カテゴリー: 誰がアパレルを殺すのか (1ページ / 2ページ)

無名ブランドはウェブサイトを開設しただけでは売れない

何度も書いているように、よほど強固な信念がない限りは、現在において企業もブランドもウェブサイトは必要不可欠である。
どんな不細工なサイトでもないよりはあった方が良い。
それが第1歩だが、2000年ごろのインターネット草創期ならいざ知らず、ウェブサイトを使って集客や物販を行うとすると、それ相応の工夫が必要となる。

しかし、繊維業界・アパレル業界はこの分野に極めて弱いから、多くの企業やブランドは「とりあえずウェブサイトを開設しましょう」という段階である。

一方で、すでにウェブサイト自体は有象無象がひしめき合っているし、通販サイトは乱立している。

何度も書いているようにYahoo!ショッピングだけで40万店くらいは出店しているし、店舗数が減少している楽天でも4万店の出店がある。
この2つだけで重複出店も含めて44万店もあり、よほどの工夫を凝らさないとその中に埋没してしまうことは間違いない。

ベタな例えをすると、脱サラして居酒屋を開店したとして、競合が44万店あれば、よほどの「何か」がないと消費者からは選ばれない。
無名の居酒屋が繁華街にオープンして、そこに初日からわざわざ来てくれる客がどれほど存在するか。
すでに常連になっている店に行くだろうし、常連になっている店がなければ有名店に行く。
無名の居酒屋が選ばれる理由は何一つない。

無名の企業が今、新規にウェブサイトを開設するということは、こういうことである。

これを忘れて、ウェブサイトを開設すれば即座に多くの人が流入すると思っている残念な人が繊維業界には多い。
それだけアレだとさぞかし人生は楽しいのだろうなと思う。

さて、このブログを9月下旬にワードプレスでリニューアルしてくれたのはスタイルピックスという会社なのだが、そのおかげもあってスタイルピックスとウェブサイトの仕事で絡むことが増えた。

http://style-picks.com/

トップページには同社の短髪の看板娘の動画が貼ってある。

で、ウェブサイト開設、ウェブサイトの運用というのを見ていると、「どのように呼び込むか」が重要だと改めて痛感させられる。

企業やブランドがウェブサイトを開設する理由はつまるところは、

物(サービス)を売りたい(平たくいうと金儲けがしたい)

であるが、そのためには

1、ファンを増やす必要がある
2、定期的にサイトを見に来てもらえる内容をアップし続ける

ことが必須になる。

そのためには、単に品物(サービス)だけを並べているだけでは、よほどの超有名ブランドでもない限り不可能であり、そのために各社はブログを更新し、動画やコーディネイト画像をアップしている。
いわゆるコンテンツを強化している。

価格優位性があるといわれているユニクロとジーユーでさえ、単純な商品の陳列だけを行っているのではない。
コーディネイト画像の更新やら、ちょっとキモいタッチの松浦弥太郎氏のコラム連載やら、タレントが語り掛けてくれる動画コンシェルジュだとかそういうことをやっている。
価格優位性があり圧倒的知名度がある、ユニクロとジーユーがこれほどの工夫を凝らして売っているのに、無名のブランドが何の工夫も凝らさずにどうして売れると思えるのだろうか?その考えがわからない。

それに気が付いて、ブログをアップするブランドや企業も増えたが、個人的に「それでは効果が上がらない」と感じる事例は多数ある。
もちろん、ブログはやらないよりはやった方が良いことは前提であることは言うまでもない。

例えば、大手ではないジーンズブランドがあったとして、ブログにアップできる内容は様々ある。

ジーンズというアイテムの説明だけでも何回も書けるだろう。
それ以外にも、

ジーンズ業界について
デニム生地いついて
縫製について
洗い加工について
ジーンズファッションについて

などが考え付く。

これは他のジャンルのブランドでも同じだろう。
「ジーンズ」「デニム」をそれぞれのジャンルの商品や素材に置き換えれば良い。

いわば、これらはマクロな話。

自社のブランドや活動というミクロなことも不可欠で、問題はそれの書き口ではないかと思う。

「今朝も〇〇工場さんと打ち合わせで岡山に出張です。がんばります」程度な文字数なら、はっきり言って「ツイッターに書いていろよ」と思う。
また、自社の商品のセール情報しか書いていないならそれは折込チラシと同じで、ほとんどの場合が流される。

仮にも独自ブランドを名乗っているなら、商品の工夫した点や生産背景との取り組みがあるだろうから、それをキチンと書く必要があるのではないか。

1、商品デザインについて
2、使用した素材について
3、パターンなどで工夫した点について
4、製造を請け負ってくれている各工場について
5、個人的な考えについて

などである。

これらがないのであれば、エドウインかリーバイスの代理店でもやっていればいい。
おわかりいただけるだろうか?

もちろん、人間は綺麗ごとだけでは生きていない。むしろ綺麗ごとの方が少ない。
人間の生きている理由のほとんどは汚くて利己的な理由ばかりだと思っている。

「とりあえず手っ取り早く儲かりそうだからブランドをやってみた」とか、「理由はあまりなくて何となくブランドを始めてみた」とか、見聞きした範囲でいえばそういうことが数多くある。

まあ、それはそれで書けば良いだろうし、それでも業務としてやっていくうちに、独自に工夫を凝らしている部分が自然発生しているだろうから、それを書くべきである。

この辺りを整理してコンテンツを作れているブランド、作る気があるブランドは極めて少ないと感じる。
逆に批判はあっても、現在のウェブでの勝ち組ブランドはこの辺りを実行しているといえる。

あと、ウェブサイト開設・運用には確実にカネは要る。
最低限のカネは絶対的に必要である。
ときどき、いまだに「10万円くらいでサイトを作ってほしい」とか「3万円でサイトを作ってほしい」とかいうとぼけた人が繊維業界には山のようにいるが、100万円とか1000万円とかバカ高い金額は必要ないが、世間相場を知らないと話にもならない。

機械類なら何百万でもポンと支払う製造加工業者、酒を飲ませる店になら何十万円でも気軽に支払うアパレルメーカー経営者、自分の飲み食いになら毎日惜しげもなく散財する個人事業主などに限って、ウェブサイト製作に3万円とか5万円とかのあり得ない価格を提示するので呆れ果てることが多い。結局はそういうレベルの業界なのである。

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10年後の30代には選ばれない大手アパレル各社のブランド

ファッション専門学校生はもちろん衣料品が好きで、それをしたくて入学している人が多い。

個人的には「好きを仕事に」というのは全面的に賛成はしない。
好きといっても、「ファッション衣料を買って着るのが好き」と「ファッション衣料を作ったり売ったりするのが好き」では意味が異なり、前者が好きな人はファッション衣料業界に入るべきではないと思っている。

それならモデルを目指したり、ファッション評論家を目指すべきだと思う。
それこそ、焼き肉を食べることが好きな人が焼き肉屋に就職するのが良いとは思えない。

まあ、それはさておき。

学生は一般人に比べてファッションや衣料品への興味が高いことだけは間違いない。

そういう学生たちでさえ、アパレル業界人が思っているよりもずっとアパレル企業名やブランド名を知らない。
アパレル業界人は繊研新聞やWWDに任せていないで、自ら生の声を取りに行ってはどうか?すさまじい衝撃を受けるだろう。

大雑把にわけて、かつての大手アパレルと現在の大手アパレルを比較してみる。

かつての大手

ワールド
オンワード樫山
三陽商会
ファイブフォックス
イトキン
TSIホールディングス

現在の大手

ファーストリテイリング
しまむら
アダストリアホールディングス
ストライプインターナショナル
マッシュスタイルラボ
ユナイテッドアローズ

など

ということになるが、前者の「かつての大手」は圧倒的に知られていない。
これは自分の身の回りのファッション専門学校生20人くらいの結果である。
しかし、単年度の結果ではなく、ここ3年間くらい共通しての結果だから、それなりに普遍的だと考えられる。

かつての大手は社名はまったく知られていない。
ブランド名も知られていない。

オンワード樫山の主力である組曲、23区、ICBは壊滅的に知られていない。
ワールド、イトキンも同様だ。
三陽商会は以前ライセンス生産していた「バーバリー」のみ知られている。
SPAの走りとしてかつては一世を風靡したファイブフォックスのコムサシリーズもほとんど知られていない。
まれに「あ、名前を聞いたことがある」という学生が1人か2人いる程度だ。
TSIホールディングスは社名はもちろん知られていないが、傘下のナノユニバースとローズバッドは知られている。

ざっとこんな感じだ。

ちなみに「現在の大手」でも社名を知らない学生は多い。
例外は基幹ブランド名と社名が同じであるユナイテッドアローズとしまむらくらいだろう。

しかし、それぞれのブランド名は認知している。
ユニクロ、ジーユー、スナイデル、アースミュージック&エコロジー、ローリーズファームなどはしっかりと認識している。

この結果を見ていつも衝撃を受ける。まあ、3年目にもなると慣れたが。
逆にアパレル業界人はこの結果を見て何も感じないのだろうか?
何も感じないならますます衰退ブランドは衰退するだろう。

若い人たちの所得は減っているもしくは伸び悩んでいるから、高価格品は売れにくい。
そうなると低価格品では競争力のない「かつての大手」は中高年向けのブランドに特化することになる。
それがさらに若い人たちへの知名度を低めている。

3年くらい前まではアルバイトの時給も低く、学生は高い服を買えなかったが、去年や今年はアルバイト時給がかなり高くなっていて、ユニクロやすき屋で月に20日間くらいシフトに入っている学生の所得は驚くほど高くなっている。
20万円とか25万円くらいの収入があるらしく、懐寒しな当方もユニクロかすき家でバイトした方が良いのではないかと真剣に考えるほどである。
業界の食い詰めているオッサンたちはユニクロとかすき家で月に20日間くらいアルバイトした方が良いのではないかとも思う。

そんなだから今の学生は買おうと思えば、超高級ブランドは無理としても百貨店価格帯くらいなら買えなくもなくなっている。

となると、「かつての大手」が年配層に偏重している状態が正しいとは言えなくなりつつあるのではないか。

逆にいえば、これほど企業名はさておき、ブランド名すら認知されていない状態では10年後の30代・40代が「かつての大手」が擁するブランドを選ぶ可能性はほとんどゼロだろう。

今の若者が10年後に30代・40代になったときに選ぶのは、今親しんでいるブランドか、今親しんでいるブランドの上級ブランドということになる。おわかりだろうか?

ユニクロでは飽き足らなくなったらセオリーを買う。決して23区とか組曲とかアンタイトルは買わない。
なぜなら、それらには全く親しみがないから。

メンズでも同様だろう。
バーバリーは買うが、クレストブリッジは買わない。

そうなると、どうなるかというと「かつての大手」の業績はますます厳しくなる。
先細りしかない。
オンワード樫山はそういうリスクを避けるために食の分野に進出しようとしているが、オンワードマルシェもイギリスに出店した手打ち蕎麦屋も唐突な印象しか受けない。
ネット通販のグルメサイトであるオンワードマルシェはまだしも、手打ち蕎麦屋はまったくオンワードのイメージとはつながらない。
かつてジャヴァグループ(現ジャヴァコーポレーション)が神戸本社の1階にうどん屋を開設して運営していたが、それと同じくらい唐突なイメージだ。ちなみにそのうどん屋のスタッフもジャヴァの社員だったと聞いている。

今の20代も10年後には30代になる。
中高年偏重の大手アパレルのさらなる凋落は予想するよりもずっと早く訪れるのではないか。

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衣料品に固執している限り百貨店の業績は回復しない

百貨店という業種の業績回復を目指すなら、所詮は単なる小売店に過ぎないのだから、「売れる物を売れ」としか言いようがない。
「売れない物」「売りにくい物」に固執して何を嘆いているのかと思う。

今、百貨店で「売りにくい物」といえば衣料品、とくに婦人服である。
これを減らして「売りやすい物」である化粧品と食品の売り場を拡張すれば良い。
それだけのことである。

一方、「百貨店=ファッション売り場」だと考えている人からすると、婦人服売り場は減らせないというだろう。
百貨店という業態をどう捉えるかによって結論は異なるが、そもそも百貨店は「ファッション売り場」だったのだろうか?
80年代ごろから「勝手に」ファッション売り場へと変貌させたのではないのか?

なまじ「ファッション売り場」として死守しようとするから苦戦しているのではないか。

失速したはずの”爆買い”が帰ってきた理由
「百貨店業界の底入れは本物だ」
http://president.jp/articles/-/23609

この記事に書かれているように「底入れは本物」だとはまったく思わないが、富裕層の消費が回復しているのは事実である。

インバウンド以外では時計など高額品が堅調だ。高島屋の広報担当者は「日経平均で2万をつけた6月ごろから伸びが顕著になった」と説明。株高の恩恵を受けた富裕層の消費が支えているという。宝飾品は4.0%、美術品は7.9%、それぞれプラスになった。



とのことで、ここに加えて外商も回復しているという。
知り合いの某毛皮業者は、2年ほど前から外商向けの30万円~50万円くらいの毛皮製品(フェイクファーではない)の売れ行きが回復してきて、今年は毎月追加発注が来るという。

これまでは黒、茶、ベージュなどのベーシックカラーの需要ばかりだったが、2年くらい前からはピンクなどの綺麗な色のファーの発注が主流だという。

一方、再三各方面でも報道されているように、インバウンド消費が回復しているが中身は変わっている。
以前は高級ブランド品だったのが化粧品などが主体となっている。

インバウンド消費をことさら重要だとは思わないが、そこに照準を当てても洋服よりは化粧品を強化すべきなのである。

このプレジデントの記事にも


一方で米アマゾンなどのインターネット通販に押される中間所得層は厳しい戦いが続く。高島屋は婦人服が1.7%減、紳士服が4.6%減と衣料品は相変わらず不振だ。

 

とある。
「アマゾンなどのインターネット通販に押される」とはステレオタイプの紋切り型で失笑するほかないが、高島屋だけの数字で見ても衣料品は苦戦している。
百貨店協会の売上速報でも衣料品は押しなべて不調である。

だとしたら、百貨店という「単なる一小売店」がファッション衣料品に固執する意味があるのだろうか。
当方はまったく意味がないと考える。
それは単なる自己満足じゃないのか。

小島健輔さんや松岡真宏さんが指摘しておられるように、百貨店の衣料品売り場は80年代から拡大し始めた。
80年代、90年代と拡大を続けて2010年代に至っている。

http://www.apalog.com/kojima/archive/2077

 

80年頃には1.7倍程度の差(婦人服売り場と紳士服売り場の広さの差)だったのが90年頃には2倍強になり90年代末には3倍にまで開いた経緯を振り返っても、消費の実勢を超えた拡大であった事が伺われる。

 

じゃあ、どうして80年代と90年代はひたすら衣料品売り場を拡張し続けてきたのだろうか。
それは百貨店にとって最も「売りやすい」「売れやすい」物だったからにほかならない。
別に百貨店は元から「服屋」なのではない。
服が売りやすく、売れやすかったから衣料品売り場を広げただけで、当時、ほかの物が売りやすかったなら、それを広げていただろう。
しかし、90年代だとすでに家電量販店が成長しており、家電と玩具は最早値段と品ぞろえの豊富さでは百貨店が勝負できなくなっていた。
だから百貨店は家電と玩具を切り捨てた。

別に衣料品が百貨店のアイデンティティだったわけでもあるまい。
バブル景気とファッションブームでそれが最も売りやすい品物だったというだけに過ぎない。

先ほどの小島健輔さんのブログから再び引用しよう。

 

衣料品は前年(16年)も大きく落としているため前々年比で見ると、紳士服・洋品が8~10月平均で93.4とヒト桁の落ち込みに踏み止まったのに対し、婦人服・洋品は同88.7と大きく落としており、その差は4.7ポイントも開いている。前々年からの減少額(年間)は紳士服・洋品の339.5億円に対して婦人服・洋品は1451.9億円と4.3倍近く、そこにこそ衣料不振の本質が潜んでいるように思われる。
家計支出調査では紳士衣料の1.8倍弱の婦人衣料が百貨店では紳士衣料の三倍近い売場を占めて三倍強を売り上げており、婦人服が過大供給になっている事は間違いない。

 

とのことで、結局は80年代・90年代に婦人服偏重になったままで、それをいまだに維持しようとするから百貨店は苦戦し続けるのである。

今なら、家電量販店の家電に飽き足らないと思っている層を呼び込むというのはどうだろうか?
また自転車やサイクリング用の衣服なんていうのを強化してみてはどうか?

たしかに消費者教育は必要だが、要らない物を無理やりに売り続けるというのはいかがな姿勢だろうか。
百貨店の婦人服売り場なんて伝統芸能でも重要文化財でも国宝でもないのだから、売れなくなればさっさと縮小すれば良いのではないか。
そういう硬直したマインドそのものが百貨店を凋落させていることに気が付くべきである。

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洋服への関心が薄れているのに、洋服売り場が多いから百貨店が苦戦するのは当然

先日、久しぶりに会ったアパレル業界の人と雑談していたら、最近、キャンプをはじめたとのこと。
当方が子供のころ、子供会とか学校で夏休みにキャンプがあったが、嫌で嫌でしょうがなかった。
簡易宿舎みたいなところに泊まるのは、暑いし蚊に刺されて眠れないし、汗だくになったのに風呂にも入れずに気持ち悪いし。
地面にテントを張る方はもっと不快だった。
地面が固くて寝にくいし、暑くて虫が多くて。

そんなわけで当方は今でも真夏のアウトドアは嫌いだし、キャンプは嫌いなままだ。
真夏はクーラーの効いた部屋でのんびりして、夜になったら布団で寝るのが一番である。

しかし、最近はグランピングなる言葉ができていて、ほとんどホテルに近い環境で宿泊することが可能になっている。
まあ、これなら機会があれば参加してみてもいいかなと少しは思うようになった。

身の回りのアパレル業界でもキャンプ愛好家はけっこう多いが、話を聞いてみるといわゆる「グランピング」の人がほとんどで、あと、関西大学探検部OBから教えてもらったが、真夏に野宿はしないそうだ。野宿は春と秋が最適だとのことである。

で、そのグランピング用品の値段を聞くと、驚くほど高い。
3万円や5万円は当たり前、10万円や20万円でも高すぎるとはいわれない。
そういう道具を平気でみんな買っている。

当方だってがっしりとしたノートパソコンが7万円なら「安いな」と思って買ってしまう。

ところが、洋服だとどうだ?
物にもよるが、どんなに高品質でも5万円の商品をポンと買う人はなかなかいない。
当方も2万円くらいまでなら、よほど欲しい服なら買うがそれ以上はちょっと買わないし、所得的にも買えない。

最近だと自転車を趣味にしている人も多いが、10万円くらいの自転車は普通に買っているし、道具類も洋服ほど安くはない。
当方は2万円くらいのママチャリを長年愛用しているが、逆に5000円くらいの自転車だと安すぎて不安になる。

そういう状況を考えると、業界の人も含めて洋服への関心が2000年以降は薄まっているといえる。
趣味は多様化しており、その趣味には少なくとも洋服よりはカネをかけている。

しかし、洋服への関心はゼロにはなっていない。現に下がったとはいえ、国内のアパレル市場規模は9兆円強もある。

ただ、キャンプ用品や自転車用品、釣道具などに比べて、洋服の場合は価格の高低が機能の高低とは結び付いていないので、「見た目が同じ」なら低価格の物でも構わないというふうに考えられがちになる。

実際のところ洋服の低価格代替品は見た目の良さは向上しており、それらだけで身を固めてもほとんど問題はなくなっている。

さて、先日、週刊現代から「百貨店が苦戦しているのはなぜか?」という取材を受けたが、上に書いたことが原因の1つといえる。
そういう状況下にありながら、百貨店の売り場構成は今でも過度に洋服に集中している。

婦人服、婦人ファッション用品のフロアがだいたい3~5層くらいある。
メンズが1フロアか2フロア、子供服が1フロアあり、場合によっては、欧米ラグジュアリーブランドのフロアが1フロアか2フロアある。

これ以外は化粧品と食品で、あとは申し訳程度に呉服やリビングのフロアがある程度に過ぎない。

洋服への関心が薄まっているのに、洋服の売り場が7割から8割も占めていては、そりゃ売上高が低下するのは当然である。
逆に百貨店でも食品と化粧品の売上高は好調だ。

大丸東京店は好調店舗として知られているが、牽引しているのは地下1階と地上1階の食品売り場で、地上1階も食品売り場にしたことが好調の要因だと指摘されている。
また、伊勢丹新宿本店でも地下1階の食品売り場は好調で、今年春に電撃解任された大西洋・前社長も昨年夏の時点で「ファッションは停滞気味だが食品は好調です。ただ、ファッションの伊勢丹なのでファッションが評価されないのは複雑ですが」と述べていた。

最近のファッション専門学校生は百貨店で洋服を買わない。
しかし、その中にも化粧品は百貨店で買っているという生徒はいる。
専門学校生からして百貨店への評価基準は「化粧品>洋服」なのである。

こういう消費動向なのに過度に洋服に偏重した売り場を維持している百貨店の売上高が回復するはずがない。
さらに滑稽なのが、洋服を回復させるために無駄な労力と金を投入し続けているところである。
魚のいない場所に餌を巻き続けているようなものだ。

80年代以降、百貨店は洋服の売り場を増やし続けた。
2000年頃まではそれが効率的だったからだ。
しかし、状況が変わって今はその「選択と集中」に苦しめられている。
アホみたいに液晶テレビに「選択と集中」しすぎて経営破綻したシャープと同じ轍を踏んでいる。

35年くらい前の百貨店の売り場は薄ぼんやりとしか覚えていないが、洋服のフロアは今よりも少なかった。
家電やら自転車やら仏壇やら玩具の売り場があった。

80年代からファッションが盛り上がって、そちらの方が収益が高いから洋服偏重を強めて行っただけのことで、洋服偏重は伝統でも何でもない。

重要文化財でも国宝でもなく、百貨店なんて所詮は「単なる売り場」に過ぎないんだから、消費動向に応じて売り場編成を変えれば済む話だ。
売上高を増やして収益性を高めたいなら、今の消費動向に合わせた売り場構成にすれば良い。
早い話が、洋服売り場を減らして、グランピング用品だの高級釣り具だの高級自転車だのの売り場を作れば良いだけのことではないか。
売れ行きは別として蔦屋家電よろしく、高感度家電を集めた売り場や高級カメラ売り場なんていうのも作れば良いのではないか。

洋服そのものへの関心が薄れているのに、さらに「洋服強化」とか「洋服復活」なんて何を言っているのか意味がわからない。
80年代の残滓としての「洋服」にこだわり続けているうちは、百貨店の復活なんていうのは絶対にあり得ない。

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寡占化が進む国内アパレル市場での勝ちパターンとは?

一昨日くらいからやたらとリツイートされたツイートがある。

理由は判明した。
かねてより親交してもらっている短パン社長こと奥ノ谷圭祐さんが、自分のブログにそのツイートを貼り付けてくれたからだ。

ご存知のようにツイッターは140字という制限があるので、こういう書き方しかできないのだが、個人的には極めて当たり前のことを改めて書いただけであり、逆に多くの人が何をそんなに驚いているのかと不思議でならない。

もちろん、異業種の人からすると「初めて知った」という事柄かもしれないのでそれは理解できるが、理解できないのは、衣料品業界にいる人までが「初めて知った」みたいな反応をすることである。

自分が仕事をしている業界の大勢をどうして知らないのか?知らないままで何年間も仕事ができる業界って逆に緩くてパラダイスじゃね?

なんて思ってしまう。
ちょっと冷静に考えてみたいのだが、ユニクロとジーユーのこの2ブランドだけで、国内売上高は1兆円強になる。

ツイートは文字制限があるので省略しているが、しまむらには「しまむら」以外に「アベイル」などのいくつかの違う屋号の業態がある。
それを全部合わせたしまむら全社の売上高が5400億円になるということである。

正しくは、ユニクロとジーユーの2ブランドとしまむら1社の国内売上高を合計すると1兆5400億円強になり、国内のアパレル小売市場規模が9兆円強なのでその6分の1を占めるということになる。

いずれにしてもとてつもない売上高規模だが、ここを踏まえて考えないと、単純なモノづくり論とかありきたりの販売論では話にならないということが言いたかった。

かつてワールドやらオンワード樫山やらの業績が堅調なころはそれぞれ3000億円くらいの売上高があった。
2005年ごろまではバブル崩壊不況と言われながらも、今から考えるとまだファッションに活気があった。
以前にも書いたが、レーヨンジーンズブームもビンテージジーンズブームもエアマックス95ブームもバーバリーブルーレーベルのアムラーブームも全部90年代のことである。

ファッション分野に毎年大ヒット商品が生まれていた90年代の豊かさ

国内のアパレル小売市場規模も10兆円を越えていた。

仮に10兆円だったとして、ワールドとオンワード樫山の売上高合計は6000億円ほどしかなく、市場規模の6%程度の占有率しかなかった。
90年代に働いていた者の回顧としては、それでも「大手の寡占化はすさまじいな」と感じていた。
70年代や80年代のように(伝聞しただけ)マンションメーカーが巨大企業へ成長するなんてことは、この当時でもほとんどなくなっていた。

それが今はどうだろうか。この当時とは比べ物にならないほどの寡占化が進んでいる。
ファーストリテイリングの2ブランド(ユニクロとジーユー)としまむらの2社で国内市場の17%ほどを占めている。
今後さらに⓵2社の売上高が伸びるか、⓶国内市場規模が下がるか、このどちらかになると考えられるので国内占有率はさらに高まり、近い将来20%を占めることになるだろう。

こういう状況にありながら、古株業界人からはいまだにユニクロ否定論やしまむら否定論が聞こえてくる。
何も年配業界人からだけではない。販売枚数が極小で採算ベースにすら乗っていない若手からも聞こえてくる。
そういう若手は単に年齢が若いだけで思考が業界老人と同じである。

何を言っているのかと思う。

マスは大手2社に任せて、少人数にしっかり売るという考え方のブランドやアパレルは成長すると思う。
売り上げ規模が成長しないまでも収益は確保できるだろう。

「マスが間違っている」と声高に吠える弱小ブランドは思考自体が化石化しているので遠からず市場から退場することになるだろう。

弱小ブランドが無くなっても困る人はわずかしかいないが、この2社が無くなれば困る人は何十万人もいる。

ところで逆説的だが、衣料品というのは価格の高低に関係なく必需品でありながら嗜好品の側面があり、ユニクロだけ・ジーユーだけ・しまむらだけでは多くの人は満足できない。
たまには違うブランドや違うデザインの服も着てみたくなる。

そういう意味ではこの2社だけが残っても日本国民は困るのである。

だから、その他のアパレルやブランドにも活路はある。
その活路は論者によってそれぞれ違うと思うが、個人的に思いつくのは、トータルアイテムでは勝ち目がないから、何か1つか2つだけの得意アイテムに集中することで存在感が発揮できるのではないかと考える。

その好例は、鎌倉シャツであり、モンクレールだろう。

それぞれビジネスシャツやダウンジャケットに特化している。
鎌倉シャツは5000円くらいの価格でまあ大衆的だが、モンクレールは10万円を越える価格でハイブランド化している。
モノづくりがしっかりしていることが前提だが、それ以外のプロモーションや売り方などに工夫を凝らしたことで一般消費者に広く認知させることができた。

ほかにも特化すれば存在感を発揮できる分野やブランドはあるのではないかと思う。
問題はそれらを「モノづくり」「商品デザイン」のみの観点でやろうとするから売れないのではないか。

もちろん、モノづくりや商品デザインは重要だが、それだけでは購買意欲を掻き立てることはできない。
よくあるのが、商品のスペックや製造方法のみをクローズアップしすぎて、大衆からソッポを向かれてしまうことだ。
産地ブランドや製造業ブランドにはこうした例が掃いて捨てるほどある。

そのあたりを再度検証しなおしてみてはどうか。

それにしても、正しい数値データを持たずに商売ができているアパレル業界の緩さを改めて知ることができた。
正しい対策をとるには正しい数値を把握することが必要不可欠だ。それを欠いているのだから、業界全体が不振になったことは何の不思議もない。

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若手デザイナーズブランドの苦境は販売先がないから

衣料品におけるデザイナーズブランドにはあんまり興味もないし、判別する知識もない。
それでも衣料品業界に20年以上もいると、何らかの接点もできてしまっているし、展示会やコレクションショーを見る機会もある。
個人的に交流していただいている方もいる。

そういう外野の人間から見て、デザイナーズブランドというビジネスは成功するのが難しいと感じる。
まあ、どんな分野にせよ成功するのは難しいのだが、デザイナーズブランドで一般のサラリーマンの平均収入を得るのはかなり難しいと感じる。
東京コレクションに10年以上も出品し続けて、知名度もそれなりにあるブランドでも実際は売上高は極小なうえに収益はまったく赤字で、親の会社から回してもらっているカネで暮らしているというデザイナーもいると聞く。

それほどに厳しく、10年以上のベテランがこのありさまなので、若手ブランドのビジネスはもっと厳しい。
もし自分ならそんな仕事は絶対にやらないなと思う。

なんでこんなしみったれた話を朝から書いているのかというと、台東デザイナーズビレッジの鈴木淳村長のフェイスブックの書き込みに激しく賛同したので、それを紹介したいからである。

このルームサービスの元記事はどうでもよい。
論調としては冷静だといえるが、そこには鈴木村長が指摘された事柄がない。
今更、サカイと若手ブランドのビジネスを比較して「若手がなってない」といったところで何か状況が変わるのだろうか。
じゃあサカイが海外で売れた理由をもっと取材してそれを分析してみてはどうか。

クリックするのがめんどくさい人のために抜き出してみる。

■コレクションの取材記事は
1)ショーの実況
2)ショーの感想 ←ここまではある。評価軸はない。
3)ブランドへの評価 ←これもある。どうしてそうなったのかという背景をもっと取材してほしい。
4)ブランドへの改善提案 ←これはあまりない。ビジネスの仕組みがわからないからではないか。
5)自分、自社は業界のために何をするか←ほとんどみたことがない。
日本の若手ブランドに対して「現実を見るべきである」と突き放すのではなく、取材できる立場を活かして多くの成功・失敗事例を分析したうえで、そうならざるをえない理由、できない環境に切り込んで、どうしたらよいかという指針と具体的な方策ぐらいは示してほしいものです。

川久保玲のコム・デ・ギャルソンが欧米で売れた理由は何もクリエイションが評価されただけではあるまい?
金融の話やら、現地のエージェントや人脈の話やら、川久保玲のパートナーの話やらいろいろあって海外で「売れる」に至っている。
サカイだって同じだろう。商品のデザインが評価されただけではあるまい。
そのあたりを何も分析せずして、「若手はなってない」と言ったところで若手にはどうしようもない。

商品のデザインが評価されれば売れるなんていうのは、産地のおっさんが「良い物を作れば必ず売れる」と言っているのと同じ神話でしかない。

現在の若手デザイナーズブランドを見ていて思うことは、20年前に創業した人たちよりも環境が厳しいなあということである。
個人的にはクリエイションのことなんてちっとも興味がないから、ビジネスのことのみを書く。

20年前の創業組もたいがいが厳しいビジネス環境だった。
インディーズデザイナーズブームに沸いたのは98年ごろまででそのあとはひっそりと消えたブランドも数多くある。
当時のデザイナーでまったくの異業種に転職してしまっている人もいる。

当時のデザイナーたちが糊口をしのげたのは、大手アパレルブランドからの「外注デザイン」が受けられた部分が大きい。
年間数百万円くらいの仕事料が支給される。
たとえ、自分のブランドが売れなくても、その契約料だけで最低限度の生活は送れた。

しかし、この「外注デザイン」は現在ではほとんどない。
受けているという若手デザイナーも見たことがない。

これがなくなっていることが大きい。
しかし、理由は単純だ。デザイナーに外注デザインを頼むより、OEM/ODM業者に依頼した方が便利で商品品質が安定するからだ。

デザイナーにデザインを外注しても、実際に商品を作るのはアパレル側である。
アパレル側が工場を手配して生産管理を行わねばならない。

しかし、OEM/ODM業者ならデザインも請け負ってくれるし、工場の手配や生産管理も請け負ってくれる。
アパレル側は丸投げで済ませることができる。

アパレル側から考えれば外注デザインなんていうめんどくさいことよりも、OEM/ODM業者に依頼した方が楽チンである。
当然、そちらを使うようになる。

今のデザイナーズブランドが厳しいのは、販路がないからだ。
自社でネット通販をすれば良いという声もあるが、乱立するネット通販という世界で知名度のないブランドがどれほど集客できると思っているのか。
集客するためにはそれなりのノウハウが必要とされている。もう、「ネット通販を始めましたというだけ」では売れない。

地方の有力専門店が仕入れてくれるのが最も現実的な成功だといえるが、地方の有力専門店も資金も店舗スペースも有限である。
だから、すべてのデザイナーズブランドがその恩恵を被れるわけではない。
当然、取引してもらえないブランドが多数生まれてしまう。

20年前なら大手セレクトショップやアパレルが小手先の観測気球みたいな扱いで、インディーズデザイナーズブランドを扱うことはあったが、アパレル不況でチビってしまっている彼らがそんな売れるか売れないかわからないようなブランドは取り扱わなくなっている。
彼らがほしいのは、「すでに有名で、仕入れたら今すぐ確実に売れるブランド」だけである。

偉そうなことをいうなら、ユナイテッドアローズの上席なんたらという役職のオッサンが自社店で若手デザイナーズブランドを取り扱うようにしてやれば良いのである。

それを棚に上げてメディアも「化石みたいな業界有識者」も上席なんたらのオッサンも何を虫のいいことを言っているのかと思う。

若手デザイナーズブランドが伸びない最大の理由は売り先・販売店がないからだ。
そういう状況を作ってきたのは偉そうに論評している高齢化して化石化した業界有識者たちである。

若手デザイナーたちが「国内は販路がないから海外へ」となるのは当然だ。
しかし、海外こそ「クリエイションだけ」では売れない。金融やらコネクションやらが重要になる。
若手デザイナーが直視しなくてはならないのはその部分である。

NOTEを更新~♪
知名度だけに胡坐をかいたタレントブランドは売れない
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n4a8a67be3a89
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若手デザイナーが海外を目指すのは、大手セレクトショップが仕入れないから

個人的にコレクションショーにはまったく興味がないが、それでも何度かは業務上必要に迫られて東京や大阪でコレクションショーの取材をしたことがある。
それでも通常のアパレルブランドの取材よりもずいぶんと当方にとってはあまり面白みは感じなかった。
今ではほとんどコレクションショーは取材しないし、記事にもしない。当方の意欲も能力もない上に現在の仕事上ではだれからも必要とされていないからだ。

ちなみに、東京コレクションと東京ガールズコレクションを混同している人を時々見かけるが両者はまったくの別物である。しかし、当方は両方に等しく興味がない。

そういえば最後に東京コレクションを見たのはもう8年くらい前になる。多分、東京に限らずコレクションショーを今後わざわざ見ることはないと思う。

東京ファッションウイークは誰の為のもの?
https://www.fashionsnap.com/the-posts/2017-10-24/kurino2018ss/

という問題提起記事が掲載された。
半分くらい、特に後半はそれなりに同意だ。

一昨年あたりから報道を介して取り組みを見ていても何か変わってきているような印象を受ける。
今後、何か期待できるのかもしれないとは思う。何かはわからないけど。

一方、前半は賛同できない。
日本のメディアにファッション批評・批判が育っていないことはその通りだが、そういう風土を作り上げてきたのは記事を書いたご自身も含めた世代の人々ではないのか。何を今更wwww。こういうのをネットスラングで「大草原」「草不可避」というのだろう。

国内の繊維・ファッション・アパレル業界というのは批評されることを極度に嫌う。
ファッションブランドも紡績・合繊メーカーも同じだ。

業界紙時代に、某合繊メーカーが批判記事を書いた記者に激しく詰め寄っているのも見たことがあるし、自身も何度か某ブランドから抗議を受けたこともある。こちらが主観を混ぜた記事を書いたのならまだわかるが、アンケート結果に対しての抗議だったので、何を言っているのかとしか思えない。

批判・批評されることが嫌で、アパレル企業各社は業界新聞やファッション雑誌とズブズブの関係を作ってきた。
今は幾分風潮が変わっているもしれないが、まあ、まだそれは続いている。
ファッション雑誌の対談で、司会する編集者とインタビューされる人が「この間の野球対戦は盛り上がったね。キャッキャウフフ」なんて言いあっているくらいズブズブでなあなあであるから、批判・批評なんていうのは起きるはずもない。

また、今の大御所とされるデザイナーがファッションジャーナリストから批判・批評されることを良しとしてきただろうか。

例えば、仮に、今、コシノヒロコや山本耀司のコレクションがひどい物だったと仮定して、それを批評・批判できるメディアがあるのか?
また大御所デザイナーはそれを許すのだろうか?
ないだろう。

過去40年も50年もそういう業界体質を作ってきた世代の人に「批評が足りない」とか言われたところで、それこそネットスラングの「おまいう」「ブーメラン」である。

また、前半には、若手デザイナー(40代も含めて)は国内より海外での発表やビジネスに注力しているという内容の箇所もあるが、それも当たり前ではないか。
国内でデザイナーズブランドを渾身の力を込めて展開したところで、それを仕入れてくれる大手セレクトショップなんてほとんどない。
ご自身が創業からかかわってこられたユナイテッドアローズだってそのうちの1社だ。

国内では大口卸先が見込めないから、ビジネス先を求めて海外へ行く。至極当たり前のことだ。
日本人には舶来コンプレックスみたいなものが色濃いから、海外、とくに欧米で高い評価を受けたブランドは後追いで逆輸入される。
近年、業界人がこぞって褒めちぎる「サカイ」だって国内より海外での活躍によって評価を高めたといえる。

そういう光景を見れば、若手デザイナーはさらに海外へ活躍の場を求めるのは当然である。

若手デザイナーを海外に追いやっている理由の一つが、大手セレクトショップ各社のこれまでの不見識である。

今回の記事の指摘は正論ではあるが、ではどうしてこれまで社内でその正論を貫かなかったのか、自身が創業に携わった会社をそういう方向へ導けなかったのか。この辺りはまったく謎だ。

この記事を40代以下(もちろん40代を含む)のデザイナーやライターが書くのなら、無条件に賛同するが、この年代のしかも、業界の中心に長らく立ってこられた方が今更それを言うのかと、驚きあきれるほかない。

最近、メディアでは繊維・ファッション・アパレル業界に対してのシビアな記事が掲載される。
それ自体には賛同するが、「識者」として登場する方々がほとんど同じラインナップでしかも50代以上の年配層がほとんどだ。
はっきり言って「その人選に問題あり」だと思う。
それらの方々は、長らく業界の中心に立って牽引してきた人ばかりだ。
で、何を今更他人事のように業界や市場を批判・批評しているのか。

そこまで見通せているのなら、なぜ、自社・自組織でもっと力を尽くさないのかと不思議でならない。
無責任極まりない言説といえる。

自分らがこれまでできなかった・今もできていないことを棚に上げてよく言えるものだと思う。

NOTEを更新しました⇓
シャツ専門アパレル各社の生き残りと消滅を回顧する
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n3d3b62325395

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アパレルブランドの「小売店向け展示会」は意味がなくなりつつある

 関西視点で気候のことを話すと、お盆のころに猛暑がやわらいだ。
安心していたら、お盆明けから再び猛暑となった。
26日の土曜の明け方に雷雨があり涼しかったのだが、また昨日から猛暑が復活している。

本当に「猛暑死ね」としか言いようがない。

Yahoo!の週間天気予報によると、猛暑のピークは今日でお終いのようで、この予報が的中してくれることを切実に祈っている。

これまで我慢して毎年夏の猛暑の中を移動してきたが、今年はついにこらえ性がなくなって、必要最小限の移動しかせずに過ごした。

また猛暑のピークが過ぎたらあちこち覗いてみようと思う。

そんなわけで今夏の各社の動きはあまりよくわからない。(笑)
しかし、6月ごろまでの傾向でいうなら、各ブランドの小売店向け展示会というのは、芳しくない受注状況が続いている。

これは大小問わずにそういう傾向がもう数年以上続いているし、単独展示会・自社展示会だけではなく、合同展示会も同じような状況だといえる。

いつも展示会にお邪魔するほか、ときどき雑談に立ち寄る「スー・ヒライ」「スー・スー・スー」の2ブランドをご夫婦で展開している平井達也さんも「小売店1店舗あたりの受注数は例外店を除いて年々減っています」という。
Mサイズ1枚、Lサイズ1枚みたいな受注が多いのだそうだ。

名前は伏せるがもう20年以上続いている中規模カジュアルアパレルも年々、展示会での受注枚数は減っていて、商品のデザイン傾向を変えようが、新ブランドを投入しようがほとんど効果がない。ついにはこらえ切れずに新ブランドをやめてしまった。

これには理由があって、一部の好調店を除いて、小売店は総じて苦戦傾向にある。苦戦傾向にある小売店は過剰在庫を抱えていたり、売上高が激減していたりして仕入れ金額を抑えざるを得ない。

また、「売る」ことに対して自信を喪失していて、「数量を売る自信がない」とか「何が売れるかわからない」という心理状態も作用していると考えられる。

だから、無難な物・実績のある物・ネームバリューのある物(あると思われる物)だけを発注する。
それがさらに同質化を生み、売れ行きを鈍らせるという悪循環スパイラルに陥っている。

なぜなら、それらをほとんどの店が仕入れるのだから、必然的に店同士の品揃えは同質化する。これで同質化しない方がおかしい。

それを少しでも緩和させるために考え出された狡すっからい手段が「別注品」である。
自社・自店だけ正規品と少し異なる色柄やデザインの商品を納品してもらうやり方である。

猫も杓子もラベンハムのキルティングジャケットの別注、リーとチャンピオンのTシャツの別注を販売している理由はこれだ。

しかし、素人から見ると、その別注品の差異なんていうのはかなり微細で、あまり見分けがつかないことも多いし、ロゴマークを少し大きめにプリントしました程度なら、どちらで買っても同じことだとしか思えない。

先日、今ちょっとした話題となっているオールユアーズの人と久しぶりにお会いした。

キャンプファイヤーが主催するクラウドファンディングで、ファッション部門で史上(歴史は短いが)最高額をたたき出した新進アパレル企業である。

「毎日着てしまう」ジャケパン CFで1000万円超受注
https://senken.co.jp/posts/allyours-170828

どうでも良いことだが、この見出しの「CF」というのはクラウドファンディングのCFだろうか?それともキャンプファイヤーのCFだろうか?
もしかして、それに引っ掛けたキャンプファイヤーという名称設定なのだろうか?

それはさておき。
明日が締め切りだが、現時点(8月29日)で1500万円超にまで受注金額が膨れ上がっている。

久しぶりにお会いしたのは、オールユアーズの企画を一手に担当している原康人さんで、素材や製造に詳しいだけでなく、商品企画や販売方法のプランニングまで幅広く能力を発揮できるので、個人的には「業界の若き逸材」だと見ている。

その原さんが、「僕らは近々、小売店向けの展示会を廃止しようと思っているんです」という。
その理由を尋ねると、「実際に展示会を開催しても受注数量はトータルで10枚~20枚程度なんです。Mサイズ1枚だけとかそういう受注はざらにありますから」とのことだ。

これまで多くのブランドで耳にしていた状況と同じで、廃止することは納得である。

じゃあ、その代わりにどうするのか?と尋ねてみた。

すると「今回、クラウドファンディングでこれだけの受注があると、逆に小売店からかなりまとまった数量の発注がありました。それこそ1店舗で10枚とか20枚はざらです。じゃあ、これからはクラウドファンディング主体で商品を発表すれば効率的ではないかと考えています。クラウドファンディングでバカ売れしたと聞けば、小売店はまとまった枚数を発注してくれますから」という答えが返ってきた。

なるほど理にかなっている。そして「ビビっている」小売店からすればクラウドファンディングで売れれば「実績」が見えるわけだから、安心して仕入れることができるということになる。

展示会での受注精度を上げたり、受注枚数を増やそうと努力しても、多くの小売店がビビッていて、迷走しているのだから、効果を上げることは極めて難しい。
そのメーカー、ブランド側の努力はほとんど無駄に終わるだろう。

それよりも新しい売り方を模索した方が良いのではないか。

クラウドファンディングで実績を見せるというのも一つのやり方だろうし、例えば、ウェブ通販で売りまくるとか直営店舗で売りまくるとか、そういうことも一つの方法ではないかと思う。

展示会にさらに多くの小売店を呼ぶとか、展示会での発注枚数を増やすためにアトラクションを企画するとか、そういう方向の努力は今の状況では実を結ばない可能性が極めて高い。

そういえば、その昔、某GFF(岐阜ファッションフェア)というイベントは、バイヤーを「長良川の鵜飼い+ホテルでの宴会」に招待して効果を出そうとしていたが、徒労に終わっていた。
まあ、効果が出ると考えていたことが不思議でならないのだが。

まるで、「ジーンズが売れないから、生地の重さを0・5オンス上げてみました」とか「トレーナーの着丈を1センチ長くしてみました」みたいな意味のない改変と同じといえる。

従来型の「小売店向け展示会」にこだわり続けるメーカー、アパレルブランドは今後さらに厳しい状況に追い込まれていくと考えられる。

noteで有料記事を始めてみました~。

鎌倉シャツのビジネスモデルが秀逸なポイントを考えてみた
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/na76c612e6d37

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いつだって、可笑しいほど誰もが誰かパクりパクられているのさ♪

 最近、ブランド間での商品の同質化が激しいといわれている。
それはどうして起きるのか。

先日、こんなことがあった。
某靴工場の人と会う用事があった。

雑談をしていると、「某セレクトショップが、某老舗靴ブランドの商品を持ってきて『これと同じのを作ってくれ』と依頼してきた」そうだ。

これだけを聞くと、某セレクトショップはなんと悪辣なのだろうと憤りそうになるが、話には続きがあって、

「でもその老舗ブランドも別の靴を作る際には、そのセレクトショップの別の商品を持ってきて『これと同じのを作ってくれ』と依頼してきた」とのことだから、どっちもどっちである。

こうやって業界はお互いパクリ合っているから、必然的に商品も同質化する。

これは靴のことだが、洋服や雑貨もほぼ同じ構図だ。

お互いがお互いの売れ筋商品を持ってきて「これと同じものを作ってくれ」と依頼するのである。
これで同質化しない方がおかしい。

もともと、ファッション業界はそういうパクリ愛パクリ合いで成り立っており、それで各ブランドが規模を拡大してきたことは事実である。

商標(ブランド名)をわざと類似させることもあり、業界の若手の中にはいまだに「コム・デ・ギャルソン」と「コムサ・デ・モード」の区別がついていない人もいる。

15年くらい前にファッション専門学校を卒業した学生が、就活でファイブフォックスの面接を受けて「ぼく、昔からコム・デ・ギャルソンが大好きだったんです」と言ったことがある。
もちろんその学生は不合格に終わった。

それはさておき。

しかし、オッサン世代として20年くらい前を思い起こせば、各ブランドはお互いにパクリ合いをしていたが、丸パクリすることはほとんどなく、商品にはそれぞれのブランドっぽいアレンジが施されていた。

トレンドの情報源もたいがいがパリコレだとかミラノコレだとかニューヨークコレに限定されるので、どうしても同じような商品になる。
今では、ほとんどどのブランドも見分けのつかないトレンド商品が並んでいるが、20年くらい前はブランドごとにそのトレンド商品のアレンジも違っていた。

うちはフェミニンなテイストだから、少しフリルを付け加えましたとか、うちはカジュアルテイストなのでロゴプリントを施してみました、とかそういう具合にパクリ商品もトレンド商品もブランドごとにアレンジされていたので、「きわめて同質化している」ようには見えなかった。

ところが、各ブランドがデザイナーや企画担当者を「コスト」とみなしてリストラを進めた結果、そういう「アレンジ」を施せる人が社内にいなくなった。
代わりに登用された若手の仕事は、他社の売れ筋の丸パクるだけだし、外注デザイナーに頼めば、その外注デザイナーは何社もの企画を受けているから、必然的にそのブランド間での商品デザインは似てしまう。

丸パクリ感がにわかに強まったのは、インターネットとデジタルカメラが普及し始めた2000年ごろからだと記憶している。

すでに2002年ごろ、児島の某洗い加工場へ取材に伺ったところ、そこの社長が「東京のナントカってブランドの企画のおねえちゃんが、『こんなふうに加工してください』ってデジカメの写真をメール添付して送ってきよった」と言って、その画像を見せてくれたことがある。

メールに添付されていたのは、当時人気だったジーンズカジュアルブランドの商品写真だった。

このころからすでにこういう「お手軽商品企画」は横行していたのである。

今現在の風潮はその延長線上にあるだけのことだ。

そして、今、低価格ブランドが、手段は別として商品の企画力・デザイン力を高めている。丸パクリ合いばかりしている既存アパレル各社がそれに対抗できるとは到底思えない。

noteで有料記事を始めてみました。

三越伊勢丹とカルチュアコンビニエンスクラブの提携は何が目的だったのか?
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n101ec8cd6c29?creator_urlname=minami_mitsuhiro

ファクトリエが国内工場を立て直せない最大の理由
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/nd2f9baabd416?creator_urlname=minami_mitsuhiro

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愛し愛されて生きるのさ
小沢健二
EMIミュージック・ジャパン
1994-07-20


LIFE
小沢健二
EMIミュージック・ジャパン
1994-08-31


愛し愛されて生きるのさ
transit general office inc.
2014-03-19




洋服が売れないのは店頭よりも本社側に問題がある

 自分は、販売員経験が3年ほどある。
といっても、その3年はイズミヤの子会社での量販店内テナントの販売員&店長だった。
いわゆる、著名なブランド店でも大手セレクトショップでもない。

低価格~中価格に属するブランドを取り扱っていた店なので、著名ブランド店や大手セレクトショップのような厳しいノルマは店にも人にも課せられなかった。もちろん、店の売り上げ予算はあったが、達成しないと厳しいペナルティが課せられるわけでもない。そういう意味では良心的な企業だったといえる。

その後は、バッタ屋での助っ人販売が3年位前から断続的に続いているくらいである。

しかし、実際に店頭に立ってみると、商品が売れない要因は、店や販売員だけではどうしようもないことがある。
ことがあると書いたが、販売員側からすると商品が売れない要因の大半以上は、本部・本社にあると感じる。

1、商品が店の顧客層にマッチしていない。デザイン、価格ともに
2、本社の販促・告知・広報がお粗末で来店客が増えない
3、商品の補充追加が不十分、まるでダメ

この3点は店頭ではどうしようもないが、売れる売れないはこの3点に大きく左右される。

ゴミ屑みたいなデザイン・品質で価格が割高で、しかも無名ブランドの商品なんて普通に並べていても売れるはずもない。
本社スタッフは「それを売るのがプロ」とか「できる営業マンは石ころでも売る」とかそういうアホな精神論をぶち上げることがあるが、そんなもんで売れるのなら、今頃日本の景気は20年間も低迷せずにとっくに回復している。

経費の使い過ぎで破綻したワイキューブの安田佳生・元社長もその著書の中で、「石ころを私だと思って買ってください」と売りつけるような営業マンはダメだと書いている。
そんな売り方で通用する営業マン・販売員なんてほとんどいない。

大半の普通の健全な消費者は、いくら販売員の口が上手かろうと、販売員がイケメン&美女であろうと、自分にとってメリットのない「石ころ」は買わない。

店頭からすると、もっと売れる商品を仕入れるor作れよ、と言いたくなるし、もっと売りやすい値段にしろよとも思う。

またいくら販売員が有能でも店に客が来ないとどうしようもない。
店に客を誘導するのは本社の広報・告知・販促であり、それができないなら、その本社は無能集団である。

そして、補充追加の問題も店ではどうしようもない。

オーナーが経営する個店なら話は別だが、チェーン店の多くは本社が補充追加を管理している。
いくら売れ筋でもサイズ切れ・色柄切れを起こせば売れなくなる。
その補充追加をそつなくこなすのは本社の仕事であり、それができない本社は無能集団である。

ひいては無能集団を作り上げた経営者にすべての責任がある。
人材採用、人材教育すべての面においてだ。

さらに補足すると、チェーン店の場合、価格の上げ下げも本部指示でなされる。
これが的を外している場合が多い。

下げなくても売れる商品を下げる指示が来たり、下げなくては売れない商品なのに下げる指示が来ないとか、そんなことは日常茶飯事だ。

何故これを書いているかというと、アーバンリサーチが発表した「接客不要ショッパー」について、販売員側から痛烈な反論が出ているからだ。
そのショッパーを持っていると、接客されない。
だから接客されるのが苦手な人も店に来てください。ということである。

企業やブランドのお偉いさん。そろそろ何でも「販売員」に原因なすりつけるのやめませんか?
http://topseller.style/archives/3480

アーバンリサーチがとった「接客しないで袋」が根本的な解決策にならない理由わかりますか?
http://ryoheiyotsumoto.com/urshopper/

あと、単に「見に来ただけ」の客がわざわざショッパーを持つというのは、客側にも抵抗があるのではないかとも思う。だって買う気がないのだから。
買う気もないのにわざわざ接客を避けるためだけにショッパーを持ちたいか?という疑問もある。

今回の一件は、販売員側からすると腹の立つ言いぐさといえる。
販売員だってやりたくてしつこく声掛けをするわけではない。

著名ブランド、大手セレクトショップの多くは強烈なノルマを販売員と店に課している。
それを実現するためには過剰な声掛けをせざるを得ない。

現に、どう見ても買う気がなくて調べるためだけに店に来たお客にも「どうして声をかけないのか」と指導するブランドは数多い。

アーバンリサーチの本社がそういう指導をしていたのかどうかはしらないが、そういう指導をしていたブランドがアーバンリサーチに追随するようなことがあれば、それこそ「本社はアホの集まりか」である。

売れない時代の打開策として接客不要を持ち出すのであれば、今後、どの店もユニクロ方式で客に呼び止められるまで接客をしないようにすればよい。
いっそのこと、店頭に端末を置いて、そこから購入してもらうようにすればよいのではないか。

ちなみに、個人的にはユニクロ方式が好きだ。
ユニクロ、無印良品、ジーユー、ジーンズメイトなどはこちらから話しかけるまで放置してくれている。
話しかけるということはかなりの高確率で買う気持ちができているから、販売員側としても効率的である。

本社スタッフ&経営者が売れない原因のほとんどを販売員側に押し付ける傾向が強い。
それは販売員を経験した業界人なら誰しもが感じていることだろう。

それほどに責任を押し付けられながら、本社スタッフに比べて給料は安く休日は少ない。おまけに立ち仕事で体にもキツい。
だから販売員になりたいという人が減っているのであり、最早アルバイトやパートですら集まりにくくなっている。
もっと時給が高くて美味しい仕事はほかにいくらでも転がり始めているから、アルバイトやパートは全部そちらに吸い取られている。
本当に業界の自業自得としか言いようがない。

旧態依然としたアパレル、セレクトショップ、ブランドは今後ますます淘汰されて市場から退場させられることは間違いない。

インスタグラム始めました~♪
https://www.instagram.com/minamimitsuhiro/

誰がアパレルを殺すのか
杉原 淳一
日経BP社
2017-05-25



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