カテゴリー: 誰がアパレルを殺すのか (1ページ / 6ページ)

「大量生産・大量販売から脱却する」という意味不明なルミネの主張

ルミネという商業施設のコメントはどうしていつも屁理屈臭が漂うのだろう。
これこそ企業の風土というやつかもしれない。

ルミネの夏のセール日が決定 昨年と同時期の7月末から
https://www.wwdjapan.com/635519

今年の冬セールは他の施設とほぼ同時の1月4日から開催したが、夏セールは他の施設から遅れて7月27日からするそうだ。
で、遅らせる理由だが

広報担当者は「しっかりとプロパーで販売し、適正な時期にセールをするという方針を取っている。これまでと変わらず、大量生産、大量販売から脱却し、素材やデザインにこだわった商品の価値を丁寧に伝えて販売していく」としている。

と書かれており、はっきり言って意味不明だ。
ルミネは真面目のこんなことを考えているのだろうか。だとしたら上層部は相当アレな人がそろっている。

そもそもルミネというファッションビルに入店しているテナントブランドのほとんどは「大量生産・大量販売」である。

例えばルミネ新宿を見てみようか。

1階にはユナイテッドアローズとトゥモローランドという「ほぼSPA」化した大手セレクトショップである。すでにこの2店でも相当に大量生産・大量販売だ。大量生産・大量販売という仕組みがなければこの2店はここまで大手になっていない。

2階にはガリャルダガランテ、デミルクスビームス、ドゥージィエムクラス、マークジェコブス
3階はイエナ、ピーチジョン、グレースコンチネンタル、ルシェルブルー
4階はユナイテッドトウキョウ、スピック&スパン、ブラックバイマウジー

などというふうになっており、目玉テナントはすべて大量生産・大量販売である。
そうではないと完全に言い切れるのは4階の大塚呉服店くらいだろう。その大塚呉服店とて、仕入れている着物のうち何割かは大量生産品が含まれている。

現代の大手アパレルブランドで大量生産・大量販売でないところはない。

「素材やデザインにこだわった」と陳腐化した言葉を並べているが、ルミネ内の店以外でも同じ商品が並んでおり、ルミネ内の店で買う必要性はまるでない。

以前に、バーゲンセールを後倒しし始めた際に持ち出したルミネの屁理屈は「産地の保護」だった。
しかし、上記のテナントにどれほど国内生産品が並んでいるのか。上記のテナントが扱っている商品はほぼアジア工場で生産されている。
生地や染色加工の段階にまでさかのぼれば、国内品比率が増えるが、縫製段階で限っていえば、当時ですら97%(数量ベース)は海外製造品だ。「産地の保護」で掲げている「産地」というのはどこを指しているのか?アジアの縫製工場のことか?
まったく笑わせてくれる。

ルミネの「理由」を聞いて前回も今回も納得する人がいるのだろうか。
いるとしたらその人たちの頭の中身は相当におめでたい仕様になっている。

で、これらのルミネの目玉テナントの各ブランドのウェブサイトに行くと、すでにウェブ上では一部セールが5月から始まっている。
ZOZOTOWNも5月にすでに大々的なセールを行っているし、割引きクーポンの乱発は日常茶飯事だ。

ウェブだけではない。実店舗でも今年は夏のセール開始が早い。
ショッピングセンター内や都心路面店では5月半ばから「店内一部セール」「最大〇〇%オフ」というデカイ看板が掲げられているし、ストライプインターナショナルとそれに触発されたブランドが毎日「タイムセール」を繰り返している。

言ってしまえば、消費者は常に割引品を買うことができる状況にあり、ネット通販の進展によってそれはさらに周知されている。
突き詰めればネット通販の最大の集客手法は「安売り」だからネット通販が盛んになればなるほど、各サイト間の競争は激化して安売りは進む。ZOZOTOWNの5月の大セールや割引クーポンの乱発はそれを証明している。

2008年ごろまでのインターネットがそれほど普及していない時代なら、ネットと実店舗は違うという理屈でも押し通せたかもしれないが、これほど多くの人が日常的にインターネットを使用している状況下ではその理屈は最早通用しない。
それにルミネのネット通販、アイルミネも早期に割引セールを行っている。自社のサイトがやっていることを実店舗で否定する意味がわからない。こういうのをダブルスタンダードというのである。

加えて、常に店内に「値下げセールコーナー」を持つユニクロ、ジーユー、GAP、ストライプインターナショナルの各ブランド、アダストリアの各ブランド、などのSPAブランドが浸透している。
消費者からすると、店内に見切り品コーナーがあることは最早常態と化している。

このような状況下で、90年代の遺物のような夏と冬の年二回の大幅値下げセールに固執する意味があるのだろうか。
当方はまったくないと思う。ルミネで値下げされていないブランドだってそのブランドのウェブサイトでは値下げされているのだから、そちらで買えば良いだけのことである。

こうなると、いくら、大手流通が「セール後倒し」を叫んだってもとには戻らない。
ネット通販とSPAブランドがすべて壊滅しないと実現できないので、事実上実現不可能ということである。

となると、ここでやらねばならないことはノスタルジー丸出しでの「セール後倒し」模索よりも、SPA方式での売れ行き不振商品の自動的段階的値下げである。それとともに、ZARA式の「売り切れ御免」方式を組み合わせるマーチャンダイジングの模索であろう。

ZARA式を取り入れることで「値下げまで待てない」という心理を消費者が持てば、セール品は減る。
それでも売れ行き不振商品が出るならそれは、企画と販売が下手くそなせいだから、諦めて値下げすればいい。
後生大事に定価で抱えていても最終的に投げ売るよりも早い段階で、30%オフくらいで枚数を減らした方が利益率が高いはずだ。
また、廃棄するにも廃棄料としてカネがかかるから、不振だと気が付いた段階で少し値下げする方が適切な処置だといえる。

定価で買うのは嫌だが、30%オフでこのデザインなら買っても悪くはないと考える消費者は多い。

まとめると、

・SPA方式の自動的かつ段階的値下げ
・ZARA方式の「売り切れ御免」の商品手配の確立と、商品企画の精度向上

セール後倒し派はつまらない日程操作よりも、この2つに注力すべきだろう。

それにしてもルミネの主張はいつもまったく共感も支持もできない。

NOTEの有料記事を更新~♪
ジーンズの洗い加工はレーザー光線で行う時代
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/na09a16d24294

あと、インスタグラムもやってま~す♪
https://www.instagram.com/minamimitsuhiro

昨年9月下旬にブログの仕様を変えて、更新通知が届かなくなった方がおられると思いますので、お手数ですが、新たにRSS登録をお願いします

そんなルミネに関する本をAmazonでどうぞ

複数の機能を積み上げて失敗したワイシャツ業界と、一つの機能に特化して打ち出して成功したオールユアーズ

今年から、某プリンスの押し付けによってマーケティングの授業を引き受けることになってしまったのだが、当方は体系立ててマーケティングを勉強したことがない。
ツギハギでやってきたわけだ。

昨年までの授業用の資料に沿って、そこに勝手に自分の見解を付け加えているわけだが、ポジショニングということを教えた。
資料に目を通すと、まあ、いろんなことが書かれてあるのだが、その中の一つに

「ポジショニングの一つの方法として、複数の機能や効能がある中から、一つか二つに集中して取り上げてアピールする」

と書かれてある。

これは非常に基本的なことだが、それこそマーケティングを体系立てて勉強している企業経営者やブランド運営者がどうしてこれを忘れてしまうのだろうかと、資料を読みながら思った。

その資料の中には一つの某石鹸が例として挙げられており、

体臭を消すという効能に特化した打ち出しで独自のポジションを築いた。

とある。

石鹸の効能は、殺菌作用や皮脂を落とすなどがあり、某石鹸でなくても普通の石鹸ならほとんどがこの効能を備えている。
殺菌作用の延長線上に防臭や体臭除去があり、殺菌作用のある石鹸ならすべて、防臭や体臭除去は可能になる。
しかし、あえて「体臭除去」だけをクローズアップしてヒットした石鹸があった。

資料にはこうまとめられている。

「多くの効能や機能を謳っても人間は一度に理解できない。人間が一度に理解できるのは1つか2つ。だから1つか2つに絞り込んで打ち出すことが重要」

と。

それこそMBAだ、ナンタラ大学院大学だ、を修めた人ならみんなご存知の知識ではないかと思う。
ところが現実的にはこの原理はほとんど生かされていない。だからたまにこれをキチンと活用した企業やブランドが出てくるとたちどころに大ヒットになる。

メンズのワイシャツが良い例である。

メンズのワイシャツが備えている機能性としては現在だと形態安定加工である。

それ以外だと

防臭
防汚
速乾

くらいだろうか。
あとはデザインやシルエットによってはストレッチ性である。

まとめると、メンズのワイシャツに必須の機能は

1、形態安定加工
2、防臭
3、防汚
4、ストレッチ性
5、速乾性

といったところではないか。
そして1が圧倒的で、2と3、4と5はあっても良いがなくてもなくても構わない。

そんな感じだと思う。

メンズのワイシャツは90年代半ばに形態安定加工が発明され大ヒット商品となった。
いくら大ヒット商品とはいえ3年くらい経過すると欲しい人はだいたい買ってしまっていて、新規購入客は少なくなる。あとは買い替えとか買い足し需要しかない。
5枚持っているから、2枚買い足そうというような感じである。

昨年は一気に5枚売れたのに、今年は2枚しか売れないということになる。
実に数量ベースで60%減である。

ヒット後3年くらいしてから、ワイシャツ業界は、その素材供給元の紡績と一体となって売り上げを維持させるために様々な機能性を付加していった。

最初は形態安定だけだったのが、そこに防臭が加わる。
次の年は防汚である。

その翌年は抗菌
その翌年は保湿
その翌年はビタミンC加工
その翌年は紫外線カット

という具合に、年を経るごとにどんどんと機能性が付加され、最終的には7種類とか8種類の機能を持つワイシャツが大量に売り場に並んだ。

その結果はどうだったかというと、今、その手の商品が残っていないことを見ればわかるようにまったくヒットしなかったのである。
先ほどのポジショニングの資料の逆張りをナチュラル感覚でやらかしていたわけである。

業界紙記者時代に、ビタミンC加工ワイシャツを発表されたときに思わず質問をした。

それってどういう効能があるんですか?

そうすると、

美白効果があります

という答えが返ってきた。

び、美白だと?

 

美白効果を求めているサラリーマンのオッサンがこの世にどれほど存在するのだろうか。
ゼロではないがひどく少数だと思う。そんなニッチな市場に向けて一体何万枚生産するつもりなのだろうか。
美白ワイシャツがあれば買うのは美肌プリンスくらいではないか。

紫外線カットも同様だ。

OL向けのレディースワイシャツ、ブラウスにこの機能を付加するのは理解できる。
しかし、いくらアイデア不足だからといって、オッサン向けワイシャツに付加したところで何の意味もない。
案の定その商品は売れずに早々に市場から姿を消した。

最終的に今も残っているのは形態安定だけである。

このことから考えると、複数の打ち出しの積み上げは何の意味もないということになり、ポジショニングの資料の正しさを証明していることになる。

クラウドファンディングで1800万円を集めたオールユアーズというブランドがある。
そこには速乾商品「ファストパス」があるのだが、これは機能性ポリエステル素材でできているため、本来はもっとたくさんの機能性がある。
ストレッチ、色落ちしにくい、劣化しにくい、軽量などなどだ。

しかし、オールユアーズはあえて「速乾」だけをクローズアップして、ヒットさせた。
彼らがマーケティングを体系立てて学んだかどうかしらないが、極めて資料に忠実な結果となったといえる。

きらびやかな学歴、経歴を持った人が業界には多数おられるが、どうして自社や自ブランドのことになると、それまでの学識や経験が生かされないのか不思議でならない。
過去のワイシャツもそうだが、それと類した下手くそな売り方のブランドや商品はアパレル業界には掃いて捨てるほどある。

それこそもう一度、基本に立ち返って論理的に考えてみてはどうか。

NOTEの有料記事を更新~♪
ジーンズの洗い加工はレーザー光線で行う時代
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/na09a16d24294

あと、インスタグラムもやってま~す♪
https://www.instagram.com/minamimitsuhiro

昨年9月下旬にブログの仕様を変えて、更新通知が届かなくなった方がおられると思いますので、お手数ですが、新たにRSS登録をお願いします

これがオールユアーズのファストパスのチノパン。興味のある人はどうぞ。

ジーンズショップオサダの経営破綻から見るジーンズカジュアルチェーン店が苦戦する理由

静岡の有力チェーン店と呼ばれたジーンズショップオサダが民事再生法を申請した。

静岡拠点のジーンズショップオサダが民事再生法適用を申請
https://www.wwdjapan.com/627235

地域の有力チェーン店と呼ばれていたが、最近は資金繰りの悪化が指摘されていた。
4月にお会いした某カジュアルメーカーの社長は「銀行からオサダと取引を控えるように勧告されている。理由はオサダの経営状態が悪いから」と話していた。
それほどに悪化しているのかと驚いたが、はからずもその話が現実化したといえる。

このブログでも6月8日の朝に

ジーンズカジュアルチェーン各社の状況はさらに厳しさを増している 夜明け前どころか真夜中の暗さ
http://minamimitsuhiro.info/archives/2573.html

を上げたが、文中に匿名で「銀行から取引中止を勧告された」と書いてあるのはオサダのことで、その日の夕方に民事再生法申請が報道された。

なお記事によると

8日付で企業再生支援のKSG(東京)との間でスポンサー契約を結んでおり、支援を受けながら再建を図ることになる。

とのことで早速スポンサーが確定している。

このオサダ以外にも業界での知名度は高いが近年は苦戦に転じていると言われている地域有力チェーン店が何社もある。
これまで何度も危機を乗り越えてきた地域有力チェーン店だが、ついに息切れし始めたといえる。
もちろんすべてのチェーン店がなくなるとは思わないが、ジーンズカジュアルチェーン店という業態そのものが時流には合わなくなってきており、今のままの業態で営業を続けると、最終的には何社かを残してあとはすべて淘汰されてしまうのではないだろうか。

衣料品業界の流れを見てみよう。
90年代半ばからSPA(製造小売り)がブームとなって大きく進んだ。
SPA化がすべて正しいとは思わないが、商品の独自化を極限まで追求すると、小売店がSPA化せざるを得ない。

これはカルチュアコンビニエンスクラブの増田宗昭社長も以前のインタビューで指摘されていたことだが、商品の独自化を追求すればするほど、SPA化に行き着く。
考えてみれば当たり前のことだ。

例えば、リーバイス501という名作ジーンズがあるが、これを何千店もが販売していたら同質化してしまう。
リーバイス501はジョイントで買おうが、三信で買おうが、フロムUSAで買おうが同じである。
だったら、安く買えるところが一番良いということになる。
実店舗の場合、店長や販売員に惹かれて多少高くてもそこで買うという人もいるが、大多数の人は安いところで買う。
そしてその安売りで人気を集めたのが昔のジーンズメイトである。

一方、同質商品を扱っているなら小型店よりも大型店の方が良いということになる。
リーバイス501は90年代前半でもブルーの濃淡だけで10色くらいあったから、3色しかそろえていない小型店よりも10色すべてそろえている大型店の方が良いと消費者は評価する。
その結果が90年代から進んだジーンズチェーン店の大型化であり、この90年代で街角の30坪くらいの小型店は軒並み死に絶えたといえる。

それによって、各地の国道沿いに大型ジーンズチェーン店が生まれたが、商品の独自性がなかったことと、98年からのユニクロフリースブームに端を発した低価格カジュアルブームによって、フロムUSAもロードランナーも三信衣料も倒産してしまった。

97年、98年というのは今から見るとターニングポイントともいえる時期で、このころ、東大阪のジーンズチェーン店だったジグ三信はセレクトショップ「アーバンリサーチ」を開業した。また、水戸のジーンズチェーン店だった「ポイント」は自社SPAブランド「ローリーズファーム」を開発した。

そして、2000年を越えるあたりから、他のジーンズチェーン店もSPA化を模索するようになるが、なかなかうまく行かずに、揺らぎ続けたままに2018年を迎えている。

その代表例がライトオンだろう。3年~5年ごとに「SPA化推進」を掲げてみたり、「仕入れ品強化」を掲げてみたり、を繰り返している。
リーバイスやエドウインからの仕入れ品が何割かあって、残りをSPAで埋めるのが本来は理想的だといえる。

しかし、実際の業務ではそれを守り続けることが難しく、決算によって施策が揺れ動くことを繰り返している。

ジーンズメイト、マックハウスも同様でSPA化に乗り出してはいるもののそれほどそのバランスのとり方には苦心が見える。

一方、オサダを含めた地域有力チェーン店はSPA化にはあまり取り組んでこなかった。
取り組んでこなかったという側面と、店舗数の関係で取り組めなかったという側面の両方があると思う。

オサダと仲の良かった他地域のチェーン店も構成比で2割程度のSPA商品があったが、これも多少増えたり減ったりを繰り返しているが、数年前の状況でいえば、オサダはほとんど自社製品がなかった。
売れ残るリスクを考えるとそれはそれで間違いではないが、品ぞろえの独自性ということから考えると、オサダにそろっている物はすべて他店でも買えるということになってしまう。
そうすると、品ぞろえという観点では競争力が低下する。

また、彼らが主力としてきた「ジーンズ」という商品がそこまで大量に求められているのかという疑問もある。

バッタ屋の店頭で立っていると「デニム生地のズボン」を求める割合は、明らかに50代以上の年配層が多い。
20代、30代はそこまで「デニム生地のズボン」を求める人はいない。

もちろん、身の周り検査だけのことだが、実際にメーカーに尋ねても40代半ば以上の男女の方がジーンズを求める声が大きいという答えが返ってくる。

ジーンズは決してなくならないが、それを主力にするということは、「年配向けの店」ということに自動的になってしまっている。
年配向けの店ならそれに徹した品ぞろえ、販促をすべきだが、チェーン店の多くはいまだに若者向けを目指しており、現状の品ぞろえとの乖離が激しい。ここにもライトオン、マックハウス、ジーンズメイトを含めた全ジーンズチェーン店の苦戦の原因があるのではないか。

スポンサーのサポートで再建を目指すオサダだが、従来型のジーンズチェーン店を志向するのであれば、業績が上向くことは考えにくい。早晩、二度目の経営破綻に陥るだろう。

現在の市場で求められているカジュアルはどういうものかを固定概念を捨てて考えてみる必要がある。
これはオサダに限らず、ライトオン、マックハウス、ジーンズメイトも含めた全ジーンズチェーン店が真剣に向き合うべき課題である。

NOTEの有料記事を更新~♪
ジーンズの洗い加工はレーザー光線で行う時代
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/na09a16d24294

あと、インスタグラムもやってま~す♪
https://www.instagram.com/minamimitsuhiro

昨年9月下旬にブログの仕様を変えて、更新通知が届かなくなった方がおられると思いますので、お手数ですが、新たにRSS登録をお願いします

ほんまか?

Eコマースはアパレルブランドの起死回生の切り札ではない

製造加工業者にかかわらず、小規模個店などでもいまだに「インターネット通販への過剰信仰」が見られる。

先日、アパレルメーカーの社長と雑談したところ、取引のある縫製工場の社長が「インターネット通販を開始すればすぐさま売れると勘違いして困っている」という話があった。
最近は、工場がブランドを立ち上げることも流行しているが、実店舗・ネットを問わず売れるブランドは一握りで、その他大勢のブランドは知ってもらうことさえできずにいるのが現状である。

また、最近では新しい販路としてクラウドファンディングが注目されている。
オールユアーズのようなクラウドファンディング強者も現れ、付き合いのあるナインオクロックも連戦連勝ではないが、クラウドファンディングには比較的強い方だといえる。

こういう動きを見て、無責任に「クラウドファンディングしたらええねん」と勧めるコンサル?みたいな人も多くいる。

しかし、冷静になってマクアケでもキャンプファイヤーでも覗いてみればいい。
衣料品類、繊維製品のクラウドファンディングは山のように掲載されているが、達成しているブランドの方が数少ない。
その多くは未達で終わっている。

ネットでの情報発信をしていないブランドがいきなりクラウドファンディングしても成功率は低い。
ネット通販とて同じである。
集客できなければ、1円も売れない。

アパレル業界・繊維業界は本当にこういう「売れるツールに乗っかる」ことが大好きである。
それで今まで売れてきたから仕方がない。

高度経済成長期からバブル期にかけては百貨店に出店していればそれなりに売れた。
DCブームのころはそれに乗っかって類似ブランドを立ち上げればそのおこぼれに預かれた。

90年代後半からは郊外型ショッピングセンターに乗っかって出店していればそれなりに売れた。

メディア戦略なんてまるで理解していなくてもファッション雑誌の言うことに乗っかって広告とタイアップ記事を掲載していればそれなりに反応はあった。

しかし、ネット通販もクラウドファンディングもそうではない。
単にサイトを構築・公開しただけでは集客はできないし、物は売れない。支持もされない。
そこを理解していない人は業界には多いし、それを煽る無責任なコンサルタントやウェブ業者も数多くいる。
また、知識がないくせにそれを煽る無責任な同業他社も多い。

ネット通販を救世主かのように持ち上げるコンサルタントやメディア関係者も多いが、実際のところ集客するのに一苦労だし、集客できたところで売上高を拡大するためには、値引き販売が常態化しているのが現実である。

このところ仲良くしていただいているコンサルタントの河合拓さんがこんなブログを上げておられる。

https://ameblo.jp/takukawai/entry-12380916640.html

日経新聞の「アマゾンの風圧、日本株にも 百貨店2~4割安」という記事を受けてのことだが、Amazonだけでなく、ZOZOTOWNだってYahoo!ショッピングだって楽天だって有名な通販サイトはすべからく安売りで集客しているのである。

自身の著書である「ブランドで競争する技術」(ダイヤモンド社)から引用して

第七章 コンサルタントに踊らされた人々

 「私自身が実際に経験した話を紹介しよう。(中略)そこで、幾人かのeコマースの「コンサルタント」と会い、彼らの提案をきいた。彼らの提案の中で私が最も驚いたのは、「eコマース」と「リアル店舗」は食い合いをしない、という話だった。(中略)彼らは、一つのデータを提示し、eコマースに参入しても、リアル店舗の売り上げは落ちない、ということをあらゆる角度から説明し始める。そこで、彼らは「一刻も早くサイトを立ち上げなさいと経営者を焚きつける」

とある。
別に今となってはコンサルだけではなく、無責任な同業他社も数多い。
そして、以下が引用のキモだと思う。


「しかし、よく考えてみれば、日本でビジネスをしている以上、まったく新しい消費者が増えるようなことはなく、消費全体のの数はむしろ減っており、一人あたりの支出も減っている。新しい消費が増えるなどということはない(中略)それでは、食い合わない理由はどこにあるのか。それは、日本のブランドの二つの特徴が関係している。一つは、日本のブランドの多くは、ブランドとして確立していないため、特定の顧客を囲い込むほどのパワーをもっておらず、多くのファッション・ブランドは消費者からみればコモディティ化していること。もう一つは旧態化したチャネルから新しいチャネルに消費者が購買を移行しているということだ。(中略)したがって、勝っているブランドは食い合いを逃れ、逆に負けているブランドから消費を奪う。(中略)こうした構造を分析もせず、「リアル店舗に影響をあたえませんから」といって、負けているブランドの起死回生の一発として、eコマースを耳元でささやくコンサルの提案がいかに危険かおわかりだろうか」

とある。

要するに、日本のブランドの多く(百貨店とかファッションビルに出店しているブランド全部)は「ブランド」として強固ではないから、コモディティ化しやすい。その結果、低価格ブランドと比較されて購買されない。

また、これらのブランドの多くが「ネット通販はまったく新しい消費者を連れてくる」と勘違いしているが、実際のところは消費者の数は変わらないからこれまで店舗で買っていた人や他社のブランドを買っていた人がネットにやってくるだけである。
アパレル小売の市場規模は変わらず、どこで買うかという買い先が変化しているだけに過ぎないということである。

ネット通販はリアル店舗に確実に影響を与える。
同じ物がネットで安く売られていれば誰だってネットで買う。
ZOZOTOWNで割引クーポンが配布されていれば誰だってそれを使って安く買う。
だからZOZOTOWNに出店しているブランドの客単価は前年比20%減で落ち続けているのである。

これらのことを理解した上で、ネット通販に乗り出すならそれはそれで構わないが、これを理解せずに「地上の楽園」を夢見てネット通販に参入するのは完全なる愚か者である。

河合さんのブログには「この本の内容は古いと批判されることもある」と書かれているが、これは具体的な手段を論じているのではなく、ネット通販の根本的な構造を論じているわけだから古いも新しいもない。根本的な構造を理解せずに表層の上下動だけで判断を下す輩がいかにアパレル業界・繊維業界に多いかということの証明である。

NOTEの有料記事を更新~♪
ジーンズの洗い加工はレーザー光線で行う時代
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/na09a16d24294

あと、インスタグラムもやってま~す♪
https://www.instagram.com/minamimitsuhiro

昨年9月下旬にブログの仕様を変えて、更新通知が届かなくなった方がおられると思いますので、お手数ですが、新たにRSS登録をお願いします

引用された河合さんの著書はこれね。

団塊世代が定年退職を迎えて10年が過ぎるのに、今頃危機感をにじませているスーツ大手4社幹部の甘さ

5月27日までジーユーの安売りがあった。

そこで、奮発してスーパーストレッチドライスーツのオリーブグリーンを買った。
定価4990円のジャケットが3490円に、定価2490円のパンツが1990円に値下がりしたからだ。
総額で1500円値引きされたことになる。
さらに100円割引クーポンを使って、消費税込み5810円だった。5000円以上は送料無料なのでオンラインで買って自宅に送付してもらった。

この同じ商品でベージュを4月にも購入している。

残るはネイビーだけだが、3490円+1990円になったら来月以降に買おうと思っているが、同様の商品がドゥクラッセのECでも販売されており、こちらは定価14900円が9490円(税抜き)に値下げされている。
色バリエーションもジーユーとまったく同じで、ベージュ、オリーブ、ネイビーの3色だから、この3色は今年夏の注目カラーなのだろうと思う。ただし、こちらのベージュはもっと白っぽい。黄色味が強いジーユーのベージュとは異なる。

ジーユーの価格の2倍するが、最後のネイビーをジーユーにするか、奮発してドゥクラッセにするか目下悩んでいるところである。
悩みは根深い。ネブカドネザル。

のっけからカジュアルスーツの個人的注目商品を書いてみたのは、カッチリとしたお堅い職業以外、ジーユーやドゥクラッセのようなカジュアルスーツで十分というご時世になっている。
これらのスーツ類は定価でも7000~15000円くらいで、通常のウール生地・ウール混生地のビジネススーツの半額くらいの値段で買えてしまう。

しかもカジュアルシーンにも着用できて一挙両得であるから、よほどの制約がない限り、誰だってこの手のカジュアルスーツを買う。

これで影響を受けるのは、当然、従来型スーツを販売する低価格店ということになる。

スーツ販売が低迷、紳士服大手が抱える苦悩
大手4社の既存店は前年割れ、ユニクロも攻勢
https://toyokeizai.net/articles/-/222667

正直なところ2018年の今頃に何の寝言を言っているのかと思う。

従来型ビジネススーツが苦境に陥るのは、団塊世代の定年退職が始まる2007年にはすでに予見されていた。
60歳でそのまま定年リタイアできる人・したい人というのはどちらかというと少数派だからそこから定年延長されて10年が経過している。
当時60歳手前だった人は70歳手前になっているし、60代前半だった人は70代前半になっている。

当方の父親も今年74歳になるが、往年の酒の飲みすぎがたたったのかめっきりと老け込んでいる。
若々しい人も見かけるが、70歳前後になっては通常の会社勤務をすることは体力的に難しいと感じるから、団塊世代はほぼリタイアしきってしまったといえる。

スーツの需要が人口的に最大だった団塊世代が70歳リタイアしてしまうと、スーツの需要は嫌でも激減する。
仕事でもないのに、青山・アオキ・はるやま・コナカのスーツを着たいなんて人はほとんどいないからだ。

これを見越してスーツ大手4社(青山、アオキ、はるやま、コナカ)は女性スーツやメンズカジュアルをこの10年間で強化してきたはずだった。

にもかかわらず、直近の決算は悪い。
施策の方向性は間違っていないが、その効果は出ていないといえる。
一つには、これら4社のブランドステイタスが低いから「必要に迫られて買うスーツ」以外の需要は取り込めていないと考えられる。
カジュアル衣料というのは嗜好品の面が強いから、わざわざ「青山・アオキ・はるやま・コナカでカジュアルを買いたい」と考える男性はほとんどいない。まったくいないと言っても過言ではないだろう。

紳士服メーカー大手の青山商事、AOKIホールディングス、コナカ、はるやまホールディングスが発表した4月の既存店売上高は、4社とも前年同月比で2~4ポイント下回った。2017年度(コナカのみ2017年9月期、ほか3社は2018年3月期)決算は、青山とAOKIがわずかに営業増益だったが、年間累計での既存店売上高は4社そろって前年割れとなっている。

そして

各社は20代の就活生や新卒社員、50代以上の固定客の需要を取り込む一方、苦戦するのが30~40代への訴求だ。カジュアル化の波に加え、低価格志向やネット通販の広まりも、30~40代の顧客の囲い込みを難しくしている。

とのことだが、カジュアル化が進めば進むほどネームバリューやブランドステイタスのない4社が選ばれる可能性は低くなる。
「リーバイスが欲しい」と思う30代・40代男性はいるが、わざわざ「青山・アオキが欲しい」と思う30代・40代男性はまずいないからだ。

にもかかわらず

紳士服大手の幹部は「危機感が足りなかった。スーツ市場のパイが広がらない今、現状維持が精いっぱいだ」と率直に認める。

というのだから、よほどこれらの企業の幹部の頭の中身はよほど花畑だったのだろうと思う。すでに10年以上前の2007年に団塊世代の定年によるスーツ需要の激減が指摘されていたにもかかわらずだ。惰眠を貪るというのはこういう幹部のことを言うのである。

業界には根拠のないネット通販救世主論がまかり通っているが、従来型ビジネススーツはネット通販で買うのはなかなか難しい側面がある。
カジュアル服とは異なり、サイズがピッタリであることが求められるからだ。
どこぞのキャッチフレーズの「ミリ単位の精度」とやらがもっとも求められるのはメンズビジネスウェア(スーツとシャツ)である。生地自体が何センチも伸びるTシャツやセーターにミリ単位の精度なんてのは必要ないし掲げているだけ滑稽である。

アパレル市場のネット通販比率が約1割に達する一方、紳士服大手のネット販売比率は1~2%程度にとどまる。

とあるが、ジャストサイズのビジネススーツやビジネスシャツを買うなら試着や採寸ができないネット通販は不向きである。
実は、Amazonにはるやまが出品している。これがタイムセールでときどき激安になることがある。
スーツは9000円くらいにまで値下がりする。
今年の正月、9000円に値下がりしたはるやまのスーツをAmazonで見かけて購入してみた。

サイズ表に沿って自分のサイズを選んで、それが送られてきたのだが、試着してみるとズボンはピッタリなのにジャケットは肩幅がパンパンにキツくて腕が上がらない。これでは電車で吊り革もつかめない。
幸い「返品無料」だったので返品して事なきを得たが、カッチリとしたスーツをサイズ表だけを頼りに買うのは危険だと痛感した。
だからよほどの仕掛けがないことにはネット通販でカッチリとしたビジネススーツの売り上げ枚数が増えることはないだろう。

この記事はユニクロの脅威を説いているが、ユニクロよりもジーユーやドゥクラッセの方が実は脅威だと見ている。

いずれにせよ、青山・アオキ・はるやま・コナカのスーツ大手4社は今のままではさらに業績が低下し続ける。
ネット通販も不向きだし、ユニクロやジーユーが競合になっており、これらを打破する取り組みが求められているのだが、10年間も惰眠を貪ってきた4社の幹部が急速に目覚めるとは思えない。安定的需要を取り込むことは重要だが、それに胡坐をかき続けるとこうなるという見本ではないか。

NOTEの有料記事を更新~♪
原料と直結した数少ないアパレル製品の一つがジーンズ ~エドウインはどうなる?~
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n96317a6e146f

あと、インスタグラムもやってま~す♪
https://www.instagram.com/minamimitsuhiro

昨年9月下旬にブログの仕様を変えて、更新通知が届かなくなった方がおられると思いますので、お手数ですが、新たにRSS登録をお願いします

こちらがAmazonで売っているはるやまの激安スーツ。現在8200円くらいでジーユー並み。(笑)

卸売りブランドが陥りやすい魔のスパイラル

先日、「〇〇ブランド(仮名)って最近名前を聞かないね」という話題になったところ、相当に経営難に陥っているそうだ。

いわゆるカジュアルブランドなのだが、そういえばこの5年間くらい名前をほとんど聞かなくなった。
以前は、1店当たりへの納品枚数は少ないものの、多数の高感度専門店に卸売りしていた。

業界紙やファッション雑誌にもそれなりに掲載していたし、実は当方も18年ぐらい前には取材に伺ったこともある。

すごく画期的なことは何もなかったが、それでも上手くやれば個性派小規模ブランドとしての存立は可能だったとその時は思った。

では何が問題だったのだろうか。

商品企画やデザインもさることながら、営業の仕組みに問題があったようだ。
しかし、これはこのブランド特有の問題ではない。
卸売りブランドに共通する問題なので、いつ何時、あなた方の卸売りブランドも同じような機能不全に陥るかもしれないのである。

一般的に、ベンチャー的に立ち上げた卸売りブランドは、少人数で運営されている。
3~4人で経営者も営業マンとして各小売店と商談を行い、自社の商品が卸売りできるように交渉する。

拡販することが会社の成長に直接的につながるからだ。
その他の2~3人のメンバーも立場的には単なる従業員ではなく、役員だったり、経営者の同志だったりという状況だから、ほぼ経営者と同一の目線で拡販に努める。
そこには「ヤラされ感」とか「ノルマに追われる感」はあまりない。

良い意味で士気が高いという場合がほとんどだ。

そうこうしているうちに会社の業績が拡大してくる。
取引先も増え始めるとスタート時のメンバーだけでは人手が足りなくなる。

そこで営業担当者を求人募集する。

何人かが採用されて戦列に加わるが、これは第1次メンバーとは異なり、純粋なる従業員となる。
士気が高くないとは言わないが、立ち上げメンバーに比べると幾分かは従業員気質が強い。
これは仕方がない。
当方だって同じ立場なら、立ち上げメンバーほどにはその会社に入れ込まない。

世界の経済は資本主義だから、日本も同様で、会社は利益追求と拡大再生産が求められる。

営業担当者としては前年実績を上回ることが求められ、やがてはノルマに追われることになる。
ノルマ追求が全くなければ逆にだれてしまうが、かといって過度にノルマ追求をしすぎると、社員の士気は下がる。

やがてノルマに追われる営業マンたちは、「卸売りできれば何でもいい」という境地にたどり着く。

アパレル業界の取り引き形態としては、

1、完全買い取り
2、委託販売という名の消化仕入れ

の2つが大きく分けてある。

卸売り先を増やそうと思うなら、完全買い取りよりも委託販売や消化仕入れの方が手っ取り早い。

なぜなら、完全買い取りだとその商品を店側が買い取らねばならない。
売れ残ってもそれは店の自己責任だ。
だから店側としてはリスクが高い。

一方、委託販売や消化仕入れは、売れた分の料金だけをメーカー側に支払って、残った商品はメーカーに返品できる。
従って店側が負うリスクは低くなる。

だから、ノルマに追われる営業マンは委託や消化仕入れで卸売り先の軒数を増やす。

これによって見かけの取引高は大幅に増える。
しかし、ここに落とし穴がある。

現場の営業マンからすれば経営者や幹部ではないので、自分に与えられたノルマがクリアできれば良いと考える。
期初に店に大量納品すればノルマがクリアできる。
期末に大量返品があろうが、消化分の代金が少々回収できなかろうが、そんなことは知ったことではない。
ノルマをクリアできなければ経営者や幹部からドヤされる。

かくして、期末の大量返品や代金の未回収が増えた結果、卸売りメーカーは経営の危機に瀕するのである。

そして、この噂に上らなくなったカジュアルブランドも同様の経緯で経営難に喘いでいるといわれる。

これは何もこのブランドに限ったことではない。
卸売り主体のブランドならどこにでも起こり得ることである。

そして過去にもこれが原因で経営難に陥ったり、経営破綻したブランドは掃いて捨てるほどある。

いわゆる大手ジーンズメーカーもその中に入る。
大手ジーンズメーカーはライトオンだとかマックハウスだとかの大型チェーン店に大量納品していた。
定番品を除いて、シーズン商品はシーズンごとにメーカーが入れ替えていた。
夏なら麻混や吸水速乾パンツ、冬ならコーデュロイや保温パンツである。

当然、完売する商品もあれば売れ残る商品もある。

売れ残った商品はジーンズメーカーが引き取り、代わりに次シーズンの商品を納品する。

売れ残ったコーデュロイパンツを引き取って、代わりに麻混パンツを納品するという仕組みだ。
これがなぜ可能なのかというと、完全買い取りではなく、委託販売という契約だからだ。

このため、各ジーンズメーカーは期初に大量に売り上げが作れるものの、期末には大量の返品に苦しめられることになる。

2005年以降にジーンズメーカー各社が苦戦に転じたのはこの手法が限界に来ていたという理由もある。
返品された在庫が蓄積しすぎて減損処理を行うととてつもない損失を計上することとなり、経営と資金繰りを圧迫する。

各メーカーはアウトレットストアを林立させることで乗り切ろうとしたが、それにも限界があり、逆に最近ではジーンズメーカーのアウトレットストアは以前ほどには見かけなくなってしまっている。

これを回避するには、経営陣と幹部のきめ細かで緻密な管理が必要となる上に、アメとムチのバランスが重要となる。
アメだけだと従業員は舐めてしまうし、ムチばかりだと萎縮してしまう。
なかなかに難しい。

ジーンズメーカーや、先のカジュアルブランドに限らず、同じ窮地に陥っている卸売りブランドは珍しくない。
事業主もこうした危険性を理解しているとはいえ、この魔のスパイラルを克服できるブランドがほとんどないのも実情である。

NOTEの有料記事を更新~♪
原料と直結した数少ないアパレル製品の一つがジーンズ ~エドウインはどうなる?~
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n96317a6e146f

あと、インスタグラムもやってま~す♪
https://www.instagram.com/minamimitsuhiro

昨年9月下旬にブログの仕様を変えて、更新通知が届かなくなった方がおられると思いますので、お手数ですが、新たにRSS登録をお願いします

アパレル業界の三大あるある ~連戦連敗しながら企業を渡り歩く猛者とそれを迎え入れる経営者~

繊維・アパレル業界の三大あるある。

1、大手企業に所属していた元役員や元事業部長が独立後連戦連敗にもかかわらず口先三寸だけで企業を渡り歩く
2、その「連戦連敗君」を碌に吟味せず異様な高給で迎え入れる経営者(普段は1万円の支払いでもケチるくせに)
3、代替わりした経営者が各不採算部門と一緒に「連戦連敗君」もばっさり切り捨てる

こんな構図は当方が業界に入ってから嫌というほど見てきた。

ファーストリテイリングの柳井正会長の著書タイトルにもあるように、物事はすべからく「1勝9敗」的な要素があるから、負け数が先行していても一概に無能者とは言えないが、0勝6敗だとさすがに無能なのではないかと思うが、それでもそういう「連戦連敗君」には絶えず仕事依頼があるという不思議さである。

とはいえ、柳井氏の1勝は1兆8000億円だからそこらあたりの1勝とはケタが3つくらい違う。

先日、久しぶりの知人から連絡がきた。

いろいろとボカしながら書く。

知人が所属していた問屋兼OEM屋みたいな会社が代替わりをしていろいろと不採算部門を新社長が切り捨てたらしい。

その会社が3~4年くらい前に、新規事業の一つとしてアパレルブランドを立ち上げた。
そのブランドには別の知人も加わっていたため、当方には定期的に展示会の案内が来ていた。

ところが、最近、展示会案内が来なくなった。
当方は別に今は繊維業界紙の記者ではないし、お邪魔したところで必ずどこかの媒体に記事を書けるわけでもない。
だから、呼ばれなくなっても当然なので、まあそんなものなのかなあと思っていた。

理由は新社長に不採算部門として切り捨てられたということになる。

なんだか気の毒だなあと思っていたところ、また別の知人からも連絡が来て、その話になった。

新規ブランドの立ち上げなんて、今時厳しいに決まっている。
そこれそホリエモンだとかそれくらいの有名人でない限り、なかなか売れない。
だから、その新規ブランドの担当者たちも苦戦していた。
あまりに給料が低すぎるとやる気はなくなるが、軌道に乗っていないブランドの担当者に高給を支払うのは難しい。

実際のところ、その新規ブランドの責任者は、某大手アパレルに所属していたことがあり、その経歴と巧みな弁舌を持って、相当に高給を得ていたそうである。

なんだ、どっちもどっちじゃないか。(笑)

これはたまたま身の周りで起きた案件だが、こんなことは珍しくない。

かつて大手アパレル〇〇にいたと鳴り物入りした人物が赤字を垂れ流したり、不可解な指示を繰り返して経営危機に陥れたりということは日常茶飯事である。

負債総額60億円強で経営破綻したオルケスもそういう企業の一つだった。

今では美化されている某カリスマが、1年間の勤務で、8年間分の在庫を作って去っていたなんていう企業もある。

一方で、オルケスの前身であるアパレル企業を黒字化させ、その後、メガネスーパーを黒字化させて2連勝中の星崎社長の手腕はすごいと言わざるを得ない。

一概に経歴と口先三寸だけでは判断できないが、その中にはたまに本物も混じっているから人物登用は難しい。

実務者ではなくて、この手の「連戦連敗君」がコンサルタントに転じる場合もある。
もちろんコンサルタントになっても連戦連敗は続く。
にもかかわらず、お仲間でコンサルティングチームを作って仕事を回し合いしているから、意外に仕事は途切れない。
おまけにその料金は高額だが、経営者は意外にあっさりと引っかかってしまう。
連戦連敗君たちは処世術だけには長けているので互助会システムを構築しているのである。

この才能がどうして実務に生かされないのか不思議でならない。

国内のアパレル業界はだいたいこんな感じで回っている。
海外の業界については知識がないが、もしかしたら他国のアパレル・ファッション業界も似たような構図なのかもしれない。

それにしても「実務者」として登用する場合は、所属する企業の風土や人間関係も影響するから成功できなくても仕方がない。
ところがコンサルタントだと、実際に社内に入って実務を担当するのではないから、その提唱している理論や理屈が事業の成否を大きく左右する。
提唱する理論が間違っていれば、それはほぼどの企業、どのブランドで試してみても失敗に終わる。

こちらの方が、「実務者」としての登用よりも正解か不正解かはわかりやすい。

例えば、当方は「52週MD」「クイックレスポンス対応」「タコヤキMD」「プロパー消化率」などの理論を一切修正することなく、そのまま提唱しているコンサルタントはあまり信用しない。
なぜなら、それを全面的に実行してかつて隆盛を築いたワールドがその後どれほどの経営危機に見舞われたかを知っているからだ。

その理論には正しい部分もあったが、すべて正しいわけではなかったし、2008年以降の時代の風潮にも適合できていない部分があった。
だからワールドは経営危機に見舞われたといえる。

だから、その理論は時代に応じて少しずつ修正されてしかるべきであるのに、まったく修正せずに提唱している人もいる。
そういう人の理論を登用すれば失敗するのは目に見えている。ワールドに限らずそういう人の理論を登用して失敗に終わったブランドは枚挙にいとまがない。あのブランドとか、あのブランドとか。

まあ、そんなわけで、今日もアパレル業界は平常運転を続けているのである。(笑)

NOTEの有料記事を更新~♪
原料と直結した数少ないアパレル製品の一つがジーンズ ~エドウインはどうなる?~
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n96317a6e146f

あと、インスタグラムもやってま~す♪
https://www.instagram.com/minamimitsuhiro

昨年9月下旬にブログの仕様を変えて、更新通知が届かなくなった方がおられると思いますので、お手数ですが、新たにRSS登録をお願いします

この本読んでみようかな。52週MDで営業力強化だけでなく組織風土まで改革できるとは。(笑)

ユニクロ心斎橋店に自動レジが導入されたので試してみた

今年の春からユニクロ心斎橋店にクレジットカード専用の自動レジがついに設置された。つい最近のことだ。

先日、初めてこれを試してみた。

同じ会社でありながらジーユーの自動レジとはシステムが異なる。
ジーユーの自動レジは、レジに設置してあるボックスの中に商品を放り込んで、蓋を閉めれば数秒で値段が表示されるという仕組みだが、ユニクロのは商品の下げ札に書いてあるバーコードをスキャンして読み取らせるという仕組みだ。

この点はスーパーのセルフレジに近い。

値段が表示されたらクレジットカードをスラッシュして決済を終える。

これで終了だ。

このときは、期間限定値引きされたスリムストレッチチノパンを買っていて、裾上げがあるので預けて帰ったため、袋に入れるのはどうするのかは体験できなかった。

ジーユーの場合は自分で備え付けのビニール袋に放り込む。
丁寧に畳みたい人は畳めばいいし、丁寧に畳んでなくても気にならない人はそのように放り込めばいい。

当方が買ったのはユニクロ心斎橋店の3階だが、今までレジが6~7台くらい並んでいたが、そのうちの半分がカード専用セルフレジに代わった。台数は3~4台ほどだ。

それにしても同じ会社でありながらどうしてジーユーとは異なるレジ台にしたのだろうか。
ジーユーと同じレジにすれば調達コストは削減できたはずだ。

ユニクロも自動レジ化を見越して、昨年か一昨年あたりから下げ札にあICタグが付けられている。
準備は万端のはずなのに、仕組みの異なる自動レジ機を備え付ける意図がまるで理解できない。
今回はクレジットカード専用機だが、日本人は現金取引が好きだから、ジーユーみたいにカードと現金どちらも対応できる機械が本来は好ましい。

外国人観光客が多い心斎橋店だから、キャッシュレスに慣れているという判断から、クレジットカード専用機にしたのだろうか?

このあたりはまったく謎である。

もしかしたらさらに何かの仕掛けを考えており、そのための布石なのだろうか。

ところで、ジーユーのようにすべて自動レジにせよとは言わないが、ユニクロも自動レジ化を大いに進めるべきだと思う。
今回の自動レジ設置がはじめの一歩なのだろうと思うが、例えば、当方が頻繁に利用するユニクロあべのキューズモール店だとレジ台だけで20台前後はある。

閑散期はそのうちの半分~4分の1程度の稼働だから、レジに入っている人間は5~6人ということになるが、繁忙期だとレジ台はすべて稼働しているから少なくともレジ要員だけで20人くらいは必要になる。

ジーユーよりも客数が多いユニクロだからこそ、自動レジ化は大いに進めるべきだろう。
少なくともレジ要員は半分に減らせる。

しかし、その逆もあり、老人客が少ないジーユーだからすべて自動レジ化できたが、老人客も多いユニクロは大々的な自動レジ化は難しいだろう。
本来、機械の操作なんて慣れでしかないから、若かろうが最初は戸惑う。
若くても物覚えの悪い人もいるから、そういう人は1回や2回では操作が覚えられない。
それを我慢して使っていくうちに慣れて使えるようになる。

老人には機械操作に対して抵抗感のある人が多いように感じるが、それは思い過ごしである場合が多く、実際は慣れが足りないのではないかと思う。
とはいえ、ユニクロがジーユーのように全面自動レジ化すれば老人客からの不満は多くなるだろうと予測する。

業界の大御所と呼ばれる年配者でも頑なに自動レジに抵抗感を示す人がいるくらいだから、業界外の老人客ならさらに激烈な抵抗を示すだろうことは容易に想像できる。

今でこそ、JR、地下鉄、私鉄すべてで自動改札機は当たり前になったが、30年ほど前まではほとんどの鉄道は自動改札機がなかった。
駅員が切符にハサミを入れていたのである。

自動改札機がいち早く登場したのは大阪で、地下鉄は30年以上前から自動改札化されていた。
大阪の地下鉄にJR西日本や他府県のJR、地下鉄、私鉄が追随したのが実態であり、東京もその一つである。

東京の各鉄道が全面的に自動改札化した際、ちょうど30年くらい前のことだが、そのとき、一部の全国紙では「人の暖かみが失われる」なんて論評記事を掲載しており、当時高校生だった当方はその記事を読んで「この記事を書いたオッサンらはアホじゃないのか」と思った。
切符にハサミを入れてもらう行為にどれほどの暖かみがあるというのだろうか。

当時、電車で高校通学をしていた当方は改札で温かみを感じたことなど一度もなかった。

少し脱線するが、居酒屋やファミリーレストランなどで、席に備え付けられたタブレット端末で注文する店が増えた。
当方はこれがすごく便利で使いやすい。

ホールスタッフを一々呼んで注文を聞いてもらう方式だと、店が混雑するとなかなかスタッフに来てもらえない。
もしくは店内の騒音でこちらが呼んでいる声が通りにくい。

はっきり言ってストレスしか感じない。
また注文の聞き取りを間違えることも珍しくない。

これもストレスでしかない。
タブレット端末での注文ならそれは一切ない。
多くのストレスから解放される。

今でもときどき、タブレット端末のない店に必要に迫られて入ることがあるが、タブレット端末注文に慣れている身にはイラっとさせられっぱなしだ。

このタブレット端末や、海外のマクドナルドに導入された自動食券機についても否定的な意見があると聞くが、一体何に不満を感じているのかさっぱりわからない。

自動レジに頑なに抵抗する人は、30年前の自動改札機反対派や現在のタブレット端末注文反対派と同じくらい当方にとっては理解不能な存在である。

『人が人に服を売る暖かみ』を感じさせる

なんて文言を目にしたことがあるが、レジを販売員が打ってくれることにそんなに「暖かみ」とやらがあるのだろうか?当方は48歳になった今まで感じたことなどまるでないが。

何事をするにしても反対派というのは確実に存在する。全員が納得して賛成できることなんて世界にはほとんどない。
ピントのズレた反対派の意見に過剰に振り回されることなく、粛々とユニクロもその他洋服店も自動レジの導入を進めてもらいたいと思うし、日本のマクドナルドも自動食券機を全面的に導入すべきだと思う。

NOTEの有料記事を更新~♪
原料と直結した数少ないアパレル製品の一つがジーンズ ~エドウインはどうなる?~
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n96317a6e146f

あと、インスタグラムもやってま~す♪
https://www.instagram.com/minamimitsuhiro

昨年9月下旬にブログの仕様を変えて、更新通知が届かなくなった方がおられると思いますので、お手数ですが、新たにRSS登録をお願いします

工場と直接やるなら毎月確実に発注する必要がある ~商社やOEM/ODM会社が必要とされる理由~

ブランドでもセレクトショップ、百貨店でも同じだが、縫製工場を直接使っての物作りは非常に難しい。
非常に難しいから商社やOEM/ODM会社が仲立ちしている。

近年は、商社やOEM/ODM会社悪玉論が盛んだが、一部のブランドやセレクトショップを除いては、縫製工場と直接やり取りすると失敗する場合がほとんどである。
だから、商社やOEM会社に頼らざるを得ない。

国内だろうが海外だろうが、縫製工場というのは、家族操業でない限りは、コンスタントに仕事がなければ運営が立ちいかなくなる。
父母と息子2人くらいの家族操業なら、どこぞの産地の工場のように

「今月は仕事がないから工場を休んで農作業でもしよう」

というふうにできる。

しかし、パートやアルバイトも含めた従業員がいるなら、そんなわけにはいかない。

パート、アルバイト、社員に

「今月は仕事がないからお休み」

なんていうわけにはいかない。

毎月、最低限の仕事を割り振る必要がある。

これは、ショップ店員の立場に置き換えて考えれば、工場のことがわからない人でも理解できるだろう。

店長やオーナーからいきなり

「今月は売上高が見込めないから店を休む。だから君も今月は全部休み。代わりに給料は払わない」

と言われたらどうだろうか?
従業員の立場なら、よほど貯金を持っている人以外は困ってしまうだろう。
工員とてそれは同じである。

だから、縫製工場は毎月最小限度の仕事がなくては立ちいかなくなってしまうのである。
縫製工場に限らず、生地工場、染色加工場、整理加工場すべて同じだ。

ところが、ブランドやセレクトショップ、百貨店は毎月工場に発注することは難しい。
例えていうなら、3月投入向けの商品は必要だが、6月投入用の商品は要らない、という感じである。
店頭投入商品が必要な月と不要な月がある。

当然、縫製工場へ発注する月と発注しない月が出てしまう。
工場はそれでは困る。

毎月、例えば100枚ずつでもオーダーしてもらう必要がある。

1月は1000枚の発注があったが、4月はゼロなんてことでは工場経営は成り立たない。
しかし、各ブランドや各セレクトショップ単体ではこういうバラつきは確実にある。

じゃあどうすれば良いのかということになるが、ここで商社やOEM/ODM会社の存在が浮かび上がってくる。

これらの企業は、よほどの大型ブランドでない限りは、単体のお抱えということはない。
これら企業も毎月業務を回さねばならないから、どこかのブランド単体とかセレクトショップ単体のみの生産を受注しているわけではない。
複数のブランドの生産を受注することで自社の業務を回している。

そして抱えるブランドが多ければ多いほど、ブランドごとに生産時期のバラつきがあるから、縫製工場に毎月最低水準の受注を回すことが可能になる。

1月はAブランドの生産
2月はBブランドの生産
3月、4月はAブランドとBブランド
5月はCブランドの少量生産

という具合にである。

そして工場側は、AブランドやBブランドに対してではなく、毎月仕事を落としてくれる商社やOEM/ODM会社に恩義を感じて多少の無理を聞くのである。(多少どころではない無理を押し付けられることもあるが)

このことを理解しないブランドやセレクトショップが「中抜き論」に踊らされて、直接縫製工場と取引しようとして失敗するのである。

欲しいときに欲しいだけの量を発注したい

ほぼSPA化したブランドや大手セレクトショップの本音はこれであるし、ワールドがかつて業界を風靡したクイックレスポンス(QR)対応もこれである。
しかし、そんな都合の良いことは世の中では通らない。

あんたらの都合だけで世界が回っているのではない。
世間でいくら著名なブランドだかファッソニスタだかインフルエンザインフルエンサーだか知らないが、都合の良いときだけ発注があるブランドよりも、少量でも毎月確実に仕事をくれる先を工場は大事にする。

それが名の知れないブランドや弱小ブランドでもだ。
それが工場の心意気ともいえる。

毎月、確実に仕事を出せないなら縫製工場と直接やることなんて考えずに、これまで通りに商社やOEM/ODM会社を通す方が工場サイドにとっても迷惑にならない。

何円かの手数料惜しさに軽薄な「中抜き論」を振りかざすべきではない。
ここが理解できずに生産に失敗するブランドやセレクトショップが多くある。

ここまで書くと、縫製工場側が単なる弱者、被害者だと思われるかもしれないが、縫製工場は純粋な弱者、被害者ではない。
もちろん、工場全部がそうだとは言わないが、商道徳にもとる工場もある。
それは国内工場も同じである。

毎月少量でも発注していたOEM会社を裏切って、目先の3000枚の飛び込みオーダーに飛びつく国内縫製工場だって珍しくない。
お得意様のOEM会社の発注を後回しにして納期遅れを起こさせてしまう。
OEM会社は当然、その次からその工場はあまり使わなくなる。
目先の3000枚のオーダーを納品してしまえば、翌々月からの仕事に工場が困ってしまうというわけだが、そんなものは自業自得でしかない。

この場合、目先の3000枚のオーダーの工賃が高ければまだ納得できる部分が無きにしも非ずだが、ブランドや大手セレクトショップが高い工賃なんて支払うはずもなく、「枚数が多いから(3000枚程度なのにwww)」という理由で通常よりも1枚当たりの工賃を安く叩いてくるのが常道である。

縫製工場にとっては、美味しいのは「数量」だけでしかない。

しかし、翌々月以降のこと、それまでの付き合いも考慮せず、それに飛びついてしまう縫製工場があるのも事実なのである。

単純な「中抜き論」提唱者も、ブランドやセレクトショップ側も、そして目先に飛びつく工場も、各段階がそれぞれ勘違いしているのがこの繊維・アパレル・ファッション業界といえる。
別に商社やOEM/ODM会社は「完全なる悪玉」などではない。必要性があったから生まれた機能である。
ここを正しく認識しないと、工場側はもとよりブランドやセレクトショップ側もいつまで経ってもまともな物作りなどできない。

NOTEの有料記事を更新~♪
原料と直結した数少ないアパレル製品の一つがジーンズ ~エドウインはどうなる?~
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n96317a6e146f

あと、インスタグラムもやってま~す♪
https://www.instagram.com/minamimitsuhiro

昨年9月下旬にブログの仕様を変えて、更新通知が届かなくなった方がおられると思いますので、お手数ですが、新たにRSS登録をお願いします

高価格で扱い難い商品はマスには売れない

ユーザーを増やしたい、マスに売りたいと考えるなら、

1、価格の安さ
2、扱いの楽さ

が重要になる。

価格の安さは言わずもがなだが、扱いの楽さとは、操作の楽さやメンテナンスの楽さと考えている。

扱いにくくて高額な物はマスには売りづらい。
これは何の商品でも同じだろう。

日本はiPhoneユーザーが異様に多い国として知られているが、iPhoneだって単なるブランドステイタスだけで多くのユーザーを作ったのではなかろう。
当方も6年前からiPhoneを使い始めたが、その理由は「安かったから」である。

auショップに行って、他のスマホとiPhoneを比べると当時の料金体系ではiPhoneの方が月額1000円くらい安かった。
当方は別に贔屓にしているスマホメーカーがあるわけではないから、安くて性能が良ければそれでいい。
1000円安くて性能が良かったからiPhoneにしただけのことである。

先日、こんな記事が掲載された。

やってみたら、案外いけた…「着物生活」貫く男性に学ぶ“ささいな勇気”「3回会えば『そういうもの』に」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180504-00000002-withnews-soci

和服で勤務する外資系IT企業の男性技術者の話である。
この記事の核となる部分は

田中さんが主に着用するのは木綿素材の着物です。かつての庶民の日常着。自宅で洗濯できます。

予算は1着あたり「仕立て代込みで3万円台」。半襟には、手芸店で気に入った数百円の布を使うこともあります。最近では、1万円台で購入した木綿の反物を妻が仕立てることも多いそうです。

だと思っている。

1着3万円くらいという安さで、洗濯可能な木綿素材という点である。
安くて扱いが楽だからこの人は毎日着物を着て過ごせる。
これが高くて、扱いにくい着物なら毎日着ては過ごせない。

和装業界の年間市場規模は3000億円内外を行ったり来たりしており、和装業界からは「売上高回復のためにはデイリーユーザーを増やそう」という声が聞こえてくる。

たしかにデイリーユーザーを増やせば、和装全体の売上高も増える可能性が高い。
買い替え需要だって増えるだろう。

しかし、現在の和装業界がスタンダードとしているような着物では到底デイリーユーザーを増やすことはできないと当方はその声を冷ややかに眺めている。

理由は、1・価格が高い 2・扱いが難しい である。

某若手経営者の会で出席者が言ったように「10万円くらいの着物は安物」というのが「価格が高い」ことを何よりも物語っている。
10万円の服なんて一般人からすると結構な高額品である。

デサントの水沢ダウンと同等クラスの価格帯で、衣服としては高い。
和装業界の人は、「生産背景や生産数量が異なるから高いのは当然」という説明をするが、それはそうだが、買う方からするとそれはそれ、これはこれでしかない。

今まで洋服を着ていた人が和服を買うのだから、洋服の価格感に引っ張られるのは極めて当然である。
洋服を着ていた人に和服を買わせたいのなら、そういう比較をされる。これは避けようがない。

この田中さんだって3万円くらいの着物だから毎日着ようという気になるのであって、和装業界がスタンダードとするような何十万円の着物なんてもったいなくて特別な日以外は着ようとは思わないだろう。

また、和装業界がスタンダードとする「正絹」という素材の扱いづらさもユーザーを増やすことの障害になっているといえる。

毎日着用するなら洗濯が必須となる。
綿素材で洗濯できるから毎日着用できる。

今なら合繊素材の着物もある。

洗濯しづらく保管しづらい「正絹」という素材にこだわるからユーザーを拡大できない。
そんなめんどくさい素材の服を毎日着ようとする人なんてほとんどいない。

価格の安さと扱いの楽さがない服を、「伝統」だとか「文化」だとか「ファッション性」だとかのキーワードだけで普及させることなんて不可能である。

そしてこれは洋服も同じだといえる。

洋服業界の人たちは低価格品の出現を嘆いているが、低価格品だと試してみやすいからマスに広がる。
ユニクロが国内売上高8000億円を突破したことがそれを証明している。
安ければなんでも良いというわけではないが、安さがなければマスには広がりにくい。

決して安くはないオンワード樫山の「組曲」「23区」あたりのブランドの売上高は大きいと言っても200億円台しかない。
単一ブランドで売上高1000億円を越えるのは絶対無理だろう。

高い服があっても何も悪いことではないが、高い服はマスには売りづらいということを認識して、ニッチ&マニア層を狙うことに専念すべきだと思う。
その心構えがなく、いまだに80年代のDCブランドブームのころを懐かしんでいるから、洋服業界はいつまで経っても浮上できないでいる。

高いブランドの服が定価や30%オフ程度で飛ぶように売れたDCブランドブームなんて、日本が今後どれほど好景気になったとしても二度と起きない。

和装業界もデイリーユーザーを増やしたければ、高くて扱いづらい着物を入門者に売ろうとすることをやめればいい。
入門者を増やしたいなら入門者にふさわしい商品を増やすことを考えてみてはどうか。

入門者に高額で扱いづらい商品を提案するから売れないし、入門者は増えないのである。

今回の記事の肝は、田中さんの姿勢云々ではなく、低価格で扱いやすい商品さえあれば、デイリーユーザーは作れるということを示している部分だと思うのだが。

NOTEの有料記事を更新~♪
原料と直結した数少ないアパレル製品の一つがジーンズ ~エドウインはどうなる?~
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n96317a6e146f

あと、インスタグラムもやってま~す♪
https://www.instagram.com/minamimitsuhiro

昨年9月下旬にブログの仕様を変えて、更新通知が届かなくなった方がおられると思いますので、お手数ですが、新たにRSS登録をお願いします

知られていないだけで、和装にもけっこう機能性商品があるね。こんなのをもっと大々的に打ち出せばいいのに。

1 / 6ページ

©Style Picks Co., Ltd.