南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

マクドナルド

シェイクシャックはマクドナルドと比較すべき対象ではない

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 日本のメディアではけっこうあることだが、まったく比較対象にならないものを比較してしまう。

「第二のスタバ」みたいに持て囃したブルーボトルコーヒーの扱いが正直疑問だったし、先月、上陸したシェイクシャックバーガーに対する扱い方も異様だ。

ファッション系ウェブメディアがトップ記事で扱っているのはなんだかなあという感じである。
衣料品のニュースよりも飲食の方が閲覧者数を集めやすいからだという。
衣料品への興味は本当に薄れてしまっているのだと感じる。

ファッション系ウェブメディアは置いておいて、ある経済系のメディアまでもがシェイクシャックバーガーを「マクドキラー」だと持ち上げていた。
え?全然企業規模が違うんだけど?


マクドナルドは全世界で3万店くらいある。
日本には3000店弱ある。


一方シェイクシャックは全世界で70店強。
2020年までに日本に10店舗を出展する計画だそうだ。


3万店VS70店
3000店VS10店(5年後)

である。

同じハンバーガーという形態の食べ物を提供しているとはいえ、企業規模が違い過ぎて比較対象にはなりえない。








筆者はハンバーガーという食べ物にはまったく興味はないが、ちらっと調べてみると、企業規模以外にもマクドナルドとシェイクシャックではまったくコンセプトも価格設定も異なる。
シェイクシャックは「オーガニック食材を云々した」というまことにめんどくさいコンセプトが立てられている。
人の好みは好き好きだが、個人的には「オーガニックが云々」と謳われた飲食物はめんどくさいので好きではない。
利用することは一生ないと思う。


価格は、近年、マクドナルドも上昇傾向にあるがシェイクシャックはそれ以上に高額である。
バーガー単品が700円弱もする。
セットだと1000円を越える。

100円マックが存在するマクドナルドとはまったくターゲットとする消費者層が異なることがわかる。

オーガニック云々のイシキタカイ系の人はもとからマクドは利用しなかっただろうし、シェイクシャックがマクドの顧客を大量に奪うことは考えにくい。

低価格(近年、低価格ではなくなってきたが)のマクドナルドの存在をベースにしながら、それへの反発のある層を取り込むニッチ業態がシェイクシャックだといえる。
逆にいえば、マクドナルドが存在しなければ生まれえなかった業態ともいえる。

こう考えるとシェイクシャックがマクドナルドを殺すことはあり得ない。
むしろマクドナルドが存在し続けた方がシェイクシャックの存在意義がより鮮明になる。

ならば「キラー」というよりは「棲み分け共存」するのではないか。

衣料品で例えるなら、ユニクロとジョンブル、ユニクロとキャピタルを比べるようなものだろう。
企業規模も顧客ターゲットも価格帯も違い過ぎて比較する意味がない。


こういう無意味な企業比較は却ってミスリードするだけではないかと思う。





低価格品に集まるのは低価格が好きなお客

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 洋服の販売職を何度か経験したことがあるが、どれも低価格店ばかりである。
低価格店に来るお客は低価格品が欲しいと思っている場合がほとんどで、もし仮に店内に高価格品があったとしても滅多に売れるものではない。
これは何度も体感した経験である。

そういえば、つい先日も「3枚300円」の婦人下着のワゴン販売を行っていたところ、9枚をレジに持ってきたお客がいた。当然、こちらとしては900円になることを伝えたが、そのお客は酷くびっくりした様子で、「え?じゃあ3枚にする」と言って6枚をキャンセルした。
どうやら「3枚100円」だと勘違いしたようだ。

ちなみにこの3枚300円の商品は売れ残り在庫品を安く引き取ったとはいえ、ナショナルブランドの製品であり、1枚100円というのは破格値なのである。

それでも「3枚100円」を求めているお客からすると「高すぎる」と言う風に映るわけである。

売れない在庫品はどこかで値下げして売り切ってしまう必要がある。
いわゆる「損切り」というやつだ。
また、安売り品は集客の目玉にもなる。

だからセール品の存在は悪ではないが、それだけに頼り切るというのも危険である。
低価格で集まるお客は低価格が好きなお客であり、無料品に集まるお客は無料品が好きなお客である。
低価格店での販売を何件か経験した筆者からするとこれは事実である。


低価格品で集めたお客に高価格品を売るというのは至難の業である。
990円のカットソーがメイン商材の店で、20,000円のジーンズが売れるだろうか。
せいぜい売れても数千円のジーンズだろう。
ユニクロで30,000円のカシミヤセーターを売ることは不可能に近いだろう。

これと同じことをやって失敗したのが外食で言うならマクドナルドである。
100円マックで集めたお客に700円以上もするようなセットメニューを売ろうとしてきた。
100円マックで集まったお客は100円の商品が欲しい人たちであり、これに700円以上するような商品を売ろうとする方が無謀である。失敗しても当然である。

2月5日に発表された日本マクドナルドの2014年通期連結決算で、過去最大となる218億円の当期損失が計上された。
また1月度の月次売上高は前年同月比で38・6%減という落ち込みとなった。

この数年のマクドナルドの不振の大きな要因の一つには、低価格品で集めたお客に高価格品を売ろうとしたことがあると考えている。

昨日の東洋経済オンラインの記事は分析が妥当だと感じる。


マクドナルド「赤字218億円」、失敗の本質
食のトレンドに"置いてきぼり"にされた
http://toyokeizai.net/articles/-/59863

結論では食の安全、健康志向、ローカル志向にマクドナルドが気付いていなかったということが指摘されているのだが、その前段では

マクドナルド失墜の原因は、性急すぎたFC化と短期的なマーケティング施策の失敗に求めることができると考えている。

(中略)

ところで、2013年まで日本マクドナルドのCEOを務めていた原田泳幸氏(現在は取締役会長)が、就任後にリリースしてきた“新商品”は、基本的に米国やグローバルで成功したものの焼き直しが中心だった。具体的には、「メガマック」「100円コーヒー」「えびフィレオ」などである。いずれもそれなりにヒットはしたが、いずれも米国やグローバルでの成功事例をコピーして日本市場に投入したにすぎない。

商品アイデアからプロモーションのやり方に至るまで、あまりにも米国本社に頼りすぎていたツケが回ってきた。日本人の消費者が求めている日本発のメニュー開発を怠ってしまったのである。長期的な低迷の原因は、日本を起点としたイノベーションの不足にあったのではないか。

一時的には業績をV字回復させた原田氏ではあったが、結局は、マクドナルドという重症患者に対して、10年間の「延命の機会」を与えたにすぎなかったのかもしれない。


と指摘しており、この指摘は正しいと感じる。


繊維・衣料品業界でも低価格品で集めたお客に高価格品を売ろうとしている店、ブランドが多数ある。
いずれも考え違いをしている。
低価格品の売り出しを告知すれば、今までよりも確実に多数のお客が集まる。
しかし、そのお客は低価格品が好きなお客であり、本来店側が売りたいと考えている高価格品が欲しいお客ではない。

ファストファッションブームがピークだった2009年か2010年ごろ、新規オープンした店で、某ナショナルブランドのジーンズを無料配布したチェーン店があった。
この店は2年ほどで閉店撤退したが、これなどは考え違いの最たる例だろう。

なるほど、当日、お客は集まっただろうし、それなりにマスコミの話題にもなった。
しかし、それで終わりだ。
集まったのは無料が好きなお客だし、マスコミの報道はこれっきりである。
無料が好きなお客が有料で、しかも高額商品を買うはずがない。低価格品ならまだしも。


そこそこの規模のチェーン店ですら、こうなるのだから、小資本の個店でこういう販促手法を採ればどうなるかは火を見るより明らかだろう。


衣料品・雑貨は、食品とは異なり、一度買ってしまえばかなりの年数耐久する。
そういう耐久品を毎シーズン買ってもらうためにはどうすれば良いのか?
どういう店作りが良いのか?
どういう顧客作りをすれば良いのか?
と考えれば各店でおのずと見えてくる部分があるのではないか。


売れないから値引きする。
値引き販売はもう限界だから、使用素材の品質を下げて、縫製・加工工賃を叩くことで原価率を下げて、自社の利益のみを確保するという手法が主流となっているが、この手法では各工程が疲弊するばかりである。
そして各工程の疲弊はそろそろピークに達しようとしている。


低価格で集めたお客は低価格が好きなお客だという前提に立ってブランド作り、店作りをしないといつまでも「仮想敵はユニクロ」という状態から脱却できないのではなか。

グローバル戦略はローカライズ戦略と一体で

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 日本マクドナルドが苦戦を続けている。
もちろん、金額ベースではすぐさま経営危機に陥るレベルではないが、前年割れを続けておりまったく勢いはない。
打ち出す方針も「60秒無料キャンペーン」や「ポテトホルダープレゼント」などピントのズレたものが多い。

この背景を的確に分析した記事があるのでご紹介したい。

マクドナルドは復活するか - 大西 宏
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130409-00010001-agora-bus_all

おそらく原田社長の「日本のマクドナルドは世界の中で利益率が低く、米国本社から利益を底上げするようプレッシャーをかけられていた。このためリピーターを増やせるビッグマックの販売を強化して、運営コストのかかる季節限定商品をやめた」という発言が本当のところかもしれません。
マクドナルド原田社長「不評を買い続けたここ最近の施策は、米国本社からのプレッシャーによるもの」


とある。
実際、いくつもの紙面で原田社長は米国本社の圧力をにわかに語り始めるようになっている。

事実が発言が通りだとすると、米国本社は日本市場をあまり理解していないということになる。

それについて、記事ではこう指摘しておられる。

もし日本マクドナルドの失速が、米国本社からの圧力が原因となった迷走の結果だとすると、そこには非常に大きな教訓があります。グローバル化といっても、それぞれの国の市場に適応してこそ、ビジネスはうまくいきます。つまりグローバル戦略にはローカライズの戦略が表裏一体となっているということです。

米国市場のように「ボリュームと価格」で評価する顧客を多く抱えた市場と、「ボリュームと美味しさと価格」で評価する市場では自ずと戦略は異なってきます。しかも、比較的棲み分けができている米国市場と、いまだに激しい競争が行われている外食業界、しかもコンビニエンスという他業界との競争にも晒されている日本市場をマクドナルド本社が切り分けて考えられないとすれば、おのずと限界がでてきます。



とのことである。


このローカライズという考え方はすべての分野に当てはまる。
日本国内の錚々たる百貨店アパレルは10年以上前から中国に進出しているが、各社とも惨憺たる有様だ。
一方、あまり注目されていないがハニーズは600店舗以上を展開するようになっている。
これはローカライズができたかそうでないかと言う部分が大きいのではないか。

欧米企業だって日本市場にローカライズできずにテスコとカルフールは撤退している。
西友を傘下に収めたウォルマートも長い時間を費やしている割にはほとんど効果が上がっていない。

さて、今月はH&Mが関西に3店舗を連続出店し、フォーエバー21が初の関西出店を果たした。
取材で見ていると、欧米SPAも日本へのローカライズはブランドによって格差があると感じる。

GAPジャパンだが、最近は新店内覧会も開催しないし業界紙・経済誌への取材対応もほとんどない。
しかし、商品を見る限りは90年代の上陸当初に比べるとサイズやシルエットはずいぶんと日本市場に対応している。上陸当初の数年間はサイズは大きいし、洗濯すれば異様に縮む素材使いがあったりして、ちょっと使いづらいブランドという印象だった。

H&Mは取材対応は、これまで非常に丁寧だし、何よりもジャパン社がある。
H&Mには欲しい服があまりないのでいまだに商品は購入したことがない。そのためシルエットやサイズ感はわからないが、あまり不都合は聞いたことがない。

フォーエバー21は初めて取材したが、ジャパン社がない点や取材対応、店作りを見る限りはあまり日本市場にローカライズしていないように見える。
とはいえ、国内で13店舗も展開しているのでそれなりに支持はされているのかもしれないが、筆者個人には低価格以上の魅力は今のところ感じられない。

日本企業が海外市場で失敗するのも、欧米企業が日本市場で失敗するのもローカライズできたかそうでないかという部分が大きいのだろう。
今をときめくグローバルSPAだが、何社が日本市場に適合でき、何社が適合できずに撤退もしくは衰退するのだろうか。
あと数年はじっくり観察したい。

定価で買うお客がさらに減るのではないか?

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 ユニクロがモバイル会員を開始した。
携帯で登録すると、指定された日時だけに使える割引クーポンが不定期に届くというものである。
オンラインショップでは使えず実店舗のみだ。

だから店頭を覗くとときどき「今の時間、モバイル会員様は500円オフになります」というような看板が出されていることがある。
いわば「タイムセール」である。
クロスカンパニーやワールドのブランドのようにショッピングモール内のテナントで、販売員が「タイムセールスですよー!!」と声を張り上げるのか、携帯電話にクーポンが届くのかの違いだけである。

プラスの効果としては、これを機会に店頭に足を運んでくれるお客が増えることが期待できる。
しかし、マイナスの効果もあるのではないだろうか。

それは「定価で買ってくれるお客がさらに減る」ということである。
これまでからもユニクロのお客の大部分は、土日祝日に行われる「週末値引き」時に購入していたと考えられる。
あとは、店頭入荷から一定期間が経過して「値下がり」した商品の購入比率が高いだろう。

定価で買うお客も当然存在する。

出張が長引いたため、急きょ、着替えの下着や靴下が必要となった人。
明日、何か作業をしなくてはならなくなったので、その作業着用に買う人。
今着用している服がアクシデントのため破れたので、買い変える必要がある人。

などというお客が主体だと推測する。

もちろん過去には例外はあった。
ヒートテックブームの頃は、ヒートテックがほとんど値引きされたことがなかったので、定価で買う人が続出した。
+Jのスタート時は定価で買うお客が多かった。ただし次シーズンからの定価購入客は減り、週末値下げもしくは恒常的値下げになってから動いたのが実情である。

平日のモバイルクーポンを導入したことで、さらに定価で買うお客は減少すると考えられる。

傍から見ていて、この動きは2000年前後のマクドナルドを思い出す。
58円バーガーや80円バーガーを販売しており、低価格志向を極度に強めていたころである。

その後、創業以来の赤字に陥り、価格を吊り上げる戦略へと転換する。
しかし、高価格戦略にも今年は限界が見えたようで、270円・280円牛丼に対抗するメニューを考案せざるを得なくなっている。

価格の問題というのは非常に難しい。

高価格化は必要だがいつまでも伸び続けるはずもなく、270円・280円牛丼に対抗する施策の発表に迫られる。
かと言って270円・280円牛丼が好調かというとそうでもなく、定期的に250円や240円に値引きしているが、20~30円程度の値引きでは客数が増えなくなっている。

冷静に考えてみて、380円の牛丼が280円になるとお得感が湧くが、280円の牛丼が250円に下がったからといって、同じようなお得感が湧くだろうか?
そりゃ多少のお得感はあるだろうが、「劇的に下がった」とは感じられないはずだ。
30円下がったからと言って、大喜びする消費者はほとんどいないだろう。


タイムセールや週末値引きを頻繁にしつつ、定価で買わせるためには1品番あたりの生産枚数を減らして、売り切り御免の形を取らないと無理である。
「今、買わないともう入荷しませんよ」というスタイルでないと、だれもわざわざ定価では買わない。
店頭に山積みになっているなら、値引きされるまでじっくり待っていれば良い。どうせ売り切れることはないのだから。

となると、たっぷりと商品を山積みにして「欠品させません」というユニクロのスタイルは、「セールを頻繁に行うが、定価でもそれなりの人数に買ってもらう」という販売スタイルにもっとも適していないということになる。


今後、それなりの対応策で切り抜けるとは思うが、もしかするとユニクロというブランドが飽和点に達したことが顕在化したのかもしれない。


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