南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

阪急百貨店うめだ本店

初年度がもっとも集客力があるのだけど・・・・・。

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 少し前の話で恐縮だが、阪急百貨店うめだ本店が今年度の売上高を200億円下方修正して1900億円にすると発表した。5月の連休明けのことである。

エイチ・ツー・オーリテイリングは9日、2012年11月に増床開業した阪急うめだ本店について、目標売上高の2130億円を達成するのが、当初計画より2年遅れ、開業3年目になるとの見通しを明らかにした。現状では、今秋までの開業1年間の売上高は1900億円にとどまる見通しだという。(2013年5月10日付 日経新聞朝刊)

開業3年目には2130億円を達成させる意気込みなので下方修正したとは言え、相変わらず強気な計画である。


先日、某百貨店でそれなりの主要メンバーと目されるバイヤーとお会いする機会があった。

彼は、初年度に達成できなかった売上目標を2年後に達成するのはかなり難しいのではないかという。
その理由は簡単だ。
なぜなら初年度は集客が一番多いからである。
通常の商業施設は初年度の集客が一番多く、2年目、3年目とだんだん集客が少なくなる。
人気の商業施設は2年目以降もそれなりの客数を維持することはできるが、それでも初年度の集客を上回ることはほとんどない。

その一番集客の多い初年度で達成できなかった売上高を3年目で達成するには、相当の努力が必要である。
極端な話、毎年集客量を増やしていかねばならない。
年々集客量を増やすという作業は至難の業である。
よほどの仕掛けが必要になる。


阪急百貨店うめだ本店の売上高目標は近隣にある梅田メンズ館も含んでいる。
もしかしたら、本店の集客量と売上高を増やすよりも現在売上高が落ち込んでいるメンズ館の売上高を回復させる方が簡単かもしれない。


メンズ館の初年度売上高は当初予算を上回る270億円を達成し、その後の公式発表はないが、個人的に聞き及ぶ範囲では現在160億円内外にまで低下しているという。


これをピーク時の270億円にまで回復させることができれば100億円の売上高増は達成できる。
あとは本館で100億円を積み増しすれば良い。
一口に100億円と言うが、これはこれで大きな数字である。
筆者にやってみろと言われたら、やれる自信はまったくない。


地下の食品売り場は賑わっているが、ここの売上高を大きく伸ばすことは相当に難しい。
なぜなら食品は単価が低いからだ。
高額食品と言われているものだって洋服に比べると安い。
本館が大きく売上高を伸ばすためには、洋服も含めた高額商材の売上高を増やすことが近道である。

1万円の物品を10人に売れば10万円である。
食品の買い上げ客数を10人増やすことは比較的に簡単だが、10人分の売上高は2万円にも満たないだろう。



さて、計画通りに2年後に2130億円が達成できるだろうか。
筆者は可能性が低いと感じるが、もし達成できれば阪急百貨店うめだ本店の地力は本物だということだろう。

理論に基づくだけでは足りない

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 阪急百貨店うめだ本店とJR大阪三越伊勢丹については様々な方が様々な見地からの意見を述べられており、百家争鳴という印象がある。各氏の意見はそれぞれの専門分野に基づいてなされており、どれもが一理ある。

まず、JR大阪三越伊勢丹の不振については大きくまとめると「自慢の自主編集売り場が大阪の消費者に受け入れられなかったから」とされている。しかし、ディスプレイの定説を踏まえるなら、JR大阪三越伊勢丹の売り場はほぼ満点に近いはずである。
満点に近い売り場がなぜ「受け入れられなかった」のかについて言及されている意見は少ないように思う。
せいぜいが、「大阪の消費者はブランド別陳列に慣れているから」というものだが、それだけでオープン時に何十万人押し寄せた人々がリピーターにならなかった理由になるのだろうか?
少し、説明としては不足している気がしないでもない。


次に阪急百貨店うめだ本店であるが、9階の祝祭広場、10階の梅田スークが話題となっている。
とくに10階の梅田スークは、作家ブランドや若手デザイナーブランドを次々と期間限定出店させており、これまでにない非百貨店的な売り場として人気が高い。
しかし、この9~11階についても批判する声もある。
例えば「9~11F吹き抜けの祝祭広場は、ただっ広い空間に各フロアから雑多な意匠が無神経に交錯するイコン性の希薄さ、とりわけUFO風の天井シャンデリアと安っぽいミラーボール、旧店舗から移設されたロココ調の大時計とのブレードランナー的ミスマッチには失笑するしかなかった」と論評していらっしゃる方もいる。
これはこれで一つの見方であるし、通常の売り場作りの理論に照らし合わせれば正論なのだろう。

個人的には9階祝祭広場の自慢の階段をもっと横幅を広げるべきだと感じる。
今の階段では少し横幅が狭すぎる。

IMG_0954

(酷評?ww されたシャンデリア)


IMG_0958

(横幅がもう少し欲しかった祝祭広場の階段)



閑話休題

さて、「王道的」と評価の高い大阪三越伊勢丹と、理論上では失笑されるような阪急は消費者の評価でいうなら、今のところ真逆と評価して差支えないだろう。

なぜだろうか、と疑問を覚えずにはいられない。

先日、台東デザイナーズビレッジの鈴木淳村長が、両方の売り場を見比べてブログで意見を述べられている。

http://blog.livedoor.jp/tdv001/archives/54344391.html

たしかに三越伊勢丹では、
良く言えば見やすく、選びやすい統一環境の売場作りがされていますが、
悪く言えば全体的に画一的で、メリハリがありません。

阪急では、フロアの中でもコーナーごとにがらりと演出が変わり
飽きさせないし、10階等は迷ってしまうのですが、
それがまた楽しくさせるような演出になっています。
多様性を重視し、ブランドごとの個性を強調しているようです。


小売業界では、
キレイに色ごとに並べた売場が良いとか、
売場に面積あたり何点商品を飾ったら良いとか、
いろいろと大事な理論があるそうです。

その理論に従うと三越伊勢丹の売場はお手本みたいでしょうね。

たしかに、買うことを前提に来店したお客様には
見やすく、選びやすい売場は便利なのでしょうが・・・・。

しかし、そこから「楽しい」「欲しい」と感じさせる魅力が生まれるのでしょうか?
ということを考えさせられます。
モノの力だけでは厳しいでしょう。

(中略)

効率を考えたときに「無駄」と言われてしまうようなことに
お金と力を情熱を注いでいます。

でも、その無駄が楽しい、おもしろい、
もっと見たい、また来たいと思わせてくれます。

(中略)

他の百貨店が阪急うめだ本店のように潤沢に手間とコストをかけられるか
と言えば売上の点からは難しいのでしょうが、
それでも、その「楽しませる」ことをベースに売場を組み立てることは
真似できるのではないかと思います。



とのことである。

個人的には、この意見である程度の説明がつくのではないかと感じている。

たしかに、バブル期までは欧米の理論に基づいた「見やすい売り場」「分かりやすい売り場」が消費者からも支持されていた。しかし、今の消費者はそういう「見やすい売り場」「分かりやすい売り場」よりも「楽しい売り場」を志向しているように思える。
百貨店業界以外でいうなら、少し以前、ドンキホーテやヴィレッジバンガードの陳列方法が話題となった。
はっきりいえば「ゴチャっとしている」「ぜんぜん見やすくない」のだが、なぜか消費者から支持されている。
ドンキホーテは「低価格」という武器があるが、ヴィレッジバンガードは扱っている商材の単価は安いけれど他店と比べて値引き販売しているわけではない。それでも売れた。

どちらも「売り場がおもしろい」「楽しい」「ゴチャっとしているが宝探しのようなわくわく感がある」と評価されていた。

これと似たようなことが10階梅田スークの高評価につながっているのではないかと思える。
「見やすい売り場」「分かりやすい売り場」「セオリーに基づいた売り場」なら、そこら辺に掃いて捨てるほどあるから目新しさを感じないのではないか。そんなふうに思えてくる。

理論に基づいた完璧な売り場に魅力は感じられない。むしろ無機質になりすぎて親しみにくい。とそういうことだろうか。


百貨店の衣料品ってそれほど儲かっていたかな?

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 12日に阪急百貨店梅田本店の第2期棟オープンの記者会見が行われた。

この会見には出席していないのだが、各メディアでその構想が報道されている。
個人的に一番面白いと思ったのは東洋経済。

http://www.toyokeizai.net/business/strategy/detail/AC/9722bc764305caff9712124c5f1ba4d4/page/1/

とくにこの個所に注目した。
以下に引用する。

10階は雑貨のフロア「うめだスーク」(スークはアラビア語で「市場」の意味)。
「雑貨を中心に、クリエーターや作家の手作りの品なども展示する。
全体の4分の1の売り場は1~2週間で商品が入れ替わるようにし、導線もあえて迷ってしまうような作りにして、散歩気分で発見する楽しみを提案したい。まったく新しい業態を開発したと思っている」(内山啓治本店長)と自信のフロアだ。

「近年の百貨店は自分たちのもうかるものばかりに力を入れて、食品と衣類ばかりになってしまった。もうからないけど面白いものを、ところどころに混ぜていかないとダメだ。10階はそうした『面白いもの』の象徴となるはず」(椙岡会長)。


とのことである。

百貨店の凋落の原因の一つにレディースファッション衣料への過度の特化を挙げる方が多い。
その昔、大食堂あり、家電売り場あり、おもちゃ売り場あり、屋上遊園地あり、と百貨店はファッション以外も広く取りそろえ、女性のファッション購買客以外の広い層も取り込んでいた。
それが百貨店の盛況ぶりを生んだと分析されている。

そして、レディースファッション衣料への過度な特化はバブル期に、百貨店側が売り場の効率化を求めたためで、コンサルタントの安易な言葉に乗っかった結果だともいわれている。

今回の阪急の取り組みは、こういう指摘を踏まえた部分もあるのではないかと推測する。

けれども、自称「ファッションの阪急」というだけあって、この10階もファッション的な切り口での編集だとこの文面からは読み取れる。
大型ブランドを導入するか、個人作家が展開するような小規模ブランドを導入するかの違いである。

一つ気になったのは、「食品と衣料がもうかる」と語っておられる部分だ。
本当にもうかっているのだろうか?
とくに衣料品はそれほど儲かる業態なのだろうか?それほど儲かる業態なら一部を除くアパレル各社は何故あれほど苦戦しているのだろうか?現在の百貨店はそれほど利益が高い業態だろうか?
付け加えるなら百貨店をメイン販路としているブランドで儲かっているブランドはそれほどないはずなのだが。

10月下旬の先行オープン、11月21日のグランドオープンはおそらく多くのお客が押し寄せるだろう。
しかし、JR大阪三越伊勢丹の例もあるように、来場客が多くても売上高には結び付かない場合がある。

阪急の構想が図に当たるかどうか注目してみたい。
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