プリーツ加工で有名な井上プリーツが10月9日、自己破産を申請した。

http://n-seikei.jp/2012/10/post-11637.html

社名はよく存じ上げているが、面識はないので記事を引用させていただく。

負債額は約9億円。

同社は、昭和11年に織物卸業を目的に創業され、昭和27年には日本で初めてプリーツ加工技術を確立、日本毛織の指定業者になるなどプリーツ加工により業容拡大していた。 NY近代美術館に出展するなどその技術は高く評価されていた。

また、この間の競争にも中国(3ヶ所)に工場を進出させ対応、国内では表参道にWRINQLE SHOPというアンテナショップも有し、カーテン地や椅子張地などファブリック製品へも導入するなど積極的な経営を行ってきた。

しかし、円高と日本製のファッション製品が少なくなり、国内の消費不況にもさいなまれ、以前は20億円以上あった売上高も平成23年12月期には約5億円台まで落ち、受注不振および海外勢の安価な製品にこれ以上耐えられず、今回の事態に至った。

とのことである。

名だたる有名ブランドのプリーツ加工を担当していた企業で、記事を読む限り、中国に工場を3か所設立し、加工業でありながら表参道にアンテナショップを開設していた。
また、年々減少する衣料用途をカバーするために、インテリア向けの製品も導入していた。

これらの方策は、製造業・加工業が下請けから脱するために有効だと言われているものばかりである。
筆者も製造業・加工業が下請けから脱するためにはこれらの手法を組み合わせるしかないと考えている。

それらを積極的に導入していた有力加工業が破産してしまった。
これには、国内の製造・加工業者にとってはかなりのショックではないだろうか。
筆者もショックである。

何の手だても打たなかった製造業・加工業が倒産するのは仕方がない。
しかし、いち早く様々な手法を導入した製造業・加工業が市場から退場するというのは、「どんな手立てを打っても無駄じゃないのか?」と思わせるに足る。

織布工場が消え、洗い加工場が消え、整理加工業が消え、二次加工業者が消える。
製造業のサプライチェーンの各工程がどんどん消えている。
百貨店やアパレルブランドは、販促目的で「産地活性化」を叫び始めているが、今更である。

百貨店が、委託販売という取り引き形態を変えない限り製造業を支えることなんてできないし、その場限りのイベントをブチ上げたところで、ほんのわずかの足しにしかならない。

5年後、はたして国内製造業者はどれだけ残っているだろうか?