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カシヤマ・ザ・スマートテーラーの出張採寸を見学した話

先日、カシヤマ・ザ・スマートテーラーの出張採寸を見学した。
オンワード樫山が開始した低価格パターンオーダースーツで、今は地域限定だが、採寸師が出張採寸してくれるというサービスだ。

いつもの深地雅也さんが予約をしたというので早速、見に行った。

その顛末はすでに深地さんがまとめている。よければご一読を。

KASHIYAMA the Smart Tailorの出張採寸が超便利な件

https://note.mu/fukaji/n/nf1604735f624

横で見学していた限りにおいては、通常のパターンオーダーの採寸と各種オプションで、極めて標準的なサービスに見えた。

当方も12年くらい前に一度、オンリーでパターンオーダースーツを作ってみたことがある。
また、先日は大手生地ブランドからの依頼で、東京と大阪のテーラーでパターンオーダースーツづくりの取材をした。

それらと比較してみても、まあ標準的なサービスだといえる。

ただ、パターンオーダーにつきものの基準となる「ゲージ服」の着用はなかった。
カシヤマのショップでなら「ゲージ服」を着用しての採寸もあるのではないかと思う。

価格はジャケットとパンツで

ウール50%・ポリエステル50%生地が3万円
ウール100%国産生地が4万円
インポート生地が5万円

となっている。

各種のオプションは

・袖口のボタンの数
・切羽にするかどうか
・裏地の色
・ベント(ノーベントかセンターベントかサイドベンツか)
・ジャケットの両脇のポケットの形
・胸ポケットの形
・パンツのタック(ノータックかワンタックかツータックか)
・ボタンの色と材質

くらいになる。

で、スーツはこれまであまり着たことがなかった深地さんを横で観察していたのだが、これらの各種オプションを選ぶのがちょっとめんどくさそうだったのが印象的だった。

スーツの好きな人、スーツに慣れている人なら、これらのオプションは標準的で、それを選ぶことが「楽しい」と感じる。
決してこのオプションは多すぎるとは思わない。

しかし、慣れない人にとっては、これらのオプションを選ぶことはけっこう面倒に感じる場合があるということを初めて知った。

もしかすると、スーツ慣れしていない人やスーツに詳しくない人に対しては、もっと提案機能を持たせた方が顧客満足度が高くなるのではないかと思った。

来店した客を「スーツ慣れした人」か「スーツ慣れしていない人」か見分けるのがなかなか難しいが、何らかの方法で見分けて、それによってスーツ慣れしていない客にはもっと積極的に提案した方が良いのかもしれない。

カシヤマの採寸師の方は、決して投げっぱなしというわけではなかったが、お客の要望に合わせるというスタンスだった。
当方ならそういうスタンスの接客で十分なのだが、慣れていない人にとっては、逆にそちらがサジェスチョンしてほしいと思うようだった。

それとその時に採寸師の方からいろいろとお聞きしたことが興味深かったのが、おもにこのパターンオーダー事業の業績に関することだった。

中国の大連にすでに専用の縫製工場を作っており、第二工場ももうすぐ稼働し、第三工場も建設することが決まっているという。
最近のOEM丸投げアパレルの水準からすると1つでも工場を作るというのがすごいが、まあ1つくらいならわからないではない。
しかし、事業がスタートしたばかりでもう第三工場まで作ることが決まっているというのは、相当に売れ行きが好調なのだろう。

1日あたりの売れ行きを尋ねてみると、「だいたい毎日800着」だという。
これは予想外にすごい数字ではないか。

客単価3万円としても1日に3万×800着で2400万円の売上高になる。
1か月だと2400万円×30日で7億2000万円となる。

このペースで1年が経過したと仮定すると、7億2000万円×12か月で86億4000万円の売上高となる。

深地さんは、客単価4万円で計算しているが、4万円だとだいたい115億円強の売上高となる。

実際の売上高はこの86億と115億円の間ということになるのではないか。

しかし、それにしても事業開始と同時に縫製工場を作るというのは、さすがは老舗アパレルであるオンワード樫山だといえる。

もちろん老舗アパレルだってOEMやODMに丸投げするのは珍しくないが、このオーダースーツ事業に関しては、製造の段階から自社で用意しており、その力の入れ具合がわかる。
物作りをどうするかということを最初から考えるのは、さすがは老舗アパレルで、泥縄式に製造関係者を募集しているZOZOとは姿勢がまるで異なっている。

話は少し戻るが、スーツに慣れていない人・初心者をターゲットにした、「なるべく選ぶオプションが少ないパターンオーダー」というのも考えてみてはどうだろうか。

極言すれば「標準服」のサイズを修正するだけである。

そのキモとなる「標準服」のデザインやシルエットはよほど魅力的なものにする必要がある。
選ぶことに慣れていない人にとっては、選択肢を制限する、もしくは無くすことが最高のサービスになる。

逆説的だが、顧客サービスとは、たくさんの中から選ぶようにしてあげることばかりではないということである。

10何種類もシルエットが存在するジーンズ専業メーカーのジーンズよりも、4種類くらいしかシルエットのないユニクロや無印良品のジーンズの方が売れていることを考えてみても、選択肢を制限することが対象によっては、顧客サービスになり得るということがわかるのではないだろうか。

久しぶりに有料NOTEを更新しました~♪
ジーンズメーカーとジーンズショップの変遷と苦戦低迷する理由
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/ne3e4f29b4276

 

【告知】多数の要望があり、8月24日のマサ佐藤(佐藤正臣)氏とのトークショーを昼間から夜の飲み会へと変更しました。(笑)
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8月1日から始まった、はるやまの新パターンオーダー、イージーセレクトもどうぞ
今度試してレポートしてみようかな?

フワっとした願望や印象論では物は売れない

はやいもので今日で七月も終わる。
今年ももう5か月しか残っていない。

本当に光陰矢の如しである。

ネット通販への注目は依然として高いままだが、さまざまな企業やブランドの施策や現場を見ていると、ネット通販なら何でも売れるというわけではない。

客層と集客方法と商品がマッチしないと売れない。

商品の中にはデザイン、価格が含まれており、それがマッチしないことには売れない。
某社で手掛けているブランドサイトとECサイトがあるが、現状を聞いていると、集客はできるしブログの読者も大幅に増えているが、ネットでは物はほとんど売れないらしい。

これは集客は成功しているが、商品の何かが客層に適合していないために起きる現象だといえる。

責任はウェブではなく、メーカー側にある。
おそらく、客層に商品の値段が合っておらず、安すぎるか高すぎるかのどちらかだろうと思うが、安すぎるなら金額は別として数量は動くから、数量も動かないのであれば値段設定が高すぎるということになり、メーカー側は価格設定を変えなくてはならない。

実はこんなブランドは掃いて捨てるほどある。

これをメーカー側が「いや、僕たちは最善の努力を尽くしています」とか「これ以上値段は下げられません」と突っぱねることもよくある。
そういうブランドはだいたい売れないまま消えていく。
いくら最善の努力を尽くしていても消費者にはそれは伝わっていないし、売れないなら学芸会じゃないんだからブランドは消滅する。
適時適品適価がマーチャンダイジングの基本ではないのか。
基本ができずに言い訳するならメーカーなんてやめちまえよ。

あとは自社なり自ブランドの売り上げ規模設定をどうするのかである。

3億円でいいのか、10億円を目指したいのか、100億円を目指したいのか、によって商材も価格設定も変わってくる。
そのあたりを見極めずに「売れるだけ売りたい」なんて漠然とした望みを口にしているブランドは数多くある。
そういうブランドは得てして全く売れないままに終わるのだが。(笑)

例えば、昨日、美肌プリンス氏がNOTEに上げていたこのブランドのこのタンクトップ。

https://note.mu/fukaji/n/n2aa625328ce6

定価6000円もするが、プリンス氏もプリンス氏のアシスタントの若い女性もそれが高いとは思わないらしい。
はっきり言ってデザインこそ少し珍しいが、タンクトップに6000円は高い。
当方なら絶対に買わない。

しかし、このデザインが欲しい人なら買うだろう。
6000円は高いとはいえ、めちゃくちゃに高くはないからだ。
もしこれが1万円を越えていたら「高くはない」とは感じないだろう。

この辺りが、「見せ方」「伝え方」がこのブランドの上手さだと思う。

何でもかんでも品質の高さと価格の安さで決まるわけではない。
当方はそういう買い方しかしないが、そうではない買い方があることも十分に理解している。

このブランドは、そういう売り方をしておらず、それが上手く伝わっているといえる。

売れ行きに関しては

Q.お客さんは何歳くらいの方が多いんでしょうか?
A.メインは30〜40代の方が多いです。新宿でポップアップ展開したら年配の方まで買いに来たりはします。Instagramでお店の事を知った若年層の方々はほとんどタンクトップのみ購入していきます。

Q.1日何枚くらい売れますか?
A.店頭では1日3〜4枚くらいですが、オンラインでは即完売するくらい売れます。

とのことで、自店頭では1か月に100~120枚くらい売れることになる。
オンラインでの完売というのはどれだけ在庫を積んでいるかわからないので、皆目見当もつかない。
オンラインにすごく在庫を積んでいるブランドもあれば、けっこう薄くしか積んでいない場合もあるのでそれはブランドの方針次第だといえる。

例えば、ブランドステイタスを上げることを目的に、すぐに完売状態にするために薄くしかオンラインには在庫を積まないブランドもある。
すぐに「SOLD OUT」状態を作り出して、「人気」をアピールするというやり方である。

まあ、仮に店頭よりも売れているとなると1か月で200~300枚程度だろうか。

店頭での販売額は1か月でだいたい60万~70万円ということになる。

このブランドやこのタンクトップが年間何万枚も売れるほどの超人気商品になるとは当方は思えない。
価格が高いからだ。
2000円程度のタンクトップなら枚数はもっと売れるだろうが、高すぎることはないとはいえ、6000円のタンクトップはそこまで枚数は捌けない。

しかし、この店が、そういう売り方を目指していないだろうから、この価格でその売れ行きで十分なのだろう。
これが「規模設定」である。

いくらデザインが変わっているとはいえ、6000円のタンクトップを「毎年10万枚売りたいんです」なんて言ってたら、ちょっとアホなんだろうと思う。

これを読んでる方は「そりゃそうだろう」と思われるかもしれないが、実際に現場でお会いする方の多くは、「高い商品をなるべくたくさん売りたい」と思っていて、心の中では「できれば1万枚とか5万枚売れてほしい」と思っている。

しかし、そんな虫のイイ話は今の衣料品業界には存在しない。

それはかつてのDCブームのころや、ビンテージジーンズブームのころまでの話で、その幻想を追いかけても無駄だし、そういう時代は二度とはやってこない。

これに対して「ファッションへの渇望がなくなった」とか「日本が衰退している」とかいう人も多いが、そこそこの安値でそこそこの物が買えるからそちらを買うだけの話で、分不相応な買い物をしなくなったということは社会が成熟化したといえる。
また、H&Mが苦戦していることに対してすぐに「日本の購買力がなくなった」という紋切り型のアホもいるが、H&Mはドイツでもアメリカでも減収しており、その論法でいくならドイツもアメリカも衰退して購買力がなくなっているということになる。

H&M程度の価格の服が買えないわけはなく、それは日本人の収入の問題ではなく、H&Mの商品や売り方に魅力がないからである。だからドイツでもアメリカでも減収しているのである。

第一印象とか感情ではなく因果関係をはっきりさせて論じることが必要で、ブランドのマーチャンダイジングや規模設定に関してもそれは同様であり、フワっとした願望を根拠にしてはならない。

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ジーンズメーカーとジーンズショップの変遷と苦戦低迷する理由
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こちらのイベントもよろしくお願いします。

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個人的にはこんな5枚組のタンクトップを買ってしまう(笑)1枚500円くらいね。

「ウールのフェイクファー」とか「本物に見えるフェイクファー」をもっと売り込むチャンスなのに

リアルファーに対する風当たりが強まってきたが、リアルファー業界からの反撃も始まった。
リアルファーVSフェイクファーの宗教戦争は、ドイツ30年戦争のようにこれから長い間続くのだろうと思う。

個人的には右翼と左翼の対立のように、どちらかがどちらかを殲滅するまで終わらないだろうと思う。

まあ、それはさておき。

だったらこの隙に乗じて、ウール100%のフェイクファーをもっと拡販してしまえばどうだろうと個人的には思っている。

岡田織物のウール100%(毛足部分)のシープフェイクファー

 

ウール100%のフェイクファーなんて実は10年以上前から業界には存在する。
フェイクファーというのは通常、ポリエステルやナイロンやアクリルを使って毛足を再現するが、その代わりにウールを使うだけのことで、原材料費の高低という問題はあるにしても、技術的にはそう難しいものではない。

さらにいえば、これだけ良くも悪くも「フェイクファー」が注目されているんだったら、日本で唯一のフェイクファー産地である高野口産地はもっとニュースを発信すべきではないかと思う。

当方が初めて高野口産地の仕事に携わらせてもらったのが、2010年頃のこと。
産地企業にさまざまなフェイクファーを見せてもらったが、やっぱりフェイクファーは合繊独特の手触りがある。
その中に、まるで本物のファーみたいな手触りのフェイクファーが何種類かあった。

フェイクファーの作り方を簡単にいうと、基布があって、その基布の編み目・折り目から糸を垂直に出す。
そして裏をバインダーで止める。
この出した糸がファーの毛足になり、バインダーの工夫で、できるだけソフトでなおかつ毛が抜けにくいというのが理想的なフェイクファーであり、高野口産地はそれを売りにしている。

基布と毛足は別の素材組成になる。

だからウール100%のフェイクファーも基布は合繊生地になる。

しかし、毛足の部分がウール100%になると、まるで本物の毛皮のような手触りになる。

言葉で表現するのは難しいが、合繊のフェイクファーは脂分がなく、キシキシした手触りがある。
これに対してウールのフェイクファーは、脂分があるのでしっとりした手触りになる。

カツラでも合繊毛髪だとキシキシした手触りだが、人毛カツラは脂分があるからしっとり、ぬめぬめした手触りになる。
それと同じような感じである。

せっかく10年以上前からあるウールのフェイクファーを高野口産地はもっと積極的にアピールすべきではないかと思う。
今が絶好の好機ではないか。

それに加えて、高野口産地には、「合繊フェイクファーだけで限りなく本物に見えるフェイクファー」というのもある。
本物のキツネとかミンクに限りなく近く見えるという優れものだ。

これも10年以上前から産地にはある。

特にこの「本物に見えるフェイクファー」は産地の中でも岡田織物が得意とするところである。

岡田織物の本物に見えるフォックスフェイクファー

 

もちろん手触りは合繊フェイクファーとは変わらないが、見た目は本物のキツネやミンクにそっくりである。

これも大いに発信されるべきではないかと思う。

もちろん、産地合同展示会ぷわぷわも毎年開催されて発信はしているのだが、展示会開催以外の情報発信は本当にほとんどない。
一部の業界新聞が定期的にごく小さく報道する程度である。

一般紙、経済紙、ウェブメディアではまず見ない。

それにそのごく一部の業界新聞だって、産地側から発信しないと、時々巡回に来てネタを拾ってやっと掲載される程度にしかならない。

最近だと各地の産地でブログで近況を報告している企業も増えてきたが、残念ながら高野口産地はそれもない。

以前にも、「フェイクファーの名称を変更しよう」という会議があったときに結局はそれも果たせず、その1年後か2年後に欧米で「フェイクファーをエコファーと呼び変える」という動きになって、悔しい気持ちになったことがあると、このブログで書いたが、今もそういう歯がゆさを感じている。

高野口産地に限らず、どこの産地でも業界団体でも「組合全体が足並みをそろえて発信する」「足並みをそろえてアクションを起こす」というのは不可能である。

個人だって10人いれば意見がそれぞれ異なって意識統一することは難しい。
組合に加入している企業は10どころじゃないし、それぞれの企業も何十人というスタッフを抱えている。
だからどんなに良い議案でも必ず反対者は出るし、反対者に考慮すればするほどアクションは起こせない。

もっとも良いのは少数の企業が独断でアクションを起こすことなのだが、産地でそれをやる企業はそれほど多くない。

まあ、産地企業からすれば「そんなめんどくさいことをせずとも、既存の取引先でそれなりに食えている」ということなのだろうけど、なんとももったいないと思う。

ちなみに高野口産地のフェイクファーは安くはない。
1メートル1000円を越える生地は珍しくない。

先ほど紹介した岡田織物もネット通販でウール100%のフェイクファーや本物みたいなフェイクファーを売っているが、1メートル5000円以上になる生地もある。

しかし、高い生地だからこそ、注目が集まりやすい今、発信して「高くても欲しい」という状態にすべきではないかと思う。

それを怠ると海外(とくにアジア)の生地がまたそういう需要をかっさらうのではないかと思う。
後発の海外企業が儲けるくらいなら国内企業に儲けてもらいたいと思うのだが。

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フルオーダーとイージーオーダーとパターンオーダーの違いを改めてまとめてみた

もう様々な方が書いておられるので、繰り返しとなるが、パターンオーダーとイージーオーダーとフルオーダーはまったく別物である。

ちょっとググれば山ほどその違いについて述べておられるブログがあるが、それでもこのブログしか読んでいないという珍しい人も何人かはおられるだろうから、くどいとは思うが改めてまとめてみる。

1、パターンオーダー

あらかじめ決められたパターンをサイズに合わせて微修正するやり方。
各部を採寸後、「ゲージ服」と呼ばれる基準服を着てその差異を修正する。

スーツだと、このパターンオーダーの場合は、ゲージ服をどういう形にするのかが、けっこう大きなウェイトを占めているのではないかと思う。なぜなら、そのゲージ服のパターンを修正するわけだから、それがどういうシルエットなのか、どういうパターン(型紙)なのかで仕上がりの形が変わる。

比較的低価格でできる。平均価格は2万~4万円。

2、イージーオーダー

これはパターンオーダーよりも高額になるが、フルオーダーよりは安い。
各部を採寸後、自分と似た体型の人のパターンを修正するというもの。

基準が決められているイージーオーダーよりも自分の体型に合いやすい。

3、フルオーダー

これは各部を採寸後、その数値を基に、一から型紙を作るというオーダー。
すごく高額になって最低でも20万~30万円はする。

パターンを一から起こすのがどれほどの技術が要るのかは、洋服業界の人でもあまり理解していないが、かなり高等な技術を要する。

通りいっぺんの型紙なら少し勉強すれば引けるらしいが、シルエットの美しさと動きやすさを兼ね備えたパターンを引くには相当の知識と技能が必要となる。
また何をどう重視するのかでパターンは変わってくる(らしい)。

動きやすさを重視するのかシルエットの美しさを重視するのか、シワがよりにくいのを重視するのかでそれぞれパターンが異なる。

まあ、門外漢が知っているのはこの辺りまでである。

だから、パターンオーダーとイージーオーダーとフルオーダーは厳密に使い分けられるべきなのだが、業界の人もこの違いを知らない人が結構いるし、最近注目が高いファッションテック系の人間はほとんど理解していない。
その代表例がZOZOだろう。

販促のテクニックとしては、「盛る」ということがある。
ソフトバンクなんかもよく「盛って」いた。
しかし、個人的には、パターンオーダーをフルオーダーと「盛る」ことは詐欺に近いと思っている。

例えば、ZOZOがPBとして発売したTシャツとジーンズだが、発表当初は「フルオーダー」と発言していたが、今、ウェブサイトに行くと「パターンオーダーです」と書かれてある。
そもそもTシャツとジーンズにフルオーダーなんて必要ないと思っていたが、案の定「盛って」いたのである。ジーンズはそもそも製造関係者によると初回800SKUを製造したそうなので、既製品かパターンオーダー以外は考えられないというのが事実である。

業界外の人から見たら「どっちでもええやん」ということになるだろうが、こういう間違いがさらに消費者を混乱させる。

続いて発売されたオックスフォードシャツもしっかりと「パターンオーダー」と書かれてある。
当たり前だ。フルオーダーのシャツが3,900円程度で発売できるはずがない。

そして、ZOZOのオーダースーツも価格的に見てパターンオーダーだと思う。

まあ、それは置いておいて、オーダースーツと同時に発売されたドレスシャツは「カスタムオーダー」だと書いてある。

カスタムオーダーとはなんぞや?

カスタムオーダーでググってみると明確な定義はない。

しかし、カスタムオーダーとはけっこう幅広く使える言葉で、ワイシャツの襟の形やカフスの形を変えるのもカスタムオーダーだし、ユニクロが個別注文でTシャツやポロシャツにワッペンを縫い付けたり、刺繍を入れたりするのもカスタムオーダーである。
ジーンズの裾を自分の脚の長さに合わせて短く裾上げするのもカスタムオーダーといえる。

通常の既製スーツのズボンは裾上げをするのがほとんどだが、これだってカスタムオーダーといえる。

まあ、要するに既製品でもなんでも、自分流に手直しすることだと思っていて間違いないのではないかと思う。

ところがZOZOのサイトにはこう書いてある。

【カスタムオーダーとは】
お客様の体型に合わせ1点1点ゼロから作り上げる完全オーダーメイド製品です。

ゼロから作り上げるのはフルオーダーで、カスタムオーダーではない。
じゃあこのワイシャツはパターンから作っているのだろうか?たかが2900円の商品なのに。

この言い回しはまた「盛り」気味だし、消費者を混乱させるだけではないかと思う。

消火器を売りつける業者が「消防署の方から来ました」と言うのに似ている。
決して「消防署から来ました」とは言っていないのである。

多少の「盛り」は販促のテクニックとしてはありだが、あまりにも「盛りすぎる」のは詐欺ではないかと思う。

そして「盛りすぎ」が横行した結果引き起こされるのは、間違った知識が世間に広まってしまうことである。

よく、生地関係で話題になるのが、

デニムとダンガリーとシャンブレーの違いである。
デニムとダンガリーは経糸と緯糸が入れ替わっているだけだから見た目には区別ができにくい。

一方、ダンガリーとシャンブレーは綾織りと平織りの違いはあるが、どちらもブルーのシャツ生地用途が多いのでごっちゃに使っている業界人も多い。

業界人がごっちゃにするくらいだから、消費者もごっちゃにする。
そうなると今度は製造側は困惑する。
「あのダンガリーでシャツを作りたい」なんて言われたとき、その「ダンガリー」はダンガリーを指しておらずにシャンブレーを指していることは珍しくない。

このままでは、ファッションはいっそう混沌としてむずかしくなる
https://t.co/hlXgymQ62k

このブログはまさにそれを憂いている。

都合の悪いことに、テック側がリリースしたものは拡散されやすく、どちらでもよくないことが間違った方で広まってしまう風潮です。(ZOZO PBの謳ったフルオーダーがパターンオーダーだった件は記憶に新しいですね。大手通販サイトには、アイテム名称の誤認表記が溢れています)

このままでは、ファッションに関する情報が正誤入り乱れてカオスと化し、いざファッションを知りたい、関わりたいを興味を持ちかけた人が、この混沌ぶりに入口で頓挫してしまうのではないかと気がかりです。アイテム名から間違っていたら、検索すらかけられません。

私は、これ以上ファッションを複雑にしたくありません。

フルオーダーとパターンオーダーを意図的に混同することは、衣料品をさらに混乱させ、複雑化させているだけといえる。
ZOZOはもう少し控えめに盛ってみてはどうか。今の「盛り方」はあまりにも見苦しい。

 

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金曜日に紹介したらAmazonでけっこう売れているECの本をどうぞ

「安さという価値」を伝えきれていないブランドが多い

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先日、価格戦略の講義をしたが、当たり前のことを改めて考えた。

例外はあるものの、

高価格商品は、利益は高いが数量を売りにくい
低価格商品は、利益は薄いが数量が売れやすい

もちろん、どの程度を「高価格」と呼ぶのかはそれぞれの商品やジャンルで異なる。

昼食なら2000円は高価格だろうし、服ならアイテムにもよるがTシャツで1万円は高価格だろう。

だからどのあたりの価格に決めるかということは非常に重要である。
こんなことは業界の人なら当たり前だろうが、それでも会議やミーティングに出ていると、現場の人はこれを忘れがちになる。

「最近、売上高が低いから単価を上げよう」
「国内生産だから高価格でも売れるだろう」
「利益を確保したいから高価格を攻めよう」

なんて発言は日常茶飯事である。

高価格製品を作るのは簡単だが、それを売ることが難しい。

卸売りなら小売店にその価値を認めさせないとだめだし、直販なら店頭での販売スキルが必要になる。

1000円のTシャツなら黙っていてもある程度の枚数は売れてゆくが、5000円とか1万円のTシャツを売ろうと思うと、店頭での販売スキルが求められる。

黙って並べて「国産だから」「インポートだから」というだけで1万円のTシャツは売れない。
国産もインポートも腐るほどある。別に珍しい物ではない。

当方はどちらかというと工場や産地の自社商品開発の相談を受ける場合が多いのだが、どうしても国産品ということで原価積み上げで考えて高価格を想定されることが多い。

もちろん、それはそれで当然なのだが、高価格で売るための武器が「国産品」というだけでは弱い。
それでも利益を多くとるために高価格を狙う業者は多いが、それでも国産品の安い物もある中ではなかなか売りづらい。

無印良品の「脱げにくいフットカバー」は3足890円で日本製だ。
エドウインのジーンズも今のところ、国産で8000円前後である。
タビオの3足1000円の靴下も9割くらいは国産である。

こう見ると、国産品でも低価格品というのは最早そんなに珍しくない。

一方、とにかく低価格なら「売れやすい」という考えもある。
最近は少なくなってきたが、それでも根強い。
ユニクロブームのころやジーユーの990円ジーンズのころはそういう考えが多かった。

そういえばいつの間にか、ジーユーはさらっと990円ジーンズをやめている。
値下げ処分で990円とか790円に下がるジーンズはあるが、定価はだいたい1990円である。
あの当時、各社の1000円以下のジーンズを見たが、品質的にはどれもが「安かろう悪かろう」だった。

GMSの売り場でも1000円以下ジーンズはほとんど見かけなくなった。
結局、粗悪品は淘汰されてしまった。

それはさておき。

とりあえず「安く」というのはこれまで何度もあったが、むやみに値下げしても利益を削るだけで、多くのアパレルやGMSはそれで赤字に陥った。

だから現在ではむやみに安くする業者は減ったが、それでも安い方が売りやすいから、依然として低価格のジャンルに属するブランドは多い。

そのあたりのことを考えると価格を決めるのは本当に難しいと思う。

先日、大阪に来ていたマサ佐藤さんを勝手に引っ張って行って、専門学校で講義させてしまった。
内容は「マーチャンダイザーについて」である。

マーチャンダイザーという言葉は普通に使われているが、今一つ分かりにくい。
それに各社によって使っている意味が異なることもあって学生にはとくにわかりにくい。

とはいえ、ある程度の企業でマーチャンダイザーになるには、実務を数年以上はする必要がある。
学校を卒業して新卒でマーチャンダイジングをすることはよほどの天才以外に無理だ。

商品企画ならびに営業、販売、在庫管理まで知っておく必要があるからだ。

それであるにもかかわらず「マーチャンダイザー学部」とか「マーチャンダイザーコース」なんていうのを設置しているファッション専門学校はほとんど詐欺ではないかと思う。

その講義の中で、マサ佐藤さんは「価格決定は本当に重要で、これが社長案件である会社も珍しくない」と実態を話しておられ、また「何歳になっても価格決定権だけは手放さない社長や創業者も多い」とこれも事実を指摘しておられた。

それほどに価格決定というのは重要な仕事であり、商品の売れ行きを左右するということである。

その一方で、低価格品は「売りやすい」という事実があり、低価格品それ自体が一つのプロモーションになる場合もある。
例えば、ジーユーのかつての990円ジーンズだ。
あれが1290円ジーンズならあれほど報道されなかっただろう。
そういう意味では「安い」ということは一つの武器ともいえる。

昨日、各社のパターンオーダーの価格をざっと紹介したが、価格比較するだけでは意味がないという声もあったが、各社の価格がほとんど報道されない状況では紹介することにもそれなりの意味はあると思っている。

それよりも各社は安いなら安いともっと声をあげた方が良い。

知られていないのは存在しないのも同然だから、「安い」と知られていないことは存在しないのも同然なのである。

ブランドの価値を伝えろと言われるが、「安い」ということも「価値の一つ」である。
そういう意味ではツキムラ、オンリー、カシヤマ・ザ・スマートテーラー、エフワンなどの低価格パターンオーダーブランドはその「安いという価値」を伝えきれていないと思う。

価値である安さをもっと声高に伝えるべきだ。

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苦し紛れの思い付きで専門外の商品を扱ったって絶対に成功しない

先日、某大手SPA企業の中の1ブランドのOEM(実態はODM)を担当している方とお会いした。

その企業が抱えるブランド群はこのところそろって不振で決算は大幅減益となっている。
またインターネット通販を見ていても、タイムセールの連発や2点購入割引などの値引き販売が続いており、在庫を捌くためになりふり構わない様子が見て取れる。

その方の担当しているブランドは、少し前から200円くらいのボールペンやノートなどの文具も販売を始めており、洋服販売の不振を何を使ってでも穴埋めしたいという姿勢が露わとなっていた。

ところがさらに驚くことに、このブランドは秋口からシャンプーやヘアワックスなどの販売も計画しているという。
これが事実なら、最早、そこまで手を出さなければならないほどに洋服の販売は不振を極めているといえる。

しかし、これは苦し紛れとしか言いようがないし、恐らく成果は出ないだろうと見ている。

なぜなら、シャンプーやヘアワックスなどの整髪剤を洋服ブランドの店で買う理由がないからだ。

コンビニでも販売しているし、今は隆盛を極めるドラッグストアでも販売している。
しかもドラッグストアは幾分か割引販売している。

さらに言えば、行きつけの美容室やヘアサロンでも買える。
美容室やヘアサロンでは通常のコンビニ、ドラッグに置いていない整髪剤を買える。

こうなると、洋服の店で「わざわざ」整髪剤を買わねばならない理由は何一つない。

ナショナルブランドの割引品が欲しければドラッグに、定価のナショナルブランドが欲しければコンビニに、価格は高いがコンビニにもドラッグにもない本格商品が欲しければ美容室に、という消費行動となり、そこに髪についてズブの素人だった洋服店が入り込む余地はまったくない。

そして、シャンプーなどのその手の商品は無印良品でも売っている。

これだけ強力なライバルに挟まれていて、活路があると思う方がおかしい。
よほど市場の現状を見ていないのではないかと思う。

近年、ライフスタイル提案型ショップが流行っているが、多くの洋服ブランドは洋服店の域を越えられていない。
餅は餅屋という言葉があるように、洋服屋は洋服屋でしかなく、その壁を乗り越えることは並大抵の努力ではできない。
だから多くの場合は、洋服にバッグ類と靴を数点ずつ置いてお茶を濁しているが、通常の洋服ブランドではそれが限界なのである。

無印良品のように、洋服から住宅、インテリア、食品、整髪剤などライフスタイル全般を網羅したブランドを構築することは至難の業で、無印良品も30年近い歴史を積み重ねてたどり着いており、苦し紛れの思いつきで追いつけるレベルでは到底ない。

唯一、シャンプーやヘアワックスが売れる可能性があるなら、コンビニにもドラッグにも美容室にも置いていない希少性の高い商材を集められた場合だけだろう。

それとてもプロモーションが上手く行っての話であり、プロモーションは必ず成功するという類のものではない。

また店構えも無印良品のごとくトータルライフスタイル提案にふさわしいものが要求され、通常の30坪とか40坪程度の洋服店にシャンプーの棚を1つ作りました程度では売れるはずがないし、このSPA企業の過去からの実績を顧みると、シャンプーの棚を1つか2つ作ってお終いとなるのが関の山である。

こんな当たり前のことがなぜわからないのか不思議でならない。
それとも負けるとわかっているがやらざるを得ないほどに洋服の販売が不振を極めているのか。

もちろん、何事もトライ&エラーを繰り返すことでしか成功しない。
頭でわかっているがやってみなくては実際のところは理解できない。

このブランドが将来的に「真のライフスタイルブランド」を目指すという覚悟があるのなら、今回の取り組みは第一歩となるだろうが、そこまでの覚悟があるのだろうか。
何年間もの試行錯誤を繰り返して投資を続けるだけの覚悟があるのだろうか。
外野から見ていると、失礼ながらそこまでの覚悟は感じらない。

余談ながら、この大手企業は最近会議が頻発しており、毎週月曜日から水曜日までの3日間が会議だといわれている。
会議をすべて否定するわけではないが、毎週3日間もの会議は必要なのだろうかと疑問に思う。
1か月で12日間も会議に費やしており、それこそ生産性が著しく低いのではないかと思う。

一般的に、長い会議を頻繁に行う企業は業績を伸ばすことができない。
とくにアパレルでそういう企業は必ず退勢となる。

苦し紛れでの思いつきの異分野商材の取り扱い、長時間会議の頻発、と、この大手はかなり危うい状況にあるといえる。
過去20年間の経験則だけでいうと、こうなった企業はほぼ間違いなく凋落した。
だから、この大手が凋落する可能性は高いのではないかと個人的に見ている。

文具には東急ハンズとか雑貨専門店、100円均一、コンビニ、無印良品という強力なライバルがひしめき合っている。
整髪剤にもコンビニ、ドラッグストア、美容室、無印良品などの超強力なライバルがひしめき合っている。

どちらの分野も生半可な覚悟と投資では戦えないことは誰が見てもわかりそうなものである。
毎月12日間もの会議を繰り返しながら、何を見てどう分析してその答えにたどり着いているのだろうか。
まったく理解不能である。

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個人的にはナカノスタイリングワックスがええと思う

日常的に広めたいなら和服も変化する必要がある

先日、こんな記事を読んでなかなか良い取り組みだと思った。

洋服感覚で楽しむ”セットアップ”キモノ「レ・モン」がデビュー、京友禅と西陣織の老舗企業がタッグ

https://www.fashionsnap.com/article/2018-06-18/lesmondes-debut/

ジャケットとロングスカートの上下に分けた”二部式着物”で、最後に簡易帯で仕上げるというこれまでにないスタイルを考案し、洋服感覚で着物を楽しめるようにしたという。

スタイリングはセットアップだけではなく、柄を組み合わせるなどのアレンジも楽しめる。

ロングスカートにはファスナーを備えており、着付けは約5分で行うことができる。簡易帯はカルタ結びや兵児帯(へこおび)など5型で、ファーベルトも揃える。生地には京友禅や西陣織の伝統技術は用いずにポリエステルなど洋服に使われる素材を使用しているため、自宅での洗濯が可能。また、ジャケットが2万8,000円〜、ロングスカートが1万8,000円〜、簡易帯が9,800円〜と手に取りやすい価格を実現するなど、呉服業界の課題となっていた部分を解決した。

とのことだ。

ちょっと文面で意味のわからない箇所があるが、概ねこの商品には賛同する。

当方は着物を着たことがない。
多分、今後も棺桶に入るとき以外は着ないと思う。

着物を着ない理由は

1、商品価格が高い
2、自分では着付けができず、着るたびにお金を取られる
3、正絹の着物は洗濯・保管・メンテナンスがめんどくさい

である。

1,2,3の理由どれもが当方にとっては重要で優先順位は付けがたい。
しかし、1は清水の舞台から飛び降りたつもりで10万円前後なら買えなくもない。(パソコンを買ったと思えば)
3は頑張れば何とかできるかもしれない。まあ、年に2回以上は洗濯も保管メンテナンスもやりたくないが。

2は致命的だ。
自分一人では着れなくて、着るのには有料で手伝ってもらわなくてはならない。
おまけに時間がかかる。

こんな不便な服を着ようとは思わない。

少なくともこの3点を改良しない限りは、着物のマス化なんて絶対に起きないと断言できる。

なぜなら、現在の洋服はこの3点を軽々とクリアしてしまっているからだ。
今の着物のままならマスには広がらない。

SNSを始めてから、着物を着ない当方になぜだか、和装関係の人とのつながりがけっこうできてしまった。

和装の衰退を憂う方が多く、それを食い止める手段の一つとして「着物の日常着化」とか「着物のマス化」に言及されることも多い。

じゃあ、具体的どのようにそれに取り組むかということになると、意見はバラバラで、当方のうがった見方かもしれないが、「今の着物のままで何とかマスに広がらないか」と考えている人が多いように見えてしまう。
どのような願望を持とうがそれは個人の自由だが、あまりにも現状と離れた願望は成就することは難しい。

もちろん、「晴れの日」向けの着物は今のままで良いと思う。当方はそれでも着ないが。
式典・会合・記念日、そういう「ハレの日」に着る着物は今のままでも着る人は存在し続ける。

しかし、多くの人が目指す「日常着化」という点は、現状維持の商品では解決できない。
そんなめんどくさい服を日常的に着る人なんてよほどの変わり者か変態である。
そして変わり者も変態も絶対的に人口が少ない。
少数の人間にしか支持されない商品が日常着化することなんて絶対にあり得ない。

日常着化を目指すなら、日常着にふさわしい商品を開発し、何なら、今の着物の形や形状を変える必要がある。
「俺たちは変わらないけど大勢に広まってほしい」なんてそんな虫の良い話はない。

実際、洋服だって時代を経るごとに形状が変わってきて現在に至っている。
形状はほぼ変化がなくなったが、今度は使用素材が変わってきている。
機能性素材の広まりはそれを表している。

いまだにフランス革命以前みたいに、長ズボンの上に「キュロット」と呼ばれる半ズボンを重ね穿きしている人なんて存在しない。
フランス革命を経て「サン・キュロット(半ズボンなし)」の服装が一般化したのである。

マーケティングの基本に4P戦略というのがある。

商品(product)
価格(price)
販売場所(place)
販売促進・告知(promotion)

である。
こんなものは業界にいる多くの人が基礎知識として有しているはずで、じゃあ、今の着物はこの4P戦略に則っているかどうかを考えてみればすぐにわかるのではないかと思う。

商品的にはめんどくさいし、価格は高い。
promotionの手法も微妙だ。

4つのうち3つまでが則っていない。少なくとも「商品」と「価格」の2つは則っていないとなると、売れるはずがないということになぜ気が付かないのかと不思議でならない。

日ごろから尊敬する和装関係の染色作家、仁平幸春さんはこんな記事を書いておられる。

衣服の変容は日本だけじゃないわけで。。。https://note.mu/yukiharu_nihei/n/n420922ab4732

 

良く「日本人は日本の伝統的民族衣服であるキモノを着ない」という言われ方をされますが、それは事実でしょうか?
事実は「衣服の変容は日本だけが特殊なのではなく、全世界的に同じように変わった」という事ではないでしょうか?
私は、日本だけが特殊で日本だけが西洋かぶれして和服を捨ててしまった、という論調はおかしいと思っています。
上記のように、どの国でも、同じような変化があったのです

とあり、仁平さんの意見に禿しく激しく賛同する。

結局のところ、日常生活においては衣服に限らず、利便性の高い物が支持され、不便な物は淘汰されてしまう。
仁平さんが記事中で指摘されているように「不便な燐寸(マッチ)」は「便利な100円ライター」に駆逐されてしまう。
物好きな変態が「マッチの方が風情があるのにぃぃぃ」と叫んだところで、そんな不便な物を多くの人は使わないのである。

もし、本当に「着物の日常着化」を目指す人がいるなら、今回登場した「レ・モン」のような商品をもっと開発して市場に投入すべきだろう。

あと、紹介した記事の中で1か所どうしても意味が分からない部分があるので蛇足ながら紹介する。

6月11日には恵比寿にショールームを開設。若者を中心に幅広い年代の人が楽しめる”東京発”のブランドとして打ち出し、将来的には海外展開を視野に入れているという。

なぜわざわざ「東京発」にする必要があるのかちょっと当方には理解できない。
着物で京都の会社が開発してそこに京都府が参加したのなら「京都発」で良いのではないかと思う。
個人的には京都という土地は好きではないが、国内の他地域からもブランドイメージが高く、海外からも評価されている。「京都発」の方がわかりやすいのではないかと思うのだがどうだろうか。

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こんなセパレート着物もあるでよ。

ポイントを使った値引きがこれだけ広まっているのに「プロパー消化率」にこだわる意味がわからない

今年から某プリンスの押し付けでマーケティングの授業を受け持つことになったのだが、実は昨年からこれも某プリンスの押し付けで、計数管理の授業を受け持っている。
とはいえ、こちらも計数管理なんて素人だし、これまでの決算会見だとかの聞きかじりをつなぎ合わせてなんとかやっている。

計数管理の教科書には必ず「プロパー(定価)販売」が出てきて、それに関連して「プロパー消化率」という言葉が出てくる。

アパレル・繊維業界の俗語では「プロパー」にはもう一つ「生え抜き」という意味がある。
アパレル・繊維業界は中途採用や同業他社への移籍が多い業界なので、どんな企業も生え抜き組と移籍組が混在している。
その「生え抜き社員」を指して「プロパー社員」ということもある。

まあ、それは置いておいて。

定価販売というのは、店やブランドにとって利益を確保する最大の手段である。
定価で販売できればかなりの粗利益が確保できる。
だからどれだけ定価で販売できるかが重要であり、それを測定する指標としてプロパー消化率がある。

理論上ではそれはわかる。
値引きせずに定価で売るのが最大の利益をもたらす。
だからプロパー消化率を高めるというのも意味はわかる。

ところが、自身の消費行動を振り返ってみたとき、この「プロパー消化率」なる指標は、現代社会ではほとんど使えないのではないかと思ってしまう。

これはなにも2018年現在のことではなく、少なくとも2000年頃に各社がこぞってポイントカードを導入したときから、ほとんど使えなくなってしまったといえる。

少なくとも15年くらい前からは計測できなくなっているのではないかと思う。

例えば、先日、趣味のガンプラでリアルグレード(RG)「トールギス」という機種を購入した。
定価は税込みで2700円だ。

武装とバックパックが未完成なRGトールギスの本体

購入を考えるルートはいくつもある。
1つは近所のジョーシン、次はAmazon、その次が駿河屋の通販サイト、ヨドバシカメラドットコムあたりだ。
この中から最も割引率の高いところで買うのが当方である。

だいたいどこも2100~2000円くらいまで値引きされている。

Amazonはその当時は1930円くらいまで値引きされていたが、プライム会員ではないから2000円未満は送料が必要になってしまうからAmazonは除外だ。

残りはだいたい同じくらいの値段だが、ジョーシンとヨドバシは1000円分くらいのポイントがたまっている。
ポイントを使えば1000円ちょっとで買える。支払い総額を抑制する目的ならそのどちらかを選ぶのがもっとも理にかなっている。

ジョーシンはわざわざ自転車で20分もかけて出かけるのがめんどくさい。
となると、選択肢はヨドバシカメラドットコムということになる。

いくら安くてもヨドバシカメラドットコムは送料無料だ。
41円の消しゴムを買っても送料無料だ。

持っていたポイントをすべて使って1095円で購入した。
なんという安さ。

これはガンダムのプラモデルに限らず、洋服でも同じではないか。
当方は少し値引きされていたガンプラにポイントを使ったが、値引きされていない定価の洋服にポイントを使って安く買ったり、場合によっては無料にしたりすることがある。

他の皆さんも同様だろう。
メンバーズカードを提示して、ポイントが貯まれば、そのポイントを使って定価の服を安く買ったり、タダにしたりできる。
この場合のプロパー消化率はどう測定するのだろうか。
表示は定価販売でも場合によっては無料進呈になってしまっている。

2015年以降はメンバーズカードがスマホのアプリに置き換わった。

アプリにポイントが貯まる。
ポイントシステムは各ブランドによって異なる。
例えば、アダストリアの各ブランドは貯まったポイントはいくらからでも使える。10ポイントしかたまってなくてもそれを全部使える。
一方、ジーユーは最低でも100ポイントを貯めないと100円割引クーポンに交換できない。

ライトオンのメンバーズカードはアダストリア方式で貯まったポイント分だけ使える。

Amazonも貯まった分だけすぐにポイントが使えるし、Yahoo!ショッピングも同様だ。

こうなると、帳簿上プロパーで販売していても実質はポイントで値引きされているというケースは珍しくないだろうと推測できる。

そして、そのブランドの愛好者であればあるほどポイントは貯まりやすく、実質的に値引き販売を繰り返すことになっている。
だってそうだろう。例えば、ライトオンの太い顧客だとするとたくさん買うからそれだけたくさんポイントが貯まる。
それを使ってまた買うわけでその分値引き販売されているが、またポイントは貯まる。

それの繰り返しになる。

こうなるとプロパー消化率なんて指標は一体どうやって測定するのかということになる。

そしてロイヤルカスタマーになればなるほど、ポイントは貯まりやすく、その分値引き販売を繰り返していることになる。
もちろん、セール品にポイントを使ってさらに安く買うという当方のような人間も存在するだろうが、ロイヤルカスタマーは定価でも購入しているはずで、そのロイヤルカスタマーは常に定価品をポイントで値引き購入しているということになる。

ポイントカードが出現する前の時代ならプロパー消化率なる指標も測定できただろうが、ポイントカード出現後はプロパー販売なる指標はほとんど意味がなくなってしまったのではないか。
そしてポイントカードが出現したのはここ1,2年のことではなく、すでに15年くらい前から存在しており、現在はそれがアプリに置き換わってますます各ブランドに広がっている。

ポイントカード草創期はまだしも定着化した10年くらい前からはプロパー消化率という指標はほとんど意味をなさなくなったということになる。

にもかかわらず「プロパー消化率65%を目指せ」なんていう業界誌もあるのだが、この人たちはポイントカードやポイントアプリを一切使っていないのだろうか。
一切のポイントカードやアプリを絶滅させないことにはプロパー消化率なんて高まるはずもなく、むしろロイヤルカスタマーを作れば作るほどポイントによる値引き販売は増える一方になる。

意味をなさなくなった「プロパー消化率」にこだわるのは愚かしい行為であり、それよりも投資と同様に迅速に損切りをする方が重要である。死筋になる前に少しずつ値引きして消化率を高めて現金化するという手法こそが現在に則しているのではないか。

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RGトールギスをどうぞ。

夏と冬の年二回バーゲンにこだわるのはオッサン連中のノスタルジーに過ぎない

百貨店とルミネの「夏と冬の年2回バーゲン」にこだわる姿勢は、多分、オッサン・オバハンのノスタルジーなのだと思う。

なぜそう思ったのかというと、謎の美人(多分)ツイッタラーちまきさんがこんな返答をくれたからだ。

多分美人のちまきさんは、きっと40代くらいなのだと思う。
40代だと、こういう風景を若い頃に見たことがある。

48歳の当方だと若い頃に見た風景はセレクトショップではなくてDCブランドの長蛇の列だった。
恐らく、当方の高校生の頃(86年春~89年春)はデザイナーズキャラクターズブランド(DCブランド)の人気がピークだったと思う。
当方は大学を卒業するまでファッションに興味がなかったから、DCブランド人気はテレビのニュースで見るだけだった。
当時は、「たかが服を買うためになぜ並んでいるのか?」と不思議でしょうがなかった。衣料品の仕事をし始めてそういう消費行動も理解できるようになったが、本音を言うと今でもたかが服を買うために何時間も並ぶのは嫌いだ。

並ぶという行為そのものが嫌いで、行列のできるラーメン屋とか行列のできるスイーツとかは行ったことがない。
何時間も並ぶくらいなら、不味くて空いている店で食った方がマシだと思っている。

まあ、当方の嗜好はさておき、当時はアトリエサブだ、ビギだ、ナイスクラップだ、コムサだ、というDCブランドのバーゲン時にはオープン前から長蛇の列ができていた。
これは事実だ。

しかもバーゲンで半額と言っても定価が高いから、それでも高い。
10万円のスーツが5万円みたいな価格でもそれでもみんな買っていた。
かくいう当方だってブームがピークアウトし始めた93年か94年にバーゲンで6万円に値下がりしたアトリエサブの黒無地スーツを買った。
今なら、ジーユーで上下セットを5800円くらいでしか買わないのに。(笑)

どうして、ケチで貧乏な当方が6万円の黒無地スーツを買ったのかというと、安い店にはそれが売っていなかったからだ。

洋服の青山にもはるやまにも黒無地スーツは略礼服しか売っていなかった。
だから嫌でもDCブランドで買うしかなかった。

洋服の価格低下を嘆くブランドは多いが、このころみたいに「高い店にしかない差別化された商品」があれば、消費者は嫌でも高い服を買う。安い服が売れているのは、高い服と安い服の見た目がほとんど変わらなくなったからで、高いブランド側の商品企画の内容が低下しているからだということを自覚すべきである。

で、百貨店やルミネが追い求めているのはこのころの消費なのだろうと思う。

高い定価設定でも飛ぶように売れ、夏の終わりと冬の終わりにわずかに残った在庫を少しだけ値引いて売り切ってしまう。

これが彼らの掲げる理想で、その理想は少なくとも20年前には崩壊していることをまだ納得していないのだろう。

しかし、昨日も書いたように、ユニクロのフリースブームから20年が経過して、低価格SPAが消費者に浸透してすでに15年以上が経過している。低価格SPAは売れ残った商品を随時自動的に値下げして、セール品コーナーが常に店内にある。

またネット通販が浸透してすでに10年近くになる。

ネット通販の集客方法は値下げである。
楽天スーパーセール、ZOZOTOWNの割引クーポンのばら撒き、Amazonのタイムセールすべて同じ理屈である。
アダストリアのドットエスティだってタイムセール乱発中だ。

SPAとネット通販の値下げに慣れてしまった消費者が今更、夏の終わりと冬の終わりまでおとなしく待てるはずがない。

百貨店とルミネが理想とするバーゲンの風景はSPAブランドとネット通販が消滅してしまわない限りは実現されることは絶対にない。
そのことを理解していないのではないか。

48歳の当方ですら、DCブランドブームの狂乱をうっすらと覚えている。
ましてやそのころには就業していた50代以上の今の流通幹部にとっては、そのころの成功体験は鮮明に残っているのだろう。

しかし、年配層がノスタルジーをいくら追求したところで、時代が逆戻りすることはあり得ない。

当方の父親は若い頃、金がなくなったらよく質屋に時計を入れていたというが、今ならメルカリで販売することだろう。
質屋がすべてなくなるわけではないが、それでもかつての質屋がすべて残っているわけでもない。

もうメルカリを消滅させることはできないし、メルカリがなくなったところでヤフオクは残る。

アパレルの上層部も流通の上層部もいつまで20年前のノスタルジーの幻影を追い求めるのだろうか。
年配層がノスタルジーを追い求めれば求めるほど現状とは乖離していく。
年配層のノスタルジー追求は百害あって一利もない。むしろ有害だといえる。

アパレルも流通も上層部が現実を直視しない限りはますます苦戦し続けるだけのことである。

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複数の機能を積み上げて失敗したワイシャツ業界と、一つの機能に特化して打ち出して成功したオールユアーズ

今年から、某プリンスの押し付けによってマーケティングの授業を引き受けることになってしまったのだが、当方は体系立ててマーケティングを勉強したことがない。
ツギハギでやってきたわけだ。

昨年までの授業用の資料に沿って、そこに勝手に自分の見解を付け加えているわけだが、ポジショニングということを教えた。
資料に目を通すと、まあ、いろんなことが書かれてあるのだが、その中の一つに

「ポジショニングの一つの方法として、複数の機能や効能がある中から、一つか二つに集中して取り上げてアピールする」

と書かれてある。

これは非常に基本的なことだが、それこそマーケティングを体系立てて勉強している企業経営者やブランド運営者がどうしてこれを忘れてしまうのだろうかと、資料を読みながら思った。

その資料の中には一つの某石鹸が例として挙げられており、

体臭を消すという効能に特化した打ち出しで独自のポジションを築いた。

とある。

石鹸の効能は、殺菌作用や皮脂を落とすなどがあり、某石鹸でなくても普通の石鹸ならほとんどがこの効能を備えている。
殺菌作用の延長線上に防臭や体臭除去があり、殺菌作用のある石鹸ならすべて、防臭や体臭除去は可能になる。
しかし、あえて「体臭除去」だけをクローズアップしてヒットした石鹸があった。

資料にはこうまとめられている。

「多くの効能や機能を謳っても人間は一度に理解できない。人間が一度に理解できるのは1つか2つ。だから1つか2つに絞り込んで打ち出すことが重要」

と。

それこそMBAだ、ナンタラ大学院大学だ、を修めた人ならみんなご存知の知識ではないかと思う。
ところが現実的にはこの原理はほとんど生かされていない。だからたまにこれをキチンと活用した企業やブランドが出てくるとたちどころに大ヒットになる。

メンズのワイシャツが良い例である。

メンズのワイシャツが備えている機能性としては現在だと形態安定加工である。

それ以外だと

防臭
防汚
速乾

くらいだろうか。
あとはデザインやシルエットによってはストレッチ性である。

まとめると、メンズのワイシャツに必須の機能は

1、形態安定加工
2、防臭
3、防汚
4、ストレッチ性
5、速乾性

といったところではないか。
そして1が圧倒的で、2と3、4と5はあっても良いがなくてもなくても構わない。

そんな感じだと思う。

メンズのワイシャツは90年代半ばに形態安定加工が発明され大ヒット商品となった。
いくら大ヒット商品とはいえ3年くらい経過すると欲しい人はだいたい買ってしまっていて、新規購入客は少なくなる。あとは買い替えとか買い足し需要しかない。
5枚持っているから、2枚買い足そうというような感じである。

昨年は一気に5枚売れたのに、今年は2枚しか売れないということになる。
実に数量ベースで60%減である。

ヒット後3年くらいしてから、ワイシャツ業界は、その素材供給元の紡績と一体となって売り上げを維持させるために様々な機能性を付加していった。

最初は形態安定だけだったのが、そこに防臭が加わる。
次の年は防汚である。

その翌年は抗菌
その翌年は保湿
その翌年はビタミンC加工
その翌年は紫外線カット

という具合に、年を経るごとにどんどんと機能性が付加され、最終的には7種類とか8種類の機能を持つワイシャツが大量に売り場に並んだ。

その結果はどうだったかというと、今、その手の商品が残っていないことを見ればわかるようにまったくヒットしなかったのである。
先ほどのポジショニングの資料の逆張りをナチュラル感覚でやらかしていたわけである。

業界紙記者時代に、ビタミンC加工ワイシャツを発表されたときに思わず質問をした。

それってどういう効能があるんですか?

そうすると、

美白効果があります

という答えが返ってきた。

び、美白だと?

 

美白効果を求めているサラリーマンのオッサンがこの世にどれほど存在するのだろうか。
ゼロではないがひどく少数だと思う。そんなニッチな市場に向けて一体何万枚生産するつもりなのだろうか。
美白ワイシャツがあれば買うのは美肌プリンスくらいではないか。

紫外線カットも同様だ。

OL向けのレディースワイシャツ、ブラウスにこの機能を付加するのは理解できる。
しかし、いくらアイデア不足だからといって、オッサン向けワイシャツに付加したところで何の意味もない。
案の定その商品は売れずに早々に市場から姿を消した。

最終的に今も残っているのは形態安定だけである。

このことから考えると、複数の打ち出しの積み上げは何の意味もないということになり、ポジショニングの資料の正しさを証明していることになる。

クラウドファンディングで1800万円を集めたオールユアーズというブランドがある。
そこには速乾商品「ファストパス」があるのだが、これは機能性ポリエステル素材でできているため、本来はもっとたくさんの機能性がある。
ストレッチ、色落ちしにくい、劣化しにくい、軽量などなどだ。

しかし、オールユアーズはあえて「速乾」だけをクローズアップして、ヒットさせた。
彼らがマーケティングを体系立てて学んだかどうかしらないが、極めて資料に忠実な結果となったといえる。

きらびやかな学歴、経歴を持った人が業界には多数おられるが、どうして自社や自ブランドのことになると、それまでの学識や経験が生かされないのか不思議でならない。
過去のワイシャツもそうだが、それと類した下手くそな売り方のブランドや商品はアパレル業界には掃いて捨てるほどある。

それこそもう一度、基本に立ち返って論理的に考えてみてはどうか。

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これがオールユアーズのファストパスのチノパン。興味のある人はどうぞ。

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