南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

東洋経済

三越伊勢丹グループがブランドと共同で新業態開発を構想

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 7月8日に発行された「週刊東洋経済臨時増刊 動き出す世界の名古屋2015」で4P記事を執筆させてもらった。

名古屋の百貨店、ファッションビルの現状と今後をまとめている。
土地勘のない名古屋だが、みなさん取材に協力的だったので思ったほどの困難さはなかった。
感謝である。

取材を通して印象的だったのが、各百貨店・ファッションビルとも共通して「同質化が問題だ」と考えていたことである。

改めて指摘するまでもなく、名古屋に限らず、全国の百貨店・ファッションビルの扱うブランドはほぼ同じであり、均一化・同質化している。
運営側もその事態を理解しているということが再確認できた。

余談ながら、もっとも同質化しているのはイオンモール同士だろう。
どのイオンモールもテナントラインナップはほぼ同じである。
これまでなら、イオンモール同士の距離が離れていたから同質化していても問題はなかった。
しかし、これからはイオンモールの近距離に新たにイオンモールができるという事態が発生する。
もうすでに発生している地域もある。
同質化したイオンモールが近距離にできるわけだから、どうなるのか想像しただけで結果が見える。

どちらか、もしくは両方のイオンモールがダメになることは間違いない。

これからはイオンモール同士の潰し合いが始まる。

閑話休題

同質化した商業施設をどのように差別化するのかが全国的な課題になる。

現状の各商業施設を見ている限りにおいて、差別化の手段として通常使われるのが、

「国内初」
「地域初」
「都府県初」

というような「初物」テナントの誘致である。

これには一定の効果はある。
しかし、その効果は長くは続かない。

多くの企業はチェーン展開することを前提にビジネスモデルを組み立てており、
当然、これらの「初物」は遠からず他施設にも出店することになる。

ことによれば「ドミナント戦略です(キリッ)」とか言いながら、平然と、近距離に連続出店を行う。

「初物」テナントはあっという間に陳腐化してしまう。

これはもう何度も繰り返されたことだから多くの皆さんが目にしたことがあるだろう。

筆者は「初物」戦略は短時間の効果はあるが、差別化を解消する根本的な手段ではないと考えている。

この「初物」というのは付加価値ではなく、単なるスペック自慢である。
「国内初」とか「国内最大」とかいう類はそれ自体が価値なのではなく、スペックなのである。
スペックなのだからいつかはそれを上回るスペックが現れる。
初物競争とか最大競争を繰り返していてもそれは消耗するだけだし、いずれ他社に追いつき追い越される。
それが自然の摂理である。

根本的な解決策は2つある。
出店物自体を他社とガラリと変えてしまうか、出店物は同じでもサービス内容を変えてしまうかである。

今回の名古屋取材において、名古屋三越はその出店物自体を他社と変えてしまうという構想を明らかにしてくれた。
もちろん、この東洋経済臨時増刊にも書いた。

名古屋三越はラシックというファッションビルも運営している。
今後、10年後を見据えて、ラシックに出店しているようなセレクトショップやブランドショップ、SPAブランドと三越伊勢丹グループが共同で新規事業を開発するという構想である。

端的に言えば、セレクトショップ〇〇と三越伊勢丹グループが共同開発した新規ブランド〇〇ということである。
当然ながらこの新規ブランドは三越伊勢丹系列に優先的に入店することになる。
となると、他社施設と三越伊勢丹系列の施設は入店テナントや取扱いブランドが大きく異なるということになる。
さらにいえば、「初物」とはいえ、他施設が容易に導入できないからそれが長続きする。

これは他施設との同質化を解消する上で根本的な施策といえるだろう。

ただし、だれでもが取りうる施策ではなく、大企業だからこそできる施策であるともいえる。

実現するためにはいくつもの困難が予想されるが、ぜひとも実現させてもらいたいと願っている。

もう一つは、品揃えでの差別化は難しいのだから、サービスを差別化させるというやり方である。
サービスといっても接客をさらに丁寧にしました、とか、これまでよりもさらに安く値引きしました、とかいう類のことではない。

同じ製品を買うにしても、望めばさらに詳細な説明を聞けるとか、その店に行くことがステイタスになったり、楽しみになったりというような接客や取り組みである。

同じ商品を買うにしても、「あの人から買いたい」とか「いつものあの人に相談したい」ということは今でもあるだろう。
そういう関係性をさらに意識的に強化するやり方である。

単に安いだけのクリーニング店よりも、少し高くても家庭洗濯のやり方をあれこれ教えてくれるクリーニング店の方が良いという人も多くいる。

洋服販売でも同じではないか。

どうせ販売している商品はどの店もそれほど大差ない。
現在、希少価値のある商品だっていずれは他店にも大量に出回るようになる。

今言ったようなことを実現するのはなかなか難しい。
「楽しさ」とか言ったって曖昧模糊としているし、個人によって楽しさの基準は異なる。

それをどのように実現するかは個々の工夫次第であろう。
個々の店のスタッフの個性によってもまた発現するものが変わるだろう。

物自体を変えるにしろ、サービス内容を変えるにしろ、どちらもひどく困難を伴う。

しかし、そのどちらかをやらねば大量生産・大量販売の廉価商品に駆逐されるだけである。
そう、業界人が忌み嫌う廉価商品にである。
やる気がないなら廉価商品に駆逐されるのは仕方がない。淘汰されて当然である。

やられたくないならやるしかないのではないか。
少なくとも三越伊勢丹グループはそれをやろうとしている。
この施策の好き嫌いは別として、やろうとしているということ自体は評価する。

他の百貨店、商業施設はそれほどまでに腹を固めているのだろうか?










スーパークールビズのデメリットに目から鱗が落ちる

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 今まで、快適性や効率面からスーパークールビズの推進について賛同するブログを書いてきたが、先日、東洋経済オンラインにブランド側が抱えるスーパークールビズの問題点をまとめた記事が掲載された。
恥ずかしながら、自分の中でこの観点は抜け落ちていた部分であり、目からウロコが落ちる思いだった。

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(はるやま商事のSAVE BIZのイラストより)




紳士服店には両刃の剣 スーパークールビズ旋風
http://www.toyokeizai.net/business/industrial/detail/AC/d8ba0d4f16f3b45833cd949fa6b43c24/


本文は長文なので、件の個所を抜粋引用したい。

環境省が提唱したスーパークールビズ期間は、5月から10月末まで。開始月と終了月をそれぞれひと月分延ばした。毎年スーツ販売が通常の水準に戻る10月も含まれており、秋のスーツ販売にも影を落としそうだ。さらに来年以降も電力不足が続き、こうした動きが通年化した場合、結果的にスーツが着用される期間は短くなる。

 一般的にスーツは、汗などで濡れた状態での摩擦に弱い。スーパークールビズの浸透でスーツを着る機会が減り、摩耗が抑制されると、当然ながら買い替え頻度も低下。年間の販売量に影響を与える可能性も考えられよう。

 スーパークールビズ商品とスーツとの単価の差が大きいことも課題だ。中心価格帯が3万~4万円台のスーツに対し、シャツは1枚3000~4000円程度。シャツやスラックスなどでスーツと同じ利益の絶対額を稼ぐには、「何倍も売らなければならない」(大手紳士服専門店)。

 確かに目先では、売り上げ増に貢献しているスーパークールビズ。が、事は日本人の生活習慣にも絡むため、業界にとって追い風となるか逆風となるか、予断を許さない。「スーパークールビズ元年」は、紳士服専門店の存在意義を改めて問うている。



とのことである。


現在、紳士服売り場はスーパークールビズが商況を牽引しており、
例年よりも好調に推移している。これは、青山やアオキだけではなく百貨店も同じである。
しかし、上に引用したように、秋以降のスーツの販売数は一転して減る可能性が高い。

さらに来年以降も電力供給は回復しない可能性が高く、スーパークールビズの流れは、最低でも何年間か続く。
そうなると、年間のスーツ販売数量は間違いなく減る。
記事でも述べられているが、いくらスーツが値崩れしているとはいえ、通常3万~4万円が中心価格であり、シャツやポロシャツはせいぜいが数千円だ。スーツと比べると圧倒的に安い。
これでは、シャツやポロシャツの販売枚数が伸びても、紳士服店の売上高は下がることとなる。

そして、手持ちのスーツの着用回数が減ることで、スーツの傷みも軽減され、買い替え需要も減ることになる。


さて、この対策であるが、容易に考えが浮かばない。

一つは、ビジネスも年間軽装化すると考えて、カジュアルアイテムを強化することが良いのではないか。
青山商事はすでに「ザ・スーツカンパニー」で売り場の半分くらいをカジュアル単品アイテム化している。
またAOKIも「ORIHICA(オリヒカ)」というスーツ&カジュアルショップを展開している。
この2社は既存路線の拡大で、対応できるのではないだろうか。

はるやま商事は「PSFA(パーフェクトスーツファクトリー)」、コナカは「スーツセレクト」というツープライススーツショップを展開しているが、正直に言えば、カジュアルアイテムが弱い。スーツ需要が減れば苦戦を強いられるであろう。

スーツの買い替え需要減少に対応する措置として、「傷みやすい」生地を使ってみてはどうか?
「傷みやすい」というと語弊があるが、決して粗悪品を使うのではなく、逆に高級素材を今以上に採用するのである。
以前にも書いたことがあるが、スーツ用の毛織物素材は、高級になればなるほど細番手のウールで織られており、薄く柔らかいが、耐久性がない。
「スーパー100」とか「スーパー120」、「スーパー150」という超細番手のウールで織られた生地は高級だが、弱い。ちなみに「スーパー○○」という上の素材は、数字が大きければ大きいほど細い糸が使われており、手触りは滑らかになるが、その分耐久性がなくなる。

ツープライススーツショップで販売しているスーツの29800円以上の商品のすべてを超細番手ウール素材に切り替える。そうすれば、着用回数が減っても摩耗しやすく、すぐに買い替えが必要となる。
また消費者へも「高級素材使用」を大々的にアピールしやすくなる。


安値で高級素材使用の商品が手に入るので、消費者にとっても悪くない話だと思うのだが。

リーバイスストアの評価点が低かった理由

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 先日、コメントを掲載していた東洋経済の記事がウェブにも転載していただいた。ウェブなので名前の間違いも訂正していただいた。(笑)

http://www.toyokeizai.net/business/strategy/detail/AC/34ee4984ead648ba08763d905d211f0c/page/1/

記事の内容については、読んでいただいた通りなので、付け加えることもない。


それと2月19日発売のモノ批評雑誌、月刊「MONOQLO」でZOZOタウンのセール批評をさせていただいた。
ツイッターで「リーバイスストア」に対する評価が厳しいですね、という感想をいただいた。自分はA、B、Cの三段階評価で、申し訳ないがリーバイスストアにはCを付けさせていただいた。


理由は、リーバイスストアが嫌いというわけではなく、リーバイスストアの品ぞろえの少なさ、それから現在アウトレットで行っている大処分セールに比べて値引き率が低かったから、の2点でC判定とさせていただいた。
リーバイスストアの品ぞろえの少なさについては、これはリーバイスというジーンズ専業ブランドの構造的欠陥だと言える。ついでに言えばジーンズ専業メーカー各社共通の欠陥である。

「専業メーカー」と言われるくらいなので、ジーンズとチノパン、一部ワークパンツくらいしか製造していない。トップス類はGジャン、カバーオール、ワークシャツ、Tシャツ、スエット程度である。このラインナップで「ビームスや「ユナイテッドアローズ」と並んだときに、著しく見劣りする。
「ビームス」や「ユナイテッドアローズ」は小物雑貨、リビング用品までそろっており、またウェアに関して言えばカジュアルからスーツ類まである。これでは見劣りするのも当然である。


現在、リーバイスは直営店・FC店で「リーバイスストア」を、エドウィンは直営の「エドウィン」ショップの拡大を図っている。両社とも単なる卸売りメーカーからの脱却を意図していることは明確である。しかし、ショップを構成する品ぞろえに関しては、まだまだ不十分であると思う。
なぜなら、先に挙げたように、ジーンズを中心としたパンツ類と、Gジャンとワークシャツを中心としたトップス類しかないからである。消費者は毎月1本ずつジーンズを買うのだろうか?おそらく大半の消費者は買わない。
今のラインナップなら、年に3~4回買うかどうかだろう。

ジーンズ専業メーカーから出発して、直営店をジワジワと拡大しているブランドとして「ジョンブル」がある。ここのラインナップはメンズといえども多彩だ。ジーンズ、チノパン以外にもセーター類、カジュアルセットアップ類、小物雑貨までトータルにそろう。
リーバイスとエドウィンは、商品開発の一例として「ジョンブル」を見習うべきだと思う。
DSC00571

(ジョンブルの旧大阪店店内)





メンズもジーンズ離れが深刻

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 先日、2月7日発行「週刊東洋経済」のジーンズカジュアル動向についてたった一言だが、コメントを掲載していただいた。自分の名前の漢字が少し違っていたのはご愛嬌ということで。(笑)

記事は、ジーンズメイトの昨年末の株価急騰事件から始まるのだが、昨今のジーンズカジュアルショップ苦戦の原因を取材している。さまざまな要因があると思うのだが、2Pということで、あれもこれも盛り込むことはできなかったのだろうと思う。

まず、どれくらいジーンズというアイテム(カラージーンズやショートパンツも含む)がここ3年間苦戦しているのかという具体的根拠として、ジーンズ生産統計が挙げられている。誌面のP21に棒グラフがあるので、そちらをご紹介すると、

プレミアムジーンズブームのピークだった05年の生産統計は約7000万本
06年は少し7000万本を割る
07年は6500万本を割る
08年は5500万本まで減る
09年は約5000万本


という推移である。

これは毎年、日本ジーンズ協議会が発表しているジーンズ生産統計による数字である。
繊維流通研究会のHPには98年から09年までの生産統計が掲載されてあるので、こちらも参照いただきたい。
http://www.apparel-mag.com/pdf/papers/p005_jeanstokei_2010.pdf

しかし、この統計には大きな落とし穴がある。
東洋経済にも注釈があるのだが、ユニクロやスーパーなどの生産数量は含まれていない。もっと正確に言えば日本ジーンズ協議会に加盟していない企業、例えばポイントやしまむらなどの生産数量も含まれていない。
もし、ここにユニクロが含まれていれば1000万本前後は増えることになる。
逆に日本ジーンズ協議会の加盟各社の生産数量が激減している証拠にもなる。


それにしても、このジーンズ生産数量の低下の原因はなんだろうか?
文中には「レディースでレギンスがトレンドになり、ジーンズ需要が減った」と書かれてあるが、それだけではないだろう。トレンドに関して言えばメンズでもジーンズ離れが顕著である。

2010年はメンズ、レディースともにカジュアルテイストがトレンドとなった。とくにアウトドアテイストのカジュアルは好調だった。従来であれば、カジュアルがトレンドに浮上するとき、必ずジーンズの需要も増えた。
しかし、今回のカジュアルトレンドではジーンズは浮上せず、チノパンやカーゴパンツが浮上した。この傾向は2011年も続いている。

3階・チノクロップド













(アーバンリサーチのクロップド丈チノカーゴパンツ)



トレンドというと兎角レディースに目が向きがちだが、メンズカジュアルでもジーンズがトレンドではなくなったことはかなりの痛手だ。なぜなら、レディースはパンツ類を穿かなくてもスカートもあればレギンスもある。ワンピースもある。ボトムスの種類が豊富だ。
しかし、メンズはよほどの特殊な嗜好を除いて、ボトムスはパンツしかない。そのパンツも種類が少なく、ジーンズかチノパンかカーゴパンツかワークパンツ、あとウールのトラウザーくらいだろう。
この少ない選択肢の中からジーンズが漏れてしまったという事実はかなり衝撃的ではないだろうか。


オーソドックスなジーンズに魅力を感じる方も多いとは思うが、それ以上に新しいジーンズの打ち出しがないと、見向きもしない消費者層も相当にいるのではないだろうか。ジーンズの企画担当者はビンテージマニアになるのではなく、新しいデザインやスタイリングを開発しなくては、次のジーンズブームは5年先になるだろう。
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