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繊維・衣料品業界は製造加工工程の全自動化を進めるべき

先日、某ファッション専門学校の関係者から、その学校の顧問みたいな御老人が「AIを使って販売員を再教育するシステムの構築」というプロジェクトを立ち上げるための企画書を書いていると聞いた。

いや、マジで意味わからん。(笑)

現在、衣料品の販売員は成り手が少なく、時給1,000円以上にしても集まらない状況にある。
その状況を解決するために、自動レジの導入やタッチパネルの導入などの施策が行われており、少ない人手でのオペレーション体系が構築されようとしている。
今後、さらに技術が進歩すればAIが接客の一定部分を請け負うことも出てくるだろうと考えられる。

販売員が全く不要とも思わないし、販売員になりたい人はなれば良いと思うが、成り手が少ない状況というのは今後も変わらないだろうから、その穴埋めとしてAIを活用したり、自動化を推進することはブランド側にとっても当然といえる。

しかし、AIを使って販売員の再教育というのは活用法が違うのではないか。
そんなめんどくさいことをせずともAIに店内のオペレーションの何割かを代行させることを考えた方がシンプルではないか。
今のプランは「仕事のための仕事」を作り出そうとしているに過ぎない。

すべてとは言わないが、多くのファッション専門学校にはこういう正体不明の顧問とかアドバイザーみたいな業界老人が携わっている場合が多く、そのあたりの闇が通常のアパレル企業よりも色濃い。
これもファッション専門学校の弱点の一つといえる。

まあ、それはさておき。

実は販売員や店頭作業以上に自動化が必要なのは製造・加工工程ではないかと思っている。

繊維・生地・衣料品の製造・加工はもっと劇的に全自動化すべきだと思う。
国内では工場経営や作業現場での後継者不足が早くから言われている。
また海外では成り手はたくさんあるものの、低賃金労働や長時間労働などの問題が指摘されている。

そういえば、先日、国内でも某産地の「毛焼き工場」が現在では1社しか残っておらず、あと10年もすればその産地から「毛焼き工場」は消滅してしまうとのことだ。

現在でも自動化できている部分はあるが、それをより大幅に進めて全自動化を目指してはどうかと思う。
国内では後継者不足であり、その理由は、仕事の受注量が不安定だとか低賃金だとかそういうところにある。
そこを無理やり「物作り神話」をでっち上げたところで、詐欺の被害者が増えるだけである。

だったら機械化を進めて全自動化を目指した方が良い。
海外でも同じだ。
低賃金で長時間労働が問題なら全自動化を目指せば良いと思う。

ナイキの生産自動化がアジアに与える衝撃
アジアでは6割近い雇用が失われるとの指摘も
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/108556/102900021/

こんな記事が先日、日経ビジネスオンラインに掲載された。

ナイキは2015年、米フィットビットのヘルス・ウエラブル機器や中国レノボのサーバーを受託製造することで知られる米フレックスと手を組んだ。労働集約的とされる運動靴の生産工程に、自動化を取り入れるためだ。

とある。

ナイキの場合はスニーカー生産が自動化の対象だが、これを衣料品や生地・糸作りにまで各社は波及させるべきだと個人的には考えている。

国内の後継者難と海外の低賃金・長時間労働がある程度緩和されるからだ。
何も無理に人が縫うこと、人の手を介することにこだわる必要はない。
結果として同じ物が出来上がるなら、人が介していようが全自動だろうがどっちでも構わない。

料理でもやたらと手作りにこだわる人間がいるが、あれはまったく理解できない。
美味ければ機械が作ろうが、コンビニ弁当だろうがなんでも構わない。
冷凍食品でも構わない。

衣料品でも個人的には、手縫いよりもミシン縫製のほうが好きだ。
手縫いはやっぱり縫い目が微妙に不均一である。そこが良いという人がいるが、実は何が良いのかさっぱりわからない。
それよりもミシンでまっすぐ整然と作られた縫い目のほうが美しいと思うし、好きだ。

ミシンを踏むのが人間でなくてもまったく構わない。
ロボット技術が発達してロボットが踏めば良いと思うし、全自動ミシンが開発されても良いと思う。

労働集約型の産業である繊維・衣料品の生産問題を解決するには全自動化が最適だと思う。

先ほどの日経ビジネスオンラインの記事では

そうした委託先となってきた国々では今、低賃金から脱して高付加価値なものを生産する中進国に成長するチャンスをロボット化、自動化によって奪われるのではないかとの懸念が広まっている。



とあるが、それは致し方ないのではないかと思う。
あまりにもひどい低賃金・長時間労働がなくなるのだからある程度は歓迎すべきではないか。
すごく繊維製造業が好きなら別だが、そうでないなら、ほかの産業に従事すれば良いのではないか。

低価格グローバルブランドが製造に関して非難されることがあるが、逆に言うと、その国にとってはその製造受注は経済的になくてはならない部分もあるということである。
雇用を生み出して、その途上国の経済を支えている部分もある。
だから、記事のような懸念が生まれるわけだ。
単純な低価格グローバルブランドやファストファッション撲滅論はそのあたりを全く考慮していないから、個人的には賛同しない。

NOTEを更新~♪
知名度だけに胡坐をかいたタレントブランドは売れない
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n4a8a67be3a89
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ローカルトレンド、大いに結構じゃないか

 先日、ナイキの人気スニーカー、エアジョーダンの入手を巡って米国で暴動が起きたというニュースを聞いて驚いた。

「エアジョーダン」新製品に客殺到し米各地で騒動、発砲も
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111224-00000012-cnn-int

日本では95~96年の「エアマックス95追剥事件」を最後に、
スニーカーを巡る大規模な事件は起きていない。

95年にナイキから発売された「エアマックス95」があまりの人気のため、入手困難となり、偽物が出回ったり、法外な価格で取り引きされたりと様々な事件が起きた。
その極めつけの事件の一つが「追剥事件」である。
不良グループがエアマックス95の着用者に暴行を働き、着用していたそれを奪って逃げるという事件が多発した。
知り合いの少年事件関連雑誌の編集長は、当時、「スニーカー人気が現代に追剥を蘇らせたか」と驚きを隠せない様子だった。

しかし、それ以降、日本ではハイテクスニーカー人気は沈静化し、目立った事件は起きていないほど秩序ある消費行動が保たれている。
現在でも一部に人気商品はあるものの、95年当時の過熱ぶりには遠く及ばない。

けれどもアメリカは違ったようだ。
ハイテクスニーカーへの人気は根強かったようだ。
そして、スーパースター、マイケル・ジョーダンへの人気も日本とは比べ物にならないほど定着しているようだ。

さて、「トレンドのグローバル化」とか「日本のローカルトレンドは捨ててグローバルトレンドを見ろ」という主張が国内のアパレル業界にはある。
しかし、この主張には疑問を感じる。

その一例がエアジョーダンである。
日本ではそこまで人気ではないが、米国では暴動が起きるほどの人気。
世界各国の情報を網羅していないので恐縮だが、おそらくヨーロッパでも中国でもそこまでの人気ではないのではないだろうか?
これはアメリカ限定のブームといえる。
ということは、アメリカのローカルトレンドではないか。

ナイキ本社は、当然、このエアジョーダンを日欧よりも米国に多く販売するだろう。
もっと言うなら、ハイテクスニーカーはいまだにアメリカで人気のファッションアイテムである。
しかし、日本や欧州ではそこまでの人気ではない。日本だと今、ハイテクスニーカーはファッション用というよりもマラソン用やジョギング用、トレッキング用などのギア需要の方が多いと感じる。
この「ハイテクスニーカー人気」もアメリカ特有の「ローカルトレンド」であろう。

国々での嗜好や好みは様々であるから、
中国にもヨーロッパにもそれぞれ「ローカルトレンド」がある。
その「ローカルトレンド」を上手くキャッチして流通させることがアパレル・ファッション産業の一つの役割である。
当然、日本にも「ローカルトレンド」が存在する。

中国やヨーロッパ、アメリカに「ローカルトレンドを捨てろ」と言わずに、なぜ自国に「ローカルトレンドを捨てろ」と声高に叫ぶ必要があるのか皆目わからない。
別に日本女性がモード系の服装よりもナチュラル系の服装を好んでも構わない。それは好き嫌いの問題であり正誤の問題ではない。

彼らが中国やヨーロッパ、アメリカをメインとして商売するなら日本のローカルトレンドを持ちこむべきではないが、日本をメインに活動する人々が、日本人に「ローカルトレンドを捨てろ」と主張するのは噴飯物でしかない。

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