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1年遅れの粗悪品が売れるはずがない

 GMS、大型総合スーパーの品ぞろえとして衣料品が必要なのかな?と疑問を感じる。

ここでいう衣料品というのは主にスーパー各社の自主企画商品(プライベートブランド)である。

例えばイオンの業績が急落しているが、その原因の一つには衣料品の販売低迷がある。

http://biz-journal.jp/2015/01/post_8708.html
既存店売り上げが前期比2.4%減と不振。特に衣料品が4.1%減と大きく落ち込んだほか、食品も2.3%減と苦戦した。

とある。

ここで業界関係者もよく混同してしまうのだが、イオンモールの専門店街の売上高はここには含まれてはいない。
ユニクロ、ライトオン、ハニーズ、グローバルワーク、チャオパニックティピー、コーエンなどの名だたる低価格SPAブランドが入店しているがあれらはテナントであり、そこの売上高はイオン本体の衣料品売上高には含まれていない。
だからいくらイオンモールが繁盛して各テナントの衣料品の売上高が増えようと、イオンの衣料品売上高は伸びない。

この基本を押さえておかないと、イオンの衣料品売上高を論じるときに意味不明の議論となってしまう。

いくらイオンモールが繁盛しようと、イオン本体の衣料品売り場は苦戦しているということである。
イオンに限らず量販店、スーパーの衣料品売り場には、他社仕入れ品とプライベートブランドの両方が並んでいる。
他社仕入れ品は、いわゆる量販店メーカーと呼ばれる各社から仕入れた商品であり、他のスーパーにも同じ物が並んでいる。
例えばイトーヨーカドーにもイズミヤにも平和堂にも同じ物が並ぶ。

岐阜はアパレル企業の本社が多い土地である。
その昔は縫製工場もずいぶんあったと聞く。
岐阜に本社を構えるアパレルのほとんどは量販店向けメーカーである。
業界では岐阜といえば量販店向けメーカーの集積地をイメージする。

最大手は美濃屋だろう。
コンバースやエアウォークなどのトレーナー、Tシャツ類を企画製造して量販店各社に卸している。
岐阜武、水甚なんていうメーカーもあり、メンズカジュアルアイテムを得意としている。
レディースだとサンラリーグループだろうか。

最近は卸先も少し変化しているが、筆者以上の年代(現在44歳)だと岐阜アパレルというのは量販店向けというイメージが強く残っている。

こういう仕入れ商品はまだしも、筆者は個人的には量販店のプライベート衣料品に需要があるのかどうか疑問を感じているわけである。

例えばイオンなら「トップバリュ」というプライベートブランドがある。
トップバリュのカジュアル衣料品が欲しいと感じている消費者なんてどれほど存在するのだろうか?
美濃屋が企画製造するコンバースのTシャツが欲しいという消費者ならまだそれなりに存在するだろう。
岐阜武や水甚の企画製造したアイテムが良いと感じている人もいるだろう。
現に筆者はジーンズメイトで格安に値下げされて投げ売りされていた商品を買ったら、岐阜武の商品だったことがある。

決して「岐阜武」の商品が欲しかったわけではないが、値段と商品のデザインを鑑みて買う価値があると判断した商品が岐阜武製だったということになる。

だから、ブランド価値はあまりないが、商品の出来栄えは悪くない商品も増えてきているから、量販店向けブランドもなかなか侮りがたい。

しかし、量販店プライベートブランドはそこまでの出来栄えだろうか。
しかもブランド価値は量販店アパレル商品よりも低い。
「トップバリュの服で我慢できる人は数多くいるが、トップバリュの服を積極的に欲しい人はいない」と言われる所以である。

そしてプライベートブランドの企画はユニクロや量販店アパレルのヒット商品の後追いに終始している。
軽量ダウン、発熱インナーの例を採ってみてもそれは明らかである。
工賃はそれらよりも低く抑えられていると話す関係者もいる。

もし仮にこの関係者の証言が事実だったとしたら、後追い企画の商品を本家よりも低い工賃で製造していることになり、それでは単なる粗悪品ということになる。しかもそれは本家よりも1年遅れで投入される。
本家商品と比べても見劣りするのは当然である。原価率そのものが低いのだから。
1年遅れの粗悪品なんて普通に考えても売れないのは明白だと思うが、GMS幹部にどうしてそれがわからないのか不思議でならない。

筆者がまだプライベートブランドでもそれなりに売れる可能性があると思っているのは肌着、靴下、パジャマ類である。
あと格安メンズスーツなんかはユニフォーム・作業着代わりにスーツを着用するサラリーマンには重宝されるだろう。

バブル崩壊後から働き始めた筆者には、なぜGMS幹部がここまで衣料品に執着するのか理解ができない。
少なくともファッション要素が少しでもある衣料品は、低価格SPA、ツープライススーツショップで十分まかなえるからである。そして商品企画の精度とブランド価値は量販店プライベートブランドよりも高い。

長らく付き合いのある量販店メーカーの元部長によると、
その昔、量販店は衣料品で多額の利益を稼いでいたという。当時の利益の稼ぎ頭は量販店だったそうだ。
これはおそらくバブル前からバブル絶頂期にかけてのことだと考えられる。

その元部長によると、かつての好況が忘れられないのではないかという。

家電量販店の隆盛に圧されて、量販店の多くから家電売り場がなくなっている、あるいは大幅に縮小されている。
衣料品も家電製品のようにあきらめた方が効率的ではないだろうか。量販店メーカーの商品はまだしも、ファッション要素を含んだプライベートブランドは。

低価格SPAと量販店メーカーの企画の後追いという現在の姿勢のままでは量販店の衣料品がかつてのように復活することは到底ありえないと思うのだが。

GMSは食品と日用消耗品に特化した方が良いのではないか。

イオンの「ルームダウンジャケット」のテレビCMは秀逸

 薄型ダウンジャケットが市場に溢れている。
以前にも書いたように、過度な軽量化追求は消費者に何のメリットももたらさず、製造側・販売側の自己満足に過ぎない。
重量で言えば、400グラム以下になれば重さはほとんど感じない。
400グラムから15グラム軽くしようが、20グラム軽くしようが着用者にはあまりわからない。

先日から、イオンの薄型ダウンジャケットのテレビCMが開始された。
このテレビCMはなかなか秀逸であると思う。
ユニクロよりもよほど上だ。

イオンは「ルームダウン」という切り口で提案している。
今冬も続く節電対策用品として、暖房を点けていない室内で、暖かく過ごしてもらうための軽量ダウンジャケットという位置付けだ。
薄いので家事をしていても、読書をしていても邪魔にならないという生活シーンを映し出している。

そもそも薄手のライトダウンジャケットは、冬山登山のインナー用途として開発された経緯がある。
保温性を高めるために、アウターの分厚いダウンジャケットの中に、さらに薄手のダウンジャケットを着込むのである。

映画「探偵ガリレオ 容疑者Xの献身」の中で、冬山登山の山小屋で福山雅治さんと堤真一さんがくつろぐシーンがある。その際、暖房を点けた室内で、福山雅治さんは薄手のダウンを着てコーヒーを飲んでいる。
これが本来のライトダウンジャケットの使用方法である。

イオンの「ルームダウン」提案は、薄型ダウンジャケット本来の使用方法に忠実であるとともに、今冬の節電対策も提案しており、非常に優れたテレビCMであると思う。
反対にユニクロの「ウルトラライトダウン」のテレビCMはオッチャンとオバちゃんが多数登場して「軽い」を連発するにとどまっており、「軽さしかセールスポイントが無いのかよ!」と突っ込みたくなるような出来栄えである。
真冬の野外で作業するのであれば、わずか199グラムのペラペラのウルトラライトダウンよりも、ユニクロの9990円の通常のダウンジャケットを着用した方がよほど適している。

量販店の衣料品のテレビCMはあまり評価できる物がなかったのだが、イオンの「ルームダウン」提案のテレビCMには拍手を贈りたい。

弱者が強者に追随する衣料品業界の悪循環スパイラル

 マーケティングの基本的な理論として、「ランチェスターの法則」というものがある。
わざわざ自分ごときが、解説をせずとも、もっと能力のある方々はこの法則をご存知で、日々運用されていることと思う。
恥を承知で書く。

武器や装備が同じ軍隊が戦った場合、人数の多い方が勝つということが大前提とされており、そこから「強者の戦略」と「弱者の戦略」が導き出される。手短にまとめると、

「強者の戦略」というのは、スケールメリットを生かして人海戦術、物量で圧倒する追随主義であり、
「弱者の戦略」というのは、奇襲による一点突破主義である。

牛丼チェーン店の例で見ると、業界1位のすき家は「強者」、業界2位の吉野家は「弱者」といえる。
吉野家が牛丼値下げを発表すると、必ずすき家が追随して値下げする。しかも吉野家よりも10~20円安くして、相手のキャンペーンを無効化する。
これが代表的な「強者の戦略」といえる。

衣料品業界で見ると、現在、ユニクロは圧倒的な強者である。
単体で売上高6000億円、連結で売上高8000億円となっている。(2010年8月期)
吉本流のボケを入れるなら「6000円置くのとちゃうで~」ということになろうか。
衣料品業界で苦戦している業者は多々ある。その中でユニクロと価格帯がぶつかる企業を選ぶならイオンやイトーヨーカドーなどの量販店・GMSだろう。
こと衣料品に限ってみれば、イオンもヨーカドーもユニクロよりも規模が小さい。彼らは「弱者」ということになる。

しかし、新しい仕掛けはユニクロ(ジーユーの場合もある)が先行し、イオンやイトーヨーカドーが追随する。
強者が先行提案し、弱者が追随するという珍しい現象が何年も前から起きている。
フリースしかり、カシミヤしかり、ダウンジャケットしかりである。一時期だけの限定ブームだった1000円以下のジーンズもそれに当たる。
ジーユーが990円ジーンズを先行提案し、イオンやイトーヨーカドーがそれに追随して、その下をくぐる値段を打ち出した。結果的に1000円以下のジーンズはあっという間に廃れてしまったのだが、先行提案したことからジーユーの知名度は高まった。
イオンやイトーヨーカドーには何かメリットがあったのだろうか?
「ゴミのように」処分された不良在庫が増えただけではないのだろうか。

過去、量販店の利益の大部分を衣料品が稼ぎ出したという時代がある。
バブル崩壊直前までがそういう時期だったようだ。
日々の売上高を食料品や日用消耗品が稼ぎ、利益を衣料品で稼ぐというのが、量販店が確立した基本的なビジネススタイルだと言われている。
しかしバブル崩壊以降、その利益の源泉となる量販店の衣料品が不振を極めている。
だから、イオンもイトーヨーカドーもその他量販店も、衣料品の復活を目指して20年間もがき続けている。

その結果、「強者ユニクロ」に追随するというありえない弱者戦略を取り続けて、悪循環スパイラルを深めているように見える。

量販店の衣料品の採るべき道は2つあり、

1つは肌着、靴下、パジャマなどの実用消耗衣料に特化すること
もうひとつは、強者ユニクロに先んじて、目新しい仕掛けを次々と打ち出すこと

だと考えている。
実用消耗衣料への特化は、確実性はあるが利益幅は薄い。
もう一つの新しい仕掛けは、当たれば大きいが外れると痛手を被る。

どちらを選ぶかは経営陣の判断次第だが、どちらも厳しい道であることは間違いない。

ショップの照明でごまかされるな

 ショップを見て廻って、いざ、服を買う時に気になるのが、店の照明。
太陽光に近い白色蛍光灯ならその服の色がわかりやすいが、黄色っぽいダウンライトでは、色がわかりにくい。例えばホワイトベージュとイエローベージュの区別が着きにくいし、黒と紺もわかりくい。パープルのトーンも分かりにくい。
非常にダウンライトは不便である。

しかし、店内全体を見渡したときに、白色蛍光灯はよほどうまくディスプレイしないと安物っぽく見えるが、黄色っぽいダウンライトは少々へたくそなディスプレイでも雰囲気ありげに見える。

ユニクロ、ジーユーは比較的太陽光に近い白色蛍光灯を使用している。(家庭の蛍光灯よりはやや黄色っぽいと感じるが)

GAP、ZARA、H&Mは黄色っぽいダウンライトを使用している。
暗さのランキングではZARA>GAP>H&Mだと思う。
ZARAが最もうす暗く、GAPがその次、H&Mは意外に明るいが、ユニクロよりは暗い。

イオン、ヨーカドー、西友、イズミヤ、ユニー、オークワ、ライフなどの量販店の白色蛍光灯は、いずれもユニクロよりも明るいと感じる。

意外にもアーバンリサーチストア心斎橋店は、セレクトショップでありながら照明は明るめで、GAPよりも明るいと感じる。

こうして見ると、高級感を手っ取り早く演出したければ、照明を暗く黄色っぽくすれば良い。と最近感じるようになった。
商品の品質がチープで、ビジュアルマーチャンダイジングも大したことはないけれども照明を暗く黄色っぽくするだけで、高級な感じにすることができるのではないだろうか。

照明が明るいと、よほどの店作りを行っても安っぽく見える。

そういう意味では、ファストファッション(GAPはファストではないが)系は照明でごまかしていると言えるし、ユニクロや量販店は照明で損をしているともいえる。

ただ、洋服や服飾雑貨、小物類を買うときは、照明の暗い店では慎重に慎重を重ねて商品を選んだ方が良いと経験上思う。

売り場探訪:西友

 先日、12年来お付き合いしていただいている、デザイナー平井達也さんから「ツイッターで売り場中継したことを随時、まとめてはどうか?」とご提案いただいた。このブログの新しい一つの切り口としてさっそく始めたい。
大晦日だが、思い立ったが吉日である。

ちなみに平井さんのコレクションブランド「Si-Hirai」のHPはここ。

http://www.si-hirai.com/

昨日、久しぶりに西友に行った。
昨年秋に話題をさらった850円ジーンズだが、レディース商品はこの日680円に値引きセールが行われていた。

・ワンウォッシュみたいな濃紺
全体的のっぺり色落ちした淡色ブルーの2色展開
・どちらもヒゲ加工なし
・ヒゲ加工は加工賃が高いので850円商品には使うことができない
・素材は綿75%・ポリエステル24%・ポリウレタン1%

これは、綿が昨年秋よりも高いので(商品が作られた時期は今ほど高騰していない)、綿の配合率を下げ、ポリエステルを24%使ったと見ている。来年春物以降はポリエステル配合率がさらに高くなるだろう。

ちなみに1470円ジーンズはヒゲ加工入りで、綿97%・ポリウレタン3%
まともにジーンズと呼べる最低価格は1470円である。
「安いけど安っぽくないジーンズ」というポスターが850円コーナーに貼ってあったが「すみません、どう見ても安っぽいです。失笑物のポスターです」。


メンズコーナーへ移動
ダウンジャケット類の値引き
・ペンフィールドのダウンジャケットが半額で3950円に。
ただし、デザインがあまり見かけないタイプ。

・西友オリジナルのリバーシブルダウンジャケットが3割引きの4130円に。表無地の裏ハウンドトゥース。ただし、裏は恐ろしく安っぽい光沢なので裏側を向けて着ることはできない
 
・トレンドのウールダウンジャケット発見
黒とチャコールグレーの無地2色で、値引きされていない7900円
似たような色を2色展開しているのが意味不明
黒のほかは、ライトグレーか茶系、ベージュ系にすべき
売り残すことをビビっての安全パイ2色なのだろうが、これなら1色展開にすべき
せっかくデザインも悪くないのに量販店の平場に陳列されているとひどく
安物くさい。量販店は売り場作りを見直すべし

・ラムウールセーターが1000円引きの1900円に

・ウールニットパーカーがあるが、ウォッシャブル加工のため、素材の手触りが変。ウォッシャブル加工は、早い話、ウールにコーティングしてあるものなのでコーティング剤の問題だろうか?

以上がざっと見た西友の売り場である。

悪くない商品もあるのだが、量販店のフラットな売り場作りではちっとも良く見えず、全商品が限りなく安物くさく見えていた。これは西友だけの問題ではなく、イオン、イトーヨーカドー、イズミヤ、ユニーなどすべての量販店が改善しなくてはならない問題だろう。
売り場作りを改善せずにイオンやイトーヨーカドーのように、モノ作りシステムをいくらいじっても衣料品の売り上げにはつながらない。
それこそイオン、イトーヨーカドー特有の無駄な努力である。
岡田氏、鈴木氏ともにそのことがわかっていない。わかっていないからこそイオンもイトーヨーカドーも迷走しっぱなしである。 

12月中旬に大コケした新規ガールズイベント?

 12月の中旬に関西でガールズファッションイベントがあったと聞く。イベントの名前もわからないから本当に伝聞で恐縮している。
そのガールズイベントの集客が少なすぎて大コケしたと言われている。

以前も書いたように、現在ファッションショーといえば神戸コレクション、東京ガールズコレクション(TGC)に代表される、タレントやタレントモデルが服を着てステージを歩くと言う形式が広く認知されている。
そもそも論から言えば、このスタイルを確立したのは神戸コレクションであり、それを発展拡大させたのが東京ガールズコレクションである。

その後、雨後のタケノコのように(関係者各位失礼)、どんどんと○○ガールズショーや○○ガールズアワードなど類似イベントが登場し、今も登場しようとしている。しかし、これらがファッション振興に役立っているかと言えばかなり疑問だ。
観客(主に10代・20代の女性)は、タレントやタレントモデルを見に来ているのであり、彼女らがどのブランドの服を着ているかと言うのは興味の対象外にある。もっとあけすけに言ってしまえば、全員にトップバリュの衣服を着せてステージを歩かせても観客は誰も気が付かないだろう。

開始直後の神戸コレクションやTGCは出展ブランドの売り上げ拡大の役目も果たしていた。しかし、今は違う。ライトオンやマックハウスも今年春のガールズイベントに出展していたが、その後もずっと前年比15~25%減少を続けている。売上高は一向に回復していない。同じ論法で言えば、イオンもそうだろう。

そして、新しいイベントが打ち出されるものの先行イベントとの違いは、登場するタレントだけ。これでは、12月中旬に新規ガールズイベントが大コケするのも当然であろう。もう、その手のイベントには飽和感があるからだ。

かと言って、パリコレ、ミラノコレなどの形式と同様のファッションショーが見ていて楽しいかと言うとあまり楽しくない。静寂と単調なリズムが続くので1時間以上見続けると眠ってしまう。某専門学校の卒業製作ショーは2時間半もあるのだが、とても苦痛で最後まで見ていることはできない。途中で眠るか退席するかのどちらかである。

今後はタレント頼りではない、新しいイベントの形式を模索する必要があるだろう。タレントショーはTGCに任せておけば良い。同じ形式で新規参入したところで、規模でも知名度でも登場タレントでも勝てない。ならば違う方向性を模索するべきである。

タレントを登場させてファッションショーにエンターテイメント性を与えたのは神戸コレクション、TGCの功績である。今後の新規イベントは、それを踏まえつつさらに新しい要素を加えることが必要だろう。こういう自分もその新しいスタイルのビジョンは見えていないのだが。

ソフトタッチアクリルニットが大人気

 今秋冬はニット(セーター類)が大人気だ。いわゆるセーターをニットというが、業界では編物全体をニットということもあり、非常にまぎらわしい。編み方によって横編み、縦編み、丸編みとある。
自分の中では、一般のセーターは横編みで編まれるケースが多いように思う。(ニットにくわしい方、ご意見ください)

さて、冬物のセーターのメイン素材はウール(羊毛)だと考えている。高級セーターはウールではなくカシミヤが使用され、低価格品は化合繊のアクリルが使用されると認識している。
レディースアパレルの取材をすると、とくに1900~3900円くらいまでの低価格ブランドのセーター類で、今秋冬はウールが一切入っていないアクリル100%が増えているように感じる。
もしかしたら、もう何年も前からそうだったのかもしれないが、自分が愛用するユニクロのセーターはいまだに1990~3990円でも、ウールが主力素材なので、違和感がある。

今秋冬のアクリルニットで素材的に大ヒットだったのが「カシミヤタッチ」や「ソフトタッチ」と言われる肌触りの柔らかいアクリルである。これは何も目新しい物ではなく、イオンやイトーヨーカドーなどのスーパーマーケット系の売場には数年前から並んでいた。
ジーユーの売り場にも並んでいる。

おそらく30歳後半以上の方々はアクリルニット=安物というイメージを抱いている。50歳代以上の方々はほぼ全員がそう考えていると思う。
実際に羊毛に比べるとアクリルは素材の値段が安い。化合繊は特殊な機能素材を除いて一般的に天然繊維よりも価格が安い。
例えば綿花の値段が高騰しているが、綿(コットン)の使用量を減らし、ポリエステルを配合すれば素材のコストが下がり、製品の値段は維持しやすい。

しかし、アクリルニットファンも間違いなく存在する。アクリルニットの利点は3つにまとめられると思う。

1、軽い
2、洗濯しやすい
3、ウール特有のチクチク感が少ない

である。

おまけに製品の値段が安い。

で、ソフトタッチアクリルニットの多くは、若い女性向けブランドから展開されている。
今の若い人は所得が少ないから安くて機能的であれば、アクリルニットでも構わないのだろう。それを指して「若い消費者の感覚が退化している」とは思わない。若者らしい、なかなか合理的な判断だと思う。
60歳代以上の人間が「若い世代の感覚退化」を嘆くのであれば、自分らが身銭を切って、若い世代の所得が増えるように、雇用促進の社会的取り組みをするべきであろう。
地位も名誉も獲得した老人が若い世代を非難するだけでは、何も解決しない。それは単なる自己満足に過ぎない。

ちょっと脱線。
ただ、40歳のオッサン(自分のこと)からすると、アクリルニットは何か味気ないと感じる。まあ、これもオッサンの郷愁に過ぎないのだけれども。
そのうちに、ウールセーター=オッサン、オバハンの服というイメージが出来上がるかもしれない。

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