南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

ルメール

不採算デザイナーズブランドや別注品しか売れないセレクトショップは生き残れない

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 ユニクロアンドルメールは今春夏商品で終わるのだが、発展的解消だと発表されていた。
発展的解消というのは文字通りなら何かさらに大きな取り組みになると考えられるが、建前論的に使うなら単なる喧嘩別れでも使われる。芸能人のグループが解散するときは喧嘩別れでもこのフレーズが使用される。

そんなわけで最初は単なる契約終了なのではないかと勝手に想像していたが、今回は文字通りに発展的解消だったといえる。

ユニクロ・パリ、新ADにルメール氏
http://www.senken.co.jp/news/corporation/unqro-paris-lemaire-160609/

ユニクロはパリのR&D(リサーチ&デベロップメント)センターのアーティスティックディレクターにクリストフ・ルメール氏が就任したと発表した。就任を機にルメール氏が、パリのR&Dセンター発の新ラインとして手掛ける「ユニクロ・U」を今秋から全世界で発売する。

繊研新聞のこの記事がもっとも簡潔でもっともわかりやすい。

まさかルメール氏がユニクロのメンバーになるというのは意外だった。
そして彼が監修した新ライン「ユニクロ・U」が今秋物から発売される。

ルメール氏とはよほど相性が良かったのだろう。

これまでユニクロはジル・サンダー、アンダーカバーとデザイナーズコラボを行ってきた。
ジル・サンダーとは3年間も続いたが、それでもユニクロのメンバーになることはなかった。

腕とか技量とかさまざまな要因があるだろうが、こういうメンバーに加える加えないというのは、ひとえに人間同士の相性という部分がかなりの割合を占める。
一般的に腕が良くても相性が悪ければメンバーに迎えることはあまりない。

それにしてもこれはけっこうな大ニュースだと思う。

これに対して様々な意見がある。
例えば、ユニクロは内部のデザイナーや企画を育成できなかったのではないか? とか
どうせ通り一遍のベーシックアイテムに味付けをして終わるだろう とか

である。

これはその通りかもしれないが、今回のニュースの核心はそこではないと筆者は思う。

内部のデザイナーや企画が育成できなかったとしてもリストラの嵐が吹いている業界からは、続々とユニクロに入社する企画マンがいる。
企画マンだけではない。それ以外の部門でも大手アパレル出身者は多い。
以前に売り場で取材した人はワールド出身だった。
今後もユニクロは企画マンの補充には苦労しないだろう。

通り一遍のベーシックアイテムに味付けした程度でも問題ないのではないか。
そこまで「こだわった物」を求める消費者がどれだけ存在するのか。
そういうニッチ層への訴求をユニクロもルメールも考えてはいないだろう。
対象外の相手の言うことなど聞く必要はないのである。

個人的にはこれで、ますます小規模な不採算デザイナーズブランドは存続が難しくなったと感じる。

これまで「ユニクロは日用消耗品、ブランドはファッション」と言ってきたが、その「日用消耗品」が世界的デザイナーの知名度まで備えることになるからだ。
そしてなまじな不採算デザイナーズブランドよりも、ユニクロの通常ラインのほうが、これまでから使用素材・縫製仕様ともに品質が上だったのである。
しかし、自称「ファッション性の高さ」とか自称「高感度」とかで、なんとか彼らは自身の存在意義を保ってきたのである。筆者はあくまでも彼らの自称に過ぎないとみているけれど。

そこに「エルメス」という最高峰ブランドで活躍したデザイナーが加入するのである。
当然ながら消費者はそういう目で見る。
実際は味付け程度だったとしても「ファッション性の高さ」とか「高感度」が加わったと多くの人は感じる。
もしかしたら実際に発売される商品はそういう高感度な表情をしているかもしれない。
これで「ファッション性の高さ」とか「高感度」という逃げ道は完全にふさがれたといえる。

ユニクロと同じグローバル低価格SPAのH&Mは期間限定的にデザイナーズコラボを行っている。

規模は全くちがうが、イトーヨーカドーもデザイナーズコラボを開始した。
「セットプルミエ」での第1弾はゴルチエで、最近発表になった第2弾は高田賢三である。
イトーヨーカドーの「欠品させない」スタイルでデザイナーズアイテムを販売することはその効果を完全には発揮できない。最終的にゴルチエも投げ売りされており、これではブランドイメージを高めるどころかブランドイメージを損なうと思うのだが、それでも5年、10年と続けることができれば消費者にも少しずつ浸透するだろう。
そうなればイトーヨーカドーの衣料品のイメージは少しは好転する。
その前に「欠品させない」主義を撤廃すべきだと思うが。

ZARAはコラボをしていないが、ここはいわゆるコレクションブランドの完コピなので、毎シーズン、デザイナーとコラボしているともいえる。(笑)それは、まあ、一方的なコラボなのだが。

こう見てくると、今後ますます大規模な低価格ブランドとデザイナーズブランドやブランドとのコラボは増えると考えられる。

しまむらはデザイナーズとはコラボしていないが、ハリスツイードという素材ブランドとコラボしている。
ユニクロは今春、イギリスのリバティとコラボを行った。リバティプリントで有名なあのリバティだ。
さっそくリバティプリントのシャツを発売したが、定価3990円があっという間に1990円にまで値下げされており、その値下げ速度はルメールよりも速い。
一体何のためのコラボなのかと首を傾げたくなるが、ユニクロは今後、こういう素材ブランドとのコラボも行いますよという対外的なアピールにはなっただろう。

ユニクロはともかくとして、しまむら、イトーヨーカドーまでもが著名ブランドとコラボをしているご時世である。

コラボとダブルネームと別注品しかセールスポイントがないセレクトショップなんてどうするのかと思う。
要するに相手のふんどしで相撲を取っているだけであって、通常版だと売り切れる自信がないから、別注品とかダブルネームを要請するわけである。
「〇〇ブランドのグレーのコートはうちにしかありませんよ」というのがありきたりなセレクトショップの唯一のセールスポイントになっている。
売れたとしてもそれは〇〇ブランドの力がほとんどで、「〇〇ブランドのグレーのコート」」があるなら、そのセレクトショップではなく他社店舗でも消費者は構わない。

別注品しか能のないセレクトショップはそれだけ売る力に乏しいということを露呈しているだけであろう。

不採算なデザイナーズブランドや別注品しかセールスポイントがないセレクトショップは個人的には存在意義がなくなると思うし、生き残りが極度に難しくなることは容易に想像できる。













ユニクロ×ルメールのスリッポンを試着してみた

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 今日はお気楽に。
昨日、「ユニクロ アンド ルメール」のスリッポンシューズが発売された。
前評判が高い商品なので早速店頭に現物を見に行った。

向かったのはあべのキューズモール店。
さっそく、試着してみた。
筆者の足は幅広なので、ナイキ、アディダス、プーマなどのスニーカーは幅が狭く作られているので、いつも27・5センチを履いている。品番によっては28センチというのもある。

反対に、幅広の形の靴なら26センチでも履ける。
とくにスリッポンはヒモで大きさを調節できないので、できるだけピッタリのサイズを選ぶ必要がある。

で、控えめに26・5センチを履いてみようとしたのだが、履き口が小さくて入らない。
27センチを試してみたが入らない。

そこで28センチ(展開サイズで最大)を履いてみたら入った。
試しに27・5センチも履いてみたが無理だった。

かなり幅が狭く作られている。
足の形は個人差があるが、いつも履いている靴よりも1センチ前後大き目を選ぶのが良いのではないか。

試着した感想だが、シルエットはかなり細い。
スーツ向けの革靴と似たような感じであり、細身のパンツに合わせるのがもっとも良いだろう。
反対にワイドパンツにはボリュームが無さ過ぎて合わない。

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ソールはスニーカーにしては薄目だがクッション性は悪くない。
インソールが入っているためでもあるのだろう。

生地は綿100%オックスフォード素材なので、耐久性はあまり良くないと思う。
ガンガンとハードに履くのは寿命を縮めるのではないか。
かと言って高級レザーシューズほど丁寧に扱う必要もないが、スポーツメーカーのハイテクスニーカーのように履くと短命に終わりそうな気がする。

価格は2990円(税抜)なのでお手頃である。
カラーバリエーションは白と黒の2色。

ユニクロのオンラインストアを今朝覗くと、早速、黒の大きいサイズが完売している。
すごい人気である。
黒の26・5~28センチが完売である。
白の方は各サイズが残っている。

筆者も買うとすると黒になると思うが28センチが実店舗の店頭にいつまで残っているか。

ところで、あべのキューズモールのユニクロは昨日はレジがフル稼働し、それでも長蛇の列ができていた。ざっとみたところ40~50人は並んでいただろうか。
平日の午後だというのにすごい集客力である。

夜になって、某百貨店・専門店向けアパレルの役員の方から「今春も厳しい。店頭にもあまりお客が入っていない」というお知らせをいただいた。
耳にする範囲では、今春の商況はジャンルやテイスト、価格帯によってマダラ模様のようだが、「昨年秋冬よりはマシ」というブランドもある。

しかし、引き続き厳しいブランドも珍しくない。

ユニクロは営業減益(赤字転落ではなく黒字幅が減った)によって、「不振」「一人負け」などと報じられることが多いが、平日の午後に10台以上あるレジがフル稼働してそれでも50人前後が常に並び続ける状態にあるというのだから大した人気と言わねばならない。

個人的にもユニクロがかつてのような勢いで今後も売上高を伸ばし続けるとはまったく思わない。
売上高8000億円を越えているのだから最早飽和状態で国内売上高は良くて微増だろうし、微減くらいは当然だと思っている。

しかし、V字回復と持ち上げられているライトオンはピーク時売上高からはいまだに150億円マイナスである。
しまむらも回復しつつあるが、これから大幅成長が見込めるかというと厳しい。

かつて量販店、しまむら、ユニクロなどへ製品供給していた友人がしまむらについての危惧を漏らしていた。

昨秋、しまむらは保温ズボンを3900円で発売したところ大ヒットとなり、V字回復のきっかけを作った。

しまむらがかつて若い女性に受けたのは、「多品種小ロット」による商品の希少性である。
大量生産で「ユニバレ」「ユニ被り」が頻発するユニクロとは反対に、小ロットなので「しま被り」「しまバレ」はほとんどない。

今回、保温ズボンという大ヒットアイテムを作ったが、これはユニクロ方式で大量に生産している。
おそらく今秋も保温ズボンは重点的に販売するだろうし、実際の店頭でも売れるだろう。

けれども、かつてのしまむらが持っていた「良さ」というのはなくなり、ユニクロや他の量販店同様に「大ロット」方式になる。他の商品にも同じ方式を押しはめれば「しまバレ」「しま被り」が頻発するようになる。
その方向転換は果たして正しいのか?というのがその友人の危惧である。

それこそ「大ロット」の低価格ゾーンに埋没してしまわないか?

閑話休題

メディアでは「不振」と書きたてられているユニクロだが、平日の午後にレジに長蛇の列を作らせるほどの底力はまだ衰えていない。それを読み誤ると破綻が早まるのは他のアパレルの方ではないか。

ユニクロ vs しまむら(日経ビジネス人文庫)
月泉 博
日本経済新聞出版社
2009-11-03

 








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