南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

大阪スタイリングエキスポ

両方の美味しいとこ取りはできません

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 ファッションショーイベントというのはまことに難しい。
一般消費者向けと業界向けでは、原則として手法や出展する商品内容を変える必要がある。

国内のファッションショーイベントを大雑把に分けると

消費者向けとしては神戸コレクション、東京ガールズコレクションなどがある。
業界向けとしては東京コレクションがある。

消費者向けイベントの特徴は、一般消費者が興味を示すようなタレントをステージに上げて、現在の店頭に並んでいるまたは直近で店頭投入される商品を着せて歩かせることである。
タレントへの多額のギャラが発生することもあって入場料制になっており、どれだけ多くの消費者を入場させるかがキモとなる。

業界向けではタレントのステージ投入は必要ないし、通常は半年先、ギリギリに引きつけたとしても3カ月先の商品を着せる。こちらはブランド側からの招待制なので、入場料は必要ない。観客は多いに越したことはないが、一般消費者向けイベントのように1万人を越える入場者数は不要である。

さて、そんな中、8日・9日と大阪スタイリングエキスポなるファッションショーイベントが開催された。
会場はグランフロント大阪の北館1階である。
小なりといえどもファッションショーイベントを開催する労力は大変なものであるから、運営に携わった方々にはまず敬意を表したい。

今回もこのファッションショーイベントは消費者向けと業界向けがごっちゃになったところがまず何よりも残念である。
ただ、この悪癖は今回始まったことではなく、毎年のことなのでこれは完治不可能なのだろうと生温かく見守るほかないようだ。

全体として22のブランドがステージに登場したが、出展されている商品は「来春夏商品」であるとのこと。
オープニングでそのように挨拶コメントがあった。

写真2








グランフロント大阪北館1階の広場は、吹き抜けであり、ショーの観覧も無料だ。
有料にするなら、通行人の視線を遮るための広場に大きな衝立を作らねばない。これでは何のためのグランフロント大阪の広場開催なのかわからなくなるので、これはこれで正解だろう。

となると、観客は業界関係者ではなく圧倒的に一般消費者が多くなる。

一般消費者に向けて、半年先の商品を見せてどのような効果があるのだろうか。
筆者にはその効果はあまり想定できない。

半年先の商品を見せるなら東京コレクション的な業界向けにすべきだろうし、グランフロントの吹き抜け広場で開催するなら完全に消費者向けとして現時点での商品を見せるべきだろう。

次に観客ターゲットがはっきりしていないことも残念である。

配布されたフライヤーのデザインを見てもらえばわかるように、これは完全に20代女性向けだろう。
神戸コレクションや東京ガールズコレクションに近いテイストでデザインされているように見える。

写真


(今回のフライヤー。虫眼鏡もグラフィックのデザイン。実物ではない)

一方、出展ブランドは在阪ブランドと新進デザイナーズブランドである。
在阪ブランドのラインナップは、「オッジクラブ」「ピコーネ」「エイコ・コンドウ」「キャサリン・ロス」などいずれもミセスブランドばかりだ。そのミセスの年代も50代以上ではないか。
その中にデザイナーブランド「アグリ・サギモリ」がラインナップされているのも面妖だ。

他方は独立系の小規模デザイナーブランドである。
その多くはアバンギャルドな作風でコアなファンは獲得しているものの、広く一般消費者に向けた商品ではない。
また彼らも大衆に向けて生産できるような自社体制は構築していない。

フライヤーのデザインテイストと出展しているブランドがあまりにもミスマッチである。
フライヤーはギャル向け、出展ブランドは50代ミセス向けと、コアなファッションを好む層であるから、どこに向けたイベントなのか読みとることは難しい。


例えば、筆者が運営者ならフライヤーをもっとミセス向けデザインにして、出展商品を今秋冬物に限定しただろう。その方がずっとわかりやすいからだ。デザイナーブランドはそのまま継続するにしてもだ。


一般消費者向けを狙うなら、好き嫌いは別にして神戸コレクションや東京ガールズコレクションンに限りなく近づけないとだめだろうし、業界向けなら東京コレクションに限りなく近づけないと意味がない。
両者の折衷が一番の愚策である。ただ、大阪では2011年から関西コレクションなる大規模消費者向けショーイベントが開催されている。このため、さらに後発で消費者向けショーイベントを大型化することはかなり難しいだろう。関西圏は神戸コレクションと関西コレクションで飽和状態にある。


もし、今回のラインナップとフライヤーで運営せねばならぬとすると、筆者なら、ショーを秋冬物にまとめた上で、グランフロント内で出展ブランドの在庫大安売りセールを開催する。
どうせ、各ミセスブランドには在庫が唸っているのである。また大阪のオバちゃんは安売りが大好きだ。
販売する商品も豊富なうえに、安売り大好きなオバちゃんが多数存在しているのだから、大盛況になることは間違いないのではないか。

どれくらい安売りが好きかというと、去る10月10日に「あべのハルカス」の専門店街ウイング館上層階がオープンした。筆者は取材で午前9時から館内にいたのだが、午前10時に開場となってもあまり人が押し寄せる雰囲気はなかった。オープンしたのは4階から上で、3・5階と3階では「売りつくし大セール」を開催していた。午前10時の開場で一番賑わったのはオープンした上層階ではなく、「売りつくし大セール」の会場だったのだ。

それほどに大阪のオバちゃんは安売りが大好きである。

まあ、そんなわけで、私見をつらつらと並べてみたのだが、来年以降も実行されることはないだろう。
それができるならとっくの昔にこのイベントはもっと異なった形態になっていただろうから。

「大阪ファッション」はジーンズカジュアルとデザイナーブランドで

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 9月18日、知人に誘われて大阪のファッションイベント「大阪スタイリングエキスポ」に行った。

知らない方のために、少し解説すると、
大阪を拠点とするデザイナーズブランドを発信する「大阪コレクション」が2004年に終了し、
2006年から消費者参加型を志向したイベント「大阪ライフスタイルコレクション」が始まった。
しかし、これが一回で休止となり、2007年からは同じタイトルで専門学校対抗のファッションコンクールとなった。

はっきり言うとこの専門学校対抗のファッションコンクールは緊急避難的措置として、お茶を濁した内容だったにも関わらず、2009年まで無為無策のまま3年間も続いた。
2010年から再びリニューアルし、「大阪スタイリングエキスポ」と名前を変えた。
今回はその2年目である。


昨年とほぼ同じ内容であったため、特別な感想はない。
「ふーん」と言ってしまえば終わる。

さて、このイベント中に使われた言葉に「大阪らしいファッションの発信」とある。大阪スタイリングエキスポに関わらず過去のイベントすべてで使われていた共通の言葉である。
しかし、「大阪らしいファッション」って何だ?
これがきっちりと定義できていないと、今後もこのファッションイベントは迷走を続けることになる。
主催者側はそんなことは気にしていないと思うが。

大阪のファッションイベントはすべからく「大阪らしいファッション」というキーワードをブチ上げたがる。
しかし、「大阪らしいファッション」とは何か?明確な答えを出せたイベントは不幸にしていまだに拝見していない。


今日は「大阪らしいファッション」について考えてみたい。
「大阪らしいファッション」と聞いて真っ先に思い浮かぶのが、
大阪のおばちゃん愛用のアニマル柄のトップスであろう。
単なる豹柄や虎柄ではなく、豹や虎のリアルな顔がデカデカとプリントされたものである。
そこに黒いスパッツを穿き、ヘンテコリンなパーマヘアに紫色のメッシュで着色する。


だいだいこんな感じだろうか。
ならば、この大阪のおばちゃんルックを発信すべきか?
だが、そこには何となくためらいがある。ちっともカッコヨクない。

そこで、大阪が拠点となって、全国に発信できたファッションを思い返してみる。ここには過去の事例も含みたい。

個人的にはジーンズカジュアルを挙げたい。
良く知られているエヴィスは大阪で創業され、今でも市内に多数の店舗を構えている。
登記上の本社は奈良県だが、大阪と見なしてもあまり差支えないだろう。
また、ステュディオ・ダ・ルチザンは正真正銘大阪拠点である。
フルカウント、ウェアハウス、RNAも大阪を拠点としている。
ややマニアックだが、サムライジーンズも大阪が拠点である。

近年、低価格カジュアルSPAとして進捗著しいウィゴーも大阪が創業の地であり、東京に移転したが、つい先日まで本社がアメリカ村にあった。
パルグループの「チャオパニック」も一端に加えても良いかもしれない。

ジーンズカジュアル分野においては、大阪は現在もある程度の発信力を持っている。
70年代・80年代は今よりももっと絶大な発信力があったというし、90年代でも今以上のトレンド発信があった。


他のジャンルではどうだろうか?
思いつくのはメンズスーツアパレルである。
大阪には谷町筋という南北に走る大通りがある。
その谷町4丁目付近に、以前は大手のメンズスーツアパレル各社が本社を構えていた。
トレンザ、メルボ紳士服、ジョイックスコーポレーション、大賀、ロンナーなどなど。
以前は、大阪で「谷町筋」と言えば「メンズスーツの街」というイメージがあった。

今は各社が本社を移転してしまい、ジョイックスコーポレーションとロンナーが登記上の本社を残すのみとなっている。

「谷町筋復興キャンペーン」みたいなことも打ち出せないではないと思うが、ちょっと実状にはそぐわなくなりすぎたのかもしれない。


もうひとつ。以前に神戸ファッションマートのスタッフの方からこんなことを聞いた。
「神戸でデザイナーブランドを集めようとした場合、意外に服を扱っているブランドが少ない。バッグ、靴、アクセサリーが多い。その点、大阪は、まだ服を扱っているデザイナーが多い」という。

もちろん、東京には遠く及ばないが、大阪はいまだに個人デザイナーによるデザイナーブランドがある程度集積している。繊維産業華やかなりし頃の余韻だろうか。

かつての大阪の利点は、繊維の製造場所が近いということにあった。
合繊メーカーと紡績の本社が大阪市内にある。
また、京都、和歌山、滋賀、泉南、西脇、福井、奈良などの各繊維産地が大阪を中心にほぼ同心円状に等距離で存在している。
ウールの尾州やデニムの岡山・福山も新幹線で1時間圏内である。
タオルの今治が遠いが、それでも東京に比べると近い。

浜松と桐生、足利、新潟あたりが遠く離れているだけである。

大阪という土地はかつては衣料の製造に非常に適した土地だった。
これだけ寂れてしまったにも関わらず、いまだにデザイナーズブランドが一定数量以上存在するのは、この影響があるのかもしれない。


とすると、「大阪らしいファッション」というお題でファッションイベントを考えたときに、
デザイナーズブランドとジーンズカジュアル、この2本立てで行くのがもっとも大阪の伝統に沿ったものではないかと思う。

無理やりに「スタイリスト」にスポットを当ててみたり、お茶を濁す形で「学生コンテスト」を開催するよりもよほど実状に適っているのではないだろうか。





大阪でスタイリストにスポットを当てる意味がない

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 またそろそろ、神戸コレクションと東京ガールズコレクションの季節である。
この2つは一大イベントとして定着した感がある。
その知名度を持って、各地方を巡業することもまあ、興行面で見れば意味はあると思う。

この2つがありながら、まったく別の興行主が類似イベントを開催する意味はあるのだろうか。
正直に言って、あまり意味がないと感じる。

なぜなら、登場するタレントモデルと彼女らが着る服が違うだけで、それ以外は何の新規性もない。
だったら、いっそのこと2つのイベントが各都道府県を交互に巡業した方がわかりやすい。
TGC大阪コレクションとか神戸コレクション岐阜みたいな感じで。

もはや、コレクションというよりもどんなタレントが出てくるのか?その一点にしか観客の興味はないだろう。
極端に言えば、ステージ上を歩くタレントモデルが全員ユニクロかトップバリュを着ていても観客は満足するだろう。
彼女らは服を見に来ているのではなく、タレントを見に来ているのだから。

大阪はファッションイベントの開催手法に苦しんでいる。
旧大阪コレクションが終わってから、迷走状態にあるとも感じる。
昨年から「大阪スタイリングエキスポ」と名前を変えてリニューアルスタートした。

これまで旧大阪コレクションが、デザイナーやクリエイターに焦点を当てたものだった反動からか、
消費者イベントを模索しているが、華々しい効果がない。
大阪スタイリングエキスポでは、何故だか「スタイリスト」に焦点を定めている。

スタイリストという職業は昨今の若者に人気である。
それは分かる。

じゃあ、スタイリストという職業に「大阪」という土地でスポットを当てる必要性があるのだろうか?
自分はほとんど必要性を感じない。


なぜならば、スタイリストという職業が最も華々しく活躍するのは、テレビ番組であり、ドラマであり、雑誌であり、映画である。
もちろん舞台劇や、各メーカーのカタログ製作、各ファッションショーでの仕事があるのも承知している。
しかしながら、上記の需要が最も多いのは、東京である。
昔は大阪でも番組制作、雑誌作成、映画撮影が相当数あった。
だが、バブル崩壊以降、大阪での作成数は激減しており、東京への集中がより鮮明となっている。

果たして今、大阪でスタイリストの活躍する場がどれほどあるのだろうか。
さらに言うなら、すでに関西を拠点とするベテランスタイリストが犇めいてる中で、若者がスタイリストとして関西でどれほどの仕事を獲得できるのだろう。
残念ながらほとんど仕事は獲得できないだろう。

こうして考えると、大阪で「スタイリスト」に焦点を当てる意味はあまりないように思える。
むしろ、スタイリスト志望の若者を東京へ排出する方が現実的ではないだろうか。
大阪でスタイリストにスポットを当てたイベントを開催するよりも、スタイリスト見習いとして東京へ旅立つ若者に餞別代りに助成金を渡した方が有効ではないのかとさえ思う。


かと言って、90年代半ばのように若手デザイナーが若者から注目を集めているご時世でもない。
デザイナー主体のイベントでなくなるのはわからないでもない。
しかし、反対に、そういうご時世だから若手デザイナーや新進ブランドを集めたイベントがどこかの地域では必要なのではないかとも思う。
タレント、スタイリスト、というキーワードでは、どの興行主も神戸コレクションとTGCには足元にも及ばないだろう。
あえて、各地域の新進ブランドや若手デザイナー、モノ作り系のファクトリーブランドなどを集めてみても面白いのではないか。

大阪スタイリングエキスポ

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 大阪のファッションイベント、「大阪スタイリングエキスポ」のオープニングに取材も兼ねて出席した。
見ていると軽いデジャヴューに襲われた。2006年2月のだ。

今回のコンセプトはファッション(衣)だけではなく、衣食住すべてをリンクさせた消費者参加型のイベントであるという。しかし、これは2006年2月に開催された「大阪ライフスタイルコレクション」の焼き直しである。
2004年11月で閉幕した「大阪コレクション」の後を受けて2006年に再スタートした。これまでバイヤー向けのコレクションショーだったが、再スタート後は衣食住をリンクさせ、消費者が見られるリアルスタイルのファッションショーを行った。

運営委託されたのはドリームアンドモア。ファッションショーやショップオープニングのプレス代行として定評と実績がある。2006年当時は大々的に一般紙にも採り上げられた。しかし、内部から異論があって2007年の運営からは外されてしまった。
その後2007年から3年間は、緊急処置的イベントとして同じタイトルで、ファッション専門学校対抗ファッションコンテストを行うようになったのだが、まったく効果がわからないイベントだった。

今回4年ぶりにリニューアルされたのだが、なんと2006年に回帰している。これでは何のためにドリームアンドモアを外したのか意味がわからない。

さらにファッションのスタイリングを「Numero TOKYO」(扶桑社)の編集長、田中杏子氏に依頼したのだが、オープニング当日は「パリコレ取材に出かけていまーす」ということでビデオレターでのコメント出演だった。
これには同席していた業界紙記者、出展関係者からも「ひどっ」と苦笑が漏れていた。
スタイリング監修でいくばくかの料金を支払っているはずなのに、オープニングよりもパリコレ取材を優先されてしまうという状態。明らかに舐められていると思うがいかがだろうか?
しかもそれほど著名でない雑誌の編集長にだ。

大阪のファッションイベントを大阪商工会議所主導でやるという状態に無理がある。いくら民間団体だとはいえ、あまりにもお役所的なスタッフが多い。事案も合議制で決まる。
これでは民間企業がリーダーシップを持って運営する東京ガールズコレクション、神戸コレクションには100年経っても追いつけないだろう。

さらに疑問なのが、イベントが2009年2月を最後にリニューアルするにあたって、だれもが積極的に運営をやりたがっていなかったという事実。もっといえば複数の関係者から漏れてきた「協賛金の繰り越しを使ってしまわないといけないからイベントはなんらかの形でやる」という言葉。そこまでやりたくないイベントならやらない方がマシだと思う。行政的予算の消化という悪弊はなんとかならないものだろうか。
極論すれば「3月末の道路工事」となんら変わらない。


申し訳ないが、お役所的団体の主導で盛り上がるようなイベントは、ここ10年見たことがない。過去に「大阪コレクション」からはビューティービーストや20471120などのブランドが全国デビューを果たしている。育成の実績はあるのだから、もうそろそろ店じまいしても良い時期なのではないだろうか。


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