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「フィット感」だけで洋服の価値は計れない ~現時点では精度が低く見える自己採寸システム~

洋服とかファッションの価値というのはわかりにくい。
いくつもの価値が重なっているからだ。

当方にもわからない。
その中から自分の好みの価値をいくつか抽出してそれを評価しているに過ぎない。

わかりにくいから大衆にアピールする際には一つか二つの事柄をフォーカスする方が効果的だと思う。
当方はまったく評価していないが、「郵政民営化」という一つの事柄だけで選挙に勝ってしまった小泉純一郎のように。

ZOZOTOWNは「サイズ感」「フィット感」という事柄にのみフォーカスして価値をアピールした。
それを評価している人も多くおり、当方もそのアピール手腕は高く評価する。

その象徴的なのが採寸スーツ「ゾゾスーツ」の発表である。
これによって自分のサイズが手軽に測定でき(実際は5分以上かかるようだが)、そのサイズを元に洋服が買えたり、自社企画ブランド「ゾゾ」はオーダーによってピッタリサイズの商品が送られてくる、というのが最大の売りとなった。

旧ゾゾスーツの破棄とともに新ゾゾスーツが発表されると同時に続々と到着の知らせがSNSにアップされるようになったということは、新ゾゾスーツの発表までスタートトゥデイは発送を意図的に遅らせていたのではないかとさえ感じる。

ところが、当方の目にする限りにおいては、新ゾゾスーツでの計測を元にして送られてきて「ゾゾ」商品のサイズが明らかに大きいことという事例が多発しているように見える。

例えば

ZOZOからTシャツとデニムが届きました・・・試着テスト
https://ameblo.jp/takukawai/entry-12375339847.html

本当にウエストのユルユルは気になります。
究極のフィットといっても、まあ、店頭で試着する以上には決してならないなと。

ウエストブカブカ。。。ちょっとだけ残念でした

とある。
これだと一体何のための採寸なのかと思ってしまう。

もう一つはこちらだ。
書き手はゾゾに好意的にまとめているのだろうけど、画像を見る限り明らかにサイズよりも大きい。

【レビュー】ZOZOスーツで計測しデニムを注文してみた
https://www.buzzfeed.com/jp/hiroshiishii/zozosuit?utm_term=.woEZaEEex8&ref=mobile_share#.hdVXr11G6P

Tシャツのサイズは多少大きいものの、

え?多少大きいもののって意味がわからない。
多少大きいで許されるなら「ミリ単位の精度」なんてクソみたいなキャッチフレーズは取り下げろよって話だ。

 

 

このTシャツのどこに「究極のフィット感」とやらがあるのだろうか。

もちろん、システムがスタートした当初だから上手く行っていないということは考えられるし、そういうことは普通に発生する。
今後、ゾゾの精度も向上するのだろうと思う。
が、逆にいうと、自動採寸システムとそれに連動したサイズオーダーシステムというのはこの程度のレベルでしかないということだ。

いずれはさらに精度が向上するだろうが、現状では店頭で試着すること以上の精度は実現できていない。

ところで、洋服におけるフィット感ってそれほど重要だろうか。

当方は腕が短いので、袖丈の長さは気になる。
袖が長い服はあまり好きではない。だからZARAの服はほとんど買わない。

袖の長さはオーダーシステムがあれば良いと常々から思っている。
ユニクロのメンズだとMサイズがピッタリでLサイズだと袖が2~3センチ長い。
ジーユーも同じだ。

じゃあそれ以外の部分でいうと、例えば「身幅」。
これはピタっとしたタイトなシルエットでも、ダボっとしたビッグシルエットでもどちらもありだ。
それこそ着る人の気分や、他のアイテムとのバランスで決める。
ワイドパンツを穿いたなら、なるべくトップスはタイトシルエットの方がバランスが良い。
スキニーパンツなら、トップスはタイトでもビッグでもどちらも合う。
しかし、その上からジャケットなりブルゾンを着るなら、そのジャケットやブルゾンのシルエットに合わせないと着づらい。
タイトなジャケットやブルゾンを羽織るのにインナーのセーターやTシャツがビッグなら着づらい。

結局、洋服なんてそれ単品での良し悪しはもちろんあるが、組み合わせる他の洋服や着る人の顔立ち・骨格でどうとでも左右されてしまうというのが実態である。

例えば、手持ちのTシャツでいうと、

昨年夏、ユニクロが発売したビッグシルエットVネックTシャツと、無印良品の太番手天竺ボーダー柄Tシャツを比べてみよう。
ユニクロのはゆったりとしたシルエットで、無印良品のはタイトなシルエットであり、両方ともMサイズである。

 

これはどちらが正解でどちらが間違っているということはない。
両方ともコーディネイトに応じて使い分けるだけの話だ。

じゃあ、「究極のフィット感」なんて言い出した場合、このビッグシルエットVネックTシャツはどうなるのだろうか?

究極のフィット感なんて追求すれば行き着く先はキュウレンジャーでしかない。

 

ワイドパンツとかどうするの?ってことになる。

そして、ビッグシルエットでいうと、身幅が広くなっても着丈は長くなっていない。
ビッグTシャツとボーダーTシャツを重ねてみると、身幅が左右に2センチずつくらい大きくなっているだけなのがわかる。
着丈は両方ともほとんど同じだ。

 

要するに、ビッグシルエットTシャツは身幅を3~4センチ広くして、着丈はそれに比例させずに据え置きにしているということになる。

結局、洋服を企画するというのは各部位のバランスをどうするかということになる。
身幅に比例して着丈を長くすれば、オバハン向けのチュニックみたいなTシャツが出来上がる。

ゾゾとその信奉者はやたらと「フィット感」をブチ上げているが、実際に現時点ではその「フィット感」は実現されていないし、そもそも「フィット感」ってどこまでフィットさせるのかということになる。

キュウレンジャーみたいなシルエットを一律に作りたいのだろうか?

フィット感もたしかに重要だが、それだとワイドシルエットやビッグシルエットは要らないのかということになる。

洋服を企画する、デザインするということの作業の一つには、サイズを大きくする小さくすることよりも、それによって各部位のバランスをどう整えるのかということが重要になると当方は思っている。
ビッグシルエットTシャツを企画してオバハン向けチュニックみたいな着丈の長いTシャツを作るのか?ということである。

ユニクロはさすがにそのバランスは考えていると感じる。だから着丈は従来のTシャツのまま据え置いている。

「究極のフィット感」だとか「ミリ単位の精度」だとかは所詮はキャッチフレーズに過ぎず、洋服やファッションに求められている事象ではない。
各部位のバランスだとかコーディネイトだとか、その部分の方が重要になり、少々のサイズ違いならコーディネイトで誤魔化すことだってできるのである。

そのあたりを考えないと、せっかく開発したテクノロジーや構想がひどく薄っぺらなもので終わってしまうことになってしまう。

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原料と直結した数少ないアパレル製品の一つがジーンズ ~エドウインはどうなる?~
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終わってしまったけど、キュウレンジャーをどうぞ

変えない部分と変える部分

 今日はゴールデンウィークの中日ということでちょっとお気楽に。

和服は着たことがなく、まあ、実際に着るときが来るのは棺桶の中に入ったときではないかと思うくらいである。

そんな筆者なのだが、大塚呉服店・WAKON・みさ和などの和服店を経営されている大塚直人さんのブログは読んでいる。
時々、特撮ヒーロー物について言及されるが、筆者もこの17年間欠かさず見ている。

日曜日の朝はだいたい7時半前に起きる。
7時半から戦隊シリーズを見てから、8時から仮面ライダーシリーズを見る。

これが17年間の日曜日の朝の習慣である。

で、その大塚さんが以前にこんなブログをアップした。

仮面ライダーや戦隊モノがなぜ40年以上も続いたのか?
http://tsukachan330.hatenablog.com/entry/2017/01/21/234810

なかなか良い問題提起だったと思うのだが、途中でブログが消えて、絶賛投げっぱなし中だ。(笑)
結論が気になるー(笑)。

不肖、自分が後を引き取って結論を出してみたいと思う。

あ、そうそう、大塚さんのブログで現在放映中の「宇宙戦隊キュウレンジャー」について言及したエントリーもあるのでこちらもどうぞ。

想定問答を用意する事とブレない芯を持つ事の重要性
http://tsukachan330.hatenablog.com/entry/2017/04/30/233504

これで触れられているのが、4月30日放送のキュウレンジャーで、強敵だったイカーゲンがピンチに追い込まれたときに発する言葉だ。

「一人を相手に11人で戦って、卑怯とは思わないのか?」

である。

20170430231719

これは戦隊物の根幹を揺さぶるセリフである。
初代ゴレンジャー以来、戦隊物は1対複数の戦いであり、絵面はなかなか卑怯感満載である。
敵がラスボスクラスの超強敵ならこれは燃える展開なのだが、そうではない場合、なにやらかわいそうな雰囲気も漂う。

で、戦隊物はついにタブーをおかして踏み込んできたなあと感心するばかりだ。

戦隊物と仮面ライダーが長年続いているのは、自己規定を時代によってあっさりと自己破壊するところにあるのではないかと思う。
仮面ライダーは一時期中断があったが、それでも平成ライダーはもう18作目の「仮面ライダーエグゼイド」が放送中で、平成シリーズは18年間も続いていることになり、実は昭和時代のライダーの製作本数(7本、テレビスペシャル版のゼクロスを含めても8本)を大きく上回っている。

もちろん、これらのヒーロー番組はスポンサーのおもちゃが売れてナンボだから、長期間続けられるというのは毎年、それなりにおもちゃが売れているからということになる。

おもちゃを売るために毎年ガラリとデザインから内容から一新される。
一新の傾向は仮面ライダーに顕著で、昭和時代の仮面ライダーからかけ離れたデザインのライダーが毎年始まる。現在放送中のエグゼイドなんて番組名に「仮面ライダー」とついていなければ誰も仮面ライダーとはわからないデザインになっている。

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戦隊物は仮面ライダーに比べるとデザイン面はおとなしいが、1990年前後の低迷期を脱するためにこちらもデザイン以外のフォーマットはかなり毎作変えるようになった。

例えば、

1、追加戦士が必ず出てくる。6人目は当たり前で最大10人にまで増えた(キョウリュウジャー)
2、初期メンバーがすでに5人ですらない。(キュウレンジャーは最初から9人で11人にまで増えた、近々12人目が登場予定)
3、リーダーが赤、レッドではない作品もある。(メガレンジャー、タイムレンジャー、マジレンジャー、ゴセイジャー)
4、レッドが二人制になった作品もある。(タイムレンジャー、シンケンジャー)

などなどである。

当初のゴレンジャーのフォーマットにこだわって墨守していれば、おそらくはこれほど長い間は続かず、おもちゃも売れなかっただろう。

そうそう、バトルフィーバーJからは巨大ロボットが登場するようになったし、その巨大ロボットも合体するようになった。

仮面ライダー、戦隊物ともに初期フォーマットを惜しげもなく捨てて、毎回モデルチェンジをしたから長続きしていると考えられる。

しかし、すべてを変え続けるとそれはただの根無し草で、仮面ライダーも戦隊物も頑固に変えない部分もある。
これがいわゆる「コアコンピタンス」という部分だろう。

戦隊物で変わらないのは、

1、主人公がレッドであること
2、ピンクが女性であること(ピンクがいる作品では)

仮面ライダーで変わらないのは、

仮面ライダーは敵と同じ力を使って生み出されたこと

である。

とくに仮面ライダーはその外見の変化に惑わされがちだが、平成ライダー18作すべて、敵と同じ力を使って生み出されている。
日本民話(鬼を倒せるのは鬼の血を引く者)や東欧の吸血鬼伝説(吸血鬼を殺せるのは吸血鬼の血を引く者)なんかにも通じる部分があるのだが、それはめんどくさいので書かない。

たぶん、大塚さんは、時流によって大きく変わるからこそ、戦隊とライダーが長年支持されており、その部分が今の和装業界に欠けているということが投げっぱなしブログで言いたかったのではないかと思う。
ついでにいうなら、変わらない部分も必要で、その二つが嚙み合わないと長年に渡る支持は受けられない。

そして、これは和装業界のみならず、国内の「伝統的」アパレル企業や百貨店にもいえることで、変わらない「コアコンピタンス」を1つか2つ設定したなら、そのほかは時流に合わせて自在に変化させるべきだろう。
変化できていないから支持を失って売上高が凋落しているといえる。

伝統とは、すべての面で昔ながらのままにとどまることでは決してない。

こっそりひっそりインスタグラムやってます。
https://www.instagram.com/minamimitsuhiro/


仮面ライダーエグゼイド Blu-ray COLLECTION 1
飯島寛騎
TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
2017-04-12




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