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リーバイスの中間価格帯は成功するか否か

 リーバイス、家族向け6500円発売
http://www.senken.co.jp/news/levis-lowerpriceline/

プレミアム戦略は継続するが、ジーンズカジュアルチェーン店など郊外型マーケットに向けて、6500円以上の中価格帯のジーンズのテスト販売を3月から開始する」ことを明らかにした。テスト販売の結果が良好なら、15年秋物から本格展開する計画だ。

とある。

実はこの記事の全文を読んでも今一つ共感できないでいる。

リーバイスは数年前に5900円という中間価格帯の「オレンジタブ」を廃止している。
筆者には今回の打ち出しがオレンジタブの復活というように見えて仕方がない。
(実際にタブがオレンジになるかどうかは記事からは分からない)
今、復活させるならなぜ当時それを廃止してしまったのか不思議でならない。

「オレンジタブ」ラインが作られた当時は、ユニクロの大躍進と不況から低価格ブームが起きたころである。
9800円以上の商品のみでは戦えないという判断があった。
実際はもっと低価格のイオンとのシグニチャーモデルも発売したことがあるが、その出来栄えは到底良いものとは思えなかった。
ある程度のリーバイスらしい品質と見た目を保っていたのは「オレンジタブ」である。

リーバイス伝統の赤タブをオレンジにし、価格帯を分けるというのは買う側からすると分かり易い施策であったと感じる。

リーバイス・ストラウス・ジャパン社の特徴は、社長が交代するたびにめまぐるしく施策が変わることである。
そして筆者が傍目から見ていると、それは一貫性に欠けると感じる。

今回の低価格商品問題は社長が交代するたびに、廃止と創設を繰り返している。
もう一つの施策は世界統一企画の導入と廃止に繰り返しである。
その裏返しとして日本独自企画の復活と廃止がある。

経営施策は時代に応じて柔軟に対応しなくてはならない反面、ブランド作りというのは一貫性がなければならない部分がある。
一貫性を保ちつつ柔軟に対応しなくてはならないのだから、これはなかなか難しい作業である。
この難しい作業ができなければブランド作りなんてものはできないから、実際はアパレル業というのは大変に難しい業種だといえる。

好きこそ物の上手とはいうものの、「服好き」だけではどうにもならないのがアパレル業だとも思う。

めまぐるしく数年おきに方針が変わるリーバイ・ストラウス・ジャパンに対して、「柔軟に対応している」と評価することもできるが、筆者の目には一貫性に欠けると映る。

経営的に考えるなら「ダメなものは早期に廃止すること」は良いが、ブランド作りという観点からいうなら、短期間で止めてしまえば定着させることは難しいともいえる。

オレンジタブを廃止して、今更また中間価格帯の復活というのは果たして効果があるのか、筆者には疑問である。
低価格志向は現在は幾分弱まりつつある。

誤解してもらいたくないが、低価格衣料品はなくならない。
しかし、低価格品だけを欲しがる風潮ではなくなりつつあると感じられるということである。

この風潮が出始めた時期にわざわざ低価格品を新たに作るというのはちょっとタイミング的に疑問を感じてしまうわけである。

例えば郊外店に限らず、ジーンズチェーン店には期末になると30%程度割り引かれた廃盤のリーバイスが並ぶ。
だいたい7000円弱くらいになるから今回創設される中間価格帯とほぼ同等ということになる。
どちらを買うかというと、筆者なら割り引かれた方を買う。
元々、1万円前後の定価で販売されていた物だから割安感がある。

そう考えると新ラインもなかなか売り方が難しいのではないかとも思う。

その一方で、ジーンズというアイテムに関しては、アパレル業界人からも「ユニクロの次の価格帯が1万円を越える。その中間価格帯がない」という嘆きの声も聴かれる。
実際のところはその中間価格帯の商品もあるのだが、業界人にすらあまり認知されていないといえる。

そこに向けての需要はあるだろうからリーバイスの新商品もそれなりの需要はあるのではないかとも感じる。

ただし、昨今は郊外型ジーンズチェーン店でも自主企画商品を製造販売しているから、6500円という価格帯はチェーン店の自主企画商品と競合する価格帯でもある。

筆者程度の知識では今回の取り組みが上手く行くかどうかは皆目見当がつかない。
いろいろと書いてきてアレだが(笑)、上手く行くことを願っている。
こんな感じでお茶を濁しておこう。

品番数を増やし続けたのは店頭占有率を高めるため?

 先日、ジーンズナショナルブランド(NB)はシルエット違いの品番数が多いのではないかと書いた。

すると、某NBで営業職を務めた経験のある知人が

「NBのSKUが増えたのは、他社との売り場シェア争奪戦=壁面、中島、ハンギングのフェースをいかに他社より多く取るか、そんな側面での品番、色番の展開を乱発した。特に90年代の10年間は多かった。
結局、常に上位20品番で売上の80%を占めると言うパレートの法則通りの結果で、品番を絞り込んでは処分し、また増えの繰り返しで粗利も低かった。
消費ニーズに応えたというよりは、シェアを取る為に店頭での展開が増えたのではないか」

との意見をくれた。

これは今でもそうだが、例えばリーバイスの501、エドウインの503のような「看板商品」以外の品番は、シーズンごとに大きく入れ替わる。
同じ番号でもまったくシルエットが異なったり、リーバイス517(ブーツカット)がなぜか「527」に番号変更したりと、そんなことは日常茶飯事である。

そして、販売員時代の経験と照らし合わせるなら、春夏と秋冬で店頭の陳列商品も大きく入れ替わる。
春夏に主力だったライトオンスジーンズや、淡色ジーンズを8月末ごろにメーカーに返品して、代わりにコーデュロイとか濃色加工ジーンズが送られてくる。これをシーズンごとに店頭とメーカー間で繰り返すわけである。

ジーンズという商品は、買い取りではなく、百貨店と同じ「委託販売」という形態をとる場合が多かった。
ジーンズNBの多くは自家縫製工場を持っているので、生産は毎日行われてしまう。季節返品された商品は倉庫に積みあがることになるため、アウトレットモールができるまでは、セール対応品として値引きされて再び専門店に送られることも多かった。

ご存知の通り、ジーンズ専門店の壁面はほぼジーンズの棚である。
ユニクロの店頭もこの形態を引き継いでおり、よく見てみるとユニクロのパンツ売り場は結構広い。
一方、GAPは壁面一面がジーンズということはない。かなりボトムス比率は低い。

時が流れ、専門店の壁面争奪戦はほぼ終結しつつある。
最盛期には7、8社くらいあったNBがエドウイン、リーバイス、リーにほぼ集約されてしまった。
そうなると、もともとあった広大な壁面を3ブランドの商品で埋めなくてはならなくなる。
これは店側にとってもNB側にとってもかなりの負担である。
先日書いたことと逆になるが、品番数を絞り込んでしまうと壁面スペースが埋まらなくなる可能性もある

同一品番を横に広げて面積を埋めるという手もあるが、それが不格好だと思うなら、品番数を増やすしかない。
9種類もある微妙なシルエット変化は、広大な壁面を埋めるためにやむを得なかった側面も強いのだろう。

残念なことに現在、NBとジーンズ専門店は低迷している。
理由は日本人がジーンズを購入しなくなったのではなく、選択肢が広がったためだ。
ユニクロ、GAP、ZARA,H&M、ハニーズなどの国内外のSPAブランド、高級インポートジーンズブランド、ライトオンのバックナンバー、マックハウスのラッシュアワーなどの専門店プライベートブランド、エヴィスやシュガーケーンなどのこだわりジーンズブランドだけではない。
一般の百貨店ブランドにもジーンズはある。バーバリーやタケオキクチなどにも並んでいる。

これらすべてがNBとジーンズ専門店の競合となっている。

そうなると、壁面をびっしりとジーンズで埋め尽くした従来型の店構えが良いのかどうかである。

NBとジーンズ専門店は商品の選択肢を増やし過ぎて、逆に消費者に選ばれにくくなっているのかもしれない。
「種類が多すぎて良く分からないから、ジーンズ専門店に行かずにユニクロに行く」。
そんな選択を行っている消費者も意外に多いのではないか。

先ほども書いたが、ユニクロの店内をよく見てもらいたいが、壁面はビッシリとジーンズとカジュアルパンツで埋め尽くされている。ユニクロの店作りは旧来のジーンズ専門店を引き継いでいる要素が強い。
什器とか内装とか照明が異なるため、そう見えないだけである。
他のSPAブランドで壁面をビッシリとジーンズで埋め尽くしているブランドはない。

となると、やっぱりNBとジーンズ専門店にとって、ユニクロの店構えは参考にすべき要素があるのではないか。
そして、選択肢を狭めるという努力も必要ではないかと思う次第だ。

選択肢は多すぎても逆効果

 ちょっとジーンズの話題続きで恐縮だが、考えていたことをパラパラとまとめてみたい。

エドウインやリーバイスに代表されるナショナルブランド(NB)は、一部にトップス製品があるものの、ほぼジーンズとカジュアルパンツ専門メーカーだと考えて差支えない。
NB各社のジーンズは、シルエットが事細かに細分化されている。かつて、筆者らが若かりしころは、その細分化された中から自分にぴったり合うシルエットの商品を探すのが楽しみでもあった。

リーバイス501はちょっと合わないから、ラングラーを穿いてみる。
ラングラーでも11MWZは合いにくいから13MWを穿いたらぴったりだった。
でもリーバイスの509もそれなりに合う。

こんな感じだった。
しかし、大部分の消費者にとって、ジーンズのシルエットをそこまで細分化する必要があるのだろうかと思う。
とくにジーンズNB各社が苦戦を始めてからその思いは強くなった。
もっとシルエットの選択肢を狭めた方が良いのではないか。

ちょうどこの考えをもう少し詳しく説明したブログを発見したのでご紹介したい。
リーバイスのHPが題材になっている。例によって長文である(・_・;)

プロダクトの整理と「選ばせない仕組み作り」がポイントのようだ。
http://keynotes.hidezumi.com/keynotes/2012/11/style_selector.php

ページに掲載されているルックブックは面白い。裾の長さなどのポイントを抑えるとお洒落に見えるということがよく分かる。特に高価なプレミアムジーンズを買う必要はなさそうだ。と、同時に消費者に何かを選ばせるというのはとても大変なのだということも浮き彫りになる。システムとして見た場合、とにかく使い勝手が悪い。

(中略)

次に、人は10以上の選択肢を見せられると「げんなり」してやる気を失ってしまう。これはつまり「お客さんが買ってくれなくなる」ということを意味する。ここでは16のスタイルが立て続けに提示され、3つほど見ると、前になにがあったか分からなくなる仕組みになっている。

これはヒトの脳のキャパシティに起因している。電話番号のような一連の情報の組み合わせだと7つから12程度は覚えていられるが、乱雑な情報の列になると、せいぜい3つか4つが限界だろう。またプロセスの数も5つ以上は「多いな」と感じられてしまうのではないかと思う。

(中略)

さて、Find Your Styleに戻る。無事にこの関門を通り越えて「好みのジーンズ」が選べたとする。最後にジーンズを選ぶと、結局いくつものジーンズが提示される。この時点で「前に選んだものが何だったか覚えていますか」ということになる。きっと「うんざりして」選ぶのをやめてしまうだろう。

いずれにしても「選択肢が多すぎて探せない」ということは、状態化している。最近出た野村総合研究所の生活者一万人調査の抜粋には次のようなコメントがある。

一方で、「商品やサービスに関する情報が多すぎて、困ることがある」と「商品やサービスに関する情報が不足していて、困ることがある」のどちらに近いかを尋ねた結果をみると、前者の考えを支持する人が全体の70.1%をしめる結果になっています。また「事前に情報収集してから買う」人は2006年(28.9%)から2009年(35.8%)に大きく増加したのに対して、今回の調査では33.1%とやや減少しています。買い物時に参考となる情報や利用者の評判は気になるものの、いわば情報過多の状況下にあるため、自身でさまざまな情報を収集する傾向がやや頭打ちになっていることがみてとれます。

口コミやブランドの信頼性などにこだわる人がいる一方で、情報疲れしている人もいるのかもしれない。店頭への回帰も見られるようだ。この「情報過多」というのは、現在では重要なポイントだ。

とある。

この筆者は、反対のアプローチで業績を回復したブランドに注目している。
アバクロンビー&フィッチ、通称アバクロである。
彼は、アバクロはジーンズを4シルエットに集約することで、売り上げが回復したと以前に述べている。
たしかに米国でアバクロの株価は上昇しているようだ。

さて、筆者も気になって現在のリーバイスのHPを見てみた。
メンズを見てみる。

510 スーパースキニー
511 スキニー
508 スリムテイパード
551 スリム       (蓬莱の豚まんではない)
502 ストレート
501 ストレート
505 ストレート
503 リラックス
527 ブーツカット

と全部で9つものシルエットがある。
517はいつの間にか527に変更になっていた。
また、501と502は同じシルエットで、ボタンフライとジップフライの違いがある。
なのにどうして同じストレートで505があるのだろう?
HPによると腰回りがゆったりしてひざ部分がストレートになっているそうだが、そんな細かい違いが必要だろうか。

どうだろうか?明らかに選択肢が多すぎるのではないかと思う。

ジーンズNBが苦戦を余儀なくされた一因に国内外のSPAブランドの台頭がある。
代表格であるユニクロとGAPのHPのメンズジーンズを見てみる。

ユニクロは細い順に、スキニー、スリム、レギュラー、リラックスの4シルエットしかない。
またGAPも スキニー、スリム、ストレート、イージーの4シルエットしかない。

この両ブランドの施策がすべて正しいとは思わないが、ジーンズのシルエットはこの4つで事足りるということであろう。実際にこの両ブランドに押されてジーンズ専門店の売上高が激減しているのだから、ジーンズNBは注目すべきではないだろうか。

ただ、ジーンズNBと両ブランドを単純に比較しきれない部分もある。
ほぼ単品アイテムしか展開していないNBと、トータルファッションを展開する両ブランドの違いがある。

両ブランドは異様に細分化されたジーンズを展開する必要はなく、
4シルエット程度の提案でも各種のトップスと組み合わせることで着用感のバリエーションが提案できる。

一方、単品しか展開していないジーンズNBは4シルエットだとラインナップがさびしいと感じるのだろうか。
しかし、リーバイスで言うなら、501だとブルーデニムの濃淡だけで7種類ある。うち1種類はクラッシュ加工なので6色か。ここにホワイトデニムバージョンとメイドインジャパン製品、メイドインアメリカ製品が加わる。

502だとブルーの濃淡だけで6色、ブラックデニムが1つ、カツラギ素材によるカーキやオリーブなどのカラージーンズが3色、そこにまだメイドインジャパン製品も加わる。

こうして見ると、一つのシルエットに7~10色のバリエーションがあることになる。
平均8色と仮定すると、リーバイスだと9シルエットなので9×8で72のバリエーションということになる。
これはかなり多い。仮に4シルエットか5シルエットに集約してもカラー展開を含めると、40ちかいバリエーションが確保できることになる。
40種類もあれば十分だろう。

そういえば、VMDの基本理論に「一番遠く(4~8メートル先)から認識できるのは色柄」とある。
ならば、シルエットを増やすのではなく色柄の種類を増やす方が、まだ理にかなっているのではないだろうか。

次に認識しやすいのはデザインであり、微細なシルエットの違いではない。
ならば、カーゴポケットを付けるとか目立つ付属を付けるとか、ブッシュパンツ型にしてみるとかの方が効果的だろう。
2メートル先で待っている相手が、502を着用しているのか505を着用しているのかを見分けられる人間はおそらくほとんどいないだろう。
だから、微細に異なるシルエットの商品を拡充することはあまり効果がないと思う。

それにしても改めて数えてみたがブルーデニムの濃淡のバリエーションも多すぎる。
6色や7色も必要ないのではないか。せいぜい4色で十分だろう。
もし、ラインナップがさびしいならブルーデニム以外のカラーバリエーションを拡充してはどうか。

ちなみにGAPはストレートがブルーデニムで4色、スキニーとイージーがブルーデニムで2色、スリムがブルー2色と異素材で2色である。

ユニクロはレギュラーのブルーが4色、スリムのブルーが5色、スキニーのブルーが3色、リラックスのブルーは2色だ。

ブルーデニムの濃淡だけで見ると、ユニクロよりもGAPの方が効率的だが、そのユニクロでさえNB各社よりも色の集約は効率的である。

微細なシルエット変化とブルーデニムの色変化をたくさん打ち出すことで、消費者ニーズを広く捉えようということだろうが、選択肢が増えすぎて一般消費者にその思いは伝わっていない。
むしろ、4シルエットと数色のブルーに集約したユニクロやGAP、アバクロの手法に学ぶべき点は多いのではないだろうか。

チノパンブームなのにドッカーズは再上陸しないの?

 ときどき思い出したかのように古着屋を覗くことがある。
しかし買い物をしたことはあまりない。なぜなら古着はあまり好きではないからだ。
とくにTシャツとパンツがいけない。
両方とも素肌近くに身に着ける物なので、前の持ち主を想像してしまう。
「すね毛ボーボーで熊みたいな足のオッサンが穿いていたらどうしよう」とそんなふうに思う。
まあ、これは想像過多なのであるが、苦手なものは苦手だ。

そんな中で「ドッカーズ」のチノパンが並んでいるのを見つけて、懐かしかった。
そういえば、ブランドの存在すら最近では忘れていた。

「ドッカーズ」はリーバイスが展開するチノパンブランドである。
日本にも一時期上陸して百貨店平場やジーンズ専門店などで販売されていたが2007年ごろ撤退した。
今では日本市場には、かつて「ドッカーズ」があったという痕跡すら残っていない。

アメリカンなチノパンなので、現在の日本のトレンドとは少し異なる。
オフィスでも穿けるようにという設定だが、体格の大きなアメリカ人に似合うようにゆったりとしたシルエットが多い。

しかしである。

日本市場は2009年ごろからチノパンがトレンドアイテムの一つとなり、ブルージーンズは苦戦している。
とくにジーンズ専業メーカーは厳しい。

それを考えたとき、リーバイスはどうして「ドッカーズ」を再上陸させないのかと、疑問を感じた。
売りにくいブルージーンズをあれこれこねくり回して市場に提案するよりも、ドッカーズをトレンドに適合するようにアレンジする方が簡単ではないのか?
もちろん、当時のそのままの商品では日本では売れないことはわかりきっている。

苦労して「ジャパンメイド」を作ってみたり、吸水速乾の機能繊維を混ぜてみたり、保温発熱繊維を混ぜてみたりとこんなことをしてまでブルージーンズに執着する必要があったのだろうか?

一番売りやすい物を売るのが良かったのではないか?と今にして思う。

幸いにして、今秋冬からブルージーンズ人気が復興しそうな気配はある。
ただし、今度のブルージーンズ人気の一つの柱はジャージデニムが担いそうである。

結果論だが、ドッカーズの日本撤退は少し早まったような気がしてならない。

リーバイスに復調の兆し?

 1月25日の繊研新聞によると、12月、1月と「リーバイス」が好調に推移しているという。
記事によると、12月に「501」を軸とした新たなクラシックモデルを投入したところ、1月までの売り上げは前年同期比60%増以上だという。商品の価格は1万1550円以上。

日本で「リーバイス」を展開するリーバイ・ストラウス・ジャパン社の決算は11月期であるから、12月の新年度開始とともに好調な出足だといえるだろう。

ただし、記事は「売り上げ」としか書いていないため、金額ベースなのか本数ベースなのかが少しわかりにくく感じる。もし、金額ベースであるなら「売上高」と書いてもらいたかった。

記事によると、今後はブランドの高級化路線、プロパー販売重視のビジネスモデル構築を進める。とある。

同社の斎藤貴社長はかつて「ラコステ」を日本で展開するファブリカの社長を務められていた。
その昔、15年ほど前までは「ラコステ」というとポロシャツの単品専業ブランドと、世間では認識されていた。
筆者はいまだに「ラコステ」はポロシャツブランドというイメージが払しょくできず、「ラコステ」でブルゾンやパンツ類などを買おうとはなかなか思えないのだが、実際はこの15年間でトータルブランドへと完全に脱皮できたと感じる。

「リーバイス」のブランド知名度は高いが、世間的に見ればやはり「ジーンズ専業ブランド」というイメージだろう。
もちろんトップス類を作られていることは存じているが、Gジャン類、ネルシャツ類、Tシャツ類以外はあまりバリエーションがなくファッションブランドとは雲泥の差があることも事実である。
今後、さらにブランド価値を高めるためには、「ラコステ」と同様にトータルアイテムを展開するファッションブランドへと進化することが望まれる。

そういう観点では、元「ラコステ」の斎藤貴社長は適任なのだろうと考えている。

新年度から明るい兆しが見えたが、手放しでは喜んでいられない。
リーバイ・ストラウス・ジャパンの24年11月期連結は

売上高97億円
営業損失9億円
経常損失8億5500万円
当期損失9億2000万円

と見通している。

23年11月期連結よりは赤字幅が縮小しているとはいえ、まだまだ楽観視できない。

また、「リーバイス」ブランドはこれまで本国の度重なる意向の変化に翻弄されてきたのも事実である。
ジャパン社の政策も5年間継続されたためしがない。
ジャパン社の歴代社長も2~3年で交代を余儀なくされている。

今の斎藤社長の方針は、高付加価値化であるため、すぐに成果が見えにくい。
米国本国が短気を起こして路線変更しないことを祈るばかりである。

リーバイスの型数半減は大賛成

 リーバイ・ストラウス・ジャパンが今秋冬から型数を半減させる。

http://hibiryutu.blogspot.com/2011/06/blog-post_5753.html

記事によると、1万円以下の商品減らして、百貨店・セレクトショップ向けに1万~2万円の商品を増やすという。
また「505」「511」「551」の各シリーズでは生地製造から縫製、加工まで一貫して日本で手掛けるともある。

リーバイスが型数を減らすことは大いに賛成である。
逆に言えば、これまでの型数が多すぎた。
リーバイスに限らず、ジーンズ専業メーカーの悪い癖なのだが、非常に事細かにデザイン別・シルエット別の商品が企画される。
例えば、スキニー、スリムフィットストレート、タイトストレート、レギュラーストレート、リラックスストレート、ルーズストレート、タイトブーツカット、ルーズブーツカットなどなど、というように太さ細さのシルエットだけで何種類もある。ここにさらに、ポケットの仕様違いだとか、ファスナーの仕様違いだとか、少し切り替えの入った物だとかのデザイン違いの商品が上乗せして企画される。

しかし、冷静に考えてもらいたいのだが、そこまで微妙なシルエットの差が必要だろうか?
上の例で見ると、スリムフィットストレートとタイトストレートはどうちがうのか?おそらく、太さで1センチ前後の差しかない。フィットするためには「この1センチが重要」という意見もあるのは承知しているが、その「1センチ」に固執するマニア層が一体どれだけの人数存在するのだろうか?
おそらく、ごくごく少数であり、大半の消費者はスリムフィットとタイトストレートの違いをほとんど気にしていない。
同様にリラックスとルーズもさほど大きな差がない。
ならば、スキニー、細めストレート、レギュラーストレート、太めストレートの4つのシルエットに集約することが可能であろう。
ここにブーツカットを1種類だけ差し込んでも、シルエットは5種類に抑えられる。
極端な言い方をすれば、これまで10種類もあったシルエットはまったく無駄だったことになる。

しかし、リーバイスの今秋以降の戦略で問題点となるのが、型数を半減させ取り引き販路を絞るということは、必然的に「利益率は改善されるが、売上高が減少するだろう」ということになる。
これについては、リーバイ・ストラウス・ジャパンの首脳陣はある程度覚悟の上だと推測されるが、米国本社がどのように評価を下すか懸念が残る。
これまで米国本社は、日本市場の特殊性・地域性をあまり認めて来なかった経緯がある。

そして、販路を百貨店、セレクトショップへと絞るということだが、これも売上高は「良くて横ばい」ということになろう。彼らのジーンズ販売数量は、さほどに多くないからである。数量だけならライトオンやマックハウスなどのジーンズカジュアル専門店に遠く及ばない。
百貨店はおそらく、自主編集ジーンズ売り場での取り扱いになると思われるので、一定のまとまった数量が販売されるだろうが、委託販売であることが大きな懸念材料である。

また、セレクトショップにも問題がある。
たしかに、ショップ自体の訴求力はジーンズ専門店を上回るが、ことジーンズの販売数量と言うことになると極端に少ない。近年、ビッグジョンも「ビッグジョン」ブランド、「ディッキーズ」「ワールドワーカーズ」の3ブランドをセレクトショップで販売しているが、ブランドステイタスは向上したものの、販売数量はそれほど大きく伸びていないのではないだろうか。

以上の点から考えて
リーバイスの今秋冬戦略には賛成だが、問題点もいくつかある。
それをどう乗り越えていくのか、注目したい。
個人的見解では、リーバイスは、トータルアイテム化して直営店20~30店舗体制となったときが、一つの到達点だと考えているのだが。

利益を高めるには品番数の絞り込みが必要

 ライトオンやジーンズメイト、マックハウスでエドウィンやリーバイスのジーンズが4900~7900円くらいに値下がりしていることがある。これはほとんどの場合、廃番になったジーンズだ。廃番ということは生産中止であるので、メーカー側も小売店に対して値下げ販売を許可するのである。

先日、リーバイ・ストラウス・ジャパン社の新社長方針のことを書いたが、新社長はブランド価値を高めるために「店頭で安売りされている商品を買い戻す」という方法を選択された。しかし、そもそもなぜ廃番が発生するかと言えば、品番数が異常に多いためである。

リーバイスというブランドを例に挙げれば、名作「501」のほかに502、503、504、505、515、517という定番がある。これ以外にも511、512などの品番や、デザイン対応やシーズン対応のイレギュラー品番がある。またエドウィンのHPで確認したところメンズだけでジーンズが165種類もある。まあここには、形が同じで色違いというものも含まれているので実際の型数は少なくなるだろうが、それにしても多すぎる。全品番がまんべんなく売れるわけではないから、これでは廃番が発生するのは当然である。

先日、ポイントの新ブランド「ナッシュダレック」の1号店がオープンした。ポイントはご存じのように、社内にデザイナーやパタンナー、生産管理を置かずに、バイヤーがOEM/ODMメーカーから提案される商品をその都度チョイスして商品を展開してきた。しかし、この「ナッシュダレック」は社内に物作りチームを開設し、自社内で企画デザインを行っている。

1号店の店頭を見ると、定番のジーンズはメンズで3~4型しかない。スリム、レギュラーストレート、ルーズ、キャロットだったと記憶している。それぞれがワンウォッシュ、少し加工したブルー、激しく加工したブルーの3色展開となる。

P3041173

(ナッシュダレックのジーンズ)

リーバイスが今後、廃番によるセール販売をなくそうと思えば「ナッシュダレック」ほど型数を絞り込む必要があるのではないか。もし、4シルエットまで絞り込んだとするなら、リーバイスは現在のような120億円の売上高は望めないことになる。ただし利益は現在よりも確保できるだろうが。

冷静に考えれば、ジーンズ専業メーカーはこれまで品番数が多すぎたのである。それはなぜかといえば、ジーンズ専門店の壁面の棚を少しでも多く自社商品で埋めるためである。自社商品が少なければ、他社の商品が壁面に並ぶこととなる。だから1つ1つのデザインはそれほど変わらないのに毎シーズン20品番も30品番も企画し続けたのである。

ジーンズ専業メーカーが利益体質を強化するなら、この無駄に多い品番数を絞らねばならないのである。ジーンズ専門店が自社オリジナル商品を開発し始めている今こそが、これまでの品番数頼りの営業政策から決別する絶好のタイミングだと思う。

さて、リーバイスはどこまで品番数を絞り込むことができるのだろうか。

廃番セール品を買い戻したリーバイス

 2月25日の繊研新聞にリーバイ・ストラウス・ジャパンの齋藤貴・新社長のインタビューが掲載されている。
他の新聞・雑誌に比べてより具体的な内容となっているので、一部紹介したい。

1、まず低価格対応の5700円商品を廃止する。
2、店頭で値引き販売されている過剰な流通在庫を買い戻す。
3、30~40歳代向けのプレミアムブランド化する。

この3つが大きな骨子だと思われる。

あと、社内体制としては、リーバイ・ストラウス・ジャパン社は長らく、アジア・パシフィック・ディビジョンの管轄下にあったが、来年からこのディビジョンはなくなり、米国本社直轄となる。
また、香港に日本社のデザイン機能を移転していたが、米本社直轄で東京デザインセンターを立ち上げる。

ちょっとややこしい関係だが、齋藤社長のお言葉をそのまま引用すると「東京デザインセンターは米本社直轄で、ジャパン社とは独立した組織です。香港の企画機能が東京に移るわけでもありません。(中略)ジャパン社が日本向けの独自企画商品を直接、東京デザインセンターに依頼することはできず、米本社経由となるのですが」とのことである。

そこで、1カ月ぶりに天王寺のジーンズメイト、ヨドバシカメラ梅田店のライトオンを見て回った。ついでに北花田のイオンモール内のライトオンも見た。
1月末時点では、4900~5900円に値引きされたリーバイスの廃番商品が並んでいたのだが、3月頭の時点ではすべてなくなっていた。齋藤社長がおっしゃるようにすべて買い戻したと思われる。

この廃番値引き商品は、全国で相当な数量に上る。リーバイ・ストラウス・ジャパンは23年11月期決算で25億2300万円の純損失を見込んでいるのだが、廃番商品買い取りが大部分を占めると考えられる。

齋藤新社長とは面識がないのだが、リーバイスブランド再構築には適任ではないだろうか。かつて「ラコステ」ブランドを展開するファブリカの社長も務めておられた経歴がある。卸売りのポロシャツ単品ブランドだった「ラコステ」だが、トータルアイテム化と直営店化に成功している。
齋藤社長はそのノウハウをリーバイスにも使うおつもりなのだろう。

リーバイスのトータルアイテム化に期待したい。

リーバイスストアの評価点が低かった理由

 先日、コメントを掲載していた東洋経済の記事がウェブにも転載していただいた。ウェブなので名前の間違いも訂正していただいた。(笑)

http://www.toyokeizai.net/business/strategy/detail/AC/34ee4984ead648ba08763d905d211f0c/page/1/

記事の内容については、読んでいただいた通りなので、付け加えることもない。

それと2月19日発売のモノ批評雑誌、月刊「MONOQLO」でZOZOタウンのセール批評をさせていただいた。
ツイッターで「リーバイスストア」に対する評価が厳しいですね、という感想をいただいた。自分はA、B、Cの三段階評価で、申し訳ないがリーバイスストアにはCを付けさせていただいた。

理由は、リーバイスストアが嫌いというわけではなく、リーバイスストアの品ぞろえの少なさ、それから現在アウトレットで行っている大処分セールに比べて値引き率が低かったから、の2点でC判定とさせていただいた。
リーバイスストアの品ぞろえの少なさについては、これはリーバイスというジーンズ専業ブランドの構造的欠陥だと言える。ついでに言えばジーンズ専業メーカー各社共通の欠陥である。

「専業メーカー」と言われるくらいなので、ジーンズとチノパン、一部ワークパンツくらいしか製造していない。トップス類はGジャン、カバーオール、ワークシャツ、Tシャツ、スエット程度である。このラインナップで「ビームスや「ユナイテッドアローズ」と並んだときに、著しく見劣りする。
「ビームス」や「ユナイテッドアローズ」は小物雑貨、リビング用品までそろっており、またウェアに関して言えばカジュアルからスーツ類まである。これでは見劣りするのも当然である。

現在、リーバイスは直営店・FC店で「リーバイスストア」を、エドウィンは直営の「エドウィン」ショップの拡大を図っている。両社とも単なる卸売りメーカーからの脱却を意図していることは明確である。しかし、ショップを構成する品ぞろえに関しては、まだまだ不十分であると思う。
なぜなら、先に挙げたように、ジーンズを中心としたパンツ類と、Gジャンとワークシャツを中心としたトップス類しかないからである。消費者は毎月1本ずつジーンズを買うのだろうか?おそらく大半の消費者は買わない。
今のラインナップなら、年に3~4回買うかどうかだろう。

ジーンズ専業メーカーから出発して、直営店をジワジワと拡大しているブランドとして「ジョンブル」がある。ここのラインナップはメンズといえども多彩だ。ジーンズ、チノパン以外にもセーター類、カジュアルセットアップ類、小物雑貨までトータルにそろう。
リーバイスとエドウィンは、商品開発の一例として「ジョンブル」を見習うべきだと思う。
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(ジョンブルの旧大阪店店内)

ジーンズの国内販売市場規模は?

 ジーンズ売り上げが低迷(反対にチノパン、ワークパンツ類は伸びている)ということを良く書いてきたのだが、ジーンズの年間国内販売数量というのは、だいたいどれくらいかと言うと、はっきりした統計はないのだが、一般的に「9000万本~8000万本」と言われている。

売り上げが好調な場合は9000万本、場合によっては9000万本を越えるが、1億本には届かない。一方、不調なら8000万本。過去7000万本台にまで落ちたことはないと言われているが、もしかしたら2011年は7000数百万本に低下するかもしれない。

大雑把に分けて好調不調で約1000万本の販売数量の差がある。

1000万本というと大きな数字だが、全体数量が3割減になったり、半減したりしないところが、ある意味で「ジーンズの底堅さ」があるともいえる。

このうち、ユニクロのジーンズ年間販売数量が1000万~1200万本と言われており、国内市場の7分の1を占めているから驚く。

一口に「1万本」などと、自分も簡単に口にしてしまうのだが、実際には莫大な数量である。
エドウィン、リーバイス、ビッグジョン、旧ボブソンなどの大手ジーンズ専業メーカーのヒット商品と言われる基準は、品番やメーカーによっても異なるが、だいたい「2万~5万本」ではないだろうか。とくに2000年に入ってから「1型で10万本売りました」などという話しは聞かず、ここ数年なら1型1万本でも十分にヒット商品と言えるのではないか。

で、ここから売上高を計算してみたいのだが、
1本の店頭販売価格がだいたい9800円~13000円くらいまでの商品が多いので、仮に1万円だとしておく。
その1万円の商品が大ヒットして2万本生産した。

そうすると1万円×2万本(10,000×20,000)で2億円の売上高になる。
これは店頭売り上げが2億円であり、通常、メーカーはお店に卸売りするので、当たり前の話しだが卸売り価格はもっと安い。
昔は「6掛けで卸す(店頭の60%の価格が卸売り価格)」と言われたが、今はそんなことはない。55%とか50%とか45%になっており、場合によってはもっと低い掛け率で卸している。
1万円の商品なら6掛けだと卸売り価格は6000円ということになる。

ここでは卸売り価格を50%として計算すると、先ほどの商品は店頭売り上げは2億円だが、メーカーは1億円で卸していることになる。

こう考えると、大手ジーンズ専業メーカーは2万本のヒット商品があっても、その売上高は1億円にしかならない(我々庶民には1億円は莫大な金額だが)。しかも、大手ジーンズメーカーの中では、エドウィンとリーバイスが年間売上高100億円を越えている。
単純化すると、この店頭価格2億円分の商品が、あと99種類ないと年間売上高100億円にならない。

こう考えると、年間100億円以上の売上高があるジーンズ専業メーカーのすごさが改めてわかる。

ジーンズ専業メーカーは、売上高を作るために過去はとにかく品番を増やした。10年くらい前のリーバイスで言えば501があり502があり、503、504、505があり、511、512、515、517がある。さらに646とか702とかその他デザインパンツ類があった。
正直、品番とシルエットの違いを覚えるだけでも一苦労だったのだが、品番数を増やさないと売上高100億円以上を維持することは不可能だったのだろう。

それから、これは年始の繊研新聞でも言及されていたのだが、ジーンズ専業メーカーは売上高と売り場シェアを高めるために、ジーンズチェーン店に積極的に納品していた。それは構わないのだが、ほとんどの場合、それは店の買い取りではなく、売れた分だけメーカーに支払って売れ残った商品は返品するという委託販売だったため、期末の返品受け取りによる利益ロスも大きかった。
通常、期末に返品された商品は、値引きされて再出荷されたりするので、そこでもまた利益は低下するという図式となる。

常々、ジーンズ専業メーカーは売上高100億円を維持しようとせずに、30億円くらいの売上高を維持しながらブランド力を高める方が良いと考えているのだが、上記のような図式のままで無理やり売上高を拡大するよりも、思い切ってダウンサイジングした方が利益も高くなる。ただしその場合は、余剰人員の首切りが必要となるため、軽々しくは動けないという事情もあるのだが。

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