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ポップアップストアのメリットとデメリットはここ

どんなものでもそうだが必ずメリットとデメリットがある。
ポップアップストア(期間限定出店)も同じだ。メリットとデメリットがある。

先日、岡山県津山市のネクタイ縫製工場が自社ネクタイブランド「笏の音」のポップアップストアを阪急メンズ館うめだで開催していたので、覗きに行ってきた。
フェイスブックでお友達になっていたので、一度お会いしようと思ったわけだ。
1万円のネクタイが1日に10本以上売れ続けたということで成功といえるだろう。

「笏の音」のネクタイ

ポップアップストアのメリットとしては、無名ブランドや知名度の低いブランドが有名な商業施設で開催することで、知名度を高められるという点がある。

そういう意味では広告宣伝費と等しい。
通常の広告宣伝費はカネを払いっぱなしだが、ポップアップストアの場合は、物が売れれば収入となる。
そのため通常の広告宣伝よりも費用的に美味しくなる可能性がある。

常設店を作れば、家賃や人件費が必要になるが、1週間とか2週間くらいのポップアップストアなら自社スタッフで何とか回せるため、人件費はそこまで増えない。また家賃も必要ない。

一方でデメリットもある。
ポップアップストアではそれほど大幅な利益を稼ぐことは難しい。
ポップアップストアは家賃が必要ない代わりに、必ず売上高の何%を施設側に徴収される。
百貨店の場合は通常だとだいたい30~40%を徴収される。

10万円売れたとしても3万~4万円は百貨店に取られる。

よほど、超人気ブランドで百貨店が頼み込んでポップアップを開催してもらった場合はこの%はもっと低くなるが、通常のブランドだとだいたいそれくらいである。
1日に10万売れて、それが7日間開催だったとすると、売上高は70万円になる。
このうち百貨店は21万~28万円をもっていくというわけで、出店者の手元には42万~49万円しか残らないということになる。

この49万円で売れた商品の仕入れ代や製造費、店頭で立ってくれたスタッフの人件費・交通費・宿泊費、あとはこまごまとした備品などを支払うから純粋な儲けはさらに減る。

だからポップアップストアで大幅な利益を稼ぐことは基本的には難しい。

この構造を理解した上でポップアップストア出店するならそれはそれで一つの販売戦略といえる。
笏の音の場合は、ブランドスタートから間もないため、広告宣伝活動の一環とすれば大いにポップアップストアのメリットは大いにある。

しかし、すでに知名度が高いブランドはポップアップストアを頻繁に開催するメリットは少ない。
まあ、年に1回か2回くらいやるのは気分転換にもなって良いが、年間何十回もやる意味は、収益面から考えるとほとんどない。

逆にそこまで頻繁にやるなら、通常のスタッフをローテーションで回すことは難しく、それ専用のスタッフを雇ったり、販売代行社と契約しなくてはならなくなり、さらに収益面は圧迫される。

なんでこんなことをクドクド書いているのかというと、先日読んだ記事に疑問を感じたからだ。

1万円でバカ売れ 神戸発バレエ靴の戦略
http://president.jp/articles/-/24758

神戸のクロシェという企業が発売しているファルファーレという1万円のバレエシューズが年間8万足も売れるという内容である。

3万円以上か4000円以下かの2極化しているバレエシューズ市場に1万円という中間価格帯で提案した結果、年間8万足を売るまでに成長した。

ファッション用品不況の現状では、参考になることの多い内容だが、個人的にはこのクロシェのやり方はオンリーワンの要素が強く、真似ても失敗する可能性が高いと見ている。
参考にするのは構わないが、真に受けて真似るとひどいことになるだろう。

まず、中間価格帯商品のあえての投入という部分だが、個人的には意味のあることだとは思うが、現実的には攻め方を間違えて苦戦している中間価格帯ブランドは山のようにある。
エドウインなんかもその一つといえる。

日本製で8000円くらいのジーンズは本来価値があると思うが、それが高い評価を受けているかというとそうでもない。

また

ファルファーレには常設店舗はない。そのかわりにファルファーレは、1週間単位でポップアップストアを全国の各所で次々に出店していく。その数は年間で100以上にのぼる。これで年間8万足という販売の根幹を確保する。

とあるが、年間の3分の1もポップアップストアを開催するには、それ相応の投資が必要となる。
まず人件費である。本社スタッフをローテーションで投入して賄うことは100回以上もやっていれば不可能だ。
ポップアップ専門スタッフを雇っているか、そういう派遣と契約しているかだろう。クロシェはこれで成功したとされているが、他社が真似ても確実に成果が出るとは限らない。
むしろ、上でも書いたように収益は低いから早々にポップアップ疲れを起こすだろう。
労多くして益少なしの事態に陥る。

その昔、付き合いのあった独立したばかりのデザイナーズバッグブランドがあった。
彼らはブランドスタート当初はポップアップストアを頻繁に開催していた(とはいえ年間100回もやっていない)が、3年目か5年目くらいからポップアップストアを大幅に減らした。
理由は収益が悪いからである。いくらシャカリキに開催したって大きな利益は確保できなかったからだ。

これが現実である。

これまでと違うやり方として参考にするのは良いが、クロシェをそのまま真似ることはかなり危険度が高いといえる。

あと、この記事の書き方には疑問がある。
クロシェを中堅企業としているが、年間14億円程度の売上高では中堅企業とは言わない。
最低でも20億~30億円は必要だろう。

また、見出しの「バカ売れ」も陳腐で逆にうさん臭さを煽っている。
この手の経済雑誌や経済紙の記事は「バカ売れ」という表現を多用する。
しかしその実態の多くは、数量が少なかったり、数量自体が明示されていなかったりする。
クロシェの8万足は売れているといえるが、バカ売れという見出しは本当にバカっぽくしか見えないので、媒体側はあまり使わない方が良いのではないかと思う。

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こんな感じの靴らしい。

WAONカードと提携するなら、Tポイントカードとの提携のままで良かったんじゃない?三越伊勢丹さん

物事は1年くらいではあまり変わらないから仕方がないとはいえ、三越伊勢丹HDの政変から1年が経過したが現段階では大した変化は何も見られない。

外野から見ていて一番ずっこけるのがTポイントカードとの提携解消で、後継としてWAONカードとの提携を打ち出したことだ。
はっきり言って何の意味もない交代としかいえない。

Tポイントカードとの提携に批判があったことは周知の事実だ。
三越伊勢丹のイメージに、Tポイントカードのイメージがそぐわないというものだ。
また自前のMIカードもあるのにどうして外部との提携が必要なのかという声もあった。

中には、三越伊勢丹の高級イメージに、低所得者層のTポイントカードはミスマッチだとの声もあった。
しかし、Tポイントカードのアクティブユーザー数は6500万人であり、日本の総人口のほぼ半分にあたるから、所有者が一概に低所得者層とは言えない。
むしろ、富裕層もアクティブユーザーに入っているだろう。

以前にも何度も書いたが、Tポイントカードの増田宗昭社長と大西洋・前社長の両方にインタビューした経験からいうと、6500万人という圧倒的数量のビッグデータを持って、需要予測をすることで、三越伊勢丹の品ぞろえや販売戦略に好影響をもたらすことが狙いだった。
当然、失敗する可能性もあるが、今のままで三越伊勢丹の経営環境が上向く要因はほとんど考えられないから、やってみる価値はあった。

大西洋・前社長の電撃解任に伴ってCCCとの提携解消が発表されたのは残念だが仕方がない。
粛清人事というのはどこの組織にもある。三越伊勢丹もその例に漏れないというだけのことである。
人間は感情で動く不合理・非効率な生き物だということだ。だから当方は人間があまり好きではない。

提携解消をして従来のMIカードに戻すのなら話はわかる。
まあ、往々にして他組織でもよくある話だ。

しかし、イオングループのWAONカードとの提携は解せない。
なら、Tポイントカードとの提携のままで良かったのではないかと思う。

Tポイントカードのイメージが悪いと言っていた人たち(外野の評論家含む)は、WAONカードのイメージは良いとでも思っているのだろうか。
十分にWAONカードのイメージも低いと思うが。

イメージなんて個人の主観でしかないから個人的な主観でいうと、TポイントカードよりWAONカードの方がずっとチープなイメージがある。
当方からすればこちらの方がよほどイメージダウンだと感じる。

この提携から当方が感じることは2つある。

1、大西洋・前社長への憎悪は強烈であること
2、いろいろカッコウを付けてはいるが、MIカードでは足りないからビッグデータが必要

この2点である。
なんやかんや言い訳はしているが、ビッグデータは欲しいというのが透けて見える。

大西・前社長が手掛けたTポイントは、とりあえず気に入らないから同じくらいの規模感のあるところを選んだらWAONだったというところが実情ではないかと見ている。

http://diamond.jp/articles/-/164634

ここでは

また大西時代に始まり、3月末で終わるTポイントカードから切り替わる提携先が、なんとイオンの電子マネー「WAONポイント」。三越や伊勢丹の店頭で、端末にWAONカードをかざした際に「ワオン!」の“鳴き声”が響き渡る光景はなかなかインパクトがありそうだが、百貨店のブランドイメージにそぐわないと従来指摘されてきたTポイントカードの後継がWAONカードとあって、社の内外で落胆を呼んでいる。

とある。
そりゃそうだ。(笑)
Tポイントカードの代わりがWAONカードならイメージの低さは同じかむしろ強まっている。イメージアップにはまったくならない。
感情論を抜きにしていえば提携先を変える必要はまったくなかった。
むしろ、新たな作業が発生する分だけコスト増になって単年度とはいえ、収益を削るだけである。

 

もっとも「イオンとの提携を進め、不採算の地方店舗をイオンに譲渡する深謀遠慮」(別の三越伊勢丹関係者)との見方もある。とはいえ、旧三越と旧伊勢丹の企画や管理畑が労働組合と組んで大西前社長を追い出し、ひたすら営業畑の幹部を冷遇することに血道を上げる現体制が、イオンを相手にそれだけの大立ち回りを演じられるかどうかは疑問である。

 

とも記事は結んでいるが、このイオンとの提携はどうだろうか?
むしろ今更大手量販店と提携するのは愚策でしかないのではないか。

イオン本体も決して順調とは言えない決算が続いているし、セブンアイの子会社になったそごう・西武の凋落ぶりを見れば、容易に描ける未来予想図ではないか。

ほら、思った通りにかなえられてる~♪

なんて歌える状況でもない。
深謀遠慮などはなく、辛抱と遠慮しかないのではないか。(笑)

逆にイオンとすれば、セブンアイにあって自社グループにない百貨店はぜひとも欲しいだろう。
百貨店の凋落は凄まじいが、まだ百貨店固定客はいる。
ビッグビジネスではなく、固定層に向けたスモールビジネスに徹するなら百貨店は有効に使える部分もある。
また意味がわからないけど百貨店というブランドイメージは高い。

格安で手に入るならイオンは間違いなく入手するだろう。
もしも、政変の行き着く先がイオン傘下になるのだったら、まったく意味のない騒動だったとしかいえない。

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たぶん沈んじゃうと思う。

1時間に1人しか使わない「接客不要バッグ」なんて要る?

人の噂も75日と昔から言うが、実際のところは75日も持たないことが多い。
トウキョウベースの缶ビール接客事件をいまだに覚えている人がいるのだろうか?
ジャパンイマジネーションの下請け工場の工賃が安くて叩かれたことをいまだに覚えている人がいるのだろうか?

これと同じネタで、アーバンリサーチの「接客不要バッグ」があった。
発表当初はそれなりに話題となったが75日くらいですっかり存在を忘れ去られてしまった。
少なくとも当方は年末ごろにはすっかりその存在を忘れていた。

発表後、2週間くらいしてから店舗に「接客不要バッグ」を見に行ったが、その時点でだれも手に持っている人はいなかったので、これはそのまま廃れると思った。

75日で記憶から消去するのもあれなので、記憶から掘り起こして先日店舗に見に行った。
まだ「接客不要バッグ」があるのかどうか。

見事にあったが、やはり誰も使っていない。

もちろん、24時間365日観測し続けるわけにはいかないから、使っている人はいるかもしれないが、これだけ使っている人を見ないということはいたとしてもごく少数だろうということが推測できる。

実際のところ、どの程度の利用者がいるのだろう?と思っていたら、先日、その答えが発表された。

https://www.fashionsnap.com/article/fashionworld-urbanresearch/

一部の店舗で昨年6月から限定的に導入しましたが、現在も1日10人ほどのお客様が利用しています。

とのことで、はっきり言って、

利用者すくねーー。

 

営業時間が午前11:00から午後8時までとして、9時間である。
午後9時までなら10時間。

1日に10人の利用客というと1時間に一人使う程度ということになる。
そんなバッグ要る?(笑)

さて、以前にも書いたがどうして「接客不要バッグ」が利用されないか、それを改めて考えてみよう。

まず、接客されたくないというのはどういうお客なのか。

1、赤の他人となるべく接触したくない
2、買う気がなくて見に来ているだけ
3、自分のペースで選びたい
4、聞きたいことがあればこちらから質問する

の4タイプくらいではないかと思う。

ちなみに当方は、「いらっしゃいませ」「こんにちは~」くらいは声掛けをしてほしいが、それ以外は別に声をかけてもらう必要はない。
なぜなら、仕事以外で赤の他人と話すのは嫌いだからだ。
あと、聞きたいことがあればこちらから質問をするし、セールストークを聞きたいとはまったく思わない。

こういう人は接客不要バッグを持つ理由はあると思うが、それでもわざわざそれを持って目立つことはしたくないと考えるのではないか。

最大の問題は2の「買う気がなくて見に来ているだけ」という人だ。
1、3、4の人よりは格段に多いのではないかと思う。

アーバンリサーチの顧客、固定客であっても来店のたびに買う人なんてどんなブルジョワジーかという話で、「次の給料日にはあれを買おう」とか「プレセールではあれを買おう」とか「バーゲンではあれを買おう」とかそういう下調べに来ることがほとんどではないかと思う。
また、ネット通販で買うにしても実物を見てからという人もいるだろう。

こういう人がまかり間違って、その場で購入してしまうことはあるかもしれないが、それは絶対的に少数で、その僥倖は期待できない。

今日は買う気がない人が、わざわざ店内で、「本来は買うための」バッグを持つという行動がまったく不合理なのである。
バッグは持ったものの、そこに商品を入れることはなく、結局はまた入り口で返却するわけだからアクションとしてはまったく無駄で、からのバッグをぶら下げたまま店内をうろつく姿は間抜けでしかない。

どうだろうか?買う気がないのにショッピングバッグをぶら下げている姿を想像してみたらひどく間抜けだとは思わないだろうか?

じゃあ、どういうふうにすれば、もう少し利用頻度が高まったのだろうか。
改めて考えてみる。

接客不要ということは、買う気がない場合が多いので、わざわざ買うためのバッグを持つというのは逆の行動になる。
とすると、買う気がある人に「接客してもらってもOK」という印としてバッグを持ってもらった方が、まだ利用頻度は上がったのではないだろうか。
なにせ、買う気があるのだから、多少のアドバイスは聞いてみたいだろう。

赤の他人と話すのが嫌いな当方だって買うときは多少のアドバイスは聞いてみたい。

もちろん、聞くに値しないアドバイスもあるが、有益なアドバイスが聞ける場合もある。

それと、接客不要バッグをわざわざ作らずとも、ユニクロや無印良品、GAPのように「いらっしゃいませ」「こんにちは」の掛け声だけであとは質問されるまで放置しておくスタイルが定着すれば、声掛けを恐れるお客も減るのではないかと思う。

販売員経験からいうと、声をかけた方が購入率は上がる。
とはいっても、無理やりに購入させたことはない。それでも「試着できますよ」とか「どうですか?」とか一声かけるだけで購入率が本当に上がる。

もちろん、中には強引な声掛けで無理やり買わせてしまう販売員もいる。
そういう販売員を作らなければ、買う気がないのに持ってもらうとう「接客不要バッグ」なんてものはそもそも必要なかったのではないかと思う。

どうだろうか。とりあえず、1時間に一人しか使わないバッグははっきり言って無用の長物ということだろう。

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スニーカービズってなんで私服警官みたいな服装を提案してんの?提案する側はアホなの?

健康増進のためにビジネスでもスニーカー着用というスニーカービズが提唱されているが、意味がわからない展開になっている。

提唱した行政はもとから服装のことなんてちっともわかっていないのは当然として、受けている衣料品業界、靴業界もなぜか「本来は」服装のプロであるはずが、ネクタイ着用のかっちりとしたスーツにナイキやニューバランスなどのオーソドックスなスニーカーを合わせようとしていたり、それを見てファッソニスタたちは「合わない」と叫んでいたりする。
およそ「プロ」とは思えない動向ばかりである。

もちろん、革靴よりはスニーカーの方が歩きやすく足が疲れにくいことは言うまでもない。
また革底の革靴よりもゴム底の革靴の方が疲れにくく機能性が高いことも言うまでもない。

現在、多くのビジネスマンが革底の革靴ではなく、ゴム底の革靴を履いているのは極めて当然といえる。
本来の「スニーカービズ」はこれをさらに進めるべきであり、「スニーカー」にこだわる必要はまったくない。
ゴム底のクッション性をさらに高めるとか、アッパーの革(合皮も含む)をさらにソフトにするとか、そういう工夫で達成できる。

しかし、プロであるはずの受け手が提唱するのは、選挙運動中の政治家か私服警官みたいなスーツ+ネクタイ+スポーツシューズである。
ちょっと頭がおかしいのではないかと思う。

端的に提示してくれているのが、このセシールのページなので紹介してみたい。
画像もいくつかお借りする。

https://www.cecile.co.jp/sc/sneakers/

これらはどう見ても巡回中の私服警官かブレザーが制服の高校生にしか見えない。また手提げのスポーツバッグっぽい鞄が高校生感を10倍増ししている。
仮にもファッションを販売する会社がこの程度の提案力しかないから服もファッションも売れないのではないかと思う。
何もセシールだけのことではない。同様の提案をしている衣料品、ファッション企業は掃いて捨てるほどある。

この手のナイキ、アディダス、ニューバランスなどのスポーツシューズに合わせるなら、正絹布帛のネクタイまで締めるべきではない。
スーツはそのままとして、インナーはTシャツやタートルネックなどのカジュアルアイテムを合わせ、ズボンの裾は短めに切るかロールアップするかすべきである。
こうすれば、カジュアルなおしゃれセットアップになるが、この服装だと出版やアパレルなどの企業なら問題ないかもしれないが、ゼネコンや金融などのお堅い職場では叱責される。

出版やアパレルなどの服装規定の緩い職場の服装をさらに緩くさせるのが目的ではなく、お堅い職場に勤める人の健康増進を考えるなら、私服警官ルックなんて推奨すべきでもないし、政府が認可すべきでもない。

例えば、見た目は限りなく革靴に近いが、クッション性や機能性は限りなくスニーカーに近い靴を推奨すべきだし、業界はそういう物を提案すべきで、業界が先んじてなんらスタイリッシュではない私服警官ルックを推奨するというのは「プロ」としていかがなものか。

例えば、アシックス商事が展開する「テクシーリュクス」というシリーズがある。

https://www.asics-trading.co.jp/brand/texcy_luxe/

画像を一つお借りすると、こういう具合である。

これなら、普通のゴム底革靴にしか見えないから金融などのお堅いスーツにも合わせても違和感はない。
決して私服警官には見えない。

もちろんこのほかにもさまざまなブランドがこういう機能性革靴を打ち出している。
あんまり認知されていないが。

行政に服装のことを期待する気なんてさらさらないが、衣料品・靴業界はこういう物を提案、開発すべきで、無理やりに私服警官ルックを「イケてる」と吹聴するのはプロとしての意識があまりにも低いのではないか。

また、ファッション雑誌を除くメディア関係者も極めて服装に疎い人が多いから、私服警官ルックに少し疑問を感じながらも報道してしまう。

とはいうものの、快適な商材に需要が流れるのも事実で、正統派とされる革底の革靴の着用者が減るのは極めて当然である。
クッション性がない上に、雨の日は底から水が染みこんでくる。
「欧米デワー」の出羽守どもや「本物ガー」が何を言おうと知ったこっちゃない。
こんな不便な靴は履きたくない。しかも価格は高い。

それなら安価でクッション性がまだましで底から水も染みこんでこないゴム底の革靴を履いた方が一億倍ましだ。

しかし、ゴム底の革靴も従来のマス需要に安住しすぎてきたのではないかと思う。
もちろん、さまざまな取り組みがこれまでもあったし工夫もあった。
ただ、これまで大衆には認知されなかったし、業界やメーカーも認知されるための努力が不足していた。

今回の「スニーカービズ」はそういうさらに機能性を高めたゴム底革靴の認知を高め、需要を増やす好機なのではないか。

業界はそこに注力すべきで、私服警官や万引き防止Gメンみたいな服装を推奨することでお茶を濁すべきではない。
そういう安易なお茶の濁し方をしてきたから「売れない」という状況に陥っているのではないか。

私服警官ルックが本当に、心底かっこいいと思っているなら、霞が関の官僚がやってみてはどうか。
まず隗より始めよでないか。言い出した人間が手本を見せるべきである。

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アシックスのテクシーリュクスはAmazonでも売ってるよ。

ターゲットと販路によっては「色落ちしないデニム」を作ったら良いんじゃないの?

昔、ボブソン、ラングラー、リーバイスのジーンズを販売していたのでジーンズは好きだが、独立したころから、いわゆる「デニム業界」の姿勢には疑問を感じるようになった。

デニム生地は、よく知られているように、

中心部分を白いまま「芯白」の状態で残してその周りをインディゴ染めした経糸と、白いままの緯糸で織った綾織り生地で、経糸3本に緯糸1本の割合

となっている。
この芯白がデニムが色落ちする理由の一つである。

デニム生地は色落ちするというのが絶対的な定義だが、そこに過度にこだわる必要があるのか疑問を感じる。
例えば、ソファーやラグマットにデニム生地を使いたいという要望が増えている。
ところが通常のデニム生地を使うと、白いズボンやシャツ、淡色のズボンやシャツを着て座ったときに移染する可能性がある。
それが理由でデニム生地の使用を躊躇するブランドは少なくない。
ブランド側の懸念は当たり前だ。
当方が家具ブランドでも使わない。

洗い加工場の三陽ハイクリーナーの独自雑貨ブランド「アライヤン」は、それを懸念してか、洗い加工を施して色を薄くしたデニム生地を使う。洗い加工で色を薄くすれば移染する可能性が低まる。

これはこれで一つの解決策といえるが、濃紺のデニムにもまた魅力がある。
あの見た目のデニムを使いたいという要望もある。

そういう需要を取りこぼさないためには、「色落ちしないデニム」「色落ちしにくいデニム」を作れば良いのではないかと思う。
実際にそういうデニム生地もある。
もちろん、正統的な製法ではないし、厳密な定義からするとデニム生地ではない。

このブログでも以前に提案したことがあったが、デニム業界とそれに近い筋からは「そんなものはデニムではない」という反発があった。
しかし、需要があるなら対応すればよいだけのことではないか。
さらにいえば、通常のデニムを作る傍らそういう色落ちしないデニムを作れば良いだけのことで、通常のデニムを廃止しろと言っているわけでもない。何を反発しているのかさっぱり理解ができない。

なぜそういう「使い分け」の提案すら反発するのか理解不能だ。

先日、こんなニュースがあった。

経年変化を楽しめるデニム地の床が誕生
https://www.wwdjapan.com/572475

 建材用床材の製造・販売を手がける田島ルーフィングが、デニム生地メーカー大手のカイハラとコラボレーションし、デニム生地を用いた床用タイル“デニムフロア”を発売した。価格は1平方メートルあたり1万5000円。
“デニムフロア”は、表面にデニム生地を用いた床用タイルで、田島独自の加工技術と特殊コーティングにより、ジーンズのような経年変化を楽しむことができる。色落ちや経年変化がポジティブにとらえられるデニムの特性を生かすことで、床の傷や劣化というネガティブなイメージを払拭する狙いがある。

とのことで、床材の開発自体は良いと思うのだが、問題は以下だ。

 

ただし、インディゴ染料で染められたデニム生地を使用しているため、衣類に色移りする可能性があるといい、住宅内部での使用には注意が必要だ。

 

ここで色落ちさせる意味があるとはまったく思えない。
それこそ、色落ちしにくいデニム・色落ちしないデニムを使うべきではないのか。

こんな不便で高い物を自宅の床に敷きたいという人はほとんどいないだろう。
マニアのための床材だといえる。

オフィスや店舗に敷いたところで、やっぱり白い靴や白い什器に移染する可能性があるから、それほど使い勝手は良くない。

たしかにコンセプトや見た目は面白いが実用的ではない。
「見せる」だけの商材となる可能性が非常に高い。

ここでもまた「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?」を思い出した。

400万人の集客で良ければ、USJは映画に特化したテーマパークで良かったが、1000万人の集客を目指すと映画に特化しているとマニアック過ぎて達成できない。

という一節だ。
この商材でどれほどの売上高を目指しているのかはわからない。
もし、年間数千万円程度で良いならこのままで達成できる可能性が高い。
この商材は「映画に特化したUSJ」だといえる。

しかし、何億円規模の販売を目指しているなら、色落ちしにくい・色落ちしないデニムに変更すべきだ。
これは「1000万人を集客」できるような商材ではない。

以前にも書いたが、オイルをしみこませてぬるぬるしてオイルのニオイがするバブアーのコートや、頻繁な修理が必要で洗濯するにも一苦労というマッキントッシュのゴム引きコートは、どんなにその魅力を力説したところでそんな不便な商材はマスには売れない。
しかも安ければまだ売れるかもしれないが、高いとなるとよほどのマニアしか買わない。

これを指して「消費者の感性が退化している」とか「消費者が堕落した」とか非難するのはお門違いも甚だしい。

消費者ニーズを理解しない方が退化して堕落している。

この色落ちするデニムの床材は、20坪で99万円になる。
これを高いと思うか安いと思うかは人それぞれだが、当方なら99万円も払ってこんな不便な床材は敷きたくない。

変える部分と変えない部分の見極めということになるが、当初のUSJでは「映画に特化した」部分は「変えない部分」と考えられていたが、大衆化するためにはそれは「変える部分」だった。

デニム生地の「色落ちすること」はデニム業界人やそれに近しい人は「変えてないいけない部分」と見ているが、果たしてそうだろうか?そこは販路とターゲットによっては「変えるべき部分」だと断言できる。
衣料品業界にはこの手の見誤りはデニムに限らず、まだまだたくさんある。そこを整理するだけで少しは売上高が増えるのではないかと思う。

それができない限りはまだまだ売上高は低下し続ける。

NOTEを更新~♪
プライベートブランド「ZOZO」の生産システムは、現時点では「完全オーダーメイド」ではない
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/nc6e9da2bffeb

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アライヤンってこんな商品群。一例が↓

Lineは嫌いだけど、販促の手段としてのLine@は有効だと思う

もう5年くらい前のことになるだろうか。
ある小規模ブランドが大丸心斎橋店北館でポップアップショップを開催することになった際、雑談をしていたら、「大丸とのやり取りは電話やEメールじゃなくてLineなんです」と教えられて、驚いたことがある。

当方は、Lineが韓国企業だから嫌っていて極力使ってこなかったが、去年から、週に1度講師として通っている専門学校と、在庫処分店のラック・ドゥが連絡用にLineを作ってほしいというので、しぶしぶ作った。
その連絡用としてLineは使っているがそれ以外ではあまり使わない。

まず、チャット?的なやり取りならフェイスブックメッセンジャーかツイッターのダイレクトメッセージを使う。
最近はインスタグラムのダイレクトメッセージもある。

音声通話はいくら通話料が無料とはいえ、いまだに不安定で突然切れたりするので、できるだけ通常の携帯電話番号を使用する。

個人的にはいまだにLineは嫌いである。
今以上に使う気はさらさらない。

とはいえ、日本人でLineを使っている人は多く、ある意味でインフラ化している側面があり、マスプロモーションとしては使わない手はないと思う。

先日、永江一石さんがブログでLineについて書いておられた。

算数できない人はマーケット記事書いちゃダメ。若者はLINE離れしているのか → してねーよ
https://www.landerblue.co.jp/blog/?p=37724

最近は、高校生のLine疲れだとか若者のLine離れだとかいう記事が掲載されることが多い。
若者のコミュニティーに入ったこともないし、入りたいとも毛頭思わないので実際に体感したわけではないが、既読スルーとか未読無視とかそういうことで関係がギスギスするのは確かにめんどくさいだろうと想像する。
だから、Lineが爆発的なブームだったころから比べると若者が心理的に幾分距離を持ってLineを使っているとしてもそれはまったく不思議ではない。

しかし、身の回りの若者を見ていてもLineを使っている人が激減している気配はなく、安定的横ばいという感じがある。

記事中では総務省の統計データを紹介しておられて、

10代の使用率は79・3%、20代は96・3%、30代は90・3%

と非常に高い使用率となっている。
10代の場合は高校生の間はスマホを禁止されているご家庭もあるだろうから、79%でもおかしくはない。
しかし、20代は96%が使っているから、「若者のLine離れ」というのはまったく的外れで、むしろ、当方が感じていた「安定的横ばい」と言った方が正しい。

最近は、50代・60代でもLineの使用者が増えてきたと感じる。
とくに60代だと、身の回りマーケティングで恐縮だが、今年67歳になる母方の叔父夫婦はLineを使っている。
70代の父、70歳になった叔父は使っていないが、60代なら使っている人がいても珍しいとは感じなくなった。

ちなみに統計だと、50代は53・8%、60代は23・8%だそうだ。

これから50代が60代に繰り上がり続けることで60代のLine使用率はジワジワと上昇するだろうと推察される。

さて、こうなると60代までに向けての販促手段としてはLineは非常に有効だといえる。
もう、様々なブランドがLineの公式アカウントを持っている。当方は見ないけど。

業者に尋ねるとブランドが公式アカウントを作り維持するには何百万円かが必要なのだそうだ。
これでは小規模ブランドや小規模店舗は体力的に公式アカウントを開設することは不可能だ。

先日のブログでも書いた広告に関する記事でもそうだが、アパレルメーカーが考える広告費5000万円と、大手広告代理店が考える広告費5000万円ではまったく異なる。
アパレル企業というのは他業種に比べて中小規模が多いから、彼らにすると5000万円は、なけなしの大金だが、大手広告代理店からすれば5000万円は鼻くそにすぎない。

ということは、各分野の大手企業はその何倍もの金額を広告宣伝費に使っているということになる。

金持ちならあっさりオメガの腕時計が買えるが、貧乏人はなけなしのカネでオメガの腕時計を買うのと同じだ。
金持ちは何本も高級腕時計を所有できるが、貧乏人は1年に1本も買えない。
広告宣伝もまったく同じ構図といえる。

しかし、Lineの商魂はたくましく、公式アカウント以外に小規模ブランドや個店が使えそうなサービスを開始しており、それがLine@である。

公式アカウントと混同されてしまって、その違いがあまり認識されていないような印象を受けるが、必要になる金額もサービス内容も全く違う。
まず、チェーン店の場合、店ごとにアカウントを開設できる。
例えば、梅田店、心斎橋店、天王寺店、千林店、天満店などそれぞれがアカウントを開設できるし、開設に莫大な費用は必要ない。
運用も低価格であり、月に1000通のメッセージまでは無料で送れる。月に5000通で5000円、それ以上になると月額2万円~ということになる。

月に1000通のメッセージということは、250人を登録しておくと4通メッセージを無料で送れるということになる。
ユニクロナンタラ店みたいな大型店舗だと登録したいというお客は1000人くらいすぐに到達してしまうが、小規模なブランドの各店舗や個人経営の個店ならどうだろうか。
200人とか250人の顧客登録というのはなかなか大変ではないか。
その全員に「春物入荷」とか「10%オフセール開始」みたいなメッセージを月に4回~5回送れるということにある。
夏冬のバーゲンや新作入荷あたりは定番になるだろうが、それを全部合わせても年に6回から8回程度ではないか。
毎月3通とか4通メッセージを送るネタなんて個店レベルではそうそうないだろう。

となると、小規模店なら無料プランで十分ということになる。

反対に大型店や大型ブランドになると、月額2万円程度の販促費で済むならそちらの立場で考えても割安感がある。

60代までが使っていることと、Eメールと異なり、一度は開封することを考えると、Line@を販促に使うことは効果的だといえる。
Lineの好き嫌いは別にして。

で、そんなことを考えていたら、以前からちょくちょくと交流のあった野田大介さんから、「Line@の投稿が面倒なら、当社の作った自動投稿サービスWazz Up!(ワズアップ)を宣伝してくださいよ~」と頼まれたので、宣伝してみる。(笑)
まあ、自動投稿ができれば忙しい店員や店長、ブランド長の手間も省略化できる。

https://wazzup.me/

ワズアップを使うか使わないかは別として、小規模店や小規模ブランドにとってLine@は有効だし、企業体力にも沿っているといえる。

個人的な好き嫌いは置いておいて、売れることが重要なのだから、販促としては使用すべきだろう。
当方はこれからもLineは極力使いたくないが。

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アパレルブランドの広告が失敗する理由

アパレルブランドにとって広告は必要不可欠なもので、ブランド側はもう何十年も出稿し続けているわけだから、本来はすごく広告に詳しいはずである。
しかし、業界紙、編集プロダクションで勤務した経験上でいうと、そういうブランドはほんの一握りしかない。

多くのブランドは、惰性とお付き合いと「何となく」で出稿している。
そしてそれらは広告代理店にお任せである。

例外的な少数を除くと、アパレルブランドの広告担当者のお仕事というのは広告代理店と親しくすることが8割くらいを占めている。
各ブランドにはそれぞれお抱えに近いような代理店が存在する。
1社の場合もあれば、それが複数の場合もある。
要はそれら「お抱え」と親しく付き合って、リサーチからプランからすべてお抱えに丸投げし、出てきたものに対して判断を下すだけであり、その判断自体も担当者の好き嫌いやその上司の好き嫌い程度しか基準がない。
広告担当者か上司(社長である場合も多い)が「これ、ええやん」といえば、それで終わりなのである。
その「ええやん」の基準は好き嫌いだ。

だからアパレルブランドの広告は成功しにくい。

いくつか失敗例を提示する。
当方が広告に携わったのは雑誌媒体なのでそれがメインになる。

以前、某中堅ジーンズメーカーに雑誌「Begin」の広告を相談されたことがある。
このジーンズメーカーに限らず、アパレルブランドの勘違いは、そこそこ人気のあるファッション雑誌に1度広告を掲載すれば、売上が即座に増える・回復すると思っている点である。

で、相談をされたのでこれまた、ファッション雑誌広告に強い某中堅代理店を紹介した。

ジーンズメーカーの予算は年間1000万円、代理店はこの予算で、Beginの年4回掲載を獲得してきたと記憶している。
単なる純広告(綺麗なイメージ写真とブランド名だけの広告)ではなく、タイアップ記事広告だったので、1回あたり200万円以上した。
通常、雑誌では純広告よりもタイアップ記事広告の方が高額になる。

これで決まるかと思った矢先に、メーカーが「以前から懇意にしている地域密着の小規模代理店から出稿したい」と言い出した。
これは本来は厳禁な行為である。
なぜなら、その料金プランはその中堅代理店が掛け合って実現したもので、お抱え代理店が作ったプランではない。
お抱え代理店が本来すべきことは、己らも掛け合って独自のお得感のある料金プランを作成することである。

しかし、お抱え代理店の甘えとそれを許したメーカーの不見識が相まって、結局はそのプランをお抱え代理店からやることになった。

こうなると、次からはその中堅代理店はメーカーには協力しなくなる。当たり前だ。先に不義理をしたのはメーカー側である。

結果からいうとこの広告はさほど効果がなかった。
年4回というのは無名ブランドにとっては掲載回数が少なすぎるし、Beginという雑誌がそれほどの「大部数」を抱えているわけでもないからだ。モノに対する記事や写真での見せ方に定評のある雑誌ではあるが、読者数はそれほど多くないし、読者層とブランドの相性も考慮しなくてはならない。
これはBeginに限らずどのファッション雑誌でも同じだ。
読者数の多寡も重要だが、読者層との相性がさらに重要となり、どんなに大部数のある雑誌でも読者層との相性が悪ければ、まったく反応はない。
ブランドの広告担当者はそこをよく考え、リサーチを自身でし、判断しなくてはならないが、それができている広告担当者は知っている範囲でいえば見たことがない。

結局はこのタイアップを1年か2年でメーカーはやめてしまった。効果もさることながら1000万円の広告費が捻出できなくなったからだ。できなくなったというのは表向きの理由でもしかすると、もったいないと感じたのかもしれない。

これはもっとも非効率的なカネの使い方である。
無名のブランドが年4回ちょろっと広告を掲載したところですぐさま認知度が上がるわけでもない。
もっと回数を多く、長期間にわたって掲載しないと実はファッション雑誌広告には意味がない。
年6回以上で、3年~5年間の広告掲載は必要だろうと思う。

1年や2年でやめてしまえば、その広告費は無駄になる。
このメーカーでいえば、2000万円をドブに捨てたようなものである。
これで従業員を雇うとか、従業員のボーナスを増やすとか、従業員と豪勢な食事を楽しむとか、に使った方がずっと社内の士気が上がる。

こういう失敗をするブランドは本当に珍しくない。アパレルブランドのありふれた日常風景である。

じゃあ、中小代理店を使わずに大手代理店を使えば成功するんじゃないかと考えるのが、アパレルブランドの浅はかさである。

また別のジーンズメーカーが20年くらい前まで10年間、電通を使っていた。
このメーカーはかつて「大手」と呼ばれており、ピーク時の年商は130億円くらいあった。

結果的にいえば、このメーカーの売上高は現在はピーク時の6分の1以下にまで低下している。
完全なる「ドブ金」だったといえる。

年間予算は毎年5000万円~1億円だったと聞いている。

これだけ多額の予算を払えばさぞかし効果があると、アパレル業界では考えるが、結果はまったく逆だ。
それがこのメーカーの凋落が証拠といえる。

アパレル業界からすれば広告宣伝費5000万~1億円というのは多額だが、電通からすれば鼻くそである。
だから電通はこの程度の予算では身を入れて仕事をしない。

例えば、当方とは比べ物にならないほど著名人で広告業界ともかかわりの深い永江一石さんもご自身のブログでこう述べられている。

東京都の豊洲市場における、スーパーお馬鹿なインフルエンサーマーケティングが草ボウボウ
https://www.landerblue.co.jp/blog/?p=37864

電通で5000万というのは鼻くそですので、わたしの推測ではPR会社に丸投げしたものと思います。

とのことで、年間5000万円程度の予算では電通にとっては「どうでも良い」依頼なのである。

文中で述べられている事例は、大手広告代理店ならやらかしそうなウェブマーケティングでの失敗例といえる。
アパレルも行政も理解していないのは、広告代理店には各社それぞれ得意分野と不得意分野があるということで、電通でいうならファッション雑誌やらウェブは苦手で、芸能人のブッキングやビッグイベントやテレビCMは得意なのである。
分野によって代理店を使い分けるのが得策で、大手に少ない金額で丸投げするのが最愚策といえる。

かつての大手ジーンズメーカーも東京都もその最愚策を採用している。
5000万円はまさしく「ドブ金」だ。

かつての大手ジーンズメーカーなんて総額10億円以上を使って、売上高を6分の1以下にまで低下させたのだから愚の骨頂としか言いようがない。

まあ、付け加えておくと、今現在も電通とか博報堂を何十年間も使い続けているのに、中高年以外の層にはまったく知名度が上がらない大手肌着メーカーというのもある。知名度が上がらないどころか、知名度は下がっているのではないかと思う。
これも現在進行形の「ドブ金」の一つの代表事例といえる。

アパレル業界が広告で成功したいのなら、

1、広告というのは多額のカネが必要と強く認識する(節約のために年1回の掲載なんて効果なし)
2、広告代理店にはそれぞれ得手不得手があり、それを見極めて事案ごとに代理店を使い分ける
3、大手に少額のカネで頼めば、必ず手抜きされる

これを徹底的に頭に叩き込まないと、アパレル業界の「ドブ金」事例がさらに積み上がることは間違いない。

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新規顧客獲得の手法を誤ることが多いファッション業界

11月に発表されて以来、一部の有名人以外には、ゾゾスーツが手元に届いたという話は聞かない。
もう1月も下旬に差し掛かろうとしているが、一向に配送がアナウンスされる気配もない。

当方はゾゾで一度も買ったことがなく、これからもよほどの安売りでもしない限り買う気がない。
さらにいえば体型データを提供する気もないのでゾゾスーツを申し込んでいない。

しかし、これだけ音無しの構えを続けられると、どうでも良くなってきていて、あの狂騒曲ともいうべき過剰反応は何だったんだろうと笑えて来る。
実際には存在しない物に対していい年をしたオッサンやオバハンが泣いたり喚いたりしていたんだから、お笑い種だ。

そんなコントはさておき。

ゾゾスーツが無料で配布されるというやり方は、オッサンである当方からすると2000年頃のYahoo!BBのやり方を連想した。
恐らく、同じ連想をしたオッサン世代の人も多いのではないかと思う。

当時のYahoo!BBはモデムは店頭で無料配布していた。
Yahoo!BBとプロバイダー契約をするとモデムが無料でもらえるのである。
ただし、プロバイダー契約料は発生するから何から何までタダというわけにはいかない。

現在、Yahoo!BBとプロバイダー契約をしている人はあまり見かけないが、あの当時はこれによって一気に契約者が増えた。
また、これによってブロードバンドを使用する人も増えたといえる。

無料で配ることによって一気に使用者を増やして業界標準を狙うというやり方で、気を付けて見ていると、同じやり方を採る企業やブランドはほかにも多くある。

これは一種のCPA (Cost per Acquisition) といえる。

ゾゾスーツもこのCPA (Cost per Acquisition) であり、ヨドバシカメラドットコムの100円の商品でも送料無料というのも同じである。

そして、これを上手く活用できる企業やブランドがある反面、失敗に終わる企業やブランドもある。
衣料品・ファッション業界は失敗に終わる企業が多いように感じる。

さて、CPAについては河合拓さんのブログで解説されているのでご紹介する。

https://ameblo.jp/takukawai/entry-12340008298.html



CPAという考え方があります。分子は広告宣伝費の総額、分母はその広告によって購買した(新規の)顧客数となります。

CPAというと、一般論しか書かれていない教科書には「広告によって」としか書かれていませんから、ダメコンサルは「SNSだ」とか「インフルエンサーだ」など、適当なことをいっていますが、しかし、そんなものでCPA効率が上がるはずありません。CPAの本来の意味は「顧客をデータベースの中に放り込むこと」です。その目的のためなら別に広告でなくともよいのです。ぜひCPAをググってみてください。どれをみても「広告」としか書かれていません。全くおかしな話です。

 

しかし、本来的な意味合いを追いかければ、「出血大サービス」に見える施策も、実は、ネットビジネスの場合、顧客をストックしているCPAであるという見方も可能です。環境が変わっても本質は変わらないからです。

ネットビジネスは、勝利の方程式がまだまだ一般化されておらず、こうした技を駆使した企業が、気づかない企業に大きな差を付けているのかもしれません。広告公害の中で目立つ方法は、ビジネスそのものをあたかも広告のように使うこと、なのです。

とのことであり、通常のビジネス書籍にはCPAとは広告によってと書いてあるから、多くの日本企業は馬鹿正直に広告によって新規顧客を獲得しようとするが、別に広告でなくても良いのである。
ゾゾスーツの無料配布だろうがモデムの無料配布だろうがなんでも良いので、投資によって新規顧客を獲得できれば良く、ゾゾやYahoo!などのネットビジネス、EC業者にとっては新規顧客(見込みも含む)の個人情報が手に入ればそれで目的は完了する。

別にゾゾやYahoo!に限らず、ネットでは「アンケートに答えてくれたら〇〇ポイントプレゼント」とか「アンケートに答えてくれたら豪華賞品をプレゼント」なんていうのが掃いて捨てるほどあるが、あれは全部CPAの一環で、新規の個人情報が入手できれば良いのである。
アンケートに答える人は自分の個人情報と引き換えに〇〇ポイントをゲットしているだけのことで、たかが1ポイントや5ポイントを獲得するために個人情報を開示しているといえる。

この原理を理解していないヘボコンサルやヘボ業者が、いまだに「SEO対策をー」とか寝言を言っているし、その解決方法として「SNSガー」とか「インフルエンサーがー」と言って人心を惑わせている。

SNSもインフルエンサーも告知する「手段(たかが手段でしかない)」でしかないのに、最近では取り違えてSNSで発信することやインフルエンサーを活用することが「目的」と化している人も多く見受ける。

そして、このCPAを正しく理解できていなかった過去の例を挙げるとすると、ジーンズメイトとモーブッサンだろう。
ジーンズメイトは2009年とか2010年頃に、新店オープンした際に「リーバイスジーンズを先着〇名に無料配布」したことがあった。
3900円に値下がりした商品ではなく、1万円前後の定価品である。

これはCPAを曲解した行為といえ、結果は現在のジーンズメイトを見てもわかるように失敗に終わっている。

まず最大の間違いは、自社製品ではなく、リーバイスという他社製品を配布した点にある。
自社製品を配布するなら、「この商品が欲しいからジーンズメイトに次も行こう」ということになるが、「リーバイス」という大手ブランドの商品なのでそれが欲しければ、ジーンズメイトだけに行く必要はなく、ライトオンでもリーバイスストアでもマックハウスでも構わないということになる。
この根本的な問題が当時のジーンズメイトの経営者にはまるで見えていなかったといえる。

この当時もそこを指摘したがジーンズ業界村の住人たちはジーンズメイトを弁護していたが、そんなレベルだからジーンズ業界村は衰退したといえる。

高級宝飾ブランドのモーブッサンも銀座店オープンの時に超小粒のダイヤ(記憶によると5000円相当)を配布した。これも2009年とか2010年だったような記憶があり、すさまじい行列ができてワイドショーでも取り上げられていた。

結果的にはこれも失敗だったのではないか。

本来は自店の永続的顧客と成りうる高所得者層を掘り起こしたかったのだと思うが、結果的には大量の貧民層を掘り起こしただけになってしまった。
高所得者層はそもそも無料配布なんていうものには並ばない。

おまけにもらえるのはダイヤの粒だけで、これをアクセサリーにしようとするとどこかで台座(指輪、イヤリング、ピアスなどの)に取り付けてもらわないならない。
もちろんモーブッサンでも取り付けてもらえるが、取り付けには「取り付け料金」が発生し、そしてそれはそんなに安い金額ではない。
モーブッサンの狙いはここにもあったのだろうが、行列を作った貧民層はそこには金を払いたがらない。
だからモーブッサンは二重に失敗している。

どういう投資をすれば、自社の望む新規顧客を獲得できるのかを企業は考える必要があり、意味のない無料配布をしてもそれはCPAにはならない。このことを冷静に考えるべきだろう。
そして、SNSもインフルエンサーも新規顧客を獲得するための「手段」に過ぎず、発信することやインフルエンサーを活用することを「目的」だと勘違いしてはならないということである。勘違いをすればヘボコンサルの食い物にされるだけだ。

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繊維・アパレル業界のマーケティングはまったく「価値創造」できていない

なんだかんだで繊維業界に20年以上もいると、それなりに多くの企業や経営陣を外野から見てきた。
2000年以降、頭角をあらわしてきた新興企業は別として、旧型アパレルの多くは苦戦を続けている。

とくに老舗と呼ばれるアパレルメーカー、ブランドの鈍重さには驚かされる。

ブランディングとかマーケティングという作業が必要なことはわかっているが、実際にはまったく取り組めていない。
広報宣伝活動といえば、80年代から変わらないファッション雑誌への広告出稿に終始している。
ウェブでの活動が重要なことはわかっているが、80年代・90年代の雑誌広告と同じだと考えており、やみくもに投稿を増やしたり、業者に丸投げすればフォロワーやエンゲージメントが増えると思っている。
はっきりいってこんな企業、ブランドばかりである。

もう読まれた方も多いと思うが、ダイヤモンドオンラインにUSJを再建した森岡毅氏のマーケティングについての記事があるのでご紹介したい。
マーケティングとは何かということがわかりやすく書かれてあるので、まだ読んでいない方には一読を勧める。

USJ再建の森岡毅が語る、マーケティング下手な企業に足りない3つの視点
http://diamond.jp/articles/-/156025

大阪のUSJは鳴り物入りでオープンしたが低迷していた。
それを浮上させ、ある意味で東京ディズニーランドよりも人気の高い施設へと変貌させた森岡毅氏のインタビューである。

まず

私はよく、マーケティングとは「価値を創造する仕事」と説明しています。市場における価値を創造すること「全般」がマーケティングの役割なのです。
我々マーケターは、価値を「ブランド」とも定義しますが、要するに、消費者の頭の中で知覚される「価値」、つまり「ブランド」を作る仕事はすべてマーケティングの領域です。

とのことで、アパレル各社が思っているような「リサーチ」ではないということである。
旧型アパレルでも大手になるとマーケティングナンチャラ室とかマーケティングナンタラ部みたいな部署があるが、やっていることは単なる市場・他店リサーチに過ぎない場合がほとんどである。

マーケティングが「価値を創造する仕事」とすると、「どうやって価値を創造していくのか」という疑問が当然生まれるでしょう。マーケターが「何を考え、どこを見ているのか」という部分です。
ここで重要になってくるのが次の3つの視点です。

(1) 市場構造を解き明かす
(2) 消費者が自社ブランドを選択する理由をつくる
(3)(1)と(2)を実行できる組織をつくる

(1)の「市場構造を解き明かす」とは、簡単に言えば、移ろいやすい消費者のニーズがどのような状況、構造になっているのかを把握することです。一般に「消費者のニーズは変わりやすい」と言われますが、本質的な「人間の欲」はそれほど変わらないと私は思っています。
ただ、それを「満たす方法」が変わるのです。

とのことで、とくにこの3点を理解していない企業、ブランドは繊維・アパレル業界には数多くある。
市場構造を解き明かす気もなく、天候やら景気動向のせいにして終わってしまう。
各社の月次売上高速報そのものではないか。

また、「消費者が自社ブランドを選択する理由をつくる」ことをまるで考えていない。
考えていないというと語弊がある。考えてはいるのだ。
しかしその考えた理由というのは「価格が安いから(値下げすれば売れるだろう)」とか「機能性・スペックが優れているから(7つの機能性だとか過剰なフィクションに彩られた匠の神話だとか)」というようなものばかりで、表層的なものにすぎない。
挙句の果てが「タレント頼み」である。

優れたコンテンツがあってそれを紹介するために人気タレントを起用するならわかるが、コンテンツがないくせに人気タレントを起用すればすぐさま爆発的に売れると考えているのだが、それが大きな間違いである。
キムタクに着させたらどんな商品でも売れるなんていうのは2005年までで終わっている。

そして

そして、ここからがさらに大事な話ですが、「(1)と(2)の戦略を正しく実行できる組織」を作っていかなければなりません。
どんなに精緻に市場構造を解き明かし、プレファレンスを高める戦略を構築しても、それを実行できなければ何の意味もありません。私はよく「戦略人事」という表現を使いますが、目的を達成するための人事改革、組織改革を成し得なければ、本当の価値は生まれません。

とあるが、人事というのは本当に重要である。

そこで重要となってくるのが、CMO(最高マーケティング責任者)の役割です。CMO(あるいは、それに準ずる役割の人)が、マーケティングの意味や幅をきちんと理解し、その責務をきっちりと果たす。その一方で、経営者も同様の認識を持ち、CMOに相応の権限を与える。

ここが大事なポイントです。
私がUSJで働いている際、非常に幸運だったのは、社長であったグレン・ガンペルが、これまで述べた三つの領域において「私がリードできる十分なスペース」を与えてくれたことです。それだけの権限と自由を与えてくれたからこそ、私は自分の責務を果たし、結果を出すことができたのです。

もちろんグレンとは、激しい議論を何度もしましたし、ここでは紹介できないような激しい表現での言い合いもしょっちゅうしました。また、彼がマーケティングを深く理解していたかと言えば、決してそんなことはありません。
彼は強烈な存在ではありましたが、一方で、優秀な多くの人間がそうであるように「自分が足りていないもの」をきちんと理解し、必要な人材を登用し、権限と自由を与えるだけの極めて高い知性を持ち合わせていました。だから、彼はいくら激しい議論をしても、最終的に「私がこうしたい」ということについては、さんざん激しい議論の末に、私の自由にやらせてくれました。

とのことで多少なりとも宮仕えをしたことがある身としては非常に重要だと感じる。
部下や担当者に任せることができない経営者は本当に数多い。むしろそちらの方が9割がたを占めるだろう。
そして多くの企業や組織は、経営者よりも劣る人材が集められており、いつぞや、オチマーケティングオフィスの生地雅之さんがおっしゃられたように「経営者より優れた部下は組織には居られなくなる」というのが常態となっている。

逆に言えば、自分より優れた部下を集めて使える経営者はそれだけ稀有な存在だといえる。

根本的な視点がないのに、小手先のウェブ告知やSNSの投稿やインフルエンサー起用なんて百万回やったってなんの成果も生まない。
このことをわかっていない企業とわかっている企業の格差がより開いてきており、わかっていない企業が繊維・アパレル業界では9割くらいあって苦戦を続けているというのが実態といえる。

この森岡氏の記事は連載のようなので今後が楽しみである。

*ここからは趣味の話なのでめんどくさい人はスルーしてほしい。

森岡氏は三国志のトップに例えておられるが、ここの部分の見方ははっきりいって疑問である。
孔明、関羽、張飛という優れた部下を集めた劉備は、その点だけは曹操に勝っていると言っておられるが、三国志演義に毒されすぎである。
魏・呉・蜀の三国でもっとも人材の層が薄く、国力が劣っていたのが蜀である。
劉備が建国した蜀は、孔明と関羽・張飛・趙雲・馬超・黄忠・魏延以外に優れた人材はほとんどおらず、彼らの死後、人材は払底してしまう。

また、建国前の劉備軍団にも優れた人材は少なく、社長(劉備)のずぼらな人的魅力と、凄腕部長(関羽、張飛、趙雲)の個人プレーに支えられた完全な体育会系零細企業で、さらにいえば文官はほとんどいない。
孔明登場前に劉備軍の参謀となったのが徐庶だが、孔明を推薦したのち、曹操陣営に移籍するが、移籍後はめだった活躍をしていない。少なくとも史書に記されるほどの活躍はできていない。
それはなぜかというと、曹操陣営には荀彧、司馬懿、程昱、賈挧、荀攸などの優れた参謀が数多くいたからである。
むしろ優れた人材を多数使いこなした曹操の方がトップとして力量が優れていたといえる。

劉備軍は孔明以外に龐統、馬良しかおらず、法正が加入してきたものの3人とも早逝したため、本来、行政官向きの孔明が政戦の要とならざるを得なかった。この激務が孔明の寿命を縮めたともいわれている。

また史書でいうと三国のうち、蜀の記録がもっとも少なく、文官をあまり重視していなかったともいわれている。

物語は歴史に親しむきっかけとなるが、あまりにもその物語がポピュラーすぎるとかえって史実を見誤らせることになる。これは何も三国志演義に限ったことではないのだけれど。

以上、蛇足である。

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ファッション業界にはびこる「過剰なフィクション」と「嘘の神話」

衣料品をわかりにくくしている原因の一つに、業界の内外にはびこる「過剰なフィクション」がある。

モノ余り状態の現在において、商品を売るには「ストーリー作り」「物語性」が必要であることは言うまでもないが、あまりにも過剰にフィクション性が取り入れられた場合、かえって消費者を惑わせてしまう。

衣料品に関してはこれは今に始まったことではなく、かなり昔から連綿と続いているのだが。

80歳縫製士が最後の挑戦、クラウドファンディングで”究極のシャツ”発売
https://www.fashionsnap.com/article/2018-01-12/teruko-original-shirt/

奈良の縫製工場がシャツでクラウドファンディングに挑戦しており、これはこれでがんばってもらいたいのだが、業界人から一斉に突っ込みが入ったのは、動画で「一生着られるシャツ」という発言の部分にだった。

もちろん、動画の編集工程でカットされた言葉があるのかもしれないが、この動画ではシャツというアイテムの性質自体をミスリードさせる。

断言すると、一生着られるシャツなんていうのは存在しない。
リペア(補修、修理)を加えれば着られるシャツはある。しかし、リペアなしで一生着続けられるシャツなんていうものはこの世には存在しない。今のところ。

まず、長年着続ければ袖口と襟が擦り切れる。
以前にお会いしたことのある積水ハウスのベテラン営業マン(推定40代)はシャツの袖口が擦り切れていた。
それが気になって仕方がなく、何を話したか覚えていないが、袖口が擦り切れたシャツだけは鮮明に覚えている。

またこのシャツのように白シャツは着用を繰り返せば、皮脂がこびりついて必ず黄ばむ。
また襟の内側には「汚れの首輪」が確実に刻み込まれる。
どんなにウタマロ石鹸で丹念にこすっていても、何十年かの間には確実に汚れの首輪は刻み込まれる。

これらを解決しないかぎりは一生着られるシャツなんていう商品にはなり得ない。

衣服の傷みは着用回数と洗濯の回数に反比例するから、年に1度くらいしか着用しないというならもしかしたら一生着られるかもしれないが、デイリーユースで月に何回か着用するのであれば、確実に20年は持たない。

おまけにいえば、「縫製士」なる職業も実在するのかどうかすら怪しい。
40年前とか50年前には存在していたのかもしれないが、少なくとも20年前からこの称号を持つ人には会ったことはないし、見聞きしたこともない。もし、「縫製士」に関してご存知の方が居られたらご教授いただきたい。

この過剰に盛られたストーリー性と「縫製士」なる実在未確認職業がなんとも気色悪い。

最近は「10年持つ服」だとか「100年持つ服」なんていうキャッチフレーズが横行しているが、はっきりいえば、ユニクロの商品は10年持つ。10年持つ服が欲しければユニクロで買えば解決する。

当方のタンスには10年前に買ったユニクロの服が何枚もある。
いずれ画像付きで紹介しよう。

先ほども書いたように、衣服の耐久性は、着用回数と洗濯回数に反比例するから、デイリーユースでも10年持つユニクロの服を極限まで着用回数と洗濯回数を減らせば30年くらいは優に持つだろう。
それだけのことで、そこに過剰なフィクションを差し込むことが気色悪くてならない。

衣料品だけでなく、原料や製造工程にもわけのわからない過剰なフィクションがあふれている。

例えば、

https://ameblo.jp/takukawai/entry-12344165904.html



彼らは「イタリアの素材と日本の素材の大きな違いはエージングにある。イタリアは生産した生地を数年寝かし風合いをだして出荷するが、日本は生産したら直ぐに出荷する。だから、ワインと一緒で滑らかさが違うのだ」という説明でした。

実は、これは大嘘で、日本に二次情報や推測で、このような「嘘」や「神話」がまかり通っています。

とのことで、この「生地のエージング」は素材メーカーや商社、生地問屋などで当方も何度か耳にした。
完全なる嘘っぱちである。

また、ユニクロと契約したことで一挙に注目を集めた完全無縫製のニット製造機、ホールガーメントも過剰なフィクションで彩られている。

一体成型でセーターが編めることが特徴のホールガーメントだが、これの最大の利点は

1、プログラミングが正しくでき、機械の操作を正しくできれば、驚くほどの少人数でセーターが量産できること
2、リンキングが不要であること
3、ホールガーメントでしか実現できないデザインがあること

この3点である。

にもかかわらず「一体成型でフィット感が良い」とか「着心地に優れる」などと言ったまやかしの言説が売り場にもメーカーにもあふれている。

以前、ジーンズメイトで1000円に値下がりしたホールガーメントセーターを購入して何年間か着続けた経験でいえば、そんなものは一切ないと断言できる。
着心地も普通のセーターと変わらないし、そもそもセーターは編み方にもよるが、3センチ~5センチは伸び縮みするので、そこまで厳密な採寸は必要ない。
さらにいえばどうして一体成型だからフィット感が高まるという理屈になるのかも理解できない。それなら丸編みのTシャツのボディはフィット感が良いのだろうか。

セーターは首とか袖や裾部分のリブとかそういうところを本体に取り付ける。
布帛だと普通に「縫製」するのだが、セーターの場合はリンキングという処理を行う。
パーツと本体を目立たないようにつなぐのである。
そしてリンキングにはリンキング専門の工場がある。

リンキング工場はリンキングしかできないため、セーター工場と異なりオリジナル商品は作りにくい。
そのため自立化もできず倒産廃業が相次いでいる。

ホールガーメントはそのリンキングが不要になる技術であり、だからこそ、ホールガーメントが注目を集めているともいえる。
着心地云々ではなく製造側のメリットがあってのことである。

じゃあ、なぜそれを説明しないのかと書いたところ、老年のパタンナーから「そんな後ろ向きのことが言えるか!」と反発を受けたが、だからといって、まったく別のしかも間違ったメリットをでっち上げて良いとはこれっぽっちも思わない。
一体、この人は何を言っているのだろうか。

だったら、人員の削減やら生産効率の上昇やらそこを強調すべきであり、ありもしない着心地やらフィット感をでっち上げることは消費者にとっても業界にとっても何のメリットもない。むしろ害悪だ。

そしてこういう間違った評判が定着し、それゆえに衣料品はわかりにくくなる。
今までからそれを繰り返してきた。
衣料品業界はこういう「過剰なフィクション」にいつまで頼るつもりだろうか。そして過去の「過剰なフィクション」が衣料品をわかりにくいものにし、それが衣料品不振の原因の一つになっているにもかかわらずだ。

ナントカは死ななきゃ治らないといわれるが、まさに衣料品業界は一度完全にクラッシュしてみないとわからないのだろう。

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