売上高が買い上げ客単価×買い上げ客数でしか算出できないように、ブランド全体の売上高や特定の商品の市場規模も購買客数の多寡が重要になる。

いくら画期的な商品を開発したとしても買い上げ客数が少ないなら、その商品の売上高は少なくなる。
買い上げ客数が少ないことにはいくつかの理由が考えられる。

1、告知・宣伝・広報が足りなかった
2、商品のデザインや機能に問題があった
3、価格設定が高すぎた
4、十分な販路を開拓できなかった。

などである。

今回は3について考えてみようと思う。
どんなに良い商品でも高すぎる価格設定では買い上げ客数は爆発的には増えない。
なぜなら購買能力のある人が減ってしまうからだ。

ユニクロがあれだけの売上高になった理由の一つには誰でも買える安い価格設定ということがある。

また最近、iphoneの機種変更をして再認識したが、新興の格安スマホを除くと、大手キャリアのスマホの中ではiphoneが一番安いのである。
日本ではiphoneのシェア率がダントツに高いが、その理由の一つには他のandroidスマホに比べて料金設定が安いからということが考えられる。
何もブランドステイタスだけで販売できていたわけではないだろう。

いくら良い品でも高すぎる商品を買える能力がある人は少ない。
高くなればなるほど購買能力のある人の人数は減る。
すなわち高収入でなければ買えないからである。
そして高収入の人口は低所得者に比べて圧倒的に少ない。

先日、ふと思い立ってRAGTAGというデザイナーブランド、一流ブランド専門の古着屋に入ってみた。
以前から何度か見かけていたのだが、個人的には古着屋と古着が好きではないので、入店しなかった。
また路面店は入りにくいということもあった。

ファッションビルの天王寺MIOの3階に少し以前に入店していたので、まあ、路面店よりは覗きやすかったということもある。

古着屋と古着が好きではない理由として、20代とか30代前半にアメリカ村の古着屋を何度か覗いたことがあったのだが、どの店もなぜかお香だか線香だかみたいな匂いが漂っていたし、ごちゃっと雑然と商品が並べられていた。
嗅覚的・視覚的にちょっと抵抗があった。

また商品自体もなんだか薄汚れた感があったし、前の持ち主の体臭が残っていそうな雰囲気がして、想像過剰かもしれないがそれにも抵抗があった。

RAGTAGの展示は商品を並べ過ぎず、空間がたくさんあるので、イメージしていた古着屋とは異なっていた。
また全品クリーニングしてから店頭に並べるそうなので、ピシっとアイロンまでかけられており、見た目には新品とそん色がなかった。

このあたりが消費者に支持される要因の一つではないかと思う。

で、商品の価格にも驚いた。

オックスフォードのボタンダウンシャツでだいたい7000~9000円くらい。
元値は2万円台の商品である。
あのラベルはブルックスブラザーズだったと思う。

ユニクロの投げ売り品に慣れた筆者からすると「高い」というのが本音である。
ユニクロの重衣料(コート、ブルゾン、テイラードジャケット類)の定価より高い。

ユニクロで、ストレッチ混セルビッジデニム生地を使った3990円のジーンズを1290円に値下がりしてから買うような人間からするととても手が出ない。

しかし、知り合いであるデザイナーズブランド好きな人間からすると半額以下になっているから「買える範囲内」の価格設定だという。

たしかに冷静に考えてみると、元値にもよるが、ジャケット類・コート類でだいたい2万円台、シャツ8000円前後というのは高所得者でなくても「買える範囲内」の価格設定だと思う。

で、よほどの高所得者を狙ったブランド以外はこのあたりの価格が適正ではないかと思った次第だ。

昨今、嘘か本当かわからない「日本製ブーム」が起きているかのように認識されることがある。
昨日のブログでも書いたように中国生産、A.S.E.A.N.生産一辺倒だった大手が突如として日本製を打ち出し始めている。

当然、国内の繊維産地も自社製品開発に力を入れており、続々といわゆる「産地ブランド」品を発表している。

しかし、多くの産地ブランド品の場合、色柄やデザインや機能性は凡庸である上に、ブランドのステイタス性がない。
それでいて驚くような高価格に設定されている。
製造原価を積み上げて利益を載せるとそういう価格設定になるのかもしれないが、その高価格品に対する購買能力がある人がどれほどの数存在すると認識しているのだろうか。

もちろん、ほかの出費を犠牲にしてその商品を買う人という熱烈なファンを獲得することは可能だろうが、そういう人たちは少数派である。

「多くの人に買ってもらいたい」という抱負を聴くことが多い。
しかし、多くの人に買ってもらいたいなら、多くの人が買える価格設定にする必要があるのではないか。
むやみに低価格競争をする必要はないが、ラグジュアリーブランドと並ぶような高価格設定にするのも戦術ミスではないか。

RAGTAGの価格設定を見て、多くの産地ブランド品だけでなく、いわゆるデザイナーズブランドやファクトリーブランドについても同じではないかと思った。