カテゴリー: 販促 (1ページ / 4ページ)

無名ブランドはウェブサイトを開設しただけでは売れない

何度も書いているように、よほど強固な信念がない限りは、現在において企業もブランドもウェブサイトは必要不可欠である。
どんな不細工なサイトでもないよりはあった方が良い。
それが第1歩だが、2000年ごろのインターネット草創期ならいざ知らず、ウェブサイトを使って集客や物販を行うとすると、それ相応の工夫が必要となる。

しかし、繊維業界・アパレル業界はこの分野に極めて弱いから、多くの企業やブランドは「とりあえずウェブサイトを開設しましょう」という段階である。

一方で、すでにウェブサイト自体は有象無象がひしめき合っているし、通販サイトは乱立している。

何度も書いているようにYahoo!ショッピングだけで40万店くらいは出店しているし、店舗数が減少している楽天でも4万店の出店がある。
この2つだけで重複出店も含めて44万店もあり、よほどの工夫を凝らさないとその中に埋没してしまうことは間違いない。

ベタな例えをすると、脱サラして居酒屋を開店したとして、競合が44万店あれば、よほどの「何か」がないと消費者からは選ばれない。
無名の居酒屋が繁華街にオープンして、そこに初日からわざわざ来てくれる客がどれほど存在するか。
すでに常連になっている店に行くだろうし、常連になっている店がなければ有名店に行く。
無名の居酒屋が選ばれる理由は何一つない。

無名の企業が今、新規にウェブサイトを開設するということは、こういうことである。

これを忘れて、ウェブサイトを開設すれば即座に多くの人が流入すると思っている残念な人が繊維業界には多い。
それだけアレだとさぞかし人生は楽しいのだろうなと思う。

さて、このブログを9月下旬にワードプレスでリニューアルしてくれたのはスタイルピックスという会社なのだが、そのおかげもあってスタイルピックスとウェブサイトの仕事で絡むことが増えた。

http://style-picks.com/

トップページには同社の短髪の看板娘の動画が貼ってある。

で、ウェブサイト開設、ウェブサイトの運用というのを見ていると、「どのように呼び込むか」が重要だと改めて痛感させられる。

企業やブランドがウェブサイトを開設する理由はつまるところは、

物(サービス)を売りたい(平たくいうと金儲けがしたい)

であるが、そのためには

1、ファンを増やす必要がある
2、定期的にサイトを見に来てもらえる内容をアップし続ける

ことが必須になる。

そのためには、単に品物(サービス)だけを並べているだけでは、よほどの超有名ブランドでもない限り不可能であり、そのために各社はブログを更新し、動画やコーディネイト画像をアップしている。
いわゆるコンテンツを強化している。

価格優位性があるといわれているユニクロとジーユーでさえ、単純な商品の陳列だけを行っているのではない。
コーディネイト画像の更新やら、ちょっとキモいタッチの松浦弥太郎氏のコラム連載やら、タレントが語り掛けてくれる動画コンシェルジュだとかそういうことをやっている。
価格優位性があり圧倒的知名度がある、ユニクロとジーユーがこれほどの工夫を凝らして売っているのに、無名のブランドが何の工夫も凝らさずにどうして売れると思えるのだろうか?その考えがわからない。

それに気が付いて、ブログをアップするブランドや企業も増えたが、個人的に「それでは効果が上がらない」と感じる事例は多数ある。
もちろん、ブログはやらないよりはやった方が良いことは前提であることは言うまでもない。

例えば、大手ではないジーンズブランドがあったとして、ブログにアップできる内容は様々ある。

ジーンズというアイテムの説明だけでも何回も書けるだろう。
それ以外にも、

ジーンズ業界について
デニム生地いついて
縫製について
洗い加工について
ジーンズファッションについて

などが考え付く。

これは他のジャンルのブランドでも同じだろう。
「ジーンズ」「デニム」をそれぞれのジャンルの商品や素材に置き換えれば良い。

いわば、これらはマクロな話。

自社のブランドや活動というミクロなことも不可欠で、問題はそれの書き口ではないかと思う。

「今朝も〇〇工場さんと打ち合わせで岡山に出張です。がんばります」程度な文字数なら、はっきり言って「ツイッターに書いていろよ」と思う。
また、自社の商品のセール情報しか書いていないならそれは折込チラシと同じで、ほとんどの場合が流される。

仮にも独自ブランドを名乗っているなら、商品の工夫した点や生産背景との取り組みがあるだろうから、それをキチンと書く必要があるのではないか。

1、商品デザインについて
2、使用した素材について
3、パターンなどで工夫した点について
4、製造を請け負ってくれている各工場について
5、個人的な考えについて

などである。

これらがないのであれば、エドウインかリーバイスの代理店でもやっていればいい。
おわかりいただけるだろうか?

もちろん、人間は綺麗ごとだけでは生きていない。むしろ綺麗ごとの方が少ない。
人間の生きている理由のほとんどは汚くて利己的な理由ばかりだと思っている。

「とりあえず手っ取り早く儲かりそうだからブランドをやってみた」とか、「理由はあまりなくて何となくブランドを始めてみた」とか、見聞きした範囲でいえばそういうことが数多くある。

まあ、それはそれで書けば良いだろうし、それでも業務としてやっていくうちに、独自に工夫を凝らしている部分が自然発生しているだろうから、それを書くべきである。

この辺りを整理してコンテンツを作れているブランド、作る気があるブランドは極めて少ないと感じる。
逆に批判はあっても、現在のウェブでの勝ち組ブランドはこの辺りを実行しているといえる。

あと、ウェブサイト開設・運用には確実にカネは要る。
最低限のカネは絶対的に必要である。
ときどき、いまだに「10万円くらいでサイトを作ってほしい」とか「3万円でサイトを作ってほしい」とかいうとぼけた人が繊維業界には山のようにいるが、100万円とか1000万円とかバカ高い金額は必要ないが、世間相場を知らないと話にもならない。

機械類なら何百万でもポンと支払う製造加工業者、酒を飲ませる店になら何十万円でも気軽に支払うアパレルメーカー経営者、自分の飲み食いになら毎日惜しげもなく散財する個人事業主などに限って、ウェブサイト製作に3万円とか5万円とかのあり得ない価格を提示するので呆れ果てることが多い。結局はそういうレベルの業界なのである。

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若者に存在すら知られていないベネトン ブランドが忘れ去られる速さ

以前にも書いたが、月に何度かファッション専門学校で講義をすることがある。
まあ、めんどくさいことも多いが、10代後半から20代前半の若者の意見を聞くことができて、非常に勉強になる。
若者論をぶち上げるつもりは毛頭なくて、自分たちの若い頃と同じ部分もあるし、まったく違っていて驚かされることもある。
時代が変わって、生活様式も変わっているので違っている部分があってもそれは当然で、25年前とまったく変わらないのであれば、そちらの方が逆に驚異的である。

先日、講義の中で「ベネトン」というブランドについてチラっと触れた。
反応がいまいちだったので、「ベネトンって知ってる?」と尋ねてみたが、10人強いる学生の全員が「知らない」と答えて驚かされた。

現在、ベネトンの商品を買っている人は少ないのではないかと思うが、30代以上の業界人で、ベネトンの名前を知らない人はほとんどいないだろう。

2010年ごろに買ったベネトンのセーター。2700円くらいに値下がりしていた。

 

ベネトンは近年、国内の店舗網を減らし続けてきた。

2000年頃から国内に積極出店していた大型路面店もほとんど閉店してしまった。
心斎橋店は2011年に閉店しているし、表参道店は2014年で閉店している。
梅田店も閉店して、その後はヨドバシカメラ梅田店内に中規模店として移転している。
(現在ではアウトレット店となっているらしい)

たとえば、18歳の若者がいたとして、この人がファッションに興味を持ち出したのは、早くても12~13歳くらいだろう。
遅ければ、15~16歳くらいだろう。

そうなると、6年前にはベネトンのメガストアが閉店し始めており、2年前にはベネトンメガストアのほとんどの店舗(2014年当時は熊本店を除く全店閉鎖)が閉鎖してしまっており、ファッションに興味を持った時点では、彼らにとってベネトンはこの世に存在していないに等しいブランドになっていたといえる。

だから彼らがベネトンというブランドをまったく認知していなかったとしても何の不思議もない。

さらにいえば、ベネトンの公式サイトを見ても店舗数がめっきり減っている。

東京には1店舗、愛知県には5店舗、関西には京都1店舗と大阪の八尾に1店舗しかない。
そうなると、関西の若者だけでなく、東京の若者にだって認知されていないという可能性が極めて高いと考えられる。

そして、ウェブ上でもベネトンに関するニュースはほとんど流れてこないし、SNS上でもベネトンの情報が流れてくることもない。

こうなると、若い人が「知らない」というのは極めて当然である。

単にベネトンをdisりたいのではなく、露出が減るとたった5年くらいで忘れ去られたブランドになり果てるというこことが言いたいのである。
これは各ブランドが気を付けなくてはならないと思うのだが、一般消費者が忘れる速度は驚くほど速い。
店舗数が激減してウェブ上でも見かけなくなればその存在なんて5年くらいで忘れ去られてしまう。ベネトンが好例ではないか。

じゃあ、忘れ去られないためにはどうすれば良いのかというと、財務的に店舗数が維持できなくなったら、圧倒的にウェブ上での情報発信をするほかない。
そうしないと、実際の日常でも見かけない上にネットでも見かけなくなるからあっという間に忘れ去られてしまう。

いささか状況は異なるが、9月下旬にTOKYOBASEの飲酒接客が炎上したが、たった2か月後の現在、すっかり話題は沈静化している。
一般消費者の忘れる速さというのはこれほど速い。

これを逆に考えると、店舗数も情報発信も激減したブランドが忘れ去られる速度はどれほど速いのかということがわかるのではないか。

はっきり言って、今の状態から国内でベネトンのブランドイメージを回復させることは至難の業である。
レノマパリスが何をやってもブランドイメージを回復させられないことや話題に取り上げられないことを鑑みれば、一目瞭然だろう。

一方で、無節操なセレクトショップコラボを多発して露出を圧倒的に増やしたチャンピオンがそれなりに人気ブランドとなっていることは、これの逆バージョンではないかと思う。
チャンピオンなんて、30代半ば以上の人にとっては、部活のときの練習着とか体操着というイメージしかない。
あの目玉みたいな「Cマーク」もなんだかダサく思える。

しかし、今のファッション好きはあの「Cマーク」のデカいロゴのTシャツやスエットを得意気に着ている。
おっさんからすれば部活の練習着かと思ってしまうのだが、市場の価値観は変化するものである。

広く知られなくてもしっかりと顧客に密着してビジネスを行えば良いという意見もあるだろうが、今の中高年層の支持者はいずれこの世からいなくなる。人間は誰でも確実に死ぬからだ。

そうなると、若い世代に知られていないということは、ブランドとしては致命的な欠点だといえる。
いずれ今の顧客が死に絶えてしまうと、新しい世代には顧客がいないということになってしまう。

そのあたりを考えると、企業やブランドが永続的に続くためには、比率は別として若い層へのアプローチは絶やすべきではないと思う。

知られていないのは存在しないのも同然なのである。

それにしてもベネトンの知名度がここまで低くなっているというのは衝撃的だったし、まさしくゼネレーションギャップそのものだといえる。

他のアパレル企業・アパレルブランドもご注意を。

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ファッション雑誌の販売部数は激減している

最近、ファッション雑誌をほとんど読まなくなった。
当方はモデルやタレントに一切興味はないので、元からそれが目的では読んでいない。

93年に「デモシカ」で洋服販売員になるまではファッションに興味はなかったから、働き出してから「勉強しなくちゃ」ということでファッション雑誌を読み始めた。
仕事で商品を扱っていることもあって、読んでみると意外に面白かった。
まあ、暗記することが好きなので、読んで新しい用語を覚えることが当方にとっての快楽だっただけのことである。

洋服のコーディネイトなんてまったく知識がなかったから、ファッション雑誌の全コーディネートを暗記するまで繰り返し読んだ。
月刊誌を1冊買って、それを10回以上全ページ読んですべてのコーディネイトを暗記した。

暗記量が増えると、買い物に行っても「あ、あの号のあのページに掲載されていたシャツと似ている」ということが瞬時に思いつくようになり、じゃあ、「似たようなこのジャケットと合わせればあのページが再現できる」という選び方ができるようになった。

もちろん、雑誌に載っている商品はン万円もするので、貧乏人であり貧乏性な当方がそのまま買うはずもない。
似たような安い商品で代用するのである。

似たような安い商品だけでどこまで再現できるか、というのも貧乏性の当方にとってはなかなかの快楽で、そのまま今に至っている。

2005年までおよそ10年間はそんな生活が続いていた。
2007年ごろから、一応1冊は買うけどそんなに繰り返し読むことはなくなった。
覚えなくてはならないコーディネイトがなくなったからだ。

それでも惰性で毎月1冊は買っていたが、2010年頃から買うことすらしなくなった。
今では発売日に書店に行って、30秒くらいペラペラ流すくらいしかしない。

ファッション雑誌に掲載されていることで未知のことがなくなったというのが最大の理由だ。
それとコーディネイトが見たければ、インターネット上で無数にある。しかも雑誌と違って日替わりだ。
また、インターネットだとブランドの公式サイトでもそれぞれのコーディネイトが掲載されている。

コーディネイトが知りたければファッション雑誌を買うよりもインターネットのほうが圧倒的に利便性がたかく、サンプル数も桁違いに多い。

ファッション雑誌が冬の時代になるはずである。笑

そういえば、先日、こんな報道があって驚いた。

宝島社がトップ独占で依然好調 2017年上半期雑誌売り上げ
https://www.wwdjapan.com/508530

これを読んで「相変わらず宝島は絶好調!」とか「宝島スゲー」なんて思ってはいけない。
この報道で注目すべきは販売部数だ。

女性ファッション雑誌1位は「スウィート(sweet)」で月間平均販売部数25万7554部、2位は「リンネル(Liniere)」で19万3001部、3位は「グロー(GLOW)」で18万4783部、4位は「インレッド(InRed)」で15万2729部となり、上位を宝島社が独占した。「スウィート」は09年上半期に1位を獲得して以来、17期中(09年~17年)14期1位を獲得している。5位には「ニコラ(nicola)」(新潮社)が14万9014部でランクインし、ティーン誌が健闘した。

とある。

しかし、2008年頃までは宝島のファッション雑誌は100万部くらいあった。
それが今はトップのスウィートですら25万部しかない。
ピーク時の4分の1か5分の1まで販売部数が減少している。

2位のリンネルや3位のグロー、4位のインレッドの販売部数は20万部を下回っている。
20万部を越えているのがスウィートしかないというところが、ファッション雑誌の不振を如実に物語っている。

インレッドの15万部というのはメンズのサファリやライトニングとあまり大きく変わらない。

女性ファッション雑誌はそこまで低迷しているということである。

「マニアック」と評されたメンズのライトニングとほとんど変わらない部数にまで追い込まれてしまっている。
ファッション雑誌は最早「マスコミ」などではなく「ミニコミ」になっているといえる。

もちろん、ミニコミとして狭い範囲の人々に厚く深く支持されるという在り方は一つの存在理由になる。
それを否定するつもりはまったくない。ミニコミとして突き進めば良い。

注意を喚起したいのは、アパレル企業、アパレルブランドに対してである。

ごくまれにアパレルやブランドの販促に関わるミーティングを覗かせてもらうことがあるのだが、旧型アパレルはほぼ全社といっても良いくらいにいまだにファッション雑誌と人気タレントにこだわっている。
90年代の手法を20何年間も後生大事に続けているわけだ。

しかし、近年、とくに2010年以降不振が続いているということは、その90年代手法は現代においてまったく販促効果がないということにほかならない。

アパレル経営者の大好きな「費用対効果」でいえば、まったくないということになる。
ボーナスをカットしたり、昇給を据え置きしたりというコストカットには俊敏に行う癖に、なぜ費用対効果が限りなく低い90年代販促手法に固執するのかまったく理解に苦しむ。

売りたいのなら「売れる手法」を取り入れるべきで、90年代のままの手法を続けている限り、「売れるようになる」ことは絶対にない。
そして「売れない手法」しかいまだに提案できないような広告代理店とは付き合うべきではない。

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商品名を工夫すれば売れるようになる

販促・広報活動には多額のカネが必要だが、意外にカネのかからない方法もある。
商品名を変えることだ。

業界人にとってわかりやすい商品名と、消費者にとってわかりやすい商品名とは異なる場合が多い。
衣料品でいうと、

ハイキックストレッチノータックスラックス(長ッ)

よりも

感動パンツ

のほうがずっとわかりやすい。

当方にとってはハイキックストレッチノータックスラックスのほうがわかりやすいが、業界に縁のない人にとってはなんのこっちゃわからないだろう。(なんだかノートラップランニングボレー隼シュートと語感が似ている)
それよりも

感動パンツといった方が、内容はわからないまでも「何かが感動レベルにあるパンツ」だとわかる。

個人的な好き嫌いでいえば、感動パンツというネーミングは嫌いだし、「感動ってなんやねん?」と思うが、「中身はよくわからないが感動するほどすごいらしい」ということだけは伝わりやすいと思う。

商品を変えずに商品名だけを変えたらすごく売れたということがたびたび起きる。
最近ではこの報道だ。

商品名を変えただけで売り上げが17倍に 靴下の大ヒットを生んだきっかけ
http://news.livedoor.com/article/detail/13887590/

大手靴下メーカーの岡本の商品だが、

「もともと‘13年に『三陰交をあたためるソックス』という商品名で発売していたのですが、’15年に全く同じ機能のまま、『まるでこたつソックス』という商品名で新発売したんです。すると、発売年度(’13年度)と昨年度(’16年度)の数量ベースで比べると、17倍以上の売り上げになっていました。今年度はさらに伸びると予想しております」

とのことである。

そもそも「三陰交」なんてツボの名称を言われても、一般消費者にはピンとこない。
もちろん、専門家や業界の人間には、こちらの方が伝わりやすいのだろうが、一般消費者には全く伝わらない。
三陰交ってなんやねんということになる。

「まるでこたつ」のほうがずっと一般消費者にはわかりやすい。

こういうことである。

アパレル、ファッション業界はこれまであまり商品名、ネーミングを工夫してこなかった。

13・5オンスストレッチデニムブーツカット とか
ヘビーオンス裏毛トレーナー   とか
綿レーヨン混スラックス とか

そういう説明的な商品名ばかりだった。
何度もいうようにこちらの方が当方も含めて業界人には伝わりやすい。
一発でどんな素材の商品なのかがおおよそ見当がつく。

綿レーヨン混素材で作られたスラックスなら柔らかいんだろうな、とか、ヘビーオンス裏毛なら相当にガッチリしているんだろうな、とかすぐさまどんな商品なのか想像できる。

しかし、買ってもらいたいのは業界人にではなく、一般消費者にであるはずだ。
一般消費者はヘビーオンス裏毛なんて言われてもなんのこっちゃ意味がわからない。
裏から毛が生えているのかと思う。

ヘビーオンス裏毛トレーナーなら、「バリ固トレーナー」くらいのネーミングのほうがわかりやすいだろう。

各ブランドとももっとネーミングを工夫してみてはどうだろうか?
ネーミングを変えるのに必要な費用はせいぜいコピーライターに支払うギャラくらいである。
そのギャラだって安ければ数万円だろうし、高くても何十万円くらいだろう。

わけのわからん人気タレントを何千万円のギャラで呼んできて着せるよりもずっとコストパフォーマンスが高く効果的だ。
一般的に業界ではいまだにタレントに着せることが有効な手段だと思われているが、それで効果があったブランドがどれほどあったのだろうか?

2009年頃にユニクロが藤原紀香にカラーパンツを穿かせたが効果なく撃沈している。
某量販店向け肌着ブランドは毎年、人気タレントと契約してポスターやパッケージに使用するが、その結果がユニクロの肌着に対して圧倒的に知名度で引き離されている現状である。

タレント起用がまったく効果がないとは言わないが、確実に勝てるカードではないといえる。

それにタレントというのは契約期間が終われば、他のブランドと契約して違うブランドを着ることになる。
そのタレント=ブランドという風には消費者は見ない。

キムタクに着せてバカ売れした2005年までの幻影にいつまでアパレル業界と広告代理店は引きずられているのだろうか。

それにしても岡本が取り上げられたことは珍しい。
連結売上高387億円もあって靴下業界の大手の1社だが、地味であまりメディアでは取り上げられない。
多分一般消費者も社名を認知していないと思われる。

そういう地味な企業の活動が注目されることは喜ばしい。

岡本は奈良県広陵町で創業しており、本社は大阪市西区に置くが、今でも本店は奈良県北葛城郡広陵町に置いている。
こういう部分も好感が持てるが、惜しむらくは地味だというところだ。

靴下の大手は全般的に地味だ。
この岡本しかり、福助しかりグンゼしかりアツギしかりナイガイしかりだ。

閑話休題。

たしかに今回の「まるでこたつ」というネーミングはよくわかるが、決してかっこよくはない。
アパレル業界は変にかっこつけた人が多いから、わかりやすいダサさよりもわかりにくいかっこよさを追求してしまうのだろう。
しかし、その性癖が衣料品を「わかりにくいもの」という印象にしてしまったのではないか。
実際に業界のハイセンスwwな人たちの言っていることは20年以上経過した今でもよくわからないことがある。

小規模で少人数に売りたいマニアブランドを目指すなら今のままでも良いだろうが、大規模にマスに売りたいのならかっこ悪かろうが何だろうが伝わる商品名にする必要がある。
要は経営者の方針次第だ。
かっこつけたままでマスに売りたいというのは両立しにくい要素だということを認識した方が良い。

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中小零細企業や組合のウェブ政策が成功しない理由

3年くらい前から、小規模・零細企業や組合からウェブの相談を受けることが増えた。
それらの相談を聞くと、だいたいはなんだか成功しなさそうに感じる。
どの部分がそう感じさせるのかが自分でもモヤモヤとしていたのだが、やっとわかった。

先日、ある組合がウェブ業界ではそこそこ名の知れたところのサービスに、組合加盟企業を参加させる方向で取りまとめているという話を耳にした。
この手の話自体は今に始まったことではなく、数年前からあちこちで行われていたから驚くには値しない。
しかし、結果で言うとその多くは成功していない。

アパレルや繊維企業はITに著しく乗り遅れているから、そういうことに参加すること自体は意義がある。
やらないよりはやった方が良い。これは間違いない。
しかし、参加しただけでは知名度はそんなに上がらないし、ましてや売上高が目に見えて伸びることはない。

何事も経験が重要だと思う。
経験してみて伸びる企業や伸びる人間はいるから、どんどん参加すべきだが、参加しただけで何も変わらない企業や人間も掃いて捨てるほどいる。
成果が出ないのはそういう企業や人間である。要するに「参加しただけ」という姿勢では絶対に成果が出ない。

これがインターネット黎明期やウェブサイト草創期なら「参加しただけ」でもそれなりの効果が期待できた。
先行者メリットというやつだ。
先行者は失敗することもあるが、競争相手がいないから、あまり手の込んだことをせずに「やっただけ」でもそれなりに効果が出ることがある。
インターネット黎明期やウェブサイトの草創期ならこの先行者メリットが期待できた。

しかし、もはや、現在は過当競争の時代である。
よくあるように「参加しただけ」では何の効果もない。
無名ブランドや無名企業なら埋没しておしまいである。
よほどのカネを注ぎ込むかやり方を工夫しなければ、無名ブランドや無名企業が浮上することは極めて難しい。

これが、ここ3年くらいで「ウェブに参加しただけ」の中小・零細企業が成果を出せない理由である。

実例を見てみよう。
現在、衰退の兆しがある楽天市場だが、出店社数は年々減っているとはいえ、いまだに4万店もある。
ここにいきなり、無名ブランドや無名企業が参加したところで注目されるはずもない。
4万店に埋もれてしまう。
事実、知り合いの無名企業だって楽天に出店しているが、売上高はサッパリだそうだ。
わざわざ、新参の無名企業を検索して買いに来てくれる人なんて存在しないから当たり前だ。

自分が消費者の立場になって考えてみればすぐにわかることだ。
「存在自体を知らない無名ブランド」をわざわざ検索することがあるか?絶対にないだろう。
なぜなら、「存在自体を知らない」からだ。検索しようがない。

だから売れなくて当たり前である。

しかし、ウェブリテラシーが低いのがアパレル・繊維業界だから、多くの中小・零細企業は「掲載すれば確実に売れる」と勘違いしている。

北新地でも中洲でもススキノでも構わないが、飲み屋がひしめき合っている繁華街にいきなり、脱サラしたばかりのオッサンが無名の店がオープンさせてすぐに満員御礼になるだろうか。絶対にないだろう。
固定客ができるまで何か月かは必要になる。

それと同じことなのだが、ウェブのことになると安直に考えてしまうのがこの業界のウェブリテラシーの低さを物語っている。

楽天でもAmazonでもZOZOTOWNでも同じことだ。
ZOZOTOWNがいくら好調だといっても、出店企業全社が好調なのではない。
タカキューが出店しているがだれかタカキューに注目して観察を続けている人がいるのか?

中小零細企業や組合がウェブで成果を出せない理由は、大手に掲載されただけで思考を停止させてしまうからだ。
掲載されただけでそのまま放置プレーになるから、固定客もできないし新規ファンも開拓できない。

で、この「大手に掲載されただけで思考停止」というのは、ファッション雑誌全盛期の行動そのままではないのかと最近思うようになった。

2005年頃までのファッション雑誌全盛期には、「掲載されただけ」ですさまじい反響があった。
ブランド側もその反響があるから高い金を払ってタイアップし続けてきた。

しかし、ファッション雑誌の神通力は狭い層のファン以外には通じなくなったし、そういうやり方はウェブでは通用しない。

これだけウェブサイトがひしめき合っていれば、ポッと出の無名ブランドのサイトをわざわざ検索で探してくれる人なんてほとんどいない。
だから「掲載されただけ」「サイトを作っただけ」で放置プレーしていては絶対に効果は上がらない。

ポッと出の無名ブランドがファンを開拓するためには、買い物目的でなくても定期的にチェックしに行きたくなるようなコンテンツを定期的に更新することが不可欠になる。
それはブログでも記事でも画像でも動画でも構わない。
個々のブランドスタイルにどれが合うかを模索する必要があるが、そういうコンテンツ自体を作らないことには、スタートラインにも立てない。

これまで見てきた多くの中小零細企業や組合のウェブサイト政策がことごとく失敗しているのは、そういう独自のコンテンツ作りをまったく考えていなかったからであると改めて気づいた。

長くなるが、入場者数が多い展示会に東京ギフトショーがある。
入場者数が多いから出展者は必ず売れるかというとそうでもない。
売れる出展者もいればまったく売れない出展者もある。

入場者数が多いとは言っても、その全員が自社のブースに立ち寄るわけではない。
だったら、自社で集客をしなくては無名企業のブースに足を止める人は少ない。

自社で集客の努力をした企業は受注が取れやすいし、入場者数におんぶに抱っこで無為無策だった企業はほとんど受注がない。
これは毎回同じ結果が出ている。

ウェブも同じだ。
いくらAmazonや楽天やZOZOTOWNへの訪問者数が多いとはいえ、全員が自社のサイトを見てくれるわけではない。
無名ブランドが無為無策ならだれも立ち寄らない。これはリアルでもウェブでも同じだ。

そしてそういう集客の努力、コンテンツ作りの努力がほとんどないから中小零細企業や組合のウェブは成功しない。
極めて当たり前のことだが、それができていない中小企業や組合がアパレル・繊維業界には多すぎる。
当たり前のことを当たり前にできない企業や組合は淘汰されるしかない。

NOTEを更新~♪
日本製デニム生地の現状をまとめてみた
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/nf1f2b20fc0b6

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幻に終わった「エコファー」への名称変更

最初は奇異に感じていても、慣れてくればそれはそれで良いと思えてくる。
奇異な名称であったり、デザインであったり、というのはそんなものである。

9月から「仮面ライダービルド」が始まったが、今回はあまりデザインに対して反対意見は見られなかった。
しかし、これまで毎年、新ライダーのデザインが発表されると、あまりにも突飛なデザインであるために、反対意見が噴出する。
東映もそれを狙ってわざとそういうデザインにしているのではないかと思う。

番組が始まってしばらくすると、「それはそれなりにイイ」という意見が増え、反対意見はなりをひそめる。
もちろん、頑強なアンチ論者は消えることはないが、主流派ではなくなる。

だいたいの物事はそんなものである。

5年くらい前からフェイクファーに対して「エコファー」という名称が用いられるようになった。
最初はなんだか、落ち着かないなあと思っていたが聞き慣れるとあまり違和感がなくなってきた。
毎年の仮面ライダーと同じである。

ところでこのエコファーという名称は、当方というか、当方が参加したチームの失敗が思い出される。

2010年から3年間、高野口産地を手伝ったことがある。
高野口産地は、フェイクファーの産地である。

通常のフェイクファーは中国製が主で、それは安価だからという理由がある。
これまでの考え方なら、高価なリアルファーに対して、安価な商品を作るために安価なフェイクファーを使う。
高野口のフェイクファーはそういう中国製よりも圧倒的に高額であり、安価な商品作りには適さない。
だからといって、高額品に用いられるかというとそうではない。高額品になるとリアルファーを使用する。

産地側もそれなりに努力はしてきた。
限りなく本物に近い見た目を再現したり、合繊ではなくウールを使用することで本物のような手触りを実現したり、そういう開発を続けてきた。
また、裏に塗るバインダーを工夫することで、固くならないのに毛が抜けにくくもした。

それでもなかなか業界にも消費者にも浸透しにくかった。

それが、動物愛護の風潮もあって、5年くらい前からフェイクファーへの注目が高まった。
そのときから「エコファー」という名称が世界的に用いられるようになった。

高野口産地を手伝ったのは、その直前くらいの時期である。

フェイクファー=安物という図式から脱却するためにどうするかということを会議していて、当方の属したチームのメンバーから「フェイクファーのフェイクという名称にマイナスイメージが強いから名称を変えてみてはどうか?」という提案があった。

「安価な素材はフェイクファー、高野口産地のはそれとは違う〇〇ファー」という打ち出しをしてみてはどうか?

という提案だった。

このメンバーとは現在疎遠になっていて、平素の主義主張にはほとんど当方は賛同できないのだが、ときどきこういう良い提案をすることがある。そこが最大の長所といえる。
このときもその一端を見せた。

そこで、さまざまな名称案が出された。
その中に「エコファー」も含まれていた。

エコファーを含むいくつかの案に集約され、産地側に「どれかを選んでほしい」と言ったところ、産地側は名称変更を却下したのである。
正直、そのとき「事は終わった」と感じた。

産地が却下した理由も理解はできる。

「聞き慣れない名称だから奇異に感じる」
「取引先が戸惑う」
「認知されるまで時間がかかる」

などなどだ。

しかし、外野から見ればその危惧は取るに足りないものだし、何よりもコストゼロでイメージチェンジができてしまう。
デメリットはごくわずかでメリットのほうが大きい。

それから1年後くらいに、欧米ブランドで「エコファー」という言葉が使われ始めた。
初めてそれを見たときに「ほら、見たことか」と思った。

今さら言ったところで時間は巻き戻せない。
決定的瞬間を目の当たりにできたことに満足すべきなのかもしれない。

国内の繊維産地、洋服関係の製造加工業はこれまでのやり方では注文は増えずに製品も売れにくくなっている。
そもそも洋服のブランド自体が従来のやり方では商品が売れにくくなっている。

となると、何かを変えなくては再び売れるようにはならない。
それは製造方法だったり商品のデザインだったり名称だったり何かを変えなくては再び売れるようにはならない。

従来通りのやり方が受け入れられなくなったから売れなくなったのである。
じゃあ、もう一度売れるようになりたければ、「従来通り」を変える必要がある。簡単な理屈である。

ところが、産地も製造加工業もブランドも「従来通り」を変えることを頑なに拒む。
「従来通り」のままで売れることを願っているように見えるが、それは単なるエゴでしかない。

洋装関連のみならず、和装も他の物作りも、伝統工芸も同じように見える。
「俺たちは変わるのは嫌だが、売れるようになりたい」と願っているように見える。

しかし、そんなことが不可能であることは子供でもわかる。
何一つ変えなくても売れるなら、どうして今売れていないのか。
従来通りが支持されていないから、今売れていないのではないか。

商品や製造工程を変えなくても、販促手法や広報宣伝手法を変えれば売れるようになるかもしれない。
それとて、販促手法や広報宣伝手法は変えているのである。

「俺たちは何一つ変わらないが、売れるようになりたい」というのは何とも傲慢すぎるのではないか。

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オンワード樫山のちょっとちぐはぐな取り組み「THE T.I.E」

 業界のニュースを読んでいると、ちょこちょこわけのわからないネタにぶつかることがある。
媒体側のまとめ方が下手くそな場合と、ネタを発信した企業やブランドの組み立てが極めておかしな場合との2つがある。

先日、企業やブランド側の組み立てが極めておかしいネタを読んだ。

オンワードがEC専売のシャツブランドを始動 「五大陸」がプロデュース

https://www.wwdjapan.com/476309

なのだが、ちょっと見てみよう。

オンワード樫山が10月20日、シャツに特化したEC専売の新ブランド「THE T.I.E」をローンチする。「世界で一番“ワイシャツ”が揃う店」をテーマに、着まわしのきくベーシックなドレスシャツを約500型用意する。同社ブランドの「五大陸」がプロデュースを担当し、価格は6300円から。ビジネスパーソンをターゲットに、自社ECサイト「オンワード・クローゼット(ONWARD CROSSET.)」のみでの販売を予定する。

これを読んだ方々はどういう感想を持たれたのだろうか。

正直、当方はちょっとわけがわからないなあという感想しか持たなかった。

まず、新ブランドをオンワード樫山のスーツブランド「五大陸」がプロデュースするという点。
ブランドをブランドがプロデュースというのはちょっと聞いたことがない。個人やそれに近しい少人数グループが展開しているデザイナーズブランドや小規模ブランドがプロデュースをするというのなら、まだわかりやすいが五大陸のような大手ブランドが新ブランドをプロデュースというのはちょっとピンとこない。

プロデュースというからには、個人や少数グループにさせるべきで、大手ブランドのプロデュースというのは単なる言葉遊びではないかと思う。

それなら、もっとわかりやすく、五大陸の派生ブランドとか兄弟ブランドとかという位置づけにした方がよかったのではないか。

それに、そもそも「五大陸プロデュース」が注目を集めるかというと、そこも疑問だ。はっきり言って、メンズスーツブランドの中では極めて知名度が低く、存在感がない。きっと10代・20代の消費者ならブランド名も知らないだろう。

以前に、小島健輔さんが「五大陸の知名度が低下している」という内容のブログを書かれていたが、まさしくその通りで、47歳たる当方だってスーツを買うときに五大陸は選択肢に入れていない。というより、平素暮らすうえで、五大陸のブランド名なんて思い出すこともない。まだレナウンと合併させられたダーバンの方が知名度が高いし存在感もあるのではないかと思う。

つぎに疑問なのが、新ブランドのブランド名だ。
シャツ専門のブランドなのに、なぜブランド名が「THE T.I.E」なのか?これではまるでネクタイブランドではないか。ネクタイをメインにしながらシャツも売るというならわかるが、このブランドはシャツブランドであり、ネクタイも扱うのかもしれないが、それはあくまで従属的だ。メインはシャツなのだから、もっとシャツとわかるブランド名にすべきではないか。

このあたりの組み立てははっきり言って、わけがわからないし、消費者だって理解しづらいだろう。

このことに疑問を先んじて呈していた記事がある。

https://note.mu/fukaji/n/nff7709a31acd?creator_urlname=fukaji

概ねその疑問には賛同である。

ただ、価格のことはちょっとだけ異論もある。

ツープライスとは競合するつもりがないのだと思う。ツープライスのシャツは2900円と3900円で、さすがにそこは競合とはしていないのだろうと思う。ただ、6300円という価格設定はどうなのかなあという点は同感である。

5000円の鎌倉シャツがあり、1300円高いというのは果たしてどうなのか、なかなか消費者には選んでもらえないのではないかと思う。
一部過剰に報道されているきらいがあるとはいえ、鎌倉シャツは5000円というリーズナブル価格だけでなく、自社縫製工場もあり、物作りの背景もしっかりと伝えられており、多くの消費者にも認知されている。その部分が付加価値となっている。

果たして、そういう付加価値をオンワード樫山が作れるのだろうか?というところが極めて疑問でしかない。
1300円高いということは、鎌倉シャツを越える付加価値を作る必要があるということで、それが容易く実現できるとは思えない。
かなり難しい作業になるが、オンワード樫山はそのことを理解していないのではないか。

オンワードお得意の百貨店を含む商業施設内への出店なら偶然通りがかったお客に見つけられて認知してもらえる可能性があるが、今回はECのみでの販売となる。
EC市場の成長率を見て、続々と参入しているが、ポっと出のブランドなんてネットで検索してくれる人はほとんどいない。ネットショップが何百万店とある中でどうしてわざわざ知名度も注目度もない新ブランドが検索してもらえると思うのだろうか。不思議でならない。

そのことを考慮しての「五大陸プロデュース」なのかもしれないが、残念ながら五大陸もそんなに注目されていないから、ネットで検索されることは極めて稀だろう。この1年で五大陸をネットで検索した人ってどれだけいますか?

となると、そこにたどり着く人はかなり少ないということになる。

ECはどれだけ人をネットで集められるかがカギとなるが、オンワードという名前でも五大陸という名前でもそれだけではほとんど効果がないことを知るべきである。
他方、ユニクロやジーユー、ZOZOTOWNなどはますますネットでの集客に力を入れて新たな機能を持たせている。EC草創期なら「単に開きましたよ。昔の大手ブランドですよ」というやり方でも良いが、すでに成熟期に差し掛かっていて、ネットでの戦略は極めて高度化している。その中に新規参入するということは、先行する大手と同等以上の大規模戦略が不可欠で、それがなければネットの海に埋没してしまうだけである。

おそらくはそれなりの対策は考えているのだろうとは思うが、これまでの大手アパレルの常識は一切通用しない世界だということを再認識して取り組まねば、確実に失敗に終わってしまう。

再度、組み立てから見直すことをお勧めしたい。

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TGC・神戸コレの「販促効果」と「地域産業振興」を考えてみる

 畏友の剱英雄さんが、東京ガールズコレクション(TGC)の地域産業振興と情報発信について書いておられる。

発信力は消費に?
http://blog.goo.ne.jp/souhaits225/e/b021cbf519d2c36ada95734217cb8bcf


これは東洋経済オンラインの記事を下敷きに書かれており、たしかに東京ガールズコレクションという興行イベントは大成功しているといえる。
興行イベントという点では成功したとしかいえない。

その一方で、ブランドの販促や地方創生、地域産業振興についてはどうか?というと、これは正直なところ疑問しかない。

まず、ブランドへの販促効果という観点から見てみると、TGCに出品すれば必ず売れるとは限らない。これは事実である。
長年出品し続けているブランドもあるから、効果があるブランドもあるが、その一方で効果のないブランドもある。

例えば、2009年~2010年に出品したライトオンである。
ライトオンはこの時期、減収し続けていた。
ライトオンが増収に転じたのは2015年度からなので、販促効果はなかったということになる。

また、某セレクトショップチェーンの役員は、もともとTGCが自社ブランドへの販促になるとは考えていなかったが、当時のTGCを運営していたエフワンメディアがうるさいから、一度だけ付き合って出品したと話している。

TGCと組んだ、この形態の元祖といえる神戸コレクションも同じだと見ている。

今年9月の神戸コレクションにもビッキー、ディアプリンセスが出品している。
ビッキーは以前、傘下ブランドのクイーンズコートを出品していたこともある。
ビッキー、ディアプリンセスの2ブランドは長年出品し続けている。

売上高は神戸エレガンスブランドが過ぎてから下降しているが、出品し続けているということは、単に売上高だけではない何らかの効果があると上層部は考えているのだろう。
しかし、売上高だけで見ると、販促効果があるとはいえないのではないか。

これは私見だが、TGCと神戸コレの販促効果はその反響がある顧客層が限定されていて、そこに親和性の高いブランドは何らかの効果があるものの、ライトオンのようにまったく親和性のないブランドはほとんど効果がないと見るのがもっとも適切なのではないかと思う。

今後は、やみくもにターゲット層との親和性も考えずに「出品する」というブランドは減るだろう。
だからというわけでもないが、神戸コレクションの出品ブランドのラインナップは随分と固定化されてきたように見える。

今度は、地方創生や地域産業振興という点については、剱さんのブログの通りではないかと思う。

TGC、神戸コレクションの地方興行があるが、もちろん経済効果はゼロではない。
何千人かの人間が来るので、交通機関や飲食店、コンビニなどにはそれなりの売上高が期間中はある。
また、その土地のファッションビルなどの売上高も期間中は少し増えるかもしれない。

が、地域のアパレルメーカーやアパレルブランド、デザイナーズブランドが潤うかというとそれはちょっと難しい。

なぜなら、現在の国内のアパレル企業、ブランドの8割がたは東京本社・東京本部だからだ。
残りは京阪神、名古屋・岐阜、岡山・広島、九州あたりにパラパラと点在しているに過ぎない。

TGCや神戸コレの地方興行に登場するブランドのほとんどは、当然、東京本社ブランドばかりである。
まずもって九州に拠点を置くブランドは登場しない。

名古屋・岐阜、岡山・広島のブランドも登場しない。

パラっと京阪神のブランドが登場するくらいである。

地方自治体が町おこし、地域おこしで「ファッション」を選ぶことがあるが、何故それを選ぶのかが理解できない。

今挙げた地域以外にアパレル企業、ファッション企業が拠点を持つ地方はない。
もっと極端にいえば、東京以外ないに等しい状況である。

じゃあ、そこでいくら「ファッション産業を振興する」といったって、東京のブランドを誘致するのが関の山であり、それは果たして「地域産業振興」といえるのだろうか?

TGC、神戸コレの地方興行ももちろん同様で、東京ブランドを呼んで、東京のモデルを使うことが地域産業振興・地方創生になるのだろうか?

当方には東京の産業振興にしか見えないのだが。

東京で開催する本物のTGC、この手のイベントの元祖として神戸で開催する神戸コレクションは、客入りが見込める限りは続けるべき興行イベントだと思うが、これらの地方興行は何の効果があるのだろうか。

また、TGC、神戸コレクションを模倣した地方イベントもいくつかある。

これとても、出品ブランドは東京ブランドで、ランウェイを歩くのは東京タレントなので、一体これを地方でやる意味があるのか疑問である。

文化祭的にやるのは構わないと思うが、地方創生や地域産業振興を掲げるのは無理があるのではないかと思う。

TGC、神戸コレと同様の興行イベントを地方で開催し、それを地方創生や地域産業振興につなげるのであれば、地方が地元でアパレル企業やアパレルブランドを育成しなくてはならない。

しかし、それは至難の業だろう。

もともと京阪神には多くの大手アパレル、大手ブランドの拠点があった。
それがこの20年間で激減し、ほとんどが東京に移った。これを今さら、逆回転させることは不可能であり、京阪神にも他地方にも小規模零細ブランドは現存するものの、出品料がン百万円と噂されるTGCや神戸コレの地方興行に出品させることは財務的に不可能である。

またTGC、神戸コレの顧客層は広告代理店でいうところのF1層で、しかも好むテイストも限定されており、ナチュラル系・カジュアル系・トラッド系などが多い地方の小規模零細ブランドはまったく親和性がなく、ライトオンのように販促効果がゼロになる可能性が極めて高い。

それが業界の現状であり、この構図は今後も変わらないだろう。

東京開催のTGC、神戸開催の神戸コレクションは興行イベントとしては否定すべき要素がないが、販促効果は限定的で、地方興行については地域産業振興にはほとんど効果がないと考えるのがもっとも妥当ではないか。

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鎌倉シャツのビジネスモデルが秀逸なポイントを考えてみた
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オールユアーズのクラウドファンディング第3弾商品とその売り方について

 先日、新進気鋭のカジュアルアパレル、オールユアーズの原康人さんにお会いしたのは、新商品の内容を尋ねるためだった。

オールユアーズはこれまで機能性素材を使用しながらも、よくある「産地とのコラボ」や「製造加工業とのコラボ」を打ち出してこなかったが、昨日から発売になった新商品は、産地とのコラボを打ち出している。

そして、オールユアーズとしては今後は様々な産地とのコラボを手掛けたいとのことで、希望する産地は連絡してみてはどうか?

今回は「身にまとう毛布」というキャッチフレーズで、いわゆる「毛布」の技術を利用した生地をカーディガン、パーカ、ダッフルコートの3型に仕上げている。

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そして、その「毛布」の技術を応用した生地を加工しているのが、毛布産地として有名?な大阪府の泉大津である。

ほんの少しでも産地をかじったことのある人なら泉大津がタオル、毛織、毛布、ニットなどの産地であることは知っているが、産地なんて無縁のファッション畑の人ならそんなことは全然知らないだろう。

泉大津に限らず、日本の各産地というのは、産地の中の人が思っているよりも知名度が低い。
それを読み違えると、ビジネスに多大な支障をきたすので、できるだけ客観的に自身を判断してもらいたい。

さて、今回の生地は、いわゆるニット(編地)で、製造地は和歌山だ。
表が綿、裏にウールが出るようになったプレーティング編みである。
プレーティング編みとは何ぞやというと、表と裏で別の素材が出てくる編地である。
今回なら表は綿で裏はウールである。

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(上が表、下が裏面)

ファッションブロガーMB氏がグローバルワークの吸水速乾Tシャツを絶賛していたことがあるが、あれもプレーティング編みで、表地は綿で裏面はポリエステルだった。

プレーティング編みというのはそういう技術である。

この和歌山産地で編んだ生地を、泉大津の藤井若宮製絨で起毛加工を施し、毛布状に仕上げている。
藤井若宮製絨は染色・整理加工などを手掛ける泉大津の老舗業者で、かつて一度2006年ごろに民事再生法を申請したが、今でも存続できているのは何よりといえる。

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さて、この毛布生地を使ったトップス3型がキャンプファイヤーのクラウドファンディングに出品されている。

https://camp-fire.jp/projects/view/42749

9月4日に出品されたばかりなのに、目標金額100万円をたった1日でほとんど到達している。
9月5日の朝時点ですでに86万1000円を集めているから驚きである。

オールユアーズは連続24か月クラウドファンディングというプロジェクトを仕掛けており、今回の毛布は第3弾となる。
第1弾、第2弾ともに目標金額を達成したが、とくに第2弾は集めた金額がとてつもなく大きかった。

8月末までに2か月間で集めた金額はなんと1800万円強で、クラウドファンディング史上ファッション分野での集めた金額の最大額となっている。

https://camp-fire.jp/projects/view/34653

今回の第3弾の金額の集まり具合も前回の勢いをそのまま引き継いでいるといえる。

第2弾と比べると話題になることが少なかった第1弾の「色落ちしないブラックパンツ」だが、それでも目標金額は優に達成している。

この調子が続くなら、12商品すべてで目標金額を達成することができそうだ。

原さんとの雑談は少し前のブログに一部を利用した。

アパレルブランドの「小売店向け展示会」は意味がなくなりつつある
http://minamimitsuhiro.info/archives/4827762.html

である。

ここで言われているように、小売店向け展示会を開催しても、販売不振でビビっている小売店はほとんどオーダーを出さない。
ならば、展示会を廃止して新商品はクラウドファンディングで発表してしまえということで、クラウドファンディングで売れていれば、ビビっている小売店も安心してオーダーしてくるからである。

何とも情けない話ではあるが。

さて、オールユアーズの商品が売れている要因は何かというと、それは「わかりやすさ」である。

クラウドファンディングに登場した商品を例に出そう。

第1弾は「色落ちしないブラックパンツ」
第2弾は「着心地が良くてイージーケアなセットアップ」

である。

種明かしをすると、二つの商品で使用されている生地はまったく同じである。
組成はポリエステル100%。

この純ポリエステルの生地には、様々な機能がある。
まず、吸水速乾、そして軽量、ストレッチ性である。
この吸水速乾機能だけをフィーチャーして「ファストパス」という商品群をオールユアーズはすでに発売している。

ファストパスのキャッチフレーズは「真冬でも部屋干し3時間で乾燥する」であり、その他の軽量やらストレッチ性は一切謳っていない。

軽量はポリエステル本来の機能性で、実はそんなに特筆すべき機能ではない。
ポリエステルは基本的に軽いのである。
またストレッチ性は、現在では着心地のためにはマストな機能で特別なことはない。

それでもこれを謳おうと思えば謳えるが、あえて「吸水速乾」一つに絞った。

今度は、「色落ちしないブラックパンツ」を見てみよう。
素材は全くファストパスと同じだ。だから吸水速乾性も軽量性もストレッチ性もある。

しかし、それは全く謳わない。

そのとき謳っているのは「色落ちしない」ということだけである。
綿主体のブラックパンツは、かならず色落ちする。
デニムみたいに白っぽく色落ちするのではなく、綿主体のカツラギやサテン素材は、赤褐色に色落ちする。ブラックのはずが少しチョコレートっぽい茶色になる。
こうなったら、そのズボンは寿命だといえる。

ところが、ポリエステルはこの商品に使われている素材に限らず、基本的にほとんど色落ちしない。

だから、それのみを謳っている。
実は何の特別な機能でもなく、ポリエステルが本来持っている機能にすぎない。

よくある産地ブランドやファクトリーブランド、モノづくり神話系ブランドだと、

「ドコソコで栽培された綿花を紡いで作ったナンタラという糸を使い、〇〇産地で織りあげた(編んだ)〇〇という生地に、××という染色を施し、さらに▽▽という加工も施して〇〇な風合いに仕上げました」

とか

「この商品には、吸水速乾だけでなく、消臭、防汚、撥水、ストレッチ性、軽量性、防シワ、UVカットなど様々な機能性がてんこ盛りです」

とか

そういう打ち出しが多い。
多いというか99%のブランドがこれだ。

しかし、そんなものは実は消費者にはほとんど響いていない。
響いていたら産地ブランドやファクトリーブランド、モノづくり神話系ブランドはもっと売れているだろう。

「ナンタラ織りシャツ」とか「ナンタラ編みニット」がもっと売れているはずだ。

形態安定で爆発的に売れたワイシャツはその後、機能性を毎年1つずつ付加していき、最終的には7つくらいの機能性(防臭、防汚、UVカット、ビタミンC、マイナスイオンなど)を持っていたが、今、店頭に並んでいるワイシャツの多くは形態安定のみがほとんどで、あってもそこに防臭か防汚が付けられているだけで、機能性をてんこ盛りにしてもそんなものは何のセールスポイントにもならないことが証明されている。

製造工程の詳細すぎる説明も、てんこ盛りの機能性も販促には実際のところほとんど必要なくて、わかりやすい切り口が1つだけあれば良いのである。

もし、他のアパレルがオールユアーズに見習う部分があるとするなら、そこである。

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鎌倉シャツのビジネスモデルが秀逸なポイントを考えてみた
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業界の常識は、マス層には知られていないと考えて発信すべき

 先日、ウェブを眺めていたら、しまむらの「洗える浴衣」が話題になっていた。
そもそも浴衣は洗濯ができる衣類なので一体何を言っているのかと思ってしまう。

しまむらの“洗濯機で洗える”浴衣、業界では当たり前の事をアピールポイントにしたのがエライ!
https://togetter.com/li/1126096

興味のある人は読んでみてもらいたい。

和服に詳しい人、和服を愛用している人なら浴衣が洗濯できることは常識である。
和服に詳しくない筆者でもその程度のことは知っている。

特殊な生地で作られている一部の例外を除いて、基本的に浴衣は綿布で作られてる。
綿布は洗濯が可能である。
故に浴衣は洗濯できる。

多少なりとも生地のことを知っていれば、簡単に導き出せる結論である。

しまむら以外の浴衣も洗濯できる。

浴衣は洗濯できるというこんな常識的なこともマス層は知らないということになり、それをわざわざ、さもすごいことかのようにアピールしたしまむらはやはり慧眼だったというべきだろう。

また、先日、こんなニュースも報道された。

10年前に買ったスニーカー「未使用なのに底が剥がれた」転倒あいつぐ 消費者庁
http://sp.hazardlab.jp/know/topics/detail/2/0/20915.html

これも何を言っているのかと思う。
10年間も放置されていたスニーカーなんて底が加水分解を起こしてボロボロになるに決まっている。
スニーカーの底が永久不変の物だと考えている方がアホである。

これだって、ファッションに興味のある人や靴に少し知識のある人にとっては常識中の常識だ。

記事中には

インターネット調査では、消費者の56.5%がこの事実を「知らなかった」と答えている。

との一文があるが、半数以上の人間はスニーカーの底が加水分解を起こすことを知らないということになる。

ABCマートの店頭で今日、靴を買って帰った客の半分以上は加水分解を知らないということになる。

この驚愕の事実を知っていれば、販売員の接客も変わるのではないかと思う。

浴衣にせよ、加水分解にせよ、愛好家にとっては「常識中の常識」でも、マス層は知らないということで、逆にいえば、マス層に売りたければ「当たり前」のことでもアピールして説明する必要があるということになる。

以前にも、スラックスという単語を知らない人もいるということを書いた。
下半身に着用する衣服をボトムというが、その中でズボンがある。
ズボン、最近ではパンツとも呼ぶ。また英語を元にした呼び名はトラウザーである。

スーツのズボンのような形をしたものをスラックスと呼ぶが、ファッションが好きな人なら、スラックスとはどんなものかをたちどころにイメージできる。
しかし、スラックスとは何かがわからない人もマス層には存在するということで、そういう人にいくら「スラックスが大安売り」なんて連呼しても意味がないということである。
なにせ、スラックスの意味がわからないのだから。

こう考えると、和服、靴のみならず、洋服についてもマス層は相当に知識がないと思って、接客に当たるべきだろう。

業界人、愛好家、ファンの間では初歩の初歩であるようなことさえ、マス層の多くは知らないということで、マス層に売りたければ、初歩の初歩のことを詳細に説明する必要があるということになる。

さて、普段身に付ける洋服でさえ、こうなのだから、繊維製品の製造加工業についてのことはどれほど初歩の初歩までを説明しなくてはならないかが想像できるのではないか。

現在、ウェブが普及し、製造加工業者の自己発信も簡単にできるようになった。
ウェブを使って自己の情報発信を行う製造加工業者も増えた。

しかし、その多くは業界人、愛好家しかわからないような書き方をしており、マス層には伝わっていない。

「うちはド素人のマス層なんぞに発信する必要はない」と思っているなら今のままでも良いが、そうではなく、広くド素人にも知ってもらいたいと思っているなら、業界にとって初歩の初歩のことまで詳細に説明する必要性がある。

あまり、基本的なことを書きすぎると、「同業者に笑われる」と言って嫌悪感を示す製造加工業者がいる。
だが、取引先は同業者なのか?自社の客は同業者なのか?
冷静に考えてみて欲しい。

同業者にいくら褒められても売れなければ意味はない。そんなカネにもならない称賛なんぞ無用の長物だ。
逆に同業者にいくらバカにされようが、自社の製品なりサービスなりが売れればそれが正解だ。

しまむらの浴衣、スニーカーの加水分解の記事を見ても、業界の常識は世間の非常識だということがわかる。

マス層に広く発信したい製造加工業者はもう一度発信の内容を見直してみる必要がある。

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