南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

トップバリュ

ターゲットを間違ったのか、思い込みなのか

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 日曜日の朝以外ほとんどテレビを見ないので、だいたいが決まったCMしか見ないことになる。
先日、土曜日の午前11時ごろにテレビを何の気なしに点けると、イオンのライトダウンジャケットのCMが流れていた。イオンのトップバリュの衣服になど興味はないから、ボーっと眺めていると、それでも今年のダウンジャケットはかなりスマートなシルエットにしたということだけは的確に伝わってきた。

スリムスマートシルエットの「美姿ダウン」だそうだ。

http://www.topvalucollection.jp/feature/lightdown.html

公式サイトには「ダウンの常識が変わる」と謳われているが、そんな大げさなものでないことは言うまでもない。

そこまで大々的に「差異」を打ち出すのであれば、なぜ、ダウンの表面を走るステッチを横一直線としたのだろうか?
これだとユニクロのウルトラライトダウンと見分けが付かない。
「常識が変わる」「美姿」とまで謳うのであれば表面を走るステッチは縦方向にするとか格子状にするとか多少の工夫があっても良いのではないか。
逆にステッチをわざわざウルトラライトダウンと同じにする理由が見当たらない。もしかするとイオンはさんざん謳っておきながら実は自信がないから同じステッチにしたのではないかと勘ぐってしまう。

さて、たしかにダウンジャケットの悩みはモコモコとしたシルエットで、かなり太って見えることにある。
着用者の顔が小顔で面長ならまだマシだが、筆者のように顔がデカくて四角いとそれは悲惨なことになる。
だからスマートなスリムシルエットのダウンジャケットという商材には一定の需要があると予測できる。

けれども、そういうファッションに興味のある消費者層が、イオンで、しかもトップバリュの衣服を買うだろうかという根本的な疑問がある。
もちろん、価格の安いファッション商品を好む層は数多く存在する。しかしその層は、ユニクロやしまむら、ウィゴー、スピンズ、ポイント、クロスカンパニーあたりの商品を常に購入している。
そういう層がトップバリュの衣服を買うことはめったにないはずだ。あっても肌着や靴下類くらいだろう。

イオンの商品開発の努力は認めるが、顧客ターゲットをまちがえているのではないか。
イオンが「うちの顧客層はファッションの好きな層だ」とか、「トップバリュがファッションブランドだ」とでも感違いしているのではないだろうか。


以前、イトーヨーカドーが自社の1900円ジーンズのCMに女優の黒木瞳さんを起用したことがある。
黒木瞳さんともあろう大物女優が普段、イトーヨーカドーで1900円のジーンズを購入しているとは到底思えない。それだけに実にCMらしいCMだったということができる。
このCMによってイトーヨーカドーのオリジナル1900円ジーンズのイメージが好転したかというとそんなことはまったくない。
このCMがせめて3年間くらいでも続けば多少イメージも変わっただろうが、1シーズンの間だけ取って付けたようなCMを流したところで目に見えた効果など表れない。

今回のイオンのダウンジャケットのCMは人気俳優の伊勢谷友介さんを起用している。
だからといって、イオンのトップバリュのイメージがすぐさま好転するかというとそんなことはない。
今秋冬限りでこのCMは終わるだろうし、伊勢谷友介さんの起用もそれほど長くは続かないだろうから、今後何一つトップバリュのイメージは好転しないだろう。

イトーヨーカドーやイオンが的外れな努力を続けながらここまで衣料品にこだわるには理由がある。
30代半ば以下の方には信じられないだろうが、かつて量販店において、衣料品分野は利益の稼ぎ頭だったのである。ユニクロが台頭するはるか以前の話である。

「かつての利益の稼ぎ頭よもう一度!」、というわけだろうが、ユニクロやしまむら、それに続く低価格SPAブランドがこれほど氾濫してしまった状況下において、そういう客層をもう一度量販店のプライベートブランドに呼び戻すのは並大抵ではない。はっきり言うと至難の業だ。

ユニクロ、しまむら、ウィゴー、ポイント、クロスカンパニーその他もろもろを上回るほどのイメージを打ち出す必要があるが、トップバリュや量販店のプライベートブランドにそこまで良いイメージはない。売り場作りもはるかに及ばない。
一つの商品を改良し、テレビCMに人気タレントを起用すればなんとかなるというレベルの問題ではない。

そういえば、イオンもイトーヨーカドーも大金を使って過去に何度も東京ガールズコレクションのステージに登場したことがあるが、それで何か彼らの衣料品のイメージが好転しただろうか?筆者にはまったく好転していないように映るのだが。

今回のダウンジャケット開発の試みは確かに興味深くはあるが、果たして、イオンのトップバリュが抱えている現在の顧客層にマッチしたものかどうかは甚だ疑問だと言わざるを得ない。

12月中旬に大コケした新規ガールズイベント?

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 12月の中旬に関西でガールズファッションイベントがあったと聞く。イベントの名前もわからないから本当に伝聞で恐縮している。
そのガールズイベントの集客が少なすぎて大コケしたと言われている。

以前も書いたように、現在ファッションショーといえば神戸コレクション、東京ガールズコレクション(TGC)に代表される、タレントやタレントモデルが服を着てステージを歩くと言う形式が広く認知されている。
そもそも論から言えば、このスタイルを確立したのは神戸コレクションであり、それを発展拡大させたのが東京ガールズコレクションである。

その後、雨後のタケノコのように(関係者各位失礼)、どんどんと○○ガールズショーや○○ガールズアワードなど類似イベントが登場し、今も登場しようとしている。しかし、これらがファッション振興に役立っているかと言えばかなり疑問だ。
観客(主に10代・20代の女性)は、タレントやタレントモデルを見に来ているのであり、彼女らがどのブランドの服を着ているかと言うのは興味の対象外にある。もっとあけすけに言ってしまえば、全員にトップバリュの衣服を着せてステージを歩かせても観客は誰も気が付かないだろう。

開始直後の神戸コレクションやTGCは出展ブランドの売り上げ拡大の役目も果たしていた。しかし、今は違う。ライトオンやマックハウスも今年春のガールズイベントに出展していたが、その後もずっと前年比15~25%減少を続けている。売上高は一向に回復していない。同じ論法で言えば、イオンもそうだろう。

そして、新しいイベントが打ち出されるものの先行イベントとの違いは、登場するタレントだけ。これでは、12月中旬に新規ガールズイベントが大コケするのも当然であろう。もう、その手のイベントには飽和感があるからだ。

かと言って、パリコレ、ミラノコレなどの形式と同様のファッションショーが見ていて楽しいかと言うとあまり楽しくない。静寂と単調なリズムが続くので1時間以上見続けると眠ってしまう。某専門学校の卒業製作ショーは2時間半もあるのだが、とても苦痛で最後まで見ていることはできない。途中で眠るか退席するかのどちらかである。

今後はタレント頼りではない、新しいイベントの形式を模索する必要があるだろう。タレントショーはTGCに任せておけば良い。同じ形式で新規参入したところで、規模でも知名度でも登場タレントでも勝てない。ならば違う方向性を模索するべきである。

タレントを登場させてファッションショーにエンターテイメント性を与えたのは神戸コレクション、TGCの功績である。今後の新規イベントは、それを踏まえつつさらに新しい要素を加えることが必要だろう。こういう自分もその新しいスタイルのビジョンは見えていないのだが。






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