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百貨店店舗別売上高ランキングから見る高島屋の強さ

 百貨店の売上高は何かと話題になるが、実際のところ業界人でも百貨店各店の売上高と売り場面積をどれくらい正確に踏まえて話しているのかは不明である。

もちろん極めて正確に把握して論じておられる方もいるが、そうではなく感覚的にわめいている方もおられる。前者は聞くに値するが、後者はまったく何の益もない。

直近の百貨店各店の売上高をまとめたブログがある。

http://motokadenchan.seesaa.net/article/441488448.html

これは今年8月17日の日経MJに掲載されたデータを転載したものだそうだ。
それでは引用させていただく。

【2016年 全国百貨店 店舗別 売上高ランキング】

順位 店舗名     売上高   対前年比

1位 伊勢丹新宿本店 2,724億円(+5.4%)
2位 阪急うめだ本店 2,183億円(+10.4%)
3位 西武池袋本店  1,900億円(+1.4%)
4位 三越日本橋本店 1,683億円(+1.7%)
5位 高島屋日本橋店 1,366億円(+5.2%)
6位 高島屋横浜店  1,320億円(-2.1%)
7位 JR名古屋高島屋 1,301億円(+3.2%)
8位 高島屋大阪店  1,276億円(+4.2%)
9位 松坂屋名古屋店 1,248億円(-0.6%)
10位 そごう横浜店  1,142億円(+1.1%)
11位 あべのハルカス近鉄本店 1,026億円(-1.0%)
12位 東武池袋本店  1,019億円(-3.1%)
13位 小田急新宿本店  949億円(+2.4%)
14位 東急渋谷本店   918億円(+3.0%)
15位 大丸心斎橋店   910億円(+7.8%)
16位 高島屋京都店   859億円(+1.8%)
17位 三越銀座店    852億円(+14.6%)
18位 大丸神戸店    850億円(-1.1%)
19位 JR京都伊勢丹   801億円(+1.3%)
20位 名古屋栄三越   791億円(+1.4%)

記事中でも断りがあるようにこれは2015年度の売上高である。
例えば、三越伊勢丹HDの決算期は3月なので2015年4月~2016年3月までの売上高ということになる。
だから正確にいうなら、2016年(2015年度)売上高となる。

記事には50位まで掲載されているので興味のある人はそちらで見ていただきたい。

もちろん現在商戦真っ只中の2016年売上高はこれとは異なる推移をしていることは言うまでもない。

今年4月以降不振が報じられている1位の伊勢丹新宿本店はこの数字よりは確実に低くなるだろう。
連日、一般紙で報道されているように売上高は減収基調で推移している。

同じく、不振と伝えられる三越銀座店も数字は低くなると考えられる。

じゃあ、伊勢丹新宿店がすぐにでも大減収するかのような報道が正しいのかというとそうでもない。
売上高1位の座は変わらないだろう。

また、売り場面積で見ると伊勢丹新宿本店の効率は圧倒的である。
伊勢丹新宿本店は6万5000平方メートルしかない。

2位の阪急うめだは8万平方メートルもある。
11位の近鉄百貨店あべのハルカスは10万平方メートルもある。

そういう意味では伊勢丹新宿本店は限りなく強いといえる。

その一方で、「伊勢丹」という屋号の店は新宿本店のみが突出しているだけで、それ以外の店の売上高はランクインしないほど小さい。そのため、「伊勢丹」という屋号は恐ろしくバランスが悪い組織体だといえる。

三越の屋号の店は3店舗ランクインしており、伊勢丹よりはバランスが取れているといえる。

伊勢丹と同じくらいバランスが悪いのが阪急だといえる。
うめだ本店のみが突出しすぎている。

その昔、あるメンズアパレルの当時の某役員が「ファッション関係者は伊勢丹、阪急を特別視するが、企業としてロットがまとまる取引先は高島屋であり大丸であり三越である」と教えてくださったことがある。
まだ百貨店が合併する前の2000年ごろのことである。

その名残は今もランキングを見る限り残っており、三越、大丸はまだ大型店が20位内に複数存在している。

さらにいえば、高島屋の強さがこのランキングでは際立っているといえる。
20位以内に5店舗ランクインしており、これは百貨店としては最多である。
うちJR名古屋高島屋だけはJRとの合弁だとはいえ、他の百貨店に比べてそのバランスの良さは群を抜いているといえる。

ちなみに50位までにランクインしている店舗だと高島屋は新宿と玉川の2店舗が加わり、JR名古屋高島屋も含めると7店舗が50位以内にランクインしていることになり、店舗数では他の百貨店グループを圧倒している。

大丸も50位まで広げると、さらに5店舗が加わるためこちらもまずまずのバランスだといえる。

2016年春以降、各百貨店は再び不調に転じてしまったが、今後このまま百貨店の販売状況が回復せずに落ち込み続けていくとして、最後まで残る百貨店は、業界人の大好きな伊勢丹や阪急ではなく、高島屋になるのではないかと個人的に見ている。



リオ五輪日本選手団開会式用ユニフォームはまた高島屋

 ついにリオデジャネイロオリンピックが始まったわけだが、今回のオリンピックは過去にないほど環境が悪い。
ブラジルは経済危機に瀕しているし、大統領は弾劾裁判中で開会式にも出席できない。
バスが乗っ取られたり、整備道具が盗まれたり、マスコミが機材を奪われたりというバイオレンスな事件が多発している。

ここまで環境が悪いオリンピックは過去に例を見ないのではないか。

さて、今回の日本代表のユニフォームも4年前と同じ高島屋である。

リオ五輪日本選手団開会式用ユニフォームが発表、高島屋が製作
http://www.fashionsnap.com/news/2016-06-22/olympic-japan-uniform/

製作とあるが、高島屋をはじめとして百貨店にはデザイン機能も製造機能もない。
あるのは販売機能のみである。

だから「製作」ではなく、製造請負を受注といったほうが正しいだろう。
4年前もそうだったが、コンペで企画を募り、それをOEM/ODM屋に製作を依頼するという形態だったと推測される。

ちなみに4年前にもこのことでブログを書いている。

「高島屋が購入窓口となったユニフォーム」と呼ぶのが正しい
http://minamimitsuhiro.info/archives/3506154.html

クリックして全文を読んでいただきたいのだが、めんどくさいという人のために抜粋する。

先日、シナジープランニングの坂口昌章さんの発言をお読みしてなるほどと膝を打った。

「ユニフォームを百貨店に任せたのではなくて、百貨店を通して購入​するという商慣習なんです」

とのことである。

それとほぼ同時に、ブログの読者からお便りをいただいた。

件のユニフォームは、高島屋がデザインコンペを開いて、その結果決まったデザインであるとのこと。

坂口さんがおっしゃるように高島屋は単なるJOCの窓口だったということになる。
自前でデザイン機能を持たない百貨店は知り合いの複数の業者に声をかけてデザインコンペを開き、デザインを決定したということになる。

しかし、これなら「ユニフォームは高島屋」ではなく「ユニフォーム購入窓口は高島屋」ではないのか?
もしくは、「高島屋を通したデザインコンペで決定したユニフォーム」ではないのだろうか?


という背景があった。

今回もこれと同じ形式だったと考えられる。
なぜなら高島屋がこの4年間で企画デザインチームを発足させたとか企画部門を立ち上げたとは耳にしたことがないからだ。

一方、各国のユニフォームについてはこんな記事がある。

https://www.wwdjapan.com/focus/column/event/2016-07-18/17185

スウェーデンは「H&M」
フランスは「ラコステ」
イタリアは「エンポリオ アルマーニ EA7」
アメリカは「ポロ ラルフローレン
イギリスはステラ・マッカートニーがデザイン
オーストラリアは「スポーツクラフト」
韓国は「ビーンポール」

カナダは「ディースクエアード」がデザイン

カナダ選手団が開会式で着用する衣装は「ディースクエアード(DSQUARED2)」がデザインし、カナダの老舗百貨店ハドソンベイが製作する。

とある。

すべて自国のアパレルブランドか、デザイナーズブランドを起用している。

ディースクエアードのデザイナー2人は父はイタリア人で母はイギリス人とされているが、出生地はカナダであるから、カナダにゆかりがある。

なぜ日本だけが百貨店なのだろう。
なんだか残念な気がするのは筆者だけだろうか。

今、日本のファッションブランドを海外に売り出そうとする動きが盛んで、これには経産省など国も絡んでいる。
そんな状況下で高島屋という単なる百貨店にユニフォーム製作を依頼するのはいかがなものかと感じる。

お役所や業界のエライサンは口では「クリエイティブの強化」とか「デザイナー支援」とか「ファッションブランド強化」とか言っているが、実情は高島屋wwwwwwwwwなのであり、普段ブチ上げていることは単なる口先だけのスローガンなのだということがわかる。

別に高級ブランドである必要はない。
スウェーデンなんてH&Mだ。
かつて日本は冬季オリンピックでユニクロが担当したことがある。
ユニクロに抵抗があるなら無印良品でもしまむらでも青山商事でもコナカでも良いのではないか。
百貨店に受注するよりはよほど聞こえが良い。

若手デザイナーに任すのは不安があるなら名声が確立されているヨウジヤマモトでもコム・デ・ギャルソンでも良いのではないか。

ワールドやオンワードや三陽商会やTSIのような百貨店アパレルもある。

せめてカナダのように高島屋が国内ブランドや国内デザイナーを起用するという考え方はできなかったのだろうか。

とりあえず高島屋に頼めば安心という考え方そのものが遅れている。
高島屋も国内ブランドや国内デザイナーに依頼するというアイデアが出てこないところが遅れている。
さすが、百貨店は衰退を続けるだけのことはある。

これに比べると、稲田朋美新防衛大臣がドレス製作を、若手デザイナー小野原誠さんのブランド「モトナリ+オノ」に依頼したことはさすがの着眼点だと言わざるを得ない。

オリンピックのこういう事例を見ていると、国主導で国内ファッションブランドを海外に進出させる取り組みは絶対に成功しないだろうと思う。




高島屋のバランスの良さ

 百貨店について議論するとどうも噛み合わないなと思うことがある。
伊勢丹と阪急についてである。
伊勢丹新宿本店は日本一の売上高を誇る百貨店である。
阪急うめだ本店は、改装期間中は売り場面積減少で売上高が下がっていたが、改装グランドオープン後は増加に転じている。

衣料品業界では「東の伊勢丹」「西の阪急」と長らく並び称されている。

だからこの2つの百貨店が何か打ち出すたびに業界は色めき立つわけである。
しかし、業界が色めきたったところで、消費者にはほとんど響いていないことも多い。
その典型例はJR大阪三越伊勢丹の不振だろう。
「あの伊勢丹が大阪に進出」と業界はヒートアップしたが、消費者はまったく踊らなかった。

しかし、冷静に考えてみれば、不振とはいえ310億円の売上高を新たに作ったのだから効果はゼロではなかった。
衣料品業界やマスコミがヒートアップした原因は、伊勢丹新宿本店のイメージを投影していたからだろう。

これは阪急百貨店にもいえる。
鳴り物入りでデビューした博多阪急は期待ほどの推移ではないと聞く。

伊勢丹と阪急が強いのではなく、伊勢丹新宿本店と阪急うめだ本店が強いのではないかと思う。
その証拠に伊勢丹も阪急も本店以外で成功している店舗がない。
伊勢丹だとJRとの合弁で出店したJR京都伊勢丹が600億円台に成長したくらいだろうか。
阪急だと最近好調な西宮阪急くらいか。

よく「新宿店のテイスト・手法を導入して」などと言われるが、新宿店のテイスト・手法を導入して成功した店舗がない。JR京都伊勢丹だって新宿店とはまるで別物である。

阪急も同じだろう。西宮だって北花田だってうめだ本店とは別物である。

本店のイメージを各支店に投影するのは危険だし、無意味であろう。

以前、ある業界の大先輩が「伊勢丹と阪急は本店が目立つから、注目されるが支店が弱いからバランスが悪い。大丸や高島屋の方が本店・支店とも平均して売上高が稼げている」とご教授くださったことがある。
もう10年以上前のことだ。

2011年度百貨店店舗別売上高ランキング発表
http://building-pc.cocolog-nifty.com/helicopter/2012/08/post-ad34.html

先日、このブログを見て改めてその言葉を思い出した。

このランキングを見ると、

① 伊勢丹新宿本店   235,010(+ 7.1%)
② 西武池袋本店  176,476(+ 5.5%)
③ 三越日本橋本店   165,220(▲19.6%)
④ 高島屋横浜店 131,794(▲ 1.7%)
⑤ 阪急うめだ本店       124,458(▲ 5.1%)
⑥ 高島屋東京店   124,242(▲ 2.2%)
⑦ 高島屋大阪店   117,890(+ 2.6%)
⑧ 松坂屋名古屋店   111,102(+ 1.1%)
⑨ ジェイアール名古屋タカシマヤ 104,002(+ 4.3%)
⑩ 東武百貨店池袋本店   102,936(▲ 5.8%)
⑪ そごう横浜店   100,996(▲ 0.7%)
⑫ 東急百貨店本店(渋谷)   96,999(▲ 2.2%)
⑬ 阪神梅田本店          92,350(▲ 3.8%)
⑭ 小田急百貨店新宿店    87,459(▲ 2.8%)
⑮ 近鉄阿百貨店倍野本店   84,793(▲ 2.8%)
⑯ 大丸心斎橋店        83,944(▲ 5.0%)
⑰ 高島屋京都店         83,378(▲ 2.3%)
⑱ 京王百貨店新宿店      80,814(▲ 1.1%)
⑲ 大丸神戸店          78,796(▲ 2.0%)
⑳ 名古屋栄三越     75,777(+ 1.4%)

と挙げられている。
阪急うめだ本店はグランドオープン前なので売上高が低い。
注目すべきは高島屋で、JR名古屋タカシマヤを入れると、ベスト10に4店舗もランクインしている。
伊勢丹と阪急に比べるとはるかにバランスが良い。
17位にも高島屋京都店がランクインしている。ご存知ない方も多いかもしれないが、京都の河原町にある百貨店はどれも面積が小さい。あの小ささで833億円を売るのだから大したものである。

比較的マシだといわれているJR京都伊勢丹よりも200億円以上多く売る。

大丸は心斎橋と神戸店がランクインしているが、突出した売上高はない。
大丸は梅田店や札幌店など全国で平均的な売上高を稼いでいる。

一つの企業として見た場合、各店舗の売上高のバランスは高島屋がもっともすぐれているといえる。

逆に本店に過度に依存している伊勢丹と阪急はバランスが悪い。
池袋店だけが突出している西武も同じだ。

こうして売上高ランキングを見てみると、世間で流布しているイメージと実際の企業体としての健全さとはまったく異なることを改めて認識する。

衣料品業界関係者が、マスコミの流す勝手なイメージの尻馬に乗って、加熱していてもロクな議論はできないのではないか。

「高島屋が購入窓口となったユニフォーム」と呼ぶのが正しい

 先日、今回のロンドンオリンピックの日本選手団の公式ユニフォームが高島屋だという発表を基に記事を書いたらものすごい反響だったのでいささか慌てふためく今日この頃。(((( ;゚д゚)))

オリンピックを誤変換すると「織りんピック」と出てきて、「これって生地メーカーとか産地組合が使いそうなコピーやなあ(もう使用済かもしれないけれど)」と思ったりもした。

単純に考えて百貨店である高島屋が洋服のデザインをする機能は持っておらず、「なんで高島屋に?」と疑問しか残らないのだが、先日、シナジープランニングの坂口昌章さんの発言をお読みしてなるほどと膝を打った。

「ユニフォームを百貨店に任せたのではなくて、百貨店を通して購入​するという商慣習なんです」

とのことである。

それとほぼ同時に、ブログの読者からお便りをいただいた。

件のユニフォームは、高島屋がデザインコンペを開いて、その結果決まったデザインであるとのこと。
坂口さんがおっしゃるように高島屋は単なるJOCの窓口だったということになる。
自前でデザイン機能を持たない百貨店は知り合いの複数の業者に声をかけてデザインコンペを開き、デザインを決定したということになる。ノ( ̄0 ̄;)\オー!!ノー!!!!

しかし、これなら「ユニフォームは高島屋」ではなく「ユニフォーム購入窓口は高島屋」ではないのか?
もしくは、「高島屋を通したデザインコンペで決定したユニフォーム」ではないのだろうか?

決してユニフォームを製造した方々の努力を否定しているのではない。
発表のやり方がおかしいのではないかということである。

さらに言うなら、先日も書いたように、欧米諸国では自国のデザイナーもしくはアパレルブランドにユニフォームデザインを発注している。
出来栄えがどうこうという部分もさることながら、自国のファッション産業の知名度を高めるための一つの手法である。
そのデザイナーやアパレルブランドを選定するまでがいろいろと苦労があるのだとは思うが、百貨店が購入窓口という締まらない結果を全世界に報道するよりは、よほど骨の折り甲斐があるのではないだろうか。

国内のキチっとしたデザイナーズブランドやアパレルブランドを起用すべきだという思いは今も変わらない。

JOCのおえらいさんが、デザイナーズブランドやアパレルを知らないのだったら、知名度の高いユニクロでも無印良品でも構わないのではないか。
世界に与える印象は「百貨店を通じた購入」よりもよほどマシである。

オリンピック公式ユニフォームのデザインを高島屋に任せるナンセンス

 何だか全然盛り上がっていないように感じるロンドンオリンピックだが、日本代表の公式ユニフォームのデザインが高島屋だと聞いて、笑ってしまった。

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(高島屋がデザインしたといわれる日本代表の公式ユニフォーム)

先年の男子サッカーワールドカップの際の移動用オフィシャルスーツでもそうだったが、日本は何故か自国のデザイナーズブランドや自国のアパレルブランドを起用したがらない。不思議である。
あの時の日本チームのスーツは「ダンヒル」だったのではないだろうか。

ワールドカップのドイツチームの監督は自国のブランド「ストラネス」を着用していた。
以前はコロネット商会が輸入しており、よく展示会で見かけたブランドだが近年は取り扱いを止めていた。現在は三喜商事に移っているはずだが、トレンドに浮上することはあまりないブランドである。
ドイツチームの監督が着用しているのを目にするまで、申し訳ないがすっかり存在を忘れていた。

今回のオリンピックの公式ユニフォームだが、アメリカはラルフ・ローレンが、イタリアはアルマーニが、イギリスはステラ・マッカートニーが手掛けることが発表されている。
日本は高島屋である。うーん。(-_-メ)

そもそもなぜ高島屋なのか理解に苦しむ。
百貨店に衣料品デザインの部門はない。独自企画の商品はほとんどないし、もしあったとしてもそれはOEM・ODM企業に丸投げか、他社ブランドのネーム替え(商品そのものは同じで、襟ネームとタグだけ付け替える)で対応している。
で、そんな企業になぜ公式ユニフォームのデザインを発注したのだろうか。

使い古された例かもしれないが、日本にはコム・デ・ギャルソンもあれば、ヨウジ・ヤマモトもある。
もっと若手のデザイナーもいる。
ワールドのタケオ・キクチや、レナウンのダーバンなどのスーツブランドもある。
だのにどうして高島屋なのだろうか。

今、日本はクールジャパンの発信に力を入れているといわれている。
アニメや漫画、コスプレなどがその対象だが、本来はファッションも入っているはずである。
で、その大事な(名目上だけでも)コンテンツのひとつを、重要な国際大会で使用しないのはなぜだろうか?
今回のオリンピックだけではなく、先の男子サッカーワールドカップでも同じである。
クールジャパンは「経産省が言ってみただけ」ということだろうか。

どうやら我が国のお偉いさん方は、日本のファッションなど世界に発信するつもりは毛頭ないらしい。
いっそのこと、経産省もクールジャパンの中から「ファッション」を外してみてはどうだろうか?

百貨店の売上高はまだまだ下がる

 「百貨店全体の売上高は5年で1兆円減り、2016年には5兆2000億円にまで下がる」という高島屋の鈴木弘治社長の発言が話題となっている。

高島屋の鈴木弘治社長が2012年4月6日に開いた決算発表会見で、「百貨店市場が5年間で1兆円減り、2016年には5兆2000億円まで縮む」との見通しを示した。日本経済新聞が報じている。

14年2月期に6兆円を目指すイオン1社の売上高を下回ることとなり、高島屋は今後ショッピングセンター事業や海外出店への投資に力を入れるという。

http://www.excite.co.jp/News/entertainment_g/20120409/JCast_128191.html

しかし、この見方は非常に妥当なもので、百貨店の売上高は15年連続で下がり続けている。
2001年に8兆5724億円あった売上高は、2011年には6兆1525億円まで低下している。
10年間で2兆4000億円下がったのだから、単純に同じ割合で下がると考えれば5年で1兆円下がってもおかしくない。

2011年ですでに6兆円ぎりぎりにまで低下しているのだから、近々5兆円台に突入するのは間違いないだろう。

新聞などでは、百貨店の「高額品が回復傾向」とさかんに報じられているが、その高額品にしたところで客単価は高いものの、購買客数は少なく百貨店全体の売上高を押し上げる効果はまるでない。
焼け石に水とはこのことである。

今後も○○百貨店の中でも特定の××店が好調に転じることはあっても、○○百貨店グループ全体が好調に転じることはありえない。
ましてや百貨店業界全体が好調に転じることは絶対にない。
報道各紙はいまだに何を百貨店に期待しているのか理解できない。

流通業界関係者でもいまだに百貨店を「小売業の王様」だと勘違いしている人も多いが、記事の文中にもあるように百貨店全体の売上高がイオン1社分ほどしかないのが現実である。
いまや百貨店は大型量販店にもコンビニエンスストアにも遠く及ばない規模であり、到底「小売業の王様」ではありえない。

百貨店は大衆が支持するものではなく、特定の趣味人や富裕層が利用する「特殊な」販売チャネルになっていることを社会全体が理解する必要があるのではないだろうか。

学生向けに「クールビズ着用令」を公布してはどうか?

 先日、環境省がクールビズをさらに進めたスーパークールビズを発表した。

浜岡原発の停止により、東北・関東地方だけではなく、この夏の電力が全国的に不足すると言われている。
(反対意見も諸説あるが)
このままでは、夏に冷房がほとんど使えない状態となることから、通常のクールビズではなく、さらに涼しく感じられる服装が必要となる。
そのためのスーパークールビズの提示である。

お役所が服装規定をすることにバカバカしさを感じるし、
12~14オンスのデニム生地を使用したジーンズはまったく涼しくなく、通常のサマーウールを使用したスーツのパンツの方がよほど涼しいということを先日、指摘した。

しかし、他方でポロシャツ、Tシャツ、アロハでもOKというスーパークールビズは、
日本の夏の男性のビジネススタイルを見直す良い機会だとも思う。

「マナーとしてきちんとした服装をすべきだ」という意見もわかるが、
真夏に上着とネクタイを着用するスタイルは日本の気候に反しており、以前から無意味だと考えていた。
スーツスタイルは、夏でも涼しいヨーロッパで考え出されたものである。
ヨーロッパのスポーツ中継を見ていると、多くの観客は真夏でも長袖のカーディガンなどを羽織っており、まれにブルゾンを着用している人もいる。
いかにヨーロッパの真夏が涼しいのかよくわかる。

一方、日本の夏は高温多湿であり、近年その高温ぶりには拍車がかかり、
東京や大阪では35度以上の気温が続くことも珍しくなくなっている。
おまけに湿度は70%を越えている。
こんな気候で、上着を着てネクタイを締めている必要があるのだろうか。
上着着用でネクタイを締めている状態なら、
室内の空調を25度以下にしないとまったく涼しくない。
冷房温度を上げるために、上着着用とネクタイを止めるというクールビズは理にかなっている。

日本よりも高温多湿な香港ではエグゼクティブはスーツ姿だが、
冷房温度がものすごく低く設定されている。台湾も同じだ。
その他のアジア諸国では、冷房を効かせることができる状況にある人は
スーツ姿だが、そうでない人は軽装である。
エグゼクティブでもない大多数の日本人が、エグゼクティブと同じ服装をする必要があるのだろうか。
もう少し気候に応じた服装で良いのではないか、と働き始めたころから感じていた。
今回のスーパークールビズは、そういう意味では良い試みだと思う。

しかし、そのスーパークールビズへの反応でこんな記事が掲載された。

就活もクールビズで 企業呼びかけも学生鈍く
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110522-00000101-san-bus_all

 夏の冷房を控えることが予想される中、ソニーは学生に「リクルートスーツをご用意いただく必要はありません」と告知。面接官もクールビズで臨む。

 5月に採用活動を再開した富士通ネットワークソリューションズも、人事担当者がブログでクールビズを学生に呼びかけている。就職支援サイト「リクナビ」の岡崎仁美編集長は「スーツの着用が必ずしも必要でない企業は、積極的に学生にアナウンスしてほしい」と話す。

 夏を乗り切るリクルートスーツとしては手軽に洗えるものが人気だが、あえて「脱スーツ」を打ち出したのが、はるやま商事。節電事情を踏まえたシリーズ「SAVE BIZ(セーブビズ)」を6月末から販売する。裾のロールアップ(巻き上げ)を前提としたパンツや7分丈の短パンといった商品を、学生に“模範スタイル”としてPRしていく。同社の横山健一郎・社長室長は「スーツもOKですが、わが社への就活は『SAVE BIZ』でお越しください」と話す。

 一方の学生側はどうか。高島屋は学生たちに「服装は選考に影響はありません」と伝えている。しかし、男女とも100人中99人の割合でリクルートスーツ。各企業の面接控室では上着を脱がず、暑さに耐える学生が多いという。

とのことである。
ここに挙げられた企業の呼びかけはまことに適切だと思う。
とくに、はるやまは流石に衣料品の会社であり、もっとも涼しく感じるであろう7分丈パンツの着用を許可している。ちなみに7分丈パンツというと、ふくらはぎの真ん中くらいの長さである。

その呼びかけに乗らない学生の気持ちもわからないではない。

しかし、結局、役所がクールビズ、スーパークールビズを設定しなければならなかったのも、
この学生たちと同じ行動をサラリーマン諸氏が取ったからである。
役所がある程度強制的に着用を迫る必要があったということである。
明治に発令された洋装令以来、日本人の衣服に対する考え方は何も変わっておらず、
平成の世でも「クールビズ着用令」が発令されないと、着用する衣服は変わらなかった。

就職活動の学生にもクールビズ、スーパークールビズを着用させるには、
環境省が再度「学生向けスーパークールビズ着用令」を公布しなくてはならないのではない。

大阪百貨店が陥るメンズの過剰供給

 消費の勢いもなく、人口も減っている大阪市だが、なぜか百貨店だけはどんどんオープンしている。どれもこれもリーマンショック以前に立てられた計画を、社員が粛々とこなしている結果である。

3月3日、高島屋難波店が増床オープンした。

今回はまだ見に行けていないのだけれども、一番気にかかるのが、西ゾーンの地下1階と2~5階に開設されたメンズコーナー「タカシマヤ メンズジャーナル」である。これは明らかに阪急メンズ館を意識している。
http://www.takashimaya.co.jp/osaka/mensjournal/index.html

地下1階がゴルフ・スポーツ、地上2階がメンズ雑貨、3階がコンテンポラリースタイル、4階がカジュアル、5階がビジネス、プレタという構成。
3階のブランドラインナップを見ると、タケオキクチ、コムサメン、ミッシェルクランオム、ランバンオンブルー、バーバリーブラックレーベルなどが入店しており、新鮮味はほとんどない。

4階は40代以上向けのカジュアルラインナップである。Jプレス、ニューヨーカー、ポロラルフローレン、マックレガー、パパスなど。こちらも目新しさはない。

5階はダーバン、五大陸、バーバリー、ボス、エトロ、ダンヒル、ランバンコレクションなどで、見慣れたラインナップ。

さて、なぜ難波高島屋で40代以上のメンズを強化する必要があったのか理解に苦しむ。若い消費者向けのメンズなら横断歩道を渡った正面にマルイ難波店がある。また高島屋の近隣の地下には、なんばシティが広がっており、地下2階にメンズブランドは多数集積されている。洋服の消費量がレディースよりも明らかに少ないメンズなのに、過剰供給である。
某繊維業界のご先輩に伺うと「阪急メンズ館への対抗意識だけで、あまり深く考えずに計画したのではないか」とのことである。

たしかにあまり深く考えた企画ではなさそうである。まあ、百貨店には往々にしてこういう企画が見受けられる。JR大阪三越伊勢丹のヤングレディース売り場「イセタンガール」だって洋服ブランドのラインナップは陳腐な物だった。あまり深く考えずにブランドをそろえたのだろう。

マスコミにも一般消費者にもいまだに百貨店崇拝の残滓が残っている。しかし、80年代~90年代前半までとは異なり、現在のファッショントレンドは百貨店がリードしているものではない。百貨店はファッショントレンドに振り回されて、周回遅れで劣化コピー売り場を作るのが関の山である。今回の「タカシマヤ メンズジャーナル」も成功しそうな要素は見当たらない。

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