南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

夢展望

ウェブ通販をやっただけでは売上高は伸びない

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 はてなブックマーク - ウェブ通販をやっただけでは売上高は伸びない
 「これからはウェブ販売だ」「これからはオムニチャネルだ」という掛け声をよく耳にする。

実際にウェブ通販の売上高総合計は伸びているから、これに異論はない。
ますますウェブ通販という業態自体は伸びるだろう。

しかし、コンサルタントやアドバイザーが言うのはまだしも、ナンタラ組合のエライさんとかナンタラ協議会のエライさんとかが言うのを聞いていると、どうも「ウェブ通販をやればすべての問題は自動的に解決し、あまり労せずして売上高が伸びる」という風に認識しているように思えてくる。
まあ、筆者特有の邪推かもしれないのだが。(笑)

そのエライさんたちがウェブに堪能だということは聞いたことがないし、そもそもそのエライさんたちはウェブ通販で買い物をしたことがあるのかどうかもあやしいところである。

一昔前に「SPA化すればすべての問題が解決する」と言ってた風潮とあまり変わっていないのではないか。

すでにウェブ通販には大手から小規模・零細まで無数の業者がひしめいている。
実際に筆者にも独立して、一人で各メーカーからの在庫を引き取ってきてウェブで販売している知人がいる。
その彼が展開しているウェブショップだが「当社も含めて新規参入組が楽天で上位に表示されるのは至難の業。上位に表示されないと集客できないし、当然、売上高にもつながらない」という状況である。

超有名ブランドならさしたる販促がなくてもある程度の集客はできるかもしれない(売上高につながるかどうかは別)が、それこそナンタラ組合とかナンタラ協議会みたいな消費者にとってマイナーな集団が思いつきで立ち上げたような通販サイトには、莫大な販促費を使わない限りなかなか集客できない。

それにそこそこ名の通ったウェブ通販業者だって苦戦している。
例えば夢展望。

2013年9月期連結は増収増益だが、
2014年9月期連結は、売上高が65億3900万円(前期比3・3%減)、営業損失7億5100万円、経常損失7億9000万円、当期損失9億800万円の減収赤字転落だった。

2015年から決算月を3月に変更したので、2015年3月期連結は半年間の変則決算だったが、業績は回復していない。

売上高26億9800万円
営業損失5億3600万円
経常損失5億9400万円
当期損失7億400万円

となっており、単純に2倍すると前年よりも減収・赤字幅ともに拡大している。

ちなみに2016年3月期連結の第1四半期は

売上高10億1900万円
営業損失1100万円
経常損失1500万円
当期損失1700万円

となっており、まだ回復傾向にあるとはいえない。

売上高は対前年同期比で約5億5000万円の減収である。

ウェブ通販の先駆けとして知られた企業ですらこの苦戦傾向である。

何の知名度もない新規参入者が無策に飛び込めばどれほど悲惨な状況に陥るかは火を見るより明らかではないか。
すでにウェブ通販はレッドオーシャンであり、決してブルーオーシャンではない。

コンサルタントやアドバイザーがウェブ通販参入を煽るのは自分たちのビジネスを拡大するためである。
集客がキモであることは彼らがもっとも熟知しているはずなので、煽るだけ煽って、具体策を提示することで彼らのビジネスにつなげるという作戦だろう。

しかし、わけもわからずその尻馬に乗っているように見える年配層の業界のエライさんたちは、逆に業界をミスリードするのではないか。
おそらく彼らは集客の困難さなど考えもしていないだろう。

先日、このブログにメールをくれた縫製業者と思しき人がいる。
その人によると、かつて自社でブランドを立ち上げ、楽天に出店したのだそうだ。
だが、売上高がまったく稼げないので1年ほどで撤退したという。

ご本人にはお気の毒だったが、無名の新規参入者なら当然の結果ともいえる。

それほどにウェブ通販での集客は難しい。
集客だけで考えるならリアル店舗を繁華街に出店する方が楽なのではないか。
もちろん、コスト面は度外視しての話である。

例えばJR大阪駅の改札付近の出店すれば、毎日何十万人という人が通る。
その中の少なくとも何百人かは店内を覗いてくれるだろう。買うかどうかは別にして。
ウェブ通販で無名の新規参入者が開店直後から毎日何百人の来訪者を安定的に集めることは限りなく困難である。
わざわざ消費者がその無名の通販サイトに来る理由がないからだ。

またウェブ通販だと集客をしても、間違ったターゲット層だと売上高はゼロである。

以前も紹介したBストアだが、ここは立ち上げて2,3年ほどのウェブ通販専業のカットソーブランドである。

http://b-webstore.jp/

主宰の山口悠太さんによると、初年度はかなりふんだんに広告費を使って集客したが、売上高はほぼゼロに近かったという。
集客したターゲット層と販売していた商品がマッチしなかったからだ。
ピーク時には1日に1000人近く来訪者があったが、売上高はほぼゼロだったというから、リアル店舗の販売よりもシビアである。

リアル店舗での販売なら、話好きのおばちゃんやおっちゃんが、「ねえちゃんが愛想良かったから、とりあえず500円の値下げ品でも買うわ」ということがたまにあるが、ウェブ通販だとそういう人情はゼロである。
欲しい物は買うが要らないものは要らない。それがより顕著となる。


ウェブ通販にはこういう厳しい側面がある。


だから各社は集客に必死になり、販促費を使うのである。
一時期問題となった有名タレントのステルスマーケティング(ステマ)はそういう背景があるからだ。

放っておくとサイトに集客ができない。
それなら多数のファンを抱えるタレントにブログやSNSで紹介してもらえれば、何千人・何万人のタレントのファンはとりあえず来店だけはしてくれるだろうし、タレントが「お気に入りです」とか「使ってめっちゃ良かった」と書けば、そのうちの何割かは購入してくれる。

だから何十万円・何百万円という費用を支払ってでも有名タレントにステマを依頼するのである。

大手がそれほどの投資をしてやっと集客しているのに、無名のポッと出のブランドが何の対策もなしに集客できるほどウェブ通販は甘い世界ではない。


これからは「ウェブ通販だ」「オムニチャネルだ」というのは間違いない。
問題はどうやって集客するかである。集客のできないウェブ通販サイトなんてゴミ屑同然である。


コンサルタントやアドバイザー諸氏はスローガンのぶち上げはもう十分だろうから、そろそろ如何に集客するかを語るべきだろうし、エライさんはウェブ通販をやったからといってすぐさま売上高が伸びるなんて妄想はそろそろ捨て去るべきだ。










ファッションサイトも文字による説明が不可欠

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 はてなブックマーク - ファッションサイトも文字による説明が不可欠
 ファッション、繊維関連のHPで以前から感じていたことなのだが、あまりにも文字による説明が少なすぎるのではないだろうか。もちろんそうでない企業、ブランドのHPもあることは承知しているが、商品写真とモデル着用写真だけをズラっと貼り付けているだけというブランドのHPも少なくない。

もう、6年ほど前になるだろうか。
地元から自動車で40~50分の商工会議所が主催する独立起業セミナーに参加したことがある。
白状すると、年間事業計画書の作成時点で付いていけなくなってしまったのだが、
そのセミナーに、インターネットでパンを通販しているという若い女性社長が講演された。

http://www.recette.co.jp/index.html

ルセットというパン専門店サイトである。
サイトによると、田中明子社長はその後、社長を退任なさって、現在は別の方が社長を引き継がれている。
2005年のことなので、今から思えばインターネットの接続環境はずっと悪く、
ネット販売が今ほど盛り上がってはいなかった。
余談になるが、インターネット通販の夢展望もちょうどそのころから本格展開を開始しており、両社とも接続環境は悪いが、インターネットという新しい媒体に幾ばくかの勝機を見出していたのだろうと思う。
相当にバクチ的要素もあったのだろうけど。

で、その田中明子・前社長は、インターネットでの販売方法について
「インターネット通販では試食してもらうことはできないので、商品の良さ・こだわりをとにかく文字で書きまくることが重要です。『あまり文字を書きすぎたら消費者は読むのが面倒なのでは?』とおっしゃる方もいらっしゃいますが、興味を持ったお客様は文字数が多くてもきちんと読んでくださいます」
とお話になられたことが今も記憶に残っている。


時代は下って、今年3月にマザーハウスの山口絵理子社長をインタビューする機会があった。
取材前に、予習するため、HPを開いたのだが、とにかく文字量が多い。
社長にも白状したのだが、一部読み飛ばした部分もある。

http://www.mother-house.jp/

とくに会社沿革に相当する「マザーハウス・ストーリー」は膨大な文字数である。

山口社長にも確認したのだが、先のルセットと同じ考えによって、ストーリーが詳細に説明されている。
ただ、山口社長によると「当社の商品は女性向けが主体です。物のスペックではなく、女性はブランドや会社のストーリー、主催者個人の思いやストーリーに共感する要素が強いと思います。だからブランドストーリーを詳細に書き込んでいます」
とのことだった。

男性は商品のスペックや物作りの工程などに共鳴するが、女性は企業や主催者のストーリー性に共鳴する。

そういう意味ではルセットはやや男性的、マザーハウスはブランド名通りに女性目線であるといえるのではないだろうか。

さて、この両社ほど文字による説明を大切にしているブランドが衣料品業界でどれほどあるだろうか。
商品説明という点に関してはユニクロのHPがトップレベルだと考えている。それ以外のブランドはユニクロにも遠く及ばない。
これが通常の店舗販売なら、販売員や店長が語れば良いが、HPでは誰も語ってくれない。
だから文字が必要になる。

本当に自社のスタンスや商品の良さを、キチンと説明できているのか、もう一度自社のHPを点検することをお薦めしたい。

またしても綿花相場が最高値更新

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 はてなブックマーク - またしても綿花相場が最高値更新
 そろそろ1年が終わろうかというところだが、12月22日、またしてもニューヨーク綿花相場が史上最高値を更新した。
繊維ニュースから引用させていただく。

ニューヨーク綿花定期相場は20日、期近(3月)物が、前日比で4セント高い154.12セント(1ポンド)をつけ、史上最高値を更新した。11月9日につけた151.23セントを1カ月半ぶりに上回った。年初1月4日の期近物が76.00セントだったことから、この1年で2倍以上に跳ね上がっている。


相場記事は多少読みづらい部分があるので、平たく言い直すと、
1ポンドあたりが4セント高くなり、154.12セントとなった。これまでの最高値は11月9日の151.23セントで、この151.23セントという値段は、アメリカ南北戦争以来の150年ぶりの高値であった。

記事によれば、年始価格76セントから1年間で2倍以上の価格になったという。

原価が2倍になれば製品価格も2倍になるかと言えばそうではない。
とくに店頭価格が7000円以上の商品に関してはある程度、利益を削って価格据え置きは可能だろう。
また、来月の製品から値上がりするかと言うと、原料高の影響が出始めるのは来年春物以降になると考えられる。

むしろ、店頭価格を上げざるを得ないのは3900円までの低価格ブランドだろう。ジーユー、しまむら、ユニクロ、無印、ハニーズ、夢展望などなどである。このうちユニクロは生産ロットが大きいため、製造コスト据え置きは可能だろうが、小ロット低価格のブランドがコストを吸収できなくなるといえる。

通常、綿花が高くなれば、綿花の使用量を減らして、ポリエステルやアクリルなどの合成繊維を混ぜることで原料高をやり過ごす。ポリエステルやアクリルの値段は一定に保たれているからである。しかし、ここに来て綿花高騰から合繊需要も増加しており、わずかながらも合繊も価格が上昇しているという。(某紡績の部長)

また、マスコミの話題を一時にぎわして、立ち消えになった1000円以下の低価格ジーンズはもはや実現不可能になると考えている。
すでに現状でも1000円以下のジーンズは一時期に比べて店頭数量が減っている。ジーユーも1型990円ジーンズはあるものの、メインの価格帯は1490円、1990円へと移行している。

さらに言えば、ユニクロ追随のイオン、ヨーカドーなどの量販店各社はさらに利益を削られることとなるだろう。
PR
PR

PR






記事検索
livedoor プロフィール
タグクラウド
QRコード
QRコード