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団塊世代が定年退職を迎えて10年が過ぎるのに、今頃危機感をにじませているスーツ大手4社幹部の甘さ

5月27日までジーユーの安売りがあった。

そこで、奮発してスーパーストレッチドライスーツのオリーブグリーンを買った。
定価4990円のジャケットが3490円に、定価2490円のパンツが1990円に値下がりしたからだ。
総額で1500円値引きされたことになる。
さらに100円割引クーポンを使って、消費税込み5810円だった。5000円以上は送料無料なのでオンラインで買って自宅に送付してもらった。

この同じ商品でベージュを4月にも購入している。

残るはネイビーだけだが、3490円+1990円になったら来月以降に買おうと思っているが、同様の商品がドゥクラッセのECでも販売されており、こちらは定価14900円が9490円(税抜き)に値下げされている。
色バリエーションもジーユーとまったく同じで、ベージュ、オリーブ、ネイビーの3色だから、この3色は今年夏の注目カラーなのだろうと思う。ただし、こちらのベージュはもっと白っぽい。黄色味が強いジーユーのベージュとは異なる。

ジーユーの価格の2倍するが、最後のネイビーをジーユーにするか、奮発してドゥクラッセにするか目下悩んでいるところである。
悩みは根深い。ネブカドネザル。

のっけからカジュアルスーツの個人的注目商品を書いてみたのは、カッチリとしたお堅い職業以外、ジーユーやドゥクラッセのようなカジュアルスーツで十分というご時世になっている。
これらのスーツ類は定価でも7000~15000円くらいで、通常のウール生地・ウール混生地のビジネススーツの半額くらいの値段で買えてしまう。

しかもカジュアルシーンにも着用できて一挙両得であるから、よほどの制約がない限り、誰だってこの手のカジュアルスーツを買う。

これで影響を受けるのは、当然、従来型スーツを販売する低価格店ということになる。

スーツ販売が低迷、紳士服大手が抱える苦悩
大手4社の既存店は前年割れ、ユニクロも攻勢
https://toyokeizai.net/articles/-/222667

正直なところ2018年の今頃に何の寝言を言っているのかと思う。

従来型ビジネススーツが苦境に陥るのは、団塊世代の定年退職が始まる2007年にはすでに予見されていた。
60歳でそのまま定年リタイアできる人・したい人というのはどちらかというと少数派だからそこから定年延長されて10年が経過している。
当時60歳手前だった人は70歳手前になっているし、60代前半だった人は70代前半になっている。

当方の父親も今年74歳になるが、往年の酒の飲みすぎがたたったのかめっきりと老け込んでいる。
若々しい人も見かけるが、70歳前後になっては通常の会社勤務をすることは体力的に難しいと感じるから、団塊世代はほぼリタイアしきってしまったといえる。

スーツの需要が人口的に最大だった団塊世代が70歳リタイアしてしまうと、スーツの需要は嫌でも激減する。
仕事でもないのに、青山・アオキ・はるやま・コナカのスーツを着たいなんて人はほとんどいないからだ。

これを見越してスーツ大手4社(青山、アオキ、はるやま、コナカ)は女性スーツやメンズカジュアルをこの10年間で強化してきたはずだった。

にもかかわらず、直近の決算は悪い。
施策の方向性は間違っていないが、その効果は出ていないといえる。
一つには、これら4社のブランドステイタスが低いから「必要に迫られて買うスーツ」以外の需要は取り込めていないと考えられる。
カジュアル衣料というのは嗜好品の面が強いから、わざわざ「青山・アオキ・はるやま・コナカでカジュアルを買いたい」と考える男性はほとんどいない。まったくいないと言っても過言ではないだろう。

紳士服メーカー大手の青山商事、AOKIホールディングス、コナカ、はるやまホールディングスが発表した4月の既存店売上高は、4社とも前年同月比で2~4ポイント下回った。2017年度(コナカのみ2017年9月期、ほか3社は2018年3月期)決算は、青山とAOKIがわずかに営業増益だったが、年間累計での既存店売上高は4社そろって前年割れとなっている。

そして

各社は20代の就活生や新卒社員、50代以上の固定客の需要を取り込む一方、苦戦するのが30~40代への訴求だ。カジュアル化の波に加え、低価格志向やネット通販の広まりも、30~40代の顧客の囲い込みを難しくしている。

とのことだが、カジュアル化が進めば進むほどネームバリューやブランドステイタスのない4社が選ばれる可能性は低くなる。
「リーバイスが欲しい」と思う30代・40代男性はいるが、わざわざ「青山・アオキが欲しい」と思う30代・40代男性はまずいないからだ。

にもかかわらず

紳士服大手の幹部は「危機感が足りなかった。スーツ市場のパイが広がらない今、現状維持が精いっぱいだ」と率直に認める。

というのだから、よほどこれらの企業の幹部の頭の中身はよほど花畑だったのだろうと思う。すでに10年以上前の2007年に団塊世代の定年によるスーツ需要の激減が指摘されていたにもかかわらずだ。惰眠を貪るというのはこういう幹部のことを言うのである。

業界には根拠のないネット通販救世主論がまかり通っているが、従来型ビジネススーツはネット通販で買うのはなかなか難しい側面がある。
カジュアル服とは異なり、サイズがピッタリであることが求められるからだ。
どこぞのキャッチフレーズの「ミリ単位の精度」とやらがもっとも求められるのはメンズビジネスウェア(スーツとシャツ)である。生地自体が何センチも伸びるTシャツやセーターにミリ単位の精度なんてのは必要ないし掲げているだけ滑稽である。

アパレル市場のネット通販比率が約1割に達する一方、紳士服大手のネット販売比率は1~2%程度にとどまる。

とあるが、ジャストサイズのビジネススーツやビジネスシャツを買うなら試着や採寸ができないネット通販は不向きである。
実は、Amazonにはるやまが出品している。これがタイムセールでときどき激安になることがある。
スーツは9000円くらいにまで値下がりする。
今年の正月、9000円に値下がりしたはるやまのスーツをAmazonで見かけて購入してみた。

サイズ表に沿って自分のサイズを選んで、それが送られてきたのだが、試着してみるとズボンはピッタリなのにジャケットは肩幅がパンパンにキツくて腕が上がらない。これでは電車で吊り革もつかめない。
幸い「返品無料」だったので返品して事なきを得たが、カッチリとしたスーツをサイズ表だけを頼りに買うのは危険だと痛感した。
だからよほどの仕掛けがないことにはネット通販でカッチリとしたビジネススーツの売り上げ枚数が増えることはないだろう。

この記事はユニクロの脅威を説いているが、ユニクロよりもジーユーやドゥクラッセの方が実は脅威だと見ている。

いずれにせよ、青山・アオキ・はるやま・コナカのスーツ大手4社は今のままではさらに業績が低下し続ける。
ネット通販も不向きだし、ユニクロやジーユーが競合になっており、これらを打破する取り組みが求められているのだが、10年間も惰眠を貪ってきた4社の幹部が急速に目覚めるとは思えない。安定的需要を取り込むことは重要だが、それに胡坐をかき続けるとこうなるという見本ではないか。

NOTEの有料記事を更新~♪
原料と直結した数少ないアパレル製品の一つがジーンズ ~エドウインはどうなる?~
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n96317a6e146f

あと、インスタグラムもやってま~す♪
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昨年9月下旬にブログの仕様を変えて、更新通知が届かなくなった方がおられると思いますので、お手数ですが、新たにRSS登録をお願いします

こちらがAmazonで売っているはるやまの激安スーツ。現在8200円くらいでジーユー並み。(笑)

はるやまの機能素材開発の姿勢を評価したい

 少し前のことになるが、はるやま商事のアイシャツのことがダイヤモンドオンラインに掲載された。

紳士服業界ではトップには及ばず、一時期は経営危機も噂されたこともある「はるやま」だが、最近は何かと独自路線を打ち出してそれなりに脚光を浴びている。

http://diamond.jp/articles/-/77409

ヒット商品が生まれにくいメンズビジネス服業界において、2008年の発売後、毎年180%程度の伸びを見せ、15年には販売数100万枚に到達する大ヒットを記録している。とのことである。

このアイシャツは合繊100%のワイシャツである。
はるやまのオンラインショップでデザインを見てもらうとわかるが、デザイン的にはちょいダサだと感じる。
派手なボタンホールの糸使い、不要なステッチ、などなどで、個人的には一昔前に流行ったクラシコイタリア崩れのデザインに見える。

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当時はトレンドに敏感な若手ビジネスマン層が着用していたテイストだが、それが今ははっきりと言ってオジサン層が愛用しているという印象がある。

反対にトレンドに敏感な若手ビジネスマンのワイシャツには変な色のボタンホールや不必要なステッチなどは入っておらず、むしろそのあたりはシンプル傾向にある。

せいぜいが、襟と袖口だけが白い生地で作られたクレリックシャツか、ストライプやチェックなどの派手目の柄物までである。

しかし、ターゲット層をオジサンに絞っているならこのアイシャツのくどいデザインはありだ。
それを好む層がいるのだからそこに向けて商品を提供するのはビジネスの基本である。

正しいファッションを啓蒙するという観点からすると間違いだが、ビジネスとしては間違いではない。
このあたりをごっちゃにすると、意味の分からない議論が繰り広げられることになり、現代の我が国で起きている論争のほとんどは違う観点の事柄をごっちゃにしてそこに情緒のスパイスを振りかけているだけである。

で、このアイシャツの特徴なのだが記事中にこう書かれている。

「様々探した中、サッカーの日韓ワールドカップの時に日本代表が着用したユニフォームで使用した生地を利用すればできなくない、とわかりました。この生地は織るのではなく編むことでできています。だからスポーツウエア同様に伸縮性が高く、通気性は(200mmの試験片に空気圧をかけるJIS規格上の試験で)200CCを記録しました。通常のシャツが約40CC前後ですから異次元の結果です。もちろん、元がスポーツウエアなので、ほぼシワにもならない。業界でよく使われる防しわの基準は、最高5.0点。通常の形態安定のシャツは3.5点程度なのですが、このシャツは最高の5.0点を記録しています」

とのことである。

サッカーユニフォームに使用された生地を使用しているのだが、なぜこの生地をしようすることになったのかというと、

事の起こりは、はるやま商事が08年の北京オリンピックにおける、JOCのオフィシャルパートナーになったことだった。彼はJOCの幹部から「記者会見の時にシワがよらない」「汗が消えるよう、吸湿速乾性に優れている」など、ハードルが高い要求をたくさんされた。それは「既存のシャツでは到底ムリ」なものだったが、治山氏はこれを好機と捉え「実現しよう。原料、糸、生地、縫製……何から何まで、今まで使っていたものに頼ってはいけない」と社員に伝えた。

という依頼があったからだ。

シワにならず、汗が消えるくらいの吸水速乾性のある生地というのは、綿では不可能である。
必然的に合繊にならざるを得ない。

しかし、サッカーユニフォームの生地は薄くてテロテロである。
あれをそのままシャツの形に縫っても「ワイシャツ」みたいにはならない。

難点もあった。スポーツ素材だと、木綿と違って繊維に「コシ」がない。パリッとせず、ジャージのように「タラッ」としてしまうのだ。これは当初、生地を分厚くすることでしか解決できなかったが、その後5年かけ様々研究し、薄い生地でもできるようにした。

「生地が薄いと、今度はアンダーウエアが目立ってしまう問題がありました。しかしこれも、肌と同じ色の非常に薄い裏地をつけることで、通気性を損なわず、目立たないようにできました」

という具合に工夫したそうだ。

この記事を読んで、はるやまの通販サイトで商品写真を見たが、感想は先ほども書いた通りに「ちょいダサ」だと感じた。
価格は5000円台であるが、今のデザインならちょっと筆者は買いたくない。

しかし、この使用されている生地には大いに興味がある。
汗っかきの筆者にとってはこの生地は夏場に着用してみたいと思わせるに十分なスペックだからだ。

これでもっとシンプルなデザインのシャツを作れば良いのにと思ってしまうが、そうなるとターゲット層が変更されるから安易には対応できないのだろう。

商品のデザイン性はさておき、こういう生地に対する開発・工夫というのはなかなか素晴らしいことではないかと感じる。

昨今、昔ながらの製造工程と風合いとだけにこだわったことを「高付加価値」だと勘違いしたファッション衣料品が増える中で、機能性を重視した生地開発に取り組む姿勢は評価されるべきだろう。

もちろん、昔ながらの製造工程が悪いわけではないし、風合いにこだわることも悪いわけではない。

切り口がそれ一辺倒になるというのはちょっとおかしいのではないか。
何となく店頭を見ていると高価格品になればなるほどそれ一辺倒になっているように感じる。

しかし、結局、また高価格品の同質化を招いて、いずれ潰し合いが始まることになるし、それは成功した先行ブランドの事例を単に後追いしているだけのことではないか。

もし、もっとシンプルなデザインのアイシャツが発売されたら、一度買って試してみたいと思っている。



「不射の射」に通じる?「売ろう」としない販売

 販売員がお客に声をかけるタイミングと、その文言は難しい。
個人的にはあまり付きまとわれるのもイヤだし、尋ねたいことがあるまで放っておいてほしいと思う。

しかし、量販店のテナントでかつて販売員をしていた立場としては、お客に何らかの声はかけないといけないことは理解している。
筆者が販売員だったころは、入店したお客に「いらっしゃませ」と声をかけて、しばらくしてから「よかったら試着してくださいね」とか「よかったら広げてご覧ください」というくらいに留めていた。
最近だと「いらっしゃませ」の代わりに「こんにちは」と声をかける店もある。GAPなんかがそうだ。

ちなみに女性販売員がアニメ声で「いらっしゃいまヘェ~」とリズムを付けて叫んでいるのは聞いているだけで寒くなる。(`Д´) ムキー!

先日、あるカジュアルチェーン店で、値下がりしている半袖シャツの値札をあれこれ見ていた。
要するにどれが一番安いかを比べていたわけである。(当然、その日に買うつもりはないv( ̄∇ ̄)v)
すると、男性店員が声をかけてきてくれた。この店は普段あまりうるさい接客をしないのだが、この店員は尋ねられてもいない素材の話を熱心に語り出した。

もちろん、態度は丁寧で彼に何の落ち度もないし「何とか売ろう」とする仕事熱心な態度も理解できるのだが、尋ねられてもいないのに素材の話を延々とするという手法にはあまり好感は持てなかった。
彼の戦術に問題があるということだろう。

とここまで書いて、昨日の日経ビジネスオンラインの記事が面白かったので紹介したい。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20120614/233353/

紳士服のはるやまを展開するはるやま商事が、岡山のロードサイドに新タイプのスーツショップ「HALSUIT」を出店して売り上げを伸ばしているという話である。
前年比70%増の売上高云々という箇所は、1店舗だけの話なのであまり過剰に反応する必要はないが、それでも都会的な売り場作りの店が、ロードサイドでも支持されているというのは注目に値する。

外観はまるで貨物コンテナのよう。
内装と陳列は、都心路面店のようにコンテンポラリーである。
よくあるロードサイド店みたいに垢ぬけないビジュアルではない。

この店には有名スタイリストに弟子入りしたスタイリストが数名常駐しているという。
「なんだ。またスタイリストかよ。(゚д゚)、ペッ」と筆者はここで眉に唾をつけ始めた。(実際に唾はつけていないが)
しかし、次の一文でそのスタイリストの効果が理解できた。以下に引用する。

「研修してわかったのがスタイリストの先生と我々の圧倒的な違い。当然ですが、スタイリストには売ろうという姿勢がまったくない。顧客のイメージを作ることがすべて。研修でいっしょにデパートに行っても、売り上げを上げようと思っていないから、説得力がある。それに比べ我々はどこかに“売ろう”という感情が入っているんですね。先生によく叱られました。『売りたいという気持ちが入ってる』と。しかしこの感情は、長年店頭で接客した我々にとっては消し去っても消し去っても雑草のごとく芽生えてくる。ここがHALSUITでの接客の最大のポイントだと思います」

 現在6名いるスタイリストはほとんどが社内公募で集められたという。通常のはるやまの店舗で接客していたスタッフにはたしかに“売る”“売りたい”という姿勢が身に付いている。それを消し去るのは並大抵のことではないだろう。

 スタイリストの一人、金井卓也氏はこう語る。
「先生にはいつも『お客様は買いたいと思えば買うのだから。売ろうと思ったら駄目』と言われていました。いまも売りたいとは思いますが、それ以上にお客様に喜んでいただきたいと思っています。というのもカウンセリングを受けて購入していかれるお客様の表情が明らかに違うのです。これは以前のはるやまの店舗では見たことがなかった表情です。

とのことである。

とかく、販売ノルマに追われて必要以上に「売ろう」としがちなのが洋服小売店である。
筆者などは、ちょっと奇抜な色柄を薦める販売員に対して「この色、在庫が多すぎて減らしたいから薦めているんちゃうの?」とひねくれて捉えることもしばしばだ。

しかし、これまでのような「ガツガツした接客」に対して抵抗感がある消費者も増えている。

今回のはるやまの取り組みは小売店の接客のあり方に対して、新しい事例となるのではないだろうか。

ただ、こういう取り組みはある程度資金が潤沢な大手企業だからこそできる部分もある。これをいかに中小企業向けにアレンジして取り込むかが、その企業やお店の「センス」ということになるのだろう。

売ろうとせずに売る。何だか弓の名人の「不射の射」の寓話みたいである。

ちなみにこの記事は後篇に続くので、後篇を読み終わったあとに改めて感想をまとめてみたい。

「SAVE BIZ」を業界に先駆けて提案したはるやまの姿勢を評価したい

 先日、ある知り合いから
「アパレル、ファッション業界のスーパークールビズ対応について教えてほしい」と言われた。
今月、環境省からスーパークールビズの発表があったばかりで、アパレル・ファッション業界もどの程度対応するのか模様眺めをしているのだろうと思う。
知る限りでは、具体的な打ち出しを行っているブランドはない。

しらべていくと、
紳士服チェーン店のはるやまが「SAVE BIZ(セイブビズ)」と名付けていち早く積極的に提案を行っていることがわかった。

http://journal.mycom.co.jp/news/2011/05/17/026/index.html?rt=mt

このマイコミジャーナルに全文が掲載されている。

今夏のクールビズは、これまでと違って
「電力供給が足りなくなるかもしれないので、冷房はほとんど使うことができない」前提がある。
(この電力不足は原発推進派のデマで、実際は電力供給は足りているという説もある)
一方、これまでのクールビズは
「冷房は使えるのだけれどもCO2削減のために冷房温度を2~3度上げましょう」というもので、
冷房は使えるという前提であり、どうしようもなく暑いと感じれば冷房温度は下げられた。
(これにも異論があって、冷房温度を上げても電気代節約にはなるが、CO2削減には効果なしという説もある)

今回のはるやまの対応は素早く、積極的で
いち早くスタイルの提案を打ち出したところを個人的には評価をしたい。
「SAVE BIZ」には電力節約を助けましょうという意味が込められている。

具体的にどのようなルックスになるのかをマイコミジャーナルのイラストを引用して見ていただく。

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真中がこれまでのクールビズで、
右から2番目と右端が今回のセイブビズである。

はるやまはさすがに衣料品の企業らしく、パンツの裾を10cmほどロールアップしたスタイルを採り入れている。
以前も書いたように、パンツの裾を10cm短くするだけで、熱の放出量は増えて、涼しくなる。
また短パンほどくつろいだ感じもしない。この長さがいわゆるクロップド丈や8分丈・7分丈という長さになる。

はるやまのツープライススーツショップ「パーフェクトスーツファクトリー(PSFA)」は、ホストっぽいデザインのシャツ、ネクタイが多くあまりセンスが良いとは思えないが、今回の「SAVE BIZ」のスタイルは良いと思う。

今回のスーパークールビズについて「積み重ねてきた文化を破壊する」との反対の声もある。
しかし、日本はこと紳士服に関してはほとんどが欧米からの借り物文化であり、積み上げてきた形跡はない。
「積み重ねてきた文化」と仰々しくいうなら、なんであんなにドレスコードを無視したスーツスタイルのオッチャンがオフィスに溢れているのだろうか。
また冠婚葬祭に着用している略礼服なるものは、日本独自の規格であり欧米には存在しない。
欧米の積み重ねてきた服装文化を無視した略礼服はOKで、スーパークールビズはダメという理由がわからない。
「積み重ねてきた文化破壊論」はクールビズ導入時にも述べておられる方がいた。
そもそも日本のビジネススーツ文化は、欧米の文化を見よう見まねで採り入れたもので、一般のスーツ族は「文化」とやらの知識はほとんどない。

モーニングは昼間着用で、タキシードは夜着用するということすら知らない人が大半である。

くだらない借り物の文化に固執するよりも、業界として気温に応じたスタイルを構築、提案する方がよほど建設的であり文化的である。

学生向けに「クールビズ着用令」を公布してはどうか?

 先日、環境省がクールビズをさらに進めたスーパークールビズを発表した。

浜岡原発の停止により、東北・関東地方だけではなく、この夏の電力が全国的に不足すると言われている。
(反対意見も諸説あるが)
このままでは、夏に冷房がほとんど使えない状態となることから、通常のクールビズではなく、さらに涼しく感じられる服装が必要となる。
そのためのスーパークールビズの提示である。

お役所が服装規定をすることにバカバカしさを感じるし、
12~14オンスのデニム生地を使用したジーンズはまったく涼しくなく、通常のサマーウールを使用したスーツのパンツの方がよほど涼しいということを先日、指摘した。

しかし、他方でポロシャツ、Tシャツ、アロハでもOKというスーパークールビズは、
日本の夏の男性のビジネススタイルを見直す良い機会だとも思う。

「マナーとしてきちんとした服装をすべきだ」という意見もわかるが、
真夏に上着とネクタイを着用するスタイルは日本の気候に反しており、以前から無意味だと考えていた。
スーツスタイルは、夏でも涼しいヨーロッパで考え出されたものである。
ヨーロッパのスポーツ中継を見ていると、多くの観客は真夏でも長袖のカーディガンなどを羽織っており、まれにブルゾンを着用している人もいる。
いかにヨーロッパの真夏が涼しいのかよくわかる。

一方、日本の夏は高温多湿であり、近年その高温ぶりには拍車がかかり、
東京や大阪では35度以上の気温が続くことも珍しくなくなっている。
おまけに湿度は70%を越えている。
こんな気候で、上着を着てネクタイを締めている必要があるのだろうか。
上着着用でネクタイを締めている状態なら、
室内の空調を25度以下にしないとまったく涼しくない。
冷房温度を上げるために、上着着用とネクタイを止めるというクールビズは理にかなっている。

日本よりも高温多湿な香港ではエグゼクティブはスーツ姿だが、
冷房温度がものすごく低く設定されている。台湾も同じだ。
その他のアジア諸国では、冷房を効かせることができる状況にある人は
スーツ姿だが、そうでない人は軽装である。
エグゼクティブでもない大多数の日本人が、エグゼクティブと同じ服装をする必要があるのだろうか。
もう少し気候に応じた服装で良いのではないか、と働き始めたころから感じていた。
今回のスーパークールビズは、そういう意味では良い試みだと思う。

しかし、そのスーパークールビズへの反応でこんな記事が掲載された。

就活もクールビズで 企業呼びかけも学生鈍く
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110522-00000101-san-bus_all

 夏の冷房を控えることが予想される中、ソニーは学生に「リクルートスーツをご用意いただく必要はありません」と告知。面接官もクールビズで臨む。

 5月に採用活動を再開した富士通ネットワークソリューションズも、人事担当者がブログでクールビズを学生に呼びかけている。就職支援サイト「リクナビ」の岡崎仁美編集長は「スーツの着用が必ずしも必要でない企業は、積極的に学生にアナウンスしてほしい」と話す。

 夏を乗り切るリクルートスーツとしては手軽に洗えるものが人気だが、あえて「脱スーツ」を打ち出したのが、はるやま商事。節電事情を踏まえたシリーズ「SAVE BIZ(セーブビズ)」を6月末から販売する。裾のロールアップ(巻き上げ)を前提としたパンツや7分丈の短パンといった商品を、学生に“模範スタイル”としてPRしていく。同社の横山健一郎・社長室長は「スーツもOKですが、わが社への就活は『SAVE BIZ』でお越しください」と話す。

 一方の学生側はどうか。高島屋は学生たちに「服装は選考に影響はありません」と伝えている。しかし、男女とも100人中99人の割合でリクルートスーツ。各企業の面接控室では上着を脱がず、暑さに耐える学生が多いという。

とのことである。
ここに挙げられた企業の呼びかけはまことに適切だと思う。
とくに、はるやまは流石に衣料品の会社であり、もっとも涼しく感じるであろう7分丈パンツの着用を許可している。ちなみに7分丈パンツというと、ふくらはぎの真ん中くらいの長さである。

その呼びかけに乗らない学生の気持ちもわからないではない。

しかし、結局、役所がクールビズ、スーパークールビズを設定しなければならなかったのも、
この学生たちと同じ行動をサラリーマン諸氏が取ったからである。
役所がある程度強制的に着用を迫る必要があったということである。
明治に発令された洋装令以来、日本人の衣服に対する考え方は何も変わっておらず、
平成の世でも「クールビズ着用令」が発令されないと、着用する衣服は変わらなかった。

就職活動の学生にもクールビズ、スーパークールビズを着用させるには、
環境省が再度「学生向けスーパークールビズ着用令」を公布しなくてはならないのではない。

ツープライススーツショップの元祖はオンリーの「ザ・スーパースーツストア」

 もう時効だと思うので書いてみたいが、ツープライススーツショップの元祖は、オンリー(本社・京都市)の「ザ・スーパースーツストア」である。
御存知のようにツープライススーツショップというのは、19000円と28000円の2つの価格でスーツが選べる販売店のことである。165cmから5cm刻みで身長別になっており、Y体・A体・AB体と3つのシルエットに分けられている。大雑把に言えばY体がタイト、A体がレギュラー、AB体はリラックスということになる。

現在では各社が当たり前に出店しており店数も増えたし、あまり注目を集める業態でもなくなってきているが、登場当初はセンセーショナルだった。

オンリーのこの販売方法と価格設定は画期的で、すぐに各紳士服チェーン店が追随した。
青山商事は「ザ・スーツカンパニー」、アオキは「スーツダイレクト」、はるやまは「パーフェクトスーツファクトリー」、コナカは「スーツセレクト」という類似業態を立ち上げた。価格設定も身長別・シルエット別の分類もそっくりな上に、白を基調とした内装もほとんど「ザ・スーパースーツストア」と同じである。おそらく、アパレル業界に詳しい方でないと全部同じ企業ブランドだと感じたのではないだろうか。

その後、ツープライススーツショップブームもピークが過ぎ、今では3プライスになったり、パターンオーダーシステムを入れたりと少しずつ各社が変化してきている。アオキは「スーツダイレクト」を廃止して、もう少し上のプライスもそろえた「オリヒカ」にブランドを変更をした。

今回、何が言いたいのかというと、もしオンリーが「ザ・スーパースーツストア」開始当時にこの販売方法と内装をすべて特許申請すれば市場はまた違ったものになっていたのではないだろうか。特許出願が難しければ商標登録などで知的所有権を守ることも可能だったのではないか。青山、アオキ、はるやま、コナカ各社のショップはオンリーのショップがなければ実現できなかった物である。しかし、残念ながら企業規模でオンリーはチェーン店各社に勝てず埋没した感がある。

アパレル・ファッション業界はブランド名や商標権は比較的厳しく管理されているが、色柄デザインや販売方法・店舗設計などの知的所有権管理はかなり緩い。ある意味でのパクリ合いがこれまでアパレル・ファッション業界を発展させ、市場を拡大させた側面がある以上、緩い管理は仕方がないのかもしれない。厳密に管理すれば、ジーンズのストーンウォッシュ加工は世に広まらなかっただろうし、襟内部にワイヤーを入れて不規則な変化を維持させる技法も特定企業が独占したままだっただろう。

しかし、ツープライススーツショップという販売方法は知的所有権として管理するべきだったのではないだろうか、と今にして思う。もしある程度の管理がされていれば、ツープライススーツ市場はこんなに早くに飽和状態になり、消費者から飽きられただろうか?もう少し長持ちしたのではないだろうか?

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