなければ、年商2000万円もあれば多すぎるくらいの利益になるが、製造・仕入れのコストがかかる物作り業で、年商2000万円で残る利益は驚くほど少ない。まあ、スタッフ3人くらいでやっていれば十分だろうが、それ以上の人数だとスタッフの給与も相当に低いだろう。
記事によると19年にスタートをしているらしく、創業当時は年商2000万円とのことだが、それでも卸売りを強化するまでは2億円に届かなかったのだから、DtoCブランドの成長率の低さがわかる。
ポッと出のベンチャーブランドがしかも直営ネット通販のみで拡販することがどれだけ難しいかを如実に物語っている。
そもそも、ブランド名すら知られていないわけだから、検索流入もほぼ起きにくい。知られていないのは存在しないのも同然だからである。知られていないブランド名が検索されるはずもない。
それに加えて、個人的には先にも述べたように国内ネット通販市場が大手ECモールに寡占化されつつあることもこのブランドのDtoC販売が伸びなかった原因の一つではないかと見ている。
要は今の消費者は、大手ECモール内で検索をして商品を見つけるのであり、年商規模の小さいDtoCブランドは大手ECモールに資金的にも出店できないだろうから、消費者が流入することもない。直販は検索されない。だから伸びないということになる。
先日、あるブランドのEC担当者と雑談をする機会があったがそのブランドでは「GoogleやYahoo!からの検索流入が激減している。逆に出店している大手ECモール各社からの売上高は伸びている」という状態にある。
もちろん、このブランドの状況が全てのブランドに当てはまらないことは承知しているが、それでもライテンダーよりも知名度のあるブランドでさえ、この状況なのだから、全般的にいかに公式サイトへの流入が減少しているかがわかるだろう。
大手ECモールへの出店が資金力的に無理なら、卸売りを拡販することは、利益率は悪化するが理にかなっているといえる。
規模は全く異なるが、あのナイキですら卸売りを軽視したために減収減益、株安に見舞われている。
逆にいうと、卸売りはそれなりの効力があるということになる。各社は卸売りに再注目すべきではないか。
さて、ライテンダーに話を戻すと、現在は好調とのことだが、それは年商2億円規模だからだろう。
成長目標を何億円に置いているのかわからないが、恐らく10億円に達すると壁に直面して売上高は伸びにくくなる。もしかすると5億円が壁になるかもしれない。
その辺りの中期的な目標をどのように設定しているのか、続報に注目してみたい。
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