南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

あべのハルカス

思い込みと願望だけでは・・・

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 はてなブックマーク - 思い込みと願望だけでは・・・
 今年3月にグランドオープンしたあべのハルカスが早くも下方修正している。
その原因として、若い女性向けの専門店街「ソラハ」の苦戦が挙げられている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140826-00000501-san-bus_all

記事によると、

近鉄百貨店の高松啓二社長は「雰囲気や音楽など、若い女性が好むような演出も不十分だった。来店客を呼び込む仕掛けが必要だ」と指摘。数千万円を投じ、9月中旬の完成をめどにソラハの改修に踏み切る。

とのことだが、そもそも「若い女性向け」というターゲット設定が間違っていたのではないか。
現在のファッション業界において、「若い女性向け」「若い男性向け」というジャンルは旨味の少ないジャンルだと認識されつつある。

その理由は、

まず人口が少ない。
次に可処分所得が少ない。

ことが挙げられる。

人口が少なくてお金をあまり持っていないから、販売枚数は少量になる。
そして買い上げ単価も低い。

いわゆる工業、商業として見た場合の旨味は著しく低い。

ちなみにハルカスがどれほどの下方修正をするかというと、

百貨店部分の売上高と専門店部分の売上高を合計した取扱高ベース売上高は、期首予想の1450億円から280億円減額し、1170億円とした。前期実績は923億1100万円だった。

http://ryutsuu.biz/accounts/g082512.html


とのことだ。


グランドオープンしてから何度か休日、平日と見物も兼ねてハルカスに足を運んだ。
百貨店部分の入場者数はまずまずだと感じる。
あまり閑散としたという印象はなく、平日の昼間でもそれなりにお客がいる。
平日の夕方もそれなりの賑わいがある。

一方、ソラハは平日の夕方や休日でも百貨店ゾーンに比べると客入りが少ない。
人ごみが苦手な筆者からすると非常に快適な買い物環境だといえる。

それにしてもなぜ「若い女性向け」というもっとも困難なターゲット設定をしてしまったのだろうか。

同じ天王寺エリアで、ターゲット設定が同様に失敗していると感じるのが「MIO プラザ館」である。
こちらはJR天王寺駅のすぐ上である。
2階はなぜかファミリー向けを意識したテナント構成となっている。

しかし、さっそく、アバハウスの「マイセルフ」が撤退しており、その跡地に「チャオパニックティピー」が入店している。

MIOプラザ館の面積は狭い。
そしてファミリー向けなら陸橋のすぐ向こうに大型ショッピングセンターの「キューズモール」が存在しており、こちらの方が品ぞろえが圧倒的に豊富である。
まともに勝負しても勝ち目は薄い。

それにしてもキューズモールにもMIOプラザ館にも入店している「チャオパニックティピー」は大丈夫なのだろうか。もしかしたらドミナント戦略なのだろうか。

ソラハも同じである。

若い女性向けというならキューズモールにもあるし、天王寺MIO本館もある。
キューズモールには低価格ブランドがそろっているし、MIO本館は有名ブランドをそろえている。

人口と可処分所得が少ない若い女性層がそれほどたくさんの商業施設で買い回るだろうか。
そういう状況はなかなかありえないのではないか。

このターゲット設定の失敗は、鉄道(近鉄、JR)本体の経営陣の判断ミスではないか。
片方は「ファッション=若者」というステレオタイプな発想、もう片方は「ファミリー向けで成功したい」という根拠なき願望、を反映しているのではないかと感じる。

思い込みと願望だけのターゲット設定というのは、これ以外でもよく見られる。
そしてそれが成功した試しは限りなく少ない。

短すぎる滞在時間に驚き

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 はてなブックマーク - 短すぎる滞在時間に驚き
 先日、あべのハルカス近鉄本店の内覧会に出席してきた。
その際、会見でやたらと「お客様の滞在時間を長くする」を連発されるので、近鉄百貨店阿倍野本店のお客の滞在時間ってどれくらいだろうと疑問に感じていた。

ネットで検索すると、5月1日の日経新聞の記事が出てきた。

あべのハルカス近鉄本店、6月13日先行開業 滞在型百貨店提案
http://www.nikkei.com/article/DGXNASHD01025_R00C13A5LDA000/


この文中に記されていたのだが、驚いてしまった。

滞在時間も直近の本店で1時間10分ぐらいだが、買う、体験してもらう、人と人とがつながる活動などを通じて2時間ぐらいを目指したい

としている。

直近の本店ということは、面積を狭めた改装中の本店のことだろうから、売り場総面積は4万8000平方メートルだ。
改装前は6万7000平方メートルあったからそれに比べるとちょっと手狭に感じるが、4万8000平方メートルは実際はそれほど狭い面積ではない。
JR大阪三越伊勢丹の売り場総面積が5万平方メートルであるから、これとほとんど遜色が無い。

その割には滞在時間1時間10分というのはあまりにも短い。短すぎると言っても過言ではない。

4万8000平方メートルの売り場面積の百貨店で1フロアを見て歩いて何か1品を買ったとしても所要時間はおそらく1時間半を越えるだろう。それが1時間強しか滞在時間がないというからそのあまりの短さに驚いてしまう。
来場客のほとんど目的買いだといえるだろう。

「○○(ブランド名・テナント名)の××(商品名)だけを買うッ!それ以外は見向きもする気はないッ!」

来場客のほとんどがそういう状態だといえる。
なるほど、これなら「滞在時間を長くする」を連発しても不思議ではない。

それの改善策として「音楽と香り」を打ち出しておられたのだが、正直、その施策にはピンと来るものはなかった。
まず、音楽だがだいたいどこの商業施設でも流れている。
百貨店、ファッションビル、郊外型ショッピングセンター、量販店、食品スーパー、コンビニなどなど。
音楽が流れるという条件は同じだから、音楽にさして滞在時間を長める効果があるとは思えない。
スーパー万代だって花園町のイズミヤだって音楽は流れている。

次に「香り」だが、筆者は香りにはあまり興味が無い。
香りによって店に入るとか入らないというのはあまり関係がない。
よほどの悪臭だと逆効果になるのは言わずもがなだが、香りがシトラスだろうがミントだろうがローズだろうが、それが入店する動機にはならない。
空腹時にカレーの匂いに誘われることはある。そのタイミングでのカレーの匂いが筆者にとってはもっとも本能に訴えかけるものといえる。

筆者は香りには無頓着な方なので、そうではない方も大勢いらっしゃるとは思うが、知る範囲では商業施設への来店の動機が「香り」だというのはあまり耳にしたことが無い。

欧米ブランドは「香り」による刷り込みをすると言われているが、日本人にとっては「香り」がそれほど強い動機づけになるとは経験上思えない。

逆に一歩間違えると、「悪臭」との定評があるアバクロ銀座店のようになってしまう。

一方、休憩スペースを増やしたことは効果がある程度見込めるだろう。
けれども滞在時間を長くさせるにはもう一声何か別な施策が必要ではないかと感じられる。
それについてはもうしばらく試行錯誤するほかなさそうだ。

あべのハルカスに思うこと

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 はてなブックマーク - あべのハルカスに思うこと
 2013年に増床開業が早められた近鉄百貨店阿倍野店について思うところを書いてみたい。
ビル名を「あべのハルカス」といい、高さ300メートルの日本一の超高層ビルが完成する予定である。
ここに近鉄百貨店阿倍野が入店する。

道路を挟んだ真向かいに「あべのキューズモール」がオープンし、梅田地区に新商業施設が密集するという状況下で、近鉄百貨店が増床改装という対抗手段を選ぶことは理解できる。
何らかの措置を講じないと、あべのキューズモールにも負けるだろうし、梅田地区に客を取られる可能性も高い。

しかし、近鉄百貨店はこの3年間、断続的に100人単位のリストラを行っている。
傍から見ていると、リストラをしながら日本一高い超高層ビルを建設するという企業姿勢には疑問を感じずにはいられない。
別に高さを日本一にする必要性はないと思う。少し低く計画を変更したところでなんら支障はないように感じる。

この計画が発表されたのは2007年のことである。
翌年2008年夏にリーマンショックが起こり、一気に不況となってしまう。

個人的にはこの時点では、いまだに工事に着工していなかったのだから、計画は変更できたはずではないかと考えている。
しかし、計画は一切変更されず完成を目前に控えている。


近鉄百貨店はリーマンショック以降経営が厳しくなり、100人単位で早期退職を募るというリストラを繰り返している。
経営が順調であるなら、リーマンショックがあろうが何があろうが、計画は続行しても良いと思うが、リストラをしなくてはならないほど厳しいのに、どうして計画を下方修正しないのか不思議でならない。
現に今年3月にも早期退職者を募集しているではないか。


一説によると、この計画は近鉄百貨店がブチ上げたものではなく、親会社の近畿日本鉄道(略称:近鉄)がブチ上げたものなので、そのあたりの斟酌が一切ないという。
これが事実なら近鉄百貨店側もお気の毒な話である。

個人的には、高さ日本一のビルが完成しても手放しではあまり喜べない気分である。


日に日に高さを増す「ハルカス」を複雑な心境で見上げる日々が続いている。
PR
PR






記事検索
livedoor プロフィール
タグクラウド
QRコード
QRコード