南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

ラングラー

エドウインに対する懸念と期待

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 エドウインの2016年春夏展示会にお邪魔した。

今回の業界新聞的な目玉は、今秋冬からスタートしたEスタンダードの拡充と、ラングラーの高額商品復活だろう。

まず、Eスタンダード。
Eスタンダードは海外輸出も視野に入れた日本製ラインで、価格は8000~16000円くらいというリーズナブルな設定である。
16000円というのは相当に手の込んだ洗い加工を施した物に限られ、通常の加工商品品だと8000~1万円未満である。これなら欧米に輸出しても200ドル未満の販売価格を付けられ価格競争力がある。

写真 37





ここに新型のレギュラーテイパードという形を投入する。
また、ストレッチ性を強化した「ジャージーズ」と中空糸「ミラクルエア」を使った軽量速乾「クール」も投入する。
ちなみにここでいう「ジャージーズ」は以前から展開しているジャージーズとは別で、Eスタンダードのジャージーズラインである。
ちょっとややこしい。

このジャージーズのストレッチデニム生地はすごく伸縮性がある。
以前にカイタックファミリーの「360°ストレッチ」を紹介したことがあるが、それに匹敵する伸縮性である。

しかし、このEスタンダードには懸念がある。
品番数が多すぎるのではないかという懸念だ。
シルエットが細身から太めまで今回のスリムテイパードも含めて合計6型もある。
そこにジャージーズとクール、そして膝丈とクロップド丈。
合計で10品番あり、それぞれの品番に加工による濃淡の色番号がいくつかある。

これはちょっと選択肢が多すぎるのではないかと感じられる。

例えば、スリムテイパードとレギュラーテイパードとレギュラーストレートがある。
それぞれの太さの差異はほんの微細なもので、そこまでの微細な細分化が必要なのかと思うし、反対に消費者からしてもその区別はつきにくいのではないかと思う。

よほど気を付けて販売しないと選択肢の多さがかえってこの商品をスポイルすることになりかねない。
企画としては評価しているので、そうならないことを願うばかりだ。


一方のラングラーである。
10代後半~30代前半の若い消費者にとって、ラングラーは4900~5900円のどちらかというと低価格帯に属するブランドだと認識されているのではないか。

筆者のようなオッサン世代だとラングラーというのはリーバイスやリーと並ぶナショナルブランドだったという認識だが、それもあくまでも過去形である。

このラングラーで1万円前後の商品を復活させる。
こちらも日本製だ。

写真 17


写真 27


ラングラーブランドの日本における変遷をまとめると、かつてはラングラージャパンとして独立した企業だった。
それがVFジャパンへと名称変更し、その1年後にあっけなく解散してしまった。
99年とか2000年ごろのことだったと記憶している。
そして、エドウインの子会社であるリージャパンがラングラーブランドを管理することになって今に至る。

20年ほど前のことだが、筆者は当時のラングラーが好きで4本くらい所有していた。
13MWZという品番である。
ラングラージャパンの製品だった。

来春夏のラングラーの1万円前後の商品は、日本製で非常に手の込んだ洗い加工が施されている。
通常ならもう少し高額な価格設定になるが、エドウインでは「価格戦略商品」と位置付けている。
自社縫製工場ならではといえるだろう。

往年のラングラー好きとしてはぜひとも復活してもらいたい。

ところで、ラングラーの中にはもっと価格戦略商品がある。
日本製で5700円くらいのカラーパンツ類である。
これこそ自社縫製工場を所有するエドウインならではといえるのではないか。

写真77

(税抜5700円の日本製カラーパンツ)


「国内工場の維持」という命題になると、高額化という解答を導き出す企業やブランドが多い。
工賃を上昇させるためにはこれは正解の一つである。
しかし、個人的には日本製ブランドの方向性が「高額化一辺倒」になることに疑問を感じている。
高額化以外のモデルケースも必要ではないかと思う。

着物ほどではないにしろ、「日本製だからン万円」「日本製だからン十万円」という価格の商品ばかりになると、よほどのコアなマニア層しか日本製品を欲しがらなくなる。
それこそ着物のように「別世界」の商品という意識を持ってしまう。

そしてそのコアなマニア層だけで、すべてのブランドの経営が成り立つわけではない。
また富裕層を取り込むためには欧米のラグジュアリーブランドとの競合に晒される。
ステイタス性で比べてみても、宣伝販促の巧みさから見ても、国内ブランドではなかなか太刀打ちできない。
結果的に、日本製ブランドも少数の勝ち組と大多数の負け組に分かれるだろう。

だったら、特別な富裕層とマニア以外でも手の出しやすい価格帯の日本製品も必要ではないか。
その成功事例の一つは鎌倉シャツだろう。

エドウインのEスタンダード、ラングラーの価格戦略商品はそれに近い。

奇しくも価格破壊者として認識されているユニクロのジーンズがついに4990円まで値上がりした。
エドウインの日本製品との価格差が縮まっている。

90年代後半~2010年ごろまでのような圧倒的な価格差ではなくなっている。
長い年月を経て、再びジーンズは5000~8000円くらいの価格帯に集束されつつある。

エドウインには自家工場の利点を最大限に生かした「買いやすい価格帯の日本製品」という分野をぜひとも確立してもらいたい。









NBメーカーとOEM業者は同列ではない

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 先日、ジーンズカジュアルチェーン店「ライトオン」の下請法違反が発覚した。

内容については流通ニュースの図解がもっとも分かりやすいと思うので記しておく。

http://ryutsuu.biz/strategy/e090731.html

20120907riteon






違反内容は、衣料品等の下請け製造業者7名に対し、下請代金を1621万3730円を減額していた。

減額した理由は、利益を確保するため、下請業者に対し、下請代金の1年間の合計額が一定額以上となった場合、2010年9月にリベート分を差し引いていた。

さらに、店頭販売価格の引下げによる利益の減少分を補うため、下請業者に対し、値引きによる一部負担を要請し、2010年8月から2011年2月まで、下請代金の額から当該金額を差し引いていた。

この他、下請業者から納品後、2010年9月から2011年7月まで、販売期間が終了した在庫商品を下請業者に引き取らせていた。返品分の下請代金は下請業者11名に対し、総額1億2364万2360円だった。

返品時には、2010年9月から2011年7月までの間、下請業者に返品に係る送料を払わせたのが、下請業者8名に対し、総額279万5700円だった。

なお、ライトオンは下請業者に対し、2012年8月10日、提供させた金額を全額返還した。


とのことである。


これについて知り合いとも雑談をしたのだが、「NB(ナショナルブランド)メーカーと自社PBを扱うOEM業者とを同じように扱ったのではないか」という印象を受ける。

例えば、ジーンズのナショナルブランドは委託販売のような形態を採るので、期末の返品を「長年の商習慣」として引き受ける。

筆者も94年~96年までジーンズの販売員だったことがある。
当時、筆者の勤務していた各店では、今は亡き「ボブソン」と、今は亡きラングラージャパンの「ラングラー」の取扱量が多かった。あとリーバイスも販売していたが、これは全品買い取りだったようで期末での返品作業はなく、自店で値下げして売り切った。


さて、期末になると決まってボブソンとラングラーを大量返品する。
とくに季節商材は迷うことなく送り返す。コーデュロイなんてごっそり返品した。
その代わりに、春夏の立ち上がり時期にはライトオンスジーンズやレーヨンジーンズなどの商品が送られてきた。
ちなみに、これらの作業は筆者が独断で行ったのではなく、本社からの指示によるものだったことを付け加えておく。

ジーンズメーカー側も「ハイハイ、長年の習慣ですよ。本社から連絡いただいていますよ」という感じですんなりと受け取ってくれた。

ジーンズメーカー側が何故、返品を受け取ってくれたかというと、
1つは、NBだから他店への転売ができるからだ。

ボブソンもラングラーも日本全国で売っているため、1社から返品されても他社へ転売することが可能だ。
その際に少し値引きして転売するなら、他店では「セール用商品」が増えて喜ばれることもある。

次に、自社のファミリーセールで値下げ販売することも可能だからだ。
今ならアウトレットモールでの販売もできるが、この当時はそこまでアウトレットモールが建設されていなかったので、主な処分はファミリーセールだったのではないだろうか。


しかし、その会社のPBならこれは無理だ。
例えば「バックナンバー」「フラッシュリポート」などの商品をイオンやヨーカドーなどの量販店へ転売することはできない。
またOEM/ODM業者はアウトレットショップを出店していない。
さらに、彼らは在庫を持たないことを前提としているため、NBメーカーのようにファミリーセールを開催する習慣もない。

要するにOEM/ODM業者は処分する公式ルートがない。
残されているのは、闇の転バイヤーに二束三文で買い取ってもらうことくらいだろうか。


NBメーカーとOEM/ODM業者を同列に扱うことは絶対にダメである。


以前、某アパレルのファミリーセールで、某セレクトショップのタグが付いたポロシャツを見かけたことがあるが、これなどは、アパレルがセレクトショップのOEM生産を引き受けたものの、セレクトショップがナンヤカンヤと言って返品した物だろう。定価6800円のポロシャツが500円に値引きされて会場で販売されていたことを覚えている。


ただ、この某アパレルは自社のブランドもそれなりに持っているので、返品されてもファミリーセールで処分することができたが、OEM業者ではそうはいかない。


今回の1件はアパレル業界全体から見ればほんの氷山の一角だと思う。
似たような話はあちこちで耳にする。ただ、規模が小さいから発覚していない件も多いだろう。


今年3月末にはマックハウスも下請法違反で勧告を受けている。
http://ryutsuu.biz/strategy/d033140.html

ジーンズ業界を含むアパレル業界はもう少し、商道徳への意識を高める必要があるのではないか。





エドウインが米国法人を設立へ

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 1月13日付けの繊研新聞にエドウインが3月をめどに米国法人を設立するという記事が掲載されている。

あのジーンズのエドウインが米ロサンゼルスにエドウインUSAを設立し、現地でジーンズの生産を開始するという。
今回のエドウインの米国法人設立は、
先日、このブログでも書いたことがある、大手洗い加工場の豊和の米国工場設立が大きく影響している。

新聞の記事中にも「同社の取り引き先である豊和がロサンゼルスの加工場デニムテックを買収し、米国生産の仕組みができた」と説明されている。

もともとジーンズの大手専業メーカー各社は、それぞれ決まった洗い加工場とほぼ専属的に取り引きを行っていた経緯がある。

2000年ごろまでは、エドウインは豊和、リーバイスは西江デニム、ビッグジョンは吉田染工、ボブソンは晃立、ラングラーは共和という図式だった。
ちなみにドミンゴの洗い加工も豊和が行っている。

このうち、ラングラージャパンが展開していたラングラーだが、ラングラージャパンがVFジャパンに組織改編され、そのVFジャパンが解散したことで、ラングラーブランドのライセンスは、エドウインの子会社であるリージャパンが獲得した。
このため、現在のラングラーブランドの洗い加工は共和が担当していない。

共和そのものは2009年9月に事業を停止し破産申請している。

エドウインは、現在、子会社リージャパンを通じて「リー」と「ラングラー」という2つの伝統的なジーンズブランドを所有していることになる。


閑話休題

さて、記事によると「カイハラが米綿を使用してデニム生地を日本で製造し、米国に輸出する。米国での生産をデニムテック(新社名ホーワ・デニムテックUSA)に委託し、(中略)、販売はエドウインUSAが、セールスレップ(販売代行)を通じて行う」とある。

製品は「エドウイン」ブランドとして販売し、価格は未定だが1本100ドル以上の高級品市場を開拓するという。

この記事から推察すると米国では100ドル以上のジーンズは高級品と認識されているようだ。
しかし、100ドルというと今の為替で換算すると8000円弱ということになる。
1ドル100円で換算しても10000円である。

日本だと8000円弱のジーンズは高級品ではなく、中級品扱いである。
やはり、ジーンズ=作業着という認識の強い米国では、100ドル以上のジーンズは「高級品」なのだろうか?

しかし、まあ、何とかの一つ覚えみたいに「アジア、アジア」という報道ばかりでいささかうんざりしていたところなので、このエドウインの米国法人設立は興味深い。
エドウインには、ぜひとも米国市場で成功してもらいたい。



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