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2年前も華々しかった

 媒体が違うと読者層も異なるとはよく言われることである。
ところがいざ、自分のこととなるとめんどくさいと感じてしまうのである。
先日、このような記事を書いた。

大阪でビール1杯800円は高すぎるか
好スタート「グランフロント大阪」が抱える不安
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20130624/250103/?P=1

先日、グランフロント大阪の開業1カ月後の実績が発表された。
ご存知の方も多いと思うが、改めて書くと売上高50億円・来場者数761万人だった。
初年度目標は売上高400億円・来場者数2500万人なのでこのままのペースで残り期間を過ごせるなら、どちらも軽くクリアできるはずである。
そういう意味では「好調発進」といえる。

ところが来場者数の割には売上高が低い。
これもまた事実であり、その観点に基づいて産経新聞が次のような記事を掲載した。

グランフロント大阪は高級すぎる? 1人当たり売上高「700円以下」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130609-00000500-san-bus_all

グランフロント大阪の現状の客単価は657円とかなり低い。
これについては、このブログでも書いたことがあるし、ほかの識者のブログでも言及されている。
売上高を来場者数で割ったらそうなる。

本来の客数とは「買い上げ客数」であるため、来場者数で割ることはナンセンスだという批評もある。
それはもちろんその通りだが、「買い上げ客数」の目標値も実績も発表されていない現状では、一つの目安として来場者数で割るほかない。
あまりに低い「客単価」であるため、ほとんどの来場者が買わずに「見物に来ただけ」と推測できる。

ただ、お客は少ないよりも多いに越したことはない。
枯れ木も山の賑わいともいう。ガラガラの施設よりは見物客だけでもたくさん来場してもらったほうが活気が出る。販売員の方々のモチベーションも維持しやすいだろう。

とりあえずは「好調発進」と評価されているグランフロント大阪だが、実は2年前にオープンしたJR大阪三越伊勢丹のオープン1カ月後の実績とそれほど大差がない。
逆に客単価は当時のJR大阪三越伊勢丹の方が高かったのである。
2011年6月7日の記事である。

JR西日本/大阪ステーションシティ開業1か月で1000万人来場
http://ryutsuu.biz/store/d060709.html

5月4日から6月3日までの来館者数はJR大阪三越伊勢丹が約480万人、ルクアが約540万人で、合計で1020万人となった。
売上高はJR大阪三越伊勢丹が約45億円、ルクアが約41億円となった。

この数字から客単価を算出すると、45億円÷480万人=937・5円となる。

グランフロント大阪よりも280円ほど客単価が高かったことになり、こちらの方が効率は高かった。

もしJR大阪三越伊勢丹がこのペースで推移したなら年間売上高は11か月合計(2011年5月~2012年3月末)で500億円弱となるから、当初計画550億円に少し届かなかった程度で済んだはずである。
そうならなかったのは7月以降、大幅に失速したからである。当初の来場客の多くがリピーターにならなかったとも言えるだろう。

このJR大阪三越伊勢丹と同じ現象が、ほとんど隣接しているグランフロント大阪に絶対に起きないとは言い切れないのではないか。

その可能性も考慮してグランフロント大阪の売上高目標は400億円と少し低めに見積もられているのではないかと思ったりもする。
以前、取材した際にJR大阪三越伊勢丹の売上高目標は2008年のリーマンショック以前に立てられたもので、その後も下方修正しなかったと伺ったことがある。
もし、下方修正していればここまでの惨状とは見えなかったのではないだろうか。
結果論に過ぎるかもしれないが計画立案ミスだろう。

さて、そんなわけで猜疑心の強い筆者は、グランフロント大阪が400億円達成するかどうかはもう少し経過を観察してからでないと「決定的」とは言えないと感じている次第だ。

何の根拠があったの?

 少し以前の話題で恐縮だが、JR大阪三越伊勢丹の2年目の売上高は前年よりさらに減少して303億円に終わった。

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130402/biz13040220370041-n1.htm

 JR大阪駅ビルの百貨店「JR大阪三越伊勢丹」(大阪市北区)の運営会社は2日、平成24年度の売上高が約303億円と、約1カ月間短かった前年度(平成23年5月の開業から24年3月)に比べ2%減だったことを明らかにした。

 一方、隣接する大阪駅ビルの専門店街「ルクア」の売上高は前年度比5%増の357億円と堅調に推移しており、開業初年度に続き2年目も両者の明暗を分けた。

 三越伊勢丹は上半期(5~9月)の売り上げが開業1年目の同期間に及ばなかったほか、11月に阪急百貨店梅田店が全面開業した影響も受け、前年度を下回った。

とのことである。

開業年の売上高は310億円だったが、それよりも営業日が1ヶ月も多くて7億円の減収だからかなり厳しい。

昨年はどこからともなく、前年実績を単月で更新したという情報が流れてきた。
しかし、定期的にJR大阪三越伊勢丹の店頭を見ていると、来場者はいつも少ない。
果たしてこんな来場者で前年をクリアできているのだろうか?と疑問に感じていたが数字は正直だったということである。

さて疑問なのはJR三越大阪伊勢丹の発表されている再建策である。

2014年からブランドを大幅に入れ替え、専門店を多数誘致するという。
さらに2015年度には運営会社のJR西日本伊勢丹を黒字転換したいとしている。

JR京都伊勢丹の業績がどう推移するかにもよるだろうが、率直に言えば、そんな短期間でリニューアル効果が顕現し、翌年度にいきなり黒字転換するものなのだろうか?

もちろん、社の内外に向けて景気の良い花火を打ち上げる必要があることは承知しているが、それでもちょっとブチ上げすぎではないかとも感じる。

そもそも「2年目は少し好転している」と主張されていた人々は何の根拠を持っていたのだろうか?
初年度はオープニングにあれほどの来場者が押し寄せたにもかかわらず、310億円の売上高にとどまったのだが、2年目はそのオープニングの来場者ラッシュはなかった。普通に考えるなら2年目の売上高は初年度に及ばないということはすぐに分かるはずである。

さて、今年度の売上高はどうなるのだろうか?
現在、年度は始まったばかりだが来場者数はあまり変わっていないように見受けられる。

だとすると、このまま何も手を打たなければ売上高は300億円を下回るのではないだろうか。

グランフロント大阪が出来て梅田の人の流れが変わる・・・・・・・・といわれていた。
たしかに変わったが、JR大阪三越伊勢丹への来場者数は店頭を見ている限りはあまり変わっていないように見える。
人の流れが変わった。しかし、ただ流れ方が変わっただけだったようだ。

理論に基づくだけでは足りない

 阪急百貨店うめだ本店とJR大阪三越伊勢丹については様々な方が様々な見地からの意見を述べられており、百家争鳴という印象がある。各氏の意見はそれぞれの専門分野に基づいてなされており、どれもが一理ある。

まず、JR大阪三越伊勢丹の不振については大きくまとめると「自慢の自主編集売り場が大阪の消費者に受け入れられなかったから」とされている。しかし、ディスプレイの定説を踏まえるなら、JR大阪三越伊勢丹の売り場はほぼ満点に近いはずである。
満点に近い売り場がなぜ「受け入れられなかった」のかについて言及されている意見は少ないように思う。
せいぜいが、「大阪の消費者はブランド別陳列に慣れているから」というものだが、それだけでオープン時に何十万人押し寄せた人々がリピーターにならなかった理由になるのだろうか?
少し、説明としては不足している気がしないでもない。

次に阪急百貨店うめだ本店であるが、9階の祝祭広場、10階の梅田スークが話題となっている。
とくに10階の梅田スークは、作家ブランドや若手デザイナーブランドを次々と期間限定出店させており、これまでにない非百貨店的な売り場として人気が高い。
しかし、この9~11階についても批判する声もある。
例えば「9~11F吹き抜けの祝祭広場は、ただっ広い空間に各フロアから雑多な意匠が無神経に交錯するイコン性の希薄さ、とりわけUFO風の天井シャンデリアと安っぽいミラーボール、旧店舗から移設されたロココ調の大時計とのブレードランナー的ミスマッチには失笑するしかなかった」と論評していらっしゃる方もいる。
これはこれで一つの見方であるし、通常の売り場作りの理論に照らし合わせれば正論なのだろう。

個人的には9階祝祭広場の自慢の階段をもっと横幅を広げるべきだと感じる。
今の階段では少し横幅が狭すぎる。

IMG_0954

(酷評?ww されたシャンデリア)

IMG_0958

(横幅がもう少し欲しかった祝祭広場の階段)

閑話休題

さて、「王道的」と評価の高い大阪三越伊勢丹と、理論上では失笑されるような阪急は消費者の評価でいうなら、今のところ真逆と評価して差支えないだろう。

なぜだろうか、と疑問を覚えずにはいられない。

先日、台東デザイナーズビレッジの鈴木淳村長が、両方の売り場を見比べてブログで意見を述べられている。

http://blog.livedoor.jp/tdv001/archives/54344391.html

たしかに三越伊勢丹では、
良く言えば見やすく、選びやすい統一環境の売場作りがされていますが、
悪く言えば全体的に画一的で、メリハリがありません。

阪急では、フロアの中でもコーナーごとにがらりと演出が変わり
飽きさせないし、10階等は迷ってしまうのですが、
それがまた楽しくさせるような演出になっています。
多様性を重視し、ブランドごとの個性を強調しているようです。

小売業界では、
キレイに色ごとに並べた売場が良いとか、
売場に面積あたり何点商品を飾ったら良いとか、
いろいろと大事な理論があるそうです。

その理論に従うと三越伊勢丹の売場はお手本みたいでしょうね。

たしかに、買うことを前提に来店したお客様には
見やすく、選びやすい売場は便利なのでしょうが・・・・。

しかし、そこから「楽しい」「欲しい」と感じさせる魅力が生まれるのでしょうか?
ということを考えさせられます。
モノの力だけでは厳しいでしょう。

(中略)

効率を考えたときに「無駄」と言われてしまうようなことに
お金と力を情熱を注いでいます。

でも、その無駄が楽しい、おもしろい、
もっと見たい、また来たいと思わせてくれます。

(中略)

他の百貨店が阪急うめだ本店のように潤沢に手間とコストをかけられるか
と言えば売上の点からは難しいのでしょうが、
それでも、その「楽しませる」ことをベースに売場を組み立てることは
真似できるのではないかと思います。

とのことである。

個人的には、この意見である程度の説明がつくのではないかと感じている。

たしかに、バブル期までは欧米の理論に基づいた「見やすい売り場」「分かりやすい売り場」が消費者からも支持されていた。しかし、今の消費者はそういう「見やすい売り場」「分かりやすい売り場」よりも「楽しい売り場」を志向しているように思える。
百貨店業界以外でいうなら、少し以前、ドンキホーテやヴィレッジバンガードの陳列方法が話題となった。
はっきりいえば「ゴチャっとしている」「ぜんぜん見やすくない」のだが、なぜか消費者から支持されている。
ドンキホーテは「低価格」という武器があるが、ヴィレッジバンガードは扱っている商材の単価は安いけれど他店と比べて値引き販売しているわけではない。それでも売れた。

どちらも「売り場がおもしろい」「楽しい」「ゴチャっとしているが宝探しのようなわくわく感がある」と評価されていた。

これと似たようなことが10階梅田スークの高評価につながっているのではないかと思える。
「見やすい売り場」「分かりやすい売り場」「セオリーに基づいた売り場」なら、そこら辺に掃いて捨てるほどあるから目新しさを感じないのではないか。そんなふうに思えてくる。

理論に基づいた完璧な売り場に魅力は感じられない。むしろ無機質になりすぎて親しみにくい。とそういうことだろうか。

共倒れの危険性も感じるのだけど・・・・・

 阪急うめだ本店がリニューアルオープンし、JR大阪駅前はさらに混雑が増したように感じる今日この頃。
同じ駅前の大丸梅田店、阪神百貨店もそれなりに堅調な人入りである。
ルクアも昨年よりはやや落ち着いた感じはあるが、それでも人入りはまずまずである。
残るJR大阪三越伊勢丹はどうかというと相変わらず、人入りは少ない。

昨日このような記事が掲載された。

JR大阪三越伊勢丹、売り場縮小へ ルクアと一体的展開
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121219-00000033-asahi-ind

苦戦のJR大阪三越伊勢丹、隣の「ルクア」からテナント
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121219-00000589-san-bus_all

百貨店のJR大阪三越伊勢丹(大阪市)が売り場面積を縮小し、空いたスペースは専門店を運営する好調なルクアと一体的に展開することが分かった。2014年度末までに改装する。大阪三越伊勢丹は11年5月の開業から苦戦が続いており、専門店との融合で売り場の魅力を高め、収益改善を目指す。

JR西日本と三越伊勢丹ホールディングス(HD)は大阪三越伊勢丹のてこ入れ策を話し合ってきたが、百貨店業態だけでの生き残りは難しいと判断。面積縮小で費用を削減し、専門店の導入で再建を図る。(朝日新聞)

との内容である。また

JR西日本と三越伊勢丹ホールディングス(HD)が来年3月をめどに検討を進めているJR大阪三越伊勢丹(大阪市北区)の再建策について、隣接するファッションビル「ルクア」のテナント店を入れる方向となったことが、19日に分かった。収益力の高い専門店で売り上げ増を図る。

平成26年度末までに行われるルクアとテナント店との契約更新に合わせ、売り場の拡大を求めるルクアのテナント店をJR大阪三越伊勢丹に移す考えだ。(産経新聞)

という。

ルクアのテナント店をJR大阪三越伊勢丹に移すというのが今回の主眼である。

筆者は意識的にJR大阪三越伊勢丹を見に行くようにしている。たいがい平日夕方7時くらいに行くのだが、いつ行っても閑散としている。時間的に地下二階の食品フロアはさみしくない程度にはお客が入っている。だが、決して混雑しているというレベルではない。

そこから上へ足を延ばす。
地下1階もまあ、人はいる。
地上1階はポツポツと人がいる。
地上4階くらいまでは何とかお客の姿を見ることができる。
地上4階から上はほとんどお客がいない。従業員のみのフロアも珍しくない。

毎日、24時間見ているわけではないので、混雑している時間帯や曜日もあるのかもしれない。
しかし、行くたびにこういう光景なので、平均すると人入りは少ないのだろうと判断できる。

正直な感想を言うなら、今年度の売上高は初年度を上回ることは決してないだろう。
なぜなら、「不振」と言われた初年度でも6月ごろまではオープン景気で、何十万人という客入りがあった。
今年度はそのオープン景気がない。入場客数は格段に落ちているはずだ。
これは筆者の推測だが、来年4月末までの全館売上高は300億円を下回るのではないだろうか。

その「テコ入れ策」としては、導入しているブランドを大きく入れ替える必要があるのだが、
駅前には阪急、大丸、阪神と百貨店が3つもあり、めぼしいブランドはどれかに入ってしまっている。
おまけに来春には伊勢丹の北側に「グランフロント」が開業する。ここに入店する有名ブランドもそれなりの数があるため、めぼしいブランドの導入は最早望めない。

そうなると、隣のファッションビル「ルクア」に入店するようなSPAブランドやセレクトショップの導入しか手はなくなる。今回の「ルクア」のテナントの一部を移動させるというのは、次善のプランであるとはいえる。

しかし、ルクアとJR三越大阪伊勢丹は同じJR西日本グループの運営するビルとはいえ、10階と5階と3階と地下1階くらいでしかつながっていない。10階はレストラン街であるので除外する。
こう考えるとルクアと伊勢丹は非常に回遊性が悪い。JR大阪三越伊勢丹の10階レストラン街は比較的混んでいる。その理由の一つはルクアと地続きであるためだ。

回遊性が悪いと、せっかくルクアからテナントを移動させてもあまり効力を発揮しないだろう。
とくにルクアからお客が流れてくることはそれほど期待できない。

もしかしたら主力テナントが入れ替わったルクアの売上高も下がってしまう可能性も否定できない。
今回の措置はルクアとJR大阪三越伊勢丹が共倒れになる危険性もあると考えている。

さて、先に引用した産経新聞の記事で気になる個所がある。

JR西日本の真鍋精志社長は同日の記者会見で「早期に再建策を作るべく、スペースの使い方を含めて検討をしている」と述べた。三越伊勢丹HDは「売り場面積の縮小は考えていない」とコメントしている。

とのことだが、三越伊勢丹側は「売り場面積の縮小は考えていない」とコメントしているがこれはどういうことだろうか?もしかして、先のプランはまだ内部でも確定できていないのだろうか?
伊勢丹側の売り場面積を縮小しなければルクアからテナントを導入することは不可能である。
伊勢丹側は単体でのテコ入れ策を模索中なのだろうか?

ルクアのテナントを導入するにしろ、そのプランが内部でコンセンサスを得ていないにしろ、今回の記事はその迷走ぶりが明らかになったと感じるが、みなさんはいかがだろうか?

4年後の黒字化という目標はあまりにも厳しい

 先週26日、JR西日本が188億4100万円の特別損失を発表した。

これは昨年5月に開業したJR大阪三越伊勢丹の売上不振によるものだ。

JR西が特別損失188億円、「三越伊勢丹」が不振
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121026-00000609-san-bus_all

JR西日本は26日、大阪駅ビルに入る百貨店「JR大阪三越伊勢丹」が当初見込んだ収益を確保できていないとして、三越伊勢丹の内装設備の減損損失(特別損失)として188億円を平成24年4~9月期連結決算に計上すると発表した。ここしばらくは黒字が見込めないため。JR西は30日に決算発表するが、業績予想については「精査中」とした。

昨年5月に開業したJR大阪三越伊勢丹は、他の百貨店などとの競争が激しいことなどから苦戦を強いられている。4月までの開業1年間の売上高は334億円と、開業前の目標の6割にとどまり、大幅な赤字となった。

 一方、JR大阪三越伊勢丹の運営会社に共同出資している三越伊勢丹ホールディングス(HD)も同日、24年4~9月期連結決算の業績予想を下方修正し、最終利益を従来予想から75億円引き下げて15億円とした。決算会見の席上、同社はJR大阪三越伊勢丹の黒字化目標時期を平成28年3月期とした。

とのことである。

今回のJR西日本の特別損失も大きいが、三越伊勢丹ホールディングスの最終利益の下方修正もかなりの痛手といえる。

とくに気になるのは、JR大阪三越伊勢丹の黒字化目標時期が4年後であることだ。
黒字化には4年間必要だということになる。今年単年度の損失も痛手には違いないが、4年間黒字化できないということの方が重症ではないか。

今月の発表の2カ月ほど前に、JR西日本伊勢丹の瀬良知也社長のこんなインタビューが掲載されている。

http://www.sankeibiz.jp/business/news/120814/bsd1208142235008-n1.htm

 ジェイアール西日本伊勢丹(京都市下京区)の瀬良知也社長(56)は14日、産経新聞のインタビューに応じ、開業初年度の売上高が当初目標の約6割にとどまったJR大阪三越伊勢丹(大阪市北区)について、「現時点で出店時のコンセプトを崩したくはない」と強調。ブランドではなく、商品ごとに売り場を設定する“自主編集売り場”など他店にない独自性を維持する考えを示した。

 瀬良社長は、維持の理由について、新規カード会員数が順調に増えていることに加え、今夏の中元商戦の売上高が前年を上回ったことを挙げ、「今の店に関心を持つ人がいる。少なくとも誰からも見向きをしてもらえない危機的な状況ではない」と分析した。

 一方、大阪市内の百貨店で唯一、7月のセールの開催日を前年の1日から13日に先送りしたことについて「初日の売上高は前年よりも増えた」と評価。来年1月の冬のセールについても「(2日の)初売りとセールの同時開催は買い物客にとって最善のことなのか」と述べ、今夏同様に開催日を1月中旬以降にずらす可能性を示唆した。

とのことである。

インタビューの場に立ち会ったわけではなく、この記事を読んだ限りの感想で恐縮だが、正直、売れ行きが即座に上向くとは到底思えない。
昨年5月からの「自主編集売り場」を維持すると表明しているのだから、抜本的には何も変わらないだろう。
もちろんPOPの表示を大きくしたり、均一価格商品の催事を導入したりという工夫はそれなりに反応が出つつあると聞くが、抜本的に従来スタイルを堅持するのであれば、それらの施策は小手先の改善に過ぎないのではないだろうか。

蛇足ながら、最後の文節の「初売りとセールの同時開催は買い物客にのって最善のことなのか」という投げかけについては、どういう意図なのかあまり理解できない。反対に「初売りとセールの間隔を2週間以上ずらすことが、買い物客にとって最善のことなのか」と問い返してみたい。

むやみやたらな安売りは疑問を抱くし危機感も覚えるが、こと「買い物客にとって最善」ということのみを考えるなら、初売りとセールの同時開催が望ましいだろう。
今後の業界動向は置いておいて、ほとんどの買い物客はそれを望んでいるのではないか。

伊勢丹新宿店が得意とする「自主編集売り場」。
しかし、同じ伊勢丹でも新宿店以外でこの手法が通用した店舗があるのだろうか。
開業当初は低調だったが徐々に盛り返したJR京都伊勢丹だが、あの店舗は「自主編集売り場」をそれほど打ち出してはいない。どちらかというとブランド別の売り場になっている。
だからこそJR京都伊勢丹は盛り返したのだと思うがいかがだろうか。

あくまでも個人的感想だが、新宿店の手法に他地域の店舗がこだわるのは危険だと思う。

リーマン・ショック後も売上計画を変更しなかったのは何故?

 先週、JR大阪三越伊勢丹の取材をした。
オープン1年目の売上高は334億円にとどまり、当初目標だった550億円に届かなかったことは各紙で報じられており、周知の事実である。
オープンしてからの伸び悩みを見て、350億円に目標設定を下方修正したがそれにも届かなかった。これも各紙で報じられている通りである。

今回はこのことをズバリ直接お尋ねした。

ちなみに業界紙のご担当は、JR西日本伊勢丹の総務部である。
すると、「実は550億円という売上予算は2008年のリーマン・ショックの前に立てられたもので、そのままの予算で開業したのです」と仰ったので驚いた。

まず、驚いたのはリーマン・ショック以前に立てられた売上計画そのままで開業に臨んだこと。
無謀すぎるの一言である。
リーマン・ショック後も計画を下方修正することなしに日本一の高層ビル建設を粛々と続けている「あべのハルカス」と何やら似た印象である。

次に驚いたのは、この背景を報道していた紙面が、記憶する限り無かったという点。
なぜ各紙はこの背景を報道しなかったのだろうか?

しかし、JR大阪三越伊勢丹側の考え方も良く分からない部分がある。
なぜリーマン・ショック前に作った売上計画そのままで開業することに至ったのだろうか?
「とりあえず大丈夫」だと思ったのだろうか?
リアルタイムに体験したので鮮明に覚えているが、リーマン・ショックが起きた直後はどれくらいの経済的ダメージになるかを多くの人は測りかねていた。凡庸な筆者もその一人である。
けれども、時間が経過するに従って不況感は強まるばかりで、消費も一段と低迷した。
通常の企業なら2009年の段階で売上計画を350億円とは言わないまでも、ある程度は下方修正したはずである。
それが550億円という売上計画を変更しなかったのだから、リーマン・ショックを甘く見ていたか、消費者を甘く見ていたか、自らのブランド力を過信したかのいずれかであろう。もしかするとその3つすべてが混然一体となって絶妙のハーモニーを奏でたのかもしれない。

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筆者は百貨店にも、伊勢丹にも特別な思い入れはまったくない。
ダメなら市場から退場すべきだし、縮小するならそれも自然の摂理だと考えている。
百貨店が復活するならすれば良いし、復活できないならそれも構わない。

伊勢丹が撤退することだって珍しいことではない。現に鳴り物入りでオープンした九州・小倉だって、長年親しまれたはずの吉祥寺だって閉店している。

JR大阪三越伊勢丹の初年度の不振について、同じJR西日本伊勢丹が運営するJR京都伊勢丹と比較して、今後に期待する声もある。
JR京都伊勢丹の開業は1997年。
初年度売上高は300数十億円にとどまった。
現在は売上高約650億円にまで成長している。

同じことが大阪でも起きるのではないかという期待である。

これについては未来を見通す力がないので、成長するかも知れないししないかもしれないとしか言いようがない。
ただ、JR京都伊勢丹は開業してすでに15年が経過している。
97年当時と経済環境が異なるとはいえ、やはり同じくらいの年月は必要ではないだろうか。
2~3年後、業績が急上昇するということは考えにくい。
JR大阪三越伊勢丹の業績が上向くのは、京都以上に長期戦を覚悟しなくてはならないのではないか。

JR大阪三越伊勢丹の初年度年間売上高は334億円に終わる

 流通ニュースによると、4月末までのJR大阪三越伊勢丹の年間売上高は334億円に終わった。

http://ryutsuu.biz/store/e050701.html

開業1年間の当初売り上げ目標を550億円としていたが、途中で350億円に下方修正していた。
この下方修正した目標にも届かなかった。

流通ニュースの文中では、340億円に下方修正していたとあるが、350億円からもう一段の下方修正があったのだろうか。

本来なら、ブランドの入れ替えを行いテコ入れを図るべきなのだろうが、来年春にはヨドバシカメラの北側に新商業施設「グランフロント」がオープンを控えており、残った有力ブランドはそちらに誘致されている。
ブランドの入れ替えによる人気アップは事実上難しいだろう。

さらに今後は、2階の陸橋部分でヨドバシカメラ、ルクア、三越伊勢丹がつながる計画もあるという。
そうなるとまた人の流れが変わることになる。

一方、大丸梅田店の改装後の年間売上高は617億9000万円だった。

こちらも予算は未達だったものの、入店客数は2倍増となったので一先ずの合格ラインを達成したと判断されているようだ。
当初の年間売上高は670億円を見込んでいたが、東日本大震災や秋の台風被害を考慮して640億円に下方修正していた。

ユニクロ、東急ハンズ、ポケモンセンター、トミカショップを導入したことが、入店客数増につながったことは間違いない。
しかし、以前、同店で取材をした際に「ポケモンセンター、トミカショップは単価が低いため、売上高は想像しておられるほどではありません」と説明された。
考えてみれば、ポケモンの人形は1個あたりの価格は数百円である。
トミカだって1個の価格は1000円弱だろう。

それを10個も20個もまとめて買うお客はそれほどいないだろうから、売上高は衣料品ブランドに比べると低くなってしまうことは想像に難くない。

そういえば、最近改めて気がついたが、JR大阪三越伊勢丹の店内照明が暗いように感じる。
とくにエスカレーター付近の照明が点けられていない。節電対策なのだろうか?
節電対策の姿勢は評価できるものの、暗すぎる店内はさらに雰囲気も暗くなるため、もう少し何とかならないものだろうか。

ルクアの初年度売上高は370億円に、JR大阪三越伊勢丹を上回る

 大阪市内の商業施設オープンラッシュからもうすぐ一年が経過しようとしている。

先日、4月3日付けの繊研新聞にルクアとJR大阪三越伊勢丹の3月末までの売上高が掲載された。
これによると、JR大阪三越伊勢丹は310億円、ルクアは341億円でありルクアが完全にJR大阪三越伊勢丹を上回っている。
この調子で行くと、JR三越伊勢丹は下方修正した初年度目標350億円にすら到達しない可能性が極めて高い。

グランドオープンは5月4日だったから、3月末から数えると残り1ヶ月強しかない。
単純に310億円を11カ月で割ると、1ヶ月当たりの平均売上高は約28億円となる。
4月はゴールデンウイーク前に販売が増える月であるが、セール時期ほどではない。
そのため、月間売上高が40億円に到達するとは考えにくいのではないだろうか。

一方、ルクアは売上高見込みを320億円に上方修正していたが、すでに3月末で30億円オーバーしたことになる。

この後の4月6日付けの繊研新聞には、ルクアの初年度売上高は370億円になりそうだと報じられている。

JR大阪三越伊勢丹の初年度売上高は、名の知れた商業施設としては珍しい歴史的惨敗と評しても良いのではないだろうか。

その理由は、「伊勢丹流ディスプレイが大阪に受け入れられなかった」というだけではないはずである。
なら反対に「伊勢丹流ディスプレイ」が新宿本店以外で受け入れられている店舗があるのだろうか?

一方、JR京都伊勢丹は売上高647億円だという。
こちらも初年度売上高はあまり芳しくなかったが、その後の修正で持ち直した。

2年目からJR大阪三越伊勢丹がどのように修正するのか注目したい。

JR大阪三越伊勢丹の「イセタンガール」の継続は理解に苦しむ

 24日の土曜日に、所用があってJR大阪駅に行った。
休日の昼間に都心に出かけるのは久しぶりである。人混みが嫌いなので、いつもはなるべく休日は都心には出かけないようにしている。

さすがに土曜日だけあって人がウヨウヨしている。ノ( ̄0 ̄;)\オー!!ノー!!!!

それでも気を取り直して、JR大阪駅周辺を探索してみる。

ルクアのクリスピークリームドーナツは並んでいる。
ここのドーナツは甘みが強すぎなので筆者の好みではない。なぜ並んでまで食べたい人がいるのか不思議で仕方がない。ミスドの方が美味しいと思うのだが。

ドーナツの行列を尻目に、半年ぶりくらいでJR大阪三越伊勢丹に足を踏み入れる。
以前から気になっていたのだが、節電のためだろうか?店内が暗い。暗すぎる。

全階のエスカレーター付近のライトを外してあるように思うのだが、いかがだろうか?
そのため、ただでさえ暗い雰囲気をさらに暗くしているように感じる。
負のスパイラルという感じである。

以前、知人が「平日夕方の食品売り場に客が少なく寂しい」と言っていたので、
地下2階の食品売り場を覗いてみた。
土曜日の午後2時半ということもあり、混雑はしていないがそれなりにお客の姿はある。
現時点では「寂しい」というほどではなく、ほどほどに活気もある。

それから地下1階の「イセタンガール」に行く。
付きあたりのカフェは満席近くでそれなりの客入りだが、衣料品売り場はほぼ無人である。
立ち止まる客は少なく、どちらかというと通路として利用しているように見える。
呼び込めど客入りにつながらない販売員さんたちが気の毒であった。

あくまでも体感だが、全階の中でこの時間帯は地下1階がもっとも客入りが少なかったのではないか?

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(3月24日、午後2時半~午後3時の様子)

先日、JR大阪三越伊勢丹は早くも2013年から改装することを発表した。

日経新聞の記事によると

「イセタンガール」や「イセタンメンズ」などの売り場面積の3割を占める自主編集売り場は同店の特徴として面積などは現状を維持する。
ただ、扱う商品などは、より大阪の顧客層に合わせた値ごろ感のある商品ラインアップを強化する。

とのことである。

この現状で「イセタンガール」を継続する必要があるのか?と疑問に感じる。
JR大阪三越伊勢丹の現状の客層は、どちらかというと年配層である。
30分間ウオッチングした感想で言えば、30代半ば以上だろう。もしかすると40代以上ではないか。
その年代に向けた「イセタンメンズ」の継続は分かるとしても、客層とかい離した「イセタンガール」の継続は理解に苦しむ。

同じJR大阪駅にヤングレディースに強い「ルクア」と大丸梅田店があるのだから、アダルト向けに特化した方がよほど効率的である。
大丸梅田店の「うふふガールズ」にはブランドの集積量から見ても勝ち目はないだろう。

同じグループのJR京都伊勢丹は、ヤングレディース集積にこだわっていない。そのため初年度の不振から売上高が回復したのではないのか。
なぜ京都で出来たことを大阪でやろうとしないのだろうか。

今回は休日の昼間だったので、次回は平日の夕方をウオッチングしてみたい。

浮ついたところがない大丸梅田店

 昨年末、好調な大丸梅田店を取材した。
その時に感心させられたことがある。

大丸梅田店はユニクロ、ポケモンセンター、トミカショップ、東急ハンズなどを昨年春に導入し、
それが集客装置となって大幅に前年実績を更新している。
2月度の実績でも売上高が前年比69・9%増、入店客数が同94・2%増と大きく業績を伸ばしている。

これに対して「あれは百貨店ではない」というような否定的な意見が同業他社から聞こえてくる。
ともすれば取材する側も業績の華々しい梅田店に目を奪われがちである。

しかし同社の広報は
「梅田店はターミナル駅立地ということを考慮して、万人受けするユニクロなどを導入しましたが、心斎橋店(北館ではなく、本館と南館)は富裕層のお客様が多いので、そのような品ぞろえはしません」と話していた。
ちなみに1日当たりの入館者数は平均すると13万人だという。

要は店ごとの顧客層に沿った品ぞろえをしているということになる。

こういう部分を見ると大丸百貨店の冷静さが良く分かる。

さて、もうすぐ改装オープンから1年が経過するのだが、
大丸梅田店のスタンスは「1年目は御祝儀相場。本番は2年目以降」としており、非常に浮ついたところがない。
そういう姿勢を見るにつけても2年目以降の大丸梅田店には期待できるのではないかと感じる。

一方、JR大阪三越伊勢丹は早々と2013年からの改装を発表した。
日経新聞の伝えるところによると

「イセタンガール」や「イセタンメンズ」などの売り場面積の3割を占める自主編集売り場は同店の特徴として面積などは現状を維持する。
ただ、扱う商品などは、より大阪の顧客層に合わせた値ごろ感のある商品ラインアップを強化する。

というが、好調に転じてきたといわれる「イセタンメンズ」はまだしも「イセタンガール」を継続する必要があるのか甚だ疑問を感じる。
ヤングレディース向けというが、ルクアや大丸梅田店の「うふふガール」の方がよほどブランドがそろっている。
「ペイトンプレイス」や「ディアプリンセス」のような旬を過ぎたブランドを入れ替えなくては「イセタンガール」が浮上することはあり得ないだろう。

そもそもルクアや大丸があるのに、伊勢丹にヤングレディース向けの自主編集売り場が必要なのか、根本的に疑問である。

改装後どのようになるのかわからないが、JR大阪三越伊勢丹の迷走は当分続くのではないだろうか。

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