「多ブランド化」と「海外市場拡販」の成長戦略
2026年4月14日 企業研究 0
日経新聞が連載まで組んで注目しているヒューマンメイドだが、一般紙や経済メディアはどのような成長を想定しているのだろうか。
まさかとは思うが、国内ユニクロ、ジーユー並みの規模に成長することを想定しているのではないだろうと思いたい。
話しは横道に少し逸れるが、上場以降のヒューマンメイドの報道では、一般紙・経済メディアの「ポストユニクロ」という報道が、当方が知る範囲においては無かったことを幸いだと評価したい。
一時期、少しでも成長するアパレルがあれば「ポストユニクロ」という紋切り型の冠を一般紙・経済メディアは必ずつけていて、あの報道姿勢には辟易したものである。
商品の価格帯もテイストも想定する客層も店舗立地も全く異なるブランドなのに何でもかんでも「ポストユニクロ」というのはあまりにも思考停止な報道姿勢だったし、それを読んだ多くの読者が鵜呑みにする可能性が低くないことにも危惧していた。
個人的にはヒューマンメイドが単一ブランドとして国内市場だけで売上高1000億円まで成長することはほぼ不可能に近いと見ている。
そもそも、国内市場で売上高1000億円を達成しているブランドは数少ない。国内ユニクロ、ジーユー、しまむら、ワークマン、無印良品くらいではないかと思う。
1000億円を達成している衣料品企業はこれよりも多い。オンワード樫山しかり、ワールドしかり、アンドエスティ、パルしかりである。
前者の場合はマス層に支えられることが絶対的に必要であるため、価格メリットが不可欠になる。ヒューマンメイドは決して割高とは思わないが、価格メリットは無い。
そうなると「後者」タイプの成長戦略が適切だろう。
後者タイプが成長する場合は確実に「多ブランド化」が必要不可欠になる。
1ブランドあたりの売上高はだいたい200億円内外が頂点になっている。比較的に価格メリットがあると評されているアンドエスティの「グローバルワーク」ですら500億円台で停滞している。
もちろん様々な施策の不備もあろうかと思われるが、グローバルワークですら1000億円に到達することがどれほど難しいかがわかる。
ヒューマンメイドはこの点は十分に理解していると思われ、すでに今年3月には「バッファ」という新ブランドを立ち上げている。
ヒューマンメイドが新ブランド「バッファ」を始動 クリエイティブディレクターは西山徹
デビューコレクションでは、グラフィックを施したTシャツやグッズをラインナップ。グラフィックデザインには、さまざまなイラストレーターやアーティストが参画する。具体的な価格帯は明らかにされていないが、若年層が無理なく手に取れるように設定する。
とのことである。恐らく、今後第3、第4の新ブランドが今後も立ち上がり続けるのだろうと思われる。
200億円のブランドを5つ擁して合計売上高1000億円という未来像は実現可能だろう。
この「バッファ」の施策で、感心させられるところは、グラフィックを施したTシャツなどをラインナップしている点と若者層が手に取りやすい値ごろ価格を設定している点にある。
グラフィック中心ということはヒューマンメイドでも効果的だったキャラクターやサブカルとのコラボが容易になる。現在のマス層の興味はファッションよりもエンタメ・サブカルに傾いていることはヒューマンメイドで証明されている。また、高すぎはしないが決してお安くもない価格帯のヒューマンメイドに対して、もっと買いやすい価格帯の商品を展開することは、ライト層の取り込んで裾野を広げることができやすくなる。
次に考えられるのが、海外売上高の拡大である。
これもすでに取り組んでいるらしく
HUMAN MADE、IPO後初決算は絶好調 グローバル化へ向け出店拡大
海外では、今期は韓国・ソウルとタイ・バンコクにパートナー店舗を出店する。どちらもモール内で、韓国のパートナー店舗はソウルのソンス地区、アックジョン地区に続き3店舗目。タイは初の店舗となる。
とのことで、3月28日にはタイ店をすでにオープンさせている。
少子化云々関係なしに、どの衣料品ブランドにしても自国内市場だけでは成長に限界がある。これはラグジュアリーブランドも同様だろう。だから成長を継続しようとすると自国外で売上高を増やすことが必須となる。各ラグジュリーブランドなんてまさにその典型だろう。
多ブランド化と海外展開の2つの施策があれば、基幹ブランドであるヒューマンメイドを拡販するためにむやみやたらな出店や客寄せのための大幅値下げをすることなく、ブランドイメージを保つことが難しくなくなる。
ヒューマンメイドブランドの国内売上高を、例えば200億円くらいを頂点だと設定し、無理な拡販を行わないということも可能になる。更なる成長は海外市場と、第2・第3・第4のブランドで賄えばいいという割り切り方もできやすくなる。
株式上場後の好決算にも浮かれることなく、極めて冷静で的確な成長戦略を採っていて感心させられる次第である。
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