南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

グランフロント大阪

2年前も華々しかった

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 媒体が違うと読者層も異なるとはよく言われることである。
ところがいざ、自分のこととなるとめんどくさいと感じてしまうのである。
先日、このような記事を書いた。

大阪でビール1杯800円は高すぎるか
好スタート「グランフロント大阪」が抱える不安
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20130624/250103/?P=1



先日、グランフロント大阪の開業1カ月後の実績が発表された。
ご存知の方も多いと思うが、改めて書くと売上高50億円・来場者数761万人だった。
初年度目標は売上高400億円・来場者数2500万人なのでこのままのペースで残り期間を過ごせるなら、どちらも軽くクリアできるはずである。
そういう意味では「好調発進」といえる。

ところが来場者数の割には売上高が低い。
これもまた事実であり、その観点に基づいて産経新聞が次のような記事を掲載した。

グランフロント大阪は高級すぎる? 1人当たり売上高「700円以下」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130609-00000500-san-bus_all


グランフロント大阪の現状の客単価は657円とかなり低い。
これについては、このブログでも書いたことがあるし、ほかの識者のブログでも言及されている。
売上高を来場者数で割ったらそうなる。

本来の客数とは「買い上げ客数」であるため、来場者数で割ることはナンセンスだという批評もある。
それはもちろんその通りだが、「買い上げ客数」の目標値も実績も発表されていない現状では、一つの目安として来場者数で割るほかない。
あまりに低い「客単価」であるため、ほとんどの来場者が買わずに「見物に来ただけ」と推測できる。

ただ、お客は少ないよりも多いに越したことはない。
枯れ木も山の賑わいともいう。ガラガラの施設よりは見物客だけでもたくさん来場してもらったほうが活気が出る。販売員の方々のモチベーションも維持しやすいだろう。

とりあえずは「好調発進」と評価されているグランフロント大阪だが、実は2年前にオープンしたJR大阪三越伊勢丹のオープン1カ月後の実績とそれほど大差がない。
逆に客単価は当時のJR大阪三越伊勢丹の方が高かったのである。
2011年6月7日の記事である。

JR西日本/大阪ステーションシティ開業1か月で1000万人来場
http://ryutsuu.biz/store/d060709.html

5月4日から6月3日までの来館者数はJR大阪三越伊勢丹が約480万人、ルクアが約540万人で、合計で1020万人となった。
売上高はJR大阪三越伊勢丹が約45億円、ルクアが約41億円となった。


この数字から客単価を算出すると、45億円÷480万人=937・5円となる。

グランフロント大阪よりも280円ほど客単価が高かったことになり、こちらの方が効率は高かった。

もしJR大阪三越伊勢丹がこのペースで推移したなら年間売上高は11か月合計(2011年5月~2012年3月末)で500億円弱となるから、当初計画550億円に少し届かなかった程度で済んだはずである。
そうならなかったのは7月以降、大幅に失速したからである。当初の来場客の多くがリピーターにならなかったとも言えるだろう。

このJR大阪三越伊勢丹と同じ現象が、ほとんど隣接しているグランフロント大阪に絶対に起きないとは言い切れないのではないか。

その可能性も考慮してグランフロント大阪の売上高目標は400億円と少し低めに見積もられているのではないかと思ったりもする。
以前、取材した際にJR大阪三越伊勢丹の売上高目標は2008年のリーマンショック以前に立てられたもので、その後も下方修正しなかったと伺ったことがある。
もし、下方修正していればここまでの惨状とは見えなかったのではないだろうか。
結果論に過ぎるかもしれないが計画立案ミスだろう。


さて、そんなわけで猜疑心の強い筆者は、グランフロント大阪が400億円達成するかどうかはもう少し経過を観察してからでないと「決定的」とは言えないと感じている次第だ。

目標売上高を達成できるか?

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 開業1カ月のグランフロント大阪の売上高と来場者数が発表された。
売上高は50億円、来場者数は761万人だという。

http://ryutsuu.biz/store/f052721.html


まあ、どちらもすごい数字ではあるが、来場者数の割に売上高が低すぎるとマスコミの方々は思わないのだろうか?
売上高50億円を来場者数の761万人で割ると、平均客単価は657・894円となる。
四捨五入をすると約658円である。


この数字から導き出される答えは、来場者の多くはほとんど物を買っていないということになる。
2年前のJR大阪三越伊勢丹のオープン時と同じである。

飲食は利用しているのかもしれないが、せいぜい値ごろ感のある1階のカフェでお茶を1杯というところだろう。
グランフロント大阪の飲食店は物販に比べると高額店が多いため、通常の飲食店を利用した場合、客単価はもっと高くなると推測できる。

オープン景気を盛り上げるのは構わないが、手放しの称賛はいかがなものかと思う。

当初計画は売上高400億円、来場者数2500万人である。
来場者数はおそらく目標値に到達できるだろう。
ただし、今のままの平均客単価658円で推移するとするなら、来場者数2500万人での売上高は164億5000万円にとどまることになる。

目標の400億円に到達するためには理論上は平均客単価をもっと上げるか、来場者数をもっと増やすかのどちらかが必要となる。

オープン景気が終息するとともに、「見物客」は減って買い物客の比率が高まるだろうから、平均客単価はアップすることになるだろう。
そのため、売上高が先ほど計算した164億5000万円に止まることはないと思われる。

しかし、目標の400億円に到達できるかどうかは楽観視して良い状況にはないと感じる。

もちろん、人が少なく売上高が少ないよりは、にぎやかしでも人が多い方が良いのは決まっている。
人が人を呼ぶという現象はある。
人ごみが嫌いな筆者からすると、何を好き好んで混雑する施設に行きたがるのか理解に苦しむのだが。

何はともあれ、賑わっているのは良いことだが、目標売上高を達成するためにはさらにもう一工夫が必要ではないかというのが、オープン後1カ月の業績から見えてくる事柄ではないだろうか。

記者会見にて

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 先日、こんなブログを拝読し「業界は違うがどこにも似たようなことがあるのだな~」と感じた。

いらざることを聞くメディア|野球報道
http://baseballstats2011.jp/archives/27016660.html


肝心なことを聞かずに、どうでもいいことをわざわざ聞くのが、今風のメディアだ。

当サイトの読者からも指摘があったが、ブランコが負け試合にしか本塁打を打っていないことを試合後にわざわざ聞いた記者がいる。4月18日のことだ。複数のメディアに載ったということは、一人ではなかったのかもしれない。
ブランコは、
「仕方がないよ。また明日、違う日になる」
と答えていたが、内心失礼な奴だと思ったことだろう。

誰が考えても、これは偶然でしかない。たまたまブランコが本塁打を打った試合が、負け試合になっただけだ。それをあたかもブランコに責任があるかのように問い詰めたのだ。

ありもしない妄説を持ち出して、犯人捜しをするのは、日本人の悪癖だ。
昔の田舎町では、「○○がこの町に来てから、火事が多くなった」みたいなまことしやかな噂がよく流れたものだ。


とのことである。
その続きがまた笑える事例である。

大昔、ヤクルトにやってきたチャーリー・マニエルに対して「エマニエル夫人をどう思うか?」ときいた記者がいた。私は高校生ながら恥ずかしく思った。

これには苦笑するほかない。

さて、これに似た類は普段お世話になっている繊維業界やアパレル業界の記者会見でもしばしば目にする。

本日、めでたくグランドオープンするグランフロント大阪なのだが、2月に記者会見があった。
注目の大型商業施設ということで多数のマスコミ関係者が出席しており、なかなかの壮観である。

一通りの概要説明が終わり、質疑応答が始まったのだが、終わり近くに飛び出した質問には耳を疑った。
五大紙の一つである大手新聞の経済部の記者さんだが
「今回の出店テナントのラインナップがアウトレットモールとほぼ同じなのですが、アウトレットモールとの競合をどうお考えでしょうか?」と質問をした。

アパレル業界・流通業界を少しかじった方ならおわかりだと思うが、
もともと正規店の在庫や型落ち商品を売るためにアウトレットモールというものができている。
だから、アウトレットモールに入店しているブランドは正規品の商業施設に入店していてもなんの不思議もない。
むしろ、本来の意味で考えるなら正規店があってこそのアウトレット店ということになる。

最近はアウトレットが増えすぎ、テナント側も正規品の在庫では対応できなくなり、アウトレット用に商品を製造するという不思議な現象がスタンダード化しつつあるが、この記者さんの質問とは別の話である。

この珍問に対して、表面上は一切動揺することなく返答したグランフロント側は立派だと感服した。

もう一つ印象に残っていることがある。

ユニクロ心斎橋店オープン前の内覧会のときだ。
旧心斎橋店(現ジーユー心斎橋店)オープンの際だから、9年ほど前だろうか。
これも五大紙の記者さんだが、「このビルの家主はだれですか?」と質問をした。

通常は店舗のことやブランドの今後の目標や出店計画のことを質問する。

その中には「リリースにしっかり明記されている」項目も多いのだが、そのあたりはご愛嬌と思うほかない。

良心的に解釈すればこの記者さんは何か他のまとめ記事で心斎橋筋商店街の各物件のオーナーを調べていたのかもしれない。しかし、それは会見の場で聞かずとも後日ユニクロ広報に質問すれば良いのではないかと思う。
筆者のようなしがない無名の業界紙記者ではなく、天下の大新聞の記者なら広報もそれなりの情報は提供してくれるはずである。

筆者も駆け出しのころには先輩記者から「とりあえず相手に覚えてもらうためには、何でも良いから質問しろ」という教育を受けたが、個人的にはあまりにもピントのズレた質問をするのは、たしかに相手に覚えてもらえるかもしれないが逆効果ではないのかと思う。

少数企業への集中

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 今春も大阪市内で新店オープンや新商業施設オープンが続いている。
大阪市内でとことさら強調してもあまり意味はない。大阪の地場の企業などほんのわずかで、ほとんどは東京を拠点とする全国チェーン店だったりグローバルSPAだったりする。

たまたま開発案件が2011年から2013年にかけて大阪市内に集中していたということだろう。
別に大阪の市場が国内外から注目されていたわけではない。

以前にも書いたが、新店出店する企業はほとんど決まっている。
屋号を変えて、複数店舗を出店していても運営する会社は同じである。
来週にオープンするグランフロント大阪も、屋号を変えて複数業態で出店する企業が数多くある。
例えば、ユナイテッドアローズは4店舗を出店し、連結子会社のコーエンとフィーゴを合わせるとグループだけで6店舗の出店となる。
アーバンリサーチ、パルグループ、ジュンが3店舗ずつ出店するという具合だ。

結局、新店オープンと言ってもほんの一握りの大手が複数の屋号を使い分けて出店するという形態が増えている。


さて、筆者はときどきOEM/ODMの相談を受けることがある。
OEM/ODM業者というのは、取り組み相手先があって初めて成り立つ業態である。
自社ブランドを所有しているわけでもないし、直営店舗を持っているわけでもない。

相手ブランドからの依頼があって初めて仕事が発生する。

複数のOEM/ODM業者との付き合いがあるので、彼らの取り組み先を尋ねてみると、ほとんど同じ先の仕事を請け負っている。
製造請け負いをするOEM/ODM業者であるから、当然好調なブランドと取り組みたい。
衣料品販売は全体的に極めて苦戦しており、一部に好調なブランドが存在するという具合だから、当然各業者の取り組み先も集中することになる。

例えばA社、B社、C社というOEM/ODM業者があったとする。
3社に「どこのブランドと取り組んでいるんですか?」と尋ねると、体感的な感想だが、3社の取り組み先は7割程度は重なると感じる。
「え?全員が●●ブランドも××ブランドもやってるんですか?」という感じだ。

新規出店できる企業が限られているのと似たような状況にある。

優良ブランドからの受注を巡って多くのOEM/ODM業者が厳しい競争を繰り広げているのが現状である。

こうなると発注するブランド側の立場が強くなり、製造工賃の引き下げや据え置き、商品品質のさらなる向上など、要求がどんどんエスカレートする。

そういう状況を傍から見ていると、とてつもない閉塞感を感じる。

じゃあそれを打破してやろうというガッツもなければ、仕掛けをつくる財力も筆者にはない。
閉塞感を感じただけでお終いという情けない結末なのだが、これが衣料品業界の現実である。
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