南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

ハリスツイード

ダイソーで洗濯ネットを買うついでにハリスツイード雑貨を見てきた

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 はてなブックマーク - ダイソーで洗濯ネットを買うついでにハリスツイード雑貨を見てきた
 先日、洗濯ネットを買おうとダイソーへ行ったら、ポーチに続いてハリスツイード使いの手袋が販売されていた。価格は900円。500~600円のポーチより高くてダイソーの中ではトップクラスに高い商品となっている。

ちなみに離婚してから(されて?から)丸3年間、洗濯ネットがない生活を送っていたが、洗濯での衣類の傷みを軽減するためにやはり洗濯ネットは必要だと強く感じていた。

スーパー万代で洗濯ネットを見ると、250円くらいの価格が付けられている。
250円でも良いのだが、念のためにダイソーを調べると100円で売られていた。
しかも万代だと目の粗いネットしかなかったが、ダイソーは目の細かいのと目の粗いのの両方がそろっている。

クリーニング店、クリーニングビーを経営する壁下陽一氏から、買い終わったときにTwitterで「目の細かい方を買うべきですよ」とアドバイスをいただいたが、こういうのは買う前に聞きたかったと思う。(笑)

幸いにもアドバイスなしで目の細かい方を買っていたので、我ながら家事力がアップしていることに気が付いた。

万代で250円、ダイソーで100円なら、絶対に安い方で買う。
万代の洗濯ネットに特別な機能が付いているなら話は別だが、普通の洗濯ネットなら、人は絶対に安い方のダイソーで買う。
それが自然な消費行動であり、安い方を買うことは、特別な商品、特別な機能、特別なサービスをすること以外では押しとどめることは不可能である。

それはさておき。

ダイソーのハリスツイード攻勢はまだまだ続いている。

このブログでも書いたが、ダイソーがなぜハリスツイードを使った商品を安く販売できるかというと、生地の使用量が少ないからである。
例えば1メートル2000円の生地でも1個あたりに10センチしか使わなければ、1個当たりの生地代は200円で済む。そういうことである。

これをもう少し説明した記事がある。

しまむらやダイソーでも売っている…ハリスツイードって安いものだったの?!
http://topseller.style/archives/1272

メンズのジャケットの要尺は150㎝巾なら170~200㎝くらいです。
つまりケチっても150㎝×170㎝のハリスツイードの生地を使用してます。
面積出しましょう、
150×170=25500平方センチメートルです。
 
ダイソーのハリスツイードの商品は
手のひらサイズのがま口から大きめのポーチまで大小様々ですが、ざっくり均すと12㎝×10㎝くらいで1個作ってる感じがします。
同じく面積出しましょう、
120平方センチメートルです。
 
ジャケット1着分の生地で中心価格500円のダイソーハリスツイードは何個できますか?
25500÷120=212.5個
ざっくり計算なので200個としましょう。
500円×200個=10万円
 
ですが
メンズのハリスツイードのジャケット、
10万円してますか?
 
SHIPSで4万3000円
NEWYORKER BY KEITA MARUYAMAで6万9000円
CIVILIZEDで7万5000円
でした。
 
かなりざっくりな計算をしましたが
決してアパレルブランドがぼったくっていた訳ではないことが分かりますでしょうか。

とのことで、こういうことである。

個人的にはシップスの価格設定が低くて大丈夫だろうかと思ってしまう。(笑)

あと、どうでもよいことだが、しまむらもハリスツイードのリュックやスニーカーを販売していた。スニーカーはかかとの外側部分にハリスツイードラベルがデカデカと貼り付けられていたのだが、先日、それを履いている若い女性を電車の中で見かけたが、かかとの外側にデカいラベルが貼り付けられているのは、店頭に並んでいる状態よりもダサく見えた。(笑)

カシミヤニットやダウンジャケットも安い商品が定着しているが、安い商品は安く製造販売できるように工夫がされている。

1、製造量がケタ外れに大きい。いわゆるスケールメリットで1個あたりの製造代を下げている
2、原料の使用量が少ない
3、不要な中間マージンをできるだけ削減している
4、原料の等級が最上級、上級ではない(決して粗悪品ではない)

だいたいこんなところだろうか。

例えば、ウルトラライトダウンをはじめとする各社の軽量ダウンは、1と2の要素が大きいだろう。
もちろん4も当てはまる。

3は一概には言えない。低価格品を実現するために仲介料などの新たなマージンが発生している場合がある(笑)。

カシミヤニットだって、カシミヤの使用量を減らしてめちゃくちゃ薄い生地にすれば、理論的にはもっと低価格で商品を製造販売することが可能である。

こういう工夫を凝らすことで、これまで「高級」とされてきた素材を低価格で販売することが可能になる。
じゃあ、高級とされてきた素材を使った商品を、高級なままで売りたいブランドやショップは何か工夫を凝らしているのだろうか?

十年一日のごとく「この風合いガー」「本物ガー」「職人ガー」と言い続けているだけではないのか?

そこを見直すことなしに「今の消費者は違いがわからない」と嘆いても無駄であろう。だって、違いがわかるように説明していないし、見せてもいないから。

昨日も書いたが、着物業界もファッション業界も同じで「今までのままでもっと売れたい」というのは単なるワガママでしかない。
もっと売りたいなら、商品づくり・売り方・見せ方を工夫すべきだろう。

それにしても最近、洋服を買ってもあんまりうれしいとは思わなくなってきた。筆者自身の業界での勤続疲労だろう。あまり感動もワクワクも衣料品に対しては感じなくなってきた。
もう一つは老化だろう。心身ともに老化が進んでいる。

実は洗濯ネットが手に入ったことの方が予想以上に喜びが大きい。

老化が進む筆者にとって、「ものすごくほしい」「どうしても手に入れたい」と思えるような商材は洋服以外もなくなりつつある。ガンプラだって切実に欲しいわけではない。製造中止になった品番を高値で競り落とすほどの情熱もない。なかったらないなりに過ごせる。

もしかしたら、世間一般もそういう心持ち(老化という意味ではなく)なのではないかとも思う。
切実に欲しい物がない、周りにある商品もそれなりのクオリティと機能性がある、なければないなりに生活に支障がない、こういうところが消費不振につながっているのではないかと思う。











「使用素材」や「製造方法」だけに頼った売り方では通用しない時代

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 はてなブックマーク - 「使用素材」や「製造方法」だけに頼った売り方では通用しない時代
 固定客、ロイヤルカスタマーを獲得できているアパレル企業、ブランドは別として、これまで通り一遍の「素材」や「製法」の打ち出しだけで価値を演出してきたアパレル企業、ブランドは取り巻く状況が年々厳しさが増している。

例えば、先日のファーストリテイリングと島精機製作所による合弁会社設立である。
これによって「ホールガーメント」という「製法」だけで商品価値をアピールしていたブランドは軒並み苦戦することになるだろう。

また、ハリスツイードの雑貨がついにダイソーにも登場した。

ダイソーにあの「ハリスツイード」がついに登場しました!~お値段もお手頃価格で手に入りやすい~
http://more.hpplus.jp/morehapi/article/sachiko/fashion_news/16138?page=1

キーケースや財布などサイズの小さな雑貨に限定されているようで、価格は500円だという。

ハリスツイードは、しまむらでも靴やバッグなどの雑貨に使用されて、にわかに大衆感が急上昇していたが、このダイソーとの取り組みはそれを極限まで推し進めることになってしまうだろう。

もちろん、高額なハリスツイード商品とは異なるし、何よりも小サイズ雑貨(ダイソーの場合)や靴やバッグ(しまむらの場合)での取り組みだから生地の使用量(用尺)は少ない。それゆえに価格も抑えられるのだが、一般消費者にはそんなことは知られていない。
あの高額な商品もダイソーの財布も「同じハリスツイード」として映ってしまう。

だから、「単にハリスツイードだから」という理由だけで高額な値段をつけていたブランドや、そういう売り方しかできなかった店の商品は軒並み売れにくくなるだろう。

別に客は「ハリスツイード」という生地を買いに来ているわけではない。
店やブランドのファンだったり、製品のデザインやコーディネイト提案などに惹かれるのが購入動機となる。
ハリスツイードという生地ブランドは最後にそれを後押しする要素である。

そういう売り方をしているブランドや店の影響は軽微だろうが、逆に「ハリスツイード」を前面に打ち出して「とにかくハリスツイードだからイケてるんですよ」なんて売り方をする店やブランドはダイソーの使用でとどめを刺されるのではないか。

カイハラデニムだって同じだ。
もちろんカイハラが製造するデニム生地にもグレードがピンキリである。
厚さだとか色合いもさまざまあり、ブルーだけで数百種類がある。

しかし、一般消費者にはそんなことはあまり知られていない。
「カイハラデニムだから良いんです」なんて売り方しかできない店やブランドは、ユニクロに脅かされるのは当然だろう。

コーンデニムだってGAPやグローバルワークに並んでいるし、しかも期末に投げ売りされる。

「コーンデニム使用」ということだけを前面に打ち出しているブランドでは売れなくなるのは当たり前である。

カシミヤだって同じだ。
グレードはピンキリだし、製品の良し悪しもピンキリだが、それでも「カシミヤだから良いんです」としか言えないようなブランドや店はユニクロやらGMSやらの製品と比較されてしまうことになる。

ダウンジャケットしかりである。


すべての製品はコモディティ化する。衣料品も例外ではない。

まだまだ素材ブランドは残っている。クールマックスだとかコーデュラナイロンだとかゴアテックスだとか。
しかし、いずれはコモディティ化すると考えておいたほうが良いのではないだろうか。

「コモディティ化反対」とか「ファストファッション不買」とかそんなキャンペーンをいくらやったって無意味である。
自動車もテレビも冷蔵庫も洗濯機もパソコンもスマホもすべてコモディティ化して大衆に普及した。
どれもこれも開発当時に比べると販売価格は何分の1にまで低下している。

なぜ、衣料品だけが例外に成りうると考えられるのか、その思考方法がまったく間違っている。

コモディティ化に巻き込まれないためには、ブランドなり店なりがロイヤルカスタマーを作るほかない。
その手法は千差万別だろう。それぞれのブランドや店に適した手法があるはずだ。

その手法は何なのかを各社・各ブランド・各店舗が考える必要がある。

もう「素材」や「製法」だけに頼った売り方は通用しない。
ダイソーのハリスツイード雑貨はそのことを象徴しているのではないか。












ブランド頼みの小規模専門店は確実に消える

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 はてなブックマーク - ブランド頼みの小規模専門店は確実に消える
 その昔、といっても10年ぐらい前までは「このブランドを並べていたら確実に売れる」という鉄板ブランドがあった。今もいくつかはそういうブランドは残っているが、かなり少なくなった。
多くの小売店はそういうブランドに今も頼ろうとしている。
たしかに衣料品不振だし、トレンドはあまり変わらないから売る側として何かに縋りたくなる気持ちもわかる。

しかし、そういう「鉄板ブランド」は今後ますます減るだろう。
とくに小規模な小売店はそういうブランド頼みの姿勢では市場から完全に淘汰されてしまうのではないか。

先日、心斎橋筋商店街をブラっとしているときに、ふと「スピンズ」の店の前を通った。
スピンズはヤング向けの低価格カジュアルSPAで、全国に20店舗強を展開している。
テイストとターゲット、中心価格帯はウィゴーと近い。
一説にはウィゴーと激しい競争を繰り広げているといわれているが、企業規模でいえばウィゴーの方がはるかに大きい。ウィゴーは売上高200億円を突破している。

それはさておき。

これまでスピンズの店頭で「有名ブランド」を押していることはあまりなかったが、今春はこれまでと異なる打ち出しに着手したようだ。
店頭で「ナイキ」「ニューバランス」「ラルフローレン」などを大々的に打ち出していたのである。

FullSizeRender



これには驚いた。
なぜなら、昨年くらいから「しまむらでラルフローレンのリュックが販売されている」と話題になったからだ。

出会えたら超ラッキー!?しまむらの一部店舗でラルフローレンの商品を販売中
http://spotlight-media.jp/article/142264526251662714



人気ブランド「ラルフローレン」のアイテムはこれまで、並行輸入もある程度厳しく取り締まられ、百貨店や専門店以外の低価格店で見ることはあまりなかった。
90年代後半まではけっこう某ジーンズチェーン店で3900円で売られていたりしたが、コピー商品だったことが露見したりして、その当時は大きな話題となった。
某報道特集番組でも取り上げられたほどである。

それ以降は低価格店での扱いはあまり見かけなかったが、それが変わりつつあるということだろうか。

しかし、低価格店でも「ラルフローレン」を扱い始めたということは、大規模な直営店やオンリーショップはまだしも、小規模な専門店では売れにくくなるということである。

「ラルフローレン」に限らず、ブランド頼みの小規模専門店はますます苦戦することになるだろう。

かつて一世を風靡した「エヴィスジーンズ」も昨年夏からライトオンでの取り扱いを始めている。
価格は12000~13000円くらいなので本体よりも少し割安感がある。
オランダのブランド「Gスター」だって今ではライトオンで販売されている。

小規模な専門店が「うちはGスター扱ってるんですよ」なんて自慢気に口にしたところで、同じ物はライトオンでだって買えてしまうのである。

そういえば、素材ブランド「ハリスツイード」だってしまむらで買えてしまう。
しまむらが「ハリスツイード」と正式契約したため、あのラベルの付いた商品がしまむらにも並んでいる。

【2015年も】しまむら×ハリス・ツイードがコラボで話題沸騰継続中ッ!
http://matome.naver.jp/odai/2141483259539713401



もちろん、素材感とかデザインとか細かい点は異なるが、一般消費者からすると同じ「ハリスツイード」の商品である。
現に「しまむらなら2000円で買えるのにお宅の仕入れているハリスツイードはなぜこんなに高いの?」と言われた雑貨関係者もいる。

これからは「ハリスツイードです」というだけでは高値で売れなくなるということである。
なぜなら、しまむらでも売っているから。

これを指して「ブランド側が堕落した」とは思わない。
ブランド側もビジネスを展開しており、とくに欧米ブランドは利潤追求と拡大再生産に貪欲だ。
日本ブランドの方がそのあたりはお人よしではないかと思う。

今まで通りのルートで販売し続けても売上高の伸びは知れている。
もう十分に知名度のあるブランドならなおさら伸びしろは少ない。
もう知れ渡った結果が今の売上高なのだから、欲しい人はすでに買っているし、今買っていない人はそのブランドを欲しいと思っていない人である。

じゃあ売上高を拡大するためにはどうすれば良いか。
手っ取り早いのは、これまで販売していなかったルートで販売することである。
それは低価格ゾーンである。
低価格ゾーンには大資本の大手チェーンが多い。大手チェーンだから1社と取り組むだけで莫大な店舗数で展開することが可能になる。

ちまちました5店舗や7店舗の専門店とはわけが違う。
一気に何十店・何百店での展開が可能だ。
その分売上高は増えやすい。

ブランド側がそう考えるのは至極当然だろう。
とくに海外ブランドがそう考えたとしても何の不思議もない。

逆に低価格ゾーンの大手チェーン店からすると、自店のステイタス性を上げるためにも有名ブランドとの取り組みは大歓迎である。
かくして両者の利害は一致する。

今後もこういうコラボ、取り組みはますます増えるだろう。

今、ブランド頼みの小規模専門店はますます追い詰められる。
「うちは〇〇ブランドがあるんですよ」なんていうのがセールストークでもなんでもなくなるのはそう遠いことではあるまい。

その自慢の〇〇ブランドが低価格チェーン店とコラボしたり、低価格チェーン店での取り扱いを早晩開始するだろうからだ。

じゃあどうするのか。
小規模専門店は何を消費者に提供するのか。
もうその答えを見つけて実践しておられる小規模専門店もあるが、展示会などで様子を見ているとそういう先はまだまだ少数派だ。

ブランド頼みの小規模専門店の方が多数派だと感じる。
その多数派は5年後、10年後には存続できていないだろう。

小規模専門店にとってもブランド頼みの手法から脱却する最後のチャンスではないかと思う。













PR





記事検索
livedoor プロフィール
タグクラウド
QRコード
QRコード