南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

ゲイナー

メンズファッション雑誌はさらに淘汰される

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 光文社のメンズファッション雑誌「ゲイナー」が6月24日発売号をもって休刊になる。
何度も書いているように雑誌の休刊とは廃刊と同じであり、後年復活できる雑誌の方が稀である。


男性誌「ゲイナー」が休刊 販売、広告収入の低迷が響く

https://www.wwdjapan.com/business/2016/04/22/00020378.html


廃刊の理由はこの見出しがすべてを物語っている。
販売、というよりも広告収入の低迷が原因である。
雑誌や新聞は購読料よりも広告料を主収入源として成り立っている。
購読部数が少なくても広告さえ集められれば雑誌や新聞は利益が出て、営利活動を続けることができる。

ゲイナーは90年に創刊されたそうだ。
筆者が20歳の頃だが、このころ筆者はファッション雑誌なんて読む人間ではなかった。
ファッション雑誌を読みだしたのは就職が決まってからであるから、93年とか94年である。

このころにはすでにゲイナーはあったのだが、今から考えてみると創刊3~4年の若い媒体だったということになる。もちろんその当時の筆者はそんなことは知らない。

ゲイナーという雑誌は2014年までは、毎月10日発売で20代後半から30代半ばまでの若い男性サラリーマンを対象としていた。
掲載内容は、若手サラリーマンにふさわしいビジネススタイルがメインで、それに加えて上品なカジュアル、ビジネスでも使えるカジュアルというスタイルだった。
あとはグルメ情報とか合コンでのマナーとかそういう内容が多かった。
純然たるファッション雑誌よりもそういう部分が多かったというのが個人的な印象である。

個人的にはグルメも合コンも興味はない(合コンなんて20年近く出席したことがない)から、ファッション情報としては他誌と比べて少ないと感じたが、差別化は図れていたのではないかとも感じていた。

それが2014年に突如としてリニューアルされた。

発売日が24日に移動し、対象年齢が50代男性になった。
モデルの田中カール氏をキャラクターにクローズアップした作りとなった。

個人的にはこのリニューアルが失敗だったと考えている。

リニューアル初号を見たときの感想は、「このカールってオッサン誰?」である。

その後、調べると田中カール氏は50代後半で、もともと人気モデルだった方だそうだが、93年くらいからしかファッション雑誌を読んでいない者からすると「このオッサン誰?」というくらいの知名度しかない。
テレビタレントとして有名になりつつあったジローラモ氏を起用した創刊当時の「LEON」を参考にしたのだと思うが、微妙に正解から外れていたのではないか。

リニューアル後の内容もLEONを意識したモテオヤジ的な特集が多く、個人的興味の対象外となった。

ここまでのリニューアルを施さざるを得ないほど追いつめられた状況にあったということだろうか。

同じようなリニューアル策を敢行したのがメンズクラブである。
メンズクラブも24日へ発売日を移動させて、内容もチャラくなった。
ファッションの教科書的スタンスだった旧メンズクラブの内容を評価していたので、現在の新メンズクラブは興味の対象外である。

ゲイナーとメンズクラブの発売日移動によって10日発売の男性ファッション雑誌はメンズノンノ、メンズジョーカー、ファインボーイズ、ポパイの4誌くらいしかなくなった。
反対に24日発売の男性ファッション雑誌が増えたことになる。

さて、部数を見てみる。

http://www.j-magazine.or.jp/index.html

ここでは3か月間の平均印刷部数が発表されている。
2015年10月~12月の最新データを見てみよう。

ゲイナーは66,734である。
近年はほぼこの前後を推移している。

メンズクラブは62,667
ライトニングは84,467

UOMOは58,334
LEONは82,100
Safariは195,717
メンズEXは34,067

ここではオーシャンズの発行部数は出てこないので、

http://www.zasshi-ad.com/media/man/lifestyle/oceans.html

によると、2013年1~3月で72803部だそうだが、2年経過した現在は増減はあるだろうが6万部台には転落していないと推察する。

このほか、2015年10~12月では

メンズノンノは110,000
ポパイは96,000
メンズジョーカーは109,830
ファインボーイズは86,934

となっており、印刷部数だけでいうと、メンズクラブとUOMOはゲイナーよりも少ない。
メンズEXは3万部台なのでさらに少ない。

ゲイナーと同様にこの3誌が廃刊になっても少しの不思議もない。
ただ、広告代理店の営業マンに言わせると、スーツスタイルに特化しているメンズEXは広告出稿量は部数の割には多いそうだ。
スーツスタイルに特化した男性雑誌がないためだろう。
コアな読者層が強く支えていると言える。

メンズファッション雑誌はもともと誌数が少ない上に、少しずつ毎年淘汰されている。
10日発売組の4誌は当分残るだろう。
また24日発売組はLEON、Safari、オーシャンズの3誌が残るのではないか。
月末発行のライトニングはコアなファンが支えるのでこれも残るだろう。

16日発行のビギンも広告出稿が好調なので残るだろう。
スーツに特化したメンズEXは部数は今以上に増えることはないがこれもすぐに消えることはなさそうだ。

24日発売のヤング男性ファッション誌「スマート」を加えると、当分残れる男性ファッション雑誌はこんなところではないだろうか。

雑誌の衰退理由は各所で述べられている通りだろう。

・掲載アイテムが高額すぎて一般消費者の金銭感覚と乖離しすぎている
・ウェブで無料、もしくは無料に近い格安料金でファッション情報が手に入るようになった
・提案されるライフスタイルに現実味を感じられない、それにあこがれない
・消費者のファッションへの興味が昔より薄れている
・ファッション情報に限らずメディアへの信頼度の低下


などだろうか。

男性ファッション誌の動向を見ていると、広い読者層を獲得しようとするよりも、ライトニングやメンズEXなどのマニアックな内容でコアなファンを獲得した方が効果的だと感じられる。
しかし、コアなファン層を獲得しようとしたフリー&イージーの廃刊もあるから一概にこれも当てはまらない。

ファッション雑誌の運営は今後さらに厳しさを増すことだけは容易に想像できるのだが。


 






根拠のない煽情的コピーに踊らない消費者が増えた?

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 筆者はファッション音痴なので、毎月ファッション雑誌を1冊は読むようにしている。

今月10日に発売された光文社のメンズファッション雑誌「ゲイナー」を読んでいると面白い特集があった。
「今季の激売れ LASTアウターNEWS」という特集である。
今秋冬、各ブランドで売れている防寒アウターを紹介している。これだけなら何の変哲もないおなじみの特集であるが、面白いと思ったのは、それぞれの商品がどれくらい売れているかを具体的数字を挙げて説明しているところである。

例えば

三陽商会の「バーバリー・ブラックレーベル」のダウンは「10日で1500着売れた」とある。
また「ムッシュニコル」のフェイクレザーブルゾンは「昨季3500着売れて、今季はすでに2000着をクリア」とある。
ZOZOTOWNの売れ筋も掲載されているが、その中でもポイントの「レイジブルー」のフード付きコートには「1ヶ月で3000着を消化」とある。


ざっと30ブランド強の商品が掲載されているが、すべて同様に具体的に紹介されている。

これまでファッション雑誌というのは読者の感情に訴えかけるように非常に曖昧模糊とした抽象的で煽情的なコピーが多かった。
「今これがアツい」とか「このコートがCOOL」とか。
どれだけアツいのかCOOLなのか具体的な指標は一切示されていない。
示す根拠もなかったのかもしれない。
この手法をエスカレートさせたものが「men's egg」の冗談とも本気ともつかない笑える名作コピー群になるのだろう。


今回のような具体的な数字を示す記事は、これまで業界紙や経済誌が担当してきた。
先ほどのコピーを見て、一瞬「繊研新聞の見出しかしらん?」と思ったほどである。

12月10日発売なので2週間前の11月26日ごろにはほぼ校了しているだろう。
今回掲載された情報は当然、11月26日以前の情報であり、おそらく11月15日前後までに集められた情報ではないだろうか。


この特集を見て思ったことは2つ。

まず、根拠のない空虚な言葉には踊らされない消費者(読者)が増えたのだろうということ。
次に、一般のファッション雑誌にこれをやられたら業界紙の存在意義がさらに薄れるということ。


根拠のない煽情的なコピーに対して、筆者も含めて多くの消費者は「ハイハイ。宣伝宣伝」と受け流すようになってしまっている。雑誌に限らずテレビ番組も含めてメディアがスポンサーとタイアップして、その商品がいかにも売れているように見せかける手法は周知の事実となっている。
ちょっとやそっとのムードでは容易に動かない。それを打破するためには、最早、具体的数字を挙げざるを得なかったのだろう。


そしてファッション雑誌が具体的数字を報道するようになると、業界紙と報道内容がバッティングする。
本来は、ある程度読者層が違うので情報がバッティングしても何ら問題はないが、取材先企業が「同じような報道なら一般消費者が読む可能性が高いファッション雑誌の方を重視したい」となる。
すでに業界紙より雑誌の方が重視されて久しいが、その傾向がますます強まるのではないだろうか。


今回の特集は面白かったが、ファッション雑誌の行き詰まりを何となくだが垣間見ることができたような気がする。それとともに業界新聞にはスタイルの変化が大きく求められていると思う。それも火急的速やかにだ。







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