南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

エドウィン

迷走するチノパン選び

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 先日、チャオパニックをぶらりと見て回ると、メンズのチノパンが数種類以上そろえられていた。価格は4700~7900円くらいまで各種ある。
正直に白状するとチノパンを選ぶのは苦手である。

デニムに慣れているせいか、あまりに肉薄のチノ生地には抵抗があり、比較的分厚い物を選ぶ傾向が強いのだが、チャオパニックのように数種類以上あるとどれを選んで良いのかわからなくなる。
ざっと生地をそれぞれ触ってみると、麻混ではないのだろうが、妙にザラザラしてカサカサした物がある。その一方でポリエステル綿混でかなり薄手の生地がある。
ハードにウオッシュをかけた物があるかと思うと、光沢のある滑らかな肌触りの物もある。


ジーンズ、カジュアルパンツ類のOEM生産を手掛ける友人によると、チノパン向けの生地を選ぶのはなかなか難しいという。昨年春から彼の事務所でもジーンズ生産依頼が激減し、代わりにチノパンの生産依頼が激増しているという。複数の生地商社を廻ってもなかなか満足できる生地がなく、最終的に知り合いから紹介してもらった生地商と取り引きを開始した。


過去に購入したチノパンが2本ある。一つはエドウィンの商品で、ポリエステル綿混で生地が薄い。主に夏場に着用している。もちろん、ライトオンで3900円に値下がりしてた時に購入した。
もう一つはユニクロのヴィンテージ風チノで、ハードにウオッシュがかかり色落ちしている。2009年に購入した記憶があるが、当時はヴィンテージチノに2種類があり、ウオッシュのかかった物とそうでない物があった。現在はウオッシュのかかった物は廃番になっており、ウオッシュされていない商品は継続されている。これも当時は3990円だったのだが、今は2990円に定価改正されている。自分は3990円が1990円に値下がりしたときに購入した。

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(ユニクロの廃番となったウォッシュビンテージチノ)






OEMの友人によると、ハードウォッシュのチノパンはGAPやアバクロでも見られるように、欧米ブランドにも国内ジーンズメーカーにもよく見かけるが、パリッとしてプレスをかけるようなチノに適した生地はなかなか見つけられないという。もちろん、彼の主観によるところも大きいのだろうけど。そういう意味では自分も含めてデニムを長く見ている人間はチノパンが苦手なのかもしれないとも思う。

店頭でチノパンを見れば見るほど、どれが良いのかわからなくなってきており、迷走しているのが現状である。

利益を高めるには品番数の絞り込みが必要

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 ライトオンやジーンズメイト、マックハウスでエドウィンやリーバイスのジーンズが4900~7900円くらいに値下がりしていることがある。これはほとんどの場合、廃番になったジーンズだ。廃番ということは生産中止であるので、メーカー側も小売店に対して値下げ販売を許可するのである。

先日、リーバイ・ストラウス・ジャパン社の新社長方針のことを書いたが、新社長はブランド価値を高めるために「店頭で安売りされている商品を買い戻す」という方法を選択された。しかし、そもそもなぜ廃番が発生するかと言えば、品番数が異常に多いためである。

リーバイスというブランドを例に挙げれば、名作「501」のほかに502、503、504、505、515、517という定番がある。これ以外にも511、512などの品番や、デザイン対応やシーズン対応のイレギュラー品番がある。またエドウィンのHPで確認したところメンズだけでジーンズが165種類もある。まあここには、形が同じで色違いというものも含まれているので実際の型数は少なくなるだろうが、それにしても多すぎる。全品番がまんべんなく売れるわけではないから、これでは廃番が発生するのは当然である。

先日、ポイントの新ブランド「ナッシュダレック」の1号店がオープンした。ポイントはご存じのように、社内にデザイナーやパタンナー、生産管理を置かずに、バイヤーがOEM/ODMメーカーから提案される商品をその都度チョイスして商品を展開してきた。しかし、この「ナッシュダレック」は社内に物作りチームを開設し、自社内で企画デザインを行っている。


1号店の店頭を見ると、定番のジーンズはメンズで3~4型しかない。スリム、レギュラーストレート、ルーズ、キャロットだったと記憶している。それぞれがワンウォッシュ、少し加工したブルー、激しく加工したブルーの3色展開となる。

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(ナッシュダレックのジーンズ)



リーバイスが今後、廃番によるセール販売をなくそうと思えば「ナッシュダレック」ほど型数を絞り込む必要があるのではないか。もし、4シルエットまで絞り込んだとするなら、リーバイスは現在のような120億円の売上高は望めないことになる。ただし利益は現在よりも確保できるだろうが。


冷静に考えれば、ジーンズ専業メーカーはこれまで品番数が多すぎたのである。それはなぜかといえば、ジーンズ専門店の壁面の棚を少しでも多く自社商品で埋めるためである。自社商品が少なければ、他社の商品が壁面に並ぶこととなる。だから1つ1つのデザインはそれほど変わらないのに毎シーズン20品番も30品番も企画し続けたのである。


ジーンズ専業メーカーが利益体質を強化するなら、この無駄に多い品番数を絞らねばならないのである。ジーンズ専門店が自社オリジナル商品を開発し始めている今こそが、これまでの品番数頼りの営業政策から決別する絶好のタイミングだと思う。

さて、リーバイスはどこまで品番数を絞り込むことができるのだろうか。


リーバイスストアの評価点が低かった理由

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 先日、コメントを掲載していた東洋経済の記事がウェブにも転載していただいた。ウェブなので名前の間違いも訂正していただいた。(笑)

http://www.toyokeizai.net/business/strategy/detail/AC/34ee4984ead648ba08763d905d211f0c/page/1/

記事の内容については、読んでいただいた通りなので、付け加えることもない。


それと2月19日発売のモノ批評雑誌、月刊「MONOQLO」でZOZOタウンのセール批評をさせていただいた。
ツイッターで「リーバイスストア」に対する評価が厳しいですね、という感想をいただいた。自分はA、B、Cの三段階評価で、申し訳ないがリーバイスストアにはCを付けさせていただいた。


理由は、リーバイスストアが嫌いというわけではなく、リーバイスストアの品ぞろえの少なさ、それから現在アウトレットで行っている大処分セールに比べて値引き率が低かったから、の2点でC判定とさせていただいた。
リーバイスストアの品ぞろえの少なさについては、これはリーバイスというジーンズ専業ブランドの構造的欠陥だと言える。ついでに言えばジーンズ専業メーカー各社共通の欠陥である。

「専業メーカー」と言われるくらいなので、ジーンズとチノパン、一部ワークパンツくらいしか製造していない。トップス類はGジャン、カバーオール、ワークシャツ、Tシャツ、スエット程度である。このラインナップで「ビームスや「ユナイテッドアローズ」と並んだときに、著しく見劣りする。
「ビームス」や「ユナイテッドアローズ」は小物雑貨、リビング用品までそろっており、またウェアに関して言えばカジュアルからスーツ類まである。これでは見劣りするのも当然である。


現在、リーバイスは直営店・FC店で「リーバイスストア」を、エドウィンは直営の「エドウィン」ショップの拡大を図っている。両社とも単なる卸売りメーカーからの脱却を意図していることは明確である。しかし、ショップを構成する品ぞろえに関しては、まだまだ不十分であると思う。
なぜなら、先に挙げたように、ジーンズを中心としたパンツ類と、Gジャンとワークシャツを中心としたトップス類しかないからである。消費者は毎月1本ずつジーンズを買うのだろうか?おそらく大半の消費者は買わない。
今のラインナップなら、年に3~4回買うかどうかだろう。

ジーンズ専業メーカーから出発して、直営店をジワジワと拡大しているブランドとして「ジョンブル」がある。ここのラインナップはメンズといえども多彩だ。ジーンズ、チノパン以外にもセーター類、カジュアルセットアップ類、小物雑貨までトータルにそろう。
リーバイスとエドウィンは、商品開発の一例として「ジョンブル」を見習うべきだと思う。
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(ジョンブルの旧大阪店店内)





ジーンズの国内販売市場規模は?

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 ジーンズ売り上げが低迷(反対にチノパン、ワークパンツ類は伸びている)ということを良く書いてきたのだが、ジーンズの年間国内販売数量というのは、だいたいどれくらいかと言うと、はっきりした統計はないのだが、一般的に「9000万本~8000万本」と言われている。

売り上げが好調な場合は9000万本、場合によっては9000万本を越えるが、1億本には届かない。一方、不調なら8000万本。過去7000万本台にまで落ちたことはないと言われているが、もしかしたら2011年は7000数百万本に低下するかもしれない。

大雑把に分けて好調不調で約1000万本の販売数量の差がある。

1000万本というと大きな数字だが、全体数量が3割減になったり、半減したりしないところが、ある意味で「ジーンズの底堅さ」があるともいえる。

このうち、ユニクロのジーンズ年間販売数量が1000万~1200万本と言われており、国内市場の7分の1を占めているから驚く。


一口に「1万本」などと、自分も簡単に口にしてしまうのだが、実際には莫大な数量である。
エドウィン、リーバイス、ビッグジョン、旧ボブソンなどの大手ジーンズ専業メーカーのヒット商品と言われる基準は、品番やメーカーによっても異なるが、だいたい「2万~5万本」ではないだろうか。とくに2000年に入ってから「1型で10万本売りました」などという話しは聞かず、ここ数年なら1型1万本でも十分にヒット商品と言えるのではないか。

で、ここから売上高を計算してみたいのだが、
1本の店頭販売価格がだいたい9800円~13000円くらいまでの商品が多いので、仮に1万円だとしておく。
その1万円の商品が大ヒットして2万本生産した。

そうすると1万円×2万本(10,000×20,000)で2億円の売上高になる。
これは店頭売り上げが2億円であり、通常、メーカーはお店に卸売りするので、当たり前の話しだが卸売り価格はもっと安い。
昔は「6掛けで卸す(店頭の60%の価格が卸売り価格)」と言われたが、今はそんなことはない。55%とか50%とか45%になっており、場合によってはもっと低い掛け率で卸している。
1万円の商品なら6掛けだと卸売り価格は6000円ということになる。

ここでは卸売り価格を50%として計算すると、先ほどの商品は店頭売り上げは2億円だが、メーカーは1億円で卸していることになる。

こう考えると、大手ジーンズ専業メーカーは2万本のヒット商品があっても、その売上高は1億円にしかならない(我々庶民には1億円は莫大な金額だが)。しかも、大手ジーンズメーカーの中では、エドウィンとリーバイスが年間売上高100億円を越えている。
単純化すると、この店頭価格2億円分の商品が、あと99種類ないと年間売上高100億円にならない。

こう考えると、年間100億円以上の売上高があるジーンズ専業メーカーのすごさが改めてわかる。

ジーンズ専業メーカーは、売上高を作るために過去はとにかく品番を増やした。10年くらい前のリーバイスで言えば501があり502があり、503、504、505があり、511、512、515、517がある。さらに646とか702とかその他デザインパンツ類があった。
正直、品番とシルエットの違いを覚えるだけでも一苦労だったのだが、品番数を増やさないと売上高100億円以上を維持することは不可能だったのだろう。

それから、これは年始の繊研新聞でも言及されていたのだが、ジーンズ専業メーカーは売上高と売り場シェアを高めるために、ジーンズチェーン店に積極的に納品していた。それは構わないのだが、ほとんどの場合、それは店の買い取りではなく、売れた分だけメーカーに支払って売れ残った商品は返品するという委託販売だったため、期末の返品受け取りによる利益ロスも大きかった。
通常、期末に返品された商品は、値引きされて再出荷されたりするので、そこでもまた利益は低下するという図式となる。


常々、ジーンズ専業メーカーは売上高100億円を維持しようとせずに、30億円くらいの売上高を維持しながらブランド力を高める方が良いと考えているのだが、上記のような図式のままで無理やり売上高を拡大するよりも、思い切ってダウンサイジングした方が利益も高くなる。ただしその場合は、余剰人員の首切りが必要となるため、軽々しくは動けないという事情もあるのだが。

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