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女性ファッション雑誌の凋落 販売部数17万部強でリンネルが首位になるレベル

最近、さっぱり興味が湧かなくなったものの一つにファッション雑誌がある。

当方はもともとレディースのファッション雑誌にはまったく興味がなく、仕事以外では読むこともなかった。
一方、ファッション雑誌を読むのは完全に娯楽であり趣味だと思っていたことと、大学を卒業するまでまったくファッションに興味がなかったため、メンズのファッション雑誌は興味を持って読んでいた。
2008年ごろまでは。

このころになると、メンズのファッションのコーディネイト例も一通り全部覚えてしまったから、徐々に買う頻度が減っていった。
94年頃からとすると足掛け15年に渡って毎月メンズのファッション雑誌を買っていた。

2009年以降は毎月は買わなくなり、ネタ枯れで街頭スナップばかりになる2月発売号と8月発売号は買わなくなった。
街頭スナップばかりのページが延々と続くから読む意味も感じなかったからだ。

2011年を越えるころからは、年に何冊かしか買わなくなり、2015年以降はまったく買わなくなった。
発売日に本屋でパラパラと一通りめくるだけ、散髪屋で髪を切ってもらいながら備え付けのを読むだけ、というふうになって今に至る。

メンズのファッション雑誌の発行部数・販売部数ともに恐ろしいことになっているのだろうと思う。

発行部数を調べたい方はここで調べると良いだろう。

https://www.j-magazine.or.jp/

最新データは2017年10月~12月の3か月間の平均データが掲載されているが、案の定、メンズファッション誌は壊滅的な数字が掲載されている。

男性ヤングという分類のファッション雑誌を見ると、メンズノンノ、メンズジョーカー、ポパイの3誌の発行部数が掲載されているが、すべて10万部ぎりぎりである。
2018年年末までには3誌とも10万部を割り込むことになるだろう。

発行部数が10万部なのだから、販売部数は当然それよりも少ない。
月刊誌は書店でなるべく売り切れが出ないように、販売部数よりも少し多めに印刷する。
少し多めに印刷して10万部なのだから、実際の販売部数は当然10万部未満ということになる。
個人的に推測すれば恐らくは5万~7万部あたりが販売部数ということになるのではないだろうか。

メンズノンノ、メンズジョーカーあたりは2011年頃と比べると3万~5万部は発行部数が減っている。
恐らく販売部数はもっと減っているのだろう。

5~6年前に12万部~13万部くらいを発行していた「ライトニング」はついに6万4000部となっており、ほぼ半減している。

メンズファッション雑誌で唯一発行部数が落ちずに踏ん張っているのが、サファリで以前と変わらず18万部をキープしている。
同年代向けのファッション雑誌(レオンやウォモ、メンズEXなど)は3万~7万部の発行部数しかないことを考えると、サファリの発行部数はメンズファッション雑誌の中では断トツである。

さて、メンズファッション雑誌よりはマシだが女性ファッション雑誌各誌もその凋落ぶりは悲惨といえる。

つい先日、こんな報道があった。

日本の女性ファッション雑誌販売部数ランキング、「リンネル」が初の1位に
https://www.fashionsnap.com/article/2018-05-11/abc-liniere/

一般社団法人日本ABC協会が2017年下半期(2017年7月~12月)の雑誌販売部数を発表し、宝島社の「リンネル」が月刊女性ファッション雑誌の販売部数において初の1位を獲得した。リンネルが17万7,052部

とのことだ。

発行部数と販売部数だと販売部数の方が少なくなるのだが、それでもたった17万部で1位になるということは、他の女性ファッション雑誌の販売部数がいかに少ないかということを物語っている。

ちなみに2010年にはこんな記事が掲載されている。

出版不況もどこ吹く風?
雑誌「sweet」が100万部を突破できた宝島社の秘密
http://diamond.jp/articles/-/9063

くどいようだが、発行部数と販売部数は異なり、販売部数の方が発行部数よりも少ない。
8年前に発行部数が100万部を越えていた「sweet」は、8年後の現在の販売部数はリンネルよりも少ない17万5,844部しかない。

発行部数はこれよりも当然もう少し多いだろうが、それでも何十万部も多いわけではない。
販売部数に比して異様に発行部数を多くすると、それは大手新聞各社が指摘されている「押し紙」と同様になってしまう。

媒体力を上げ底にするために、販売部数に比して異様に発行部数を増やすという水増しだ。

「発行部数が多いから媒体力が衰えておらず、だから広告費を高く設定しますよ」

という目的がある。
しかし、雑誌の場合はそこまで水増しはされていない。
sweetの場合、多くても水増しは10万部程度ではないかと個人的には推測する。

だとするとsweetの発行部数は30万部前後ではないだろうか。

発行部数という同じ基準で考えた場合、sweetは8年間で3分の1程度にまで縮小しているといえる。

これは他の雑誌も同様だろう。リンネルは昔から地味な雑誌なので落差は少ないと考えられるが、赤文字だの青文字だのエビちゃんだモエちゃんだと囃し立てられてブームになった各雑誌の落差はおそらくsweetと同等かそれ以上の落ち込みだと考えられる。

これだけ媒体力が落ち込んでしまうと、ファッション雑誌に広告掲載する意味もほぼなくなってしまう。
また、広報目的として商品やブランドを掲載する意味もほぼなくなってしまう。

今後、アパレル企業やブランドのプレス担当者や広報担当者はこれまでの「ファッション雑誌一辺倒」という姿勢では仕事ができなくなり、ファッション雑誌一辺倒という能力しか持たないプレス担当者や広報担当者はこれから生き残れないと見ている。

生き残れるプレス担当者・広報担当者はファッション雑誌ではなく、紙・ウェブを問わず活字メディアに強い人物、ウェブメディアに強い人物になるだろう。

ファッション雑誌編集者と酒を飲んで休日に遊ぶことで親睦を深めて、それで掲載を勝ち取ってきたようなプレス担当者・広報担当者はほぼ必要なくなってしまうのではないか。
この辺りもアパレル業界・ファッション業界に起きた地殻変動の一つといえる。

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原料と直結した数少ないアパレル製品の一つがジーンズ ~エドウインはどうなる?~
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付録付き雑誌が飽和点に達した

 付録付き雑誌の勢いが止まった。

金森努さんの記事によると、今年は付録付き雑誌の発行部数が前年割れしているという。

付録付き雑誌バブル崩壊!…では、どうする?
http://www.insightnow.jp/article/6727

以下に抜粋引用する。

女性向け付録付き雑誌は<昨年に前年実績を4%上回る月もあった。だが、今年1~6月の部数は8.6%減。7.8%減だった同期の雑誌全体の減少率を上回った>という。特にムック(不定期刊行物)に限っては<オリコンによると、昨年1~6月に25.1%伸びたムックの推定売り上げ部数も、今年同期間は3.4%減に。「付録付きの減少が全体を押し下げた」(オリコン)>

とのことである。

タイトルは「バブル崩壊」であるが、バブル崩壊というよりは、需要が頭打ちしたのではないかと思う。
特定の雑誌の購読者数はもともと限られている。
その購読者数を増やすため(新規の顧客獲得のため)には、付録付き雑誌は昨年まで大いに活躍した。
しかし、購読者数は無限に伸びない。どこかで拡大が止まることになる。
それが昨年いっぱいだったのではないだろうか。

また、洋服や家電製品、自動車などと違って雑誌やCDなどは一人の消費者が、同じものを何個もまとめ買いするケースがある。韓流タレントやAKBなどはまさしくそれであろう。
大多数は興味がないけれども、熱心なファンが一人で何枚もCDを買ったり、彼らが掲載された雑誌を何冊も買い占めたりする。

付録付き雑誌にも同じ構図が認められる。
今回の金森さんのまとめでも

記事には「まとめ買いが減少」というサブタイトルがあり、<「何冊も購入する人が昨年より減った」>とのジュンク堂三宮店(神戸市)のコメントもあるが、<以前は雑誌なら色違いを揃えたり贈答用に買ったりする女性客が多かった。1人で20冊“大人買い”するケースもあったという>

と触れられている。

無限に伸び続ける業態はこの世界に存在しないのだから、
付録付き雑誌も早晩、飽和点に達するとは思っていた。
その時が今年だったというだけのことだろう。

以前にも書いたことがあるが、
雑誌の付録が格安で製造できるのは、生産数量が大きいからである。
通常、洋服だとこの不況下、1型100枚くらいの製造しか受注がない。グローバルブランドなら「サンプル」並みの数量である。1型1000枚製造すれば大ヒットと言われる。
バッグやノベルティ類はもう少しロットが大きいがそれでも1万個を越える受注はかなりの大口であろう。

しかし、宝島社を例にとれば、「sweet」の発行部数は100万部を越える。
これに1冊ずつ付録が付くため、単純に計算しても付録の製造数量は100万個以上となる。
これほど大口の製造は、ほとんど見られない。
製造数量が増えれば増えるほど、1個当たりの製造コストは減少するから、100万個も製造すれば1個あたりの価格はかなり安くできる。

付録で購読者数が増える→発行部数が増えるので、付録の製造数量も増える→付録が好評でまた購読者数が増える→付録の製造数量が増え、さらに値段が安くなる→・・・・・・

という好循環のスパイラルが昨年末まで続いてきたといえる。

しかし、購読者数は伸びきってしまった。
これからは①付録のクオリティをさらに上げるか②それとも雑誌の内容をさらに充実させるか、のどちらかもしくはその両方で現在の購読者をつなぎとめるしかない。

付録付き雑誌で部数を伸ばしてきた女性向けファッション雑誌は厳しい時代に突入し始めた。
付録で話題を集められる時代はついに終わった。

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