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フォーエバー21の存在感は日本市場でめっきりなくなった

 小売業が他国で成功するには現地に適合させたローカル化が不可欠である。
ローカル化に失敗すれば、いくら世界規模の会社であっても撤退を余儀なくされる。
その代表例は日本におけるカルフールとテスコの撤退劇である。

この度、フォーエバー21の原宿旗艦店が10月15日に閉店した。

「フォーエバー21」原宿店を閉鎖 日本1号店として2009年開店
https://www.wwdjapan.com/493914

ちょうど昨日に閉店したというわけだが、この数年はフォーエバー21の存在感は日本国内でめっきりと薄まっていたと感じる。

記事中にもあるように、

今年に入り、ダイバーシティ東京プラザのお台場店、ららぽーとTOKYO BAY内の船橋店などを相次いで閉鎖

しており、それまでの閉店がアウトレット関連がほとんどであったことを考えると、伸び悩みというよりは失速だと感じられる。

フォーエバー21の店舗外観

フォーエバー21の存在感がなくなった最大の要因は、ジーユーをはじめとする国内ファストファッション勢の拡によるものだといえる。
初上陸した2009年ごろは、ジーユーがまだ低迷していた時期で、ジーユーはその後、ファストトレンド路線に切り替え、2017年8月期には、営業減益したとはいえ、売上高1990億円にまで成長した。

ウィゴーも今年は苦戦傾向だと耳にするが、売上高200億円を越えるまでに成長しているし、アーバンリサーチは2009年以降に低価格ブランド「センスオブプレイス」を開始している。

国内においてフォーエバー21の存在価値はほとんどなくなったといえる。
今年に入ってからの相次ぐ閉店はそれを証明しているのではないか。

グローバル低価格ブランドはそれぞれ特徴がある。

ZARA=値段はちょっと高め、欧州テイストのデザイン性、生地品質はまあまあ
H&M=値段安め、カジュアルテイスト、生地品質は良くない
ユニクロ=値段は中間、シンプルベーシック 生地品質は良い
(あくまでも低価格ゾーンの中での生地品質)

という具合で、フォーエバー21と競合するのは国内ではジーユーであり、値段は同等だが、使用生地や縫製仕様はジーユーのほうが上であるから、わざわざフォーエバー21を買おうという日本人は減ることはあっても増えることはない。
対ウィゴーしかり、対スピンズしかり、対センスオブプレイスしかりである。

現にフォーエバー21は今年に入っての閉店で展開店舗数が20店を下回っている。

当方が20歳くらいの若者だったとして、「わざわざフォーエバー21で買おう」とは考えない。

他のZARA、H&Mの2つのグローバル低価格ブランドに比べて、そもそもフォーエバー21は日本にローカライズできていないとも感じる。
ZARA、H&Mともに日本支社があるが、フォーエバー21は公式ウェブサイトでもそのあたりの存在は極めてあいまいにしか書かれていない。
販売業者として合同会社 FOREVER21 JAPAN RETAILの名前と連絡先(東京都千代田区麹町4丁目1番地)が書かれているが、形態が支社なのか子会社なのかフランチャイズなのか単なる契約者なのかがわからない。

2013年に大阪・道頓堀店をオープンした際には取材したが、まだ日本支社ないし日本での連絡先は明示されていなかった。
そのときに「フォーエバー21というブランドは日本にローカライズさせる気があまりないのだな」と感じたが、その後のブランドのやり方を見ているとまさにその通りだったといえる。

これは日本企業が海外進出した際によく失敗してきたやり方と同じなのだが、欧米企業だって韓国企業だって中国企業だって日本で同じことをやらかす。

ZARAとH&Mはその点明瞭だ。
両社とも日本支社があり、ZARAなんて世界各国の拠点が支社なのか子会社なのかフランチャイズなのかがわかるようになっている。
日本は支社、ドバイはフランチャイズ、台北は子会社となっている。

この2社に比べるとフォーエバー21は情報開示が少ないと感じる。

グローバル低価格ブランドといえどもローカライズに失敗すると撤退を余儀なくされるのは、先ごろのトップショップの日本撤退が好例である。トップショップは本国直轄ではなく、国内企業に運営を任せていたが、その国内企業のやり方はグローバル低価格という利点をすべて消し去ったやり方で、長所をまったく引き出すことができなかった。これはひとえに本社と国内運営会社の意思疎通ができていなかったためだろう。

今回のフォーエバー21もトップショップに通じる部分を感じる。
本社はどこまで日本国内の現状を把握しているのだろうか。

またその国の中で市場がなくなればオールドネイビーのように撤退することもある。
オールドネイビーは本国では好調で、本体のGAPに代わって成長ブランドとみなされているが、日本ではむしろGAPが残ってオールドネイビーが撤退してしまった。
これは、本国のようにオールドネイビーの低価格とGAPが日本で続けてきた投げ売り価格が共喰いしたためだと個人的には見ている。

一部からは「オールドネイビーにはGAPにないデザイン商品があった」という声もあるが、そんなものはノイジーマイノリティの寝言に過ぎず、大部分は価格が同じでデザインもほとんど同じと見えていた。だから両方は必要なかったということだったのではないか。

フォーエバー21は対応を誤ると今後、日本撤退に追い込まれることもあるのではないか。

久しぶりにNOTEを更新しました⇓

国産ジーンズ第1号ブランドは「キャントン」か「ビッグジョン」か?
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n619df72be1bb

あと、インスタグラムもやってま~す♪
https://www.instagram.com/minamimitsuhiro

グローバル戦略はローカライズ戦略と一体で

 日本マクドナルドが苦戦を続けている。
もちろん、金額ベースではすぐさま経営危機に陥るレベルではないが、前年割れを続けておりまったく勢いはない。
打ち出す方針も「60秒無料キャンペーン」や「ポテトホルダープレゼント」などピントのズレたものが多い。

この背景を的確に分析した記事があるのでご紹介したい。

マクドナルドは復活するか – 大西 宏
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130409-00010001-agora-bus_all

おそらく原田社長の「日本のマクドナルドは世界の中で利益率が低く、米国本社から利益を底上げするようプレッシャーをかけられていた。このためリピーターを増やせるビッグマックの販売を強化して、運営コストのかかる季節限定商品をやめた」という発言が本当のところかもしれません。
マクドナルド原田社長「不評を買い続けたここ最近の施策は、米国本社からのプレッシャーによるもの」

とある。
実際、いくつもの紙面で原田社長は米国本社の圧力をにわかに語り始めるようになっている。

事実が発言が通りだとすると、米国本社は日本市場をあまり理解していないということになる。

それについて、記事ではこう指摘しておられる。

もし日本マクドナルドの失速が、米国本社からの圧力が原因となった迷走の結果だとすると、そこには非常に大きな教訓があります。グローバル化といっても、それぞれの国の市場に適応してこそ、ビジネスはうまくいきます。つまりグローバル戦略にはローカライズの戦略が表裏一体となっているということです。

米国市場のように「ボリュームと価格」で評価する顧客を多く抱えた市場と、「ボリュームと美味しさと価格」で評価する市場では自ずと戦略は異なってきます。しかも、比較的棲み分けができている米国市場と、いまだに激しい競争が行われている外食業界、しかもコンビニエンスという他業界との競争にも晒されている日本市場をマクドナルド本社が切り分けて考えられないとすれば、おのずと限界がでてきます。

とのことである。

このローカライズという考え方はすべての分野に当てはまる。
日本国内の錚々たる百貨店アパレルは10年以上前から中国に進出しているが、各社とも惨憺たる有様だ。
一方、あまり注目されていないがハニーズは600店舗以上を展開するようになっている。
これはローカライズができたかそうでないかと言う部分が大きいのではないか。

欧米企業だって日本市場にローカライズできずにテスコとカルフールは撤退している。
西友を傘下に収めたウォルマートも長い時間を費やしている割にはほとんど効果が上がっていない。

さて、今月はH&Mが関西に3店舗を連続出店し、フォーエバー21が初の関西出店を果たした。
取材で見ていると、欧米SPAも日本へのローカライズはブランドによって格差があると感じる。

GAPジャパンだが、最近は新店内覧会も開催しないし業界紙・経済誌への取材対応もほとんどない。
しかし、商品を見る限りは90年代の上陸当初に比べるとサイズやシルエットはずいぶんと日本市場に対応している。上陸当初の数年間はサイズは大きいし、洗濯すれば異様に縮む素材使いがあったりして、ちょっと使いづらいブランドという印象だった。

H&Mは取材対応は、これまで非常に丁寧だし、何よりもジャパン社がある。
H&Mには欲しい服があまりないのでいまだに商品は購入したことがない。そのためシルエットやサイズ感はわからないが、あまり不都合は聞いたことがない。

フォーエバー21は初めて取材したが、ジャパン社がない点や取材対応、店作りを見る限りはあまり日本市場にローカライズしていないように見える。
とはいえ、国内で13店舗も展開しているのでそれなりに支持はされているのかもしれないが、筆者個人には低価格以上の魅力は今のところ感じられない。

日本企業が海外市場で失敗するのも、欧米企業が日本市場で失敗するのもローカライズできたかそうでないかという部分が大きいのだろう。
今をときめくグローバルSPAだが、何社が日本市場に適合でき、何社が適合できずに撤退もしくは衰退するのだろうか。
あと数年はじっくり観察したい。

海外ビジネスは現地適合化が最重要

 日本企業が中国に進出して成功するためには「現地適合化しないとダメ」と言われる。
実際に進出した日本企業の多くは適合化できずに苦戦しているようだ。

しかし、現地適合化は当然のことで、外国企業が日本に進出した場合も適合できなければ失敗に終わる。
その代表例は、フランスの大手量販店「カルフール」だろう。
鳴り物入りで進出してきたが、業績はさっぱり振るわず、店舗をイオンに売却して撤退した。
西友を傘下に収めたウォルマートもアメリカ流を持ち込んだものの、成功しているとは言いづらい。異例の粘り腰で撤退こそしていないが、いつまで堪えきることができるのだろうか。

衣料品業界では「H&M」「フォーエバー21」が挙げられるだろう。
それぞれスウェーデン、アメリカ西海岸を拠点とするグローバルなSPAブランドだが、先日もお伝えしたように日本では苦戦傾向にある。ブーム(らしきもの)は一時的・局地的な物だった。

ファッション性の高いトレンドアイテムを次々と安値で販売するという手法を採る両ブランドであるが、素材の品質、縫製の品質はかなり悪い。中には数シーズン使いまわせる物もあるが、Tシャツやカットソー類はほぼワンシーズンでの使い捨て感覚である。
70年代・80年代に我が国の流通界でもてはやされたペガサスセミナーの「チェーンストア理論」によると、
「ベーシックなアイテムは高価格で、トレンドアイテムは低価格で提供する」ことが原則となっており、両ブランドはこの理論に忠実であるとも言える。
これを「効率的」と見なすのか「もったいない。資源の無駄使い」と見なすのかは意見の分かれるところである。

一方、現地適合化にある程度成功したのは「GAP」だろう。
日本での店舗数は100店舗前後にまで増えている。上陸当初は、サイズはアメリカ人基準でブカブカ、素材も縫製も劣悪だった。
以前に書いたことがあるが、黒のストレッチパンツを一度洗濯すると縮んでねじれたことがある。また知り合いの子供服アパレルの管理職は、チノパンを3回着用したら破れたという。
しかし、今のGAPは日本人の体形に合わせた日本規格となっており、素材や縫製も上陸当初よりは向上した。それでもときどき、小さな穴の空いた生地や間違えた縫製などを発見するのだが。

「H&M」「フォーエバー21」は日本などという「小さな市場」を見ておらず、中国での展開が主眼であろう。
しかし、現在、中国国内でも数多くの現地アパレルが怒涛の勢いで各地に出店していると聞く。
欧州や米国で売れた両ブランドがそのままの体制で、中国の現地アパレルと勝負をして勝てるのかどうか、予断を許さない状況なのではないかと推測する。

方向性は異なるが、「アバクロンビー&フィッチ」も日本で現地適合化できずにスタートダッシュに失敗した例と言える。日本語が話せない白人のモデル店員、大音響で流す音楽、店の外まで匂うキツイ香水、どれ一つ採っても自己満足の世界で、まったく日本人消費者のことを考えていない。おまけに価格は本国の1・7~1・8倍と高い。これでは売れなくても当然である。

これらの事例を照らし合わせると、海外進出するならば現地適合化が最重要であることがわかる。
現地適合したくないのであれば、海外進出せずに自国内で堅実なビジネスを続けるべきである。個人的心情では、後者企業を支持しているのだが。

H&Mの苦戦は、日本人消費者の良識の高さ

 先日、反対の立場から見て、海外ファストファッションの良いところを挙げてみた。
しかし、実際にはH&M、フォーエバー21は一時期のブームは別として、日本市場では苦戦している。

これについては、高名な小島健輔さんが、詳細なブログを書いておられるので
そちらをご紹介したい。

「H&M遠からず日本撤退か」
http://www.apalog.com/kojima/archive/747

タイトルはやや過激に煽り気味だが、
グラフ付きで実に科学的に分析しておられる。
H&Mは12店舗まで増えているものの、売上高が21・5%減少している。

またフォーエバー21は5店舗のまま増えていない。

この現象を見て、「日本人は意外に冷静なのだなあ」と変に感心してしまった。
例えばH&Mはオープン時にこそ数千人が並んだものの、それ以降はそれほど大混雑しているとは聞かない。
有名ブランドとのコラボレーション商品を発表して、ファッション雑誌などが盛んに採り上げたが、
それほど売れておらず、発表後も相当数店頭に残っていた。
とくにLANVINとのコラボレーションドレスは、かなり長期間店頭を埋め尽くしていた。

H&M

H&Mとフォーエバー21が日本市場で受け入れられない理由は、
たしかに価格は安いが、あまりにも使用素材の品質が悪く、縫製仕様も粗悪であるためだろう。
上陸後は物珍しさで購入した消費者も2度目、3度目は買わなかったということになる。
そうでなければ店舗数が増えているにも関わらず売上高21・5%減にはならない。
現在、このブランドを支えている消費者は「所得が低い若い層」と「もともとファッション好きで、品質が悪いのを割りきって購入している層」くらいではないだろうか。
ただ、「所得が低い若い層」はしまむらやジーユー、ハニーズとも競合するため、全部は取り込みきれていない。
品質で言えば、明らかにしまむら、ジーユー、ハニーズの方が上だ。

そのH&Mよりも品質が悪いと評価されているフォーエバー21はさらに厳しい状況にあるのではないだろうか。
原宿に行くと、H&Mとフォーエバー21の紙袋を下げた学生を多数目撃するのだが、
あれは地方から来た学生が「土産物感覚」で買っているのではないかと思う。

一方、価格がもう少し上のZARAは店舗数が増えて日本市場にはある程度定着しつつある。
品質については、こちらもかなり低くユニクロや無印良品とは比べ物にならない。GAPよりも下、H&Mと同等か少し上ではないだろうか。
使用素材も粗悪だし、縫製も歪んでいる。
それでもZARAが順調に店舗数を増やしているのは、テイストの差ではないか。
H&Mとフォーエバー21よりももう少し大人っぽいテイストでまとめているため、定職のある20~40代の顧客を掴んでいると推測される。
H&Mとフォーエバー21は明らかにヤング向けのテイストなので、10代の学生か定職のない20代が主要客層であろう。

グローバルブランドのH&Mとフォーエバー21は日本市場に商品を適合させる気もないだろうから、
国内4~5店舗体制が適正規模だろう。

物性の高さだけがファッションだろうか?

 日本人の特性として、議論・批判・批評を嫌うところがあると思う。
司馬遼太郎さんの著書によると、幕末の長州藩士は例外的に議論好きだったとあり、反対に薩摩藩士は上の命令には絶対服従だったとある。

さて、前回は、日本は「物作り志向」が強いという話題をしたかったのだが、
何時の間にやら日本の繊維産業の特殊技術を紹介し、それに対して共感している自分があった。

今回は、反対の立場に立って書いてみようかと思う。
いわゆるディベートというやつの脳内練習だと思ってほしい。

個人的見解ではユニクロは「物作り志向」が強い日本人的SPAブランドだと思う。
ユニクロが万人に受けた理由は、低価格高品質にあると考えている。
あの価格の割には品質はそこそこ高く、下手な百貨店アパレルのSPAブランドと同等の品質がある。
この品質とは何かというと、使用している素材や縫製の質であり、物性においてのスペックは高い。
シナジープランニング代表の坂口昌章さんによると「日本人はこの20年間、ひたすらに低価格高品質の商材開発に明け暮れていた。それは一種狂信的ともいえる状況にあった」とおっしゃっておられ、ユニクロは、その「低価格高品質」の一つの到達地点と言えるのではないだろうか。

反対に海外ファストファッションを考えてみたい。
主にファストファッションとは、開発までの時間が短く流行を早く採り入れ、価格が安いことと定義されるため、
GAPやアバクロは含まれず、ファストファッションの定義に当てはまる海外ブランドはH&Mとフォーエバー21となる。
この2ブランドは、低価格ではあるが、使用素材と縫製という観点では著しく低品質である。ファストファッションとは言いづらいがZARAもまた低品質である。「物作り志向」の強い日本人にはまったく受け入れられていない。GAPのように100店舗まで出店することは到底不可能だろう。20店舗出店ですら成立する可能性が低い。

しかし、良いところを探すとするなら、デザイン性、色柄のトレンド性、イメージ打ちだしの上手さ、ということになるだろうか。これはユニクロに欠けている部分である。
そして、今回は敢えて反対の立場から書いてみるが「物性の高さだけがファッションだろうか?」という問題がある。ファッションとはブランドイメージ、広告宣伝の上手さ、見た目のカッコよさなども含まれており、逆にこれらがないブランドはちっとも「ファッショナブルではない」と言うことにもなる。
それは実用品の世界である。
H&M、ZARAが多くの諸外国で受け入れられているのは、様々な経済的要因もあるが、一つには「ファッショナブル」だったからという要素もあるだろう。その意味では、海外ファストファッションは品質は著しく低いものの、「ファッションブランド」だと位置付けることも可能ではないだろうか。

逆説的だが、H&Mやフォーエバー21が日本国内で支持され、20~30店舗体制まで拡大できたとき、初めて日本人は過度の「物作り志向」から脱却することができるのではないかとも思う。

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