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画期的な方法で作られた耐久性の高いTシャツを見つけた

衣料品のバリエーションも行き着くところまで行き着いてしまったような感じがあるが、それでも目新しい商品というのは開発されるもので、その創意工夫には感心するしかない。

先日、ウェブで発見して感心したのがこのTシャツである。

BMCオリジナル メンズ半袖Tシャツ コーデュラ 日本製 東北支援/福島縫製工場
https://item.rakuten.co.jp/bmc-tokyo/bms13-14-15-set/

昨年からこのブログにバナー表示されているBMC(ブルーモンスタークロージング)だが、ジーンズやカジュアルパンツの新進ブランドとして認識していた。
定期的に商品の話も聞くが、おもにはジーンズを中心としたカジュアルパンツのことばかりで、Tシャツについてはノーマークだった。

それは、話を聞く当方の「ジーンズとカジュアルパンツ」という先入観があったからだし、話すほうのBMC側の話題の選び方もそちらに偏っていたからで、この辺り、当事者間の認識と他者から見ての客観的評価というのがいかに一致しにくいかということがよくわかる。

最近はどんな商品が出てるのかな?

と軽い気持ちで商品をウェブで見ていたら発見したのがこのTシャツだった。

Tシャツもそうだが、最近は洋服全般で「機能性」が求められることが増えた。
ただ、その機能性は各人の要望に応じて異なる。

ストレッチ性が欲しいという人もあれば、速乾性が欲しいという人もある。
また消臭機能が欲しい人もいるし、汗染み防止機能が欲しい人もいる。

要望される機能は様々あり、それに応じた商品がそれぞれ世間には流通している。

このTシャツは耐久性を高めることを目的として企画製造されている。
正直なところ、耐久性の高いTシャツを求める人がどれほどいるかはリサーチしたわけではないからわからない。
しかし、買って数か月でTシャツがダメになれば、がっかりする人は多いだろうから、2900円という手の届く価格であれば欲しくなる人もそれなりにいるのではないかと思う。

通常、Tシャツの耐久性を高めるには生地を分厚くする。
8オンス以上の分厚さにすればかなり耐久性は高くなる。
しかし、生地が厚くなりすぎて着心地が悪くなったり動きにくくなったりする。

ウェブだけでTシャツを販売する京都イージーも、「8オンスを越えるTシャツは普段着に適さない」と考えて7オンスのTシャツを上限にしている。

で、生地が薄いまま耐久性を高めるにはどうしたらよいのかということを考えて、BMCはコーデュラと綿を配合することを思い立った。
コーデュラというのは耐久性の強い素材で、リュックなどに盛んに使われている。

そのコーデュラと綿を配合することで5・6オンスという薄手生地でありながら耐久性を高めることに成功したという。
楽天のサイトで、髭の濃い長瀬智也みたいな顔をした人が語っているが、これがBMCの青野社長である。

当方が感心したのは、コーデュラという以前から知られた合繊を配合してTシャツの強度を高めるというアイデアである。
コーデュラは業界ではポピュラーな合繊で、その強度も知られている。

しかし、「Tシャツ=綿」みたいな固定観念が強すぎて、今まで当方が知る限りにおいてはこれを実現したブランドはなかった。
新商品開発というと「今まで誰も見たこともない商品を作ること」と思い込みがちだが、これだけあらゆる物が出そろった現在において、そんな画期的な商品はそうそう簡単には生まれない。

むしろ、これまでにある技術をどう組み合わせるかがカギになる。
iPhoneだってこれまでにあった技術の組み合わせである。

強度を高めるなら強度が高いコーデュラを配合すればいいじゃないの?

こういう素直なやり方は一見すると簡単なことのようだが、実は固定観念やら業界の謎の風習やらに阻まれてなかなか挑戦しにくいのが現状である。

それに挑戦し、商品化したその取り組みには本当に感心させられる。

これと同じように感心させられたのが、オールユアーズの新商品、色落ちしないジーパン「パンジー」である。

https://camp-fire.jp/projects/view/51767

詳細は後日取材するとして、現段階で分かっているのは、ポリエステルだから色落ちしないということである。
ポリエステルは合繊の中でも強度が高く、洗濯を繰り返しても色落ちしにくい。
その特性を利用してデニム生地風の織物に仕上げて、それを洋服化した。

これまで「色落ちしにくいデニム」という挑戦はいくつかあった。
しかし、「デニム=綿」という固定観念に縛られて、ほとんどのブランドは綿100%もしくは綿主体素材でそれを実現しようとした。
だが、ポリエステルが色落ちしにくいのであればそれを使えばイイだけのことである。

業界人はおそらく「そんな合繊の塊はデニムじゃない」と反論するだろうが、そういうことに縛られているからジーンズ専業ブランドが売れなくなったのである。

デニム=綿、デニム=色落ち、という強固な固定観念に縛られてしまえば、その中だけでの競争になり、「どれだけ色落ちがしやすいか」とか「どれだけ綺麗に色落ちするか」というひどくミクロな競争に陥ってしまい、差別化することは難しくなる。
一般の消費者から見ればどれもほとんど同じにしか見えないし、ブランドごとの違いも判らなくなる。
だったら、3990円のユニクロや3980円の無印良品のジーンズでも構わないと考えるようになる。

BMCのコーデュラ配合Tシャツや、オールユアーズの色落ちしないパンジー、こういう固定観念にとらわれない商品開発こそが市場を活性化させる要因になり得る。

両ブランドには今後ともぜひとも頑張ってもらいたい。

あ、一つケチをつけるならやっぱり楽天は使いにくいと思う。
SNSでシェアをするのに、いちいち楽天IDを入力しなくてはならない。入力も面倒だが、それ以上に楽天に登録していない人はSNSで拡散もできないということになり、他のウェブショップやポータルサイトに比べるとひどく狭量といえる。
だから楽天は衰退し続けているのだろう。こんな不便なサイトの作りをしていては利用者も出展者も離れていくのが当然である。
このままだと楽天はもっと衰退するだろう。

NOTEを更新~♪
日本製デニム生地の現状をまとめてみた
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/nf1f2b20fc0b6

あと、インスタグラムもやってま~す♪
https://www.instagram.com/minamimitsuhiro

9月下旬にブログの仕様を変えて、更新通知が届かなくなった方がおられると思いますので、お手数ですが、新たにRSS登録をお願いします。

スタートから1か月間で600本を出荷したジーンズブランド「BMC」

 リストラ、ブランド廃止、大量閉店、会社倒産、廃業が日常茶飯事なアパレル・繊維業界において、年齢制限やらその他もろもろの理由で再就職ではなく、独立・起業を選ぶ人もいる。

そういう人から相談を受けることが増えたが、基本的には筆者はこの業界での起業をあまりお勧めしない。
右肩下がりの業界なので確率論で言えば失敗する確率の方が高いからである。
今では大企業然としている大手アパレルだってその昔は起業からスタートしているわけだが、彼らの多くは戦後直後とか高度経済成長期やバブル期に創業しており、もちろん並大抵の苦労でなかったことはいうまでもないが、商品が欠乏していた時代なのである意味で、商品を並べたら売れたという要素も大きかった。

もともと商品自体がなので、「市場に無い物」を提案すると売れる確率が高かった。
しかし、現在はそういう時代ではない。
物はあふれているし、基本的にどんなデザイン・テイストの服も流通している。
「画期的に新しいデザイン」の商品というものを考案することすら難しい。

プラットフォームの時代だ!なんていう人もいるが、すでにプラットフォーム自体が溢れかえっており、プラットフォーム間での優劣の格差が大きくなっている。
結局は、品ぞろえの豊富さと割安感(激安ではない)の競争となっており、それを突き詰めるとAmazonには勝てないよねという話になる。

一説にはAmazonの物流倉庫の広さは東京都中野区とほぼ同面積だという。
ネット上ではスペースは無限にあるから、Amazonは中野区と同じ広さの倉庫に並べた商品をネット上で見せられるということになる。
そして価格幅も大きい。高額品もあるが、激安商品もある。

ここで伊勢丹新宿店がいくら「品揃えの豊富さを追求しました」なんて言ったって、中野区ほどの広さの倉庫にある商品すべてを見せているAmazonに勝てるはずもない。
逆に伊勢丹新宿店の品ぞろえの中途半端さが目立つだけになる。
イオンモールがいくら広大でも中野区ほどの広さはない。

この話はまた後日書いてみるが、そういう状況なので、新しいブランドがおいそれと売れる可能性は極めて低い。

安全なのはOEM/ODM屋を開業することだが、ここもすでに山ほど競争相手があって、大手とつながらないと生き残れない。多くの競争相手があるから大手は強気で工賃とマージンを叩いてくる。
嫌ならよそへ仕事を振るよというわけだ。
1枚のマージン50円で100枚のロットの製造を請け負わなくてはならなくなる。
だからOEM/ODM屋を開業するのも茨の道である。

そんな中、エドウインを退職して、ジーンズブランドを起業した人がいる。
ブリッツワークスという社名で、ブルーモンスタークロージング、略して「BMC」というブランドを開始した。

http://www.bmc-tokyo.com/

こんなブランドである。

価格は6900円、生地と加工は日本、縫製は中国製。

販路はジーンズ専門店チェーンで、ターゲット層は30代・40代の父親で、いわゆる昔ながらのジーンズカジュアルが好きな男性と設定する。
ちょっとコテコテ系の加工である。

IMG_1678

で、相談を受けたのだが、正直なところなかなか厳しいのではないかというのが最初の感想だった。

なぜなら、5900・6900・7900円というのはジーンズというアイテムで要望は多いが、メーカーの供給が少ない価格帯である。
市場規模としてはそれなりにあると個人的には見ているが、メーカーからすると「旨味がない」とか「売りにくい」と思われている価格帯で、ほぼ真空状態になっている。

そこにあえて参入するというのは、ハイリスクハイリターンといえる。

しかし、決心が固いようでそのまま起業して活動を開始された。

今回、東京出張で現状をうかがうことができた。
7月末に店頭デビューして、なんと1か月間で600本を地方のジーンズ専門店チェーンに納品したという。
8月も商談が好調に進み、9月末には納品が累計で1000本を越える見込みだともいうから恐れ入る。

失礼だが無名のブランドで活動開始早々にこれだけの本数を納品できるのは、上場の滑り出しといえるのではないだろうか。
社長となった青野さんの営業力がすさまじいと思う。

9月以降の商況がどうなるかはまだまだ予断を許さないが、注目の新ブランドといえる。

青野社長と初めてお会いしたのは、昨年10月のデザビレで開催した講演会でだった。
TOKIOの長瀬智也似のイケメンがけっこう前の列で座っておられて、ちょっとウケを狙ってしゃべってみても、ニヤリと不敵な笑み(に見えた)を浮かべるだけだったので、「後でしばかれるかも」と壇上から内心ちょっとビビっていたのだが、終わってから懇親会で話してみると好青年だったのでホッとした次第である。

個人的には5900~7900円で、それなりにデザイン性のあるジーンズは市場に必要ではないかと思っていた。
業界の人も含めて多くの人が事実に反してこう考えている。
「3990円のユニクロか、1万円を越えるジーンズしかない。この価格差はつらい。ユニクロに2000~3000円足して買えるようなファッションジーンズがほしい」と。

実際はそうではなくて、探せば5900~7900円の商品はある。少ないけど。
ただし、あるという情報が消費者にも業界人にもあまり伝わっていないのだ。

そんなわけでその市場に飛び込んで上場の滑り出しを見せた青野社長の胆力には驚嘆するばかりである。

5900~7900円のファッションジーンズというジャンルをぜひとも確立してもらいたいと思う。





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