久しぶりの大ヒット商品が登場してその躍進ぶりの一端が報道された。

「アネロ」というバッグブランドが大ヒット中で、とくにゴールドのファスナーが使われたリュックの人気が高い。

リュック「アネロ」ヒットで売上倍増
http://www.senken.co.jp/news/corporation/carrotcompany-anello-160823/

バッグ製造卸のキャロットカンパニー(大阪)は、ユニセックスバッグ「アネロ」がリードし、16年6月期の売上高が前期比倍増の88億円となった。今期はブランディングを強化するとともに海外事業部を立ち上げ、業績を拡大する。

 アネロは、ヒット商品の口金リュックが14年12月に投入して以来、出荷数で200万本を超える。アパレルや雑貨のチェーン店を中心に売れ続け、SNS(交流サイト)利用者の口コミで東南アジア圏にもファンを広げている。また、アネロの人気がレディスバッグ「レガートラルゴ」や小物雑貨「パケ・カドー」の売れ行きに波及し、商品単価も底上げした。

とある。

筆者がこのバッグの人気に気が付いたのは、今年の春先である。
以前にも書いたようにAmazonで防水リュックを探していたときにやたらとAmazon内で出てきたからである。
で、特徴は口金リュックとあるように、リュックの入れ口のファスナーがゴールドなのである。





で、それを頭にインプットして繁華街を歩けば必ず数人はこのリュックを背負った女性を見かけることに気が付いた。
大阪でいえば、心斎橋筋商店街、梅田、天神橋筋商店街あたりを歩くと口金リュックを背負った女性を必ず数人は見かける。

記事中にもあるように、この「アネロ」というブランドは大阪のキャロットカンパニーという会社が企画製造しており、このバッグの大ヒットのおかげもあって、売上高が倍増で88億円に達したという。倍増で88億円ということは昨年の売上高は44億円だったということになる。
たった1年で44億円の売上高が88億円になったのはすごいヒットぶりといえる。

ジーユーのガウチョパンツが昨年100万本売れたと報道されたが、色・柄が様々ある上に「アイコン」となるような特徴がない。いわゆるそれとわかるブランドタグだとか革パッチだとかそういうものがない。
だからどれがジーユーのガウチョパンツなのかさっぱりわからない。
ジーユーはそういう主張は一切しないので、例えば、襟裏のラベルにさえブランド名は書かれておらずサイズ表記のみに留まる。
しかも商品の色・柄・デザインに無印良品ほどの特徴もなく、いわばパーツに徹している。

アネロは逆にゴールドのファスナーというアイコンが存在するから、このブランドの存在を知っている人にはすぐにわかる。

一時期の「ユニ被り」に匹敵するほどの所有率の高さで、「アネ被り」現象とでも名付ければ良いだろう。

大ヒットの要因について、筆者のネット友達数人から様々な要因が指摘されている。

1、価格が割合に安い
2、転売目的を疑われる外国人が大量に購入している
3、東南アジアでも大人気(記事中でも言及されている)
4、収容量が多くて便利なうえにエイジレスなデザインで持つ人を選ばない

ざっとこんなところである。

Amazonで「アネロ」の商品を検索するとかなり品番が多い。
そのどれを見てもそんなに高くない。
2000~6000円台の価格幅であり、フリーターでも買える価格帯である。
バッグでこの価格なら低価格に属するだろう。

その割にデザインセンスが悪くない。

大ヒットのリュックで見てみると、低価格でデザインセンスも悪くない上に、大容量で機能的である。さらに持つ人を選ばないエイジレスなデザインなので、売れるべくして売れたといえるだろう。

たった2年弱で200万本を出荷しているから相当な勢いで売れている。
平均すると1年で100万本強の出荷量ということになる。

洋服の場合、10万枚の販売量を越えると「○○被り」が出てくるといわれているが、1年で100万本以上も出荷したなら当然「アネ被り」が現れてもおかしくない。

売れた要素を考えると、価格が安くて機能的でデザインも悪くなく、持つ人を選ばないから日本人だけでなくインバウンド需要もかなり取り込めたということだろう。

記事ではキャロットカンパニーは今期、海外販売を強化すると書いてあるが、これまではおそらくあまり海外向けには販売していなかったのだろう。
海外ではほとんど見かけないからこそ、観光に来た外国人が大量に買うという現象が起きた側面もあるのではないか。

現地では手に入らない珍しい物をお土産として買ったというわけだ。
これが高額品なら少ししか買えないが、それほど高くないからまとめ買いができる。
しかもゴールドのファスナーというワンポイントアクセントがあってわかりやすい反面、他の部分のデザインはエイジレスで持つ人を選ばないから、それこそお土産にも適しているし、海外での転売もしやすかったのではないか。

昔の日本人が低価格のオールドネイビーの洋服を安く買いこんできて、そこに利益を乗せて国内で転売したのと同じではないか。

それにしても大ヒット商品になるための条件は「価格」という要素は強いと感じる。
このリュックが2万円とか3万円だったらここまで売れなかっただろう。
もちろんそういう市場に向けて、一定量をキチっと販売して利益を確保するというビジネスもあってしかるべきだが、100万本を越える大ヒットを狙えるのはそれなりの低価格でないと難しい。

3万円台のジーンズが飛ぶように売れた2005年という時代があったが、そういう風潮が支配する時代は日本にはもう二度と来ないだろう。