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利便性の高い服や着こなしは流行が長続きして定番化しやすい

先日、チャリティーTシャツブランド「ジャミン」のメンバーである高橋さんと、仕事帰りにJR天満駅周辺で飲んだ。

https://jammin.co.jp/

そこで流行が短命に終わる洋服と、流行が長続きして中には定番化する洋服があるが、その違いは何かということが話題に上った。

経済環境やテレビ番組、サブカルチャーなどさまざまな要因が絡むので一概には言えないが、爆発的に流行しても短命で終わる服と、流行が長期間続いて定番化する服の違いは、「利便性」ではないかと思う。

利便性が高い服は長期間続くし、利便性が低い服は流行が短命で終わる。

ここでいう利便性とは、機能性、ファッション性、価格優位性などを含めており、着用者がメリットを多く感じると、その服は定番化するし、メリットを感じられないと短命で終わるのではないかと思う。

少し前に、現代ビジネスというウェブメディアにワイドパンツが流行してもスキニーパンツが定番化して残っていることを書いた。
所得が伸び悩んで、次から次へと着用する服を総入れ替えするわけにはいかないという側面ももちろんあるが、それ以上に支持されているのはスキニーパンツがファッション的・機能的にも利便性が高いからだ。

ファッション的にかっこよく見える組み合わせが3つある。

Aライン(トップスがタイトでボトムスがワイド)
Iライン(トップスがタイトでボトムスもタイト)
YラインまたはVライン(トップスがワイドでボトムスがタイト)

で、3つのうちの2つまでもがボトムスがタイトだから、3分の2の確率でタイトなボトムスを穿いていればそれなりにかっこよく見えやすいということになる。
確率論でいえば67%である。

だからスキニーを穿いていればかっこよく見える確率が高いということになるから、定番化しているといえる。

ダウンジャケットだってそうだ。
黒いダウンジャケットはオタクに見えるなんてネットでは書かれているが、ダウンジャケットの一番売れやすい色は黒だし、黒いダウンジャケットを着ているファッショニスタも多い。
逆にアウトドア感満載のダウンジャケットというアイテムで、黄色や赤や青などカラフルな原色を選べば、それこそアウトドア感丸出しになりやすく、「これから山へ登るんですか?」と尋ねられかねない。

そんなダウンジャケットだが、毎年冬になると一定数量売れる。
価格の高い低いは別にしてすっかり冬の定番となっている。

ダウンジャケットがどうして定番化したかというと、軽くて暖かいからだ。
肉厚なダウンを着るとモコモコして見えるからNGなんていう特集をいくらファッション雑誌が組んだところで、ダウンジャケットは売れ続けている。軽くてあたたかいという利便性が高いからだ。

保温力のあるウールコートや綿コートは重くてしんどい。
ダウンは圧倒的に軽い。
だからいくら業界が「トレンドですよ」と叫んだところで、マスには売れない。

フリースが持て囃され、いまだにそれなりの数の人が着用しているのだって利便性が高いからだ。

フリースは風を通すという欠点を除けば、軽くて暖かくて洗濯しやすくて乾きやすい。
だから真冬に洗濯してもすぐに乾く。ポリエステル100%なのでウールのセーターと違って洗濯することに何の遠慮も要らない。
当方はフリースがあまり好きではないし、あの暖かさもなんだか好きではないが、フリースの愛好者は今でも一定数存在する。

ズボンの丈が短くなったのだって利便性だと思う。

スキニーが流行し始めてからこの10年間でズボンの丈は少し短めが定番となった。
靴の上にたまらない程度(ノンクッション)が定番化し、もっと短めの9分丈くらいにする人も多い。

それこそ見始めは「ルパン三世かよ」と思ったが、見慣れてくると靴の上で裾がたまっている方が野暮ったく見える。

ルパン三世のズボンの丈はいつも短い

しかし、見た目以上に短め丈には利便性が高い。だから定着化したのだろうと思う。

当方の股下は長めに取るなら76~77センチくらいある。80センチは絶対に裾上げが必要になる。
今のズボンの丈は70~72センチくらいの短め丈がほとんどだ。
この場合、裾上げはまったく必要ない。

ユニクロでもジーンズメイトでもライトオンでもズボンの裾上げで待っている時間が苦痛だ。
10分とか15分くらいなら待っていても良いが、混んでいると1時間待ちくらいは平気にある。
1時間もそこらへんをうろうろして時間をつぶすのは非常に苦痛である。

だったら裾上げで待つ必要がない短め丈のズボンの方が便利で良い。

また、ネット通販で買う際も便利だ。
股下の長いズボンを買ったら、お直しを探すのが大変だ。
しかし、短め丈のズボンなら、ネット通販で買っても裾上げをしなくても到着してすぐに穿ける。
ものすごく便利だ。

おまけに座敷かなんかに靴を脱いで上がる際にも、裾を引きずらなくて済む。

その昔、2005年頃、長め丈が全盛だった当時、座敷に上がると松の廊下の長袴みたいになっている人が多く、ひどく不格好だった。
それに「その裾って公衆便所の床で散々引きずってきて汚いやろ?」と思って眺めていた。

だからワイドパンツが復活しても昔のように引きずるほどの長さではなく、少し短めの丈で着用されているのだと思う。

ストレッチ素材だって利便性で支持されている。
中にはポリウレタン弾性繊維は5年か10年くらいで断裂するから相応しくないという人もいるが、今は劣化しなくいストレッチポリエステルだって開発されている。ポリウレタンが追放されてもストレッチポリエステルがその後釜に座るだけのことでしかない。
いくらマニアが「綿100%の風合いガー」なんて叫んだところでそれは騒音でしかない。

「本物ガー」とか「本場では」とか「邪道だ」とかニッチなマニアは叫ぶことが多いが、そんなマニアの声なんてマスはどうでも良い。
もしマスに売れたいのなら、利便性をある程度は考えるべきだろう。

ニッチに売りたいならマニアの声は重要だが、マスに売るならマニアの騒音は気にする必要はない。
販路によって使い分ければ良いだけのことである。

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公衆便所の床でも引きずらないアンクル丈パンツをどうぞ

ZOZOのオーダースーツがホールガーメントで作られるという完全なるミスリード

スタートトゥデイがオーダースーツを開始することが発表された。

生地が伸び縮みして多少のサイズ違いなんてどうとでもできるTシャツとは異なり、メンズのスーツ、ワイシャツというのはそれこそ「ミリ単位」は大げさでも「1センチ単位」での正確さが要求される。
首回り39センチの男が、40センチのワイシャツを着るのはひどくだらしなく見える。

それほどの精度が求められる。

自己採寸できるZOZOSUITによる計測は現在のところ、誤差が大きく、果たしてあの誤差で大丈夫なのかと思ってしまう。

とはいえ、まあ、オーダースーツに進出するのは規定路線だっただろうから、当方はそれほど興味がなく、発表も注目していなかった。

ついでに言っておくと、スタートトゥデイは「フルオーダー」と言っているが、これは間違いで、「パターンオーダー」である。
フルオーダーというのは一人ずつ型紙(パターン)が全く異なり、型紙作りから行われるオーダーであるが、そのため価格も非常に高額になる。定価として発表されている39,900円なんて低価格では絶対に実現できない。

 

パターンオーダーとは「原型」となるパターンがあり、それを基に各個人の体型に合わせて修正するオーダーであり、こちらは比較的低価格にすることが可能だ。

ゾゾの定価である39900円という値段設定は、パターンオーダーなら極めて当たり前の平均的価格である。

スーツカンパニーのオーダースーツの最低価格は39000円だし、麻布テーラーのオーダースーツの最低価格は37000円でzozoよりも安い。
グローバルスタイルなら2着48000円で、1着当たりは24000円となり、zozoよりも圧倒的に安い。

オンリーならオーダースーツが1着28000円、2着38000円で2着作ってもzozoよりも安い。

zozoのパターンオーダースーツの定価設定は同業他社よりも高いくらいに設定されているというのが事実である。

発表後、ツイッターのタイムラインには「ZOZOがオーダースーツをホールガーメントで無人製造」みたいな意味不明のツイートが多数流れてきた。

それもある程度業界知識があるはずの人まで一緒になってやっているのだから呆れ果てるほかない。

よく記事を読んでみると、スタートトゥデイの発表は大きくわけて2つの項目があった。

1、オーダースーツを開始すること
2、ホールガーメントを導入すること

である。そしてこの2つのトピックスは全くの別物で、オーダースーツとホールガーメントは何ら関係ない。ホールガーメントはあくまでもセーターなどのニット製品向けである。
それを2つを合体させてしまうからわけのわからないことになっている。

1、ラーメン屋に行った
2、そのあとでユニクロに行って服を買った

というのを「ラーメン屋でユニクロの服を買った」と合体させてしまうのと同じくらい意味不明である。

ではどうしてホールガーメンで通常のスーツが製造できないのか説明していく。

ホールガーメントとは?

 

ホールガーメントとは、島精機製作所が開発したニット編み機で、一体成型でセーターが編み上げることができる。
これが開発された理由の一つに、国内リンキング工場の激減という事情がある。

同じ編み物でありながら、セーターとカットソー(Tシャツ類)は業界では区別される。

Tシャツ類は、各パーツを縫い合わせる(縫製する)ことに対して、セーターは袖口や裾、襟のリブを縫い合わせるのではなく、編み合わせる。これを「リンキング」という。大雑把に、リンキングされている物はセーター、されていない物はカットソーと業界では分類される。

リンキングはセーター本体と比べると、極めて細い針をセーター本体の編み目に通して編み合わせる作業なので、視力が良くないとできない。
国内工場はリンキングに限らず、高齢化が進んでいるから、老齢で視力が衰えるとリンキングは満足にできなくなる。
そしてリンキング工場は儲からないし、その技術を生かして独自製品を開発することもできない。
結果的に廃業していくということになった。

リンキングなしでは「セーター」は製造できないから、その解決法の一つとして、一体成型のセーターが提案された。
これがホールガーメントである。

今回の発表でにわかに注目を集めたホールガーメントだが、開発されたのは相当前で20年くらい前の話である。
もちろん毎年改良は加えられているが、何も「最新鋭技術」というわけではない。

ホールガーメントはいわゆる頭被りのオーソドックスなセーターだけではなく、前開きのカーディガンやらニットジャケットなんかも編めるし、ニットスカート、ニットワンピースも編める。

だから、ニットジャケット、ニットズボンも編めるが、いわゆる「通常のスーツ」は製造できない。
もし、ニット生地を縫製するならスーツは製造できるが、ホールガーメントの一体成型では「通常のスーツ」は製造できない。

なぜなら、一体成型ということは芯地を挟み込むことができないからだ。

「通常のスーツ」、とくにテーラードジャケットがパリっとしているのは、芯地を挟んで縫製されているからだ。
ついでにいうとワイシャツの襟と袖口が胴体よりも硬くてパリっとしているのはそこに芯地が挟み込まれているからである。
だからホールガーメントでワイシャツを製造することもできない。

高級スーツ、高級ワイシャツになればなるほど使っている生地は柔らかく薄くなる。
そんな柔らかくて薄い生地を2枚重ねて縫ったところで、多くの人が想像するようなスーツやワイシャツみたいにパリっとはしない。
その間に芯地を挟み込んで縫製するから硬くてパリっとするのである。

一体成型なのだから芯地を挟み込んで縫製なんてできるわけがない。
だから多くの人が思い描く「通常のスーツ」「通常のワイシャツ」はどうしたってホールガーメントでは製造できない。

だが、例えば、通販ニュースですらこの混同ぶりだ。

ZOZO、海外展開開始…ゾゾスーツなど10万人に無償配布

 

 

 PB商品の生産体制についても言及した。「体型データ」と「オンデマンド生産機器」を組み合わせた生産を行うとし、一例として(株)島精機製作所とコラボレーションし商品ごとに最適な製造インフラを構築すると言う。前澤社長が「3Dプリンターの洋服版」と称した「WHOLEGARMENT(ホールガーメント)」という機械などを使用し、無人のアパレル生産を行うとした。

これだと、ホールガーメントという機械wwwでどんな洋服でも製造できるように読めてしまう。
残念ながら製造できるのは編み物に限られている。
だからセーター、カットソー、トレーナー類に限定される。

ジーンズ風ニットズボンは製造できても、「通常のジーンズ」は製造できない。

織物と編み物の違い

 

生地には織物と編み物があり、それぞれ生地の構造も製造する機械の構造も異なる。
少ない本数の糸を輪っか状にして連結させる「編み物」と、合計何千本、何万本という本数の経糸と緯糸を組み合わせる「織物」はまったく別物の生地構造をしており、通常のスーツやワイシャツ、ジーンズは織物で作られている。

お分かりだろうか。

ツイッターでは、「布帛(織物)も一体成型できるようになる気がする」なんて意見もあるが、それは絶対に無理だ。
編み物は、脇に縫い目のないTシャツやセーターがあることを見てもわかるように、円形に編むことができる。しかし織物は平面の直線で織られており、円形に織ることは生地の構造上からも機械の構造上からも不可能である。

だから「織物の一体成型」は現時点では不可能で、それが開発されることはまずない。

一方、島精機製作所のウェブサイトにはインレイ編みで布帛に近いハリコシのあるホールガーメントができると書いてあることから、インレイ編みに期待を寄せた人もいるが、インレイ編みがいくら通常のニットよりもハリコシがあるとはいえ、芯地を挟み込まなければスーツにパリっと感は再現できない。

http://www.shimaseiki.co.jp/wholegarment/

インレイ技術を活用したホールガーメント製品で、驚きの軽さと快適な着心地が特長です。ジャケット、コート、スーツなど従来布帛でしかなかったようなアイテムをニットで表現できます。横方向に編成することで、横方向にストレッチ性を持たせながらも、縦方向には伸縮を抑えて形態を安定させることも可能です。

とあり、なかなかミスリードさせるような文面だが、芯地がなければ通常の布帛スーツや布帛コートのパリっと感は実現できない。
島精機も罪な書き方をしている。わざとだろうか?わざとだとすると極めて悪質だ。

インレイ編みってなんだ?インレイ編みは万能じゃない

 

じゃあ、インレイ編みってなんだろう?

最近ひそかなブームになりつつあるニットインレイ編みとは?

通常の横編み(いわゆるセーター生地)に緯糸を通すことで、ハリコシを持たせる編み方で、構造は以下の図のようになっている。

しかし、いくらハリコシが出るとはいえ、何千本・何万本もの経糸と緯糸で高密度に織られた織物には遠く及ばない。
ニットは所詮ニットなのであり、さらにそこに芯地がないとなれば、通常のニットジャケット、カットソージャケットの少し硬い程度でしかない。

スタートトゥデイはここを意図的か無意識なのか混同させるような説明の仕方をしていた。

そして、製造や生地のことの知識を持ち合わせていないメディア関係者や、知識の浅いファッション業界人はまんまとそれを鵜呑みにした。

それが今回の騒動の原因である。

スタートトゥデイは話題作りが上手いと思う。しかし、いつも優良誤認させるような手法を積極的に用い、今回もまたそういう手法を用いた。ここが好きになれない点である。

ホールガーメントは別に未来の最新テクノロジーでもないし、どんな服でも自動製造してくれる魔法の箱でもない。
ホールガーメントは20年くらい前に開発された一体成型型のセーター類専用製造機で、それ以上のものではない。

とんだ空騒ぎである。馬鹿馬鹿しい。

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ネット通販の普及でビッグシルエット需要は長続きしている

3年くらい前にビッグシルエットが復活したときには、すぐに廃れるだろうと思ったが、最近、これはもっと長続きすると思い始めた。
長続きするというよりは、一つのジャンルとして定着し、一定需要があり続けるのではないかと思う。

なぜそう思うかというと、

着ていて楽だから

である。

それに加えて、当方はブランドや商品によってMサイズが合ったり、Lサイズが合ったりする。
ユニクロなら大抵はMサイズで着られるが、品番によってはMではピチピチになってしまってLを着ることもある。
中途半端なサイズといえる。
ところが、ビッグシルエットだとそういう微妙なサイズ加減を心配しなくても済む。

試着をせずに買うことが可能になり、非常に楽である。
着ていて楽というだけでなく、買うときにも楽である。

2005年頃からのタイトシルエットの洋服は、試着なしで買うことは難しかった。
試着せずに買っても失敗しないのは、すでに手持ちの商品の色違いや柄違いに限られていた。

Lサイズなら大丈夫だろうと思って試着してみたら、それでもピチピチだったということも珍しくなく、そのたびに「試着して良かった。試着せずに買ったら失敗しているところだった」と胸をなでおろしていた。

ところが、ビッグシルエットの洋服はそういう失敗はない。
Mサイズで十分という場合が多く、最悪でもLサイズさえ買っておけば着られないことはまずない。

そういう意味ではビッグシルエットの洋服は非常に便利で利便性が高いともいえる。

これに加えて人気ファッションブロガーMB氏はこう考察されている。

ビッグシルエットの流行はいつ終わるのか?

しかし現代は「通販」がすっかりメインストリームとなりました。
すると試着もお直しも出来ません。ZOZOはあれだけの規模の通販サイトにも関わらずお直しは出来ないし、試着サービスもありません。(返品による試着は可能ですが、「試着サービス」と銘打ったものは存在しない)
だからこそ多くの人が「試着をしなくても買える服」を求めているのです。
そこで好まれているのがビッグシルエットなワケ。

とのことで、なるほど一理あるといえる。

通販、とくにネット通販の売り上げ規模は伸びており、メインストリームとまでいえるかどうかはわからないが、利用者数が増えていることは間違いない。

ネット通販は、当たり前のことだが試着ができない。
それを解消するためにZOZOTOWNはサイズ計測スーツを配布しているのだが、現在配布されているゾゾスーツは計測に大きな誤差が出ることが多いようだ。

なぜ、誤差が出やすいのかはこのブログでも以前に書いた。

設計思想の根本が間違っているので、小手先の修正ではどうしようもないのではないかと思う。

それはさておき。

ゾゾスーツのような計測システムが整備されない限りは、ネット通販は試着なしで服を買わねばならない。
サイトに明記されているサイズ表を見ながら、自分の身体のサイズと照らし合わせながら購入しなくてはならない。

十分に自分の身体のサイズと比べてから購入したはずなのに、何回かに1回はやっぱり小さすぎたり、大きすぎたりする商品が届く。
届くというか、自分が買っていてサイズ選びに失敗しているのである。

ところがビッグシルエットの洋服はそういう失敗が減る。

返品交換無料というサイトもあるが、いくら無料とはいえ、梱包は自分でやらねばならないからめんどくさい。
ビッグシルエットの洋服はそのめんどくささを軽減してくれることが多い。

またMB氏はこうも指摘している。

リラックスしたスタイルに少々飽きを感じつつも、それを捨てることが出来ない新しいトレンドにどうしても移ることが出来ないのは「試着がすっかり嫌いになったから」に違いありません。

通販で「試着をしないで購入すること」に慣れてしまったせいで、実店舗でも試着の件数は少なくなっていると聞きます。
大きめサイズを選んで試着しないで買う人が市場には増えている様です。

とのことで、試着は実際にめんどくさいから、やらずに済ませるなら済ませたいと当方ですら頭のどこかでは思っている。
しかし、スキニージーンズとかピッタリしたスーツは試着なしで購入するのは至難の業だし、失敗する可能性が高い。

以前にも書いたが、Amazonではるやまの9000円に値下がりしたスーツを買ったことがあったが、ジャケットが小さすぎて返品したことがある。
いわゆるジャストサイズのピッタリしたスーツだったからだ。

もし、これがビッグシルエットのスーツだったらどうだろう?
恐らく返品するほど着られない商品を選んでしまう事態は少なくなるだろう。

そしてこれが、2010年までなら、ビッグシルエットはいずれ廃れて、市場から姿を消してしまっただろうが、今のファッションはジャンルが細分化され、併存するように変わっているから、ビッグシルエットは一つのジャンルとして存続し、今後も一定の需要を集めると考えられる。

90年代後半のBボーイみたいな極端なビッグシルエットは廃れるだろうが、少しゆとりのある感じのビッグシルエットはその利便性故に今後も需要はなくならないだろう。

そんなわけでビッグシルエットは一過性のトレンドではなく、息長く存続するだろうから、今年買ったビッグシルエットの服が来年には着られなくなるということはないだろう。

また今夏のバーゲンでも投げ売り品を買っても息長く活用し続けられるだろう。

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ジーンズの洗い加工はレーザー光線で行う時代
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こんな感じのすこしゆとりのあるビッグシルエットは息長く続くと思う

ムーンスターやアキレスの革靴は機能性が高くて使いやすい スニーカービズはこういうのを推奨すべき

最近、ムーンスター(旧社名:月星)やアキレス、アサヒシューズといった中堅老舗国内靴メーカーのリニューアルに注目している。

当方が子供のころ、それなりに有名靴メーカーだった各社だが、その後、アディダスやナイキ、プーマ、リーボック、ニューバランスなどの欧米スポーツブランドのスニーカーが上陸したため、スニーカーや運動靴のジャンルでは知名度が圧倒的に低くなった。

5年ほど前からこれらの国内靴メーカーもリニューアル活動を開始しており、ときどき「これは!」という商品を目にするようになった。
実際に彼らの自社通販サイトを覗いてみると、それなりに良いデザインの商品もある代わりに、昔ながらのダサい靴も並んでおり、玉石混交という状態だといえる。

アキレスは子供向けスニーカーの「瞬足」で大ヒットを生んだが、大人向けではまだそれほどのヒットは生まれていない。
ムーンスターは徐々に大人向けのカジュアルスニーカーでファッション雑誌にも取り上げられるつつある。

アサヒシューズは先日の合同展MAG(マグ)にも出展しており、これまでと違う販路への売り込みを本格化しているように見える。

ちなみに余談だが、ムーンスターの自社通販サイトを覗くと、ニューバランスのスニーカーが売られているが、これはどうしてかというと、あまり知られていないのだがムーンスターとニューバランスの付き合いは古くからで深いからだ。
昔はムーンスターがライセンスでニューバランスのスニーカーを製造していたこともあったし、今でもムーンスターはニューバランスの株主でもある。

で、これらの靴メーカーのスニーカーは一部を除いてあまり興味はないのだが、革靴・革靴調には興味を持っていて、先日、ムーンスターの通販でサイドゴアブーツを1足買った。
試着なしでの買い物でどうなるかドキドキしたが、こちらの推測が正しくサイズはドンピシャだった。

このサイドゴアブーツは26・5センチまでは5ミリ刻みでサイズが展開されているが、27センチの次は28センチへと飛ぶ。

なんで飛ぶんやー!orz

 

靴幅はEEEなので通常よりも広めである。
通常、ナイキやアディダスのスニーカーを買うときは90%くらいの割合で27・5センチを買う。
幅がすごく細いスニーカーだと28センチを買う。

27・5センチが良いと思うのだがないから27センチにすべきか28センチにすべきかで悩んだ。
こういうときに試着ができないから通販は困る。

しかし、革靴やスリッポンの場合、スニーカーよりも小さいサイズを買うことがほとんどだから、28センチは大きすぎるだろうと結論付けた。
問題は26・5センチにすべきか27センチにすべきかだが、これまでの手持ちの革靴・革靴調のサイズを思い返して、圧倒的に26・5センチのものが少ないという事実に基づいて27センチを選んだ。

結果、正解だった。

早速履いてみたが、この靴はすごくいい。

最初に当方が食いついたのは値段だ。
定価14000円が、なぜか半額の7020円にまで値下げされていた。

次に注目したのが材質だ。
最近は手ごろな値段の合皮靴が増えているが、これは本革でなおかつ撥水加工が施されている。
防水と撥水は似たような意味合いと機能だが、撥水の方が防水よりも弱い。
防水は完全に水を通さないが、撥水はそこまでではない。

防水は豪雨でも水が染みることはないが、撥水は豪雨だと追いつかないだろう。

それでも少々の雨なら本革でありながら弾いてくれるという機能性に注目した。

7020円だったが、そこから「ゆっくり出荷」というサービスを選び200円引きしてもらって6820円(税込み)で購入した。

少しだけ丸いがビジネスシーンにでも履けるデザイン

EVA樹脂のソール

試着してみると、まずクッション性がすごく良い。
手持ちのナイキのエアマックスインビガープリントのソールと同等のクッション性の良さを感じる。
材質はEVA樹脂だそうで、いわばクロックスのサンダルと同じソールということになる。

アッパーの革は薄めで柔らかい。
アッパー素材は履いているうちに必ず劣化する。
最初にものすごく硬かったとしても、履いているうちに柔らかくなるし幾分か伸びる。

だからこの靴は履きこんでいくとどうなるのかという不安はあるが、最初に履いたときに靴擦れができる理由もアッパーや内貼り素材の硬さによるものであるから、靴擦れはまったくできなかった。

セメントプロデュースデザインの金谷勉社長はトリッカーズのメダリオンブーツを愛用しておられるが、購入した直後はアッパーの革が硬すぎて足の甲に靴擦れができるそうだ。それを我慢して履き続けて程よい柔らかさになるそうなのだが、そこまで我慢し続けられる忍耐力がすごい。この人はマゾヒストではないかと思ってしまうほどだ。(笑)

しかし、劣化したときの不安はあるが、ムーンスターのブーツはアッパー素材・内貼り素材ともにソフトなので、履いた当初の靴擦れは起きないという利点がある。
当方はマゾヒストではないからこちらで十分だ。

ただ、履き口のゴムがキツイのか足首が少し締め付けられて痛く感じたが、これこそ履いているうちにゴムが伸びるから緩和されるだろう。

さらにいうなら、この靴はものすごく軽い。
軽量スニーカー並みの軽さだと思う。

革靴はかっこいいけど履いていると足がつらいんだよなあ~という人にはお勧めの商品といえる。

あまりにも気に入ったので、ブラックを履いた翌々日にダークブラウンもポチった。
もうサイズで迷う必要はない。

今度は、一度購入したときに発行された「お誕生日クーポン15%オフ」(当方は4月生まれだから)を使い、さらにたまっていたTポイント1112円分を使って、4855円(税込み)にまで値下げした。

この機能性と見た目で4855円なら破格値だといえる。
ABCマートやステップの投げ売りスニーカーよりも安いくらいだ。

ぜひ一度購入をお勧めする。
ムーンスターのワールドマーチというラインだが、このブーツ以外にももっとビジネス寄りのデザインの革靴もある。

そして、アキレスの通販サイトを見ていると、こちらにもこの手の商品がある。
「ソルボ」ラインだ。
こちらは値下がりしておらずだいたい14000~23000円くらいで、2万円越えは防水機能がある。
ソルボセインという衝撃吸収材をソールに使用していて、こちらも通常の革靴よりは格段にクッション性が良いとのことだ。
今度値下がりしたら購入して試してみたい。

スニーカービズで私服刑事や万引き防止Gメンみたいなスーツ+スポーツブランドスニーカーなんていう珍妙なスタイルを推奨せずともこの手の「スニーカー並みのクッション性の革靴」を推奨すれば済む話だ。
推奨する役所もバカだし、それの尻馬に乗って私服警官ルックを広めまくっているアパレルも百貨店もアホとしか言いようがない。

ムーンスターのワールドマーチにせよ、アキレスのソルボにせよ、こういう機能性に富んでなおかつ値ごろ感のある革靴が市場には確実にある。
こういう商品を発掘できたときの喜びは大きいとともに、あまり知られていないことを残念に感じる。
「高感度」を自認するファッソニスタどもはこういう商品を発掘して世に広めるべきではないのか。売れ筋ブランドの別注とダブルネームに頼り切った品ぞろえのどこに「高感度」があるというのか。

こういう商品にもっともっとお目にかかりたいものである。

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心斎橋筋商店街がドラッグストア街に変貌した理由とこれまでの変遷の推移
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n2eb0ac5ccb54

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ムーンスターのワールドマーチにはこんなビジネス革靴と見わけのつかないものもあるよ。

それからアキレスのソルボシリーズ

業界人が思っているよりもマス層は洋服に対する知識がない

大学卒業後すぐにイズミヤの子会社の低価格チェーン店に入社した。
そこからずっと本職ではないが販売員を断続的にやっていて、いずれも低価格店ばかりである。
かっこいいセレクトショップとか有名なブランドショップ、外資系ラグジュアリーブランドでの販売をやったことがないが、低価格店で断続的に販売をやって理解したことは、マス層は洋服に対する知識がそれほどないということである。

逆に、ファッション業界の著名人とかブランド経営者、ファッションブロガーの指南や工夫がほとんど売上高に反映されないのは、彼らが洋服のマニアだからではないかと思う。

マニアだってかつては初心者だったから初心者の気持ちはわかるだろう。
しかし、無知層のことは理解できない。
現に当方だって理解できない。なんでこんな意味不明の質問をしてくるのかと頭の中が疑問符でいっぱいになる。

けれどもそういう低価格店に来る無知層が大衆でありマスなのだから、マスに売りたければそのお高くとまっているプライドをかなぐり捨てる必要があるだろう。
マニアの嗜好は封印して大衆に合わせなくては絶対に売れない。
マスに売りたくなければ今のままでいい。ただし「売上高が伸びない」と不満を言うなかれ。マニア市場で生きるというのはそういうことだ。

個人的にはジジババやオバハンは嫌いなのだが、低価格店ではそういう客層が多いから必然的に相手をすることになる。
もちろん、仕事だからつっけんどんには対応しない。泥酔していたらわからないが素面ならそれくらいの分別はある。

それでも店頭に立つたびに、仰天するような質問や買い物客に出くわすし、過去にも出くわしてきた。
いくつか挙げてみよう。

・ニイちゃん、私の着ている服は何サイズかな?

この衝撃の質問を投げかけてきたのは過去に一人や二人ではない。
幾人もいる。それも決まって50代のオバハンご婦人である。

以下の事例は全部オバハン年配のご婦人である。

初対面の客が何サイズを着ているのかなんてわかるわけがない。
身長や体格でおおよそ見当はつくが、MでもゆったりしてLLサイズくらいのデザインの商品もあれば、LサイズでもタイトでSサイズくらいの商品もある。

思わず、杉下右京っぽい口調で「はい⤴?」と返事をしてしまう。

この人たちは何十年間も(少なくとも成人してから30年は経過している)自分の服のサイズを知らずに服を買っていたということになる。お高くとまっておられるファッソン業界の皆様方には想像もできないだろう。
サイズを見ずに服を買うなんていうことがありえるのかと思うが、そういう大阪のオバハンは想像しているよりも多くいる。

仕方がないので、服の裾をめくって白いタグに書いてあるサイズを読み上げる。
それでこの珍妙な問答はお終いだ。あほらしいので長く続ける気もない。

・Mサイズって何サイズ?

これも大阪の(以下同文)からときどき発せられる謎の質問である。
同様に9号サイズって何サイズ?とかLサイズって何サイズ?というのもある。
例えば、Sサイズって一番小さいサイズですか?とかLLってかなり大きいサイズですか?という質問なら意味はわかる。
この人は単にS,M,Lのサイズ表記の意味が分からないのだということになる。

しかし、「Mサイズって何サイズ?」というのは根本的に何も理解していないということになり、「犬はどうしてワンと鳴くの?」というのに匹敵するような質問だ。
ヨーロッパやアメリカ表記の36とか48が何サイズなのかという質問なら理解できるが、これには答えようがない。

「普通サイズ?(震え声)」と返すのが精いっぱいである。

・昨日買った服返品できるかな?今日着てきてるんやけど

90年代半ばにまだ早朝にあんパンと牛乳を並んでる客に配布していたころのユニクロのテレビCMで大阪のオバハンがレジ前でそう言って服を脱ぎだすというのがあった。
いかにも大阪のオバハンの特徴を良く捕まえていると思って楽しんでいたが、大阪のオバハンからの抗議で短期間で終了してしまった。極めて正確な描写なのに残念である。

ああいうことをする人は実際にはいないと思っていたが、いた。

しかも阪急百貨店うめだ本店で。そこらの低価格店やバッタ屋ではない。
阪急百貨店うめだ本店である。大阪以外の地区では考えられないだろう。
百貨店でそういうことをする客がいるということを。

3年くらい前のことだ。
テキスタイル・マルシェで阪急百貨店うめだ本店の店頭に立っていたときのこと。
70代くらいの婆さんご婦人がやってきて、昨日買った服を返品したい。着ているのも1枚あってこれも返品したいと言い出した。
結局、阪急側が受けたので、その着ていた服も返品された。

百貨店でそういう客が来るというのは唖然とするとともにさすがは大阪だと思わざるを得ない。
自分が小売店を経営するなら絶対に大阪ではやりたくない。

・なぜかかなり小さい服を着たがる

これも多い。
人間は男女問わず加齢とともに背中や腹回りに肉が付く。
付いてない人もいるが、付いている人も多い。
また、単に筋力の低下によって肉が垂れてくるのだとも言われているが、別に原因はどっちでもいい。
若い頃よりも体格が大きくなる人が多いということを共有していただければそれでいい。

どう見ても3Lサイズくらいに育った70代のご婦人が何度もLサイズの洋服を買っていく。
まあ、返品されないのでそれで良いのだが、いくら試着をさせても丁寧にサイズを説明しても頑なにLサイズを買っていく。
着れない洋服を何枚も購入してあの人はどうしているのだろうかと不思議になる。

また別のケースでは、非常に身なりの整ったこれも70代くらいのご婦人がいたが、ちょっと体格は一回り若い頃より大きくなっておられた。
若い頃Mサイズで今はLサイズくらいに育っている感じである。

ある日、Mサイズのズボンを持って試着室に入られた。
ズボン1本なのになかなか出てこない。
試着室の前を通ると、小さい声で苦しんでいるようなうめき声が聞こえる。
「う~」みたいな感じだ。ちょうど「腹痛い、ううぅ~」みたいなのを想像してもらいたい。

やっと出てきたと思ったら、「いくら頑張っても前のファスナーが上がらなかった」とのことだったのだが、うめき声は渾身の力でファスナーを上げていた声だったというわけだ。

いや、ファスナーを上げるまでに小さいかどうかは普通はわかる。
しかもそんな渾身の力を込めてファスナーが上がったところで日常的に着用するのは不可能である。

二重の意味でこの人の判断基準がわからなかった。

まあ、ざっと思いつくままに上げたが、まだまだ仰天エピソードはある。

冒頭にも書いたように、これがマス層・大衆層なのである。
マスに売るということはこういう人たちに服を買ってもらう必要があるということである。

普段、

90年代のエートスをコンシャスなエクスペリエンスにインクルードする

なんて言っちゃってるファッソン業界人にこういう層の心理・購買行動は予想できないし、理解もできないだろう。
だから多くのアパレルブランドは売れないのである。
そういうコンシャスなエクスペリエンスをしたければ、マス層に売ろうとせずにお仲間であるマニア層に売ることだけを考えていればいい。

まあ、業界人が想像しているより大衆ははるかに洋服の知識がないということを飲み込まない限りは、マスに服を売ることは不可能である。

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体型の計測数値だけでは似合う洋服は選べない ZOZOが計測できないデータはこれだけある

zozoのおまかせ定期便が始まったが、現時点ではなかなか難しい取り組みだといえる。
野心的で面白い取り組みだとは思うが、成功するまでには時間がかかるため、見切りの早いスタートトゥデイは早期に撤退するのではないかと思って見ている。

【試着編】70キロのゆるふわ体型だけどZOZOおまかせ定期便に申し込んでみた。
http://oki-gura.hateblo.jp/entry/2018/03/03/113242

このブログ主の体験は面白く、ZOZOおまかせ定期便の課題を浮き彫りにしてくれている。
結果からいうと似合わないのと気温的な問題で全部返品している。

ブログ主が沖縄に住んでいることも大きな要因だ。
ご存知のように沖縄は平均気温が本州よりも格段に高い。
おまかせ定期便で服を選んでくれる人はまず、依頼者の住んでいる地域の気温を考慮する必要がある。

例えば、当方は関西だが、大阪市内は昨日の最高気温は13度くらいだ。
しかし北海道や東北ならもっと低いだろうし、ブログ主の沖縄だと気温はもっと高い。
おまかせ定期便の仕事を請け負う人はここを考慮する必要性がある。

次に問題なのは、体格や顔つき、顔の大きさである。
体型はZOZOの過去の注文データからおおよそ推測可能だが、人間というのはおかしなもので、同じ数値の体型でも体つきが異なる。
また顔の大きさや顔立ちによっても似合う服は左右される。
首の長短も重要な要素だ。

現時点でのZOZOの買い物履歴ではこれらは一切類推不可能だ。
またたとえZOZOSUITが手元に届いたとしても顔立ち・顔の大きさまではデータ化できない。

  • まず、体つきから考えよう

標準とされる体型で胸囲や肩幅、腕の長さがまったく同じでも、ガッチリした骨格と華奢な骨格の人がいる。
当然、似合う服は変わる。
心理学でクレッチマーの体質論というのがあるが、体つきで性格が異なるという理論だ。
それによると、痩せ型・闘士型・肥満型の3分類とされている。
例え、数値は同じでも痩せ型と筋肉質な闘士型では体つきは異なる。

当然、似合う服も異なるし、同じ服を着ても印象が異なる。
そして現段階のZOZOのシステムではこれを読み取ることはできない。

  • 次に首の長短

首が長い方がスラっとして見える。
同じ数値の体型でも首が短い方がゴツく見える。
首が長い方が痩せ型、短い方が闘士型と大雑把に分けても良いだろう。

首が長い人がタートルネックを着るとインテリ風に見えるが、首の短い人が着るとムチウチ症のギブスみたいになってしまう。
同じMサイズ、Lサイズでも見え方は大きく異なる。

  • 最後は顔立ちの良さと顔の大きさの問題

まず、顔立ちからいこうか。
顔立ちもさまざまで、同じ体格・体型でも顔立ちが上品な人と、ワイルドな顔立ちの人では似あう服は異なる。
その昔、もう今から20年以上前のことだが、テレビのトーク番組に俳優の唐沢寿明さんが出演していた。
唐沢さんの顔立ちは、好き嫌いは別として、上品に整ったエリートっぽい。
だから、役柄もエリート系が多い。出世作となった「愛という名のもとに」ではやっぱりエリートサラリーマンを演じていた。
となると、着るものはスーツやそれに類したトラッド系が似合う。
もちろんイケメンなのでなんでも似合うとは思うが、上品、クリーンなイメージの服の方が似合う。

ところが、その番組での話によると、売れていない若い頃は、破れたジーパンに革ジャンみたいなワイルドな服装が自分の好みだったという。
その服装で何度オーディションにチャレンジしても受からなかった。
ある日、事務所の社長がカシミヤセーターに綿のチノパンみたいなトラッド系の洋服を買ってきて「これを着て今度のオーディションに行け」と言われ、それを着て見事合格して出世が始まったとのことだった。
その時「自分はこういう服が似合うんだと初めて知った」と番組内で話しておられた。

たしかにあの顔立ちに破れたジーパンに革ジャンではちょっと合っていない。
今のスーツベースの服装かトラッド系の服装の方が似合う。

となると、ZOZOおまかせ定期便では顔立ちによる「似合う似合わない」までは判断できない。
当然ZOZOSUITでも顔立ちまでは計測できない。

また、顔の大きさも重要だ。
これもZOZOSUITでは計測できない。
小顔の方が洋服映えする。
同じ体格・体型でも顔のデカい奴はあまりかっこよくはない。
ちなみに当方の顔はデカい。

顔のデカい奴は体型データに比べて体がゴツく見えやすい。
またそこに首の短さが加われば最強だ。

この体格の人間が、すらっと細長い体格の人と同じ服を着ても似合うはずがない。
首の短い人間はタートルネックは避けた方が賢明で、襟ぐりの広い服を着た方がすっきりと見える。
深いUネックTシャツとか深いVネックTシャツが最適だ。もちろん首の短さの度合いにもよるが。

あとは肌の色合いもある。なんだか暖色系が似合う人もいれば寒色系が似合う人もいる。
これもZOZOSUITでは計測できないし、会ったことのない人が似合う服を選ぶのが難しいところでもある。

おまかせ定期便で他人の服を選ぶということは、ここまでの精度が求められるということになる。
本来なら。今、その仕事を請け負っている人、これから応募しようという人はここまで考慮できているのだろうか?
当方ならたかが1コーデ600円程度でここまで類推させられる仕事なんてしたくはない。
はっきり言って割に合わない。

逆にこれらの要因を挙げた上でそれでも「てきる」と考える人はよほどのスキルがあるか、自信過剰の馬鹿者かのどちらかだろう。

そして、ZOZO側の「数値で最適ファッションが作れる」というのは、現時点では画に描いた餅に過ぎないということである。
今後技術の進歩によって上に挙げた問題のいくつかは解決できるようになるとは思うが。

あ、あと小遣い稼ぎにおまかせ販売員に登録しようかなという人はこれを読んでから判断した方がいい。

いつまでも稼げない販売員さんは「ZOZO販売員」に登録して更に金をむしり取られます。(元販売員さんもね)
http://topseller.style/archives/6570

いつの時代もどこの国も、博打の親は儲かるが、子は搾取されるだけのことで、それはZOZOとて変わらない。仕組みは同じだ。
出店ブランド4000のうちから、1コーデ選ぶだけで何時間かかるのだろうか?それがたった600円。ユニクロやコンビニで1時間バイトしても1000円以上もらえる。だったらユニクロかコンビニでバイトした方がよほど効率的だろう。当方なら間違いなくそうする。
さらにいえば、今日挙げたような事柄まで類推しないといけない。まったく割に合わない。

それでもやりたい人はよほどのマゾヒストなのではないかと思う。

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ジーンズメイトには新ブランド投入ではなく抜本的な改革が必要

 先日、ジーンズメイトの新自社ブランド「メイト」を売り場で見た。
その感想は「決して悪くない」である。

メンズでいうと、ジーンズ、ボタンダウンシャツ、ジャケットというラインナップで、今後、さらに新型も投入されるのではないかと思う。
素材を触ってみたが、まあ、それなりに悪くはない。

試着してみたわけではないが、マネキンに着せている感じをみると、シルエットやサイズ感も悪くはない。
認知されれば(これが難しいのだが)、それなりに売れるのではないかと思う。

ジーンズは、最近増えているハイストレッチデニム生地が採用されており、かなり伸縮性が高い。
穿いてみれば快適なのだろうとは思う。

ジーンズメイトの新ブランド「メイト」のジーンズ
http://www.jeansmate.co.jp/brand/mate/

しかし、懸念・疑問も山のようにある。

まず、商品のテイストを見ると、男性は30代・40代をターゲットにしていると感じられる。
そうなると、何年か前から発売していた自社ブランド「ブルースタンダード」と重なる。

ブルースタンダードのターゲットは37・5歳だ。
「メイト」と同じである。自社ブランド同士が競合することになる。
売上高が低下しているジーンズメイトにあって、自社ブランド同士が競合して食い合うことは決して良い状況ではない。

また、テイストも似ており、メイトはベーシックなトラッドカジュアルであり、ブルースタンダードも同じである。
売上高が100億円を割り込んだジーンズメイトにあって、同じターゲットで、同じテイストの自社ブランドが2つも必要だろうか。
当方は2つも必要ないと思う。

そのあたりを意識してか、ブルースタンダードはブランドロゴを変え、商品テイストもやや若向きに変わったように感じるが、売上高が縮小し続けているジーンズメイトに2つのメイン自社ブランドが並立する意味があるとは思えない。

どちらか1つを廃止すべきか、まったく異なるテイストに変える必要があるのではないか。

次に、「メイト」を並べる店頭の印象だが、これが従来の店づくりと変わっていない。
内装、什器、他の商品群、ともに従来と変わっていない。

そうするとどうなるかというと、中高生向けの店にオッサン向け商品が並んでいるという状態がまるで解消されていないということになる。

これはブルースタンダードが開始されたときからまったく解消されていないジーンズメイト最大の課題である。
いくら素材が良かろうが、テイストが良かろうが、店舗と商品がミスマッチなら売れるはずもない。

ここを解消せずして、いくら「モノヅクリガー」と叫んでみたところでそんなものは、供給側の自己満足でしかない。
ライザップの手腕もあまり当てにならないのではないかと思う。

また、価格設定も微妙だと感じる。

ジーンズが4990~6990円なのだが、ユニクロよりは高い。
決して高すぎるとは思わないが、すごく価格訴求力があるわけでもない。
わざわざ、ユニクロではなくここで買う意味が感じられない。

もちろん、製造工程や商品の完成度からして、この価格設定が不当だとは思わないし、ジーンズメイト側も相当に努力しているとは思うが、ユニクロの3990円ジーンズではなく、ここで買う意味を感じられないという消費者は相当多いのではないかと思う。

そこを覆す説得力を今度どれだけ高められるかである。
これはかなりハードルが高い。

また、売り場全体で見たときに、いかにも中高生向けというデザインで価格も激安な商品があふれている中で、このテイスト、この価格ではブルースタンダード同様にかなり浮いていて、割高に見えるという逆効果もある。

シンボリックな新商品を開発するよりも、店舗内装・什器の変更、他の仕入れ商品のマーチャンダイジングの変更こそが、ジーンズメイトの急務である。
ここを放置したままで、新商品を開発・投入するというのは、典型的な物作り脳で、これまでのアパレル業界の悪癖そのものである。

今春くらいからジーンズメイトの店頭はかなり商品量が減っている。
以前だと圧迫感があるくらいに商品が陳列されていたが、これがだいぶと間引かれて、逆に店頭はえらくスペースが空いているようにさえ感じられる。

経済誌や業界紙では、第1四半期決算でわずかながら黒字転換したため、ライザップの経営手腕を持ち上げているが、この微細な黒字転換は商品の仕入れ量・製造量を抑え、店頭在庫を圧縮したことによるものでしかない。
逆に営業利益率は前期よりも低下している。

小手先で改善しただけで、根本的問題は何も解決していないとさえいえる。

目新しさが何もない新ブランド「メイト」を投入した程度では戦局は変わらない。
先日、ライザップはグンゼと提携して、着用しているだけでバイタルデータがわかる機能性ウェアを発表した。
例えば、こういう画期的な機能性商品を投入するくらいのインパクトがないと、新商品投入という手段では局面は打破できない。
いっそのこと、グンゼが開発したこの機能性衣料をライザップ傘下のジーンズメイトで販売してみてはどうか。

従来のアパレル的な新ブランド投入よりもよほど、効果が期待できるのではないか。

ジーンズメイトが上昇基調に転じるには、「メイト」投入のみでは厳しく、店作りから含めた抜本的な改革がなされない限りは不可能に近いと言わざるを得ない。

今後の施策を見守りたい。

NOTEを更新しました⇓
「原価率50%」商法はナンセンスでしかない
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/nf12f449b36a1

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小型店がライフスタイル提案をする方法

 昨今、大型のライフスタイル提案型のショップが乱立している。
一つのコンセプトに沿ってさまざまなジャンルの商品をそろえて、ライフスタイルを提案するのだが、グランフロント大阪の無印良品のように広大な面積が必要となる。

エストネーションやビオトープなんかもそうだろう。

小型店がライフスタイル提案を行うのは面積の関係上かなり難しい。
実際にアパレル業界には洋服+数型の雑貨を置いて「ライフスタイル提案型です」と自称している中小型店も少なくない。

しかし、感度の鈍い筆者のような消費者からすると、「洋服にリュックを3型・靴2型を置いただけで何がライフスタイル提案型か」と疑問に感じてしまう。

そういう観点において、筆者は中小型店でライフスタイル提案型はかなり難しいと考えていたのだが、この考え方を使うと、小型店でもライフスタイル提案をできるのではないかと思うので紹介したい。

そば打ち体験や陶芸体験はエクスマではない
http://www.ex-ma.com/blog/archives/3842

けっこうな長文である。

メガネ店の例があるのだが、抜粋しつつ引用するので一緒に考えてもらいたい。

抽象化して、本質を考えてみましょう。
あなたの店でメガネを買うと、お客さまはどんないいことがあるか?
どんな悩みを解決するの?
どんな問題を解決するの?
そう考えてみる。

あなたのメガネ屋10店舗の社員、全員で考えてみるとします。
自分の店は、メガネを売っているのではなく、どんなコトを売っているのか?
グループに別れ、みんなでアイデアを出し、まとめていく。

一番に思いつくのは、「目がよく見えるようになる」ということです。
視力矯正です。

目がよく見えるようになると、たくさんのいいことがあります。

大好きな人の顔や姿がよりくっきりと見え、より仕合せになる。
美しい花や風景がより美しく見えるようになり、楽しさが倍増する。
本や映画、ウェブサイトがより鮮明に見え、理解度が増す。
美味しい食事がより美味しそうに見え、実際に美味しく感じられる。
などなど・・・

視力矯正以外にもありますよね。

メガネやサングラスはファッションの一部です。
メガネをかけることでよりおしゃれになるとも言える。
流行のデザイン性の高いメガネや、目立つサングラスをかけることで、よりおしゃれになる。
そうすると、アパレルのブティックと同じように、ファッションを売っているともいえます。

ほかにも、サングラスを買うお客さまは、ドライブするときに太陽光が眩しくないように使う。
釣りをするときに、水面の反射を消すために使う。
自転車に乗るときに、風が目に入らないために使う。
海水浴で紫外線をカットするために使う。
などなど、そうするとアウトドアやスポーツを支援しているとも言えます。

さらに、知的に見えるメガネを買うビジネスパーソンは、仕事ができそうに見える。
しっかりと視力矯正して、本を読むのが苦痛じゃんなくなり、ビジネスの勉強できるようになる。
だとすると、メガネ屋さんはビジネスがうまくいくお手伝いをしているかもしれない。

そんなふうに考えてみるわけです。

そうすると、本来売っているものに気づいていきます。
メガネ屋さんが提供している大切なソリューション(問題解決)「目がよく見えるようになる」という視力矯正で考えてみる。
大好きな人の姿がよりよく見えるようになったり、自然界の美しいものがより美しく見えるようになったり、美味しい料理がより美味しく感じられたり、本や映画がより理解できるようになったりすることは、どういうことを人々に提供しているのでしょう。
それはもしかすると、人々をより「元気」にしているのかもしれない。

元気にする。

そういうキーワードだとすると、「うちのメガネ店は、メガネを通じて、人々を心身ともに元気にする店」ということになる。
そう定義してみるのです。

とある。

そこで、

「元気を提供しているメガネ屋」だとすると、様々なことが変わります。

メガネだけが商品ではなくなるということ。
もちろんメガネがメインの商品です。
これで利益が出るわけです。
でも、店のコンセプトを伝える商品。
売れなくても、置いておくだけでいい商品。
そういうものが増えていくでしょう。

たとえば、元気になる本。
「この小説を読むと落ち込んでいても、すぐに元気になります」というPOPが貼ってある。
実際、小説でも自己啓発の本でも、読むだけで元気になる本ってありますよね。
そういうのを選んで売る。

映画のDVDとかも考えられるかもしれない。
元気になり、観た瞬間からやる気がわいてくるような映画。
ほかにも元気になる音楽のCD。
元気になるグッズ。
たとえばサプリメントとか食品とか、栄養ドリンクとかね。

売らなくても店の中に「店長がおすすめする元気になる本コーナー」などを作って、お客さまとコミュニケーションすることもできるかもしれません。
もちろん無料で貸し出すわけです。
そのうち「お客さまが読んで元気になった本、元気になれそうな、もう読まなくなった本をもってきてください」とかできるよになったら、すごい関係性ができてきますよね。

接客も元気になる接客は何かって考えて、変わっていくでしょう。
感じのいい笑顔でお迎えするのは当たり前になってきます。
電話の応対もそうです。
電話に出るときには「はい!いつも元気な〜メガネ店です」っていう電話のまくら言葉を使います。
店の内装やディスプレイも元気になる色使いや、メッセージ、ワクワクする店舗になる。

当然、社長や店長のブログでは、そういう発信をする。
元気になるブログです。
本の紹介、映画の紹介、飲食店の紹介、などなど「元気になる」をキーワードにさまざまな事象を紹介できます。
社長のTwitterでは、古今東西の「元気になる名言」をツイートするのはいうまでもありません。
「大丈夫!心配事の98%は取り越し苦労だから」とかね。(笑)

そうなっていくと、おもしろい店ができますよね。

とある。

この考え方を応用すると、小型店でもライフスタイル提案型になることは可能だろう。
「メガネを通じて元気にする」というコンセプトで切ると、「元気になる」ようなサプリメントや食品、本、CD、雑貨、洋服などを置くことができる。

通常よくある「ライフスタイル提案型ショップ」だと、なんだか付け焼刃的な品ぞろえが多いが、「元気にする」というコンセプトを切り口にするとメガネ以外の商品の品ぞろえもスムーズにできる。
人気ブランドに頼る必要もないし、セレクトショップがこぞってやっている「別注商品」に頼る必要もない。
セレクトショップがやたらと「別注」に頼るのは、コンセプトの切り口がなくて、人気ブランドを扱いたいけれども希少品もほしいという矛盾した考えがその原点にある。

要するにセレクトショップ各社は「スペック」での差別化に凝り固まっているのである。

いわゆる「差別化アリジゴク」に落ちているともいえる。

そして、

あなたの店でメガネを買うと、お客さまはどんないいことがあるか?
どんな悩みを解決するの?
どんな問題を解決するの?

という部分がマーケティングの基本的な考え方である。
誰のどんな悩みを解決するのか?というのがマーケティング的思考である。

アパレル業界でこれを実行している企業・ブランドはかなり少ない。
多くの企業・ブランドは自己満足を消費者に押し付けている。

「俺がカッコイイと思う物をそろえました」とか
「俺のテイストが分からないやつはダサい」とか
「西海岸のトレンドを直輸入」だとか
「パリの伝統的な洋服」だとか

これらはすべて自分たちの好みを提案しているだけであって西海岸のトレンドを直輸入することで、誰のどんな悩みが解決するのだろうか?

これをキチンと答えられる企業・ブランドはかなり少ないだろう。

単に「西海岸のトレンドを直輸入しました」というブランドに興味を持つ人はそれほど多くないだろう。
西海岸はそれほど身近な存在ではないからだ。
多くの消費者にとって「ふーん」と言えばお終いである。

その結果、売れずにブランドは撤退する。
担当者や窓口企業は「西海岸のトレンドを分からない消費者はだめだ」とか「西海岸のトレンドは消費者に受け入れられなかった」とか言う具合に愚痴ったり、反省したりするわけだが、「誰のどんな悩みを解決するのか?」という根本が抜け落ちていたことに気が付かないままに次のブランドを手掛ける。

極言すればこれが今までから現在まで続くアパレル業界の構図である。

だから「価格競争」「トレンド競争」「スペック競争」「製造地競争」「別注競争」に陥るのである。
そうそう「伝統の技法競争」というのもある。

筆者は別にエクスマとは何の利害関係もないし、カネをもらっているわけでもないが、この考え方を持たずして、これからの時代、新ブランド開発も新商品開発もほとんど成功しないだろう。

上に書かれている考え方を呑みこんで応用できれば、小型店・小規模ブランドでもライフスタイル提案は可能だろうし、価格競争・トレンド競争に巻き込まれることもない。

一度、熟考してもらいたい。


 




「ジーンズ業界」は残らないが「ジーンズ製造加工業界」は今後も残る

 先日、このブログでジーンズナショナルブランドの凋落の原因について書いたところ、有限会社TCDさんがその補足ブログを書いてくださったのでご紹介したい。

http://ameblo.jp/tcd-co-ltd/entry-12081206018.html

『ファション業界に取り込まれたジーンズというアイテム』
http://blog.livedoor.jp/minamimitsu00/archives/4494893.html

まさに仰る通りな内容でした。
その中で
「どうすればジーンズブランドは凋落しなかったのか?」
と、空想され、その答えを
「製造ノウハウをきっちりと握りしめていればよかった。」
のではないかとされ

その現実的方策として
縫製工場、洗い加工場を自社で運営し
協力工場のLINEを隙間なく埋め
商社に他業種からの受注の必要を感じさせないほどの
数量を依頼し続ける。
という、およそ不可能な方策しかなかったのではないか?
と、仮定。
よって、ナショナルジーンズブランドの凋落は
不可避であった!と結論づけておられます。

ほぼ正解です。
ただ、内部の人間として、少し掘り下げますと・・・。
最大の原因は
*人材の流出
です。

『日本ハーフ』さんや『大石貿易』さんのように
早い段階で姿を消した
優秀な企画者がいたジーンズブランドの人材を
同業種のメーカーがすくい取りきれず
それどころか
エドウィン、リーバイス、ビッグジョン、ボブソンも
だらだらと人材を流出し続けました。

ジーンズは
縫い糸から、各種付属、縫い自体、洗い加工、そして生地
すべてが特殊です。
なので、工場もさることながら
メーカーのMDやデザイナーがノウハウと人脈を
包括して握っています。
一般のブランドが、いきなり工場に話を持って行っても
たいした商品はできません。

また以前より指摘をしてきましたが
ジーンズNBは、基本的には “金持ち” でした。
金が有るうちに、有効な 『M&A』 をすべきだったと考えています。

まぁ、そういった意味でも
全ては
“人材” です。

加工のプロとか
ニッチなデザインができるヤツとか
生産管理に秀でた人とか
概して、その特殊性の高さゆえに
スペシャリストのみを優遇し
ゼネラリストの能力のあるものを冷遇する気風が
業界全体に蔓延していました。

経営者、役員の先見性の無さと
村意識と傲慢さが
業界全体の低迷を招いたことは明確です。

そして多くの人材がクモの子を散らす如く
野に放たれました。
その帰結が現在です。

ただ、このような状況は
日本で特有なものではありません
世界的な流れです。

とある。

この補足に感謝したい。

結局、無数のOB・OGが野に放たれ、それぞれがOEM・ODM請負会社を設立し、ジーンズブランド以外のブランドからの注文を受けるようになった。

製造工程のノウハウやら人脈やらを彼らは握っているわけだから、彼らを通すと、どんなブランドでも正当な報酬さえ払えばジーンズナショナルブランドと同等の商品を作ることができる。

それが現在の状況である。

で、先日も書いたようにこの流れを押しとどめることは不可能だったのではないかと思う。
TCDさんが書いておられるように、日本特有のものではなく世界的な流れでもある。

また早期退職した人を各社がサルベージしても結局は人材過多となってしまい、言葉は悪いが飼い殺しみたいな状態に置かれる人も多数出現しただろう。
一方、人材を囲い込むと言っても、定年退職した人までを囲い込むことは不可能である。
定年退職した後に、自営でOEM・ODM請負会社を立ち上げる人も中にはいただろうから、遅かれ早かれ人材とノウハウは流出したと考える方が正解だろう。

ただし、人材とノウハウの流出スピードは相当遅くなっただろうが。

大石貿易は古くに創業された会社で、日本ハーフは当時、新興メーカーだった。
このほかにもタカヤ商事、サンダイヤ、ラングラージャパン、帝人ワオ、ブルーウェイなどからも人材は多数流出している。

ワーキングユニフォームだとか白衣だとか特殊用途衣料は別として、ファッション用途の衣料品は「村」を保ち続けることはほぼ不可能だろう。

これはワイシャツもそうだろう。

正式にはドレスシャツというが、年配の人はワイシャツとかカッターシャツと呼ぶ。
かつて大手シャツ専業アパレルというのが何社かあった。
ちょうどジーンズナショナルブランドのような感じだ。

トミヤアパレル、カネタ、信和シャツ、松屋シャツ、CHOYA、すべて経営破綻した。
トミヤアパレルは業務を再開しているが、往年の勢いはない。

業界新聞記者として入社した97年当時にあった大手シャツ専業アパレルで無傷で残っているのは、先日、CHOYAから事業譲渡を受けた山喜、それからフレックスジャパンとナイガイシャツ、SPA化した東京シャツ、中堅のスキャッティオーク、くらいである。

結局、ドレスシャツもファッションアイテムに取り込まれたから、シャツ業界という「村」を維持することは難しかったということだろう。

もうかつての「ジーンズ業界」は残っていないし、これから復活することもないだろう。
しかし、「ジーンズ製造加工業界」は依然として残る。そこがなくなったら多くのファッションブランドがジーンズを企画製造することができなくなるからだ。

すでに2000年前半でさえ、岡山・福山界隈の産地企業は「ジーンズナショナルブランドからの受注が減った分をレディースアパレルやSPAブランド、セレクトショップからの受注を増やしてカバーしている」と話していたくらいだ。
2015年現在だと、むしろそちらの方が主要取引先になっているのではないか。

「ジーンズ製造加業界」はすでにファッション業界と直結してしまっているから、今後、もし「新しいジーンズ業界の枠組み」を作りたいのなら、レディースアパレル、メンズアパレル、SPAブランド、セレクトショップなどの参加を促さないと意味をなさないだろう。

もっとも「新しいジーンズ業界の枠組み」なんてものを改めて構築する意味があるとは到底思えないし、そんなものを構築したい人なんていないと思うのだが。




小規模店は既存顧客を最重要視すべき

 事業規模の設定が必要。
ある大先輩はそうおっしゃっていた。
これはまさしくその通りだろう。

50億円とか100億円の売上高を目指すのと、2億円とか3億円程度の売上高を目指すのとではやり方が大きく異なる。
借り入れが必要なのはどちらも同じだが、50億円とか100億円を目指すなら単なる借り入れだけではなく、ファンドを引き込むことが必要になる。
銀行からの出向社員の受け入れだって必要になるだろう。

かつてドゥニームというジーンズブランドを展開しておられた林 芳亨さんが、ドゥニームブランドを売却した直後でリゾルトを開始する直前にお目にかかったことがあるが、その際、「これからは少人数(おそらく数人)くらいで数億円程度の商売をやりたい」と言っておられたが、そういう選択肢もある。

さて、先日、あるデザイナーズブランドに相談を受けた。
そのブランドの現状はこうである。

専門店への卸売りが主体で年商は1億円台半ばから2億円くらい。
ショールーム兼直営店を1店舗持っている。
自社でオンライン通販をしていない。
数人規模で運営している。

業界の現状としては大手セレクトショップ以外の専門店は一部を除いては苦戦傾向にある。
それゆえ小規模専門店への卸売りを主体とするブランドは良くて現状維持、縮小傾向が当然といえる。

しかし、やりようによっては2000万円くらいは売上高を伸ばすことができるのではないかと思う。
例によって机上の空論で考えてみるのでご了承いただきたい。

まず、オンライン通販機能を自社ウェブサイトに付ける。
すぐさま売上高が急増することはないが、すでにやり方とか内容は別としてブログやSNSでの自己発信をある程度しているから、いくらか売上高は増えるのではないかと考えられる。

卸売り先からバッティングを懸念する声が上がるかもしれないが、卸売りしかしていないブランドでも自社サイトでの通販を手掛けているブランドはたくさんあるから、説得するのはそんなに難しいことではないのではないか。

筆者は個人的に小規模店舗の売上高を伸ばすには「エクスマ」の考え方を導入するのが良いと考えている。
もちろん大手企業にも使える要素はあるが、小規模店舗への導入の方がやり易いと感じる。

そこを基にして考える。

このブランドは、毎シーズンのカタログを送る顧客が100人いるという。
新規顧客を取り込むことは大事だが、この規模のブランドなら既存顧客を手厚くする方が容易に売上高が伸びるのではないかと思う。

携帯電話通信会社の大手3社はすさまじい「乗り換えキャンペーン」を何年間も続けている。
携帯電話に限らず、大手企業はどれだけ利用者を増やすかということが重要だからそれも当然といえる。

しかし、番号持ち運び制度ができてからは、携帯電話通信会社を2年ごとに変える方が経済的だということになってしまった。
電話番号は変わらない。しかし、新規契約者はキャッシュバックがあったり携帯電話機主代がタダ同然になったりする。長年継続使用している人よりも料金的にお得である。

実際に筆者の知り合いには2年ごとに番号を変えずに携帯電話通信会社を変える人がいる。
これがもっとも経済的である。

新規客に厚くて既存顧客に薄いとそういうことになってしまう。

これもエクスマで使われる例だが、ホットペッパーや食べログなんかで、「初回限定〇〇%割引」とか「初回限定半額」みたいなクーポンが付けられることがある。
それを掲載することで通常よりは客数はある程度増えるだろうが、実際のところクーポン客が固定客になる可能性はあまり高くない。

そういう人(筆者も含め)は「〇〇%割引」とか「半額」が好きな人が大部分で、クーポン店を行脚している。
「安い」で集まる人は「安売り」が好きな人で、筆者も含めてそういう人は定価では物やサービスを買わない。
筆者はユニクロを定価では絶対に買わない。

大手だとそういうお客も必要だ。
セール品を買って行ってもらえるお客も重要である。そうでないとセール品が売れ残っていしまうが、小規模店や小規模ブランドならそういう「安いもの好き」のお客はそれほど多く取り込む必要はない。
定価かそれに近い価格で買ってもらえるお客を増やす方が重要である。

では例えば毎シーズンカタログを送付している100人の固定客にもう少し頻繁に手紙を送ってみてはどうだろうか?

例えば、

「夏と冬のバーゲンセール開始時」
「ノベルティが付属するキャンペーン開始時」
「はがきを送った固定客のみ10%割引のシークレットセール開始時」

などの案内である。

あとはイベントを作っても良い。

「お茶会」だとか「試着会」だとか、そういうイベントである。

おそらく来店頻度は何割か上がる。
来店頻度が増えれば、買い上げ数も何%か増えるだろう。

手紙はなるべく手書きが良いが、100人すべてに全文面を手書きにしていたらすぐに腱鞘炎になる。
手紙の本文は自筆で書いたものをスキャンしてハガキの裏面に印刷すれば良い。
ただし、文末の一言は全員に手書きで入れる。

そして徐々に送付先を増やす。
これはとりもなおさず顧客名簿に掲載する名前を増やすという作業である。

こうしたコミュニケーションを増やすことで固定客100人を200人に増やすことは不可能ではないだろう。
1万人の固定客を2万人に増やすことよりは難しいことではない。

固定客が200人になれば直営店の売上高は倍増前後になる。

このブランドが仮に

Tシャツ類5000~6000円
セーター類1万5000~2万5000円
ジャケット3万円台
コート類4万~6万円

くらいの商品価格だとする。

100人の固定客が年間に5万円~10万円を買ってくれたら、それだけで500万~1000万円の売上高になる。
そして固定客数が200人に増えれば計算上は1000~2000万円の売上高が見込めることになる。

ブログとSNSをこまめに更新しての呼び込みと、手紙(ハガキと封書のどちらでも構わない)のこまめな送付を継続することでそれは可能になるのではないか。

SNSだけで毎回、200枚~600枚近くの洋服を販売する短パン社長がいるが、彼の使っている手法はまさしくそれである。
彼の場合は、オンラインサイトも直営店もない。
しかしこのブランドは直営店があるのだからそこはアドバンテージともいえる。
より具体的に顧客を呼び込みやすい。

筆者の推測だが短パン社長には500人内外の固定客がいると考えている。

昨年から数えて10型強を発売しているが、この500人が毎回1万5000円の洋服を1枚買ったとする。
1万5000円×10型×500人=7500万円の年商ということになる。

商品によっては買い上げ人数が500人より少ない場合もあるから実際の年商はもう少し減るが、もし3000万円でも年商が増えれば、数人で展開しているブランドには大きなプラスになる。

そういえば、先日、大先達は「最近、あんまり業界では名前が登場しないが『パパス』というブランドは根強いファンがいて一定需要を支えている」とおっしゃったことがある。

実際のところパパスの顧客数がどれくらいかはわからないが、新規顧客数はあまり多くはないだろう。
ある日突然「今まで興味なかったけど急に『パパス』が魅力的に見えてきた」という人がそんなに存在するとは思えない。

やはり一定数の根強い固定客が売り上げを支えていると見るべきだろう。

大手ブランドが激烈な新規顧客争奪戦を繰り広げるのはやむを得ないが、小規模ブランドや小規模店舗は固定客作りに注力すべきだろう。
「既存顧客を死ぬほど大事にしなさい」というエクスマの方式を取り入れやすいのは小規模ブランド・小規模店舗だろう。

固定客作り=コミュニケーション=企業スタッフや企業オーナーの顔や考え方を見せる

という図式になるのではないか。
「余所行き」のコメントに終始した発信をしても仕方がない。

ブログやSNSの発信も手紙の送付もローコストで済む。
ただし手間はかかる。
そのひと手間を惜しんでいては、小規模ブランド・小規模店はたやすく大手に弾かれてしまうだろう。

めんどくさい部分は多々あるが、こういう地道なファン作りしか今後、小規模ブランド・小規模店が生き残る道はないのではないか。
品揃えの豊富さでもリーズナブルさでも大手の方が圧倒的に優位なのだから。




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