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「服しか売っていない」ZOZOTOWNの限界と、「服も売っている」Amazonや楽天への支持率の高さ

衣料品業界に何となく居続けているが、「趣味は衣料品だけです」という人はほとんど見たことがない。
仕事にしているくらいなので衣料品自体は好きな人ばかりだが、趣味はまた別にある。

それはキャンプだったりサーフィンだったり音楽鑑賞だったりする。

「趣味は衣料品のみ」という人は衣料品業界人といえども皆無に等しい。

そう考えると、「服だけしか売っていない」ZOZOTOWNは、「服も売っている」Amazonや楽天、Yahoo!ショッピングなどには到底勝てないことは明白である。

つい昨日、仕事を共にしている「業界の美肌プリンス」の名を欲しいままにする深地雅也さんとこんな話をした。

高校生20人くらいに向かってファッション専門学校の講義をしたそうだが、ネット通販について質問したところ、「ゾゾで買う」と言った学生は1人しかおらず、あとの残りはAmazon、楽天が多かったとのことだ。

もちろん、「身の周り調査」に過ぎないが、同じ経験は当方にもある。
18~22歳くらいまでのファッション専門学校生に尋ねてみると、ZOZOTOWNで買うと答える生徒は毎年ほとんどいない。

ZOZOTOWNの主要客層は20代半ばから30代後半の男女であり、それ以外の年代へのリーチは弱い。
主要客層の下の年代を取り込むか、さらに上の年代(40代以上)を取り込むかは、企業戦略の分かれ目でどちらが正解とも言えないが、ZOZOTOWNの場合は「ツケ払い」の開始という施策を見ても、下の年代の取り込みを選択したと思える。

しかし、現時点では下の年代の取り込みはほとんど奏功していないといえる。
その結果が、高校生・ファッション専門学校生がほとんどZOZOTOWNでは買っていない現状に現れているのではないか。

じゃあ、どうしてAmazonや楽天が高校生や専門学校生を取り込めたかというと、服以外の商品が豊富に売っているからだ。
というよりも服はおまけの付けたしで、本来は服以外の商品が主力だった。
Amazonが日本に上陸してからもう13年以上になる。
楽天がスタートして15年以上になる。

初期からのユーザーはもう40代・50代になっており、その人たちの子供は生まれたときからAmazonや楽天で商品を買われていることになる。

Amazonは当初は本の通販だったし、楽天も雑貨や家電などが主力だった。
両方とも服の販売は付けたしだったり後付けだったりする。

当然、初期からのユーザーは自分の子供が生まれても、その子供に本やおもちゃ、ゲーム機・ゲームソフトなどをAmazonや楽天で買い与えていただろう。全部ではないにせよ、相当数をAmazonや楽天で買い与えていると考えられる。
常にレイトマジョリティーに属する当方だって、長男が小学校6年生くらいのとき(今から10年くらい前)、日本の書店ではなかなか売っていないゲームの本が欲しいと言われ、初めてAmazonで購入した記憶がある。

小さい頃からAmazonや楽天に慣れ親しんでいる子供たちが高校生や専門学校生になったとき、今までまったく馴染みのないZOZOTOWNを選ぶか、小さい頃から慣れ親しんだAmazonや楽天を選ぶかは、明らかだろう。
そんな見ず知らずのサイトでは服なんて買わない。

おまけに楽天も服を売っているし、Amazonはここ数年で服も豊富に売っている。
じゃあ、今までゲーム機やおもちゃを買ったサイトでついでに服も買うようになるのは当たり前だ。

当方だって、サイズが思ったよりも小さかったので無料返品したが、今年の正月にはAmazonでコーエンのステンカラーコートを買ってみた。
決してZOZOTOWNではない。

当方がZOZOTOWNを利用しない理由は前澤友作社長の顔付き・顔立ちが嫌いなことと、何万円買おうが送料は200円かかるからだ。
Amazonなら2000円以上で送料無料になるし、ユニクロ・ジーユーサイトなら5000円以上で送料無料になる。
アダストリアホールディングスのドットエスティだと4000円以上で無料だ。
ヨドバシカメラドットコムなら1円の商品でも無料配送してくれる。

どちらがお得なのかは一目瞭然だ。

当方にとってZOZOTOWNはウェブ版のカタログ、リサーチ目的で閲覧するページに過ぎない。

Amazonだとパソコン回りの機器と趣味のガンプラを見たついでに服や靴、リュックなどを検索して価格を調べる。
お買い得品があればガンプラのついでに買う。

また、Yahoo!ショッピングも同じ理由で利用する。
Amazonよりも検索が当方にとって使いやすいし、Amazonにはないお買い得品もある。

先日もこのブログで紹介したが、ZOZOTOWNへの加入数はここ1年で1万7000人しか増えていない。

日本国内だけで考えると、ある程度「ファッションに興味のある人たち」という客層をZOZOTOWNは取り込み切ったのではないかと思う。
そして、ファッションに興味のある人たちというのは圧倒的に少数派である。

大多数の人、いわゆるマスはそこまでファッションには興味はない。もちろん、無関心ではないがすごく興味があるわけではない。

そういう人たちが「服しか売っていない」ZOZOTOWNに今後加入することは考えられない。
そういうマスの人たちは「服も売っている」Amazonや楽天、Yahoo!ショッピング、ヨドバシカメラドットコムあたりがすべて取り込んでしまうだろう。

ZOZOTOWNは海外に活路を見出すという意見もあるが、それも容易い道ではないと思う。
なぜなら、すでに各国には大手の衣料品通販サイトがあるからだ。
地元で名前の通ったサイトよりも海外からやってきた得体のしれないZOZOTOWNなるサイトでわざわざ服を買いたいと考える人がどれほどいるだろうか。

日本国内に置き換えてみたら良いだろう。
中国でも韓国でもインドでも構わないが、その国の有名衣料品通販サイトが上陸したとして、真っ先に飛びつく人は少ないだろう。
それよりは知名度があるZOZOTOWNで買う人が多いだろう。

それと同じことだ。

そんなわけで、今後はさらにAmazonは猛威を振るうだろうし、楽天やYahoo!ショッピングもなかなか侮れない底力を持っているといえる。
すでにこれらの「服も売っている」サイトは子供までを囲い込んでおり、全年代をしっかりとつかんでいるといえる。

服なんて所詮は生活で必要な物の一つに過ぎないし、そこに特化したZOZOTOWNの市場規模は当然小さくなる。業界人やインフルエンサーが思うほどには、大きな市場は決してつかめない。

ファッション業界人は認めたくないかもしれないが、ガンプラの横に服を並べて売っているAmazonや、塩昆布の詰め合わせの隣に服を並べて売っている楽天の方が一般人の嗜好にはるかに合っているということだ。
そしてマスに売るとはそういうことなのである。

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心斎橋筋商店街がドラッグストア街に変貌した理由とこれまでの変遷の推移
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たまには楽天の本もどうぞ~

ウェブショップを立ち上げることはさほど需要ではない。どのように集客するかが最重要課題である

 新たな販路としてネット通販を挙げる企業、ブランドは多い。
実際、新規ブランドを立ち上げたいとして昨年から何人か筆者に相談に来ているが、販路は直営のネット通販サイトを考えていると答えている。

リアル店舗を出店するよりも低コストで立ち上げられるネット通販は、新規事業者にも参入しやすい。

しかし、問題はネット通販を立ち上げたそのあとである。
どうやって集客するかである。ネット通販サイトを立ち上げただけでは集客はできない。

昨年何度かお会いした新規事業者がいるが、すでに通販サイトも立ち上げておられ、筆者に会う以前から事業を進めてこられていた。
自社の通販サイトの売上高をお訪ねしたところ、「ほとんどない」とのことで、集客の難しさを改めて思い知らされた。

業界では「オムニチャネル」を呪文のように年配層が繰り返しているが、通販サイトは立ち上げただけでは集客できないのである。今は通販サイトを立ち上げることが重要なのではなく、そこに如何にして集客するかが最重要課題となっている。
立ち上げるだけなら誰でもできる。

年配層には「立ち上げたら一安心」と考えている人が少なからずおられると感じるが、立ち上げただけではそんな無名のショップサイトにはだれも立ち寄らない。

新年こんな記事が掲載された。

楽天の危機…停滞鮮明で成長「演出」に必死、ヤフーの猛攻でトップ陥落
http://biz-journal.jp/2016/01/post_13136.html

 楽天の中核事業、インターネット通販の楽天市場がヤフーに追撃されて停滞色を強めつつある。楽天市場の窮状が鮮明になったのが、楽天の2015年第3四半期(7~9月期)決算だった。証券関係者を驚かせたのは、公表された楽天市場の流通総額のデータ集計方法が従来より変更されたからだ。

 15年から国内グループ流通総額と表示を変更。国内EC総額のほかに、Edy・楽天ポイントカード・クレジットカードの取扱高、楽天トラベルの予約流通総額が加わった。

しかし、楽天市場を中核とする国内EC流通総額は伸び悩んでいる。15年第1四半期は5079億円で前年同期比1.2%の減。14年まで2年間(平均16.7%)の高い成長がストップした。楽天市場の成長神話が崩壊した瞬間だ。

では、楽天トラベルを除いた国内EC総額はいくらになるのか。楽天トラベルは15年に入り20%以上の高い伸びを見せており、第2四半期は同24.8%増の1978億円だった。第3四半期も同程度の取扱高だったと仮定すれば、楽天トラベル分を差し引いた正味の国内EC総額は5000億円程度になる。この2年間、横ばいの状態ということだ。

とある。

この記事を要約すると、これまで高い出店料を取り続けてきた楽天市場が、「出店料無料」を打ち出したYahooに大きく水を開けられ始めたということである。
それをごまかすために上に引用したような、データ集計方法を変更している。
ちょうど、帳簿上だけでも黒字を生み出すためにワールドが決算の会計基準を変更したのと同じ手口といえる。

それはさておき。

記事中で、楽天の出店店舗数は14年12月期で、4万1442店とある。
また15年9月末時点のそれは4万2601店。14年12月末の4万1442店から1159店しか増えていない。
とも書かれてある。

楽天だけでざっと4万1000店の店舗があるということである。

一方、成長著しいYahooは、

15年9月末時点のストア数(出店者数)は34万店。14年9月末の19万店から15万店、80%も増えた。商品数は1.2億点から1.8億点に49%増えた。上半期にカルチュア・コンビニエンス・クラブ、ソニー、大丸松坂屋百貨店が新規出店した。

とある。

34万店で商品数は1・8億点である。

楽天とYahooだけで40万店弱の店が出店していることになる。
その他のアマゾン、ZOZOTAWNをはじめとする総合ショッピングサイト、ブランド直営通販サイトを合わせると膨大な数の店がすでにネット上には存在していることになる。

さて、これほどの数の店がある中で、何の知名度もない立ち上げたばかりのネットショップになぜお客が来ると思えるのだろうか。
そもそもネット検索をしたときに、そんな小資本の新規参入サイトが上位に表示されるわけもない。
だから、立ち上げただけでは集客は限りなくゼロに近いのである。

じゃあ、楽天やYahooに出店するという人もいるが、それこそ楽天で4万店、Yahooで34万店もある中で、新規参入者は確実に埋没してしまう。
Yahooは出店料無料だが、楽天の出店料はバカにならない。小資本の新規事業者の資金繰りを間違いなく圧迫する。

記事によると、楽天の出店料は

出店料は月額1万9000円からとされ、さまざまなオプションなどを付けると年間出店料は実質58万2000円に上るという(15年5月29日付楽天出店サポートマガジン『楽天逆転プロジェクト』メール版『楽天出店で失敗しないために』より)。

とされている。
ちょっと小金を貯めた程度の個人では楽天に出店できない。
出店したところで4万店に埋没してしまい、58万円強の年間出店料を支払ったあとに利益を残すことはできないだろう。
楽天に出店して利益があるのは上位何店舗かの店だけだというのは、広く業界に知れ渡った事実である。

リアル店舗に比べてはるかにコストが安いから、小資本の個店でも、消費者とダイレクトにつながれて損をしない程度に実験的に販売を行えるというような「牧歌的」な状況では、ネット通販は最早なくなっている。

リアル店舗と同等に大資本が牛耳る世界だ。
その中に、小資本の個店や、何のノウハウもない製造加工業者が何の対策もなく飛び込んだところで瞬殺されるのが落ちである。

如何に集客するのか。
そこをまるっきり考えずにウェブショップを立ち上げるのは自殺行為といえる。

楽天市場がなくなる日
宮脇睦
有限会社アズモード
2013-07-05



楽天の中国撤退理由の解説がステレオタイプ過ぎないか?

 先日、某雑誌の取材で福井県の方を尋ねた。
業界の方でも何でもなく、単なるアメカジ・ワークブランド好きの方である。
その方の手持ちの洋服を見せてもらってそれを写真撮影しつつ、コメントをいただくという作業だった。

その方は年間に数枚しか買わないそうだが、一枚あたりの価格が高い。

GAPの最終値下げで990円に値下がりしたTシャツを2枚と、1900円に値下がりしたニットカーディガンをさらにレジにて2割引きで買う筆者とはだいぶ異なる。

お手持ちの中に、「フィルソン」のウールワークベストがあった。
ネットで調べると販売価格1万8000円である。

この方の手持ちの他の洋服は「エヴィス」「シュガーケーン」などで、だいたい単価2万~5万円くらいなのだが、すべてネット通販で買うという。

福井県でもかなり田舎に住まわれていて、中心街へ行くのも大阪や京都に行くのも時間がかかるのでネット通販という選択は当然だと思う。
それでもそんな高額な物をネットで買うことに驚くとともに、そこまで定着していることが分かった。

筆者はネット通販をあまり利用したことが無い。
何度かはある。買った物といえば、ユニクロで週末限定価格で値下がりした商品とか、リーバイスのオンラインファミリーセールで3150円に値下がりした廃番ジーンズなどだ。

でも送料500円を支払うのが嫌なので家族分をまとめて買う。
ユニクロなら5000円以上買うと、リーバイスのオンラインファミリーセールは1万円以上で送料無料である。
送料無料になるようになるべく「キッカリ」の金額にする。
ユニクロなら5000円ジャスト、リーバイスなら1万円ジャスト。それ以上無駄な物は買わない。

なぜネット通販を利用しないかというと

1、愛用している低価格ブランド群の中にはネットよりも店頭の最終値引きの方が安い物がある。
2、試着できない

この2点が主な理由である。
ブランドごとに採寸が異なることも多い上に、同一ブランドの中でも商品によって寸法が異なることもある。

そんなネット通販音痴の筆者なので、
今月に発表された楽天の中国市場撤退、今年初旬に発表されたYahoo!Japanの中国市場撤退の理由があまり良く分からない。売れなかったことだけははっきりと分かるが。
正確に言うと、各紙で報道された理由があまりピンとこないのである。

そんな中、東洋経済で掲載された記事が一番しっくりときた。

楽天・ヤフーはなぜ敗れた? 激変する中国オンラインショッピング市場
http://www.toyokeizai.net/business/industrial/detail/AC/a1c1206894f023d4460cd8098545061a/

ヤフーは2010年6月、楽天は10年10月に中国版のモールを立ち上げた。
それからわずか2年弱での両社の撤退である。
正確にはヤフーが2年弱、楽天は1年半である。
以下に撤退の理由の解説を引用抜粋する。

どうして、そろいもそろってダメだったのだろうか。
 
 「母国で成功した日本的デザインにこだわりすぎた」「母国で成功したフットワークの重い日本式決定構造」といった、中国での日本企業の敗因としてのステレオタイプな解説は各所でなされている。

そういった経営体制側の要因はもちろんあるだろう。ただ、中国のネットユーザーの立場から見てみれば、「販売店とのチャットによるコミュニケーションは必須なのに備えていないこと」「他の輸入代理店に比べ値段が高すぎたこと」「取扱商品数が十分でなかったこと」といった、非常に基本的な部分での不備が、敗因として挙げられる。

とのことである。

筆者がしっくりこないと言ったのは、上で記されているステレオタイプの解説である。
その程度のことならわざわざ記事を読まずとも、ある程度知識を持ちあわせている人なら、容易に想像できる。

少し横道にそれるが、フランスのカルフール、イギリスのテスコという大手流通が相次いで日本市場から撤退した。米国のウォルマートも長い間苦戦を続けている。
彼らが上手くいかない理由も「母国での成功スタイルにこだわりすぎた」「現地化できなかった」ことが挙げられる。

疑問を感じるのは、マスコミや評論家の論調である。
日本企業が海外市場から撤退するときには「母国(日本)でのスタイルにこだわった」ことを非難するが、海外企業が日本市場から撤退するときには、その企業を非難するのではなく、「海外企業が通用しない日本市場の風習」を非難する向きが多い。
これはダブルスタンダードも良いところである。
日本企業には「現地に合わせろ」と言い、海外企業には「日本人が海外企業に合わせろ」と言う。
どこまで舶来コンプレックスに囚われているのかと呆れ果てるばかりである。
なぜ海外企業にも「現地(日本市場)に合わせろ」と言わないのか。

さて、そんなこんなで今回の東洋経済の記事は非常に分かりやすかった。
続編にも期待したい。

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