月別: 6月 2018 (1ページ / 3ページ)

苦し紛れの思い付きで専門外の商品を扱ったって絶対に成功しない

先日、某大手SPA企業の中の1ブランドのOEM(実態はODM)を担当している方とお会いした。

その企業が抱えるブランド群はこのところそろって不振で決算は大幅減益となっている。
またインターネット通販を見ていても、タイムセールの連発や2点購入割引などの値引き販売が続いており、在庫を捌くためになりふり構わない様子が見て取れる。

その方の担当しているブランドは、少し前から200円くらいのボールペンやノートなどの文具も販売を始めており、洋服販売の不振を何を使ってでも穴埋めしたいという姿勢が露わとなっていた。

ところがさらに驚くことに、このブランドは秋口からシャンプーやヘアワックスなどの販売も計画しているという。
これが事実なら、最早、そこまで手を出さなければならないほどに洋服の販売は不振を極めているといえる。

しかし、これは苦し紛れとしか言いようがないし、恐らく成果は出ないだろうと見ている。

なぜなら、シャンプーやヘアワックスなどの整髪剤を洋服ブランドの店で買う理由がないからだ。

コンビニでも販売しているし、今は隆盛を極めるドラッグストアでも販売している。
しかもドラッグストアは幾分か割引販売している。

さらに言えば、行きつけの美容室やヘアサロンでも買える。
美容室やヘアサロンでは通常のコンビニ、ドラッグに置いていない整髪剤を買える。

こうなると、洋服の店で「わざわざ」整髪剤を買わねばならない理由は何一つない。

ナショナルブランドの割引品が欲しければドラッグに、定価のナショナルブランドが欲しければコンビニに、価格は高いがコンビニにもドラッグにもない本格商品が欲しければ美容室に、という消費行動となり、そこに髪についてズブの素人だった洋服店が入り込む余地はまったくない。

そして、シャンプーなどのその手の商品は無印良品でも売っている。

これだけ強力なライバルに挟まれていて、活路があると思う方がおかしい。
よほど市場の現状を見ていないのではないかと思う。

近年、ライフスタイル提案型ショップが流行っているが、多くの洋服ブランドは洋服店の域を越えられていない。
餅は餅屋という言葉があるように、洋服屋は洋服屋でしかなく、その壁を乗り越えることは並大抵の努力ではできない。
だから多くの場合は、洋服にバッグ類と靴を数点ずつ置いてお茶を濁しているが、通常の洋服ブランドではそれが限界なのである。

無印良品のように、洋服から住宅、インテリア、食品、整髪剤などライフスタイル全般を網羅したブランドを構築することは至難の業で、無印良品も30年近い歴史を積み重ねてたどり着いており、苦し紛れの思いつきで追いつけるレベルでは到底ない。

唯一、シャンプーやヘアワックスが売れる可能性があるなら、コンビニにもドラッグにも美容室にも置いていない希少性の高い商材を集められた場合だけだろう。

それとてもプロモーションが上手く行っての話であり、プロモーションは必ず成功するという類のものではない。

また店構えも無印良品のごとくトータルライフスタイル提案にふさわしいものが要求され、通常の30坪とか40坪程度の洋服店にシャンプーの棚を1つ作りました程度では売れるはずがないし、このSPA企業の過去からの実績を顧みると、シャンプーの棚を1つか2つ作ってお終いとなるのが関の山である。

こんな当たり前のことがなぜわからないのか不思議でならない。
それとも負けるとわかっているがやらざるを得ないほどに洋服の販売が不振を極めているのか。

もちろん、何事もトライ&エラーを繰り返すことでしか成功しない。
頭でわかっているがやってみなくては実際のところは理解できない。

このブランドが将来的に「真のライフスタイルブランド」を目指すという覚悟があるのなら、今回の取り組みは第一歩となるだろうが、そこまでの覚悟があるのだろうか。
何年間もの試行錯誤を繰り返して投資を続けるだけの覚悟があるのだろうか。
外野から見ていると、失礼ながらそこまでの覚悟は感じらない。

余談ながら、この大手企業は最近会議が頻発しており、毎週月曜日から水曜日までの3日間が会議だといわれている。
会議をすべて否定するわけではないが、毎週3日間もの会議は必要なのだろうかと疑問に思う。
1か月で12日間も会議に費やしており、それこそ生産性が著しく低いのではないかと思う。

一般的に、長い会議を頻繁に行う企業は業績を伸ばすことができない。
とくにアパレルでそういう企業は必ず退勢となる。

苦し紛れでの思いつきの異分野商材の取り扱い、長時間会議の頻発、と、この大手はかなり危うい状況にあるといえる。
過去20年間の経験則だけでいうと、こうなった企業はほぼ間違いなく凋落した。
だから、この大手が凋落する可能性は高いのではないかと個人的に見ている。

文具には東急ハンズとか雑貨専門店、100円均一、コンビニ、無印良品という強力なライバルがひしめき合っている。
整髪剤にもコンビニ、ドラッグストア、美容室、無印良品などの超強力なライバルがひしめき合っている。

どちらの分野も生半可な覚悟と投資では戦えないことは誰が見てもわかりそうなものである。
毎月12日間もの会議を繰り返しながら、何を見てどう分析してその答えにたどり着いているのだろうか。
まったく理解不能である。

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個人的にはナカノスタイリングワックスがええと思う

ネット通販の普及でビッグシルエット需要は長続きしている

3年くらい前にビッグシルエットが復活したときには、すぐに廃れるだろうと思ったが、最近、これはもっと長続きすると思い始めた。
長続きするというよりは、一つのジャンルとして定着し、一定需要があり続けるのではないかと思う。

なぜそう思うかというと、

着ていて楽だから

である。

それに加えて、当方はブランドや商品によってMサイズが合ったり、Lサイズが合ったりする。
ユニクロなら大抵はMサイズで着られるが、品番によってはMではピチピチになってしまってLを着ることもある。
中途半端なサイズといえる。
ところが、ビッグシルエットだとそういう微妙なサイズ加減を心配しなくても済む。

試着をせずに買うことが可能になり、非常に楽である。
着ていて楽というだけでなく、買うときにも楽である。

2005年頃からのタイトシルエットの洋服は、試着なしで買うことは難しかった。
試着せずに買っても失敗しないのは、すでに手持ちの商品の色違いや柄違いに限られていた。

Lサイズなら大丈夫だろうと思って試着してみたら、それでもピチピチだったということも珍しくなく、そのたびに「試着して良かった。試着せずに買ったら失敗しているところだった」と胸をなでおろしていた。

ところが、ビッグシルエットの洋服はそういう失敗はない。
Mサイズで十分という場合が多く、最悪でもLサイズさえ買っておけば着られないことはまずない。

そういう意味ではビッグシルエットの洋服は非常に便利で利便性が高いともいえる。

これに加えて人気ファッションブロガーMB氏はこう考察されている。

ビッグシルエットの流行はいつ終わるのか?

しかし現代は「通販」がすっかりメインストリームとなりました。
すると試着もお直しも出来ません。ZOZOはあれだけの規模の通販サイトにも関わらずお直しは出来ないし、試着サービスもありません。(返品による試着は可能ですが、「試着サービス」と銘打ったものは存在しない)
だからこそ多くの人が「試着をしなくても買える服」を求めているのです。
そこで好まれているのがビッグシルエットなワケ。

とのことで、なるほど一理あるといえる。

通販、とくにネット通販の売り上げ規模は伸びており、メインストリームとまでいえるかどうかはわからないが、利用者数が増えていることは間違いない。

ネット通販は、当たり前のことだが試着ができない。
それを解消するためにZOZOTOWNはサイズ計測スーツを配布しているのだが、現在配布されているゾゾスーツは計測に大きな誤差が出ることが多いようだ。

なぜ、誤差が出やすいのかはこのブログでも以前に書いた。

設計思想の根本が間違っているので、小手先の修正ではどうしようもないのではないかと思う。

それはさておき。

ゾゾスーツのような計測システムが整備されない限りは、ネット通販は試着なしで服を買わねばならない。
サイトに明記されているサイズ表を見ながら、自分の身体のサイズと照らし合わせながら購入しなくてはならない。

十分に自分の身体のサイズと比べてから購入したはずなのに、何回かに1回はやっぱり小さすぎたり、大きすぎたりする商品が届く。
届くというか、自分が買っていてサイズ選びに失敗しているのである。

ところがビッグシルエットの洋服はそういう失敗が減る。

返品交換無料というサイトもあるが、いくら無料とはいえ、梱包は自分でやらねばならないからめんどくさい。
ビッグシルエットの洋服はそのめんどくささを軽減してくれることが多い。

またMB氏はこうも指摘している。

リラックスしたスタイルに少々飽きを感じつつも、それを捨てることが出来ない新しいトレンドにどうしても移ることが出来ないのは「試着がすっかり嫌いになったから」に違いありません。

通販で「試着をしないで購入すること」に慣れてしまったせいで、実店舗でも試着の件数は少なくなっていると聞きます。
大きめサイズを選んで試着しないで買う人が市場には増えている様です。

とのことで、試着は実際にめんどくさいから、やらずに済ませるなら済ませたいと当方ですら頭のどこかでは思っている。
しかし、スキニージーンズとかピッタリしたスーツは試着なしで購入するのは至難の業だし、失敗する可能性が高い。

以前にも書いたが、Amazonではるやまの9000円に値下がりしたスーツを買ったことがあったが、ジャケットが小さすぎて返品したことがある。
いわゆるジャストサイズのピッタリしたスーツだったからだ。

もし、これがビッグシルエットのスーツだったらどうだろう?
恐らく返品するほど着られない商品を選んでしまう事態は少なくなるだろう。

そしてこれが、2010年までなら、ビッグシルエットはいずれ廃れて、市場から姿を消してしまっただろうが、今のファッションはジャンルが細分化され、併存するように変わっているから、ビッグシルエットは一つのジャンルとして存続し、今後も一定の需要を集めると考えられる。

90年代後半のBボーイみたいな極端なビッグシルエットは廃れるだろうが、少しゆとりのある感じのビッグシルエットはその利便性故に今後も需要はなくならないだろう。

そんなわけでビッグシルエットは一過性のトレンドではなく、息長く存続するだろうから、今年買ったビッグシルエットの服が来年には着られなくなるということはないだろう。

また今夏のバーゲンでも投げ売り品を買っても息長く活用し続けられるだろう。

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こんな感じのすこしゆとりのあるビッグシルエットは息長く続くと思う

マスに売りたいなら「玄人向け」商品にこだわるべきではない

何のジャンルでも上級愛好者やマニアの提言は、ファンの裾野を広げることにはあまり役に立たない。

ヒノヤの人気チノパン ジッパーフライに改良し売れる

https://senken.co.jp/posts/hinoya-burgus-plus-180627

オリジナルブランド「バーガスプラス」で09年から販売する「401」。顧客や販売員の声を元に、股間部分をボタンフライからジッパーフライにした。4月末に販売を始め、「前年同期に販売した旧型の販売本数を上回っている」という。

リピーターの多い商品だが、玄人好みのボタンフライから、万人受けするジッパーフライに変更したことで「客の裾野が広がった」と見る。

とある。

当方はボタンフライのズボンは絶対に買わない。
なぜならめんどくさいからだ。

15年くらい前に「たまには定価で買ってみようか」と思って、リーバイスの502を買った。
大雑把に言って、502は501のジッパーフライ版だ。
とくに15年前はそういう位置づけだった。

ちなみにこのジーンズはまだ所有している。
ストレッチが入っていないのでめったに穿かないが。

実は501を買おうかともその時思ったのだが、ボタンフライなので買うのをやめて502に決めたという経緯がある。

しかし、ジーンズファン、上級愛好者には501支持者が多くいる。
その中のコアなメンバーに言わせると、ジッパーフライよりもボタンフライの方が良いのだという。

当方は何が良いのかさっぱりわからない。

今回のヒノヤの記事でもわかるようにファンを増やしたいなら、より簡単な商品を作って裾野を広げることがもっとも効率的である。

ところが、ジーンズ然り着物然り、そういう入門編の商品を作ることを拒否する傾向が強い。
だからいくら声高に叫ぼうとファンは一向に増えないのである。

パソコンでもデジタルカメラでもそうだが、初心者にいきなり上級者向けの超高級機体を買わせるだろうか?
当方が初心者なら絶対に買わない。

「最初から本物に触れるべきだ」という意見もあり、それはそれで理解できなくはないが、多くの初心者は最初から高額な「本物」を買うことに躊躇する。
当然だ。買ったところで使いこなせるかどうかわからない。
そんなあやふやな物に大金を支払いたい人なんてほとんどいない。

ジーンズや着物も同じだ。

新規ファンを獲得して、使用人口を増やしたいのなら、不便なボタンフライより便利なジッパーフライを店頭投入した方がはるかに理にかなっている。
ブタンフライを発売したければマニア向け商品として発売すれば良いだけのことだ。

ところが、コアなジーンズマニアはその「マニア向け」商品を「本物」だとして、初心者やライトユーザーにも押し付ける傾向が強い。
マニアの気持ちはわからなくもないが、それではかえってジーンズが敬遠されるだけのことになる。

着物も同様だ。

昨日、上下セパレートの着物「レ・モン」のことをこのブログで紹介した。
値段も比較的安く(安物のスーツ程度)、着るのも簡単だから初心者向けとしては良いのではないかと思ったからだ。

しかし、着物上級者からは批判的な意見もあった。

うーん。レ・モンが想定しているターゲットは上級者じゃないのにな。(多分)

そういう上級者の意見がさらに着物離れを助長しているのではないかと思う。
上級者が「あんなものは着ない」と思うのは当然だが、それをわざわざ言う必要はあるのかと思う。

何の分野においても上級者やマニアは自分たちの愛好する「本物」を広めたいと考えているが、それは土台が無理な話である。

裾野を広げてマス化させたいなら、初心者が手に取りやすいように、簡単な廉価版を開発するべきである。
ヒノヤのチノパンが好調なことがそれを証明している。

いくら本物の風合いとか言ったって、一日に何度もトイレに行くたびに不便感を味わうボタンフライよりも手軽なジッパーフライの方が万人受けすることは誰が考えてもわかる。

マニアがいくら「ボタンフライも慣れたら楽だよ」と言ったって、その慣れるまでの時間を我慢することを想像すると、初心者は萎えてしまう。
着物も同じで、上級者が「慣れたら着付けも楽」と言ったところで、そこに至るまでどれほどの時間が必要になるのかと想像すると、当方のような着物を着ない層からすると億劫になってしまって、棺桶に入るまで着物を着ないという考えになってしまう。
現実的なことでいえば、着物を着ないことでの不利益が何一つない。だったらそんなめんどくさい服は着る必要がないということになる。

伝統工芸品も同じではないかと思う。
いくら「本物」か知らないが、そんな超高額品をライトユーザーが容易く買うはずがない。
それよりも買いやすい価格帯の商品を開発した方がユーザーは増えやすい。

マス化させたいと願うなら、どのジャンルもライトユーザーが手を出しやすい商品を作るべきで、「本物」はコアなファンに向けて作れば良いだけのことだ。
それこそ「本物」はハイエンドモデルと位置付けて初心者が憧れるような見せ方をすれば、初心者もいずれは上級者になって「本物」を購入することになる。

本来、ハイエンドモデルと位置付けられる「本物」をマス化させようとするから広まらないのである。
着物もジーンズも伝統工芸品も。

その部分を間違えている分野がマスに支持されることは永遠にあり得ない。

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リーバイス502

日常的に広めたいなら和服も変化する必要がある

先日、こんな記事を読んでなかなか良い取り組みだと思った。

洋服感覚で楽しむ”セットアップ”キモノ「レ・モン」がデビュー、京友禅と西陣織の老舗企業がタッグ

https://www.fashionsnap.com/article/2018-06-18/lesmondes-debut/

ジャケットとロングスカートの上下に分けた”二部式着物”で、最後に簡易帯で仕上げるというこれまでにないスタイルを考案し、洋服感覚で着物を楽しめるようにしたという。

スタイリングはセットアップだけではなく、柄を組み合わせるなどのアレンジも楽しめる。

ロングスカートにはファスナーを備えており、着付けは約5分で行うことができる。簡易帯はカルタ結びや兵児帯(へこおび)など5型で、ファーベルトも揃える。生地には京友禅や西陣織の伝統技術は用いずにポリエステルなど洋服に使われる素材を使用しているため、自宅での洗濯が可能。また、ジャケットが2万8,000円〜、ロングスカートが1万8,000円〜、簡易帯が9,800円〜と手に取りやすい価格を実現するなど、呉服業界の課題となっていた部分を解決した。

とのことだ。

ちょっと文面で意味のわからない箇所があるが、概ねこの商品には賛同する。

当方は着物を着たことがない。
多分、今後も棺桶に入るとき以外は着ないと思う。

着物を着ない理由は

1、商品価格が高い
2、自分では着付けができず、着るたびにお金を取られる
3、正絹の着物は洗濯・保管・メンテナンスがめんどくさい

である。

1,2,3の理由どれもが当方にとっては重要で優先順位は付けがたい。
しかし、1は清水の舞台から飛び降りたつもりで10万円前後なら買えなくもない。(パソコンを買ったと思えば)
3は頑張れば何とかできるかもしれない。まあ、年に2回以上は洗濯も保管メンテナンスもやりたくないが。

2は致命的だ。
自分一人では着れなくて、着るのには有料で手伝ってもらわなくてはならない。
おまけに時間がかかる。

こんな不便な服を着ようとは思わない。

少なくともこの3点を改良しない限りは、着物のマス化なんて絶対に起きないと断言できる。

なぜなら、現在の洋服はこの3点を軽々とクリアしてしまっているからだ。
今の着物のままならマスには広がらない。

SNSを始めてから、着物を着ない当方になぜだか、和装関係の人とのつながりがけっこうできてしまった。

和装の衰退を憂う方が多く、それを食い止める手段の一つとして「着物の日常着化」とか「着物のマス化」に言及されることも多い。

じゃあ、具体的どのようにそれに取り組むかということになると、意見はバラバラで、当方のうがった見方かもしれないが、「今の着物のままで何とかマスに広がらないか」と考えている人が多いように見えてしまう。
どのような願望を持とうがそれは個人の自由だが、あまりにも現状と離れた願望は成就することは難しい。

もちろん、「晴れの日」向けの着物は今のままで良いと思う。当方はそれでも着ないが。
式典・会合・記念日、そういう「ハレの日」に着る着物は今のままでも着る人は存在し続ける。

しかし、多くの人が目指す「日常着化」という点は、現状維持の商品では解決できない。
そんなめんどくさい服を日常的に着る人なんてよほどの変わり者か変態である。
そして変わり者も変態も絶対的に人口が少ない。
少数の人間にしか支持されない商品が日常着化することなんて絶対にあり得ない。

日常着化を目指すなら、日常着にふさわしい商品を開発し、何なら、今の着物の形や形状を変える必要がある。
「俺たちは変わらないけど大勢に広まってほしい」なんてそんな虫の良い話はない。

実際、洋服だって時代を経るごとに形状が変わってきて現在に至っている。
形状はほぼ変化がなくなったが、今度は使用素材が変わってきている。
機能性素材の広まりはそれを表している。

いまだにフランス革命以前みたいに、長ズボンの上に「キュロット」と呼ばれる半ズボンを重ね穿きしている人なんて存在しない。
フランス革命を経て「サン・キュロット(半ズボンなし)」の服装が一般化したのである。

マーケティングの基本に4P戦略というのがある。

商品(product)
価格(price)
販売場所(place)
販売促進・告知(promotion)

である。
こんなものは業界にいる多くの人が基礎知識として有しているはずで、じゃあ、今の着物はこの4P戦略に則っているかどうかを考えてみればすぐにわかるのではないかと思う。

商品的にはめんどくさいし、価格は高い。
promotionの手法も微妙だ。

4つのうち3つまでが則っていない。少なくとも「商品」と「価格」の2つは則っていないとなると、売れるはずがないということになぜ気が付かないのかと不思議でならない。

日ごろから尊敬する和装関係の染色作家、仁平幸春さんはこんな記事を書いておられる。

衣服の変容は日本だけじゃないわけで。。。https://note.mu/yukiharu_nihei/n/n420922ab4732

 

良く「日本人は日本の伝統的民族衣服であるキモノを着ない」という言われ方をされますが、それは事実でしょうか?
事実は「衣服の変容は日本だけが特殊なのではなく、全世界的に同じように変わった」という事ではないでしょうか?
私は、日本だけが特殊で日本だけが西洋かぶれして和服を捨ててしまった、という論調はおかしいと思っています。
上記のように、どの国でも、同じような変化があったのです

とあり、仁平さんの意見に禿しく激しく賛同する。

結局のところ、日常生活においては衣服に限らず、利便性の高い物が支持され、不便な物は淘汰されてしまう。
仁平さんが記事中で指摘されているように「不便な燐寸(マッチ)」は「便利な100円ライター」に駆逐されてしまう。
物好きな変態が「マッチの方が風情があるのにぃぃぃ」と叫んだところで、そんな不便な物を多くの人は使わないのである。

もし、本当に「着物の日常着化」を目指す人がいるなら、今回登場した「レ・モン」のような商品をもっと開発して市場に投入すべきだろう。

あと、紹介した記事の中で1か所どうしても意味が分からない部分があるので蛇足ながら紹介する。

6月11日には恵比寿にショールームを開設。若者を中心に幅広い年代の人が楽しめる”東京発”のブランドとして打ち出し、将来的には海外展開を視野に入れているという。

なぜわざわざ「東京発」にする必要があるのかちょっと当方には理解できない。
着物で京都の会社が開発してそこに京都府が参加したのなら「京都発」で良いのではないかと思う。
個人的には京都という土地は好きではないが、国内の他地域からもブランドイメージが高く、海外からも評価されている。「京都発」の方がわかりやすいのではないかと思うのだがどうだろうか。

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こんなセパレート着物もあるでよ。

「センス」と「感覚」だけでのブランド運営はすぐに行き詰まる

先日、雑貨ショップASOKO南堀江店が5月20日に閉店した。

入店していたビルの耐震補強工事が閉店の理由だそうだ。
ただ、もしすごく売れ行きが好調なら、工事終了後に再開するだろうから、それがないということは再開するほどの旨味がなかったのではないかと思う。

オープン当時のASOKO南堀江店の外観

オープン当時のASOKO南堀江店の内装

先日、アメリカ村を通ったら、雑貨ショップ「フライングタイガー」アメリカ村店を久しぶりに見た。
オープン当初は連日スゴイ客入りだったが、今はそんなことはない。
まあ、普通の店である。

ASOKO南堀江店も同様だ。オープン当時は連日の賑わいでテレビや新聞、雑誌の報道合戦だったが、ここ2年くらいは当方はその存在すら忘れていたほどだ。

フライングタイガーがあちこちに店ができた。大阪でいうなら、あべのキューズモールにもある。
買い物するのは楽になったが希少性はなくなり、話題性もなくなった。

オープン→ブーム加熱→沈静化

という流れは、フライングタイガー、ASOKOともにその歩みはほぼ同一である。

報道によるブームのなんと一時的なものか。

各地方の大河ドラマ商法もこれと似たような印象がある。

さて、フライングタイガーも、オープン当初のASOKOも品ぞろえ、商品の陳列法・ディスプレイともに「センス」があり、「良い感覚」だと思った。もちろん、商品の一つ一つをつぶさに見れば「なんじゃこれ?」という商品もあったが、ブランドやショップというのは、トータルで見ての整合性がとれていることの方が重要だと思うので、当初の在り方はありなのだと思う。

この2ブランドの特徴は、ある程度「低価格」であるということ。
中には低価格でない商品も一部にはあるが、全体的には低価格なので、基本的には「薄利多売」となる。
そのため、「センス」や「感覚」「雰囲気」もさることながら、商品の発注、補充、追加などのシステム構築が重要になる。
単価の安い商品を大量に販売しなくてはならなくなるため、その商品の供給、補充・追加、そしてそれを備蓄して店頭に運ぶ物流システムの構築が何よりも重要になる。

物流に関してはド素人なので詳細はまるでわからないが、従業員や店舗運営担当者が商品を手運びしているのでは到底間に合わないことぐらいはわかる。
1店舗だけで営業するならそれも可能だろうが、両ブランドともに多店舗化を目的としていたので、それでは到底追いつかなくなる。
さらにいえば、低価格店なので多店舗化しなければ収益はまるで高まらないので、多店舗化は目標であり、義務だった。

ところが、フライングタイガー1号店であるアメリカ村オープン時の混乱はこの物流システムがまるでなかったことが原因の一つであり、連日の過熱報道で客が多数押し寄せ品切れ状態となって何か月か休店していた。

オープン当時のフライングタイガーアメリカ村店の外観

ASOKOも同様である。
ASOKOは現在は雑貨店スリーコインズを運営するパルグループの傘下だが、当初は遊心クリエイションが自社で開発した業態だった。しかし、遊心クリエイションは2016年1月に会社解散してしまい、その後、ASOKOはパルグループに引き取られて今に至る。

当時の遊心クリエイションのメンバーに聞いたところ、オープン当初のASOKOは南堀江と原宿の2店舗体制で、物流会社とは契約しておらず、商品の供給、追加補充はすべて社員が人力(手運び)で運び、在庫の棚卸も社員が行っていたという。そのためすさまじい労力が必要だったとのことだった。

ASOKOが多店舗化を目標として公言していたにもかかわらず、まったく店舗数が増えなかった理由はここにもあった。
物流を自社で賄ったままで店舗数を50店舗だの100店舗だのまで増やすことは物理的に不可能で、それをやればそれこそ過労死する社員が続出したのではないかと思う。

フライングタイガーの当初も同様だ。
システムを構築せずにアメリカ村店をオープンさせた結果、商品供給が追い付かずに何か月も休店する事態となった。

売り方にはさまざまある。
低価格店、中価格店、高価格店。

それぞれ、損益分岐点に達する販売数量があり、それを継続的に越え続けないと事業やブランドは継続できない。

とくに薄利多売、大量生産・大量販売を基本とする低価格店はそれを支えるシステム構築が不可欠である。
だからASOKOはパルに、フライングタイガーはサザビーリーグの傘下となった現在の方がはるかに商品供給がスムーズである。
なぜなら、パルもサザビーリーグもそれなりに大手なので物流システムは小規模企業だった遊心クリエイションやゼブラジャパンよりははるかにしっかりとしているからだ。

何の変哲もない雑貨を安く売るのではなく、ある程度「ファッション」的に売るから「センスや感覚が重要」と言われがちだが、この手の低価格店を運営するには、物流も含めたシステムや仕組みの構築が重要になる。
もちろん、走りながら構築するというやり方もありで、システムや仕組みの構築なんて凄まじく莫大な投資が必要だから、小規模企業では一度には支払えない。走りながら投資して構築するというやり方しかない。

しかし、そういうシステムや仕組みの構築が「まったく頭になかった」というのはお話にならない。
旧運営会社の2社は「まったく頭になかった」とまでは言わないが、そこを重視していなかったということはできるのではないかと思う。

「センス」「感覚」も重要だが、それと同様にシステムや仕組みの構築も重要なのである。

嗜好の成熟化や情報量の増大によって、以前のように「かっこいい物を並べれば、それで売れる」という時代ではなくなっているから、もしかすると、中価格、高価格ブランドの売り方もそういうシステムや仕組みの構築が重要なのではないかと思う。

各社、各創業者によって目指すべき企業規模やブランド規模は異なる。
一概に大規模化することが良いとは思わないが、それでもブランドや企業を永続的に続けるにはそういう物流を含めたシステム構築が不可欠だろうし、単に「センス」「感覚」「イケてる」と言っているだけでは永続的な収益は上がらない。

国内の小規模ブランドがいつまでも損益分岐点に達しないのは、価格政策や販売政策もさることながら、「センス」「感覚」のみに頼りすぎているからではないかと思う。「センス」「感覚」のみのブランドは価格帯にかかわらず事業拡大はできない。まあ、事業拡大を目指していないブランドはそんなことを考える必要はないが。

「センス」「感覚」だけで走っていた遊心クリエイション時代のASOKOがまったく店舗数が増えず、結局は破綻したことはそれを象徴しているといえる。

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そんなASOKOの商品をどうぞ。

細分化して「併存型」になったファッショントレンド ~消費動向の変化~ 

今回初めて、現代ビジネスというウェブメディアに寄稿させてもらった。

ヒットが出ない…!アパレル業界「トレンドの崩壊」はなぜ起きたか

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56185

という記事で、この20年間の総まとめみたいな感じである。

48歳のオッサンになって、過去の業界やファッション消費の動向を振り返ると、現在と若い頃ではだいぶ違うような気がする。
これは誰でもがそう感じることなのだろうが、オッサンの単純な思い込みだけではないと思いたい。

例えば、2005~2007年まで、レディースではブーツカットパンツが大ブームだったが、2008年にスキニーパンツがブームになると、2010年頃にはブーツカットパンツを穿いた女性の姿はほとんど消えた。(一部の愛好家を除いて)

ところが、2015年にワイドシルエットのガウチョパンツがブームになってもいまだにスキニーパンツは消えない。
ユニクロやジーユーも主力商品の1つとして扱っている。

街行く人を見ていても相当数、スキニーパンツを着用している。
消費動向からすると、ワイドパンツとスキニーパンツを一人の消費者が併用しているような感じである。

これには理由はさまざまあるのだろうと思う。
思いつくままに挙げさせていただく。

1、社会の成熟化
2、所得の減少または伸び悩み
3、娯楽・趣味の選択肢が増え、ファッションという娯楽の優先順が下がった
4、過去のトレンドがそれぞれファッションジャンルとして定着した

2018年の現在から20年前というと、98年頃である。
まだ股上の深いパンツを穿いていた。パンツが一様にローライズになる直前である。

しかし、股上の深い・浅いは別にして、全体的な服装のテイストや髪型は現在とさほど変わっていない。
微妙な差異は当然あるものの、大きくは変わっていないと感じる。
40代の方なら20年前なんて昨日のことのように覚えているのではないだろうか。
現在の生活様式や服装、髪型とそれほど変わっていないことに気が付くのではないかと思う。

しかし、90年代にその20年前である70年代を振り返ると、そこ最早異世界である。
90年代にあんな重たいモッサリした長髪の男はいなかったし、あんなベルボトムのズボンを穿いた人もいない。
あんなヒッピーみたいな服装の男女もいない。

もちろん90年代には空前のキムタクブームでロン毛の男は山ほどいたが、もっと軽るめにカットされたサラサラのロン毛だった。
あんな、散髪をに行くのを2年間さぼったような重たいロン毛はいない。

70年代から90年代までの毎年と言っていいほどの目まぐるしいトレンド変化は、90年代以降はそこまで起きていないということがわかる。
もちろん、記事中に書いたようにそれでも90年代から2005年までというのは意外にアパレル業界にとっては、やりやすかった時代で、それでもほぼ毎年大ヒット商品が生まれていた。

2008年のスキニー登場以降、トレンドはほとんど変わらなくなった。

その一方で、「トレンド消費がスマホの登場で目まぐるしくなった」という意見もある。

それは個々のアイテムの人気が持続している期間が短くなったことを指しているのだろうと思う。
例えば、2015年にジーユーが100万本売ったガウチョパンツだが、今ではアンクル丈ワイドパンツに名前が変わっている。
その一方で、天神橋筋商店街のバッタ屋に飛び込んでくる大阪のオバハンは「ガウチョパンツ欲しいねん」というほど、ガウチョという名称を連呼している。

3年後には大阪のオバハンまでがガウチョを愛用するにようになっているのである。

人気ファッションブロガーのMB氏のブログで、つい先日まで大人気だったスニーカー、アディダスのスタンスミスの着用者が急速に減り、代わって田舎のオバハンがスタンスミスを着用するようになったことが触れられている。
ガウチョもこれと同じといえる。

スタンスミスの前はニューバランスのスニーカーが大人気だったが、その人気は短期間で終息した。

しかし、現在もニューバランスの着用者は普通にいるし、一時期に比べてスタンスミスの着用者は減ったものの普通にいる。

「うわ、まだニューバランス履いてるの?ダサ」とか「まだスタンスミスで消耗しているの?プゲラ」とかそういう雰囲気ではない。
普通の定番スニーカーとして少なからず着用者がいる。

ここが、オッサン世代が見てきた70年代~90年代までのトレンド変化と、現在が大きく異なっている点だと思う。

天神橋筋商店街のオバハンがガウチョを穿いてたって、若いおねえちゃんもアンクル丈ワイドパンツという名のガウチョパンツを穿いている。
田舎のオバハンと都心のファッション好きの若い衆が共通してスタンスミスを履いているのと同じである。

この辺りが社会の成熟化といえるのではないかと思う。
また、各ファッションジャンルの定着化といえるのではないかと思う。

それに加えて、所得の伸び悩みまたは減少も大きく、2000年頃までの「トレンドアイテム総入れ替え」体制だと、人気アイテムに合わせてトップスや靴、アウター類まですべて買いなおさなければならなくなる。

エディスリマンのピチピチシルエットが流行って、それに一斉に変わってしまえば、それまでのバブル期のダボダボの服はすべて捨ててしまわなくてはならない。
今は、そんなもったいないことはできないということだろう。

だから5年前に買ったスキニーパンツと、去年買ったワイドパンツを併用するのだろう。
それぞれに合わせるトップスも異なるから、スキニーに合わせるのは以前に買ったトップスで、ワイドパンツに合わせるトップスを何枚か今年買い足すという消費動向になる。

現在、ワイドパンツにワイドなトップスがトレンド最先端だが、このジャンルもトレンドが去った後も消滅することはないと思うし、このトレンドは意外に長く続くのではないかと思う。

MB氏がブログで触れているように、ワイドシルエットの上下は「試着なし」で買うことが可能だからだ。
そしてネット通販が定着すればするほど「試着なし」で買って失敗する可能性が少ないワイドシルエットの服は重宝されるということだ。
アパレル各社がネット通販に力を入れれば入れるほど、ワイドシルエットの服の寿命は長くなると見た方が良いだろう。

その一方で、スキニーも今後も消滅することはないだろう。
なぜなら、カッコよく見える着こなしには3つのシルエットがあるからだ。

1、Aライン(トップスがタイトでパンツがワイド)
2、Iライン(トップスもタイト・パンツもタイト)
3、VラインまたはYライン(トップスがワイドでパンツがタイト)

3シルエット中の2つまでがタイトなパンツであるから、確率論的に言えば、タイトなパンツを買っていれば間違いが少ないということになる。そしてそのタイトなパンツの代表例がスキニーといえるから、こちらも消滅することはなく、むしろマスアイテムとして生き続けるのではないかと思う。

当方より上の年代層のアパレル企業幹部が「2000年ごろまでの総取り換え」の消費動向を理想として思い描いているとしたら、それはあまりにも時代遅れだといえる。そんな時代はもう二度とやってこない。今後は、各ジャンルのファッションが共存並立する時代である。その消費動向に向けた商品開発や販売方法を模索できないアパレル企業やブランドは消え去るのみになるだろう。

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天神橋筋商店街のオバハンまでもが愛用しているガウチョパンツをどうぞ

ポイントを使った値引きがこれだけ広まっているのに「プロパー消化率」にこだわる意味がわからない

今年から某プリンスの押し付けでマーケティングの授業を受け持つことになったのだが、実は昨年からこれも某プリンスの押し付けで、計数管理の授業を受け持っている。
とはいえ、こちらも計数管理なんて素人だし、これまでの決算会見だとかの聞きかじりをつなぎ合わせてなんとかやっている。

計数管理の教科書には必ず「プロパー(定価)販売」が出てきて、それに関連して「プロパー消化率」という言葉が出てくる。

アパレル・繊維業界の俗語では「プロパー」にはもう一つ「生え抜き」という意味がある。
アパレル・繊維業界は中途採用や同業他社への移籍が多い業界なので、どんな企業も生え抜き組と移籍組が混在している。
その「生え抜き社員」を指して「プロパー社員」ということもある。

まあ、それは置いておいて。

定価販売というのは、店やブランドにとって利益を確保する最大の手段である。
定価で販売できればかなりの粗利益が確保できる。
だからどれだけ定価で販売できるかが重要であり、それを測定する指標としてプロパー消化率がある。

理論上ではそれはわかる。
値引きせずに定価で売るのが最大の利益をもたらす。
だからプロパー消化率を高めるというのも意味はわかる。

ところが、自身の消費行動を振り返ってみたとき、この「プロパー消化率」なる指標は、現代社会ではほとんど使えないのではないかと思ってしまう。

これはなにも2018年現在のことではなく、少なくとも2000年頃に各社がこぞってポイントカードを導入したときから、ほとんど使えなくなってしまったといえる。

少なくとも15年くらい前からは計測できなくなっているのではないかと思う。

例えば、先日、趣味のガンプラでリアルグレード(RG)「トールギス」という機種を購入した。
定価は税込みで2700円だ。

武装とバックパックが未完成なRGトールギスの本体

購入を考えるルートはいくつもある。
1つは近所のジョーシン、次はAmazon、その次が駿河屋の通販サイト、ヨドバシカメラドットコムあたりだ。
この中から最も割引率の高いところで買うのが当方である。

だいたいどこも2100~2000円くらいまで値引きされている。

Amazonはその当時は1930円くらいまで値引きされていたが、プライム会員ではないから2000円未満は送料が必要になってしまうからAmazonは除外だ。

残りはだいたい同じくらいの値段だが、ジョーシンとヨドバシは1000円分くらいのポイントがたまっている。
ポイントを使えば1000円ちょっとで買える。支払い総額を抑制する目的ならそのどちらかを選ぶのがもっとも理にかなっている。

ジョーシンはわざわざ自転車で20分もかけて出かけるのがめんどくさい。
となると、選択肢はヨドバシカメラドットコムということになる。

いくら安くてもヨドバシカメラドットコムは送料無料だ。
41円の消しゴムを買っても送料無料だ。

持っていたポイントをすべて使って1095円で購入した。
なんという安さ。

これはガンダムのプラモデルに限らず、洋服でも同じではないか。
当方は少し値引きされていたガンプラにポイントを使ったが、値引きされていない定価の洋服にポイントを使って安く買ったり、場合によっては無料にしたりすることがある。

他の皆さんも同様だろう。
メンバーズカードを提示して、ポイントが貯まれば、そのポイントを使って定価の服を安く買ったり、タダにしたりできる。
この場合のプロパー消化率はどう測定するのだろうか。
表示は定価販売でも場合によっては無料進呈になってしまっている。

2015年以降はメンバーズカードがスマホのアプリに置き換わった。

アプリにポイントが貯まる。
ポイントシステムは各ブランドによって異なる。
例えば、アダストリアの各ブランドは貯まったポイントはいくらからでも使える。10ポイントしかたまってなくてもそれを全部使える。
一方、ジーユーは最低でも100ポイントを貯めないと100円割引クーポンに交換できない。

ライトオンのメンバーズカードはアダストリア方式で貯まったポイント分だけ使える。

Amazonも貯まった分だけすぐにポイントが使えるし、Yahoo!ショッピングも同様だ。

こうなると、帳簿上プロパーで販売していても実質はポイントで値引きされているというケースは珍しくないだろうと推測できる。

そして、そのブランドの愛好者であればあるほどポイントは貯まりやすく、実質的に値引き販売を繰り返すことになっている。
だってそうだろう。例えば、ライトオンの太い顧客だとするとたくさん買うからそれだけたくさんポイントが貯まる。
それを使ってまた買うわけでその分値引き販売されているが、またポイントは貯まる。

それの繰り返しになる。

こうなるとプロパー消化率なんて指標は一体どうやって測定するのかということになる。

そしてロイヤルカスタマーになればなるほど、ポイントは貯まりやすく、その分値引き販売を繰り返していることになる。
もちろん、セール品にポイントを使ってさらに安く買うという当方のような人間も存在するだろうが、ロイヤルカスタマーは定価でも購入しているはずで、そのロイヤルカスタマーは常に定価品をポイントで値引き購入しているということになる。

ポイントカードが出現する前の時代ならプロパー消化率なる指標も測定できただろうが、ポイントカード出現後はプロパー販売なる指標はほとんど意味がなくなってしまったのではないか。
そしてポイントカードが出現したのはここ1,2年のことではなく、すでに15年くらい前から存在しており、現在はそれがアプリに置き換わってますます各ブランドに広がっている。

ポイントカード草創期はまだしも定着化した10年くらい前からはプロパー消化率という指標はほとんど意味をなさなくなったということになる。

にもかかわらず「プロパー消化率65%を目指せ」なんていう業界誌もあるのだが、この人たちはポイントカードやポイントアプリを一切使っていないのだろうか。
一切のポイントカードやアプリを絶滅させないことにはプロパー消化率なんて高まるはずもなく、むしろロイヤルカスタマーを作れば作るほどポイントによる値引き販売は増える一方になる。

意味をなさなくなった「プロパー消化率」にこだわるのは愚かしい行為であり、それよりも投資と同様に迅速に損切りをする方が重要である。死筋になる前に少しずつ値引きして消化率を高めて現金化するという手法こそが現在に則しているのではないか。

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RGトールギスをどうぞ。

夏と冬の年二回バーゲンにこだわるのはオッサン連中のノスタルジーに過ぎない

百貨店とルミネの「夏と冬の年2回バーゲン」にこだわる姿勢は、多分、オッサン・オバハンのノスタルジーなのだと思う。

なぜそう思ったのかというと、謎の美人(多分)ツイッタラーちまきさんがこんな返答をくれたからだ。

多分美人のちまきさんは、きっと40代くらいなのだと思う。
40代だと、こういう風景を若い頃に見たことがある。

48歳の当方だと若い頃に見た風景はセレクトショップではなくてDCブランドの長蛇の列だった。
恐らく、当方の高校生の頃(86年春~89年春)はデザイナーズキャラクターズブランド(DCブランド)の人気がピークだったと思う。
当方は大学を卒業するまでファッションに興味がなかったから、DCブランド人気はテレビのニュースで見るだけだった。
当時は、「たかが服を買うためになぜ並んでいるのか?」と不思議でしょうがなかった。衣料品の仕事をし始めてそういう消費行動も理解できるようになったが、本音を言うと今でもたかが服を買うために何時間も並ぶのは嫌いだ。

並ぶという行為そのものが嫌いで、行列のできるラーメン屋とか行列のできるスイーツとかは行ったことがない。
何時間も並ぶくらいなら、不味くて空いている店で食った方がマシだと思っている。

まあ、当方の嗜好はさておき、当時はアトリエサブだ、ビギだ、ナイスクラップだ、コムサだ、というDCブランドのバーゲン時にはオープン前から長蛇の列ができていた。
これは事実だ。

しかもバーゲンで半額と言っても定価が高いから、それでも高い。
10万円のスーツが5万円みたいな価格でもそれでもみんな買っていた。
かくいう当方だってブームがピークアウトし始めた93年か94年にバーゲンで6万円に値下がりしたアトリエサブの黒無地スーツを買った。
今なら、ジーユーで上下セットを5800円くらいでしか買わないのに。(笑)

どうして、ケチで貧乏な当方が6万円の黒無地スーツを買ったのかというと、安い店にはそれが売っていなかったからだ。

洋服の青山にもはるやまにも黒無地スーツは略礼服しか売っていなかった。
だから嫌でもDCブランドで買うしかなかった。

洋服の価格低下を嘆くブランドは多いが、このころみたいに「高い店にしかない差別化された商品」があれば、消費者は嫌でも高い服を買う。安い服が売れているのは、高い服と安い服の見た目がほとんど変わらなくなったからで、高いブランド側の商品企画の内容が低下しているからだということを自覚すべきである。

で、百貨店やルミネが追い求めているのはこのころの消費なのだろうと思う。

高い定価設定でも飛ぶように売れ、夏の終わりと冬の終わりにわずかに残った在庫を少しだけ値引いて売り切ってしまう。

これが彼らの掲げる理想で、その理想は少なくとも20年前には崩壊していることをまだ納得していないのだろう。

しかし、昨日も書いたように、ユニクロのフリースブームから20年が経過して、低価格SPAが消費者に浸透してすでに15年以上が経過している。低価格SPAは売れ残った商品を随時自動的に値下げして、セール品コーナーが常に店内にある。

またネット通販が浸透してすでに10年近くになる。

ネット通販の集客方法は値下げである。
楽天スーパーセール、ZOZOTOWNの割引クーポンのばら撒き、Amazonのタイムセールすべて同じ理屈である。
アダストリアのドットエスティだってタイムセール乱発中だ。

SPAとネット通販の値下げに慣れてしまった消費者が今更、夏の終わりと冬の終わりまでおとなしく待てるはずがない。

百貨店とルミネが理想とするバーゲンの風景はSPAブランドとネット通販が消滅してしまわない限りは実現されることは絶対にない。
そのことを理解していないのではないか。

48歳の当方ですら、DCブランドブームの狂乱をうっすらと覚えている。
ましてやそのころには就業していた50代以上の今の流通幹部にとっては、そのころの成功体験は鮮明に残っているのだろう。

しかし、年配層がノスタルジーをいくら追求したところで、時代が逆戻りすることはあり得ない。

当方の父親は若い頃、金がなくなったらよく質屋に時計を入れていたというが、今ならメルカリで販売することだろう。
質屋がすべてなくなるわけではないが、それでもかつての質屋がすべて残っているわけでもない。

もうメルカリを消滅させることはできないし、メルカリがなくなったところでヤフオクは残る。

アパレルの上層部も流通の上層部もいつまで20年前のノスタルジーの幻影を追い求めるのだろうか。
年配層がノスタルジーを追い求めれば求めるほど現状とは乖離していく。
年配層のノスタルジー追求は百害あって一利もない。むしろ有害だといえる。

アパレルも流通も上層部が現実を直視しない限りはますます苦戦し続けるだけのことである。

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「大量生産・大量販売から脱却する」という意味不明なルミネの主張

ルミネという商業施設のコメントはどうしていつも屁理屈臭が漂うのだろう。
これこそ企業の風土というやつかもしれない。

ルミネの夏のセール日が決定 昨年と同時期の7月末から
https://www.wwdjapan.com/635519

今年の冬セールは他の施設とほぼ同時の1月4日から開催したが、夏セールは他の施設から遅れて7月27日からするそうだ。
で、遅らせる理由だが

広報担当者は「しっかりとプロパーで販売し、適正な時期にセールをするという方針を取っている。これまでと変わらず、大量生産、大量販売から脱却し、素材やデザインにこだわった商品の価値を丁寧に伝えて販売していく」としている。

と書かれており、はっきり言って意味不明だ。
ルミネは真面目のこんなことを考えているのだろうか。だとしたら上層部は相当アレな人がそろっている。

そもそもルミネというファッションビルに入店しているテナントブランドのほとんどは「大量生産・大量販売」である。

例えばルミネ新宿を見てみようか。

1階にはユナイテッドアローズとトゥモローランドという「ほぼSPA」化した大手セレクトショップである。すでにこの2店でも相当に大量生産・大量販売だ。大量生産・大量販売という仕組みがなければこの2店はここまで大手になっていない。

2階にはガリャルダガランテ、デミルクスビームス、ドゥージィエムクラス、マークジェコブス
3階はイエナ、ピーチジョン、グレースコンチネンタル、ルシェルブルー
4階はユナイテッドトウキョウ、スピック&スパン、ブラックバイマウジー

などというふうになっており、目玉テナントはすべて大量生産・大量販売である。
そうではないと完全に言い切れるのは4階の大塚呉服店くらいだろう。その大塚呉服店とて、仕入れている着物のうち何割かは大量生産品が含まれている。

現代の大手アパレルブランドで大量生産・大量販売でないところはない。

「素材やデザインにこだわった」と陳腐化した言葉を並べているが、ルミネ内の店以外でも同じ商品が並んでおり、ルミネ内の店で買う必要性はまるでない。

以前に、バーゲンセールを後倒しし始めた際に持ち出したルミネの屁理屈は「産地の保護」だった。
しかし、上記のテナントにどれほど国内生産品が並んでいるのか。上記のテナントが扱っている商品はほぼアジア工場で生産されている。
生地や染色加工の段階にまでさかのぼれば、国内品比率が増えるが、縫製段階で限っていえば、当時ですら97%(数量ベース)は海外製造品だ。「産地の保護」で掲げている「産地」というのはどこを指しているのか?アジアの縫製工場のことか?
まったく笑わせてくれる。

ルミネの「理由」を聞いて前回も今回も納得する人がいるのだろうか。
いるとしたらその人たちの頭の中身は相当におめでたい仕様になっている。

で、これらのルミネの目玉テナントの各ブランドのウェブサイトに行くと、すでにウェブ上では一部セールが5月から始まっている。
ZOZOTOWNも5月にすでに大々的なセールを行っているし、割引きクーポンの乱発は日常茶飯事だ。

ウェブだけではない。実店舗でも今年は夏のセール開始が早い。
ショッピングセンター内や都心路面店では5月半ばから「店内一部セール」「最大〇〇%オフ」というデカイ看板が掲げられているし、ストライプインターナショナルとそれに触発されたブランドが毎日「タイムセール」を繰り返している。

言ってしまえば、消費者は常に割引品を買うことができる状況にあり、ネット通販の進展によってそれはさらに周知されている。
突き詰めればネット通販の最大の集客手法は「安売り」だからネット通販が盛んになればなるほど、各サイト間の競争は激化して安売りは進む。ZOZOTOWNの5月の大セールや割引クーポンの乱発はそれを証明している。

2008年ごろまでのインターネットがそれほど普及していない時代なら、ネットと実店舗は違うという理屈でも押し通せたかもしれないが、これほど多くの人が日常的にインターネットを使用している状況下ではその理屈は最早通用しない。
それにルミネのネット通販、アイルミネも早期に割引セールを行っている。自社のサイトがやっていることを実店舗で否定する意味がわからない。こういうのをダブルスタンダードというのである。

加えて、常に店内に「値下げセールコーナー」を持つユニクロ、ジーユー、GAP、ストライプインターナショナルの各ブランド、アダストリアの各ブランド、などのSPAブランドが浸透している。
消費者からすると、店内に見切り品コーナーがあることは最早常態と化している。

このような状況下で、90年代の遺物のような夏と冬の年二回の大幅値下げセールに固執する意味があるのだろうか。
当方はまったくないと思う。ルミネで値下げされていないブランドだってそのブランドのウェブサイトでは値下げされているのだから、そちらで買えば良いだけのことである。

こうなると、いくら、大手流通が「セール後倒し」を叫んだってもとには戻らない。
ネット通販とSPAブランドがすべて壊滅しないと実現できないので、事実上実現不可能ということである。

となると、ここでやらねばならないことはノスタルジー丸出しでの「セール後倒し」模索よりも、SPA方式での売れ行き不振商品の自動的段階的値下げである。それとともに、ZARA式の「売り切れ御免」方式を組み合わせるマーチャンダイジングの模索であろう。

ZARA式を取り入れることで「値下げまで待てない」という心理を消費者が持てば、セール品は減る。
それでも売れ行き不振商品が出るならそれは、企画と販売が下手くそなせいだから、諦めて値下げすればいい。
後生大事に定価で抱えていても最終的に投げ売るよりも早い段階で、30%オフくらいで枚数を減らした方が利益率が高いはずだ。
また、廃棄するにも廃棄料としてカネがかかるから、不振だと気が付いた段階で少し値下げする方が適切な処置だといえる。

定価で買うのは嫌だが、30%オフでこのデザインなら買っても悪くはないと考える消費者は多い。

まとめると、

・SPA方式の自動的かつ段階的値下げ
・ZARA方式の「売り切れ御免」の商品手配の確立と、商品企画の精度向上

セール後倒し派はつまらない日程操作よりも、この2つに注力すべきだろう。

それにしてもルミネの主張はいつもまったく共感も支持もできない。

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そんなルミネに関する本をAmazonでどうぞ

ZOZOSUITがサイズ計測を正確にできない理由

泰山鳴動して鼠一匹。
サイズ計測システムのゾゾスーツに関してはこの言葉がぴったりではないかと思う。

着用して数秒で自分のサイズが計測できるという触れ込みだったが、何のことはない。
勝手に仕様を変更して数秒どころか何回も計測しないといけないシステムになった。

当方は元から興味がないので最初のゾゾスーツも今回のレモンスカッシュの缶みたいなデザインのゾゾスーツも取り寄せるつもりは毛頭ないが、今回のレモンスカッシュ版ゾゾスーツはどうも計測数値に大幅な誤差が生じるようだ。

誤差については、例えばコンサルタントの河合拓さんや人気ブロガーのMB氏が報告しておられる。

ZOZOスーツを信じたら適合サイズは28インチなのに32インチのパンツが届いた話。

ZOZOスーツを信じたら適合サイズは28インチなのに32インチのパンツが届いた話。

 

 

https://ameblo.jp/takukawai/entry-12375339847.html

 

本当にウエストのユルユルは気になります。
究極のフィットといっても、まあ、店頭で試着する以上には決してならないなと。店頭であれば、ここまで強いテーパードやウエストがるゆいデニムは買わなかったと思います

とのことで、ツイッターを見ているとそのほかにも多くの人が実寸よりも大きいサイズだと測定されているようだ。

MB氏の場合はかなりひどく、28インチと32インチは2インチ刻みのサイズ感なら2サイズオーバーということになるが、通常のジーンズブランドのように1インチ刻みだと4サイズも大きいことになる。
1インチの差はだいたい2・5~3センチくらいであるから、相当に大きいことになる。

もちろん、自分のサイズを正しく知ってもらおうというゾゾの取り組み自体には一定の評価をするが、このシステムは現時点では実用レベルにないのではないかと思う。

で、どうしてここまでの誤差が生じるのかということになるが、それに対して明確な答えを出している・出せている著名「有識者」は当方が見る限りいない。
当方は実物を触ってもいないから、なおさらわからない。

そんな中でゾゾスーツの測定に大幅な誤差が生じる理由でもっとも正しいと思われる推測をご紹介したい。
謎のツイッタラー明石屋万吉さんと、サンプル製作を行うmariさんの一連の会話である。

とどめはこちらである。

恐らく、水玉の部分を計測することで着用者のサイズを計測するシステムなのだと推測されるが、ここで言われているように、生地が激しく伸び縮みするから水玉の柄もそれにつれて伸び縮みする。(当たり前)
水玉が伸びればその分計測されるから、大きめのサイズだと認知されてしまうのではないか。

おまけに生地がポリウレタン11%ということは相当に伸びる。通常のストレッチジーンズがポリウレタン5%くらいだから、それの2倍を含有しているからそれだけでもかなり伸びるということがわかる。
ユニクロのエアリズムシームレスがポリウレタン14%で、ジーユーのスーパーストレッチドライスーツもポリウレタン14%であの伸縮性だから11%だとそれに近い伸縮性があるということもわかる。

ちなみにエアリズムシームレスとスーパーストレッチドライスーツは両方とも同じポリウレタン14%だが、経編生地と平織り生地なので、着用した時の伸縮性は異なる。経編のエアリズムの方が伸縮性がある。
当たり前のことだが綿100%でさえ、編み生地は織り生地よりも伸縮性が高い。そこにポリウレタンが配合されれば格段に伸びは大きくなる。ゾゾスーツが編み生地だった場合は相当に伸縮するということが推測される。

そして、水玉の位置は着用するごとに何ミリかずつ変わる。

この2つの理由で計測数値に大幅な誤差が生じると考えられる。
ここを修正しない限り、ゾゾスーツの計測数値はいつまで経っても正しくならないだろう。

これは完全な推測だが、本来は最初に発表されたゾゾスーツの方が正しい数値が計測できたのだろうと思う。
なぜなら着用するごとに水玉の位置も変わらなければ、水玉が伸びることもない。

しかし、量産化するには何かの問題点があったのだろう。
問題がなければ契約は解消されずに、水玉柄の新ゾゾスーツも登場していない。

量産化するにあたってネックとなったのは、製造コストが高すぎたのか、それとも素材や仕様が量産に不向きだったのか。
はたまた権利関係で合意できなかったのか。

そのうちのどれかか、もしくは全部が理由だったのだろう。

もちろん、徐々にゾゾ側も改良・改善するだろうが、今ようやく配送が始まったところだから、改良が加えられるのはもう少し先のことになるだろう。

ゾゾスーツが改良される前に、他の企業からさらに正確で簡単なサイズ計測システムがリリースされるのではないかと思う。

そして、サイズ測定がここまで甘い状況なのに、Tシャツやジーンズよりもサイズ精度を要求されるボタンダウンシャツをリリースするゾゾは一体なにを考えているのだろうと不思議でならない。

Tシャツの編み生地は2センチくらい普通に伸びるし、ジーンズはウエストが2センチや3センチ大きくてもダボっと穿けばいい。
しかし、ボタンダウンシャツは首回りが1センチずれると不格好になってしまう。
首回り39センチの男が首回り40センチのシャツを着た時点で「大きすぎて不格好」になってしまうのである。

シャツ、スーツはそれこそゾゾが掲げながら現時点では達成されていない「ミリ単位の精度」がある程度求められるジャンルである。

テクノロジー系ミーハーはそれでもゾゾスーツを賞賛するのだろうが、当方はゾゾのボタンダウンシャツは現時点では勇み足ではないかと思う。

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