ベストのことを「ジレ」とわざわざ呼ぶファッション業界人は好きではない。「ジレ」はフランス語でチョッキのことである。なぜわざわざフランス語に言い直しているのかわからないが、「ジレ」と呼ぶ業界人も消費者もえてして気取って嫌な奴である場合が多い。

先日、GAPで「ベスト」が値下げされていた。
「ええかも」と思って、商品を見ていたら、スカしたおじさまが来て店員に向かって「このジレなぁ」と話しかけたのである。
スカしたおじさま、大阪弁でいうと「イキったオッサン」になるのだが、いかにも鼻につく。

ファッション業界は商売目的のためか、商品名をときどきリニューアルする。スパッツをレギンスに、チョッキをベストに、オーバーオールをサロペットやコンビネゾンに、などなど。
そういえばスカーフも昔はネッカチーフと呼ばれていた。ネッカチーフは古すぎるとしても、わざわざスパッツをレギンスに言い直さなくてもと思う。

それとは反対にコール天という素材はコーデュロイと呼び直されて以降も、コール天という呼び名も残っている。おそらく、大多数の人はコール天でも通じると推測している。

商品名をリニューアルすることで、新しいイメージを与え消費を活性化するという意図はわかるのだが、訳知り顔に「ジレ」というイキったオッサンを見るとどうにも首を傾げたくなる。
こんなイキったオッサンは、ネクタイのことをイタリア語で「クラヴァッテ」とでも呼んでいるのであろうか?