南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

豊和

エドウインが米国法人を設立へ

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 1月13日付けの繊研新聞にエドウインが3月をめどに米国法人を設立するという記事が掲載されている。

あのジーンズのエドウインが米ロサンゼルスにエドウインUSAを設立し、現地でジーンズの生産を開始するという。
今回のエドウインの米国法人設立は、
先日、このブログでも書いたことがある、大手洗い加工場の豊和の米国工場設立が大きく影響している。

新聞の記事中にも「同社の取り引き先である豊和がロサンゼルスの加工場デニムテックを買収し、米国生産の仕組みができた」と説明されている。

もともとジーンズの大手専業メーカー各社は、それぞれ決まった洗い加工場とほぼ専属的に取り引きを行っていた経緯がある。

2000年ごろまでは、エドウインは豊和、リーバイスは西江デニム、ビッグジョンは吉田染工、ボブソンは晃立、ラングラーは共和という図式だった。
ちなみにドミンゴの洗い加工も豊和が行っている。

このうち、ラングラージャパンが展開していたラングラーだが、ラングラージャパンがVFジャパンに組織改編され、そのVFジャパンが解散したことで、ラングラーブランドのライセンスは、エドウインの子会社であるリージャパンが獲得した。
このため、現在のラングラーブランドの洗い加工は共和が担当していない。

共和そのものは2009年9月に事業を停止し破産申請している。

エドウインは、現在、子会社リージャパンを通じて「リー」と「ラングラー」という2つの伝統的なジーンズブランドを所有していることになる。


閑話休題

さて、記事によると「カイハラが米綿を使用してデニム生地を日本で製造し、米国に輸出する。米国での生産をデニムテック(新社名ホーワ・デニムテックUSA)に委託し、(中略)、販売はエドウインUSAが、セールスレップ(販売代行)を通じて行う」とある。

製品は「エドウイン」ブランドとして販売し、価格は未定だが1本100ドル以上の高級品市場を開拓するという。

この記事から推察すると米国では100ドル以上のジーンズは高級品と認識されているようだ。
しかし、100ドルというと今の為替で換算すると8000円弱ということになる。
1ドル100円で換算しても10000円である。

日本だと8000円弱のジーンズは高級品ではなく、中級品扱いである。
やはり、ジーンズ=作業着という認識の強い米国では、100ドル以上のジーンズは「高級品」なのだろうか?

しかし、まあ、何とかの一つ覚えみたいに「アジア、アジア」という報道ばかりでいささかうんざりしていたところなので、このエドウインの米国法人設立は興味深い。
エドウインには、ぜひとも米国市場で成功してもらいたい。



豊和が北米の洗い加工場を買収

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 先日、国内洗い加工最大手の豊和の北米進出について書いたが、
その続報が繊研新聞に掲載された。

記事によると、新たに工場を作るのではなく、
ロサンゼルスの加工場、デニムテックを買収した。
デニムテックはマツオカコーポレーションが65%出資し、USデニム・テクノロジーズとの共同で05年に設立された。
豊和はマツオカコーポレーションから関連のOEM事業会社とデニムテックを併せて買収し、社名をホーワ・デニムテックUSAと改める。ちなみに旧デニムテックの鈴木新三社長は、そのまま新会社に一部出資して社長に留まる。


とのことである。


目的は、店頭価格200ドル弱のプレミアムジーンズの製造を手掛けることにあり、新会社には加工設備を入れ替え、日本流の品質管理や生産管理ノウハウを注入する。
豊和の田代豊雄社長が常々口にされていた「メイドインジャパンの技術を海外にも広める」ために第1歩である。
この新会社でエドウインが今春から立ち上げる「エドウイン・メイドイン・USAシリーズ」の製造を手掛けるという。


以前も書いたが国内製造業が、低価格商品に対応するために、製造拠点を転々とする様は「焼畑農業」そのものである。現在は中国から、東南アジア、インド、バングラディシュあたりに注目が集まっているが、ここが経済発展すると次はどこへ移動するつもりだろうか。
最後はアフリカだろうかと思うのだが、アフリカも経済発展するとどこへ移動するのか?
宇宙人でも捕まえてきて強制労働させるのだろうか?


今回の豊和の取り組みは、このような「低価格製品志向」に一石を投じる動きとして注目したい。
反対に、なぜこれまで他の製造業者がこういう取り組みをしなかったのか疑問を覚える。


報道では高級品の動きが少し回復していると聞くこともあるが、街を見ると、そんな気配はあまり感じない。衣料品の価格はさらに下がっているように感じる。
現在、冬のバーゲンの第1弾が終わったが、これから2月20日ごろまでさらに冬のバーゲン第2弾が始まる。
さらなる値下げが行われる。

ユニクロの商品は品質はそこそこで定価も安いが、期間限定販売でさらに安くなる瞬間がシーズン中に何度も訪れる。定価1990円の無地ラムウールセーターが、990円になる瞬間がある。これまでは超お買い得だし、品質は悪くない。

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(990円で買ったラムウールセーター)



GAPの商品は品質ではかなり劣るが、色柄やデザインはユニクロより感度が高い。これから冬物がさらに値下げされる。私事で恐縮だが、先日、カーゴパンツを買った。
すでに1990円にまで値下げされているにも関わらず、そこからさらに「レジにて2割引き」である。
1600円弱で購入することができた。
定価が9900円なので、実に8割引以上の商品だ。\(゜ロ\)(/ロ゜)/ 


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(1600円弱で買ったカーゴパンツ)






990円のラムウールセーターと1600円弱のカーゴパンツ、3990円に値下がりした瞬間に買ったウルトラライトダウンを羽織れば、立派にカジュアルのコーディネイトが組める。しかも粗悪品ではない。
この安さは世界的に見ても底辺であろう。

日本のアパレル業界はいつまでこの「底辺の安売り合戦」に付き合うつもりなのだろうか。





日本は今でも本当に「物作りの国」だろうか?

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 先日、国内洗い加工最大手の豊和を取材するために児島に行った。

技術開発に熱心な同社なので、本来の目的は、新しい加工技術について取材する予定だった。
しかし、豊和の田代社長にインタビューしているうちに
「2012年内にロサンゼルス近郊に直営洗い工場を開設する計画だ」との発言が出た。
社長に確認すると、「書いても良い」とのことなので先日、ウェブ用の記事にした。

ロサンゼルス近郊に直営工場開設を計画   洗い加工の豊和 田代豊雄社長
http://www.apparel-mag.com/abm_papers_1112_howa.html

田代社長がなぜアメリカに進出するかというと、
ヨーロッパ、アメリカ、中国の中で、一番消費の底力があるのがアメリカだという判断である。
ヨーロッパはギリシャ、スペインの問題から経済危機に陥っている。
日本国内では中国に熱い視線を注いでいる人が多いが、成長率は鈍り始め、地下も下落している。
また中国国内の消費動向は、いわゆる高級ブランド志向となっており、日本のアパレルブランドが注目される要素が少ない。
その上で田代社長は「中国はいつバブルがはじけるかわからない。ちょっとした手違いであっという間に現在の景気が反転する可能性が高い」と分析する。

アメリカもドル安が続いており、政情も不安定だが、「それでも最も底堅い」という判断を下された。


田代社長は「日本では縫製業が死滅しつつあるが、アメリカには日本よりも縫製工場が多く残されている。『物作り』が残っている国で、プレミアムジーンズブランドに向けた洗い工場を開設したい」と意気込みを語っていただいた。

アメリカにそれほど縫製工場が多く残されているとは意外だった。
今でも日本人は「物作りの国」と自ら思いこんでいるが、アパレル縫製業に関してはとっくの昔に「物作りの国」ではなくなっていたようである。反対に、アメリカの方が「物作り」を国内に残している。

そういえば、先日、経済誌にもアパレル製造業ではないが、
「中国の人件費高騰で工場が米国内に回帰している」という記事も掲載されていた。


昨年あたりから、繊維アパレル業界でも「メイドインジャパン」をなんとかしようという動きが活発化している。
社会貢献的な見地での取り組みは大歓迎だが、単なる「販促」の枕詞ならそれはあまりにも軽すぎる。
そして田代社長が指摘されたように「縫製業が死滅しかかっている」という現状にあまり触れる方は少ないのではないかという懸念もある。
生地は作れる、染色も洗い加工も整理加工もなんとかできる、しかし縫製スペースが国内に無い。
こういう状況がもう間もなく来る。

もっとも頭の痛いこの部分に触れずして、「日本の製造業」だ、「日本の職人技」だ、「日本の物作りの品質」だ、と息まいたところで、「縫製は中国かアセアン諸国かインドあたりですよね?」という状況では、あまりにも実状が伴っていない。
むしろ、アメリカの方が国内縫製工場が多く残っているという現実を筆者も含めて、繊維アパレル業界は重く受け止めるべきだろう。

今でも日本は本当に「物作りの国」だろうか?

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