先日、こんな記事を読んでなかなか良い取り組みだと思った。

洋服感覚で楽しむ”セットアップ”キモノ「レ・モン」がデビュー、京友禅と西陣織の老舗企業がタッグ

https://www.fashionsnap.com/article/2018-06-18/lesmondes-debut/

ジャケットとロングスカートの上下に分けた”二部式着物”で、最後に簡易帯で仕上げるというこれまでにないスタイルを考案し、洋服感覚で着物を楽しめるようにしたという。

スタイリングはセットアップだけではなく、柄を組み合わせるなどのアレンジも楽しめる。

ロングスカートにはファスナーを備えており、着付けは約5分で行うことができる。簡易帯はカルタ結びや兵児帯(へこおび)など5型で、ファーベルトも揃える。生地には京友禅や西陣織の伝統技術は用いずにポリエステルなど洋服に使われる素材を使用しているため、自宅での洗濯が可能。また、ジャケットが2万8,000円〜、ロングスカートが1万8,000円〜、簡易帯が9,800円〜と手に取りやすい価格を実現するなど、呉服業界の課題となっていた部分を解決した。

とのことだ。

ちょっと文面で意味のわからない箇所があるが、概ねこの商品には賛同する。

当方は着物を着たことがない。
多分、今後も棺桶に入るとき以外は着ないと思う。

着物を着ない理由は

1、商品価格が高い
2、自分では着付けができず、着るたびにお金を取られる
3、正絹の着物は洗濯・保管・メンテナンスがめんどくさい

である。

1,2,3の理由どれもが当方にとっては重要で優先順位は付けがたい。
しかし、1は清水の舞台から飛び降りたつもりで10万円前後なら買えなくもない。(パソコンを買ったと思えば)
3は頑張れば何とかできるかもしれない。まあ、年に2回以上は洗濯も保管メンテナンスもやりたくないが。

2は致命的だ。
自分一人では着れなくて、着るのには有料で手伝ってもらわなくてはならない。
おまけに時間がかかる。

こんな不便な服を着ようとは思わない。

少なくともこの3点を改良しない限りは、着物のマス化なんて絶対に起きないと断言できる。

なぜなら、現在の洋服はこの3点を軽々とクリアしてしまっているからだ。
今の着物のままならマスには広がらない。

SNSを始めてから、着物を着ない当方になぜだか、和装関係の人とのつながりがけっこうできてしまった。

和装の衰退を憂う方が多く、それを食い止める手段の一つとして「着物の日常着化」とか「着物のマス化」に言及されることも多い。

じゃあ、具体的どのようにそれに取り組むかということになると、意見はバラバラで、当方のうがった見方かもしれないが、「今の着物のままで何とかマスに広がらないか」と考えている人が多いように見えてしまう。
どのような願望を持とうがそれは個人の自由だが、あまりにも現状と離れた願望は成就することは難しい。

もちろん、「晴れの日」向けの着物は今のままで良いと思う。当方はそれでも着ないが。
式典・会合・記念日、そういう「ハレの日」に着る着物は今のままでも着る人は存在し続ける。

しかし、多くの人が目指す「日常着化」という点は、現状維持の商品では解決できない。
そんなめんどくさい服を日常的に着る人なんてよほどの変わり者か変態である。
そして変わり者も変態も絶対的に人口が少ない。
少数の人間にしか支持されない商品が日常着化することなんて絶対にあり得ない。

日常着化を目指すなら、日常着にふさわしい商品を開発し、何なら、今の着物の形や形状を変える必要がある。
「俺たちは変わらないけど大勢に広まってほしい」なんてそんな虫の良い話はない。

実際、洋服だって時代を経るごとに形状が変わってきて現在に至っている。
形状はほぼ変化がなくなったが、今度は使用素材が変わってきている。
機能性素材の広まりはそれを表している。

いまだにフランス革命以前みたいに、長ズボンの上に「キュロット」と呼ばれる半ズボンを重ね穿きしている人なんて存在しない。
フランス革命を経て「サン・キュロット(半ズボンなし)」の服装が一般化したのである。

マーケティングの基本に4P戦略というのがある。

商品(product)
価格(price)
販売場所(place)
販売促進・告知(promotion)

である。
こんなものは業界にいる多くの人が基礎知識として有しているはずで、じゃあ、今の着物はこの4P戦略に則っているかどうかを考えてみればすぐにわかるのではないかと思う。

商品的にはめんどくさいし、価格は高い。
promotionの手法も微妙だ。

4つのうち3つまでが則っていない。少なくとも「商品」と「価格」の2つは則っていないとなると、売れるはずがないということになぜ気が付かないのかと不思議でならない。

日ごろから尊敬する和装関係の染色作家、仁平幸春さんはこんな記事を書いておられる。

衣服の変容は日本だけじゃないわけで。。。https://note.mu/yukiharu_nihei/n/n420922ab4732

 

良く「日本人は日本の伝統的民族衣服であるキモノを着ない」という言われ方をされますが、それは事実でしょうか?
事実は「衣服の変容は日本だけが特殊なのではなく、全世界的に同じように変わった」という事ではないでしょうか?
私は、日本だけが特殊で日本だけが西洋かぶれして和服を捨ててしまった、という論調はおかしいと思っています。
上記のように、どの国でも、同じような変化があったのです

とあり、仁平さんの意見に禿しく激しく賛同する。

結局のところ、日常生活においては衣服に限らず、利便性の高い物が支持され、不便な物は淘汰されてしまう。
仁平さんが記事中で指摘されているように「不便な燐寸(マッチ)」は「便利な100円ライター」に駆逐されてしまう。
物好きな変態が「マッチの方が風情があるのにぃぃぃ」と叫んだところで、そんな不便な物を多くの人は使わないのである。

もし、本当に「着物の日常着化」を目指す人がいるなら、今回登場した「レ・モン」のような商品をもっと開発して市場に投入すべきだろう。

あと、紹介した記事の中で1か所どうしても意味が分からない部分があるので蛇足ながら紹介する。

6月11日には恵比寿にショールームを開設。若者を中心に幅広い年代の人が楽しめる”東京発”のブランドとして打ち出し、将来的には海外展開を視野に入れているという。

なぜわざわざ「東京発」にする必要があるのかちょっと当方には理解できない。
着物で京都の会社が開発してそこに京都府が参加したのなら「京都発」で良いのではないかと思う。
個人的には京都という土地は好きではないが、国内の他地域からもブランドイメージが高く、海外からも評価されている。「京都発」の方がわかりやすいのではないかと思うのだがどうだろうか。

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ジーンズの洗い加工はレーザー光線で行う時代
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こんなセパレート着物もあるでよ。