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フルオーダーとイージーオーダーとパターンオーダーの違いを改めてまとめてみた

もう様々な方が書いておられるので、繰り返しとなるが、パターンオーダーとイージーオーダーとフルオーダーはまったく別物である。

ちょっとググれば山ほどその違いについて述べておられるブログがあるが、それでもこのブログしか読んでいないという珍しい人も何人かはおられるだろうから、くどいとは思うが改めてまとめてみる。

1、パターンオーダー

あらかじめ決められたパターンをサイズに合わせて微修正するやり方。
各部を採寸後、「ゲージ服」と呼ばれる基準服を着てその差異を修正する。

スーツだと、このパターンオーダーの場合は、ゲージ服をどういう形にするのかが、けっこう大きなウェイトを占めているのではないかと思う。なぜなら、そのゲージ服のパターンを修正するわけだから、それがどういうシルエットなのか、どういうパターン(型紙)なのかで仕上がりの形が変わる。

比較的低価格でできる。平均価格は2万~4万円。

2、イージーオーダー

これはパターンオーダーよりも高額になるが、フルオーダーよりは安い。
各部を採寸後、自分と似た体型の人のパターンを修正するというもの。

基準が決められているイージーオーダーよりも自分の体型に合いやすい。

3、フルオーダー

これは各部を採寸後、その数値を基に、一から型紙を作るというオーダー。
すごく高額になって最低でも20万~30万円はする。

パターンを一から起こすのがどれほどの技術が要るのかは、洋服業界の人でもあまり理解していないが、かなり高等な技術を要する。

通りいっぺんの型紙なら少し勉強すれば引けるらしいが、シルエットの美しさと動きやすさを兼ね備えたパターンを引くには相当の知識と技能が必要となる。
また何をどう重視するのかでパターンは変わってくる(らしい)。

動きやすさを重視するのかシルエットの美しさを重視するのか、シワがよりにくいのを重視するのかでそれぞれパターンが異なる。

まあ、門外漢が知っているのはこの辺りまでである。

だから、パターンオーダーとイージーオーダーとフルオーダーは厳密に使い分けられるべきなのだが、業界の人もこの違いを知らない人が結構いるし、最近注目が高いファッションテック系の人間はほとんど理解していない。
その代表例がZOZOだろう。

販促のテクニックとしては、「盛る」ということがある。
ソフトバンクなんかもよく「盛って」いた。
しかし、個人的には、パターンオーダーをフルオーダーと「盛る」ことは詐欺に近いと思っている。

例えば、ZOZOがPBとして発売したTシャツとジーンズだが、発表当初は「フルオーダー」と発言していたが、今、ウェブサイトに行くと「パターンオーダーです」と書かれてある。
そもそもTシャツとジーンズにフルオーダーなんて必要ないと思っていたが、案の定「盛って」いたのである。ジーンズはそもそも製造関係者によると初回800SKUを製造したそうなので、既製品かパターンオーダー以外は考えられないというのが事実である。

業界外の人から見たら「どっちでもええやん」ということになるだろうが、こういう間違いがさらに消費者を混乱させる。

続いて発売されたオックスフォードシャツもしっかりと「パターンオーダー」と書かれてある。
当たり前だ。フルオーダーのシャツが3,900円程度で発売できるはずがない。

そして、ZOZOのオーダースーツも価格的に見てパターンオーダーだと思う。

まあ、それは置いておいて、オーダースーツと同時に発売されたドレスシャツは「カスタムオーダー」だと書いてある。

カスタムオーダーとはなんぞや?

カスタムオーダーでググってみると明確な定義はない。

しかし、カスタムオーダーとはけっこう幅広く使える言葉で、ワイシャツの襟の形やカフスの形を変えるのもカスタムオーダーだし、ユニクロが個別注文でTシャツやポロシャツにワッペンを縫い付けたり、刺繍を入れたりするのもカスタムオーダーである。
ジーンズの裾を自分の脚の長さに合わせて短く裾上げするのもカスタムオーダーといえる。

通常の既製スーツのズボンは裾上げをするのがほとんどだが、これだってカスタムオーダーといえる。

まあ、要するに既製品でもなんでも、自分流に手直しすることだと思っていて間違いないのではないかと思う。

ところがZOZOのサイトにはこう書いてある。

【カスタムオーダーとは】
お客様の体型に合わせ1点1点ゼロから作り上げる完全オーダーメイド製品です。

ゼロから作り上げるのはフルオーダーで、カスタムオーダーではない。
じゃあこのワイシャツはパターンから作っているのだろうか?たかが2900円の商品なのに。

この言い回しはまた「盛り」気味だし、消費者を混乱させるだけではないかと思う。

消火器を売りつける業者が「消防署の方から来ました」と言うのに似ている。
決して「消防署から来ました」とは言っていないのである。

多少の「盛り」は販促のテクニックとしてはありだが、あまりにも「盛りすぎる」のは詐欺ではないかと思う。

そして「盛りすぎ」が横行した結果引き起こされるのは、間違った知識が世間に広まってしまうことである。

よく、生地関係で話題になるのが、

デニムとダンガリーとシャンブレーの違いである。
デニムとダンガリーは経糸と緯糸が入れ替わっているだけだから見た目には区別ができにくい。

一方、ダンガリーとシャンブレーは綾織りと平織りの違いはあるが、どちらもブルーのシャツ生地用途が多いのでごっちゃに使っている業界人も多い。

業界人がごっちゃにするくらいだから、消費者もごっちゃにする。
そうなると今度は製造側は困惑する。
「あのダンガリーでシャツを作りたい」なんて言われたとき、その「ダンガリー」はダンガリーを指しておらずにシャンブレーを指していることは珍しくない。

このままでは、ファッションはいっそう混沌としてむずかしくなる
https://t.co/hlXgymQ62k

このブログはまさにそれを憂いている。

都合の悪いことに、テック側がリリースしたものは拡散されやすく、どちらでもよくないことが間違った方で広まってしまう風潮です。(ZOZO PBの謳ったフルオーダーがパターンオーダーだった件は記憶に新しいですね。大手通販サイトには、アイテム名称の誤認表記が溢れています)

このままでは、ファッションに関する情報が正誤入り乱れてカオスと化し、いざファッションを知りたい、関わりたいを興味を持ちかけた人が、この混沌ぶりに入口で頓挫してしまうのではないかと気がかりです。アイテム名から間違っていたら、検索すらかけられません。

私は、これ以上ファッションを複雑にしたくありません。

フルオーダーとパターンオーダーを意図的に混同することは、衣料品をさらに混乱させ、複雑化させているだけといえる。
ZOZOはもう少し控えめに盛ってみてはどうか。今の「盛り方」はあまりにも見苦しい。

 

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プライベートブランド「ゾゾ」のすごさは商品ではなく、そのプロモーション手法にある

プライベートブランド「ゾゾ」が発表され、各報道を見ると、矛盾した言説・受け答えが溢れており、読めば読むほど整合性がなくなる。
長らく交流している方から、ゾゾ商品のサイトが完成していると教えていただき、直接自分の目で確認することにした。

http://zozo.jp/pb/

基本的に、ゾゾという商品はフルオーダーではなく、パターンオーダーだということがわかる。
ゾゾスーツでの採寸によって、サイズを合わせるという「仕掛け」によって、「一からその人に合うサイズの服を作る」と思っている人が多いように感じる。
とくに、衣料品業界外のイシキタカイ系ジャーナリストや経済紙関係者にはその嫌いが多い。

採寸によって、一から型紙を起こすというのは、「フルオーダー」でこれは何十万円もする。
何せ、ゼロから形を作り上げるのである。

一方、近年、3万円前後で「オーダースーツ」が売られるようになっているが、これはフルオーダーではなく、パターンオーダーないしイージーオーダーと呼ばれる手法で、厳密にいうとパターンオーダーとイージーオーダーは別らしいが、ここではほぼ同じとして取り扱わせてもらう。

あらかじめ決まったパターン(型紙)があり、採寸したデータをもとにそれを微修正するのがパターンオーダーである。

A6サイズのスーツがあったとして、採寸したデータをもとに、袖を短くしたりウエストを広げたりと微修正する。
襟の形やボタンの種類を選べるようなオプションを付けることができるが、それもゼロから作り上げるわけではない。

これによって、製造期間は短縮できるし、製造コストも抑えることができる。
だから3万円前後でオーダースーツが作れるというわけだ。

受注して即日~2週間で納品できると謳っているゾゾは取りも直さずパターンオーダー商品だといえる。
また「即日納品」が可能だということは、あらかじめ標準商品を何枚か作りおいていて、その標準商品に適応した体格の人から受注があれば、それを即座に送り出すということになり、これなどはパターンオーダーですらなく、単なる既製服販売と同じということになる。
既製Tシャツ1200円というのは、果たして「破格値の安さ」といえるだろうか?

標準商品で満足できない人には、採寸データをもとにした「微修正」が加えられる。
裾丈の長さ、袖の長さ、袖幅などなどを微修正する。

これはジーンズでも同じである。

型紙の微修正なんていうのは、現在ではパソコンのCADCAMを使って行う。
袖丈や袖幅を変更した際に最適なように全体を自動的に微修正してくれる。

ジーンズで限りなく、ウエストのデカい人(150センチくらい)がいて、それ用にウエストを広げた場合、グレーディングと呼ばれる各部の比率変更が必要となる。これを今ではパソコンソフトでできる。
ウエスト150センチに広げた場合、それに比例して各部を広げると、ジーンズの裾幅なんてめちゃくちゃに広くなって袴みたいなジーンズになってしまう。
それではさすがにおかしいので、裾幅はあまり広げずにウエストだけを広げる。
これがグレーディングという作業で、標準とされるS~Lサイズだって同じグレーディングが行われている。

例えば、アダストリアのレイジブルーの商品で見てみよう。

http://www.dot-st.com/rageblue/disp/CSfGoodsPage_001.jsp?ITEM_CD=780048

このズボンのサイズは

Sサイズ ウエスト74センチ・もも周り62センチ・裾幅31センチ

となっている。また、

Lサイズ ウエスト89センチ・もも周り64センチ・裾幅34センチ

となっている。

見比べてみてどうだろうか?
ウエストは15センチ拡大しているのに、もも周りは2センチしか違わない。
裾幅も3センチしか大きくなっていない。

これはウエストに比例して各部を広げていないという証明で、このサイズ比率の変更がグレーディングであり、これは既製服でも普通に用いられている。

ゾゾのオーダーとはパターンオーダーと採寸によるグレーディングを合わせた手法で、「完全オーダーメイド」ではなく、イシキタカイ系が夢想するような「フルオーダー」でもないということである。

商品そのものについてはどうだろうか。
Tシャツとジーンズの画像と説明文を見た限りでは、はっきり言って「普通」である。
恐ろしくかっこいいわけでもないし、恐ろしくダサいわけでもない。
あくまでも「普通」であり、それ以上でもそれ以下でもない。

素材も普通だが、ちょっと奇妙なこともある。

メンズのTシャツの使用素材は40番手双糸なのに対して、レディースのTシャツは20番手単糸なのである。(ウェブサイトにそう書いてある)

ちょっとでも生地や糸の知識がある人にはその可笑しさが伝わると思うのだが、そうではない人のために蛇足ながら説明をする。

この二つの生地は一見するとほぼ同じに見えるだろう。
生地の厚さも同じだ。

しかし、どちらが高品質な素材かというとメンズである。

20番、40番とは糸の太さを表す「番手」であり、数字が大きい方が糸は細くなる。
40番より20番の方が糸が太い。

ところが、糸というのは1本だけで生地を織ったり編んだりせずに、2本を撚り合わせて使うこともある。
1本の糸で織ったり編んだりすると「単糸使い」といい、2本撚り合わせた糸で生地を構築すると「双糸使い」となる。
当然、糸を2本使っているので、材料費は「双糸使い」の方が高くなる。

じゃあどうしてそんなめんどくさい「双糸使い」なんていう生地があるのかというと、単糸使いの生地は総じて、洗濯をすると斜行しやすくなるからだ。とくにTシャツやカットソーの単糸生地は斜行しやすい。これを防ぐために「双糸使い」という生地がある。

そういう意味でメンズTシャツ素材の方が圧倒的にレディースよりも高品質である。

またなぜ生地の厚さが同じかというと、細い40番手の糸も2本撚り合わせると、太さは倍になる。当たり前だ。
40番手2本で、20番手単糸と同じ太さの糸になるため、それぞれを使って編んだ生地は厚さは同じになる。

だから、見た目はメンズもレディースも同じ生地に見えるが、中身は別物だ。

通常、レディースの方の生地クオリティをメンズより落とすことは考えにくく、これは恐らく、同じ生地が手配できなかったための代替措置ではないかと思う。
それでも当方なら20番単糸生地をメンズに使うが、あえてそれをレディースに持ってきたスタートトゥデイは本当に生地に興味がないんだと思う。

プライベートブランド「ゾゾ」の商品自体は限りなく「普通」で、レディースのTシャツ生地のクオリティはあまり高くない。
ジーンズも普通だし、デニム生地も綿99%・ポリウレタン1%の12・75オンスデニム生地なので、ありふれている。

ゾゾの「物」自体は大したことがない。現段階では。

ゾゾのすごいところはその「仕掛け」「販促の手法」にある。
アパレル業界が見習うべきはこの部分である。

まず、採寸できるゾゾスーツの開発に投資するという「仕掛け」。

そして、そのスーツを無料配布するという手法。
それで期待感を煽り、商品の発表ということになるが、期待感で煽られている人が多数いるため(特に経済系インフルエンサーやメディアなど)、メディアに大量に記事掲載される。

従来からあるパターンオーダーと場合によっては既製服販売に過ぎないものが、最新鋭テクノロジーで作られた服かのように報道される。

商品自体はあくまでも「普通」だし、その供給システムも従来型パターンオーダーの域を何一つ出ていないのに、最新テクノロジー服という「イメージ」だけが醸成され続けていく。

この「イメージ戦略」は正直なところ、海外ラグジュアリーブランドにも匹敵するといえる。
単なる塩化ビニールの鞄をさも「良い物」というイメージを与えているルイ・ヴィトンと同じ手法といえる。

そういう意味では、この「仕掛け」「販促手法」「見せ方」は見事だというほかない。

そもそも、今の衣料品でだれもが驚くような画期的な商品なんてものは出現しない。
もしかしたら、未来においては1ミリ秒で蒸着できるようなコンバットスーツが開発されるかもしれないが、そういうものでない限りは、驚くほど画期的な服なんてものは出現しない。

そういうものが現れるとしたら、ハイテクノロジーを詰め込んだウェアラブルだったり、ハイテク機能を満載した機能素材で作られた服くらいしかない。

洋服という商品においては「物自体」での差別化や革新は生まれにくくなっており、「普通の物」と「従来型パターンオーダー」という手垢にまみれた供給システムを再編集して見せなおしたというスタートトゥデイの手腕はすさまじいものがある。
国内のアパレル業界に足りないのはこの部分であり、そこは大いに見習うべきである。

ただし、個人的にはこの商品を買おうとは思わない。
ユニクロで1990円に値下がりしたジーンズを無料で裾上げしてもらった方がコスパが高い。

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プライベートブランド「ゾゾ」に関する報道は矛盾が多くてさっぱり理解できない

スタートトゥデイによるプライベートブランド「ゾゾ」の概要は様々な記事を読んでもさっぱりつかめない。
どうしてつかめないかというと、価格帯と納品までのリードタイムと製造の仕組みがそれぞれバラバラで矛盾しているからだ。

一般紙の記事はもちろんのこと、業界紙の記事も同様でサッパリわからない。
業界紙の場合は、製造などについて一般紙よりも詳しいはずなのだが、そのところへの言及はなく、発表時の文言のみで報道しているとしか思えない。

WWDを例に出す。

https://www.wwdjapan.com/515448

この記事によると、

“ぴったりな”サイズを注文できる受注生産体制をとる。しかも、袖丈や着丈などのサイズ感は自分で調整でき、注文後は即日〜2週間で商品が届く。

とある。

これはいわゆる、パターンオーダーの考え方でその都度の受注生産だと考えられるが、通常、この生産方法だとフルオーダー(フルオーダーとパターンオーダーは生産構造自体がまったくの別物)ほどの高価格にはならないが、ユニクロに並ぶ低価格には抑えられない。
さらに注文後は「即日~2週間で納品」とあるが、ここも良くわからない。

衣料品業界は製造と商品企画と売り場がそれぞれ分断されていて、包括的に知識を持つことが難しい業界であり、それこそ誰でも知っているような著名なデザイナーや企画マンですら製造のことはあまり知らない。
大手セレクトショップの社長なんて製造のことを知っているはずもない。

だから、この「即日~2週間」という文言を見たとき、消費者はもとより、業界の製造に携わらない人たちだってまったく何がおかしいのかわからない。
現に、普段から当方と頻繁に行き来しているスタイルピックスの深地雅也社長だって、ピンとこなかった。

ここでの疑問点は、「生地はどうしているのか?」という点である。
当たり前だが生地が無くては服は作れない。

当然のことながら、生地を用意する必要があるが、即日~2週間という短期間で納品するためには、生地をその都度作るのでは到底間に合わない。

おわかりだろうか?
生地をそんな短期間で製造することは不可能なのである。

この場合、ゾゾは2つの方策で生地を手配すると考えられる。

1、商社・生地問屋または工場が備蓄する、またはゾゾが備蓄する
2、業界に常に流れている定番生地を使う

この2つである。
即日納品なんて看板を掲げているので、その都度注文が入ってから生地を作ることは絶対にできない。

これ以外に短納期で洋服を作ることは不可能で、もしかすると、一般メディアやイシキタカイ系経済関係者は「ゾゾが画期的なシステムを構築したかもしれないだろ」と反論しそうだが、ゾゾが生地の背景まで買収やら業務提携したという話は聞かないし、いまだに発表もされていない。

縫製段階までは何らかの手を打って投資したと発表しているが、生地製造に関しては何の発表もない。

90年代後半にワールドがクイックレスポンス体制(QR体制)を構築し、市場を席捲したが、これは「売れ行きが良かった商品をクイックに(2週間~3週間)で追加生産して店頭に並べる」ということが目的だった。
しかし、同じ生地がない場合も多く、その場合、どうしていたかというと、「似たような生地」もしくは「まったく別の生地」を用意して同じデザインの商品に仕上げて対応していた。

それほどに生地を一から作るのは時間がかかる。追加発注から3週間で店頭に並べるのに、一から生地を製造している時間はないのである。

一概に生地を製造と言っても、さまざまな段階がある。大きく分けて

1、綿(わた)から配合して生地を作る
2、糸を交撚や加工する段階から生地を作る
3、完成した糸は備蓄してあり、生地を織る(編む)

の3つがあるが、まったく完成までの時間が異なる。
もちろん、1がもっとも時間がかかる。

糸の成分組成や生地の組成のレシピが残っている場合よりも、そういうものが残っていない方が時間がかかる。
試織・試編みを繰り返さなければならないからだ。

もっと細かく言えば、染色堅牢度や引き裂き強度も試さなくてはならない。

こうした作業で普通に完成まで何か月かかかる。
一から生地を作った場合、最低でも3か月くらいは生地の製造が完成するまでかかり、場合によってはもっとかかる。

東レという合繊メーカーと提携しているユニクロがどうして1年前とか1年半前から商品企画にとりかかるのかというと、生地の開発・製造の時間を考慮している部分もある。

どこぞの商社経由で在りものの生地をどこかから仕入れてくるという体制ではないからだ。
逆にユニクロ以外のアパレルブランドはそういうケースが多い。
とくに中小・零細アパレルは生地開発までやっている時間も体力もない。

生地問屋で買ってくるか、商社経由で手配してもらっているかのどちらかで、生地工場と直接開発しているブランドなんて業界全体から見たらホンの一握りしかない。

こういう背景を知っていると、ゾゾは生地をどうやって手配するのだろうと疑問しか感じない。
スタートトゥデイのこれまでの記事を読んでいると、前澤友作社長自身も生地にはあまり思い入れや思い込みがなく、話題にも上らない。

当方は別に生地にこだわれとは思っていないし、産地ガーなんてこれっぽっちも思っていないが、生地が変わると同じデザインでも商品としての見え方が変わるのも事実である。
ワールドがQR体制を構築したものの、経営不振に陥った原因の一つには、生地を変えて同じデザインを並べても、それは初回生産分ほど売れ
なかったということも挙げられる。
いくら形が同じでも生地が変わると消費者は「別の商品」と見なすから、改めて追加補充分を買おうとは思わなくなる。

生地にこだわりすぎるのも危険だが、こだわらなさすぎるのもまた危険でもある。

安易に「生地変え」しての対応なんてしても往年のワールドよろしく、不良在庫の山を築くことにもなりかねない。
それにしても読めば読むほど、プライベートブランド「ゾゾ」の詳細は分からなくなる。
これを手放しで「スゴイ」なんて褒めちぎれる人はよほど純粋かおめでたいか、のどちらかだろう。

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