カテゴリー: 誰がアパレルを殺すのか (1ページ / 5ページ)

「大手セレクトショップ」という日本独特の奇態~アメリカンラグシーの撤退から~

先日、サザビーリーグが展開するセレクトショップ、アメリカンラグシーの日本撤退が発表された。店舗数がこのところ極端に減っていたからさもありなんとしか思わなかった。
サザビーリーグは以前にもセレクトショップ、アンドエーを閉鎖していて「セレクトショップ」を長続きさせることは難しいということが改めて認識されたのではないかと思う。

アメリカンラグシーは2008年の売上高をピークに相次いで店舗を閉鎖しており、現在では全国に5店舗を展開するのみとなっていた。アンドエーの末路とほぼ同じような状態だった。

先日、Yahoo!ジャパンにこんな記事が掲載された。

サザビーリーグが「アメリカンラグ シー」事業から撤退、セレクト業態が抱える構造的課題が浮き彫りに
https://news.yahoo.co.jp/byline/kumimatsushita/20180415-00084027/

これは当方の旧知の松下記者が書いたものだが、記事中にこんな一文がある。

現在、セレクトショップといわれる多くのブランド・ストアでも、オリジナル比率は50%近くまで高まっているところが多い。セレクトショップでもある程度の規模を確保し、価格競争力のある商品を企画・生産できるだけの調達プラットフォームが必要不可欠な時代に突入しているといえる。

とのことで、松下記者は控えめに「オリジナル比率は50%近く」と書いているが、実際のところ、ユナイテッドアローズやビームスなどの大手セレクトショップのオリジナル商品比率は7割から8割くらいになっている。ただし、7割と言っても、こと衣料品に限ればオリジナル比率は8割~9割にもなっている。じゃあどうして1割~2割くらい構成比率が下がるのかというと、バッグや靴がオリジナル比率を下げているからだ。

洋服は業界全体での製造インフラが整っているから、カネさえ支払えばいくらでもオリジナル品が作れるようになっている。しかし、靴やバッグは専門性が高いために、洋服に比べるとそう簡単にオリジナル品は作りにくい。だから必然的に他ブランドからの仕入れ品が増えざるを得ない。このためオリジナル品比率が洋服よりも低くなってしまう。

本来は、いろいろなブランドから仕入れてきた商品を集めたのがセレクトショップだが、事業を拡大するには、収益性の面や商品デリバリーの面から考えると、オリジナル商品比率を高めざるを得ないのが実態である。

例えば、5000円の商品を他ブランドから仕入れたとする。現在の国内の仕入れの慣習からすると、2700円くらいだろう。店側の儲けは2300円くらいしかない。ところが、同じ5000円でも自社が企画して製造を委託したオリジナル商品の場合は1700円くらいで製造できるから、儲けが3300円になる。オリジナル商品の方が明らかに利益率が高いく儲けが多い。

また、仕入れ品だと「欲しいときに追加発注しても商品がなくなっている」という可能性が高い。メーカー側はなるべく早く売り切りたいから、商品を多めには作らない。よほど売れに売れているなら追加生産するが、ポテンヒットやシングルヒットくらいの当たりでは追加生産はしない。その結果、店が追加発注しても生産せず、商品が入荷しないということも珍しくないから、仕入れ品のみでは店作りが難しくなってしまう。期初は商品がキチンと並んでいるが、期中になると棚やラックがスカスカということにもなり得る。

だからセレクトショップ各社は業績を拡大するにつれて段々とオリジナル商品比率を高めていった。大手セレクトショップの内情はすでに「ほぼSPA(製造小売り)」化してしまっている。
実は売上高500億円や1000億円を越えるような大手セレクトショップという「不思議な」業態が存在するのは日本だけである。欧米のセレクトショップは、仕入れ品のみを頑なに守っているので大規模な業容拡大をしていない。していないというよりできないのである。

つい先年、閉鎖が話題となったパリの有名セレクトショップ「コレット」だが、多店舗化していない。今回閉鎖が決定したアメリカンラグシーもアメリカ本国では多店舗化していない。一時期多店舗化を志向したものの失敗しており、個店に戻っている。そもそも「セレクト」というコンセプトで多店舗展開することは不可能に近いといえる。理由は、上に挙げたように、利益率が低く儲けにくいから大規模な投資につなげにくいということと、仕入れ品のみでは店作りが困難だからということの2つが挙げられる。
大手セレクトショップなる業態が林立しているのは日本独特の奇観だといえる。

大手セレクトショップ各社が「ほぼSPA」と化したしまった現在、弊害も徐々に現れ始めている。オリジナル商品の各社の同質化である。自社企画製品といっても、元来が小売店であるセレクトショップ各社にはデザイナーもパタンナーもいない。必然的に、そういう専門の会社に商品の製造をデザインから委託する。平たくいえば丸投げしているのである。

そうすると専門の会社はいくつものセレクトショップやSPAブランドの商品作りを手掛けているから、自然とそれらの商品は似てしまう。
出来上がった商品はどれも似ているから、それを並べた店頭は似てしまうのは当たり前である。こうして同質化が起きると、消費者が購入する動機は低価格ということになる。同じ商品・似たような商品なら人は誰でも安い方で買う。いずれ、大手セレクトショップ各社も否応なく価格競争に巻き込まれることになると考えられる。

今回のアメリカンラグシーの日本撤退からもわかるように長年にわたって、他社ブランドの仕入れだけで収益性を維持し、店作りをすることは困難を極める作業である。かといって、安易にオリジナル比率を高めてしまっては同質化が進んでしまう。これがアメリカンラグシーとアンドエーが苦戦に転じた背景で、他の大手セレクトショップも表面化していないだけで同様の課題を抱えている。

2000年ごろから国内ファッション業界を牽引してきた日本独自の「大手セレクトショップ」という不思議な業態もそろそろ曲がり角に差し掛かっているのではないだろうか?何事も盛者必衰だし無限成長することはできない。

そしてこれらの課題の解決方法を誤れば、2015年ごろから一気に経営不振に陥った大手アパレル各社と同じような結末を迎えてしまう可能性もある。

衣料品ビジネスで儲け続けることの難しさを改めて感じる。

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さらばアメリカンラグシー

お手頃価格でみんながファッションを楽しめるならそれが最高だろ

金曜日にユニクロとJWアンダーソンコラボの2018夏物が発売された。
メンズのアシンメトリーボーダー柄Tシャツは意外に生地が分厚く、原材料費にカネかかってんなあという感想だ。
あと、スタンドカラーのロング丈シャツは値下がりしたら買いたいと思った。

せっかくなので、390円のボーダー柄靴下を2足買った。

試しに買ったユニクロアンダーソンのボーダー柄靴下

全部で6色くらいあったが、黄色のボーダーとマルチカラーのボーダーを選んだ。

まだ試し履きしていないのでレビューはまたの機会にしたい。
靴下というのは意外にコーディネイトでも重要になる。
特に、ズボン丈が短めな近年は、靴下が目立ちやすい。
これが2005年頃の裾を引きずるようなブーツカットブームの時なら靴下なんてコーディネイトに必要なかった。
なぜなら靴を脱いで座敷にでも上がらない限り、靴下なんて見えないからだ。

しかし、今はズボン丈が短めだから靴下は常に見えている。
それゆえに、靴下がコーディネイトの要となることが増えた。
極力目立たない黒無地や紺無地にするもよし、派手な色柄でアクセントにするもよしだ。

何色かあったがこの2色を選んだ理由は、赤のボーダーは今春に無印良品で200円に値下がりした靴下を買っていたからだ。
無印では200円に値下がりした赤ボーダーとグリーボーダーを1足ずつ買った。

200円に値下がりして買った無印良品のボーダー柄靴下

 

こちらはすでに履いているが、履き心地は極めて良い。綿素材で薄すぎず分厚すぎずである。

通常値下がりした靴下は安物臭い生地が多いが、これが200円に値下がりしているのがすごいと思う。

また、ユニクロアンダーソンのボーダー靴下も390円でこの配色の商品が買えるのがすごいと思う。

現代は、「安くて見映えの良い商品」で溢れていると思う。
自分が若い頃の25年くらい前を考えるとなんとも消費者の立場とすれば羨ましい時代だといえる。

ところが、衣料品業界には「低価格衣料品の出現は許せない」と息巻く既得権益者が数多くいる。
この手の人間は幅広い年代にいるのだが、中でも中高年のこの論者はこれまでさんざん高い服で儲けてきた既得権益者である場合がほとんどだ。
反対に年若いこの論者は、単なるイシキタカイ系か、自分のブランドが売れないことへの八つ当たりをしているか、のどちらかといえる。

まあ、たかが服なんで、だれもがそれぞれ自由な意見を持っていれば良いと思うのだが、個人的には「見映えの良い低価格品」が出るのは自然の流れであるとともに、それなりに好ましいことだと思っている。

理由は誰もがファッション品に手を出しやすくなるし、誰もが安値でファッションを楽しめるからだ。

先日、ユニクロとコラボをするジョナサン・アンダーソン(JWアンダーソン)氏のインタビューが各媒体に掲載された。
一番まともな感じのインタビューを掲載したのが繊研新聞だと思う。

ジョナサン・アンダーソンに聞く、ユニクロと組む理由
https://senken.co.jp/posts/uniqlo-jwanderson-interview-180412

この中でアンダーソン氏は低価格衣料品についてこう語っている。

ユニクロとの協業は、グローバルなプロジェクトということもあるけれど、何より僕自身がファッションの民主化の流れを信じているから。自分のブランドは小さいけれど、とても高い商品もある。でも本来、服は排他的なものではなくて、誰でも手にできる包括的な存在であるべき。

とのことでこの意見には個人的に賛成する。

そもそも、これまでのファッションは「選民思想」に近いもので覆われていた。
バカ高くて、よくわからないロジックのブランドの服をありがたがって着ている人たちだけがファッションエリートで、それを買わない・買えない大衆はダサいという一種の選民思想だ。
しかし、笑えることにこのファッションエリート(笑)たちの多くは、自分の食費や生活費を切り詰めてまでそういうブランドの服を買っていたのである。
ところが、ダサい大衆の方が、衣以外の生活は豊かだったりするのだから笑わせてくれる。

外野にいるオッサンたる自分としてはそれがすごくカッコイイとは25年前から到底思えなかった。
けれども当時は「ファッション業界ってそういうところだよね。だから嫌い」というあきらめもあった。

それよりも、食費や他の雑費もそこそこに支出して、その残った範囲内で見映えのする服を買えることの方が豊かな暮らしではないのかとずっと思ってきたし、今もそう思っている。

例えばユニクロアンダーソンやユニクロUなんていうのは、誰しもが買いやすい値段で、しかも品質・見映えともに悪くない。
そりゃ、中には「なんだこりゃ?」という色柄の商品もあるが、そんなのは他社ブランドだって同じである。
こちらの好みに合う物もあれば合わない物もある。当たり前の話だ。

それから、素人へのファッション指南で人気を博しているMB氏がしまむらグループのアベイルとコラボ商品を発売したがその際、ブログでこんな意見を述べておられる。

アウターが1980円!?MBとアベイルが奇跡のコラボレーション!!

私は「おしゃれを手が届かないもの」にしたくありません。
「誰でもいつでもどこでも、法則さえ知れば自由に楽しめる」のがおしゃれです。
生まれ持った感覚もセンスも必要ない、
お金も時間も必要ない、
おしゃれは今までファッション雑誌やアパレルの世界で長く語られてきたような閉鎖的で限定的なものでは決してありません。知れば誰もが簡単に楽しむことができるものです。

そしてお金も感度も必要ないからこそ、もっと多くの人にこのファッションの楽しさを知ってもらいたい。

とのことで、アーバンリサーチやアダム・エ・ロペなどの有名セレクトショップとコラボをさまざましているにもかかわらず、アベイルなんていう低価格チェーン店とMB氏がコラボをする理由だ。

先ほどのアンダーソン氏とほぼ同じと言える。

この10年間ほど見てきて、「安物の服は許せない~」という人の多くは既得権益者である場合が多く、特に中高年層はほとんどが既得権益者である。その既得権益が破壊されているからなおさら声高に叫んでいるに過ぎないと当方は見ており、その声に耳を傾ける価値はないと思っている。

ユニクロUやアンダーソンコラボを見て「ファッションを殺す気か」と叫んだ年配の方がおられたが、そんなことでファッションは殺されなくて、殺されるのはご自分たちの既得権益に過ぎない。実にくだらない。

ときどき、アフリカのオシャレな人集団「サプール」が話題になるが、オシャレな人を特別視するほどにアフリカは貧しくてファッション衣料品が出回っていないともいえるのではないか。反対に日本や欧米で低価格トレンドブランドが生まれ、多くの人がオシャレを楽しんでいるのは、それだけ社会全体が豊かだともいえる。

今後、ますますファッションの垣根は低くなっていき、そのうちにこれまであったような特殊でクソみたいな「選民思想」は雲散霧消してしまうものだと期待している。

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JWアンダーソンの本体ラインはこんな感じだよ~

三陽商会のサイトがスニーカービズのアンバランスさを教えてくれている

以前からスニーカービズのことをダサいと書いているが、スーツにスニーカーというコーディネイト全般を指しているわけではない。

カジュアルにスーツを着るならスニーカーとの組み合わせはありだ。
ダサいのは、ワイシャツ・ネクタイまでそろえたビジネススタイルにスーツを合わせることがダサいのである。

とはいえ、ビジネススタイルでも足が疲れるような革靴、とりわけ革底の革靴を履きたくないという男性も多いだろうし、その部分には当方も非常に共感する。

解決方法は何度も書いているように、スニーカーに匹敵するようなソールにクッション性のある革靴を選べば良いだけのことである。
先日も書いたようにムーンスターのワールドマーチシリーズやアシックス商事のテクシーリュクスなんていうのはその好例といえる。

こういう優れものがあるにもかかわらず、ナイキやアディダス、ニューバランスなどのスポーツスニーカーを頑なに勧めようとしている百貨店やアパレル企業はちょっと頭がおかしいのではないかと思う。

ワイシャツ・ネクタイにスニーカーは私服警官や万引き防止Gメンにしか見えないと何度か書いたが言葉だけで説明するのは難しい。

そんなわけでパラパラと見て回ると、三陽商会のウェブサイトにビジネススタイルにスニーカーを履いた画像と、カジュアルスーツにスニーカーを履いた画像の両方が掲載されていた。
これは一目瞭然だから、ご紹介したい。

http://www.sanyo-shokai.co.jp/company/news/2018/02/09.html

興味のある方はこのサイトにジャンプしてもらいたい。
めんどくさいという方のために、ちょっと画像をお借りする。

まず、この画像である。

左がカジュアルスーツでのスニーカーで、右がビジネススタイルにスニーカーである。

三陽商会のサイトから

何度もいうように左のスニーカースタイルはこれでまったく問題ない。
スーツをカジュアルダウンしたコーディネイトのお手本といえる。

一方、右のワイシャツ・ネクタイにスニーカーのスタイルだが、いくら容姿端麗な外人モデルがポーズを付けて誤魔化しても誤魔化きれない。
張り込み中の刑事が腕組みして考えているようにしか見えない。

容姿端麗な外人モデルだからこの程度のダサさで済んでいるが、そこらへんの禿デブ短足のオッサンならもっとひどいことになっているだろう。まさに私服警官が万引きGメンだろう。

ダークスーツにガッチリとしたフォルムの白いスニーカーがもうイケない。
おまけにワイシャツとネクタイがビジネス感を醸し出しており、アンバランスなことこの上ない。

一方、Tシャツ+スーツだとスニーカーはそこまで違和感がない。

この2枚目もそうだ。
スーツにTシャツを合わせた左はスニーカーでも違和感はない。
一方、右はやっぱり白いスニーカーが浮いている。

三陽商会のサイトから

ワイシャツとネクタイのスタイルがどうにもスニーカーとは合わない。
これをどうしてごり押ししようとするのか理解できないし、仮にも「ファッション」を自認する人たちがこれを良いと思って提案しているのだろうか。

女性でも同じだ。

ツイッターで流れてきた東京都心の百貨店に貼られていたレディースのスニーカービズのポスターだそうだが、これはどう見ても万引き防止Gメンか家庭訪問に行くおばちゃん教師といった風情でしかない。

家庭訪問中のおばちゃん教師スタイル

これを「かっこいい」「素敵」と思う女性がどれほどいるのだろうか。
提案した百貨店の人はこれが「良い」と本当に思っているのだろうか。

メンズの場合、テクシーリュクスやワールドマーチのようなスニーカー機能のある革靴は実はたくさんあるが、あまり知られていない。
だからメンズの場合、スニーカー=ナイキやアディダスという構図になってしまうことも理解はできるが、レディースの場合、さまざまなスニーカー機能のあるパンプスがあるし、メンズよりもビジネススタイルは自由度が高い。

なぜ、わざわざメンズと同様のダサいスタイルを売り出そうとするのか理解に苦しむ。

家庭訪問時のおばちゃん教師スタイルにあこがれる女性がどれほどいると思っているのだろうか。
だから百貨店も大手アパレルも消費者に見限られているのではないのか。

スーツ+スニーカーの着こなしは、あくまでもスーツをカジュアルに着る際のコーディネイトで、これによってスーツは「必ずしもビジネのみでの着用とは限らない」という利用法ができたといえる。
ワイシャツ+ネクタイ(特にシルクの布帛ネクタイ)はその組み合わせ自体がビジネスもしくはフォーマルなので、スニーカーとはミスマッチとなる。
一方、Tシャツ+スーツだと、Tシャツがすでにカジュアルアイテムなので足元がカジュアルなスニーカーでもバランスが崩れない。

Tシャツ+スーツだと3点のアイテムのうち、Tシャツがカジュアルでジャケットとパンツがビジネスということになる。
ここにスニーカーを加えるとカジュアルがもう一つ増えて、2:2ということになりバランスがとれる。

一方、ワイシャツ・ネクタイ+スーツだと足首から上がすべてビジネスで固まってしまっているから、足元だけカジュアルにすることでひどく悪目立ちしてバランスが崩れる。
だからこのときはテクシーリュクスやワールドマーチのようなスニーカー機能のある革靴を合わせるべきであり、ビジネススーツスタイルというのは最早完成形といえるから、そこに足したり引いたりすることは見た目がおかしくなってしまう。

百貨店やアパレルの社員はスーツに一家言ある人も多い。そういう人らがどうしてこの私服警官スタイルを粛々と提案しているのだろう。
カネが儲かるから何でも良いのだろうか?
だったらもっと儲かる物を売ればいいじゃないか。
服なんて売りにくい物よりももっと簡単に手軽に売れる物はあるだろうから、百貨店もアパレルもそっちを売れば良い。

しかし、そういう人は他方では「ファッションは文化だ」とか「低価格衣料品はけしからん」とか言っているのである。
その姿勢は矛盾していないか。だからファッソン業界は大衆から見放されてしまっているのではないのか。

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ワールドマーチならワイシャツ・ネクタイでも違和感なし

「日本製というだけ」では高く売れないし、ウェブサイトを開設しただけではアクセスはない

最近はだいぶと少なくなったが、アパレル業界でよくある2つのパターンがある。

1、「日本製」なら高く売れる
2、ウェブサイトを開設したらすぐさま世界からアクセスがある

1については、2008年頃まではそういう傾向があったが、今は手ごろな価格の日本製衣料品も増えており、単に日本製というだけでは高価格では売れなくなっている。

先日、カイタックファミリーの2018秋冬展示会にお邪魔した。
カイタックファミリーは量販店向けの肌着・パジャマ、カジュアルウェアを企画生産しているメーカーである。
当然、低価格帯商品がメインとなるが、その中に今回の新製品として5900円の日本製ジーンズがあった。

カイタックファミリーの日本製ジーンズ5900円

カイタックグループは総社市に自社縫製工場を持っている。
当然、そこでは高価格帯のジーンズの縫製を行っていたのだが、そこで5900円のジーンズを新たに縫製するというわけだ。

何度か失敗しているが、ユニクロでも日本製ジーンズは7990~9990円くらいの価格帯が以前付けられていた。
無印良品でもだいたい同じ価格帯だ。

エドウインだって自社工場で日本製ジーンズを7500円くらいからで縫製している。

となると、カイタックファミリーの新商品は破格値ということになる。
これがすごく売れるかどうかはわからないし、クオリティを厳密に他社ブランドと比べるといろいろと優劣はあると思うが、こういう商品が出てくれば、「単に日本製というだけ」では高値では売れなくなる。

よく、この業界には「値段の下を潜るのはけしからん」という人がいるが、最低価格を業界で決めるのは独占禁止法違反になる。
それにそもそも値段を下げることが、もっとも効果的な販促の一つである。
野菜だって肉だって魚だって自動車だってパソコンだって、値段を下げれば売れやすくなる。

「けしからん」とか言ってる衣料品業界関係者だって自動車やパソコンが値下がりすれば買っている。
自分が値下がりする他業界の商品を買うのは良いけれど、自分の属する衣料品が値下がりするのはけしからんというのは単なるエゴでしかない。

そりゃだれだって安い方があればそちらで買う。これが自然の流れである。

これからは「単に日本製というだけ」の衣料品は絶対に高くは売れないし、手ごろ価格の日本製衣料はもっと増える。

高値で売りたいなら高値で売れるような売り方・見せ方・ブランド作りが必要になる。
それができなければ低価格日本製に負けるのみだ。

次にウェブサイトの大いなる勘違いだ。

ウェブサイトを開設しただけ、SNSのアカウントを作っただけで、「世界中からすぐさまアクセスがある」と思っている人がいまだに相当数いる。

彼らの理屈はこうだ。

インターネットは世界とつながっているから、開設すれば世界から見られる。

たしかに世界とつながっているが、世界とつながっているサイトが一体何十万・何百万あると思っているのだろうか。
世界とつながっているのは何もあんたのサイトだけではない。

こういう考え方の人は、よく大型商業施設に出店したり、大型展示会に出展するときに

「何万人もの人が来場するからうちも売れる」

と考える。
たしかに来場者が多い方が入店客が増える可能性は高い。
しかし、それはあくまでも「可能性にすぎない」し、入店した客が買うとは限らない。

例えば、東京ギフトショーは延べ10万人だか20万人の来場者があるが、この10万人全員が全ブースを覗くわけではない。
出展ブースが3000くらいあるから、当然、全ブースは覗けない。
10万人が来場しているのにほとんど覗かれないブースというのは確実に存在している。

大型商業施設でも同じだ。
何百万人来店しようがさっぱり覗かれない店も珍しくない。
それは店がわかりにくい場所にあったり、ディスプレイが魅力的でなかったり、店やブランドの知名度が低かったりという原因があるからだ。

インターネットも同じだ。

アクセスが不便だったり、ディスプレイが見にくかったり陳腐だったり、ブランドの知名度が低かったりすれば、訪れる人はほとんどいない。いくら世界とつながっていようが、そんなことは何の足しにもならない。

だからウェブサイトを開設してからどうやって誘導するかが今の課題となっている。
ウェブサイトを開設することは当たり前で、それはとりあえずスタート地点に着いただけということである。

ウェブサイトを開設したことはゴールでもないし中間地点でもない。

今日例示した二つのことを理解している人は増えたが、それでもときどきまだこの二つのことを理解していない人に出会うことがある。

そういうときは上記のことを割合に事細かに説明するのだが、なかなか理解してもらない。
結局のところ、人は自分が体験したことしか理解できない部分があるので、理解できない人には上の二つで苦戦することを体験してもらうことにしている。

どうせ言ってもわからないのだからということで、好きにしてもらう。
そこで開眼されればまた相談に乗るし、開眼されなければそのまま放置プレイということになる。

これがいつも相談を受けてのルーティンとなっている。

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ドラッグストアの市場規模が百貨店市場規模を9000億円も上回ったことを実感できる心斎橋筋商店街

昨年の3月に発表があったが、ドラッグストアの市場規模は6兆5000億円となり、百貨店の市場規模を越えた。
百貨店の市場規模は5兆9780億円まで下がっていた。
ドラッグストアの方が百貨店よりも5000億円も売上高が多いということになる。

https://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ15I8C_V10C17A3TI1000/

着物業界全体の売上高が3000億円弱なので、ドラッグストアと百貨店の市場規模の差は着物業界全体よりも大きいといえ、一昨年の時点でそれほどの大差がついてしまったといえる。

これは2016年度の業績で、2017年度業績ではさらにその差が拡大している。
百貨店はたしかに一部にインバウンド需要での売り上げ増があるが、一方で地方店や小型店の閉鎖が続いて店舗数は減っているからその分を差し引くと市場規模全体では良くて現状維持、悪くすると今後、さらに低下するということになるだろう。

一方のドラッグストアはまだまだ店舗数を増やしているから、昨年春に発表された6兆5000億円からさらに市場規模を拡大している。

実際に2017年度の市場規模を見てみよう。
まずは百貨店。

百貨店売上高、2年連続6兆円割れ
https://www.asahi.com/articles/ASL1R53H0L1RULFA02N.html

全国の百貨店の2017年の売上高は前年より0・4%減の5兆9532億円となり、2年連続で6兆円を下回った。

とのことだ。

一方、ドラッグストアの2017年売上高は激増している。

2017年ドラッグストア市場、5.5%増の6兆8504億円
http://www.syogyo.jp/news/2018/04/post_020814

2017年のドラッグストアの市場規模は、5.5%増の6兆8504億円と推計される。前年に続き、5%台の伸長率となった。
総店舗数は660店増の1万9534店と推計される。

とのことで、前年よりも5・5%増というと大したことがないと感じるかもしれないが、金額で見ると3500億円も増加しているということになり、まさに激増といえる。
アパレル業界に1社で3500億円もの売上高がある企業が一体何社あることか。

これで百貨店との売上高の差は9000億円も開いたということになり、2018年は、このままの調子を維持するならドラッグストアの市場規模は7兆円を越え、百貨店との売上高の差は1兆円を越えることになると考えられる。

百貨店との差は今後しばらくは開くばかりということになるだろう。

なぜ、唐突にドラッグストアの話をしたかというと、この伸びは大阪の心斎橋筋商店街を見ていても如実に痛感するからだ。
2015年ごろからジワジワと心斎橋筋商店街にドラッグストアが増え始めたが、気が付くと今ではファッションブランドショップはドラッグストアに駆逐されてしまっている。

今の心斎橋筋商店街はドラッグストアが軒を連ねている状態といえる。

これまでも何となく薄っすらと知覚していたが、はっきりと気付いたのは今年の初めだった。

ユニクロの北隣にあったZARAが閉店してドラッグストアの「ココカラファイン」が今春オープンした。
ZARAはこれよりも南にもう1店舗あったから、そこへの集約だといわれているが、「好調」と言われていたZARAの跡地にドラッグストアが入店するということは、ZARAよりもさらに好調だということにほかならない。

また2014年に大型路面店として商店街内にオープンしたジャーナルスタンダードが昨年夏ごろ突然閉店した。
その後、同じベイクルーズが自社のアウトレット品を販売するBCストックとして店舗運営していたが、これも半年くらいで閉店してしまった。
その跡地にオープンしたのは関西初出店のドラッグストア「ピュマージ」である。

通常、店舗が撤退する場合は、売り上げ不振や不採算である場合が多いが、販売員仲間によると採算についてはわからないながら、売上高自体は比較的好調だったとのことで、理由は売り上げ不振ではないということになる。

まさに謎の閉店である。

恐らくは家賃が大幅に値上げされたのではないかと推測され、その家賃でも支払えるくらいにドラッグストアの売上高は高いということになる。
そこら辺のアパレルブランドショップでは太刀打ちできないほどの売上高をドラッグストアは稼いでいるということになる。

ドラッグストアの市場規模が6兆5000億円を越えたのを改めて実感した。

関西以外にお住まいの方からすると心斎橋筋商店街は、「ファッションブランドショップの並ぶ商店街」というイメージが強いのではないかと思うが、実際は紆余曲折があってそうなったが、それがまた崩れており、今はドラッグストア商店街となっているといえる。

これを踏まえて有料noteを書いた。

心斎橋筋商店街がドラッグストア街に変貌した理由とこれまでの変遷の推移
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n2eb0ac5ccb54

そして、この傾向は何も心斎橋筋商店街だけではない。
長堀通を挟んだ北側の本町へと続く商店街も同じで、ドラッグストアが続々とオープンしている。
こちらはもともとは問屋街で、心斎橋筋商店街ほどのブランドショップはもともと出店していなかった。
小型問屋が減った跡地にはバッタ屋や在庫処分店の出店があり、コンビニの出店も続いた。
2~3年前から徐々にドラッグストアが増え、今はドラッグストアとコンビニの商店街となっており、その隙間をバッタ屋が埋めているという感じである。

フェイスブック友達によると名古屋も似たような状況だという。
栄の一等地のオールドネイビー跡地やゼニア跡地はドラッグストアが出店しているそうだ。

ドラッグストアの成長を支えている一つには、インバウンド需要がある。
もっとはっきりと言ってしまえば中国人観光客のドラッグストアでの爆買いが支えている。

中国人の爆買いは終わったと言われているが、ドラッグストアでは今も続いている。

今のドラッグストアの売れ行きを見ていると、家主・地主にしろ、不動産屋にしろ、チンケなアパレルブランドショップを相手にするよりはドラッグストアを相手にした方がはるかに儲けが大きい。
単純に計算して、ドラッグストアはアパレルブランドショップよりもざっと5倍から10倍くらい売上高が大きいと思われる。

そりゃ、当方が家主や不動産屋でもチンケなアパレルショップなんぞ相手にするよりもドラッグストアを相手にしたくなる。

だれだって儲けが大きい相手と取り組みたい。

現在、アパレル小売の市場規模は9兆円台で年々さらに低下している。
10年後・20年後もドラッグストアの勢いは続いているかどうかはわからないが、ここ3年くらいは今の勢いは持続するだろう。
そうなると、アパレル小売市場規模とドラッグストア市場規模の差は限りなく小さくなるのではないかと思う。

アパレル小売市場規模がドラッグストア市場規模に肉薄されることになるのもかなり可能性が高いのではないか。

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心斎橋筋商店街がドラッグストア街に変貌した理由とこれまでの変遷の推移
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月刊激流 2018年 01 月号〔ドラッグストア異業種侵攻業態の猛威〕 だってさ。

ワールドとオンワード樫山の新しい動き。成功できるのか?失敗を繰り返すことになるのか?

2008年以降、さっぱり良いところがなかったアパレル業界の2トップのワールドとオンワード樫山にこのところ新しい動きがある。
起死回生の手札になるのかどうか外野から見守りたいと思う。

まず、ワールドは有力企業を2社買収した。

ワールドがラグタグとレンタルサービス「サスティナ」のM&Aを発表
https://www.wwdjapan.com/594621

タイトルの通りの記事なのだが、ブランド古着販売の「ラグタグ」と洋服レンタルサービスの「サスティナ」をワールドが買収したという話だ。
このところさっぱり良いところがなかったワールドにしては目の付け所がシャープな感じがする。
メディアや業界の識者の論調を見ていても好意的なものが多く、当方もその見方に賛成する。

またオンワード樫山だが、こちらも明るいニュースである。

オンワードHDのEC売上高が203億円を達成 SC向けの新ブランドを今秋スタート
https://www.wwdjapan.com/597630

これも読んでタイトルの通りで、オンワードのEC売上高が37%増で200億円に到達したという話だ。
じゃあ、どうやってEC売上高を増やしたかというと、

具体的なEC強化策は、EC上での受注販売の開始をはじめ、EC限定商品の拡充によるプロパー売り上げの底上げだ。オンラインでのセールを強化し、店舗の催事販売からECに切り替えたことで在庫処分を効率化させた。また、3月までに実店舗の在庫一元化を実行し、8月にはEC在庫の一元化を実現する予定で、今後も商品の機会ロスを減少させていく。

とのことで、珍しいことは何もしていない。

1、EC限定品の拡充
2、オンラインセールの強化
3、それに伴う店頭催事(要は安売り催事)をECへ切り替えた

であり、極めてオーソドックスなやり方で、アダストリアホールディングスとほとんど同じである。
アダストリアの場合はこれに、EC限定のタイムセール連発が加わるのだが。

そしてSC向けの新ブランドを始めるとのことだが、これはいわゆる真っ新のブランドではない。
リバイバルのブランドである。

フィールドドリームというブランドだ。

記憶だと2000年初めに開始して、いつの間にか話題に上らなくなったブランドで、2010年くらいには廃止になっていたのかと思ったら、記事によると2016年までひっそり継続していたとのことで、逆に10年以上も良く我慢していたなというのが正直な感想である。

旧フィールドドリームのロゴマーク

 

もともと、ユニクロが牽引する低価格ブームへの対応として生まれたブランドで、当初はメンズ・レディースの両方があった。当方も実際にメンズ服を何枚か買った。
メンズは売れ行きが悪くて廃止され、中盤以降はレディースのみの展開となっていたと記憶する。(間違っていたらごめん)
これをショッピングセンター向けの低価格ブランドとしてリバイバルするということだ。

2トップ企業がようやく新しい動きを見せたといえるが、当方には懸念も少しある。

まず、ワールドの買収だが、ワールドは過去にも積極的買収を仕掛けていた時期があった。
そのときに買収されたのがコキュとミニマムである。
若い人はこんなブランド知らないと思うが、90年代後半にはそれなりに話題になった新進気鋭のブランドだった。

ところが買収された途端に、クソつまらないブランドになり下がり、そのうちに消滅してしまった。

詳しい内部事情は知らないが、コキュやミニマムが得意とした面白い商品作りがワールドの管理下に置かれてすっかり精彩を失ったというのが当方の感想である。

あれから20年近くが経過していて、ワールドの経営陣のメンバーもあらかた交代している。(全部ではない)
ラグタグやサスティナがワールド仕様のクソつまらないブランドになり下がることはないと思うが、そうならないように気を付けてもらいたいと思う。

次にオンワードのフィールドドリームだがこちらも以前とターゲット層が同じなので、また同じ失敗を繰り返すのではないかという不安がある。

90年代後半から2000年代前半に投入された大手アパレルメーカーの低価格対応ブランドは軒並み失敗に終わっている。
フィールドドリームしかり、コムサイズムしかりだ。
イトキンのオフオンやショッピングセンター向けブランド群もその失敗の一つだ。

彼らのやり方はユニクロの低価格に合わせるのが大前提だったが、生産ロットの違い(ユニクロは多い、彼らはそれより少ない)もあって、完全にユニクロと同等価格にすることはできなかった。
彼らのブランドの方が幾分かは高くなってしまった。

2004年以前のユニクロは安くて高品質かもしれないが、デザイン・シルエット・色柄はクソダサかったから、本来は彼らの持っていたデザイン性を導入すれば勝ち目はあった。
しかし、彼らはデザイン性を強調するわけでもなく、ひたすら価格を強調したために「でもユニクロの方が安いやん」ということになった。

また彼らの導入したデザイン性や意匠性は、低価格が障壁となって十分な見せ方ができなかった。
例えば、本来ならもっと斬新な色柄やデザインになっただろうはずなのに、5900円に抑えるためにそこを省略したり、簡素化で誤魔化したりた。
その結果、デザイン性も価格も中途半端な商品が出来上がることになった。

中途半端なデザインなのに中途半端に高いという商品だ。

明らかに彼らの持つ百貨店ライン・ファッションビルラインよりも見劣りした。
その結果、だれからも選ばれなくなったというのがこのブランドたちで、売れないからさらに値上がりするという悪循環の繰り返しに陥った。

フィールドドリームは廃止になり、イトキンはショッピングセンター向けブランドから撤退した。
コムサイズムは続いているが、安くもなくデザイン性が高くもないという中途半端な位置づけになっており、本来は本体とされるコムサ・デ・モードと値段もデザインもどう違うのかさっぱりわからないブランドになってしまっている。

幾分か毛色は違うがパルのチャオパニックとチャオパニックティピーも似たようなものだろう。

以前は高価格のチャオパニック、低価格のティピーと別れていたが、不振からかチャオパニックが低額化し、ティピーが値上がりして価格差はなくなった。逆にティピーの方が高い商品があるという珍現象に陥った。
おまけにテイストは元から同じだから余計に区別ができなくなった。

一方、コーエンとユナイテッドアローズは区別ができていて、コーエンはスタート当初はクソダサかったが、年々商品企画がマシになっていっており、ユニクロに飽きたら買っても良いかと思わせる商品が出始めている。

再スタートするフィールドドリームだが、前回の失敗を繰り返すのかどうか、そこに注目したい。
フィールドドリームが成功すれば、他の大手アパレルの失敗続きの低価格ブランドにも幾分が光が差すのではないかと思う。

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こんな古い本を改めて読んでみても面白いかも。買おうかな。

大手アパレルだけではなくセレクトショップとSPAブランドも同質化している

かつての大手アパレルの各ブランドが限りなく同質化してしまっていることは多くの人が認めるところで、その理由については以前にもこのブログで書いた。

もう一度おさらいしておくと、

1、情報源が同じ
2、製造を商社に委託した。国内の商社は数えるほどしかなく、すべてのブランドがそれら少数の商社の手で作られるから必然的に似る
3、商品企画をOEM/ODM業者に丸投げした

この3つが渾然一体となって得も言われぬ同質化のハーモニーを生み出すのである。(美味しんぼ風に)

しかし、同質化しているのはワールド、オンワード樫山、ファイブフォックス、TSIホールディングス、イトキンなどの大手アパレルだけではない。
その後、隆盛を極めている大手セレクトショップやSPAブランドもすでに同質化している。

例えば、アダストリアの「ベイフロー」とアーバンリサーチの「サニーレーベル」なんてほとんど同じ店にしか見えない。
おそらく「ロンハーマン」の廉価版なのだと思うが、それにしても似すぎていて、当方では区別ができない。

どのセレクトショップに行っても、最近だとチャンピオンのTシャツ・スエット・帽子、ディッキーズのチノパンやジャケットが並んでいる。アダストリアのグローバルワークにまでディッキーズが今春並ぶようでは、ディッキーズももう国内では広がりきったといえる。
チャンピオンのTシャツ・スエット類の人気はオッサンにとっては理解不能だ。

あの「C」マークなんて昔の体操服か、部活の練習着のイメージ丸出しである。

セレクトだ、セレクトミックスのSPAだ、といったところで、所詮は同じ人気ブランドを各店で売っているだけである。
そうなると価格競争に入るから、各ブランドはそれを回避するために「別注」「コラボ」「ダブルネーム」を盛んに打ち出す。
盛んに打ち出すというよりは乱発、アホの一つ覚えというのが正確なる実態といえる。

チャンピオンと〇〇ブランドのコラボ、ダブルネーム、別注というわけだ。

これだとチャンピンの赤色は、〇〇でしか手に入らないから値崩れしないというのが、セレクトショップ、SPA側の理由だが、そもそもチャンピオンの「C」マーク、ディッキーズの「D」マークがどの店にも並ぶのだから、消費者から見るとどこもそれほど変わらないように見える。
ラベンハムだって同じだ。〇〇ならグレーがあるが、××は黒がある、とかその程度の差異しかない。

セレクト、SPAが同質化してしまった理由も大手アパレルの同質化とまったく同じである。

1、情報源が同じ(トレンドソースが同じ)
2、製造を大手商社に委託している
3、商品企画をOEM/ODMに丸投げしている

あと、もう一つ付け加えるとすると、

安全パイの人気ブランドに頼ろうとする

である。チャンピオン、ディッキーズへの依存はまさにこれの象徴といえる。

そしてこのあたりの商品はライトオン、ウィゴー、スピンズあたりまで並んでおり、普段、小規模ブランドには「バッティングが~」なんて圧力をかけているのに、よくもまあ自ら望んでバッティングをやりたがるものだと、そのダブルスタンダードぶりには唖然とするほかない。

そして彼らは滑稽なことに、チャンピオンやディッキーズが溢れ出すと、まったく違った商品を探すのではなく、それらに似ているけど知名度の低いブランドを探すのである。

要は「チャンピオンやディッキーズに似ているけど、まだ知られていない別のブランドですよ」という売り方をしたいのだが、客からすると「なんで似たような別の無名ブランドを買わねばならんのか?」ということになる。
それなら、チャンピオンやディッキーズで良いじゃないかということになる。

どうだろうか?当方ならそうなるが、業界の「感度高いファッソニスタさんたち」の理屈は違うのだろうか?

昔話をしてもたいていの場合は意味がないが、今回ばかりは例外的に昔の方がまだ矜持があったのではないかと思う。
もちろん人気ブランドはどこでも扱われていたが、店作りを差別化しようとする努力とか、無名ブランドを発掘しようとする努力は80年代・90年代の方があったのではないかと思う。

2005年以降は「〇〇で売れているあのブランドを導入したい」とか「〇〇で売れているのと同じ素材が欲しい」とか「現在人気の〇〇と似たような店舗設計にしたい」とかそんなことばかりで、自ら進んで同質化している。

先日、あるワーキングカジュアルブランドの展示会にお邪魔したが、滑り出しは上々だという。
その理由は「ディッキーズが広がりすぎたので、それに代わる同じようなテイストのブランドを各ショップが探しているから」だという。
各ショップはアホじゃないのか。

このサイクルをやっている限りは洋服は絶対に価格競争に陥る。

人は、同じ物や似たような物なら絶対に安い方で買うからだ。

当方は投げ売り商品しか買わないから、どんどん価格競争をやっていただいても構わない。その価格競争品のさらに投げ売りを買うだけのことだ。
しかし、業界のファッソニスタたちが価格競争をやめたいと思うのなら、このサイクルをどこかで断ち切らねばならないだろう。

結局は「口では個性」と言いながら、根底では「安全パイを求める」という業界人特有の心理が現在の同質化を生み出しているといえる。

価格競争に陥っているのは消費者のせいではなく、同質化で安心している業界自らが招いた結果であることを認識する必要がある。

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この「C」ロゴはダサいと思うんだけどなあ。(笑)

アメリカの事例を「そのまま」我が国に持ち込んでも失敗するだけ 仰天の「ガソリンスタンド受け取り」提案

久しぶりに強烈な二日酔いとなり、更新がかなり遅れてしまった。

衣料品業界にもコンサルタントはあまたいるが、ときどきわけのわからない理論に出くわすことがある。
高学歴で頭が良いはずの人たちが仰天理論を提唱する。

今ではすっかり耳慣れたオムニチャネルという言葉だが、この定義を飲み込んでいる人は意外に少ない。

オムニチャネルは別にネット通販のことだけを指すのではない。
欲しい物が欲しいときに欲しい場所で手に入ることを指している。
別にネット通販でなくても構わなくてカタログ通販でもテレビ通販でも良い。
店に行って購入したって良い。

先日、このオムニチャネルをめぐる仰天理論を耳にした。
2010年頃のことで、場所はそれこそ高学歴者が集まっている有名コンサルティングファームでのことだ。

当時はアメリカからオムニチャネルの事例を持ち帰ってきて、それを我が国に敷衍するという作業が行われていた。
ご存知のようにアメリカは車社会で、国土が広い。
一部の都心以外は人々は自動車を足替わりにして生活しており、郊外では隣家との距離も遠い。

日本の田舎と似ているが、日本は田舎でもコンビニがあるが、アメリカはそうでもない。

アメリカのオムニチャネルの事例として、ネット通販で買った商品をガソリンスタンドで受け取っているということが紹介された。
日本の田舎のようにコンビニがあちこちにないので、アメリカとしてはガソリンスタンドで受け取ることが効果的だというわけだ。

で、このコンサルティングファームが某企業のオムニチャネル構築の案件を手掛けたときのことだが、なんとガソリンスタンドでの受け取りを提案してきたという。

なぜ、ガソリンスタンドと指定したかというと、それはアメリカの事例がそうなっていたからだとのことで、突っ込んだ別のコンサルタントは失笑を禁じ得なかったという。

アメリカの国状に合わせればガソリンスタンドとなるが、現在、ガソリンスタンドが次々と閉店に追い込まれている我が国の国状でガソリンスタンドでの受け取りを提案するなんて馬鹿ではないだろうか。

現在そうなっているように、我が国ではコンビニエンスストアがあちこちにあるから、コンビニ受け取りを推進するのが正解だったというわけだ。
おまけに我が国は都心人口が多いから、都心の人にとっては「ガソリンスタンド受け取り」なんて逆に不便になってしまう。
都心にガソリンスタンドはそんなにない。

一流大学を卒業していて本来は頭が良いはずの人が、こういうガソリンスタンド受け取りを大真面目に提案するのだから笑わせてくれる。

結局、このガソリンスタンド受け取り案が流れたのは正解だったし、ジャッジした人間の判断が極めて正常だっといえる。
とはいえ、ジャッジする人がアホならこのアホな案が通ってしまっていたということでもある。

この手の人たちに共通していることは、欧米に事例を我が国にそのまま取り入れようとするところにある。
住宅事情も生活スタイルも我が国は米国とはまったく異なる。アメリカではガソリンスタンドが便利なのかもしれないが、我が国ではガソリンスタンドはそんなにあちこちにあるわけでもなくなっているし、都心だとガソリンスタンドを探す方が大変である。

じゃあ、アメリカのガソリンスタンドにあたるのは何かと考えれば良いの考えない。

アスレジャーブームへの言及も同様で、アメリカではジョギングの帰りかと思うような運動着スタイルを指している。
我が国にもそういうアスレジャーブームが来ると思っているアホなコンサルやアホなブランドは、展示会で運動着スタイルを盛んに提案しているが、それそのものはさっぱり流行していない。

日本人はそんな運動着スタイルで都心に出かけることは好まない。

じゃあ、アスレジャーは日本ではまったく流行っていないのかというとそうでもない。
別の形に変わって流行していると個人的には見ている。

スニーカーブームはその一つだろうし、近年大流行している「高機能素材を使った普通の服」は日本版アスレジャーなのではないかと見ている。

スポーツウェア向けの高伸縮・吸水速乾などの素材を使ってスーツやコート、ジャケット、パンツなどが各ブランドから提案されている。
ミズノのムーブスーツや、ビームスのトラベルスーツなんかはその代表といえる。

普通のカジュアルパンツでも個人的には綿100%よりもストレッチ混素材の商品を好んで買うようになった。
生地問屋の展示会に行くと、防シワ・吸水速乾・ストレッチ性・ウォッシャブルなどの高機能素材がどのジャンルのブランドからも注目を集めていて、逆に機能性がない素材はどんなに高級でも好まれない風潮がある。

我が国におけるアスレジャーはこれではないかと思う。

アメリカでいくら運動着スタイルが流行ろうが、アメリカ人と日本人の嗜好は異なる。
それをそのまま提案したところで我が国では流行しにくい。

そういうところを一切考慮しないから、ガソリンスタンド受け取りとか、ジョギング帰りスタイルみたいなものが堂々と提案されてしまう。
そしてそれができないコンサルタントが多数いるから、使う方は注意が必要だ。

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クイックレスポンスへののめり込みとPOSデータの妄信がブランド間の同質化を生んだ

最近は新しい商業施設の内見会にはあまり行かない。
一つは、内見会で見てもその施設が流行るかどうかはわからないからで、それなら、オープン後何か月か経過してから行った方が、流行っているかどうかがわかる。

もう一つの理由は、どの商業施設も同質化していてほとんど同じに見えるからだ。
洋服でいえば入店テナントはほとんど同じだし、各テナントとも店作りが類似していて同質化している。
また、最近では洋服不振だから、どの施設も一様に食品・飲食を強化していて、これもアホの一つ覚えでしかない。
アパレルは猫も杓子もEC・ネット通販、商業施設は猫も杓子も飲食・食品強化。
本当にメーカーも流通もアホじゃないかと思う。
たしかに食品は衣料品に比べて単価も安いし、消えモノだから売れる頻度が高い。
だからといって、一日に10食食べる人はいない。
どういう意味かお分かりだろうか。いくら調子が良くてもそこに集中すれば過剰供給になって値崩れしたり飽きられたりするということで、飲食・食品もそうなりつつあると個人的には見ている。

だからほとんど興味がわかないし、記事に書きたいともあまり思わない。

それはさておき、洋服ブランドの同質化が起きた最大の原因は、クイックレスポンス(QR)対応とPOSデータへの妄信である。
これは以前にも書いた。

今回はそのリライトみたいな感じで、再度まとめる。
しかし、同じことを書いていても仕方がないので、また違う文面にする。

このところ、なぜか親交が深まった河合拓さんのブログから引用する。

https://ameblo.jp/takukawai/entry-12360938651.html

業界がQR一色に染まりました。この理論は、極めて明快、かつシンプルで非の打ち所がなかったために悲劇が生まれたのです。それは、日本固有のビジネスシステムと関係があるのですが、簡単に言えば「業界全体が同じ事をした」のです。特に日本は生産は大手商社が行っており、日本にある数万のアパレルが一斉に両手しかない大手商社にQRを依頼したのです。

とのことで、97年に業界紙記者になったときにはすでに業界はワールドが主導するQRが注目の的だった。
業界紙記者もアホの一つ覚えだから、記者会見に出たら必ず「御社のQR対応は?」とどのアパレルにも質問していた。
最近だと「御社のECは?」が定番の質問だろうか。(笑)

河合さんの指摘しているのは、多くのブランドが10社程度の大手商社にQR対応を依頼したため、どのブランドも出来上がってくる商品がほぼ同じになったということである。
なぜなら、作っているところが同じだから、各ブランドの商品は当然似てくる。

おまけにOEM/ODMの蔓延によって、商品デザインまでもを丸投げにしているのだからデザインすらも似てくる。
最近では中小零細のOEM/ODM企業もあるが、その企業とて最低でも10社・10ブランド程度の商品企画を請け負っている。
必然的にこの10ブランドのデザインは似通ってしまう。

そういうことだ。

河合さんは指摘しておられないが、90年代半ばに導入されたPOSレジがその同質化をさらに加速させた。
どの商品がどれだけ売れたかを記録してくれるPOSレジは非常に重宝で、そのデータをきちんと分析すれば、かなり有益である。
しかし、残念なことに多くのアパレル従業員(経営者も含めて)は分析が極めて下手だから、POSデータをそのまま考察せずに発注に結びつけてしまう。

通常、洋服の売れ筋というのはベーシックが上位を占める。
黒の無地のセーターだとか白いカットソーだとか黒いジャケットとかそれが上位を独占する。
当たり前の話で奇抜な色型・デザインの洋服を買う人はそんなにいない。

だから、そのデータを考察せずにそのまま企画に反映するとどうなるか。

黒の無地セーターとか白いカットソーとか黒いジャケットばかり出来上がることになる。
データ上はこれが正しいんだから仕方がない。(丹波哲郎かよ)

かくしてどのブランドも同質化してしまうことになるし、自ブランド内でも秋冬商品と春夏商品がほとんど変わらないということにもなる。

POSデータは正しいがそこをどう考察できるかが重要で、ベーシックアイテムが上位を占めるなら、本来ならそのベーシックアイテムを映えさせるためにどんなアクセントとなる色柄・デザインの商品が必要なのかを考えなくてはならない。

黒ジャケットと白カットソーを映えさせる色柄はなんだろう?デザインは何だろう?
それを考えて投入しないと単なる無印良品の類似店舗になってしまう。

そして、河合さんもご指摘のように、QRにのめり込み、POSを妄信した大手アパレルはワールドを筆頭にもれなく経営危機に陥っている。
これ以上わかりやすい結果があるだろうか。

ワールド、イトキン、ファイブフォックス、TSI(旧サンエーインターと東京スタイル)、三陽商会、フランドルがその結果を反映している。

以前にこれを違う文面で書いた際、ワールドの従業員から怒りの声が出たと、当時の労働組合執行委員から聞いた。
知らんがな。(笑)

経営陣が怒るなら理解するがなぜ従業員が怒るのかまったく理解できない。そんなすばらしいシステムならワールドの経営は今も隆々としていたのではないのか。

そんな考えの人間が集まっていたから経営が傾いたのではないのか。

かつての大手アパレル出身のコンサルタントは多々いるが、その当時のやり方をいまだに彼らから導入しようとしているアパレルやブランドが多数あることに驚いてしまう。
これほど結果がはっきりしているのにどうして今更それを求めるのか理解不能だ。
そういう業界だから凋落が止まらないのではないか。

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「知名度主義」の人材起用がアパレル業界を低迷させている
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n50ca3a6bf56c

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ネット嫌いの会社がなぜかAmazonに出品している(笑)

既製服に「手縫い」「手作業」を求める百貨店部長の愚かしさ

洋服の価格下落を食い止める方策として、付加価値を高めるというやり方が注目されているが、難しいのは何をもって「高付加価値」をアピールするかである。
作り手側・売り手側の響くポイントと、消費者が響くポイントはあまり重なり合わない。
もう一ついうと、作り手側・売り手側の響くポイント、消費者が響くポイント、メディアが響くポイントと「事実」は往々にして異なる場合があり、当方はその場合、事実を絶対的に尊重すべきだと考えている。

最近、流行りの「高付加価値」化の一つとして、少量生産とか手作業というポイントがある。

まあ、これはこれで一つの価値だといえる。当方はほとんどそこには価値は見出さないが、それが価値だと感じる人がいることは否定しないし、それもまた価値だと思う。

その影響からか、過度に「手作業」を神聖視したり、過剰な演出を求めることが増えて、これは逆に事実を歪曲してしまい危険な行為だといえる。

先日、ある縫製業者が百貨店で自社ブランドのポップアップショップを開催した。
百貨店でもっともファッションが充実しているのは、単独店舗では伊勢丹新宿本店、次いで阪急百貨店うめだ本店だとされており、これに異論を唱える業界人はいないだろう。

余談だが、伊勢丹、阪急ともに本店のみが強く、他の地方店が弱いという構図はそっくりで、大量生産メーカーとして付き合うにはロットがまとまりにくいのでお勧めはできない。
日本全国に満遍なく大型店舗を所有していてロットがまとまるのは高島屋である。

まあ、それはおいておいて。

縫製業者は自社の工場風景を動画にして、店頭のディスプレイで流した。
ところが、そのフロアの部長がやってきて、「動画を作り直してほしい」と言い出した。

なぜか。

当たり前だが縫製工場は国内といえども大量生産が前提で、少人数でも5人~10人程度でミシンでの流れ作業が当たり前となっている。
中型、大型だとその人数がもっと増えるだけであり、構図は小型でも大型でも変わらない。
中国、アジアの大型工場はその規模が格段に大きいといえる。

当然、工場風景の動画ではミシンで縫製する姿が流されている。
それを流さなければ何を流すのかということになる。

部長はそれがダメだという。
そして、「手縫い」の風景を動画で流してほしいと言ったのである。

まったくアホかバカかアボカドバナナかと。

ファッションの百貨店のフロア部長がこの程度の認識なのである。
そりゃあ、ファッションも凋落するはずである。(笑)

手縫いの量産縫製工場なんてどこの世界にあるというのか。
くだらない社内政治ばかりしている暇があれば縫製工場の1つでも見学して実情を認識すべきである。

そして百貨店の店頭でこの「嘘の動画」を流すことで、消費者をミスリードし、それを拡大再生産してしまうという危険性がある。
そのことを理解しているのだろうか?多分理解していないだろう。だからそんなアホなことが言えるのである。

小規模工場とはいえ、月産何百枚程度は最低でもこなさなければ、経営者も従業員も生活ができない。
手縫いで月産何百枚がこなせると思っているのだろうか?

もしかしたら、件の部長は「演出として」と言いたいのかもしれないが、それは演出ではなく完全なるフィクションである。
じゃあ、動画に「この動画はフィクションです」っていうテロップでも入れるべきだ。

しれっとノンフィクションみたいな顔して流してるんじゃねえよ!

衣料品業界、繊維の製造加工にはこの手の「過剰演出」「嘘の神話」がまかり通っていて、それが消費者間で拡大再生産されてしまっている。

例えば、オーガニックコットンだ。
このブログにも以前に書いたことがあるが、オーガニックコットンとは有機栽培された綿花である。
土壌汚染とか栽培している作業員の健康を守るとか、そういうことを主眼に置いた社会運動である。

はっきり言えば、オーガニックコットンには、肌に優しい成分は何一つ含まれていないし、通常の綿花と手触りが異なることもない。
科学的にはこれらは何一つとして証明されていない。
それが事実である。

稀に肌荒れに効いたとかアトピーが軽減されたという人がいるが、それはほかの要因で効いたと考えられる。
製品のペーハーが通常の製品とは異なっていたのかもしれないし、プラシーボ効果が発揮されたのかもしれない。

にもかかわらず、製造している人間がその「効果」を吹聴している場合も多いし、その製品を扱っている業者がその効果を吹聴していることも決して珍しくない。
かくして、科学的に何の証明もされていないオーガニックコットンが、肌荒れの救世主みたいにあがめる信者が誕生してしまう。
鰯の頭も信心から、とはよく言ったものだ。
まさに鰯の頭である。

オーガニックコットンも信心から、だ。

話を手縫いに戻すと、当方は手縫いの何が良いのかさっぱりわからない。
手縫いステッチを施しましたという商品もいくつか持っているが、微妙に歪んでいるため、ミシンのまっすぐなステッチの方が1億倍くらい好きだ。
これを重宝がる人の気持ちはまったく理解できない。

そして、こういう「手作業信仰」は既製服にとって何の益もない。
既製服は大量生産・大量販売を前提とした工程・機械で成り立っており、手作業の工芸品とはまったく別物だ。
この2つを混同することは、既製服にとっては有害でしかない。

手塗の漆器やら、一枚の銅板を職人が槌で叩いて鍋を作るのとは違う。
既製服は生地も付属も染色加工も縫製も大量生産の流れ作業である。

その仕組み、機械なくしては現在の既製服は生産できないし、イシキタカイ系の好きなブランドだって商品(作品ではない)を生産することはできなくなる。

そういうミスリードを増幅させ、誤った手作業信仰を百貨店のフロア部長という要職にある者が助長するのは、まったくアホの所業でしかない。
猛省を願いたい。

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「知名度主義」の人材起用がアパレル業界を低迷させている
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技術書だけど、これでも読んでみたら?

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