南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

ザクとうふ

遠目からでも見分けられる工夫が必要では?

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 ちょっとしつこくて恐縮だが、昨日の豆腐の件でもう少し思ったことを。

再び同じ個所を引用させていただく。

「豆腐業界の方々は、メイン中のメイン、木綿と絹をどうにかしようという考えがほんとうにないんだな」、と思っていましたから。

おとうふのパックの上側のフィルムがありますよね。あのデザインがどこもずっと変わらないんです。もちろん、「フィルムを変えたから何だ、自己満足じゃないか」という話なんですが、何か「変わろう」という時に、まっさきに手をつけられる部分のはずです。

 でも、誰も何も変えない。一方でどうみても数が出ないであろう目先の変わった商品はわりと新しいものが出てくる。「木綿や絹はもう何も変えようがないから、容器や素材を変えて、ニッチだけど特徴のある商品を」ということなんだな、と思いました。

 つまり、最大規模のボリュームゾーンがおそらく20年くらい何も考えられず放っておかれている。これはすごいチャンスじゃないのか、と、


とのことである。

筆者は「豆腐」を「ジーンズ」に置き換えて読んだのだが、この「パッケージ」を変えるという発想は衣料品全般にも当てはまるのではないだろうか。

「ザクとうふ」「ズゴックとうふ」が豆腐売り場に陳列されていたらすごく目立つ。
豆腐の容器はだいたい白が中心で、ごく稀に黒がある。
形は四角い。まれに球体っぽいのがある。ドーム型と言った方が適切だろうか。
その中に「ザクとうふ」「ズゴックとうふ」が並んでいたら遠目からでもすごく目立つだろうということは容易に想像できるだろう。

この「遠目からでも目立つ」という発想は、アパレルが本来得意とされるはずのVMDではないのか。
アパレル業界にはVMDの専門家がたくさんいらっしゃる。

VMD(ヴィジュアルマーチャンダイジング)の基本理論で、
一番遠くから違いを認識できるのが色柄だとある。
だいたい4~8メートル先から判別できるらしい。これが最初の視覚的アプローチということになる。

緑色や青色のモビルスーツの顔の形状をした豆腐容器が積み上げられていたら4メートル先からでも十分に視覚を惹きつけるだろう。
何せ、周りは白くて四角い容器がほとんどで、稀に黒い四角い容器がある程度だ。

このようなアプローチは衣料品にとっても必要だろう。
ましてや、今年7月はセール開始時期の分散化で不発である。
8月以降も今月になるまで「例年と比べても今年は壊滅的」と言われるほど衣料品は動いていない。
動いているのは帽子、バッグ、靴、ストール、マフラー、アクセサリーなどの雑貨類ばかりだ。


衣料品は身に付ける物だから最終的に着心地が重要視される。
見た目がいくら良くても着心地が悪ければ活用しにくい。
だから、パターン(型紙)や細部のアレンジがものすごく重要になる。
そのためかどうかわからないが、「どこそこの部分を●mm短くしました」とか「裾を2㎝長くしました」とかそんなミクロの世界を最重点セールスポイントにする場合がけっこうある。

とくにジーンズなんかそう見える。
「ステッチの色をレモンイエローから山吹色に変えました」なんて謳い文句を見たことがあるが、そんな細部に惹きつけられる消費者が今時どれほどいるのだろうか。


そこも重要な部分だが、これだけ衣料品が悪いのならそうではないアプローチも考えてみてはどうだろうか。
一番遠目からでもわかるようなVMD的取り組みは必要ではないだろうか。

豆腐とジーンズ

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 「ザクとうふ」「ズゴックとうふ」を開発した相模屋の社長インタビューが面白い。
全3部で、いずれも長文なのだが苦にならない。
「豆腐」という部分を「衣料品」に置き換えてみれば、衣料品業界にとっても参考になる考え方がちりばめられている。

「豆腐」=「量産品」という考え方。
これって衣料品にも当てはまるのではないだろうか?
とくにジーンズ。ジーンズの出自は作業服であることからわかるように量産品である。
テイラーと違って最初から製造工程は「量産化」が前提で組み立てられている。

商品(ズゴック)のプレゼンシートは社長が作る!
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20121022/238430/?P=1

以下に抜粋引用しながら考えてみたい。
興味のある方は本文をどうぞ。

「豆腐業界の方々は、メイン中のメイン、木綿と絹をどうにかしようという考えがほんとうにないんだな」、と思っていましたから。

おとうふのパックの上側のフィルムがありますよね。あのデザインがどこもずっと変わらないんです。もちろん、「フィルムを変えたから何だ、自己満足じゃないか」という話なんですが、何か「変わろう」という時に、まっさきに手をつけられる部分のはずです。

 でも、誰も何も変えない。一方でどうみても数が出ないであろう目先の変わった商品はわりと新しいものが出てくる。「木綿や絹はもう何も変えようがないから、容器や素材を変えて、ニッチだけど特徴のある商品を」ということなんだな、と思いました。

 つまり、最大規模のボリュームゾーンがおそらく20年くらい何も考えられず放っておかれている。これはすごいチャンスじゃないのか、と、


とのことである。
ここで言われている「フィルム」とは豆腐を包んでいるあのプラティックみたいなセロハンみたいなアレである。
要するに「パッケージ」だ。

筆者がジーンズに置き換えて読んだのは上の部分であるが、とくに赤字の部分である。
ジーンズメーカーはこの相模屋と同じく、卸売りをメインとしている。
相模屋がスーパーに卸すのと同様に、カジュアル専門店チェーンに卸売りを行う。

もっとも売れる中間価格帯の量産品を捨てて、目先の変わった新しいニッチな高額商品の開発に力を入れるジーンズナショナルブランドが増えた。
しかし、ジーンズナショナルブランドの強みは大規模な自家工場を持っていることであり、その工場は「工芸品」を作ることに適しているかというとそうではない。
やはり、得意商品は量産品である。

相模屋の豆腐は原材料や製造工程もさることながら、まず、パッケージや容器を工夫することでボリュームゾーンの消費喚起に取り組んだ。
中間価格帯のジーンズも「パッケージ」を工夫することで消費喚起ができないか?

そして、ジーンズナショナルブランドの現場営業マンと接触した経験から言わせてもらうと、次の言葉も彼らには参考になるのではないか。


あのですね、売り場を見るときにはポイントがあるんです。まず、全体の構成を見るんですよ。

雪印時代に新入社員と一緒にお店に行って「どうだった?」と聞くと、「いやあ、あんな商品がありました、こんな商品がありました」と個別の商品をどうしても見ちゃうんですね。そこで「うちの扱いだけじゃなくて、別の売り場を見た?」と言うと、今度は「いやあ、肉の売り場が賑わっていて、牛肉のすごいステーキが置いてありました」と、ちょっとだけ視野が広がるんですが、やっぱりなかなかうまくいかない。



 そこで、まず入ったら全体観をとらえなさいと。例えば茨城のお店で、まず、肉と魚と野菜の売り場が全体の構成の中でどのぐらいあって、どうも肉の比率が通常よりも高い。となればその中では牛肉と鶏肉と豚肉しかないわけだから、それぞれどのくらいのパーセンテージなんだろうなと、そこで初めてショーケースを子細に見る。



 茨城の北の方の精肉売り場って、豚肉が半分ぐらいあるんですね。だからここは豚の消費が激しいよ、牛は3尺しかないよ、というふうに見ていくと、そこの狙いどころが分かっていくわけですね。牛肉の売れないところで牛肉を一生懸命提案していてもパイは小さい。じゃあ、豚肉がこれだけあるのであれば、そのメインは何なんだろう、肩ロースなのか、リブなのか、というのを次に見ていく。「全体を眺めて、宝の山ってどこにあるんだろう、と意識して探す」と、教えるんですね。



 ですから、全然普通のことです。この普通のことをやらないと、自分がスーパーさんと商談させていただくときに頓珍漢なことになってしまう。「ステーキがおいしそうでした」「私が好きなステーキはこんなのです」と持っていっても、「へえ、商品としては面白いね」と言っていただけるかもしれませんけれども、じゃあ、あなたに売り場を任せようとか、売り場全部をコーディネートしてくれなんていう依頼は一生かかってもこないよと(笑)。



とのことである。

ジーンズナショナルブランドの営業マンは売り場周りも熱心に行うが、同業他社のジーンズばかり見ているように感じる。「あそこの百貨店は○○ブランドのジーンズが入っていた」「あそこのセレクトショップは○○ブランドのジーンズを導入した」というように。

しかし、それでは豆腐メーカーが他社の豆腐だけを、雪印の社員が同業他社の乳製品だけを見ているのと同じではないか。

トップスや雑貨、インテリア商品まで含めて売り場構成を見ているかということになる。

とくに赤字の部分は、ジーンズナショナルブランドの営業マンに噛みしめてもらいたいが、「○○年代のジーンズが好きです」と持って行っても、バイヤーは「へえ、面白いね」で終わってしまう。
営業マンなり企画マンの個人的好みを話すだけならそれは趣味の雑談に終わってしまう。
それは「量産品」の売り方ではない。


ジーンズナショナルブランドの方も最近では「ジーンズというアイテムはトータルファッションの一部になってしまいました」とおっしゃる。
そこまで分かっておられるなら、売り場を見るときに隣の棚のジーンズだけをみるのではなくて、売り場全体の構成やディスプレイも見るべきだろう。そうでなければ、次の提案は企画マンか営業マンの独りよがりの商品になってしまう。

「量産品」ならではの強みが絶対にあるはずだ。


見た目は重要です

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 今朝、日経ビジネスオンラインで「ザクとうふ」を作った会社の社長さんのインタビューが掲載されていた。
面白いので読んでいたのだが、社長のお言葉の一部分が衣料品業界にも当てはまるのではないかと感じた。

我々はメーカーですから「製造ラインに何とかシステムを導入した」とか、「工法が違う」とか「製法が違う」「原材料が違う」とか、そういう部分ももちろんやるべきなんですけど、あんまり新鮮味ってないじゃないですか。

(中略)

お客様が「何とか製法」を求められているのかというと、それはないですよね。
出来上がったアウトプットのものがどうだというのが重要だと思っていますので。「見て分かる差別化」ができる商品を投入することが、お豆腐の売り場に光が当たるきっかけになると思うんです。


この部分である。


「ザクとうふ」「ズゴックとうふ」を生んだ相模屋の真実 「量産型」にこだわって急成長
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20120928/237415/?P=1


産地製造業のオリジナル商品だとか、ジーンズブランドだとかはよく「工程」「製法」「原材料」の差別化を謳う。
その部分はこれらのブランドのキモであるから、PRされるべきだと思う。

しかし、見た目が悪ければ消費者は買わないし、他ブランドとの「見た目での差別化」ができていなければ消費者は買わない。
多くの消費者は「工程」「製法」「原材料」を買いたいわけではない。

この「ザクとうふ」もそうだが、この手の作り込んだ商材というのは、販売価格が高い。
すぐに分かる「差別化」がなければ、消費者は似たような安い物を買う。
これは自然な流れである。


最近でこそ、産地ブランドの見栄えも随分良くなっているものも増えた。
けれどもそうではない産地ブランドも依然としてある。

不得意なVMDの論を持ち出すと、

一番遠くから消費者が認識できるのが色柄で、少し近づいて形(デザイン、シルエット、フォルムなど)を認識する。
もっと近づいて素材感を認識して、最後はゼロ距離で着心地を確認する。
というのがVMDの基礎理論である。


色柄や形を無視して、「製法ガー」「工程ガー」「原材料ガー」というのは、VMDの基礎理論から言ってもまるっきり外れていることになる。


製品化を目指す産地企業があるなら、「ザクとうふ」開発のコンセプトは参考になるのではないだろうか。

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