カテゴリー: 販促 (1ページ / 6ページ)

ポイントを使った値引きがこれだけ広まっているのに「プロパー消化率」にこだわる意味がわからない

今年から某プリンスの押し付けでマーケティングの授業を受け持つことになったのだが、実は昨年からこれも某プリンスの押し付けで、計数管理の授業を受け持っている。
とはいえ、こちらも計数管理なんて素人だし、これまでの決算会見だとかの聞きかじりをつなぎ合わせてなんとかやっている。

計数管理の教科書には必ず「プロパー(定価)販売」が出てきて、それに関連して「プロパー消化率」という言葉が出てくる。

アパレル・繊維業界の俗語では「プロパー」にはもう一つ「生え抜き」という意味がある。
アパレル・繊維業界は中途採用や同業他社への移籍が多い業界なので、どんな企業も生え抜き組と移籍組が混在している。
その「生え抜き社員」を指して「プロパー社員」ということもある。

まあ、それは置いておいて。

定価販売というのは、店やブランドにとって利益を確保する最大の手段である。
定価で販売できればかなりの粗利益が確保できる。
だからどれだけ定価で販売できるかが重要であり、それを測定する指標としてプロパー消化率がある。

理論上ではそれはわかる。
値引きせずに定価で売るのが最大の利益をもたらす。
だからプロパー消化率を高めるというのも意味はわかる。

ところが、自身の消費行動を振り返ってみたとき、この「プロパー消化率」なる指標は、現代社会ではほとんど使えないのではないかと思ってしまう。

これはなにも2018年現在のことではなく、少なくとも2000年頃に各社がこぞってポイントカードを導入したときから、ほとんど使えなくなってしまったといえる。

少なくとも15年くらい前からは計測できなくなっているのではないかと思う。

例えば、先日、趣味のガンプラでリアルグレード(RG)「トールギス」という機種を購入した。
定価は税込みで2700円だ。

武装とバックパックが未完成なRGトールギスの本体

購入を考えるルートはいくつもある。
1つは近所のジョーシン、次はAmazon、その次が駿河屋の通販サイト、ヨドバシカメラドットコムあたりだ。
この中から最も割引率の高いところで買うのが当方である。

だいたいどこも2100~2000円くらいまで値引きされている。

Amazonはその当時は1930円くらいまで値引きされていたが、プライム会員ではないから2000円未満は送料が必要になってしまうからAmazonは除外だ。

残りはだいたい同じくらいの値段だが、ジョーシンとヨドバシは1000円分くらいのポイントがたまっている。
ポイントを使えば1000円ちょっとで買える。支払い総額を抑制する目的ならそのどちらかを選ぶのがもっとも理にかなっている。

ジョーシンはわざわざ自転車で20分もかけて出かけるのがめんどくさい。
となると、選択肢はヨドバシカメラドットコムということになる。

いくら安くてもヨドバシカメラドットコムは送料無料だ。
41円の消しゴムを買っても送料無料だ。

持っていたポイントをすべて使って1095円で購入した。
なんという安さ。

これはガンダムのプラモデルに限らず、洋服でも同じではないか。
当方は少し値引きされていたガンプラにポイントを使ったが、値引きされていない定価の洋服にポイントを使って安く買ったり、場合によっては無料にしたりすることがある。

他の皆さんも同様だろう。
メンバーズカードを提示して、ポイントが貯まれば、そのポイントを使って定価の服を安く買ったり、タダにしたりできる。
この場合のプロパー消化率はどう測定するのだろうか。
表示は定価販売でも場合によっては無料進呈になってしまっている。

2015年以降はメンバーズカードがスマホのアプリに置き換わった。

アプリにポイントが貯まる。
ポイントシステムは各ブランドによって異なる。
例えば、アダストリアの各ブランドは貯まったポイントはいくらからでも使える。10ポイントしかたまってなくてもそれを全部使える。
一方、ジーユーは最低でも100ポイントを貯めないと100円割引クーポンに交換できない。

ライトオンのメンバーズカードはアダストリア方式で貯まったポイント分だけ使える。

Amazonも貯まった分だけすぐにポイントが使えるし、Yahoo!ショッピングも同様だ。

こうなると、帳簿上プロパーで販売していても実質はポイントで値引きされているというケースは珍しくないだろうと推測できる。

そして、そのブランドの愛好者であればあるほどポイントは貯まりやすく、実質的に値引き販売を繰り返すことになっている。
だってそうだろう。例えば、ライトオンの太い顧客だとするとたくさん買うからそれだけたくさんポイントが貯まる。
それを使ってまた買うわけでその分値引き販売されているが、またポイントは貯まる。

それの繰り返しになる。

こうなるとプロパー消化率なんて指標は一体どうやって測定するのかということになる。

そしてロイヤルカスタマーになればなるほど、ポイントは貯まりやすく、その分値引き販売を繰り返していることになる。
もちろん、セール品にポイントを使ってさらに安く買うという当方のような人間も存在するだろうが、ロイヤルカスタマーは定価でも購入しているはずで、そのロイヤルカスタマーは常に定価品をポイントで値引き購入しているということになる。

ポイントカードが出現する前の時代ならプロパー消化率なる指標も測定できただろうが、ポイントカード出現後はプロパー販売なる指標はほとんど意味がなくなってしまったのではないか。
そしてポイントカードが出現したのはここ1,2年のことではなく、すでに15年くらい前から存在しており、現在はそれがアプリに置き換わってますます各ブランドに広がっている。

ポイントカード草創期はまだしも定着化した10年くらい前からはプロパー消化率という指標はほとんど意味をなさなくなったということになる。

にもかかわらず「プロパー消化率65%を目指せ」なんていう業界誌もあるのだが、この人たちはポイントカードやポイントアプリを一切使っていないのだろうか。
一切のポイントカードやアプリを絶滅させないことにはプロパー消化率なんて高まるはずもなく、むしろロイヤルカスタマーを作れば作るほどポイントによる値引き販売は増える一方になる。

意味をなさなくなった「プロパー消化率」にこだわるのは愚かしい行為であり、それよりも投資と同様に迅速に損切りをする方が重要である。死筋になる前に少しずつ値引きして消化率を高めて現金化するという手法こそが現在に則しているのではないか。

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RGトールギスをどうぞ。

夏と冬の年二回バーゲンにこだわるのはオッサン連中のノスタルジーに過ぎない

百貨店とルミネの「夏と冬の年2回バーゲン」にこだわる姿勢は、多分、オッサン・オバハンのノスタルジーなのだと思う。

なぜそう思ったのかというと、謎の美人(多分)ツイッタラーちまきさんがこんな返答をくれたからだ。

多分美人のちまきさんは、きっと40代くらいなのだと思う。
40代だと、こういう風景を若い頃に見たことがある。

48歳の当方だと若い頃に見た風景はセレクトショップではなくてDCブランドの長蛇の列だった。
恐らく、当方の高校生の頃(86年春~89年春)はデザイナーズキャラクターズブランド(DCブランド)の人気がピークだったと思う。
当方は大学を卒業するまでファッションに興味がなかったから、DCブランド人気はテレビのニュースで見るだけだった。
当時は、「たかが服を買うためになぜ並んでいるのか?」と不思議でしょうがなかった。衣料品の仕事をし始めてそういう消費行動も理解できるようになったが、本音を言うと今でもたかが服を買うために何時間も並ぶのは嫌いだ。

並ぶという行為そのものが嫌いで、行列のできるラーメン屋とか行列のできるスイーツとかは行ったことがない。
何時間も並ぶくらいなら、不味くて空いている店で食った方がマシだと思っている。

まあ、当方の嗜好はさておき、当時はアトリエサブだ、ビギだ、ナイスクラップだ、コムサだ、というDCブランドのバーゲン時にはオープン前から長蛇の列ができていた。
これは事実だ。

しかもバーゲンで半額と言っても定価が高いから、それでも高い。
10万円のスーツが5万円みたいな価格でもそれでもみんな買っていた。
かくいう当方だってブームがピークアウトし始めた93年か94年にバーゲンで6万円に値下がりしたアトリエサブの黒無地スーツを買った。
今なら、ジーユーで上下セットを5800円くらいでしか買わないのに。(笑)

どうして、ケチで貧乏な当方が6万円の黒無地スーツを買ったのかというと、安い店にはそれが売っていなかったからだ。

洋服の青山にもはるやまにも黒無地スーツは略礼服しか売っていなかった。
だから嫌でもDCブランドで買うしかなかった。

洋服の価格低下を嘆くブランドは多いが、このころみたいに「高い店にしかない差別化された商品」があれば、消費者は嫌でも高い服を買う。安い服が売れているのは、高い服と安い服の見た目がほとんど変わらなくなったからで、高いブランド側の商品企画の内容が低下しているからだということを自覚すべきである。

で、百貨店やルミネが追い求めているのはこのころの消費なのだろうと思う。

高い定価設定でも飛ぶように売れ、夏の終わりと冬の終わりにわずかに残った在庫を少しだけ値引いて売り切ってしまう。

これが彼らの掲げる理想で、その理想は少なくとも20年前には崩壊していることをまだ納得していないのだろう。

しかし、昨日も書いたように、ユニクロのフリースブームから20年が経過して、低価格SPAが消費者に浸透してすでに15年以上が経過している。低価格SPAは売れ残った商品を随時自動的に値下げして、セール品コーナーが常に店内にある。

またネット通販が浸透してすでに10年近くになる。

ネット通販の集客方法は値下げである。
楽天スーパーセール、ZOZOTOWNの割引クーポンのばら撒き、Amazonのタイムセールすべて同じ理屈である。
アダストリアのドットエスティだってタイムセール乱発中だ。

SPAとネット通販の値下げに慣れてしまった消費者が今更、夏の終わりと冬の終わりまでおとなしく待てるはずがない。

百貨店とルミネが理想とするバーゲンの風景はSPAブランドとネット通販が消滅してしまわない限りは実現されることは絶対にない。
そのことを理解していないのではないか。

48歳の当方ですら、DCブランドブームの狂乱をうっすらと覚えている。
ましてやそのころには就業していた50代以上の今の流通幹部にとっては、そのころの成功体験は鮮明に残っているのだろう。

しかし、年配層がノスタルジーをいくら追求したところで、時代が逆戻りすることはあり得ない。

当方の父親は若い頃、金がなくなったらよく質屋に時計を入れていたというが、今ならメルカリで販売することだろう。
質屋がすべてなくなるわけではないが、それでもかつての質屋がすべて残っているわけでもない。

もうメルカリを消滅させることはできないし、メルカリがなくなったところでヤフオクは残る。

アパレルの上層部も流通の上層部もいつまで20年前のノスタルジーの幻影を追い求めるのだろうか。
年配層がノスタルジーを追い求めれば求めるほど現状とは乖離していく。
年配層のノスタルジー追求は百害あって一利もない。むしろ有害だといえる。

アパレルも流通も上層部が現実を直視しない限りはますます苦戦し続けるだけのことである。

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複数の機能を積み上げて失敗したワイシャツ業界と、一つの機能に特化して打ち出して成功したオールユアーズ

今年から、某プリンスの押し付けによってマーケティングの授業を引き受けることになってしまったのだが、当方は体系立ててマーケティングを勉強したことがない。
ツギハギでやってきたわけだ。

昨年までの授業用の資料に沿って、そこに勝手に自分の見解を付け加えているわけだが、ポジショニングということを教えた。
資料に目を通すと、まあ、いろんなことが書かれてあるのだが、その中の一つに

「ポジショニングの一つの方法として、複数の機能や効能がある中から、一つか二つに集中して取り上げてアピールする」

と書かれてある。

これは非常に基本的なことだが、それこそマーケティングを体系立てて勉強している企業経営者やブランド運営者がどうしてこれを忘れてしまうのだろうかと、資料を読みながら思った。

その資料の中には一つの某石鹸が例として挙げられており、

体臭を消すという効能に特化した打ち出しで独自のポジションを築いた。

とある。

石鹸の効能は、殺菌作用や皮脂を落とすなどがあり、某石鹸でなくても普通の石鹸ならほとんどがこの効能を備えている。
殺菌作用の延長線上に防臭や体臭除去があり、殺菌作用のある石鹸ならすべて、防臭や体臭除去は可能になる。
しかし、あえて「体臭除去」だけをクローズアップしてヒットした石鹸があった。

資料にはこうまとめられている。

「多くの効能や機能を謳っても人間は一度に理解できない。人間が一度に理解できるのは1つか2つ。だから1つか2つに絞り込んで打ち出すことが重要」

と。

それこそMBAだ、ナンタラ大学院大学だ、を修めた人ならみんなご存知の知識ではないかと思う。
ところが現実的にはこの原理はほとんど生かされていない。だからたまにこれをキチンと活用した企業やブランドが出てくるとたちどころに大ヒットになる。

メンズのワイシャツが良い例である。

メンズのワイシャツが備えている機能性としては現在だと形態安定加工である。

それ以外だと

防臭
防汚
速乾

くらいだろうか。
あとはデザインやシルエットによってはストレッチ性である。

まとめると、メンズのワイシャツに必須の機能は

1、形態安定加工
2、防臭
3、防汚
4、ストレッチ性
5、速乾性

といったところではないか。
そして1が圧倒的で、2と3、4と5はあっても良いがなくてもなくても構わない。

そんな感じだと思う。

メンズのワイシャツは90年代半ばに形態安定加工が発明され大ヒット商品となった。
いくら大ヒット商品とはいえ3年くらい経過すると欲しい人はだいたい買ってしまっていて、新規購入客は少なくなる。あとは買い替えとか買い足し需要しかない。
5枚持っているから、2枚買い足そうというような感じである。

昨年は一気に5枚売れたのに、今年は2枚しか売れないということになる。
実に数量ベースで60%減である。

ヒット後3年くらいしてから、ワイシャツ業界は、その素材供給元の紡績と一体となって売り上げを維持させるために様々な機能性を付加していった。

最初は形態安定だけだったのが、そこに防臭が加わる。
次の年は防汚である。

その翌年は抗菌
その翌年は保湿
その翌年はビタミンC加工
その翌年は紫外線カット

という具合に、年を経るごとにどんどんと機能性が付加され、最終的には7種類とか8種類の機能を持つワイシャツが大量に売り場に並んだ。

その結果はどうだったかというと、今、その手の商品が残っていないことを見ればわかるようにまったくヒットしなかったのである。
先ほどのポジショニングの資料の逆張りをナチュラル感覚でやらかしていたわけである。

業界紙記者時代に、ビタミンC加工ワイシャツを発表されたときに思わず質問をした。

それってどういう効能があるんですか?

そうすると、

美白効果があります

という答えが返ってきた。

び、美白だと?

 

美白効果を求めているサラリーマンのオッサンがこの世にどれほど存在するのだろうか。
ゼロではないがひどく少数だと思う。そんなニッチな市場に向けて一体何万枚生産するつもりなのだろうか。
美白ワイシャツがあれば買うのは美肌プリンスくらいではないか。

紫外線カットも同様だ。

OL向けのレディースワイシャツ、ブラウスにこの機能を付加するのは理解できる。
しかし、いくらアイデア不足だからといって、オッサン向けワイシャツに付加したところで何の意味もない。
案の定その商品は売れずに早々に市場から姿を消した。

最終的に今も残っているのは形態安定だけである。

このことから考えると、複数の打ち出しの積み上げは何の意味もないということになり、ポジショニングの資料の正しさを証明していることになる。

クラウドファンディングで1800万円を集めたオールユアーズというブランドがある。
そこには速乾商品「ファストパス」があるのだが、これは機能性ポリエステル素材でできているため、本来はもっとたくさんの機能性がある。
ストレッチ、色落ちしにくい、劣化しにくい、軽量などなどだ。

しかし、オールユアーズはあえて「速乾」だけをクローズアップして、ヒットさせた。
彼らがマーケティングを体系立てて学んだかどうかしらないが、極めて資料に忠実な結果となったといえる。

きらびやかな学歴、経歴を持った人が業界には多数おられるが、どうして自社や自ブランドのことになると、それまでの学識や経験が生かされないのか不思議でならない。
過去のワイシャツもそうだが、それと類した下手くそな売り方のブランドや商品はアパレル業界には掃いて捨てるほどある。

それこそもう一度、基本に立ち返って論理的に考えてみてはどうか。

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これがオールユアーズのファストパスのチノパン。興味のある人はどうぞ。

タイムセールと割引きクーポンが乱発されてるのに「プロパー消化率」にこだわる意味あるの?

かつてアパレルやファッションショップは、勘と度胸とどんぶり勘定(KDD)で経営されていた。
バブルが崩壊し、洋服が売れにくくなったころから数値管理が本格化した。
これまでみたいな野放し状態では売上高はもちろんのこと、利益が確保できなくなったからだ。

これはアパレルだけに限らず、例えば出版社なんかもそうだ。

領収書による経費管理もずさんで、申請すればするだけ接待費がもらえたなんて話もバブル期は珍しくなかった。
97年に山一証券や北海道拓殖銀行など大手金融機関が倒産し、にわかに不況感が強まってから、アパレルも出版社も経費の締め付けと数値管理が如実になった。

その結果、さまざまな指標が作られるようになったが、今では逆にその指標にこだわるがために意味不明な分析がなされている。

その一つに「プロパー消化率」というものがある。
今でも専門学校生向けの計数管理の教科書にも掲載されている。

プロパー消化率というのは、平たくいうと値引き販売せずにどれだけの商品が消化できたかという指標である。
これが高ければ高いほど利益が増えるというわけだ。

そしてどうしても売れきれない商品だけをセールで捌く。

これが計数管理の教科書に載っている図式だ。

しかし、それができたのはせいぜい2000年前ごろまでだろう。
このころまでは不況だとは言いながら、夏と冬の年二回のバーゲンセールしかなかった。
店やブランドの「創業〇周年記念セール」とか「上場記念セール」とかそういうイレギュラーは別として。

測定もしやすい。夏と冬のバーゲン時期以外は、店頭で売れた物はみな定価販売されているからだ。
夏と冬のバーゲン時期にはバーゲン品と少しだけの定価品が混在するが、定価品をセール品と間違えてカウントしたところで誤差の範囲内だ。
1月と7月、それも下旬の1週間~2週間だけがバーゲンで、あとの10か月はプロパー販売なのだから、カウントも管理も楽で数値も算出しやすい。

しかし、今はどうだろうか。
夏と冬のバーゲンのほか、12月にはプレセールがあるし、某ストライプインターナショナルのように毎日何度もタイムセールを繰り返す売り方も横行している。
正規のバーゲンとは関係なく、毎月のように値下げ販売をしているブランドも珍しくないし、GAPやユニクロのように常に店内に「セール品コーナー」があるブランドも多い。

これでどうやって「プロパー消化率」を測定しているのだろうか。

おまけにネット通販だと割引や値下げはさらに乱発されている。
アダストリアホールディングスのドットエスティでは、しょっちゅうタイムセールが行われる。
実店舗ではタイムセールを行わないアダストリアだが、自社直営ECサイトではしょっちゅうタイムセールが開催される。
定価で買う奴はアホじゃないかと思う。

業界の期待が過剰じゃないかと思うZOZOTOWNだって値引きクーポンの乱発で、買い上げ客単価は20%くらい下がっていると出店者は嘆いている。

ジーユーではオンライン限定割引が存在し、店頭では値下がりしていなくてもネット通販では期間限定で値下がりする商品がある。

これでどうやって「プロパー消化率」を測定しているのだろうか?
そういう指標を出す必要があるのだろうか?

ネット通販というのは、はっきりというと値下げした者勝ちで、商品を簡単に手元の端末で比較できるため、実店舗よりも値下げしないと集客できにくくなる。
「店員さんや店長さんの接客のファンで」なんていう人が実店舗にはいるが、ネット通販にはいない。
書いてある文言や写真が何であれ、商品が同じなら誰だって安い方で買う。

当方がガンプラ(ガンダムのプラモデル)を買う場合は、Amazonと価格コムで値段を比べてから一番安いところで買う。
Amazonが安い場合もあればヨドバシカメラの方が安い場合もある。
ガンプラに関していえば、Amazonよりも安いことが多いのが駿河屋である。
だから年に何度か駿河屋のネット通販で買っている。

Amazonはプライム会員ではないので2000円以下は送料が必要になるが、駿河屋は1300円以上で送料無料になる。
1250円のガンプラを買う場合は50~100円の商品を探し出して抱き合わせにして送料無料にしている。

これがネットでの商品の買い方だ。服だって同じだろう。

本日の繊研新聞でこんなコラムが紹介されている。
結論はあまり正しいとは思わないが導入部分が参考になる。

https://senken.co.jp/posts/mete-0510

「無印良品」「ユニクロ」が堅調だ。主力商品を「買いやすい」価格に抑え、客数が増えている。注目すべきは正価販売を重視し、値引きを抑えている点。かといって正価で押し通し、売れ残りを増やすのではない。動きが悪ければ値下げして売り切る。その素早い判断の積み重ねが利益を産む。

謎の「プロパー消化率」を過剰に信仰している人はよく考える必要があるのではないか。

最近のユニクロは値引きが減っている印象がある。しかし、見切った商品は恐ろしい価格で投げ売っている。
例えば、当方が興味もないのに投げ売り度合いに惹かれて買ったのが昨秋のJWアンダーソンコラボ商品だ。
キルティングコート1枚、セーター4枚、シャツ2枚、Tシャツ3枚を買った。
デザインもまずまず気に入っていたこともあるが、何よりも値段が格安でバッタ屋並みの価格だったからだ。

オバハンの横顔がプリントされた半袖Tシャツなんて500円に値下げされていたし、派手なレゲエカラーみたいなボーダー柄のファインメリノセーターは990円に値下げされていた。
魚柄のラムウールセーターを当方は1990円と1290円に値下げされて買ってしまったが、最終的に500円にまで値下げされている。

この見切りは凄まじい。
これだけ値引きしていてもユニクロは直近の第二四半期決算で過去最高収益をあげている。

となると、「プロパー消化率」とやらにこだわる必要性はほとんどないのではないかと思う。

最近、老眼に突入したローガン・佐藤正臣氏もブログでこう書いている。

http://blog.apparel-web.com/theme/consultant/author/fashion-soroban/911c3b7e-647c-4e8f-a656-2e7aeb2b920a

プロパーの日本語訳は、普遍的な・元来の等の意味があります。
にも関わらず、ディベロッパー側の10%オフ(ルミネ10%的なもの)で売れているものは、プロパーでカウントする。タイムセールは商品の売変自体はしていないのでプロパーに含める?OFF率10%以内はプロパー売りとする??等。定義自体がしづらく、その定義そのものをコロコロと変えられるものです。

プロパーがもつ本来の言葉の意味で考えれば、売価変更していなくても「ポイントが多くつく」「カード割引」で商品を買える。と顧客が考えた自体で、(顧客の側から見れば)プロパーという言葉の本来持つ意味からかけ離れているのであり、プロパー消化とは言えません。この業界でいうプロパー消化率は、はっきり言ってしまえば「売価変更前消化率」であることが殆どです。

もちろん、値引きせずに売れる工夫は利益確保のためには必要だが、過剰にそれにこだわり不良在庫を抱えすぎて、期末にバッタ屋に二束三文で投げ売るよりも、ユニクロのように早めに見切って投げ売ってしまう方がはるかに利益率も高いし、損失も少なくて済む。

バーゲンセールとタイムセール、割引きクーポン、ポイント5倍デイが乱発されるご時世でプロパー消化率なんて過去の指標にこだわる意味はほとんどない。

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心斎橋筋商店街がドラッグストア街に変貌した理由とこれまでの変遷の推移
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n2eb0ac5ccb54

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「単なる手段」を「目的」だと履き違えたゾゾスーツ狂騒曲

連休の合間なので、昨日に続いてゾゾスーツについて。

ゾゾスーツ自体は計測するための道具であり手段に過ぎないが、ゾゾスーツへの支持・話題性の高さは、この「手段」が評価されたためといえる。「目的」を果たすにはゾゾスーツである必要性すらない。
とくに旧ゾゾスーツは、スーツ自体に近未来性があり、「手段」自体が高評価された。もしくは、多くの支持者が錯覚を起こした。

本来、計測したいのなら、別にあれである必要性はさらさらなく、家族に巻き尺で測ってもらったって数値が正確ならなんら問題はない。

量産化の目途もたっていないのに、旧ゾゾスーツの発注を開始したのは明らかにスタートトゥデイの勇み足でしかない。

当方はスタートトゥデイが嫌いだから、送料200円ですら支払うのが嫌で、旧ゾゾスーツも新ゾゾスーツも申し込んでいないし、これからも申し込まない。ついでにゾゾで服は買わない。同じ値段なら他のモールかそのブランドの直営ECで買う。

特に2000円を越える商品ならAmazonで買えば送料無料だし、アダストリアのドットエスティなら4000円以上で送料無料だし、ユニクロ・GUなら5000円以上で送料無料だ。ついでにいうと、店舗受け取りにするとユニクロ・GUは5000円未満でも送料無料になる。

何万円買おうが送料200円が必要なゾゾタウンでは絶対に買わない。もちろん何万円分も服を買うカネは当方は持ち合わせていないが。

それはさておき。

旧ゾゾスーツを勇み足で受注開始をし、何の断りもなく量産を撤回したからには、いくら無料(送料200円)とはいえ、注文者が不満を漏らすのは極めて当たり前といえる。

この反応に対して、Lineからスタートトゥデイに移籍した某役員がツイッターで、

「ゾゾスーツは計測する道具に過ぎず、メジャーや定規と同じ。定規やメジャーのデザインにそんなにこだわる必要があるのか?」



というような意味のことをツイートしていたが、部外者が言うならまだしも、スタートトゥデイの中の人間がこれを言ってしまうのはどうかと思う。
スタートトゥデイと旧ゾゾスーツが支持されたのは、「単なる道具」が「目的」だと優良誤認された結果だからだ。
その優良誤認の恩恵を最大限に被った会社の人間が何を言っているのかとあきれるほかない。

決して「計測した結果」が評価されたのではなく、「計測する手段」が過剰評価されたに過ぎないといえる。本来なら、自動巻き尺でもエキナカ計測システムでもなんでもよかったのである。

今回は消費者を巻き込んでの大優良誤認大会になってしまったが、アパレル界隈・繊維業界界隈ではこういう「手段」と「目的」の履き違えはよくある。
今だと差し詰め、猫も杓子もネット通販・EC比率向上だろうか。
20年前だとクイックレスポンス対応(QR対応)だったし、52週MDだったし、SPA化だったし、10年前ならライフスタイル提案型ショップだった。
そのいずれもが、本来は「物を売るための道具にすぎない」にもかかわらず、そこに対応することが業界全体の「目的」だと誤認された。

物さえ売れれば別にQR対応も52週MDもSPA化もライフスタイル提案型ショップもネット通販も必要ない。

 

そういう根本的な原則を各社・各ブランドは見誤って、そういうシステム構築を目的化した結果が今のアパレル不振である。

コンサルタントの河合拓さんが、今回のゾゾスーツ騒動について触れておられる。

https://comemo.io/entries/7255

騒いでいる人の騒いでいる理由が不明。となりで火事が起きるとかけだしわっせと騒ぐ騒ぎ屋さん達。実は、SNSなどで大騒ぎしている人は、ZOZOで買うのはスーツで無く服だということを忘れているのではと思います。服を見たこともない、着たこともないのに、未来的なボディースーツのデザインだけをみて、ユニクロもこれで打撃を受ける。ZOZOは世界制覇をする、など、テクノロジーに騒いでいるのです。
巷で言われる、目的と手段の逆転ですね。おそらく、売られているのが、デニムとTシャツだということさえ知らないのではないでしょうか。PBを売るためにこのスーツを開発したのに、騒いでいる人はスーツについて騒いでいる。全く理解できない話しです。

とのことで、これは本当にゾゾスーツに限らず、日本の消費者・アパレル業界が常にこれまでおかし続けてきた「手段の目的化」と同じであり、スタートトゥデイへの消費者の支持も優良誤認の賜物であると当方は見ている。

さらにいうなら、旧ゾゾスーツ発表時に掲げた「ミリ単位の精度」も優良誤認を意図的に招くキャッチフレーズだったといえる。

一口に衣料品といっても、ミリ単位の精度を必要とされる商品と、まったく必要とされない商品がある。

生地の話でいうと、編み物(ニット、ジャージ)やストレッチ素材が入った織物は何センチ単位で伸縮するので、ミリ単位の精度なんて全く不要だ。
例えば、セーターやTシャツは普通に3センチくらいは伸縮性がある。だからサイズが少し小さくても着られるし、引っ張って伸ばし続ければ、伸びた状態にもなる。
自社企画ブランド「ゾゾ」でTシャツを販売しておきながら、「ミリ単位の精度」なんて言ってる時点で意味がおかしい。

ストレッチ素材が入った織物(布帛)も同じで3センチくらいは伸び縮みするから「ミリ単位の精度」なんて不要である。

身幅よりも着丈の長短には気を使う部分もあるが、あえて短めに着る・あえて長めに着るという着方もあるため、センチ単位の精度は必要になってもミリ単位の精度なんてものはまったく必要ではない。

以前にこのブログでも書いたが、縫製段階ですでに1~5ミリ程度の誤差は常に生じているのである。

もちろん、ミリ単位は大げさに過ぎても、1センチ単位での精度を求められる服もある。
例えば、メンズのワイシャツ、ビジネススーツ、メンズ・レディースの靴などである。

メンズのワイシャツの首回り・袖丈は1センチの違いで着こなしが大きく変わる。
首回り39センチではピチピチだが、40・5センチならジャストサイズ、41センチだと不格好ということは普通にある。
袖丈も同じで、あまりに長すぎるとおかしいし、短すぎてもおかしい。手首のラインの上下1~2センチくらいが誤差の範囲内だ。それを越えると不格好になる。

靴はもっとも精度が求められる。
表示サイズで5ミリ小さければ、足を入れることさえできない。

ゾゾスーツであってもなくても、これらの商品をECで売るためには計測システムが必要になるが、Tシャツやセーター、トレーナー類ではまったく必要ではない。

最後になるが、河合さんが提言しておられるが、「サイズ」にこだわりすぎる今の風潮も服にとってはおかしな状況であるといえる。

しかし、世の中はサイズの話題ばかりがフィーチャーされている。また、カスタム・オーダーの話しをすると、必ず暗黙的に論点が(なぜか)サイズの話になっている。

スタートトゥデイは「サイズを計測してカッコイイ着こなし感のサイズの黄金比を算出する」とぶち上げているが、その「黄金比」とやらはだれが決めるのか?

例えば、オーダースーツ屋は各部位のサイズを計測するが、その各部位のサイズを単純につなぎ合わせるというようなことはしない。
それを直線で結ぶのか、それとも曲線で結ぶのかを職人が決める。
大手アパレルならデザイナーやパタンナーが決める。
そこには数学的な数値だけではなく、それこそ美的センスも必要になる。(この言葉は嫌いだが)

かつてのエディ・スリマンのディオールオムはピチピチがカッコいいとされ、現在のヴェトモンはダボダボがカッコいいとされている。そのシルエットを提案したのはデザイナーのセンスであり、デザイナーの独断と偏見による決定である。
そして世間はそのどちらもを「カッコイイ」と見ており、画一的な基準は存在しない。

じゃあ、スタートトゥデイは誰が、「そのシルエットがカッコいい」と決めるのだろうか?

前澤友作社長がそこまでのセンスを発揮して独断と偏見でシルエットの基準を決めるのだろうか?個人的には彼が決めたのなら、その基準はちょっと受け入れがたい。一体、どれくらいの人が彼が決めた基準を甘受するのだろうか。当方はそれほど多くないと見ているがどうだろうか。

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心斎橋筋商店街がドラッグストア街に変貌した理由とこれまでの変遷の推移
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ポップアップストアのメリットとデメリットはここ

どんなものでもそうだが必ずメリットとデメリットがある。
ポップアップストア(期間限定出店)も同じだ。メリットとデメリットがある。

先日、岡山県津山市のネクタイ縫製工場が自社ネクタイブランド「笏の音」のポップアップストアを阪急メンズ館うめだで開催していたので、覗きに行ってきた。
フェイスブックでお友達になっていたので、一度お会いしようと思ったわけだ。
1万円のネクタイが1日に10本以上売れ続けたということで成功といえるだろう。

「笏の音」のネクタイ

ポップアップストアのメリットとしては、無名ブランドや知名度の低いブランドが有名な商業施設で開催することで、知名度を高められるという点がある。

そういう意味では広告宣伝費と等しい。
通常の広告宣伝費はカネを払いっぱなしだが、ポップアップストアの場合は、物が売れれば収入となる。
そのため通常の広告宣伝よりも費用的に美味しくなる可能性がある。

常設店を作れば、家賃や人件費が必要になるが、1週間とか2週間くらいのポップアップストアなら自社スタッフで何とか回せるため、人件費はそこまで増えない。また家賃も必要ない。

一方でデメリットもある。
ポップアップストアではそれほど大幅な利益を稼ぐことは難しい。
ポップアップストアは家賃が必要ない代わりに、必ず売上高の何%を施設側に徴収される。
百貨店の場合は通常だとだいたい30~40%を徴収される。

10万円売れたとしても3万~4万円は百貨店に取られる。

よほど、超人気ブランドで百貨店が頼み込んでポップアップを開催してもらった場合はこの%はもっと低くなるが、通常のブランドだとだいたいそれくらいである。
1日に10万売れて、それが7日間開催だったとすると、売上高は70万円になる。
このうち百貨店は21万~28万円をもっていくというわけで、出店者の手元には42万~49万円しか残らないということになる。

この49万円で売れた商品の仕入れ代や製造費、店頭で立ってくれたスタッフの人件費・交通費・宿泊費、あとはこまごまとした備品などを支払うから純粋な儲けはさらに減る。

だからポップアップストアで大幅な利益を稼ぐことは基本的には難しい。

この構造を理解した上でポップアップストア出店するならそれはそれで一つの販売戦略といえる。
笏の音の場合は、ブランドスタートから間もないため、広告宣伝活動の一環とすれば大いにポップアップストアのメリットは大いにある。

しかし、すでに知名度が高いブランドはポップアップストアを頻繁に開催するメリットは少ない。
まあ、年に1回か2回くらいやるのは気分転換にもなって良いが、年間何十回もやる意味は、収益面から考えるとほとんどない。

逆にそこまで頻繁にやるなら、通常のスタッフをローテーションで回すことは難しく、それ専用のスタッフを雇ったり、販売代行社と契約しなくてはならなくなり、さらに収益面は圧迫される。

なんでこんなことをクドクド書いているのかというと、先日読んだ記事に疑問を感じたからだ。

1万円でバカ売れ 神戸発バレエ靴の戦略
http://president.jp/articles/-/24758

神戸のクロシェという企業が発売しているファルファーレという1万円のバレエシューズが年間8万足も売れるという内容である。

3万円以上か4000円以下かの2極化しているバレエシューズ市場に1万円という中間価格帯で提案した結果、年間8万足を売るまでに成長した。

ファッション用品不況の現状では、参考になることの多い内容だが、個人的にはこのクロシェのやり方はオンリーワンの要素が強く、真似ても失敗する可能性が高いと見ている。
参考にするのは構わないが、真に受けて真似るとひどいことになるだろう。

まず、中間価格帯商品のあえての投入という部分だが、個人的には意味のあることだとは思うが、現実的には攻め方を間違えて苦戦している中間価格帯ブランドは山のようにある。
エドウインなんかもその一つといえる。

日本製で8000円くらいのジーンズは本来価値があると思うが、それが高い評価を受けているかというとそうでもない。

また

ファルファーレには常設店舗はない。そのかわりにファルファーレは、1週間単位でポップアップストアを全国の各所で次々に出店していく。その数は年間で100以上にのぼる。これで年間8万足という販売の根幹を確保する。

とあるが、年間の3分の1もポップアップストアを開催するには、それ相応の投資が必要となる。
まず人件費である。本社スタッフをローテーションで投入して賄うことは100回以上もやっていれば不可能だ。
ポップアップ専門スタッフを雇っているか、そういう派遣と契約しているかだろう。クロシェはこれで成功したとされているが、他社が真似ても確実に成果が出るとは限らない。
むしろ、上でも書いたように収益は低いから早々にポップアップ疲れを起こすだろう。
労多くして益少なしの事態に陥る。

その昔、付き合いのあった独立したばかりのデザイナーズバッグブランドがあった。
彼らはブランドスタート当初はポップアップストアを頻繁に開催していた(とはいえ年間100回もやっていない)が、3年目か5年目くらいからポップアップストアを大幅に減らした。
理由は収益が悪いからである。いくらシャカリキに開催したって大きな利益は確保できなかったからだ。

これが現実である。

これまでと違うやり方として参考にするのは良いが、クロシェをそのまま真似ることはかなり危険度が高いといえる。

あと、この記事の書き方には疑問がある。
クロシェを中堅企業としているが、年間14億円程度の売上高では中堅企業とは言わない。
最低でも20億~30億円は必要だろう。

また、見出しの「バカ売れ」も陳腐で逆にうさん臭さを煽っている。
この手の経済雑誌や経済紙の記事は「バカ売れ」という表現を多用する。
しかしその実態の多くは、数量が少なかったり、数量自体が明示されていなかったりする。
クロシェの8万足は売れているといえるが、バカ売れという見出しは本当にバカっぽくしか見えないので、媒体側はあまり使わない方が良いのではないかと思う。

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こんな感じの靴らしい。

WAONカードと提携するなら、Tポイントカードとの提携のままで良かったんじゃない?三越伊勢丹さん

物事は1年くらいではあまり変わらないから仕方がないとはいえ、三越伊勢丹HDの政変から1年が経過したが現段階では大した変化は何も見られない。

外野から見ていて一番ずっこけるのがTポイントカードとの提携解消で、後継としてWAONカードとの提携を打ち出したことだ。
はっきり言って何の意味もない交代としかいえない。

Tポイントカードとの提携に批判があったことは周知の事実だ。
三越伊勢丹のイメージに、Tポイントカードのイメージがそぐわないというものだ。
また自前のMIカードもあるのにどうして外部との提携が必要なのかという声もあった。

中には、三越伊勢丹の高級イメージに、低所得者層のTポイントカードはミスマッチだとの声もあった。
しかし、Tポイントカードのアクティブユーザー数は6500万人であり、日本の総人口のほぼ半分にあたるから、所有者が一概に低所得者層とは言えない。
むしろ、富裕層もアクティブユーザーに入っているだろう。

以前にも何度も書いたが、Tポイントカードの増田宗昭社長と大西洋・前社長の両方にインタビューした経験からいうと、6500万人という圧倒的数量のビッグデータを持って、需要予測をすることで、三越伊勢丹の品ぞろえや販売戦略に好影響をもたらすことが狙いだった。
当然、失敗する可能性もあるが、今のままで三越伊勢丹の経営環境が上向く要因はほとんど考えられないから、やってみる価値はあった。

大西洋・前社長の電撃解任に伴ってCCCとの提携解消が発表されたのは残念だが仕方がない。
粛清人事というのはどこの組織にもある。三越伊勢丹もその例に漏れないというだけのことである。
人間は感情で動く不合理・非効率な生き物だということだ。だから当方は人間があまり好きではない。

提携解消をして従来のMIカードに戻すのなら話はわかる。
まあ、往々にして他組織でもよくある話だ。

しかし、イオングループのWAONカードとの提携は解せない。
なら、Tポイントカードとの提携のままで良かったのではないかと思う。

Tポイントカードのイメージが悪いと言っていた人たち(外野の評論家含む)は、WAONカードのイメージは良いとでも思っているのだろうか。
十分にWAONカードのイメージも低いと思うが。

イメージなんて個人の主観でしかないから個人的な主観でいうと、TポイントカードよりWAONカードの方がずっとチープなイメージがある。
当方からすればこちらの方がよほどイメージダウンだと感じる。

この提携から当方が感じることは2つある。

1、大西洋・前社長への憎悪は強烈であること
2、いろいろカッコウを付けてはいるが、MIカードでは足りないからビッグデータが必要

この2点である。
なんやかんや言い訳はしているが、ビッグデータは欲しいというのが透けて見える。

大西・前社長が手掛けたTポイントは、とりあえず気に入らないから同じくらいの規模感のあるところを選んだらWAONだったというところが実情ではないかと見ている。

http://diamond.jp/articles/-/164634

ここでは

また大西時代に始まり、3月末で終わるTポイントカードから切り替わる提携先が、なんとイオンの電子マネー「WAONポイント」。三越や伊勢丹の店頭で、端末にWAONカードをかざした際に「ワオン!」の“鳴き声”が響き渡る光景はなかなかインパクトがありそうだが、百貨店のブランドイメージにそぐわないと従来指摘されてきたTポイントカードの後継がWAONカードとあって、社の内外で落胆を呼んでいる。

とある。
そりゃそうだ。(笑)
Tポイントカードの代わりがWAONカードならイメージの低さは同じかむしろ強まっている。イメージアップにはまったくならない。
感情論を抜きにしていえば提携先を変える必要はまったくなかった。
むしろ、新たな作業が発生する分だけコスト増になって単年度とはいえ、収益を削るだけである。

 

もっとも「イオンとの提携を進め、不採算の地方店舗をイオンに譲渡する深謀遠慮」(別の三越伊勢丹関係者)との見方もある。とはいえ、旧三越と旧伊勢丹の企画や管理畑が労働組合と組んで大西前社長を追い出し、ひたすら営業畑の幹部を冷遇することに血道を上げる現体制が、イオンを相手にそれだけの大立ち回りを演じられるかどうかは疑問である。

 

とも記事は結んでいるが、このイオンとの提携はどうだろうか?
むしろ今更大手量販店と提携するのは愚策でしかないのではないか。

イオン本体も決して順調とは言えない決算が続いているし、セブンアイの子会社になったそごう・西武の凋落ぶりを見れば、容易に描ける未来予想図ではないか。

ほら、思った通りにかなえられてる~♪

なんて歌える状況でもない。
深謀遠慮などはなく、辛抱と遠慮しかないのではないか。(笑)

逆にイオンとすれば、セブンアイにあって自社グループにない百貨店はぜひとも欲しいだろう。
百貨店の凋落は凄まじいが、まだ百貨店固定客はいる。
ビッグビジネスではなく、固定層に向けたスモールビジネスに徹するなら百貨店は有効に使える部分もある。
また意味がわからないけど百貨店というブランドイメージは高い。

格安で手に入るならイオンは間違いなく入手するだろう。
もしも、政変の行き着く先がイオン傘下になるのだったら、まったく意味のない騒動だったとしかいえない。

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たぶん沈んじゃうと思う。

1時間に1人しか使わない「接客不要バッグ」なんて要る?

人の噂も75日と昔から言うが、実際のところは75日も持たないことが多い。
トウキョウベースの缶ビール接客事件をいまだに覚えている人がいるのだろうか?
ジャパンイマジネーションの下請け工場の工賃が安くて叩かれたことをいまだに覚えている人がいるのだろうか?

これと同じネタで、アーバンリサーチの「接客不要バッグ」があった。
発表当初はそれなりに話題となったが75日くらいですっかり存在を忘れ去られてしまった。
少なくとも当方は年末ごろにはすっかりその存在を忘れていた。

発表後、2週間くらいしてから店舗に「接客不要バッグ」を見に行ったが、その時点でだれも手に持っている人はいなかったので、これはそのまま廃れると思った。

75日で記憶から消去するのもあれなので、記憶から掘り起こして先日店舗に見に行った。
まだ「接客不要バッグ」があるのかどうか。

見事にあったが、やはり誰も使っていない。

もちろん、24時間365日観測し続けるわけにはいかないから、使っている人はいるかもしれないが、これだけ使っている人を見ないということはいたとしてもごく少数だろうということが推測できる。

実際のところ、どの程度の利用者がいるのだろう?と思っていたら、先日、その答えが発表された。

https://www.fashionsnap.com/article/fashionworld-urbanresearch/

一部の店舗で昨年6月から限定的に導入しましたが、現在も1日10人ほどのお客様が利用しています。

とのことで、はっきり言って、

利用者すくねーー。

 

営業時間が午前11:00から午後8時までとして、9時間である。
午後9時までなら10時間。

1日に10人の利用客というと1時間に一人使う程度ということになる。
そんなバッグ要る?(笑)

さて、以前にも書いたがどうして「接客不要バッグ」が利用されないか、それを改めて考えてみよう。

まず、接客されたくないというのはどういうお客なのか。

1、赤の他人となるべく接触したくない
2、買う気がなくて見に来ているだけ
3、自分のペースで選びたい
4、聞きたいことがあればこちらから質問する

の4タイプくらいではないかと思う。

ちなみに当方は、「いらっしゃいませ」「こんにちは~」くらいは声掛けをしてほしいが、それ以外は別に声をかけてもらう必要はない。
なぜなら、仕事以外で赤の他人と話すのは嫌いだからだ。
あと、聞きたいことがあればこちらから質問をするし、セールストークを聞きたいとはまったく思わない。

こういう人は接客不要バッグを持つ理由はあると思うが、それでもわざわざそれを持って目立つことはしたくないと考えるのではないか。

最大の問題は2の「買う気がなくて見に来ているだけ」という人だ。
1、3、4の人よりは格段に多いのではないかと思う。

アーバンリサーチの顧客、固定客であっても来店のたびに買う人なんてどんなブルジョワジーかという話で、「次の給料日にはあれを買おう」とか「プレセールではあれを買おう」とか「バーゲンではあれを買おう」とかそういう下調べに来ることがほとんどではないかと思う。
また、ネット通販で買うにしても実物を見てからという人もいるだろう。

こういう人がまかり間違って、その場で購入してしまうことはあるかもしれないが、それは絶対的に少数で、その僥倖は期待できない。

今日は買う気がない人が、わざわざ店内で、「本来は買うための」バッグを持つという行動がまったく不合理なのである。
バッグは持ったものの、そこに商品を入れることはなく、結局はまた入り口で返却するわけだからアクションとしてはまったく無駄で、からのバッグをぶら下げたまま店内をうろつく姿は間抜けでしかない。

どうだろうか?買う気がないのにショッピングバッグをぶら下げている姿を想像してみたらひどく間抜けだとは思わないだろうか?

じゃあ、どういうふうにすれば、もう少し利用頻度が高まったのだろうか。
改めて考えてみる。

接客不要ということは、買う気がない場合が多いので、わざわざ買うためのバッグを持つというのは逆の行動になる。
とすると、買う気がある人に「接客してもらってもOK」という印としてバッグを持ってもらった方が、まだ利用頻度は上がったのではないだろうか。
なにせ、買う気があるのだから、多少のアドバイスは聞いてみたいだろう。

赤の他人と話すのが嫌いな当方だって買うときは多少のアドバイスは聞いてみたい。

もちろん、聞くに値しないアドバイスもあるが、有益なアドバイスが聞ける場合もある。

それと、接客不要バッグをわざわざ作らずとも、ユニクロや無印良品、GAPのように「いらっしゃいませ」「こんにちは」の掛け声だけであとは質問されるまで放置しておくスタイルが定着すれば、声掛けを恐れるお客も減るのではないかと思う。

販売員経験からいうと、声をかけた方が購入率は上がる。
とはいっても、無理やりに購入させたことはない。それでも「試着できますよ」とか「どうですか?」とか一声かけるだけで購入率が本当に上がる。

もちろん、中には強引な声掛けで無理やり買わせてしまう販売員もいる。
そういう販売員を作らなければ、買う気がないのに持ってもらうとう「接客不要バッグ」なんてものはそもそも必要なかったのではないかと思う。

どうだろうか。とりあえず、1時間に一人しか使わないバッグははっきり言って無用の長物ということだろう。

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スニーカービズってなんで私服警官みたいな服装を提案してんの?提案する側はアホなの?

健康増進のためにビジネスでもスニーカー着用というスニーカービズが提唱されているが、意味がわからない展開になっている。

提唱した行政はもとから服装のことなんてちっともわかっていないのは当然として、受けている衣料品業界、靴業界もなぜか「本来は」服装のプロであるはずが、ネクタイ着用のかっちりとしたスーツにナイキやニューバランスなどのオーソドックスなスニーカーを合わせようとしていたり、それを見てファッソニスタたちは「合わない」と叫んでいたりする。
およそ「プロ」とは思えない動向ばかりである。

もちろん、革靴よりはスニーカーの方が歩きやすく足が疲れにくいことは言うまでもない。
また革底の革靴よりもゴム底の革靴の方が疲れにくく機能性が高いことも言うまでもない。

現在、多くのビジネスマンが革底の革靴ではなく、ゴム底の革靴を履いているのは極めて当然といえる。
本来の「スニーカービズ」はこれをさらに進めるべきであり、「スニーカー」にこだわる必要はまったくない。
ゴム底のクッション性をさらに高めるとか、アッパーの革(合皮も含む)をさらにソフトにするとか、そういう工夫で達成できる。

しかし、プロであるはずの受け手が提唱するのは、選挙運動中の政治家か私服警官みたいなスーツ+ネクタイ+スポーツシューズである。
ちょっと頭がおかしいのではないかと思う。

端的に提示してくれているのが、このセシールのページなので紹介してみたい。
画像もいくつかお借りする。

https://www.cecile.co.jp/sc/sneakers/

これらはどう見ても巡回中の私服警官かブレザーが制服の高校生にしか見えない。また手提げのスポーツバッグっぽい鞄が高校生感を10倍増ししている。
仮にもファッションを販売する会社がこの程度の提案力しかないから服もファッションも売れないのではないかと思う。
何もセシールだけのことではない。同様の提案をしている衣料品、ファッション企業は掃いて捨てるほどある。

この手のナイキ、アディダス、ニューバランスなどのスポーツシューズに合わせるなら、正絹布帛のネクタイまで締めるべきではない。
スーツはそのままとして、インナーはTシャツやタートルネックなどのカジュアルアイテムを合わせ、ズボンの裾は短めに切るかロールアップするかすべきである。
こうすれば、カジュアルなおしゃれセットアップになるが、この服装だと出版やアパレルなどの企業なら問題ないかもしれないが、ゼネコンや金融などのお堅い職場では叱責される。

出版やアパレルなどの服装規定の緩い職場の服装をさらに緩くさせるのが目的ではなく、お堅い職場に勤める人の健康増進を考えるなら、私服警官ルックなんて推奨すべきでもないし、政府が認可すべきでもない。

例えば、見た目は限りなく革靴に近いが、クッション性や機能性は限りなくスニーカーに近い靴を推奨すべきだし、業界はそういう物を提案すべきで、業界が先んじてなんらスタイリッシュではない私服警官ルックを推奨するというのは「プロ」としていかがなものか。

例えば、アシックス商事が展開する「テクシーリュクス」というシリーズがある。

https://www.asics-trading.co.jp/brand/texcy_luxe/

画像を一つお借りすると、こういう具合である。

これなら、普通のゴム底革靴にしか見えないから金融などのお堅いスーツにも合わせても違和感はない。
決して私服警官には見えない。

もちろんこのほかにもさまざまなブランドがこういう機能性革靴を打ち出している。
あんまり認知されていないが。

行政に服装のことを期待する気なんてさらさらないが、衣料品・靴業界はこういう物を提案、開発すべきで、無理やりに私服警官ルックを「イケてる」と吹聴するのはプロとしての意識があまりにも低いのではないか。

また、ファッション雑誌を除くメディア関係者も極めて服装に疎い人が多いから、私服警官ルックに少し疑問を感じながらも報道してしまう。

とはいうものの、快適な商材に需要が流れるのも事実で、正統派とされる革底の革靴の着用者が減るのは極めて当然である。
クッション性がない上に、雨の日は底から水が染みこんでくる。
「欧米デワー」の出羽守どもや「本物ガー」が何を言おうと知ったこっちゃない。
こんな不便な靴は履きたくない。しかも価格は高い。

それなら安価でクッション性がまだましで底から水も染みこんでこないゴム底の革靴を履いた方が一億倍ましだ。

しかし、ゴム底の革靴も従来のマス需要に安住しすぎてきたのではないかと思う。
もちろん、さまざまな取り組みがこれまでもあったし工夫もあった。
ただ、これまで大衆には認知されなかったし、業界やメーカーも認知されるための努力が不足していた。

今回の「スニーカービズ」はそういうさらに機能性を高めたゴム底革靴の認知を高め、需要を増やす好機なのではないか。

業界はそこに注力すべきで、私服警官や万引き防止Gメンみたいな服装を推奨することでお茶を濁すべきではない。
そういう安易なお茶の濁し方をしてきたから「売れない」という状況に陥っているのではないか。

私服警官ルックが本当に、心底かっこいいと思っているなら、霞が関の官僚がやってみてはどうか。
まず隗より始めよでないか。言い出した人間が手本を見せるべきである。

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アシックスのテクシーリュクスはAmazonでも売ってるよ。

ターゲットと販路によっては「色落ちしないデニム」を作ったら良いんじゃないの?

昔、ボブソン、ラングラー、リーバイスのジーンズを販売していたのでジーンズは好きだが、独立したころから、いわゆる「デニム業界」の姿勢には疑問を感じるようになった。

デニム生地は、よく知られているように、

中心部分を白いまま「芯白」の状態で残してその周りをインディゴ染めした経糸と、白いままの緯糸で織った綾織り生地で、経糸3本に緯糸1本の割合

となっている。
この芯白がデニムが色落ちする理由の一つである。

デニム生地は色落ちするというのが絶対的な定義だが、そこに過度にこだわる必要があるのか疑問を感じる。
例えば、ソファーやラグマットにデニム生地を使いたいという要望が増えている。
ところが通常のデニム生地を使うと、白いズボンやシャツ、淡色のズボンやシャツを着て座ったときに移染する可能性がある。
それが理由でデニム生地の使用を躊躇するブランドは少なくない。
ブランド側の懸念は当たり前だ。
当方が家具ブランドでも使わない。

洗い加工場の三陽ハイクリーナーの独自雑貨ブランド「アライヤン」は、それを懸念してか、洗い加工を施して色を薄くしたデニム生地を使う。洗い加工で色を薄くすれば移染する可能性が低まる。

これはこれで一つの解決策といえるが、濃紺のデニムにもまた魅力がある。
あの見た目のデニムを使いたいという要望もある。

そういう需要を取りこぼさないためには、「色落ちしないデニム」「色落ちしにくいデニム」を作れば良いのではないかと思う。
実際にそういうデニム生地もある。
もちろん、正統的な製法ではないし、厳密な定義からするとデニム生地ではない。

このブログでも以前に提案したことがあったが、デニム業界とそれに近い筋からは「そんなものはデニムではない」という反発があった。
しかし、需要があるなら対応すればよいだけのことではないか。
さらにいえば、通常のデニムを作る傍らそういう色落ちしないデニムを作れば良いだけのことで、通常のデニムを廃止しろと言っているわけでもない。何を反発しているのかさっぱり理解ができない。

なぜそういう「使い分け」の提案すら反発するのか理解不能だ。

先日、こんなニュースがあった。

経年変化を楽しめるデニム地の床が誕生
https://www.wwdjapan.com/572475

 建材用床材の製造・販売を手がける田島ルーフィングが、デニム生地メーカー大手のカイハラとコラボレーションし、デニム生地を用いた床用タイル“デニムフロア”を発売した。価格は1平方メートルあたり1万5000円。
“デニムフロア”は、表面にデニム生地を用いた床用タイルで、田島独自の加工技術と特殊コーティングにより、ジーンズのような経年変化を楽しむことができる。色落ちや経年変化がポジティブにとらえられるデニムの特性を生かすことで、床の傷や劣化というネガティブなイメージを払拭する狙いがある。

とのことで、床材の開発自体は良いと思うのだが、問題は以下だ。

 

ただし、インディゴ染料で染められたデニム生地を使用しているため、衣類に色移りする可能性があるといい、住宅内部での使用には注意が必要だ。

 

ここで色落ちさせる意味があるとはまったく思えない。
それこそ、色落ちしにくいデニム・色落ちしないデニムを使うべきではないのか。

こんな不便で高い物を自宅の床に敷きたいという人はほとんどいないだろう。
マニアのための床材だといえる。

オフィスや店舗に敷いたところで、やっぱり白い靴や白い什器に移染する可能性があるから、それほど使い勝手は良くない。

たしかにコンセプトや見た目は面白いが実用的ではない。
「見せる」だけの商材となる可能性が非常に高い。

ここでもまた「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?」を思い出した。

400万人の集客で良ければ、USJは映画に特化したテーマパークで良かったが、1000万人の集客を目指すと映画に特化しているとマニアック過ぎて達成できない。

という一節だ。
この商材でどれほどの売上高を目指しているのかはわからない。
もし、年間数千万円程度で良いならこのままで達成できる可能性が高い。
この商材は「映画に特化したUSJ」だといえる。

しかし、何億円規模の販売を目指しているなら、色落ちしにくい・色落ちしないデニムに変更すべきだ。
これは「1000万人を集客」できるような商材ではない。

以前にも書いたが、オイルをしみこませてぬるぬるしてオイルのニオイがするバブアーのコートや、頻繁な修理が必要で洗濯するにも一苦労というマッキントッシュのゴム引きコートは、どんなにその魅力を力説したところでそんな不便な商材はマスには売れない。
しかも安ければまだ売れるかもしれないが、高いとなるとよほどのマニアしか買わない。

これを指して「消費者の感性が退化している」とか「消費者が堕落した」とか非難するのはお門違いも甚だしい。

消費者ニーズを理解しない方が退化して堕落している。

この色落ちするデニムの床材は、20坪で99万円になる。
これを高いと思うか安いと思うかは人それぞれだが、当方なら99万円も払ってこんな不便な床材は敷きたくない。

変える部分と変えない部分の見極めということになるが、当初のUSJでは「映画に特化した」部分は「変えない部分」と考えられていたが、大衆化するためにはそれは「変える部分」だった。

デニム生地の「色落ちすること」はデニム業界人やそれに近しい人は「変えてないいけない部分」と見ているが、果たしてそうだろうか?そこは販路とターゲットによっては「変えるべき部分」だと断言できる。
衣料品業界にはこの手の見誤りはデニムに限らず、まだまだたくさんある。そこを整理するだけで少しは売上高が増えるのではないかと思う。

それができない限りはまだまだ売上高は低下し続ける。

NOTEを更新~♪
プライベートブランド「ZOZO」の生産システムは、現時点では「完全オーダーメイド」ではない
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/nc6e9da2bffeb

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アライヤンってこんな商品群。一例が↓

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