南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

岡田織物

名称変更も一つの効果的な販促手段

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 ヨーロッパでは最近、動物愛護の観点からフェイクファーのことを「エコファー」と呼び始めている。
最近と言っても2、3年ほど前の会議でそんな話をした記憶があるから、その辺りのことである。

その会議はフェイクファーの一大産地である和歌山・高野口産地で開かれたものなのだが、その席上で「フェイクファー」という呼び名を改称しようという提案をした。

フェイクというのは、偽物、だまし、模造品、まやかしなどあまり良い意味のない言葉である。
あまり使われない意味としては、「フェイントのようなトリックプレー」や「ジャズの即興演奏」という意味もあるらしい。

フェイクはマイナスの意味合いを感じさせる言葉である。
フェイクファーというとファー(毛皮)の模造品という意味になってしまう。

しかし、結果は今になっても「フェイクファー」のままである。
会議では産地のオヤジたちは「今更呼び名を変えても・・・・・」とか「フェイクファーはフェイクやし・・・・」という消極的意見しか出なかった。

最近になって独立系のデザイナーたちが「エコファー」と呼び始めた。
自社の製品を説明するのに「動物愛護の観点からヨーロッパなどでは『エコファー』に注目が集まっています」というふうに使用している。

正直、彼らが動物愛護に興味があるかどうかはわからない。
きっと興味のかけらもない方もおられるかもしれない。
口先だけで上手いこと言って販売促進を行うブランドは好きになれない。

けれども、産地が「高品質」を謳うのであれば、こういう言葉の使い方も見習うべきであろう。
せっかく高品質な素材を製造していても、「うちのはフェイクですから」と言っていては、伝わらない相手の方が世の中には多い。残念ながら。

11月末から高野口産地の岡田織物は大丸と松坂屋で自主企画製品の販売会を開始している。
これに際して、岡田織物は「ジャパンエコファー」の呼び名を打ち出している。
「やっとか・・・・・・・・」と思わないではないが、大手マスコミからの取材が夏場以降相次いでいるのでそれなりの効果はあるということだろう。

これは推測だが、岡田織物の露出が今よりも増えるようなことがあれば、高野口産地は雪崩をうったように「エコファー」「ジャパンエコファー」という名称を使い出すのではないか。
これまで付き合ってきた産地や製造業の性格からすると、そういう図しか思いつかない。

結局、他社に先駆けて一歩・半歩踏み出すことを躊躇する製造業や産地企業は多い。
別に高野口産地だけのことを言っているのではなく、全国的にそういう傾向が強い。
そして、同業他社のどこかが踏み出して上手く行き始めると、それに追随する。

何度も言うがランチェスターの法則で、弱者の取りうる戦略は「一点突破主義」である。
産地企業や製造業は今、圧倒的に弱者が多いわけだから、本来は「一点突破」を図るべきであろう。
他社の成功を見て追随する「追随主義」は圧倒的シェアを誇る強者が採るべき戦略である。

まあ、そういうわけで国内産のフェイクファーがエコファーを名乗ることもそう遠い先の話ではないと思う。
そういう後追いが良いか悪いかは別として。




生地メーカーが百貨店で期間限定販売に乗り出す

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 先日、9月25日のことだが高野口産地の岡田織物が関西テレビのニュース番組「スーパーニュースアンカー」で紹介された。
4分少々の放送だったが、高品質なフェイクファーについて一般消費者に向けて良い告知になったと思う。

「太陽光で2度~8度発熱する」フェイクファーや、「繊維がY字になっているため手触りがより滑らかな」フェイクファーがピックアップされていた。

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(岡田織物の発熱するコアブリッドファー)


http://okadatx.shop-pro.jp/


さて、その岡田織物が10月末ごろから関東・中部・関西の各エリアの大丸・松坂屋百貨店で期間限定販売を行うことになったとのうれしい知らせがあった。
詳しいスケジュールと展開店舗は現在調整中とのことである。


今回の販売会は非常に珍しいケースである。



それはなぜかというと、岡田織物は生地メーカーであり、製品メーカーではない。
従って今回のイベントの話が持ち上がってから製品作りに着手し始めたという。

百貨店で催事販売を行うのは通常製品メーカーに限られている。
今回のように生地メーカーに、百貨店から直接声がかかったのは聞いたことがない。

しかし、今回の試みが成功したなら、生地メーカーの製品化ビジネスがより身近なものになる。

また、他の生地メーカーにも製品化ビジネスの良い参考例となるに違いない。


それだけに筆者としても岡田織物にかける期待は大きい。


高野口産地に3年間携わらせていただいたが、ようやく製品化への道筋が見えてきたように思う。
それもひとえに産地内の各社の努力の成果だろう。

知られざる実力派企業

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 先日、久しぶりに高野口産地の岡田織物を訪問した。
何度も書いているように高野口産地は、和歌山県の高野山のふもとに位置し、カットパイルと呼ばれる素材を活かしてフェイクファーやモケット、金華山織りなどの素材を製造する産地である。

この岡田織物はほとんどフェイクファーに特化して製造販売する企業だ。

繊維業界の中でも高野口産地はそれほど知られていない場合がある。
もちろん岡田織物も知られていない場合もある。
高野口産地で製造するフェイクファーの特徴も知られていない。

安いアジア製に比べると、毛足が柔らかく滑らかで、少々引っ張っても毛が抜けないという特徴がある。

岡田織物はだいたい国内販売が7割、海外販売が3割という売り上げ構成となっている。
海外と聞くと、経済成長著しい中国か?と連想する方も多いが、ここはヨーロッパのラグジュアリーブランドへ販売している。
今秋物として、某イタリアブランドにはストール用に800反を販売したというし、某フランスブランドにはスカート用として2000メートルを販売した。
通常生地の反物は50メートル巻きが多いので、1反=50メートルと仮定すると、フランスブランド向けのスカート用生地はだいたい400反くらいとなる。

日本の有名アパレルブランドが、1型あたり3反~5反程度、多くても10反程度しか買わないことを考えると、イタリアブランドもフランスブランドも莫大な量を岡田織物から購入していることになる。

さて、残念なことに岡田織物のこの実績も世間的にはあまり知られていない。
おそらく繊維業界でも大部分の方はご存知ないかもしれない。


今回は岡田織物を一例に出したが、同じように知られていないが、実績のある企業は他にもたくさんあるにちがいない。
そういえば、デニム生地製造のクロキもヨーロッパのラグジュアリーブランドに生地を定期的に販売している。
これもクロキ側が情報発信を国内にしないので、あまり知られていない事例かもしれない。


そういう意味では国内製造業には、この他にもまだまだ隠れた実力企業が存在するのではないか。

このような企業と、デザイン力・発信力のある企業、販売営業力のある企業が上手く結び付いていないのが、現在の日本の繊維産業が苦戦している原因の一つではないかと感じる。

どこか一部が詰まっており、全体の流れが悪くなっているパイプラインを見ているような歯がゆさがある。

これも言うは易し、行うは難しなのだが。

機能性素材に見た目と触感が加わった

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 今日で2011年が終わるのだが、日本の生地メーカーでもっとも注目度が高い分野は機能性素材であろう。

業界外の方に「機能性素材」と言っても、「何やそれ?」と思われるだろうが、涼しいとか、暖かいとか、すぐ乾くとかそういう類の生地である。

おなじみのユニクロだと、ドライとかヒートテックとか防風ジーンズだとかそういう商品だ。

この直接的な機能だけでなく、肌触りが素晴らしく良いとか、見た目が今までにない変化をする、という素材も「機能性」を謳って開発を続ける生地メーカーもある。

先日、日清紡テキスタイルでレーヨン綿混のソフト&ハイパーストレッチデニム素材を見せていただいた。
通常のレーヨンデニムと似たソフトな肌触りでありながら、レギンス並みの強力ストレッチ性があるというもので、アメリカ西海岸の某プレミアムジーンズブランドに採用されている。
日清紡や輸出に携わる総合商社によると「西海岸のプレミアムブランド向けのソフト&ハイパーストレッチデニムは、ほぼ独壇場」だという。

日本の生地開発もまだまだ可能性を秘めていると思えてくる。


そういえば、先日、高野口産地の岡田織物で、新素材として、発熱するファーを見せていただいた。
太陽光を吸収して衣服内温度を2度~8度高める機能があるという。
三菱レイヨンの開発した「コアブリッドサーモキャッチ」という糸を使って作ったファーである。
肌触りも「もふもふ」と毛足が長く気持ち良いし、カラー展開も数色以上ある。

ご興味のある方はこちらに詳しい説明がある。

http://okadatx.shop-pro.jp/?mode=f20

これまでの機能性素材は、とかく「機能」が優先され、見た目や肌触りなどは二の次とされてきた印象がある。
しかし、日清紡のソフトハイパーストレッチもこの発熱ファーも、見た目と肌触りとを両立させている。

機能を開発するのは日本メーカーに一日の長がある。
ここに見た目と触感を加味すれば、活路はまだまだ開けるはずである。

来年も日本の生地メーカーに期待したい。

生地産地のインターネット販売

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 通り一遍のインターネット賛美は好むところではない。
別段インターネットによって人類が飛躍的に進歩したとも思わない。
ただ、便利になったことは部分があることは認める。
しかし、インターネットは万能ではないので、ネットを介してよりも直接会った方が早い場合も多い。

さて、インターネットの整備によって、生地産地のメーカーが直接消費者への販売を始めたことは、良い事例だと思う。
比較的、交流が深い高野口産地には、知る範囲では3社ほど消費者向けのオンラインショップを開設している。
どれもが1メートルから生地を切り売りしている。

岡田織物
http://okadatx.shop-pro.jp/


中野メリヤス
http://exterial.shop-pro.jp/


妙中パイル織物
http://www.taenaka.com/shop/


それぞれ、自社のサイトであり、特徴がある。

一番女性向きなデザインをしているのは、中野メリヤスであろう。
白とピンクを基調とした色使いがかなり女性を意識している。

一方、岡田織物は硬派な担当者の性格そのままに、武骨な仕上がりとなっている(笑)。
しかし、担当者によると「女性客も大歓迎」だという。

妙中パイル織物は正統派な作りだが、ややインパクトに欠ける部分があるかもしれない。


別にこの3社を宣伝したいわけではないのだが、産地の生地メーカーの販売方法の一つとして、このような取り組みもあることをお知らせしたかったわけである。


先ほど「インターネットで格別に人類が進歩したとは思わない」と書いたが、各企業が自社で情報発信できるツールを手に入れたことは間違いない。

生地産地の企業は、ともすると自己発信が非常に苦手である。
しかも自己発信の方法で「これがベスト。このやり方に従えば間違いない」という手法はない。
各社がそれぞれの方法を模索するしかない。


生地産地の企業が自社でそれぞれに発信しつつ、消費者への直接販売を始めたことは、新しい一歩ではあると思う。
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