八王子のみやしんの廃業について、多くの方が意見を書かれている。
個人的にはみやしんについて知識を持ち合わせていないので、書きようがない。

これについては、奥田染工場のブログを読んでいただくのが一番だと思う。
ちょっと長文であるが、八王子の同業者として、製造業者としての衷心がにじみ出ている。

みやしんの廃業について思うこと 『いいものを作ることと儲かることはそもそも違う』について:ゆるゆるnotes
http://blog.okudaprint.com/2012-09/miyashin

また、台東デザイナーズビレッジの鈴木村長のブログもお薦めしたい。

八王子の工場見学
http://blog.livedoor.jp/tdv001/archives/54175898.html

産地製造業の廃業はこの八王子だけの問題ではなく、日本全国共通の問題となっている。
ファッション関連の人とお話しすると「デニムは世界的に有名ですから安泰ですよね」という言葉を聞くこともあるが、デニムの三備産地だって廃業はある。
児島の洗い加工場なんてずいぶん社数が減っている。いずれも倒産か廃業だ。

で、こうした状況がわかっているのかいないのか、アパレルブランドや百貨店などでは昨年あたりから「国産フェア」に類する催し物が増えた。
あえて催し物としたのは、売り場での物産展だけではなくイベントも含ませたいためである。

しかし、こうした一過性のイベントが産地復活の手助けになるとは思えない。
もちろん、やらないよりはましだが、その程度の効果しかないと思う。
そこには継続的な取り組みが求められる。
アパレルや百貨店が真に産地復興を望んでいるのなら、一回こっきり・その場限りのイベントで終わらせるのではなく、継続的に少量ではあってもその産地との取り引きを一定期間継続すべきである。

この部分については先ほどの鈴木村長のブログから引用させていただく。
自分の言いたいことが、ほぼそのまままとめられているからである。

みやしんの廃業について元アパレルトップで、現在小売業の方が書かれたブログ記事がありました。
その中に、工場で織り傷を見つけた部下を褒める記述がありました。

なるほどアパレルらしい、百貨店らしいと感じました。
織物の魅力や価値を認めるのではなくて、傷などの品質しかわからないのだ、と。

また、ファッションショーで生地を使うことが支援だとか、生地以外のコスト削減を提案していました。
それらも無いよりはあったほうがいいでしょう。

本来国内アパレルや百貨店がすべきことは、
そんな一過性のイベントや、小手先だけ対処療法ではなく、
織物を活かす企画をすること。
そのために工場にもっと出向く、理解する、協働する仕組みと社風を作ること。
織物や織物工場の価値や魅力をお客様に十二分に伝えること。
じゃないのでしょうか。

とのことである。

これまでアパレルやブランド側は、産地企業が表に出ることを極度に嫌がってきた。
近年その傾向はようやく崩れつつある。
ユニクロが自社のジーンズにカイハラのタグを付けて販売することはその典型例だろう。
しかし、多くの産地企業は往年の因習に今も囚われている。ダジャレではないがトラウマになっていると感じる。

いろいろな産地企業に、「取り引き先各社に、『貴ブランドでうちの生地が採用されています』と告知したいのですが、よろしいでしょうか?」と問い合わせてみたらどうかと提案するが、ほとんどの企業は「そんなことしたらブランドから叱られる」と答える。
その確率は体感的に7割を超えるのではないか。

けれどもブランド側の姿勢も随分と変わっており、打診をすれば4~5割の先は「いいですよ」と答えると考えている。

昨日、話していたら日本には生地ブランドが無いことに気が付いた。
人口に膾炙しているのは、西陣織だとか○○縮だとか、●●紬だとかほとんどが和装の生地である。
しかも地域ブランドであって、企業ブランドではない。

これまで産地の価値を伝えて来なかったアパレルやブランド側にも責任はあるが、過ぎたことを言っても仕方がない。今後はアパレル側も、そしてトラウマを乗り越えて産地側も情報発信をする必要がある。
ちょっと遅すぎる感じもするが、おそらくこの機会を逃せば国内産地のほとんどが無くなってしまうだろう。