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南充浩 オフィシャルブログ

衣料品ネット通販のメイン集客施策が「低価格&値引き」になっていると感じた話

2025年2月21日 ネット通販 1

本格的に洋服をネット通販で買うようになって、今年で7~8年目となる。

当方は新しいことに最先端でチャレンジする性質ではないので、2017年か2018年から練習も兼ねてネット通販で服を買い始めた。

最先端で使うことに当方は今も昔も価値を感じていないからである。そんなものはある程度の評価が定まってから使い始めれば良いと思っている。

 

 

2010年代にネット通販が盛り上がってくると、やたらとネット通販に過剰期待するアパレルの中高年社長が増えたのだが、典型的な「隣の芝生は青く見える」だったといえる。

8年間くらいネット通販で買い続けてきた当方からすると、ネット通販で服を買うメリットは

1、実店舗に行かなくて済む(移動時間の節約)

2、低価格&頻繁な値引き

3、比較検討しやすい

くらいではないかと思う。

世間ではいまだに「プロパー消化率」なる指標を金科玉条のように振りかざす浅いコンサルが跳梁跋扈しているが、買う立場からすればネット通販こそ「値引き施策」に溢れていて、もっと極言すれば「値引き施策しか集客方法が無い」ように見えている。

 

 

実店舗ベースで利用していて、その補完としてネット通販を利用しているユニクロとジーユーを除いて、ネット通販をメインに購入しているアンドエスティ、アーバンリサーチ、リーボックあたりだと、毎日のように何かしらの値引き施策が公式アプリから送られてくる。

記憶から思いつくままに列挙してみる。

・タイムセール(これが週に何度も行われる)

・まとめ買い割引(複数購入で〇%オフ)

・ポイント〇倍

・最終処分値下げ

・新作予約で〇%引き

・アウトレット価格

・〇円引きクーポン添付

・送料無料キャンペーン

という具合だ。

正確な頻度についてわざわざカウントしていないが、体感的には毎週このうちのどれか複数が実施されている具合である。

逆に何らかの値引き施策が無い週を当方は見たことが無い。それほどに毎週必ず何らかの値引き施策があるし、頻度としては毎週1~3つくらいの値引き施策が行われている。

この頻度はユニクロとジーユーの期間限定割引よりも高い。

逆にネット通販比率が高まれば高まるほど、浅コンサルが振りかざすプロパー消化率という指標は意味をなさないといえる。

 

 

そんなネット通販に対しての消費者アンケート記事がある。

ール型ECと自社ECのどちらで買う? フルバランスが調査 | 繊研新聞

「モール型ECと自社EC(ブランドや企業の公式サイト)の購買行動の分岐点は?」――ネットショップコンサルティングのフルバランス(東京)は、過去1カ月以内にECで商品を購入した20~30代の男女111人を対象に、「ECサイトにおけるユーザー体験に関する実態調査」を24年12月末に実施した。それによると、74%近くが両ECを使い分けており、約6割がモール型ECを「価格重視」で活用。一方で、自社ECは「商品へのこだわり」と「ブランド独自のポイントをためたい時」に利用していることが分かった。

 「商品購入でモール型ECと自社ECを使い分けているか」の質問では、「使い分けている」が73.9%、「使い分けていない」25.2%、「分からない・答えられない」0.9%だった。

とのことで、

自社ECは「ポイントを貯めたい」、モール型ECは「価格重視」とどちらも価格が使用の決め手となっている。

 

当方は自社ECしか使っていない。ZOZOや楽天などのモール型ECはほとんど使わない。理由は選択肢が多すぎて選ぶのに時間がかかるからである。そんなに長時間も画面を観続けているのは苦痛でしかない。

例外的に楽天やAmazon、ヤフーショッピングなどのモールを使うことがあるとすると、卸売り型のメーカー商品を探す際である。もちろん最安値を探すためである。ご存知のように卸売り型の商品は洋服に限らず、仕入れた店舗によって売価や最終処分値が異なる。

同じ商品ならなるべく安く買わないと損なので、卸売り型の商品を探す際だけはモールを利用する。

 

例えば、衣料品でいうとタイオンのダウンなんかは卸売り型なので、モールに出店している店舗によって少しずつ売価が異なる。期初は統一されていたとしても、セール時期になると値引き率が異なる。そうなると、最も安く値下げしている店のをポチるのが得策といえる。これは衣料品に限らず、例えばオルファのカッターナイフとかアタックの洗剤とか、その手の日用品類・工具類・家電類でも同様である。

 

 

先日、倒産したアパレルOEM会社の社長と再会して、少し飲みをした。その際、現在のZOZOのトップページの売れ筋ランキングをメンズ、レディースで見せられたが、上位のほとんどが1000~5000円くらいの低価格品で占められていた。ざっくりと見た感じだと上位の中心価格帯は1000~3000円台である。極端な言い方をすれば、数量を売ろうとするなら低価格でないと難しいといえる。

ネット通販だと新作ですら予約すると〇%オフが普通なので、一体いつ値引きなしで売れているのか不思議でならない。一部のIT成金界隈あたりだと「タイパ!」とかイキリ叫び散らかしながら値引きなしの商品をネットでポチっているのかもしれないが、彼らは決してマスではない。マスはZOZOで1000~3000円の売れ筋ランキング上位を買っている消費者である。

ネット通販比率が高まれば高まるほど、マスに売れるのは「何らかの価格訴求性がある物」になるだろう。2010年代に見られたアパレルネット通販への幻想は完全に打ち砕かれたといえる。

 

 

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 comment
  • 偽ずんだもん より: 2025/02/25(火) 2:28 AM

    20年ほど前のネット通販黎明期からのネット通販で生き延びた個人店舗も限界です。
    仕入れ先のメーカーや卸売会社が自社サイト又はネットモールで安売りしてますから。

    そもそも人口が減っていくのにアパレル全体で服を作り過ぎじゃないですかね。

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