タグ: チャオパニック

自社企画商品の増加でテイストが薄まったセレクトショップ

 今日の佐藤正臣さんのブログにこんな一節がある。

”オリジナル商品(自社企画)等の商品構成比を上げ、買い付け等の他社の比率を下げ、顧客に見合った品揃えにする”

こういう宣言をする大手セレクトショップが多いが、はっきり言ってこれは偽善的な建前にすぎない。
本音は「利益率の低い仕入れ商品を減らして、利益率の高い自社企画商品を増やして、うちの利益率を高めるよ」というものにすぎない。
もっとも、この建前にも少しばかりの事実も含まれていて、近年、卸売りメーカーも売れ行き不振から、以前のように商品を山積みにしておらず、在庫を極力持たない体制になっている。
このため、セレクト側が追加を欲しがっても、対応できないことは珍しくない。また効率化のため品番数を減らしているメーカーも多い。
そうなると、補充が効かず商品バリエーションも少ないということになり、セレクト側としては自社の顧客に見合った品ぞろえや補充ができにくいため、自社企画商品比率を引き上げざるを得ないという部分もある。

利益率を高めたいという目的が8割、品ぞろえと補充のためというのが2割というところが、セレクト側の実態ではないかと思う。

自社企画商品比率を高めることが必ずしも成功するとは限らない。
仕入れ商品は良くも悪くもメーカーの個性が強いから、それを減らすと店の個性が弱まるということがある。
一方、セレクトの自社企画商品は完全にOEM/ODMメーカー任せだから、きわめて他店と同質化する可能性が高い。
そうなると、個性が消えて同質化した店ということになる。

関西人からすると昔から親しんできた「チャオパニック」の失速は好例といえるのではないか。

パルHD「チャオパニック」「コロニー2139」の再建急ぐ
https://www.wwdjapan.com/496685

「チャオパニック」は同社の主力ブランドだが、今期(18年2月期)は派生業態の「CPCM」を含めて10億円の赤字になる見通し。14年にスタートした「コロニー2139」は将来的に売上高400億円の目標を掲げる戦略ブランドだが、出店は5店舗にとどまり、いまだ赤字が続く。

とある。

チャオパニックはパルの顔ともいえる代表ブランドである。
関西の洋服専門店から有力セレクトショップ・SPAチェーンに成長したパルを牽引したブランドともいえる。

当方が初めてチャオパニックを目にしたのは95年の天王寺MIO(現:MIO本館)オープン時だった。
6階にかなり広い坪数がとられている。
当時は、ドミンゴやジョンブル、リーなどのジーンズブランドと仕入れトップスが豊富にあり、この仕事をしていなかったので取材をしたわけではないが、体感的には仕入れ品が5割前後あったのではないかと思う。

2005年あたりから如実に自社企画製品比率が増えた。
ドミンゴもジョンブルももうない。リーは少しある。
トップス類のほとんどは見たところOEM/ODMメーカーによる自社企画製品だ。

実際に、当方が多少の交流がある企業の中でも3~4社はパルのOEMを手掛けている。
当方が知らない先も含めると相当に多いだろう。

2005年あたりから、チャオパニックの存在感というかテイストは薄れ始めてきたと感じる。
買わないまでもそれまでは品ぞろえを見ることを目的に6階には定期的に足を運んだが、2005年以降はその回数が減り、2010年以降はほとんど訪れなくなった。見る理由がほとんどなくなったからだ。

2010年ごろになると、チャオパニックのショッピングセンター向け低価格帯ライン「チャオパニックティピー」と商品の区別がつかなくなってきた。逆に2014年ごろまではチャオパニックティピーのほうが、「お!値段以上」という商品が多かったと感じる。
そのティピーも3年ほど前から露出と存在感が急落していると感じる。去年と今年はティピーで買った商品はない。

パル社内でもこのままではマズイと感じているようで(実際に幹部からそういう声を聴いた)、それを挽回するためにCPCMを開始したが、まだそこまでの効果は出ていないといえる。

鳴り物入りでデビューしたコロニー2139だが、ほとんど目にしたことがないと思っていたら、5店舗しかないわけだから見なくても当然である。これで400億円規模に成長させるのはほぼ不可能ではないかと思う。

そもそも現在のパルに400億円規模のブランドは存在しない。
社内史上初めてとなる挑戦だが、なかなか厳しい。

一般的にセレクトショップは「濃い」イメージを与えて、一般人向けに徐々にテイストを薄めていくという手法を使う。
セレクトショップンに限らずブランドはだいたいどれもそういうやり方になる。
濃いイメージを好むのはアーリーアダプターとかイノベーターとか言われるような変態的なごく一部に過ぎず、マスはその濃いイメージを持った薄い商品を好む。これは洋服に限らずすべての商品がそうだろう。

しかし、残念なことに現在のマスは、薄くなったチャオパニックしか知らない。
薄くなってもう15年以上になるからだ。

もう一度、イメージを濃くする強烈な取り組みが必要だと思うが果して可能だろうか。
決算帳簿上での利益率改善は比較的容易にできるかもしれないが、それだけでは根本的な解決にはならないといえる。

久しぶりにNOTEを更新しました⇓
国産ジーンズ第1号ブランドは「キャントン」か「ビッグジョン」か?
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n619df72be1bb

あと、インスタグラムもやってま~す♪
https://www.instagram.com/minamimitsuhiro

迷走するチノパン選び

 先日、チャオパニックをぶらりと見て回ると、メンズのチノパンが数種類以上そろえられていた。価格は4700~7900円くらいまで各種ある。
正直に白状するとチノパンを選ぶのは苦手である。

デニムに慣れているせいか、あまりに肉薄のチノ生地には抵抗があり、比較的分厚い物を選ぶ傾向が強いのだが、チャオパニックのように数種類以上あるとどれを選んで良いのかわからなくなる。
ざっと生地をそれぞれ触ってみると、麻混ではないのだろうが、妙にザラザラしてカサカサした物がある。その一方でポリエステル綿混でかなり薄手の生地がある。
ハードにウオッシュをかけた物があるかと思うと、光沢のある滑らかな肌触りの物もある。

ジーンズ、カジュアルパンツ類のOEM生産を手掛ける友人によると、チノパン向けの生地を選ぶのはなかなか難しいという。昨年春から彼の事務所でもジーンズ生産依頼が激減し、代わりにチノパンの生産依頼が激増しているという。複数の生地商社を廻ってもなかなか満足できる生地がなく、最終的に知り合いから紹介してもらった生地商と取り引きを開始した。

過去に購入したチノパンが2本ある。一つはエドウィンの商品で、ポリエステル綿混で生地が薄い。主に夏場に着用している。もちろん、ライトオンで3900円に値下がりしてた時に購入した。
もう一つはユニクロのヴィンテージ風チノで、ハードにウオッシュがかかり色落ちしている。2009年に購入した記憶があるが、当時はヴィンテージチノに2種類があり、ウオッシュのかかった物とそうでない物があった。現在はウオッシュのかかった物は廃番になっており、ウオッシュされていない商品は継続されている。これも当時は3990円だったのだが、今は2990円に定価改正されている。自分は3990円が1990円に値下がりしたときに購入した。

CA3G0083

(ユニクロの廃番となったウォッシュビンテージチノ)

OEMの友人によると、ハードウォッシュのチノパンはGAPやアバクロでも見られるように、欧米ブランドにも国内ジーンズメーカーにもよく見かけるが、パリッとしてプレスをかけるようなチノに適した生地はなかなか見つけられないという。もちろん、彼の主観によるところも大きいのだろうけど。そういう意味では自分も含めてデニムを長く見ている人間はチノパンが苦手なのかもしれないとも思う。

店頭でチノパンを見れば見るほど、どれが良いのかわからなくなってきており、迷走しているのが現状である。

ナイロンの黒ダウンはもう売れない

 先日、「グレンフェル」の赤いダッフルコートをいただいた。
イギリス製のもので、15年ほど前に買ったが、高かったので捨てるに忍びないということなので、試着してみると、アームホールはタイトな作りで古臭さがないので、そのまま持って帰ってきた次第だ。

太番手ウール100%のヘリンボーンツイードを起毛させてあるという珍しい生地が使用してある。それなりに気に入っているのだが、1つだけ難点がある。かなり重い。
実は、自宅には、心斎橋そごうの第1期閉店のときにセールで買ったヘリンボーンツイードのロングコートがある。これもかなり重い。

こうして見ると、軽くて暖かいダウンジャケットという防寒着はなかなかに貴重な物だと思う。

12月下旬からの寒波が東京を除く全地域で続いている。例年だと東京よりもずっと暖かい関西だが、ここ1カ月は東京よりも寒い。東京だけが例外的に暖かいともいえる。関西では2月も防寒着は手放せなくなりそうだ。12月上旬までは暖冬が続いており、ダウンジャケットの動きが鈍かった。しかし、年末からの寒波とバーゲンによる値下げでダウンジャケット類はこの1カ月でかなりの量を消化しているようだ。

もう冬物も終わりなのだが、この冬のダウンジャケットの傾向をまとめておきたい。

現時点で店頭に残っているダウンジャケットを見ると、黒やこげ茶、紺などベーシックな色のナイロン素材の物が多く残っているように見える。反対に黄色やオレンジ、赤などカラフルなダウンジャケットは予想以上に消化できているように見える。もちろん、カラフルな商品は生産量が少ないのだろうが、例年以上の消化率ではないだろうか。

P9291017

(ユニクロのレディースのカラフルなウルトラライトダウン)

一方、ビームスやユナイテッドアローズを代表とするセレクトショップ全般では、表面が通常のナイロンではなく、ウール生地の物や柄物がアウトドアカジュアルトレンドを牽引したといわれている。

ダウンジャケットブームは過去3年ほど続いており、黒、こげ茶、紺などのベーシックな色のナイロン素材の物は、だれもが1~2枚所有してしまっている。となると、カラフルな色物か柄物、ナイロンではない異素材物が欲しくなるのが消費者心理ではないだろうか。ウール生地のダウンジャケットはこの異素材物に含まれる。

男・ウールダウンベスト
(チャオパニックのメンズウールダウンベスト)

女・ウールダウンジャケット

(チャオパニックのレディースウールダウンジャケット)

では、2011年秋冬のダウンジャケット需要はどうなるのだろうか。
個人的には、先に述べたように、防寒物の中では、ダウンジャケットは圧倒的に軽くて保温力がある。機能性が高いため、一定需要は長期間継続すると思う。ある意味で定番として残る。
しかし、カジュアルアウターとして販売を考えた場合は、なにか違った要素を入れる必要があるのではないか。もう定番のナイロン素材の黒はそれほど売れない。
今期多く見られたようなカラフルな物、チェックなどの柄物、ウール生地の異素材物がその例である。
また「+J」でも投入された途端に完売した、テイラード型ダウンジャケットというのも一つの方向性だろう。
通常のブルゾンタイプではなく、テイラードジャケット型にするというようなデザイン変化物は売れ行きが2011秋冬も期待できるのではないか。発展系としてPコート型ダウンやチェスターコート型ダウン、ステンカラーコート型ダウンなどが出てくると面白いと思う。

どこかのメーカーさん、Pコートダウン、チェスターコートダウン、ステンカラーコートダウンをやってみませんか?

天王寺地区のセール状況

 1月5日、天王寺の商業施設のセール状況を見て回った。
ほんの趣味のようなものなので、見たのはメンズ売り場だけとなっている。リサーチしたのは、天王寺MIO、阿倍野HOOP,阿倍野アンドである。
冬休み中ということもあり、平日の昼間だが、各ビルとも入場客は予想以上に多かった。
天王寺というローカルな地域でまことに恐縮している。

天王寺MIO

・5階メンズフロア
まず「レイジブルー」が店頭で活発に呼び込みをしている。入店客は非常に多い。ななめ前の同じポイントグループの「HARE」もお客が多い。5階フロアで店員が大声で呼び込みをしていたのは「レイジブルー」だけだった。
「レイジブルー」のお買い得品はケーブル編みアランニットと、フェアアイルニットだろう。両方ともウール100%で、値段は3300円に値下がりしている。

となりの「メソッド」はレッドペッパージーンズの2割引きをやっている。入店客は多いが、レッドペッパーが目玉というのはどうなのだろうか?刺繍やら切り替えやらのゴテゴテコテコテが売りのレッドペッパージーンズは今のトレンドとは大きく外れている。根強いファンはいるが、大多数には支持されない。

タカキューの「セマンテックデザイン」。ここはまだ10500円の福袋がそこそこの数が残っている。

奥に行くに従って客数が減っており、人気店との差がくっきりと浮かび上がる。

・6階に移動
「チャオパニック」
アウトドアテイストのカジュアルがトレンドとなっているため、チャオパニックの業績は好調。それを受けてなのか、値引き率は低い。せいぜい10~30%オフというところ。他店が50%オフからスタートしていることを思うと、かなり強気の姿勢だ。それは好調の裏返しだろう。
ボアフリースベストがあったのだが、7000円前後の値段が付いていた。かなり素材は厚い。他社の2900円くらいのボアフリースは薄くてペラペラしている印象があるが、消費者の好みはどちらを選ぶのかはわからない。
個人的には厚手のボアフリースの方が好きである。

阿倍野HOOP
・1階「ビームス」
ここはセールの時を含めて年に数回しか自分は入店しない。
毎回セールをチェックしているが、オリジナルのジーンズが常に買いやすい値段に下がっている。今回はワンウオッシュ5500円、ヒゲ加工6000円だった。だいたい毎回この値段である。
生地はやや薄い印象があり、おそらく12オンスくらいだと思う。
薄くて柔らかい素材がトレンドなので仕方がないのだが、個人的には13・5オンス~14オンスのジーンズが好きだ。

・2階「ユナイテッドアローズ グリーンレーベルリラクシング」
ここも毎回セール時期にしか入店しないので、年に数回行くくらい。毎回セールは40%オフからのスタート。今年も40%オフだったが、入口に「1月7日よりmore sale」と告知してあり、「それなら7日に買うよね」と思った。
しかし、事前に告知すると言う姿勢は評価したい。

阿倍野アンド
・4階「無印良品」
個人的によく買う場所。最近はユニクロに飽きてきたので無印比率が高まっている。売り場はかなりセール品が売れてなくなっている状態。大阪地区の品ぞろえが一番多いのは、高島屋横の無印良品難波店であり、各店の売れ残りセール品も最終的に集められることが多く、セール終了時期に難波店を訪ねてみたい。

・2階にアーバンリサーチドアーズ、1階にシップスがあるが、この日のシップスの客入りは少しさみしい感じがあり、アーバンリサーチドアーズは得意のアウトドアテイストでそこそこ集客ができていた。

1月2日の大阪セール風景

 昨日、1月2日、セールを見て回った。
コースは天王寺、堀江、南船場、心斎橋。

天王寺MIOは開店前から長蛇の列で、ついでに天王寺ステーションデパートも珍しく開店前に行列がわずかながらできていた。
それを尻目に、ジーンズメイト天王寺店に行くと、7900円のダウンジャケットが2900円まで値下げされていた。これは年末に3900円だったものが、年明けでさらに1000円値引きされたということだ。
さっそくワインっぽい赤茶色を買ってしまった。

MIOの行列とは対照的に、ジーンズメイトは静かな店内だったが、MIOを一渡り見終えたお客が、正午前後から流れてくるのではないかと思いながら、店を出た。その際、阪堺線天王寺駅(要するに路面電車)はいつになく、大勢が並んでおり、行列は陸橋の上まで続いていた。おそらく住吉大社に行く人々なのではないだろうか。

堀江、南船場は、心斎橋筋の活況とは対照的に、近年寂れている印象がある。実際に閉店するショップも数多くあり、一昔前の堀江・南船場ブームがウソのようである。
天王寺や心斎橋筋商店街のようにごった返すことはなく、町としては静かだったが、各路面店は開店前から行列ができており、ブランド力の強い店、固定客をつかんでいる店は賑わっていた。
チャオパニック南船場店、ジョンブル南船場店、カバン・ド・ズッカ堀江店、H・ナオト堀江店などはなかなかの人入りだった。

反対に午前中ということもあるのかもしれないが、GAP、ベネトンはゆったりと見ることができたが、午後からは混雑したのではないかと推測している。

ベネトン心斎橋店で、30代後半~40代前半と見えるカップルが買い物をしていたのだが、男性の着用ジーンズはユニクロ、女性のジーンズはディーゼルで、価格差はおよそ10倍。ちょっと男女間のブランドチョイスがアンバランスな感じがした。せめて、男性はエドウィンかリーバイスを選ぶことはできなかったのだろうか。

心斎橋筋商店街のユニクロを覗こうかと思ったのだが、あまりの人通りの多さにあきらめて断念した。

毎年、冬のセールの傾向だが、都心のファッションビルや都心百貨店はものすごい人出でごった返すが、堀江や南船場の路面店は比較的混み方が少ない。そして、初日の様子だけ見ていれば「どこが不況なのか、どこが不景気なのか」と思うほどの混みようであり、実際に紙袋を3つ、4つ下げている消費者も多い。

しかしながら、この勢いが続かないのも毎年のことであり、セールの勢いは5日、6日までに終息してしまう。ショップ関係者によると「セールの勢いがあるのは初日から3日間だけ」ともいわれる。バブル期というのは、この勢いが10日間~2週間続いたのだろう。もうそんな時代は永遠に来ないだろうけど。

©Style Picks Co., Ltd.