南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

丸安毛糸

ローマは1日にして成らず

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 以前にも書いたことがあるが、去年の11月、ブレーンストーミングという名の吞み会にて、「編み物教室を開催してはどうですか?もちろん女性対象がメインですが、ついで男性対象も」と丸安毛糸さんに提案した。
すると、丸安毛糸さんはそれから3カ月弱後に早くも編み物教室を開催してしまった。もちろん男性版も。

当時、その行動の素早さに驚いたものだった。

通常、さまざまな産地製造業や原料会社に提案を行うが、「いいですね~」と返事があっても実行に移されることは稀である。実行に移した中でも即座に動いてくれる企業というのはさらに稀である。

そういう対応に慣れていた筆者にとって、丸安毛糸さんの実行速度は異例だった。

さて、そんな丸安毛糸さんの編み物教室が先日発行された雑誌にカラー4Pで特集された。
しかも女性版ではなく、男性版の方でだ。

これにはさすがの丸安毛糸さんも驚いたようだが、いきさつを尋ねてみると、

「ネットの検索で当社の男性版編み物教室『男糸会』が上位2位くらいに出てくるので、それを調べた雑誌社から取材申し込みがあった」とのこと。

丸安毛糸の岡崎博之社長も「こんなにすぐに取材申し込みが来るとは思いませんでした。こまめに情報発信を続けてきて良かった」と驚いた様子だった。

今月創刊された男性向け情報誌「FORTY」(ネコ・パブリッシング)の真ん中からやや後ろに4Pで掲載されている。
創刊されたばかりの雑誌なので反響や反応は未知数だが、もし4Pのタイアップ記事広告を作成したなら、製作費・掲載料込みで軽く100万円は超えるだろう。
そう考えると、非常にお得である。

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今回は上手く行きすぎたケースだが、それを引き寄せたのは丸安毛糸さんの日々の情報発信だろう。

岡崎社長も頻繁にブログを更新されているし、各スタッフもネットでの情報発信は積極的だ。
以前にも書いたが、ブログ記事も500本くらい貯まるとかなり上位に検索されるようになる。1000本貯まると圧倒的に上位に来る。さらに更新頻度が高ければ高いほど上位表示が維持される。

社長以下、何人ものスタッフで更新されるのだから記事の総数は500本は優に越えているだろう。
そういう地道な取り組みが今回のラッキーを引き寄せたと考えられる。

ブログもそうだし、ツイッターやフェイスブックもそうだが、「やってみたけど反応がないから止める」という企業やブランドをときどき見かける。
「それに対しての対策は?」なんてことを真面目に尋ねてくるSEも存在する。
何を言っているのかと呆れるほかないのだが、じゃあ「対策は?」なんて尋ねる前に毎日ブログを更新して500本の記事を貯めることである。
手っ取り早く成果を出したいなら、広告費用をふんだんに使うことである。

1日に1本記事をアップすれば1ヶ月で30本、1年で360本になる。
1ヶ月に40本強アップすれば1年で500本になる。

書く内容が良いに越したことはないが、そうはいっても良い内容を1日1本書くのはなかなか骨が折れる。
そこで尻ごみをするくらいなら、日常の日記のようなものでも良いから書く方が良い。
質が良いに越したことはないが、筆者は「とりあえず質より量」だと思う。
質は徐々に高めて行けば良い。そう考えている。

今回、開始からすぐに結果の出た丸安毛糸さんの取り組みだが、そこに至るまでには地道に続けた情報発信があったということは忘れてはいけないだろう。

目線を下げる努力も必要

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 生地メーカーや紡績(糸を製造する工程)、縫製業者、加工業者などはプロであるが故に、自社の機能や商材をあまり詳細に説明しない傾向が強い。

本当はしているつもりだが、プロすぎて素人に分かるように説明できていないだけかもしれないし、詳細に説明したら同業他社にバカにされると考えているのかもしれない。

彼らが取り引きをするのはおもにアパレルブランドの企画担当者やSPAブランドの企画担当者である。
以前にも書いたようにそれらの企画担当者は「裁断って何ですか?」と質問するほど製造工程への知識がない。もちろん、一部には詳しいベテランもおられるが、そうでない若手は年々増えている印象がある。
よく言われるように、多くのアパレルブランド、SPAブランドの企画担当者はOEM・ODMメーカーに丸投げで、彼らが持ってきたサンプルの中から気に入った物をチョイスするだけのセレクターになり果てている。


さてそんな中、先日、丸安毛糸の展示会にお邪魔した。
ここは糸の商社でありながら、展示会のディスプレイやPOPが秀逸なので何度か紹介している。

今回、こんなPOPを見つけた。
裏と表で色が違う「段ボール編み」についてである。
裏と表と生地を二枚貼り付けているようなものなので肉厚になるため、春夏向けにはちょっと厳しいかな?というのが個人的な印象である。
写真を見ていただきたい。

写真




かなりわかりやすく特徴が書かれてある。
この書き方だと素人にもわかりやすい。素人にわかりやすいということはプロにも当然わかるということである。
「裁断って何ですか?」と質問をするような素人同然の企画担当者にわからせるには、これくらいわかりやすく書く必要があるのではないだろうか。


ここまで初歩的なことを書けば笑う同業他社も当然現れるだろう。
しかし、別に同業他社と取り引きをするわけではないので、そんな物を過剰に気にする必要はない。



製造業者の知識の高さは十分に存じあげているので、今後は目線を下げる努力をなさってはいかがだろうか。
目線を下げるといってもブランド側の言いなりになることではなく、丸安毛糸の段ボール編みのような説明を心がけてみてはどうかという意味である。

素材関連企業もBtoCが必要

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 ファンシーヤーンの専門商社、丸安毛糸が2月20日から自社内で編物教室を開始する。
専門商社というくらいだから、メーカーではない。糸を作っているわけではない。商社機能である。

http://www.maruyasu-fil.co.jp/article/14689416.html

無題


(同社のイメージ図)

これまでBtoBの活動をされてこられた企業だが、さらに知名度を高め、ニット需要を創造するための取り組みであろう。
実は、昨年11月下旬に、丸安毛糸の大阪展示会を取材と称して訪問した後、ブレストという名の社内吞み会に参加させていただいた。
その際、丸安毛糸の岡崎社長が「もっと知名度を高めて、ニットを好きな人を増やすにはどうすれば良いか」と仰ったので、「自社内にあるニットラボで一般消費者向けのニット教室を始められてはどうですか?」と提案した。

ニット教室やワークショップにはそれなりの需要があると、筆者なりに考えていた。
現に、阪急百貨店うめだ本店の10階では、期間限定ショップが入れ替わり立ち替わりワークショップを開催している。阪神百貨店のレディースジーンズ売り場「ジーンズハウス」だって定期的に各種ワークショップを開催し始めている。
知り合いのデザイナーブランドが卸売りしている小規模専門店も毎月何らかのワークショップを開催しているとも聞く。

そんな事例を挙げながら提案した。
当初、岡崎社長はBtoCへの取り組みについてそれほど乗り気ではなかったような印象をお受けしたが、意見交換するうちにだんだんと乗り気になってこられたように感じた。

しかし、ここまでなら他の原料メーカーや生地産地でも良くある話だ。

その際、乗り気になっておられても後日、伺うと「あれはやっぱり当社では無理」というお返事をいただくことがほとんどである。感触でいうなら8割以上だろう。

そんなわけで、筆者も単なるブレストに終わるだろうと考えていた。

ところが、先日「ニット教室始めます」というお知らせをいただいた。
当然、筆者以外の方々の意見もお聞きになられた上での決断だろう。
それにしても動きが早い。構想わずかに2カ月である。

原料メーカーや生地産地の腰の重さに慣れている筆者は驚いた。
まさに即断即決である。

近年、丸安毛糸は業界の内外から急速に注目を集めている。その一端はこの動きの早さにあるだろう。


原料メーカーや産地企業にワークショップや生地小売りのようなBtoC事業を提案すると難色を示されることが多い。ロットは細かいし、売上高は小規模だからだ。大量受注大量生産の時代を覚えておられる方なら仕方がないとも思う。

けれども、今後何年間か待ち続けて、国内製造業にバブル期や高度経済成長時代のような大量受注が戻ってくるのだろうか。筆者は何十年待っていても戻ってくることはないと考えている。
ならば新しい事業を考えないと企業存続は難しい。

それに産地企業の方々がよく仰るのだが、「○○で有名な××産地だから」というようなことは産地側の幻想だと考えておいた方が実状に沿っているだろう。
消費者はそれほど生地産地に詳しいわけではない。雑誌やマスコミの影響もあるが、デニム生地だって「児島」で製造していると思っている人がほとんどなのである。
児島のメイン産業は洗い加工場で、あとは小規模な縫製工場が残っているに過ぎない。
デニム生地メーカーは皆無だ。

デニム生地メーカーが集積しているのは広島県福山市周辺と岡山県井原市である。
だが、一般消費者は「デニム生地の井原市」と言われてもピンとこない。
そんなものである。

だからこそ、ワークショップでも生地小売りでも、オリジナルグッズのネット通販でも何でも良いから一般消費者に直接接触できるBtoCが原料メーカー、素材関係会社でも必要だと考える。
何も某紡績や某合繊メーカーみたいに意味のわからないイメージだらけのテレビCMを流す必要はさらさらない。

そんなわけで、構想2カ月くらいで動く原料メーカーや産地企業が続々と現れていただきたいと切に願う。

原料展示も見せ方次第

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 先日、丸安毛糸の大阪展示会にお邪魔した。
もともとはウール系のファンシーヤーンを販売する会社だが、現在は一部、ニット製品のOEM生産も手掛けている。

通常、糸のメーカーや販売会社は、展示会自体をあまり行わないし、行ったとしても糸のみを展示しているにすぎない。その展示してある糸も染色されていない物が多く、白、生成り、薄グレーなど「地の色」だけしかない。
本来、生地メーカーの担当者はその糸を見て、自分たちが企画する生地をイメージできなくてはならないが、これはなかなか難しい。そこまでの経験と想像力の無い担当者も存在する。

丸安毛糸の展示会は、そういう通常の糸の展示会とは大きく異なる。
OEM生産も手掛けているので、製品サンプルが並んでいる。
これは他の糸メーカーには真似ができないので、参考にすることはできない。

糸メーカーに参考にしてもらいたいのはPOPである。
それから、各種の糸に数色ずつの色見本が付けられていることである。

以前にも書いたが、丸安毛糸の展示会POPは良くできている。

糸の成分や製造法ではなく、効果が端的に書かれている。
今回は2013年秋冬向けの糸だったので、暖かそうなウール系の糸が多かった。
今回のPOPでもっとも秀逸だと思ったのが、一言「あたたかいです」のみの物だ。
これにはさすがに度肝を抜かれたが、逆にシンプルでわかりやすいと感じる。もっとも、適切な文言が思い浮かばなかった上の苦し紛れかも知れないが。(笑)

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(あたたかいですとだけ書かれたPOP)



それと前回の春夏展同様の「売れ筋上位3位」までの表示。
売れ筋という有効な情報を提示することで、取り引き先からの信頼を得るとともに、売れ筋を集約することができる。取り引き先は「売れやすい」物を欲するのだから、「売れ筋」を提示すると自然とその商材に興味を示す。
「売れ筋ですよ」と聞けば、それが欲しくなる。
結果的に「売れ筋」はさらに売れ筋となり、売れ筋商品に受注を集約することができる。

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(売れ筋順位のPOP)



前回になかったPOPの取り組みとしては、POPに製作者の顔写真を貼ったことだ。
同社のPOPは社員で手分けして作成している。だから字体もバラバラである。
それぞれのPOPに製作者が存在しているわけだ。

POPに顔写真を入れるというのは、野菜の販売などでも見られる手法だ。
「このキャベツは○○さんが作りました」というあれと同じだ。
安心安全のトレーサビリティーというよりも、取り引き先に自社の社員を印象付ける有効な手段だと思う。
「へー、この人はキャッチコピーが上手いな」とか「この人は美人だけど字が下手だな」とか、見る人にいろんな感想を与える。その結果、関係性が深まる効果を狙ったものだろう。

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(製作者の顔写真付きのPOP)



これらのPOPという手法は糸メーカーのみならず、生地メーカーや副資材メーカーでも効果を発揮するのでぜひ取り入れてもらいたい。


また、各糸に数色ずつ見本色を着色するというのもコストはかかるが良い手段だろう。
白、生成り、薄グレーの糸ばかりを見せられてもなかなか生地へのイメージがわかない。
じゃあ、黒、オレンジ、ブルー、グリーン、赤などを着色した物を見せてもらえれば、生地メーカー側はイメージを固めやすくなる。
結果的に販売量が増える。
とくにデッドストック化した在庫の糸を消化するのに役立ちそうだ。
これも糸メーカーには参考になる手法ではないか。

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(着色した糸の色見本)


かねてから、糸メーカーや生地メーカーはもう少し見せ方を工夫すれば良いのではないかと考えていたが、丸安毛糸の見せ方は参考になる部分が大いにある。


展示会場でのデジャビュ

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 先日、某小規模アパレルの展示会にお邪魔した。
このアパレルの卸売り先は小型専門店が多い。
展示会を拝見した感想だが、迷走している小型専門店が多いと感じる。

展示会で多いのが「どの商品が売れ筋?」と尋ねる風景。
売れ筋情報を収集することは非常に重要である。
問題は次の言葉。「売れ筋の1位から5位まで仕入れるわ」。
で、この専門店は他のアパレルでも「売れ筋のみ」を仕入れる。
その結果、店はアパレル数社の「売れ筋の集合体」となる。

さて、この手の店が売れていると聞いたためしがない。
先ほどのアパレルに聞くと、「各社の売れ筋上位だけを集めている店はたいてい売れ行きが悪い」との答え。


生地の展示会にお邪魔することも多い。

いろいろなアパレルが商談をしている。
今度はアパレルが生地を仕入れる側である。
「どの生地が売れ筋?」
あれあれ?どこかで見たような光景が・・・・・・・・・(・∀・)

売れ筋情報を収集することは非常に重要である。
問題は次の言葉。「売れ筋の1位から5位まで仕入れるよ」。
デジャビュ・・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ

以下リフレイン。


まるっきり同じことが繰り返されている。
念のために付け加える。きちんとコンセプトを持って、自社のブランドを考慮して、しっかり商品計画を立てる専門店やアパレルも少なからず存在する。
けれども、先ほどのような企業もかなりの割合で存在する。

最近では、展示会で「売れ筋上位ランキング商品」をPOPにして貼り出す企業もある。
以前にもご紹介した丸安毛糸なんかはそうだ。
以前に掲載した写真を再掲載する。

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(丸安毛糸の売れ筋ランキングPOP)


このPOPの効果は絶大で、売れ筋上位に受注は集中するそうである。

先ほどの「売れ筋集合体」を企画するような企業はとくに、物を自分で判断せずに、売れ筋情報に判断基準を委ねているということになる。

ここで「売れ筋上位ランキング」POPの活用法を提案したい。

いっそのことランキング内にこっそりと自社が売りたい商品も忍ばせておいてはどうか。

「売れ筋集合体」を志向するような先は、結局「売れ筋」という安心材料が欲しいだけだろうし、各社の売れ筋ばかりを集めたところで売れない。


ハリウッド映画の大半が「全米ナンバーワンヒット」を称するようなもので、生地や素材メーカー、アパレルメーカーだってこの程度のプロモーションの術策を使っても良いのではないか。


まあ、しかし、「売れ筋集合体」を志向する小売り店やアパレルの多いこと。

売れ筋のみを集めるということは、他社と同じ物だけを扱っているということになってしまう。
そこで同質化が起きる。
同質化すると必ず価格競争が起きる。同じ物なら安いに越したことはない。
350ミリリットルで100円のコカコーラと、350ミリリットルで120円のコカコーラがあればどちらで買うかは明白である。わざわざ120円のコカコーラを買う人はよほどの物好きであろう。


そんなわけで、展示会場での「売れ筋ランキング」POPはかなり有効に活用できますヨ。
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