南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

近鉄百貨店

この7年間、百貨店で買い物をしたことがないことに気が付いた!

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 新年が明けても相変わらず百貨店を取り巻く状況は厳しく、良くないニュースが相次いでいる。

三越伊勢丹、新たに5店舗リストラ…札幌や新潟
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20170109-OYT1T50008.html

5店舗を閉鎖するのではなく、縮小や業態変更で対応する考えのようだが、今後の商況如何ではその対応も変わる可能性が高いと見ている。

近鉄百、営業利益が8割減の6600万円 衣料品が不振
http://www.sankei.com/west/news/170110/wst1701100065-n1.html

 近鉄百貨店が10日発表した平成28年3~11月期連結決算は、本業のもうけを示す営業利益が前年同期比82・6%減の6600万円だった。消費者の節約志向などの影響で衣料品が振るわず、百貨店事業が苦戦した。

 連結売上高は1・7%減の1919億円。純損益は2億円の黒字(前年同期は6億円の赤字)となった。

 衣料品は紳士服や婦人服などが不振だった。
 「あべのハルカス」に入る本店単独の売上高は1・0%減の694億円にとどまった。

とのことである。

近鉄百貨店の苦戦の原因の1つには、人目を惹くような店舗が少ないことが挙げられるだろうか。
例えばかつての本店だった上本町店だが実に小ぢんまりとしている。
向かいに、新歌舞伎座に併設された「上本町ユフラ」というファッションビル?商業施設?があるが、衣料品を買うならユフラの方が使い勝手が良い。

これはもちろん好みの問題だが、グローバルワーク、ユニクロ、無印良品とそろえているユフラの方が30代~50代の人間にとっては使い勝手が良いし、親しみのあるブランドが集まっているといえるだろう。

増床改築された「あべのハルカス本店」は確かに人目を惹くが、モダンすぎて天王寺という街には合わないのかもしれない。
何より、かつての阿倍野近鉄はJR天王寺駅から直結する2階陸橋入口すぐに常に「お買い得コーナー」があって、それがいかにも天王寺らしかった。
「5000円・3000円均一パンプス」とか「3000円ハンドバッグ」とか、そういう「お買い得コーナー」が常にあった。

あの界隈で育った筆者の元妻も、「お買い得の靴を買いたいときは阿倍野近鉄へ行く」と言っていたが、増床改築後、入口にはそういう「お買い得コーナー」がなくなった。

IMG_2202

(JR天王寺駅と直結する陸橋入口)

恰好は良くなったが、そういう地元顧客からすると「親しみにくくなった」と感じられるのではないか。


「お買い得コーナー」がなくなったわけではない。
JR天王寺東口を見下ろす2階部分にはそういう「イベントスペース」が設けられているが、この入口はJR駅とは陸橋で直結していない分、目立たず利用客が少ない。
この部分は専門店街「ソラハ」との連絡通路に当たるが、ここからの入場客数は2階の陸橋口に比べると圧倒的に少ない。そんなところでひっそりと「お買い得品」が売られている。

洋服、服飾雑貨に限っていうと、低価格ゾーンは「あべのキューズモール」に客を取られていると思う。
で、もう少し上の価格帯のファッションブランドということになると、天王寺MIOに客を取られていると思う。
それを打破する目的もあり、ソラハを作ったと思うが、誘致テナントのラインナップを比較すると天王寺MIOの圧勝である。

それと、以前は、月に1度くらいは定休日に「会員様優待販売会」みたいなものを開催していた。
その日はクローズドで会員だけが入場でき、全品が10~30%オフで買えた。
バーゲンではない時期に開催することが多かったので、バーゲンに先んじて値引き価格で新作が買えるため、けっこうな人気のイベントで、かなりの売上高を稼いでいたといわれている。

改装オープン後はこれの開催がめっきり減った。
正確にカウントしていないので、間違っているかもしれないが、ほとんど開催されていないのではないか。
これがほぼなくなったことも業績の低迷に大いに関係しているのではないかと思う。

これまでの強みをすべて捨てて、外見だけを洗練させたのが「あべのハルカス本店」であるように見えて仕方がない。

正直に言って、近鉄百貨店に対して即効性のある施策は思いつかない。

三越伊勢丹HDの大西洋社長は、常々さまざまな機会において「今のままの百貨店が、全店そろって売上高を回復できたり、ピーク時に戻すようなことは難しいと思う」というようなことを発言しておられるがまさしくその通りだと思う。

外商と化粧品、地下の食品はさておき、1階~4階までを各ジャンルの婦人服、5階・6階が紳士服、7階子供服というような洋服一辺倒の売り場構成のままでは到底売上高を回復させることは不可能だろう。
ファッションに特化した伊勢丹新宿本店は別格としても、それ以外にそういうファッション売り場が日本全国にどれほど必要だろうか。おそらく今の半分程度で十分ではないか。

別格といわれる伊勢丹新宿本店だって、これ以上に売上高が大幅に伸びるとは個人的には見ていないし、あれと同じものは他の地域には必要ないと思っている。

一般人は業界関係者が思っているほど、ファッションにそこまで興味は持っていない。
そこそこに恰好が良くて、そこそこに安ければそれで十分なのである。
百貨店に納品しているアパレルブランドの商品デザインもクオリティも、低価格ブランドと変わらなくなってきている現状では安い方が支持されるのは当然のことだといえる。

先日、ふと、そういえばここ7年間くらいは百貨店で買い物をしたことがないことに気が付いた。

これでも2000年代前半くらいまでは、夏冬のバーゲンでは百貨店で1枚くらいは洋服を買っていたのである。
当時はユニクロをはじめとする低価格ブランドのデザインは激ダサだったし、完全SPAに転換したばかりのアダストリア(当時社名ポイント)の商品は激ダサな上にクオリティも最悪だった。
必然的にファッションビルか百貨店で買わざるを得なかった。

しかし、2005年くらいから百貨店で買うことが減り、2010年以降は確実に百貨店で1枚も服を買っていない。
もちろん食品なんて買ったことがない。雑貨類も皆無だ。

しいて挙げれば、大丸梅田店に入店しているユニクロで2~3度買い物をしたことがあるくらいである。

若者どころか、業界関係者(底辺の片隅にいるだけだが)の初老のオッサンでさえ「百貨店離れ」を起こしている。

筆者と同様の人は業界関係者が考えている以上に多いのではないか。

そこを直視しないと百貨店の業績低下は止められないだろう。
あと、外国人観光客は今後も増えると考えられるが「爆買い」現象は二度と起きない。
二度と僥倖に期待してはならない。

〈写真集〉昭和の大阪
青木 茂夫/杉田 米行
アーカイブス出版
2007-03-13





あべのハルカスに思うこと

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 2013年に増床開業が早められた近鉄百貨店阿倍野店について思うところを書いてみたい。
ビル名を「あべのハルカス」といい、高さ300メートルの日本一の超高層ビルが完成する予定である。
ここに近鉄百貨店阿倍野が入店する。

道路を挟んだ真向かいに「あべのキューズモール」がオープンし、梅田地区に新商業施設が密集するという状況下で、近鉄百貨店が増床改装という対抗手段を選ぶことは理解できる。
何らかの措置を講じないと、あべのキューズモールにも負けるだろうし、梅田地区に客を取られる可能性も高い。

しかし、近鉄百貨店はこの3年間、断続的に100人単位のリストラを行っている。
傍から見ていると、リストラをしながら日本一高い超高層ビルを建設するという企業姿勢には疑問を感じずにはいられない。
別に高さを日本一にする必要性はないと思う。少し低く計画を変更したところでなんら支障はないように感じる。

この計画が発表されたのは2007年のことである。
翌年2008年夏にリーマンショックが起こり、一気に不況となってしまう。

個人的にはこの時点では、いまだに工事に着工していなかったのだから、計画は変更できたはずではないかと考えている。
しかし、計画は一切変更されず完成を目前に控えている。


近鉄百貨店はリーマンショック以降経営が厳しくなり、100人単位で早期退職を募るというリストラを繰り返している。
経営が順調であるなら、リーマンショックがあろうが何があろうが、計画は続行しても良いと思うが、リストラをしなくてはならないほど厳しいのに、どうして計画を下方修正しないのか不思議でならない。
現に今年3月にも早期退職者を募集しているではないか。


一説によると、この計画は近鉄百貨店がブチ上げたものではなく、親会社の近畿日本鉄道(略称:近鉄)がブチ上げたものなので、そのあたりの斟酌が一切ないという。
これが事実なら近鉄百貨店側もお気の毒な話である。

個人的には、高さ日本一のビルが完成しても手放しではあまり喜べない気分である。


日に日に高さを増す「ハルカス」を複雑な心境で見上げる日々が続いている。

近鉄と大丸松坂屋が販売員もクールビズに

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 電力不足によるスーパークールビズの動きだが、近鉄百貨店が売り場社員にも対応することを打ち出した。
また大丸松坂屋百貨店でも5月16日から同じ取り組みを開始しているという。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110529-00000504-san-soci

近鉄百貨店では店内の空調温度を見直すとともに、男性従業員のネクタイを外すことを決めた。高級ブランドを販売するテナントでも導入する徹底振りに社内では異論も出たが、「お客さまからすれば区別はつかない」として決定した。

 同百貨店幹部は「正装といえばネクタイ。百貨店として外してもいいのか、と懸念の声もあった」としつつも、「お客さまの意識も変わっている。クールビズといいながら、売る方が暑い服装では意味がない」と新たな取り組みに意欲を燃やす。大丸松坂屋百貨店でも同様の取り組みを5月16日から開始している。


という。

今回の近鉄の措置は英断といえる。
また大丸松坂屋の対応の早さも評価できる。
文中にあるように「クールビズといいながら、売る方が暑い服装では意味がない」というのはまったくその通りで、
「スーパークールビズでございます」と言いながら、販売員が上着着用でネクタイ締めて汗だくでは著しく説得力にかける。


近鉄百貨店の社員をリストラしながら、リーマンショック以前に決定した阿倍野店の建て替えを粛々と遂行する姿には大いに疑問を抱いていたが、今回の取り組みは支持したい。
また、いち早く「脱百貨店」的売り場を作っている大丸松坂屋の一貫した姿勢もさすがである。


ところで、疑問なのだが、百貨店の社員がネクタイをしていないとお客に失礼と思われるのだろうか?
たしかに欧米ではドレスコードが厳密である。これは従業員やスタッフだけが厳密に守らなくてはならないというものではなく、お客の方も守らねばならない。
例えば高級ホテルや格式あるレストランなどでは、Tシャツ・短パン姿のお客は入店を断られる。
お客と従業員の服装の「正装ぶり」はほぼ釣り合っているといえる。


しかし、日本は従業員に対するドレスコードは著しく厳しいが、お客に対するドレスコードは極限まで甘い。
高級ホテルでも高級レストランでもTシャツ・短パン・サンダル姿のおっちゃんがウロウロしている。
当然百貨店のお客の服装もバラバラである。
起きてすぐに寝巻のままで来店するようなお客、Tシャツ・短パン・サンダル着用でまるで「裸の大将」みたいなお客、上下ジャージ姿でまるで野球大会の帰り道のようなお客 ― などなど。
こういうお客が少なからずいる店頭で、そこまで「従業員のネクタイが~」というようなお客はそれほどいないと思うのだが、いかがだろうか?


日本の洋服文化はいまだに欧米からの「借り物」の域を脱しておらず、
過剰に「正装」するか、過剰な「カジュアル」でもOKかのどちらかしかないような印象がある。
百貨店の店員が「ネクタイをするかしないか」だけでここまで論争し、一般紙が掲載するのもまことにアホらしい。
「正装」にこだわるならいっそのこと男性社員はモーニングで接客させたら良い。

お客は商品を買いに来ており、親切な接客を百貨店に期待しているのであって、決して「百貨店従業員のネクタイ姿」を見に来ているわけではない。




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