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画期的な方法で作られた耐久性の高いTシャツを見つけた

衣料品のバリエーションも行き着くところまで行き着いてしまったような感じがあるが、それでも目新しい商品というのは開発されるもので、その創意工夫には感心するしかない。

先日、ウェブで発見して感心したのがこのTシャツである。

BMCオリジナル メンズ半袖Tシャツ コーデュラ 日本製 東北支援/福島縫製工場
https://item.rakuten.co.jp/bmc-tokyo/bms13-14-15-set/

昨年からこのブログにバナー表示されているBMC(ブルーモンスタークロージング)だが、ジーンズやカジュアルパンツの新進ブランドとして認識していた。
定期的に商品の話も聞くが、おもにはジーンズを中心としたカジュアルパンツのことばかりで、Tシャツについてはノーマークだった。

それは、話を聞く当方の「ジーンズとカジュアルパンツ」という先入観があったからだし、話すほうのBMC側の話題の選び方もそちらに偏っていたからで、この辺り、当事者間の認識と他者から見ての客観的評価というのがいかに一致しにくいかということがよくわかる。

最近はどんな商品が出てるのかな?

と軽い気持ちで商品をウェブで見ていたら発見したのがこのTシャツだった。

Tシャツもそうだが、最近は洋服全般で「機能性」が求められることが増えた。
ただ、その機能性は各人の要望に応じて異なる。

ストレッチ性が欲しいという人もあれば、速乾性が欲しいという人もある。
また消臭機能が欲しい人もいるし、汗染み防止機能が欲しい人もいる。

要望される機能は様々あり、それに応じた商品がそれぞれ世間には流通している。

このTシャツは耐久性を高めることを目的として企画製造されている。
正直なところ、耐久性の高いTシャツを求める人がどれほどいるかはリサーチしたわけではないからわからない。
しかし、買って数か月でTシャツがダメになれば、がっかりする人は多いだろうから、2900円という手の届く価格であれば欲しくなる人もそれなりにいるのではないかと思う。

通常、Tシャツの耐久性を高めるには生地を分厚くする。
8オンス以上の分厚さにすればかなり耐久性は高くなる。
しかし、生地が厚くなりすぎて着心地が悪くなったり動きにくくなったりする。

ウェブだけでTシャツを販売する京都イージーも、「8オンスを越えるTシャツは普段着に適さない」と考えて7オンスのTシャツを上限にしている。

で、生地が薄いまま耐久性を高めるにはどうしたらよいのかということを考えて、BMCはコーデュラと綿を配合することを思い立った。
コーデュラというのは耐久性の強い素材で、リュックなどに盛んに使われている。

そのコーデュラと綿を配合することで5・6オンスという薄手生地でありながら耐久性を高めることに成功したという。
楽天のサイトで、髭の濃い長瀬智也みたいな顔をした人が語っているが、これがBMCの青野社長である。

当方が感心したのは、コーデュラという以前から知られた合繊を配合してTシャツの強度を高めるというアイデアである。
コーデュラは業界ではポピュラーな合繊で、その強度も知られている。

しかし、「Tシャツ=綿」みたいな固定観念が強すぎて、今まで当方が知る限りにおいてはこれを実現したブランドはなかった。
新商品開発というと「今まで誰も見たこともない商品を作ること」と思い込みがちだが、これだけあらゆる物が出そろった現在において、そんな画期的な商品はそうそう簡単には生まれない。

むしろ、これまでにある技術をどう組み合わせるかがカギになる。
iPhoneだってこれまでにあった技術の組み合わせである。

強度を高めるなら強度が高いコーデュラを配合すればいいじゃないの?

こういう素直なやり方は一見すると簡単なことのようだが、実は固定観念やら業界の謎の風習やらに阻まれてなかなか挑戦しにくいのが現状である。

それに挑戦し、商品化したその取り組みには本当に感心させられる。

これと同じように感心させられたのが、オールユアーズの新商品、色落ちしないジーパン「パンジー」である。

https://camp-fire.jp/projects/view/51767

詳細は後日取材するとして、現段階で分かっているのは、ポリエステルだから色落ちしないということである。
ポリエステルは合繊の中でも強度が高く、洗濯を繰り返しても色落ちしにくい。
その特性を利用してデニム生地風の織物に仕上げて、それを洋服化した。

これまで「色落ちしにくいデニム」という挑戦はいくつかあった。
しかし、「デニム=綿」という固定観念に縛られて、ほとんどのブランドは綿100%もしくは綿主体素材でそれを実現しようとした。
だが、ポリエステルが色落ちしにくいのであればそれを使えばイイだけのことである。

業界人はおそらく「そんな合繊の塊はデニムじゃない」と反論するだろうが、そういうことに縛られているからジーンズ専業ブランドが売れなくなったのである。

デニム=綿、デニム=色落ち、という強固な固定観念に縛られてしまえば、その中だけでの競争になり、「どれだけ色落ちがしやすいか」とか「どれだけ綺麗に色落ちするか」というひどくミクロな競争に陥ってしまい、差別化することは難しくなる。
一般の消費者から見ればどれもほとんど同じにしか見えないし、ブランドごとの違いも判らなくなる。
だったら、3990円のユニクロや3980円の無印良品のジーンズでも構わないと考えるようになる。

BMCのコーデュラ配合Tシャツや、オールユアーズの色落ちしないパンジー、こういう固定観念にとらわれない商品開発こそが市場を活性化させる要因になり得る。

両ブランドには今後ともぜひとも頑張ってもらいたい。

あ、一つケチをつけるならやっぱり楽天は使いにくいと思う。
SNSでシェアをするのに、いちいち楽天IDを入力しなくてはならない。入力も面倒だが、それ以上に楽天に登録していない人はSNSで拡散もできないということになり、他のウェブショップやポータルサイトに比べるとひどく狭量といえる。
だから楽天は衰退し続けているのだろう。こんな不便なサイトの作りをしていては利用者も出展者も離れていくのが当然である。
このままだと楽天はもっと衰退するだろう。

NOTEを更新~♪
日本製デニム生地の現状をまとめてみた
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/nf1f2b20fc0b6

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9月下旬にブログの仕様を変えて、更新通知が届かなくなった方がおられると思いますので、お手数ですが、新たにRSS登録をお願いします。

無料とか格安でして欲しがる繊維・アパレル業界の悪弊はウェブ制作でもいかんなく発揮されている

最近、ウェブサイトに関する相談を受けることが多い。
売上高200億円とか1000億円とかアパレル業界の中では大手に属する企業から雑談程度に相談を受けることもあって、その企業のウェブサイトを拝見するのだが、だいたいが「ひどい」状態にある。

例えば、

キーワード検索しても上位に表示されないとか、
リンクしてあるジャンプ先が消滅しているとか、
併設しているECサイトがほとんど機能していないとか、

そんな状態は日常茶飯事である。

一方、小規模・零細企業からも雑談程度に相談を受けることがあるが、こちらはこちらで「楽天に出店したら大丈夫」とか「Amazonに出品するから大丈夫」とか極めてイージーな感じである。

当方はウェブは専門でもないし、プログラムができるわけでもない。コーディング?何それ?美味しいの?という状態だが、相談を受けた内容についての是非くらいは判別できる。

上に例示したようなのは軒並みダメだ。
すぐにサイトも運営方針も変えた方が良い。

ブランドのポリシーとして「うちはウェブをやりません」というのならそれはそれで良いと思うが、そういうポリシーがないのなら、企業としてもブランドとしてもウェブサイト設置は最低限は必要だ。

それは繊維の製造加工業だって同じで、単に仕事を待っていても、ウェブサイトがなければ調べようもないから仕事の依頼なんて来るわけもない。

電話帳で探して電話をすればいいなんて言う人もいるが、わざわざそんなことまでして仕事を依頼しない。それだったらサックリとOEMに依頼してどこでなりとかまわないから、仕様書通りに仕上げてもらう方を選ぶ。

電話帳替わりにウェブサイトを持つことは必要不可欠で、その場合は、本当に住所と電話番号とメールアドレスと会社概要だけが書かれていれば良いと思うが、「もっと発信したい」とか「もっと物を売りたい」となると、ある程度手の込んだサイトを作らざるを得ない。

そんな素人が描いた紙芝居みたいなページではだれも買い物もしてくれない。
「見た目は襤褸でも心は錦」なんて言っていても意味がない。
なぜなら「見た目が襤褸」の瞬間に訪問者はサイトから立ち去るからだ。

サイト運営者の「心」とか「本質」なんて訪問者は超能力者じゃないから見えないし、理解できない。

だから「人は見た目が9割」なのである。
見た目が良いに越したことはない。

そうなると、サイト構築とかサイト製作の話になるが、この時に困るのが「予算が異様に安い」場合である。

当方が構築するわけでも製作するわけでもないから、予算は好きに作ればよいと思うが、世間相場から相当安い予算を作っているときには、「それ無理でしょ」というほかない。

もちろん、素人が描いた紙芝居みたいなページでよければ、ほとんどタダみたいな値段で製作できるが、そもそもそういうページでは効果がないからやり替えようということになっているのだから、それを再び志向するのは本末転倒にすぎない。

金が惜しいあまりに論理破綻してしまっている。

ウェブサイトは草創期ではなくなり、発展期だとか成熟期に突入している。
「見た目が良くて」「使いやすく」「読み物としても優れいてる」というサイトは山ほどある中で、そういうサイトに伍して行こうとするなら、当然それなりの見栄え・内容にせざるを得ないし、そのためにはそれなりのカネも必要になる。

それが理解できないなら、ウェブサイトなんてやめちまえよってことである。

それはさておき。

ウェブがここまで普及してくると、ウェブ内でも様々なサービスや売り方が登場する。
そしてそれに今頃参入しようとする遅れた層も多数いる。

先日、紹介したオールユアーズだが、キャンプファイヤーのクラウドファンディングで3回連続で大幅に目標金額を超過している。

従来、クラウドファンディングは商品開発・商品生産のための資金調達だったが、こと衣料品・ファッション用品に関しては、消費者からの受注という性格に変わりつつある。
良いのか悪いのかわからないが、そういう使い方が生まれて、それが支持されている以上は急激に廃止されることはない。何も違法行為をしているわけでもない。

そうそう、以前にブランド立ち上げを手伝ったTシャツブランド、ナインオクロックも2回目のクラウドファンディングに挑戦しているので、一応告知しておく。(笑)

絶対に乳首が透けないTシャツ
https://camp-fire.jp/projects/view/43333?utm_source=cf_widget&utm_medium=widget&utm_campaign=widget

乳首が透けて透けて困っているという人はぜひどうぞ。

乳首の話はおいておいて、そういうオールユアーズのような成功事例が出てくると、「わしらもクラウドファンディングやろうかな」と言い出す遅い層のオッサンが必ず出てくる。
先日もそんな遅いオッサンに出会った。

しかし、そのオッサンのクラウドファンディングは99%失敗すると思う。

なぜなら、キャンプファイヤーのファッション部門だけでも腐るほどエントリーしている。
オールユアーズのように予算をはるかに超過してしまうブランドもあるが、その一方で、何日経過しても達成率「0%」というブランドも珍しくない。

試しにキャンプファイヤーのファッション部門のエントリーを見てみればいい。

クラウドファンディングも草創期が終わっているから、「単に出しました」だけでは相手にされない。やっぱり、読まれる内容、気を引くキャッチコピー、何をどう伝えるか、引き込む導線などを工夫する必要がある。

「出しました」だけで話題になるような状況はとっくに終わっている。

気を引くキャッチコピーが自分で作れないなら、コピーライターに依頼せねばならないし、そのためにはカネが要る。
読まれる内容の文章を書くのも同様だ。自分でできないならカネが要る。
その他の要素もすべて自分でできないならカネが要る。

すべてにおいて、自分ができないなら相応のカネが要るのである。たとえクラウドファンディングのエントリーであってもだ。

ウェブに限らず他の分野でもそうだが、なんでも依頼すればカネが要るし、カネをケチって素人が手作りしても効果が出る確率はかなり低い。

繊維・アパレル業界はそろそろ「過度に値切る」「無料でしてほしい」という悪弊から脱却する必要がある。
それができない・わからない企業、ブランドはどんどん市場から退場すべきである。
そんなブランドはさようなら~☆彡

noteを更新しました。⇓

ユニクロより優れた商品は確実に存在する
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n42506aa8f0fe

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オールユアーズのクラウドファンディング第3弾商品とその売り方について

 先日、新進気鋭のカジュアルアパレル、オールユアーズの原康人さんにお会いしたのは、新商品の内容を尋ねるためだった。

オールユアーズはこれまで機能性素材を使用しながらも、よくある「産地とのコラボ」や「製造加工業とのコラボ」を打ち出してこなかったが、昨日から発売になった新商品は、産地とのコラボを打ち出している。

そして、オールユアーズとしては今後は様々な産地とのコラボを手掛けたいとのことで、希望する産地は連絡してみてはどうか?

今回は「身にまとう毛布」というキャッチフレーズで、いわゆる「毛布」の技術を利用した生地をカーディガン、パーカ、ダッフルコートの3型に仕上げている。

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そして、その「毛布」の技術を応用した生地を加工しているのが、毛布産地として有名?な大阪府の泉大津である。

ほんの少しでも産地をかじったことのある人なら泉大津がタオル、毛織、毛布、ニットなどの産地であることは知っているが、産地なんて無縁のファッション畑の人ならそんなことは全然知らないだろう。

泉大津に限らず、日本の各産地というのは、産地の中の人が思っているよりも知名度が低い。
それを読み違えると、ビジネスに多大な支障をきたすので、できるだけ客観的に自身を判断してもらいたい。

さて、今回の生地は、いわゆるニット(編地)で、製造地は和歌山だ。
表が綿、裏にウールが出るようになったプレーティング編みである。
プレーティング編みとは何ぞやというと、表と裏で別の素材が出てくる編地である。
今回なら表は綿で裏はウールである。

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(上が表、下が裏面)

ファッションブロガーMB氏がグローバルワークの吸水速乾Tシャツを絶賛していたことがあるが、あれもプレーティング編みで、表地は綿で裏面はポリエステルだった。

プレーティング編みというのはそういう技術である。

この和歌山産地で編んだ生地を、泉大津の藤井若宮製絨で起毛加工を施し、毛布状に仕上げている。
藤井若宮製絨は染色・整理加工などを手掛ける泉大津の老舗業者で、かつて一度2006年ごろに民事再生法を申請したが、今でも存続できているのは何よりといえる。

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さて、この毛布生地を使ったトップス3型がキャンプファイヤーのクラウドファンディングに出品されている。

https://camp-fire.jp/projects/view/42749

9月4日に出品されたばかりなのに、目標金額100万円をたった1日でほとんど到達している。
9月5日の朝時点ですでに86万1000円を集めているから驚きである。

オールユアーズは連続24か月クラウドファンディングというプロジェクトを仕掛けており、今回の毛布は第3弾となる。
第1弾、第2弾ともに目標金額を達成したが、とくに第2弾は集めた金額がとてつもなく大きかった。

8月末までに2か月間で集めた金額はなんと1800万円強で、クラウドファンディング史上ファッション分野での集めた金額の最大額となっている。

https://camp-fire.jp/projects/view/34653

今回の第3弾の金額の集まり具合も前回の勢いをそのまま引き継いでいるといえる。

第2弾と比べると話題になることが少なかった第1弾の「色落ちしないブラックパンツ」だが、それでも目標金額は優に達成している。

この調子が続くなら、12商品すべてで目標金額を達成することができそうだ。

原さんとの雑談は少し前のブログに一部を利用した。

アパレルブランドの「小売店向け展示会」は意味がなくなりつつある
http://minamimitsuhiro.info/archives/4827762.html

である。

ここで言われているように、小売店向け展示会を開催しても、販売不振でビビっている小売店はほとんどオーダーを出さない。
ならば、展示会を廃止して新商品はクラウドファンディングで発表してしまえということで、クラウドファンディングで売れていれば、ビビっている小売店も安心してオーダーしてくるからである。

何とも情けない話ではあるが。

さて、オールユアーズの商品が売れている要因は何かというと、それは「わかりやすさ」である。

クラウドファンディングに登場した商品を例に出そう。

第1弾は「色落ちしないブラックパンツ」
第2弾は「着心地が良くてイージーケアなセットアップ」

である。

種明かしをすると、二つの商品で使用されている生地はまったく同じである。
組成はポリエステル100%。

この純ポリエステルの生地には、様々な機能がある。
まず、吸水速乾、そして軽量、ストレッチ性である。
この吸水速乾機能だけをフィーチャーして「ファストパス」という商品群をオールユアーズはすでに発売している。

ファストパスのキャッチフレーズは「真冬でも部屋干し3時間で乾燥する」であり、その他の軽量やらストレッチ性は一切謳っていない。

軽量はポリエステル本来の機能性で、実はそんなに特筆すべき機能ではない。
ポリエステルは基本的に軽いのである。
またストレッチ性は、現在では着心地のためにはマストな機能で特別なことはない。

それでもこれを謳おうと思えば謳えるが、あえて「吸水速乾」一つに絞った。

今度は、「色落ちしないブラックパンツ」を見てみよう。
素材は全くファストパスと同じだ。だから吸水速乾性も軽量性もストレッチ性もある。

しかし、それは全く謳わない。

そのとき謳っているのは「色落ちしない」ということだけである。
綿主体のブラックパンツは、かならず色落ちする。
デニムみたいに白っぽく色落ちするのではなく、綿主体のカツラギやサテン素材は、赤褐色に色落ちする。ブラックのはずが少しチョコレートっぽい茶色になる。
こうなったら、そのズボンは寿命だといえる。

ところが、ポリエステルはこの商品に使われている素材に限らず、基本的にほとんど色落ちしない。

だから、それのみを謳っている。
実は何の特別な機能でもなく、ポリエステルが本来持っている機能にすぎない。

よくある産地ブランドやファクトリーブランド、モノづくり神話系ブランドだと、

「ドコソコで栽培された綿花を紡いで作ったナンタラという糸を使い、〇〇産地で織りあげた(編んだ)〇〇という生地に、××という染色を施し、さらに▽▽という加工も施して〇〇な風合いに仕上げました」

とか

「この商品には、吸水速乾だけでなく、消臭、防汚、撥水、ストレッチ性、軽量性、防シワ、UVカットなど様々な機能性がてんこ盛りです」

とか

そういう打ち出しが多い。
多いというか99%のブランドがこれだ。

しかし、そんなものは実は消費者にはほとんど響いていない。
響いていたら産地ブランドやファクトリーブランド、モノづくり神話系ブランドはもっと売れているだろう。

「ナンタラ織りシャツ」とか「ナンタラ編みニット」がもっと売れているはずだ。

形態安定で爆発的に売れたワイシャツはその後、機能性を毎年1つずつ付加していき、最終的には7つくらいの機能性(防臭、防汚、UVカット、ビタミンC、マイナスイオンなど)を持っていたが、今、店頭に並んでいるワイシャツの多くは形態安定のみがほとんどで、あってもそこに防臭か防汚が付けられているだけで、機能性をてんこ盛りにしてもそんなものは何のセールスポイントにもならないことが証明されている。

製造工程の詳細すぎる説明も、てんこ盛りの機能性も販促には実際のところほとんど必要なくて、わかりやすい切り口が1つだけあれば良いのである。

もし、他のアパレルがオールユアーズに見習う部分があるとするなら、そこである。

noteで有料記事を始めてみました~。

鎌倉シャツのビジネスモデルが秀逸なポイントを考えてみた
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/na76c612e6d37

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アパレルブランドの「小売店向け展示会」は意味がなくなりつつある

 関西視点で気候のことを話すと、お盆のころに猛暑がやわらいだ。
安心していたら、お盆明けから再び猛暑となった。
26日の土曜の明け方に雷雨があり涼しかったのだが、また昨日から猛暑が復活している。

本当に「猛暑死ね」としか言いようがない。

Yahoo!の週間天気予報によると、猛暑のピークは今日でお終いのようで、この予報が的中してくれることを切実に祈っている。

これまで我慢して毎年夏の猛暑の中を移動してきたが、今年はついにこらえ性がなくなって、必要最小限の移動しかせずに過ごした。

また猛暑のピークが過ぎたらあちこち覗いてみようと思う。

そんなわけで今夏の各社の動きはあまりよくわからない。(笑)
しかし、6月ごろまでの傾向でいうなら、各ブランドの小売店向け展示会というのは、芳しくない受注状況が続いている。

これは大小問わずにそういう傾向がもう数年以上続いているし、単独展示会・自社展示会だけではなく、合同展示会も同じような状況だといえる。

いつも展示会にお邪魔するほか、ときどき雑談に立ち寄る「スー・ヒライ」「スー・スー・スー」の2ブランドをご夫婦で展開している平井達也さんも「小売店1店舗あたりの受注数は例外店を除いて年々減っています」という。
Mサイズ1枚、Lサイズ1枚みたいな受注が多いのだそうだ。

名前は伏せるがもう20年以上続いている中規模カジュアルアパレルも年々、展示会での受注枚数は減っていて、商品のデザイン傾向を変えようが、新ブランドを投入しようがほとんど効果がない。ついにはこらえ切れずに新ブランドをやめてしまった。

これには理由があって、一部の好調店を除いて、小売店は総じて苦戦傾向にある。苦戦傾向にある小売店は過剰在庫を抱えていたり、売上高が激減していたりして仕入れ金額を抑えざるを得ない。

また、「売る」ことに対して自信を喪失していて、「数量を売る自信がない」とか「何が売れるかわからない」という心理状態も作用していると考えられる。

だから、無難な物・実績のある物・ネームバリューのある物(あると思われる物)だけを発注する。
それがさらに同質化を生み、売れ行きを鈍らせるという悪循環スパイラルに陥っている。

なぜなら、それらをほとんどの店が仕入れるのだから、必然的に店同士の品揃えは同質化する。これで同質化しない方がおかしい。

それを少しでも緩和させるために考え出された狡すっからい手段が「別注品」である。
自社・自店だけ正規品と少し異なる色柄やデザインの商品を納品してもらうやり方である。

猫も杓子もラベンハムのキルティングジャケットの別注、リーとチャンピオンのTシャツの別注を販売している理由はこれだ。

しかし、素人から見ると、その別注品の差異なんていうのはかなり微細で、あまり見分けがつかないことも多いし、ロゴマークを少し大きめにプリントしました程度なら、どちらで買っても同じことだとしか思えない。

先日、今ちょっとした話題となっているオールユアーズの人と久しぶりにお会いした。

キャンプファイヤーが主催するクラウドファンディングで、ファッション部門で史上(歴史は短いが)最高額をたたき出した新進アパレル企業である。

「毎日着てしまう」ジャケパン CFで1000万円超受注
https://senken.co.jp/posts/allyours-170828

どうでも良いことだが、この見出しの「CF」というのはクラウドファンディングのCFだろうか?それともキャンプファイヤーのCFだろうか?
もしかして、それに引っ掛けたキャンプファイヤーという名称設定なのだろうか?

それはさておき。
明日が締め切りだが、現時点(8月29日)で1500万円超にまで受注金額が膨れ上がっている。

久しぶりにお会いしたのは、オールユアーズの企画を一手に担当している原康人さんで、素材や製造に詳しいだけでなく、商品企画や販売方法のプランニングまで幅広く能力を発揮できるので、個人的には「業界の若き逸材」だと見ている。

その原さんが、「僕らは近々、小売店向けの展示会を廃止しようと思っているんです」という。
その理由を尋ねると、「実際に展示会を開催しても受注数量はトータルで10枚~20枚程度なんです。Mサイズ1枚だけとかそういう受注はざらにありますから」とのことだ。

これまで多くのブランドで耳にしていた状況と同じで、廃止することは納得である。

じゃあ、その代わりにどうするのか?と尋ねてみた。

すると「今回、クラウドファンディングでこれだけの受注があると、逆に小売店からかなりまとまった数量の発注がありました。それこそ1店舗で10枚とか20枚はざらです。じゃあ、これからはクラウドファンディング主体で商品を発表すれば効率的ではないかと考えています。クラウドファンディングでバカ売れしたと聞けば、小売店はまとまった枚数を発注してくれますから」という答えが返ってきた。

なるほど理にかなっている。そして「ビビっている」小売店からすればクラウドファンディングで売れれば「実績」が見えるわけだから、安心して仕入れることができるということになる。

展示会での受注精度を上げたり、受注枚数を増やそうと努力しても、多くの小売店がビビッていて、迷走しているのだから、効果を上げることは極めて難しい。
そのメーカー、ブランド側の努力はほとんど無駄に終わるだろう。

それよりも新しい売り方を模索した方が良いのではないか。

クラウドファンディングで実績を見せるというのも一つのやり方だろうし、例えば、ウェブ通販で売りまくるとか直営店舗で売りまくるとか、そういうことも一つの方法ではないかと思う。

展示会にさらに多くの小売店を呼ぶとか、展示会での発注枚数を増やすためにアトラクションを企画するとか、そういう方向の努力は今の状況では実を結ばない可能性が極めて高い。

そういえば、その昔、某GFF(岐阜ファッションフェア)というイベントは、バイヤーを「長良川の鵜飼い+ホテルでの宴会」に招待して効果を出そうとしていたが、徒労に終わっていた。
まあ、効果が出ると考えていたことが不思議でならないのだが。

まるで、「ジーンズが売れないから、生地の重さを0・5オンス上げてみました」とか「トレーナーの着丈を1センチ長くしてみました」みたいな意味のない改変と同じといえる。

従来型の「小売店向け展示会」にこだわり続けるメーカー、アパレルブランドは今後さらに厳しい状況に追い込まれていくと考えられる。

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鎌倉シャツのビジネスモデルが秀逸なポイントを考えてみた
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/na76c612e6d37

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「吸水速乾」を「部屋干し速乾」と言い換えると新しい需要が生まれた

 そろそろ暑くなってきた。嫌な季節が始まった。
筆者は暑さが苦手である。できれば夏がない方が良い。
そうはいっても夏はやってくるから、我慢するしかない。

暑くなると、各社はこぞって「吸水速乾機能」を持った洋服を発売するが、個人的にはあまりこの機能が夏に必要だとは思っていない。

というのは、以前にも書いたが、吸水速乾機能を持った肌着を着用するとたしかに汗は吸うが、逆に吸い過ぎて肌着の上に着たシャツが汗でびしょ濡れになってしまうからだ。
吸水速乾肌着を着るなら、上に着るシャツもジャケットもすべて吸水速乾製品でそろえないと意味が無い。

しかし、吸水速乾機能は重宝であることは間違いない。
洗濯をすると乾くのが早い。

ありふれた機能に対して、別の角度からの見方を与えると、それは新しい商品になり、新しい需要が生まれる。
ありふれた吸水速乾機能でも、「洗濯をしたら早く乾きます」という売り方なら新しい需要が生まれる。

こういう売り方が上手いと思うのは、「ディーパーズウェア」ブランドを展開するオールユアーズである。

それについて、ウェブメディアのインディペンドに先日寄稿した。

「必要」に気づき、「形(かたち)」にする “ALL YOURS”
https://independ.tokyo/?p=3091

ブランド立ち上げ時から親しくさせてもらっているが、このブランドはそういう「売り方」が上手い。
このブランドのヒット商品に速乾の「ファストパス」というラインがある。

キャッチコピーは

「真冬に部屋干ししても3時間で乾きます」

というものである。

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(ファストパスのツナギ)

真冬の部屋干しにそれほどの需要があるのかと疑問を感じたが、都心で独り暮らしをする人や、二人暮らしの共働き夫婦などは、洗濯物は部屋干しすることが多いから、ありがたい機能ということになる。

祖父母や大きくなった子供と同居していれば、洗濯を外に干しても雨が降ったり日が暮れりすれば、誰かが取り入れてくれる。
しかし、一人暮らしや共働き夫婦はそうはいかないから、必然的ににわか雨なんかを警戒するなら部屋干しすることが増える。

真夏だと室温も高いから部屋干しでも5時間くらいすれば洗濯物は乾くが、真冬はそうはいかない。
たまに自分も冬の雨の日に部屋干しするが、なかなか乾かない。

そういうときに、この機能は便利だからヒット商品になっているという。

じゃあ、わざわざ洗濯用に新素材を開発したのかというとそうではない。
実は、これは既存の吸水速乾素材なのである。

「吸水速乾素材ですよ」というと夏場しか売れないが、「部屋干し用の速乾素材ですよ」というと一年中売れる。

現在のアパレル業界に欠けているのはこの「視点の転換」「売り方の工夫」だろう。

多くのブランドは固定概念に凝り固まっているから、視点の転換なんてできずにいる。
「売り方の工夫」ということになると、規模やシステムを無視してユニクロに価格追随するか、伝わらない広告をファッション雑誌に掲載するか、どこぞのブランドみたいに低価格な日本製を打ち出すか、くらいしかない。

あとは、マニア・ニッチ層に向けた「物作りの取り組み」を過度にクローズアップするかである。

そしてそのどれもが効果が出ていない。

この4つの手法はありきたりになっており、ちょっとやそっとでは消費者の注意を喚起できない。
それはやっているブランド側が痛感しているだろう。
痛感していないとしたらそれはブランドの構成員と経営者の認識力が著しく低いというしかない。

国内のアパレルブランドの場合、粗悪品は除いて、低価格品とはいえそれなりの品質になってしまっているのだから、ミクロな縫製仕様を過度にアピールしてもよほどのマニア以外には響かない。

ありきたりな既存の「吸水速乾素材」を、新たな切り口で「部屋干し専用素材」にするような発想力、売り方を身に付ける必要があるのではないか。

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