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外資ファストファッションは国内低価格ブランドに負けた

2008年ごろに上陸し、猛威を振るった外資系グローバル低価格SPAの勢いが目に見えて衰えてきた。

H&Mの銀座店もついに閉店してしまった。H&M自体は日本撤退は考えられないものの、フォーエバー21は店舗数も20店舗を下回っているし、いつ日本から撤退してもおかしくはない。

遅れて上陸したオールドネイビーはわずか4年半で2017年1月に日本から撤退してしまった。
まあ、それだけ売れてなかったということである。

それについてポストセブンに原稿を書いた。

H&Mなど外資ファストファッションが苦戦に転じた3つの理由

https://www.news-postseven.com/archives/20180718_720418.html

多くの業界メディア人が論考を書いているが正直どれもしっくりこない。
もちろん自分の見方がすべて正しいとはいわない。

それでも例えば、

ギンザシックスで人の流れが変わったとか、洋服を長く使いたい人が増えた、とかそういう見方はちょっと的外れではないかと思う。

まずギンザシックスだが、たしかに前身の松坂屋銀座店よりは売上高が大幅に増えたが、しかし今後さらに伸びる気配はなく、600億円くらいで横ばいから微減になると見ている。

「600億円はすごい」という称賛が業界からはあふれたが、三越銀座店もそれくらい売っているから、銀座という立地ならそれくらい売れて当然なのではないかと思う。
逆に前身の松坂屋銀座店がたった100億円程度しか売れなかった方があの立地ではおかしい。

洋服を長く使いたいというのも疑問だ。
可処分所得の伸び悩みや減少で、短期間で買い替えたくないというニーズはあるとは思うが、「洋服を長く使いたい」が先に来るのではなく、「気に入った洋服があったら」長く使いたいのであって、順序が逆である。

「長く使いたい」が前提条件ではない。
気に入らない服ならすぐに捨てても良いというのが消費者である。
しかも、そのために「安い」ファストファッションを利用してきたのだから、まるっきり順序が逆だ。

当方が考える外資系グローバル低価格SPA(ファストファッションと略す)が日本国内で苦戦し始めた理由は次の3つだ。

(1)価格が安いだけで品質が劣っていた
(2)日本独自のトレンドに対応できなかった
(3)日本独自の低価格トレンドブランドが成長した

である。
1については、上陸当初からさんざん言われてきて、何を今更である。
まあ、一度か二度買ってみたが、品質が悪いのでリピーターにはならなかったということだろう。

ユニクロはおろかジーユーにも品質的に遠く及ばないブランドがほとんどで、価格帯はそのジーユーと変わらない。
だったらジーユーで買えば良いということになるのは当たり前だろう。

2は、業界では知られているが、例えば2015年のガウチョパンツブームは世界的トレンドなどではなく、日本国内の限定トレンドだった。
それに対応したジーユーは100万本を売ったが、グローバル企画である外資系ファストファッションはほとんど対応できなかった。

ローカルトレンドが存在する国は日本だけではなく、どの国でもローカルトレンドは存在する。
ユニクロだってイスラム教徒が多い中東向けにはローカルトレンドに対応した商品を販売している。
日本にローカルトレンドが存在するからと言って、日本が遅れているとか日本が負けるとかそういう論調になることは的外れでしかない。

アメリカだってローカルトレンドはある。ジョギングの帰りみたいな服装が「アスレジャー」として一大トレンドになるなんていうのは完全なるローカルトレンドで服装に無頓着なアメリカ人らしいといえる。

そして、あまり指摘されないが3が一番大きな要因なのではないかと思う。

「廉価版粗悪ユニクロ」として2006年にスタートしたジーユーがトレンド対応低価格ブランドへと変身したのは2010年のこと。
2012年には562億円まで売上高を拡大し、そこからわずか6年で1500億円前後も売上高を増やしている。(2018年8月期決算では2000億円超の売上高を見込む)
この1500億円は外資ファストファッションからもぎ取った売上高だといえる。

ジーユーだけではない。
ストライプインターナショナル(旧社名クロスカンパニー)もそうだ。
決算を公開していないが、2010年の売上高は400億円だったが、2017年1月期は単体の売上高は990億円となっている。
7年間で600億円弱も売上高を伸ばしており、これも頻発するタイムセールと低価格商品で外資ファストファッションからもぎ取った売上高だといえる。

また、アダストリアホールディングスもそうだ。
2015年にトリニティアーツと合併したので、単純比較はできないが、今では2000億円以上の巨大SPAアパレルに成長した。
この成長も外資ファストファッションから売上高をもぎり取った結果といえる。

そのほか、ユナイテッドアローズの低価格ブランド「コーエン」の成長や、アーバンリサーチが開始した低価格ブランド「センスオブプレイス」など国内企業の低価格ブランドは増えているし、この8年間で売上高を拡大したものも多い。

となると、それだけ外資ファストファッションは売上高を国内各ブランドに売上高を削り取られてきたといえる。

外資ファストファッションが2008年、2009年の上陸時に持て囃され、その後数年間支持されたのは、「高トレンド」という部分にあったと思う。
低価格・高トレンドというブランドが日本には少なく、その需要が取り込めたのだと思うが、上記の各社がトレンド性を強め、価格据え置きになれば、グローバル企画でピントがぼけたブランドよりも、国内の雰囲気を反映する国内ブランドの方が支持されるのは当たり前だ。おまけに素材や縫製の品質は国内ブランドの方が高い。

2010年以降のジーユーはグローバルファストファッションキラーだったし、ストライプやアダストリアもキラーぶりを発揮したといえる。

ファッション業界やメディア業界には外資ブランドが受けないことが「ファッションへの渇望がなくなった」とか「感度が退化した」とかいう人が多いが、そんな見方は強度の舶来コンプレックスでしかないし、当方としては国内ブランドはよくぞ外資ファストファッションを追い込んだと各社を褒め称えたいほどである。

よくやった!国内ブランド。

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コーエンの激安品をどうぞ

限界点が露呈したトウキョウベースのビジネスモデル

やはりというか、当然というか、「ステュディオス」「ユナイテッドトウキョウ」を展開するトウキョウベースの業績が崩れた。
もちろん、早晩崩れると思っていたし、同社が発表しているような成長戦略は到底不可能だと思っていた。

2018年2月期の第一四半期決算は

売上高が29億3000万円(前期比0・6%増)
営業利益が3億2500万円(同28・2%減)

と微増収大幅減益に終わった。
さらに、微増収といっても、「出店増加にもかかわらず、売上高が横ばいだった」(WWD)ことから、既存店は前年割れだと考えられる。
このため、連休前の7月13日のトウキョウベースの株価はストップ安となり、連休明けの7月17日の株価は600円台にまで落ち込んでいる。

トウキョウベースの2018年2月期決算の売上高は127億8000万円で、客単価3万円前後の高い洋服を売る商売は、このあたりが成長の限界点だと常々思ってきた。
恐らく150億円か200億円くらいまでは中長期的には成長が可能だろうが、1000億円という売り上げ目標は何十年かかるのだろうかと思うし、今の「高価格帯商品」だけではたどり着くことは絶対に不可能である。

売上高1000億円に到達したユナイテッドアローズが売上高を大幅に伸ばすことができたのは、中価格帯のグリーンレーベルリラクシングを開発したからだ。店舗数もグリーンレーベルリラクシングが圧倒的に多い。
昔の「高価格セレクトショップだったころのユナイテッドアローズ」のファンからは少し馬鹿にしたような目で見られているグリーンレーベルリラクシングだが、お高い本体ラインを買うことに抵抗感のある人からは支持を集めている。
また、スタート当初はクソダサい商品が多かった低価格ブランド「コーエン」だがこちらもそれなりに支持を集めていて、企画内容も向上している。

洋服業界の人やそれを取材するマスコミはいつも考え違いをするのだが、

低価格=利益は薄いが、買う人の人数は多く数量がさばける
高価格=利益は厚いが、買う人の人数は少ない

という絶対的な条件をいつも忘却し、「高価格帯で買う人も多い」というブランドが出現できると考えてしまう。

トウキョウベースの売上高1000億円構想なんてその典型だろう。
トウキョウベースの店頭に並んでいる高価格な洋服が1000億円も売れることは到底あり得ない。

トウキョウベースのスタイルはよくて200億円くらいが限界点だろう。

それに価格帯以外でもトウキョウベースのビジネスモデルには疑問を感じるところが多々ある。

5月に行われた2018年2月期決算発表では、EC(いわゆるインターネット通販)の不振に言及されているが、トウキョウベースのECはZOZOTOWNへの依存度が病的なほどに高い。
依存比率は86%もあり、自社ECはたったの14%しかなく、ほとんどないに等しい。

そのECが崩れた理由は「ZOZOTOWNの低価格化と合わなかったから」とトウキョウベース側が発表している。
にもかかわらず、5月の株主総会では「ZOZOTOWNとの連携を強化する」とも発表しており、価格帯が合わない販路とさらに連携を強化するという意味がまるでわからない。
というより自社ECの比率を上げるノウハウがないから他力本願でZOZOTOWNに任せるという意味にしか聞こえない。

5月の株主総会をレポートしてくれているありがたいブログがある。

この方は株主なので期待しておられる書き口だが、その期待は極めて残念なものとなるのではないかと当方は見ている。

その一部をご紹介したい。

2、当面のターゲットを売上高1000億と宣言したが、期間は10年程度と考えている(現在127億)

と売上高1000億円目標の到達時期をかなり後倒しにしている。
まあ、これは賢明な判断だろう。ただし、今のブランドラインナップのままで1000億円を到達できることは永遠にないと当方は見ているが。

また、トウキョウベースの営業・販売姿勢でもマスに売ることは難しい。

トウキョウベースの各店は店長やスタッフによっても差があるが、強引な売り付けが多いことで有名である。(もちろん例外店員もいる)
それが批判されるとトウキョウベースの谷正人社長は決まって「99%に嫌われても1%に好かれればいい」と説明するが、99%に嫌われるようなブランドがマスに売れるはずもない。1%の顧客を捕まえたいなら、そういうニッチでスモールなビジネスを展開すべきで、拡大志向とブランド構築の方向性がちぐはぐで、当方から見ると、学生ノリのまま100億円まで拡大できてしまったようにしか見えない。

また、ここのブランドは、3つか4つあるが、どれも似ており見分けがつかない。
これはアダストリアやストライプも同様の弱点があるのだが、ブランド同士が似ており、イメージの違いが思い描けない。
ユナイテッドアローズなら細かいブランドは置いておいても、本体とグリーンレーベルリラクシングとコーエンの違いくらいはイメージが思い描ける。
屋号だけ変えて似たようなブランドをいくら増やしても、そのテイスト好きな客しか集まらず、支持は広がらない。
だからトウキョウベースはこれ以上売上高を伸ばすことは難しいだろう。

さらにいえば、盛んに掲げてきた「原価率50%」とか「原価率60%」というのは本当なのだろうかといぶかしく思う。

例えば、オンライン通販専用のソーシャルウェアというブランドをここは盛っているが、ZOZOTOWNで10%オフセールを開催している。
原価率60%を公言していながら、10%も値引きできるのはどうしてだろうか。
これが自社サイトなら残り30%粗利益が残るってことになるが、ZOZOTOWNの場合は売上手数料が引かれる。
後発でZOZOTOWNに参加したブランドは35%引かれると言われているが、トウキョウベースの手数料はもう少し安いようだ。

前述の株主総会レポートでは

当社のZOZO取引を決算書から推定するとかなりいい条件で取引していると思われるが、どうか?

有価証券報告書に販売手数料の金額が記載されており、それがすべてZOZOへの支払いだと仮定すると、ZOZO売上高(売上高×EC率×ZOZO率)に対する手数料率17.8%と試算されます。あくまで推定ですが・・・

とのやり取りが記されており、17・8%だとしたら、ほとんど粗利益はなくなる。
17・8%未満としても粗利益は極めて薄くなる。

そして粗利益には「経費」が含まれているから、経費を除けばほとんど利益は残らないことになる。

そんな設定で本当にやっていけるのか極めて疑問しかない。

何にせよ、ノリと勢いだけで127億円まで到達したトウキョウベースだが、そろそろ正念場に差し掛かっている。
これまでのようなノリと勢いだけでは、今後の成長戦略を描くことは難しい。冷静な分析と緻密な施策が必要になるが、現時点で外野から眺めていると、トウキョウベースという会社にそれがあるとも思えないし、今後それらを備えていくとも思えない。

【告知】多数の要望があり、8月24日のマサ佐藤(佐藤正臣)氏とのトークショーを昼間から夜の飲み会へと変更しました。(笑)
ぜひともご参加を。詳細は以下のURLで。
https://eventon.jp/13683/

 

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アパレルの「デジタル化」は販売方法だけにとどまっている現状

プリンス氏の企画で有料トークショーを開催することになった。

【告知】8月24日にあのマサ佐藤(佐藤正臣)氏と有料トークショーを開催します。
ぜひともご参加を。詳細は以下のURLで。
https://eventon.jp/13683/

 

 

インターネット通販の成長ぶりにアパレル業界は色めき立ち、「IT化推進」とか「デジタル化推進」なんて掛け声ばかりが聞こえてくるが、販売方法・受注方法だけが「デジタル化」「IT化」しているだけに過ぎない。

販売方法・受注方法だけが「デジタル化」したところで、製造や加工、原料工程はほとんどが旧態依然とした受発注システムを使っており、何が変わるのかと言ったところで、単に消費者(買う人)が便利になったよねという程度にしか過ぎない。

製造・加工は何も変わらないし、そこに製造・加工を依頼するブランド側の商品供給体制も何も変わらない。

ブランド側が商品を取りそろえるシステム、速さ、タイミングはウェブが普及する前と何も変わっていないから、当方のように製造・加工側から衣料品を見る機会のある人間からすると「デジタル化」の効果は極めて限定的にしか見えない。

製造・加工、メーカー側からするとデジタル化で何が変わったのかわからない。
せいぜいが納入先の社名が変わったくらいである。
今まで百貨店アパレルに納入していたが、今はインターネット通販会社に納入するという程度の変化でしかない。

最近、洋服の供給量が多すぎるということが指摘されることがあるが、一部の「識者と呼ばれる人たちww」からは「オーダー生産を強化することで減らせることができる」という声が聞こえてくる。
インフルエンサーとか著名人と呼ばれる人たちは、フルオーダーとパターンオーダーの区別ができていない人たちばかりだから、ここでいう「オーダー」はすべてがごっちゃになった状態であることは言うまでもない。

ZOZOのオーダースーツが話題となっているが、じゃあ、ポッと出のスタートトゥデイなんていう会社がどうしていきなりプライベートブランド(自社企画製品)を発売できるのかというと、それは生地、付属(ボタンやファスナー)、副資材(芯地など)が大量生産されて、メーカーや問屋に大量に備蓄されているからである。

タレントがいきなり洋服ブランドを開始することができるのも、それらが大量生産されていて、大量に備蓄されているからである。

だから、思い付きで「ジーンズを作りたい」「スーツを作りたい」と言っても、すぐに生産することができる。

結局のところ、服が仮に大量生産されなくなったとしても(大量生産されないなら縫製工場はほとんど死滅するから考えにくい未来だが)、生地・副資材・付属は大量生産され続けているから、それが大量廃棄されるだけになる。

インターネットと使ったオーダー受注なんてほんの小手先の誤魔化しに過ぎない。

アパレルが真にデジタル化するには、そういう製造・加工段階までデジタルにつながる必要がある。
とはいえ、そのあたりの人々は高齢化が進んでいてEメールすらろくに使えない人も多い上に、国内の工場は零細が多く、デジタルへの設備投資をする資金力がない。

この製造段階をデジタルで統合することで効率化できるというのは当方のオリジナルではない。

コンサルタントの河合拓さんが最近、何度も提案しておられることである。
例えば。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56225

生産プロセスを最初から最後まで牛耳る「SPA型」プラットフォーマー(垂直型プラットフォーマー)が生まれるのも時間の問題です。

とあり、

日本のアパレル産業は万単位の中小企業群でなりたっており、日本のアパレル産業の将来を考えるなら、こうした中小企業がどうしていくか、に目を向ける必要があります。

大多数の中小企業は、見てきたような最先端技術に対して投資余力がなく、このままいけば大手の勝ち組と中小企業の差は広がる一方です。
しかし、別の角度から見れば事情は違ってきます。中堅企業の取りまとめ役を伝統的に行ってきたのはアパレル専門の「商社」。

彼らは企画機能、調達機能、生産管理、物流、ファイナンスなど一連の機能を有しており、その気になればデジタルSPAを導入することも可能です。
デジタルSPAを大手商社が導入し、投資余力がない中堅企業にソフトウエア・サービスとして提供し新しい産業エコ・システムを作り上げることも考えられます。商社は、グループ内にIT企業もシンクタンクももっており、優秀な経営者も次々と輩出しています。

とある。

正直なところ、今のウェブ、インターネット技術の要求水準は高まっており、零細企業のオヤジが20万~30万円くらい出したところでまったく効果がないのが実態である。

河合さんは、商社育ちなので商社の良い点と悪い点をよく理解しておられる。
たしかに資金力のある大手商社や専門商社(いわゆる大手問屋)なら本格的なデジタル化への設備投資も可能になる。
業界には商社を嫌う人も多いが、実際のところは商社なしではあの大手アパレルもあの大手アパレルも商品生産が立ち行かなくなることは業界内では公然の事実である。

店頭での販売と、顧客からの受注のみのデジタル化では生産体系はまったく変わらないし、供給体制自体を変えたいと思うのなら、デジタル化を製造・加工段階まで進める必要がある。

問題はその設備投資を誰が行うのかという点であり、河合さんは商社なら可能だと言っておられる。
たしかに商社ならその資金力から考えて可能だろう。

しかし、利にガメつい商社がそこまで業界全体のための設備投資をするのかどうか、当方はイマイチ信用しきれない。

とはいえ、個別の零細工場ではとてもじゃないがそんな大々的な設備投資ができないことは、火を見るより明らかであるという点は当方も深く賛同する。

店頭や通販段階だけのデジタル化・IT化で製造・加工の問題が何も取沙汰されていないのは、その界隈の識者wwやインフルエンサーがその方面の知識を何も持ち合わせていないからで、彼らこそ、単なる思い付きを次々と商品化できているのは、その製造・加工段階の恩恵を被っているからにすぎない。

販売方法のデジタル化なんて小手先では、業界構造は何も変わらない。

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3足1000円の靴下を作る国内工場が潤っている理由

国内の繊維製品製造の苦境を脱するために「高価格・小ロット」生産が提唱されている場合が多い。

1枚当たりの製造費を高くして製造加工業者の収入を多くする。しかし、高価格品は量は売れにくいから、小ロット生産になる。
小ロット生産にするから製造費が高くなる。

こういう仕組みで生き残りを図る製造加工業者は多い。
これはこれで正解なのだろうが、高価格品を売るということになると「売るノウハウ」「販促のノウハウ」が必要になる。
なぜなら、高価格品は黙っていては売れないからだ。
低価格品なら黙っていても売れやすい。なぜなら「値段そのもの」が販促ツールになるからだ。

靴1足1000円で売れば、黙っていても何足かは確実に売れる。
靴1足35000円となると、それなりに売るノウハウが必要で、そこには「高価格品を売ることができる販売員」が必要になる。

こうなると、当方が属している「TOP SELLER . STYLE」の範疇になるので、興味のある人は彼らに直接聞いてもらいたい。
また「その商品がどうして高価格なのか?」という説明も必要だし「高価格でも欲しくさせる」手法も必要になり、これらはすべてプロモーションの範疇になる。

ところが、残念なことに国内の製造加工業者の多くは、高価格品の店頭販売やプロモーションが絶望的に下手くそだ。

ここが国内業者の苦しいところである。

一般的に「高コスト」と信じられている国内の繊維製品の製造加工だが、実は数量さえまとまれば、比較的安値で生産することが可能になる。
例えば、ユニクロにデニム生地を納めているカイハラだ。
数年前にタイ工場を作ったが、それまでカイハラは国内生産のみでユニクロのオーダーに対応していた。
いろいろ厳しいこともあったり、危機もあったりしたと業界裏話では聞くが、数量さえまとまればユニクロ向けのデニム生地製造だって国内でできるという事例である。

また、つい最近では、無印良品から4万メートルの生地の発注が国内某産地にあったといわれるが、4万メートルの数量があれば、国内で生地生産してもコストが抑えられるという事例である。

先日、某SPA型大手靴下ブランドの人とお会いした。
だいたい1足600~2000円くらいが中心価格帯だが、3足1000円という特価品もある。
通常商品はすべて国内生産だが、驚くことに3足1000円の特価品も90%くらいは国内生産なのだという。
3足1000円を国内で製造してコストが合うのかと心配になったが、意外にも3足1000円を担当している国内工場はそれなりに潤っているという。
逆に高価格な通常商品を担当している国内工場はなかなか潤わないらしい。

巷間に流れている情報とは逆である。

その理由を尋ねてみると。

低価格品で1足当たりの利益は薄いが、大量に売れるのでそれなりにまとまった金額になる。
1足あたり100円とかの利益でもそれが1000万円とか500万円くらいになるのをイメージしてもらいたい。

その利益を蓄えて最新鋭の編み機を導入する。
最新鋭の編み機を使うとやっぱり生産の効率が良く、さらに品質も良くなる。
効率良く生産できてしかも品質も良いから、さらに量が売れる。
何せそれで3足1000円だから。

さらに量が売れるから利益がまとまる。

という好循環スパイラルである。

一方、高価格品を担当する国内工場は

1足当たりの単価は高いが、高いから量が売れにくい。量がまとまらないから工場は儲からない。儲からないから設備投資ができずに旧式の編み機を使い続ける。旧式編み機は生産効率が悪い

という悪循環スパイラルに陥っている。

この話を聞いて、一概に「高価格・小ロット生産」が良いことばかりではないということを改めて感じた。

靴下という消耗品だからこそという部分もあるだろうが、他の繊維製品とも通じる部分があるのではないかと思う。
もちろん、嗜好性が高くて傷みにくい商品に関しては、「高価格・小ロット」で乗り切るしかないだろうが、靴下同様に「必ず傷む消耗品」ならやり方次第では「まとまった量」を売ることができる。
まとまった量なら国内で製造しても業者は成り立つ。

靴下の場合、高価格といっても1足1000~2000円くらいで、普通に働いていたら毎月1足くらいは買えるが、それでもやっぱり高価格品をたくさん売ることは難しい。これが万を越える価格の商品ならもっと売ることは難しくなる。

産地ブランドが高価格品を開発することは理解できるが、開発した後にどのように売るか、誰に売ってもらうか、の視点が欠けており、多くの場合「開発しただけ」で終わってしまう。

どんなにストーリーだ、背景だ、歴史だ、職人だ、テクノロジーだ、とカッコイイことを言っていても、高額品は絶対的に量が売れにくい。
バブル期に高い服が飛ぶように売れたというのは、好景気で、カッコイイ低価格衣料品がなかったからだ。
景気が悪くて、カッコイイ低価格衣料品があれば、必ずそちらが売れる。

「大量生産は悪だ」みたいな風潮が一部のイシキタカイ系にはあるが、そういう「モノヅクリ」大好きなイシキタカイ系がシンパシーを勝手に感じている国内の製造加工業者は大量生産の仕組みの上に成り立っており、製造加工業者自体が大量生産者なのである。

なかなか難しいことだが、繊維製品の国内の製造加工業者を救いたければ、即効性があるのは「大量生産」させてやることである。
やはり、「数は力」なのである。

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靴下業界で注目の新鋭高価格国産ブランドの商品もどうぞ~。

「安くて良い商品」が好まれるのは日本も英国も変わりない

「安い物ばかり売れる日本の現状は嘆かわしい」とか「デフレの日本は衰退している」とか、その手の言説が多く聞かれるが、「安くてそこそこ良い物」が売れるのは日本だけではなく、世界共通ではないかと思う。

当方は仕事でなければ海外に行かない。
旅行自体がそんなに好きではないし、実際のところ海外に行かねばならない仕事は来ない。
だから海外にはまったく行っていない。

海外からの記事を読んで理解しているのだが、例えば、記事を読む限りイギリスの消費傾向も日本と変わらないと感じる。

老舗大手が100店閉鎖!英国を襲う消費激変
ネットだけが敵じゃなかった

https://toyokeizai.net/articles/-/227314

5月、老舗小売り大手「マークス&スペンサー」が、2022年までに100店舗を閉鎖すると発表し、英国内に大きな衝撃が走った。1884年創業の通称「M&S」は国内で約6万人を雇用する小売業で、海外30カ国のフランチャイズ店を含めると約8万人が働く。

低迷の理由は、一言でいえば「市場の競争に負けた」こと。その端的な例が、主力の衣料品販売の不振だ。M&Sといえば英国人が真っ先に思い浮かべるのは、家族全員の下着がそろい、多くの女性が心をときめかすようなデザインで、かつ価格も手ごろな衣料品がそろっていることだ。
調査会社「グローバルデータ」によれば、衣料品販売市場でM&Sが13.5%のシェアを占めてトップの座に君臨していたのは1997年。今でも首位の座はかろうじて維持しているものの(7.6%)、その後ろには僅差(7%)で廉価の衣料販売チェーン「プライマーク」が控える。

とある。

日本には進出していない低価格トレンド衣料品ブランド「プライマーク」に猛追されて、マークス&スペンサーの衣料品はシェアを落とし続けている。
支持されているブランドが異なるだけで、低価格トレンド衣料品ブランドが支持を集めているのはイギリスも日本と変わりないということである。

小売業界の危機の原因は何か。筆頭に挙げられるのは、インターネットの影響だろう。各小売業はオンライン上のライバルと本気で戦わなければならなくなった。

たとえば、衣料品小売り「ネクスト」は年間収入約40億ポンドの半分近くをオンラインショッピング部門に投資している。しかし、先のM&Sの投資額は4億ポンドで、経営陣はサイトがまだ十分に使いやすくなっていないことを認めている。

とあり、このマークス&スペンサーのネット通販の遅れぶりはちょうど、日本では、しまむらグループの遅れっぷりと重なるところが多いように感じる。とはいえ、たしか「プライマーク」もネット通販はあまり熱心ではなく、この辺りの関係はどうなのだろうと、記事を読みながら疑問を持った。

ネット通販がすべての売り上げ不振を解決するとはまったく思わないが、何事を調べる際にもまずはネット検索から入るから、企業やブランドにはウェブサイトが必須となる。

そして、インターネット草創期なら、手作りのホームページでも問題なかったが、これだけインターネットが浸透し、各種サービスが立ち上がれば、そんな手作り感満載のホームページでは相手にされなくなる。
それ相応の専門家に対価を支払ってウェブサイトを構築してもらうことが必要となり、ウェブへの投資は不可欠といえる。

このあたりも日英同じといえる。
さらに以下の部分も日英ともに変わらない。

百貨店というビジネスモデルそのものへも疑問が呈されている。かつて、その特徴は「ありとあらゆる品物が1つの屋根の下でそろう」ことだったが、オンライン・ショッピングが普通になった今、これだけでは弱い。また、百貨店はこれまでファッション衣料に主眼を置いてきたが、「可もなく不可もない」品ぞろえになりがち。それより今は、より個性的で、手ごろ感がある安いブランドが人気だ。

賃金の上昇率はインフレ率より低いため、過分所得が減少している。
英国の小売業界で最も窮地に陥っているのは、価格帯が中間にある小売業やマス市場を狙う小売業だ。逆に、元気がいいのは付加価値付きの商品市場か廉価市場にいる小売だ。

「ファッション衣料偏重の百貨店の苦戦と安全パイ商品蔓延による同質化」「可処分所得の減少」「低価格品と高付加価値品の二極化」これらすべて日本で言われていることがそのままイギリスでも起きているといえる。

今の日本人は「日本衰退論」を好み、欧米やアジア諸国への憧憬を語るが、この記事が事実だったとすると、イギリスの消費傾向だって日本の現状と変わらないということになる。
日本にいようが、イギリスに移住しようが、小売業の立たされている状況は変わらない。

そして、この傾向は各国共通ではないかと思う。
どこの国民だって、安くて良い物が欲しいし、便利なところで買い物をしたい。それは変わらない人間の性質だろう。

結局のところ、自虐論は日本国内のビジネス弱者たちが自国をディスって自慰しているだけではないだろうか。

こんな環境だから俺たちが売れないのは仕方がない。

 

そう言いたいだけではないのか。

そういうビジネス弱者はイギリスに拠点を移したとしても結果的には同様にビジネス弱者にしかならないだろう。
なぜならば、消費動向の根源は日英変わらないからだ。

もちろん、国民性の違いによる嗜好の違いはあり、日本では弱者にしかなれなかった商品が、イギリスでは人気商品になる可能性はある。

しかし、その嗜好の違いによる商品への支持以外では、日本でのビジネス弱者が海外に出て一発逆転できる可能性はゼロだといえる。
安くて良い物が選ばれるという消費者心理はどの国でも共通しているからだ。

売上高を増やすには、客単価を上げるか買い上げ客数を増やすか、その両方を実現させるか、のどれかを実践するしかない。
そのどれもへの努力を怠っているビジネス弱者ブランドの売上高が低迷し続けるのは何の不思議もないし、そういうブランドは海外に逃避しても決して売れることはないだろうと、今回のイギリスの記事を読んで改めて感じた。

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トウキョウベースの香港店は活況なのか?売上高から入店客数を類推してみた
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プライマークの並行輸入品も安いな~

マスに売りたいなら「玄人向け」商品にこだわるべきではない

何のジャンルでも上級愛好者やマニアの提言は、ファンの裾野を広げることにはあまり役に立たない。

ヒノヤの人気チノパン ジッパーフライに改良し売れる

https://senken.co.jp/posts/hinoya-burgus-plus-180627

オリジナルブランド「バーガスプラス」で09年から販売する「401」。顧客や販売員の声を元に、股間部分をボタンフライからジッパーフライにした。4月末に販売を始め、「前年同期に販売した旧型の販売本数を上回っている」という。

リピーターの多い商品だが、玄人好みのボタンフライから、万人受けするジッパーフライに変更したことで「客の裾野が広がった」と見る。

とある。

当方はボタンフライのズボンは絶対に買わない。
なぜならめんどくさいからだ。

15年くらい前に「たまには定価で買ってみようか」と思って、リーバイスの502を買った。
大雑把に言って、502は501のジッパーフライ版だ。
とくに15年前はそういう位置づけだった。

ちなみにこのジーンズはまだ所有している。
ストレッチが入っていないのでめったに穿かないが。

実は501を買おうかともその時思ったのだが、ボタンフライなので買うのをやめて502に決めたという経緯がある。

しかし、ジーンズファン、上級愛好者には501支持者が多くいる。
その中のコアなメンバーに言わせると、ジッパーフライよりもボタンフライの方が良いのだという。

当方は何が良いのかさっぱりわからない。

今回のヒノヤの記事でもわかるようにファンを増やしたいなら、より簡単な商品を作って裾野を広げることがもっとも効率的である。

ところが、ジーンズ然り着物然り、そういう入門編の商品を作ることを拒否する傾向が強い。
だからいくら声高に叫ぼうとファンは一向に増えないのである。

パソコンでもデジタルカメラでもそうだが、初心者にいきなり上級者向けの超高級機体を買わせるだろうか?
当方が初心者なら絶対に買わない。

「最初から本物に触れるべきだ」という意見もあり、それはそれで理解できなくはないが、多くの初心者は最初から高額な「本物」を買うことに躊躇する。
当然だ。買ったところで使いこなせるかどうかわからない。
そんなあやふやな物に大金を支払いたい人なんてほとんどいない。

ジーンズや着物も同じだ。

新規ファンを獲得して、使用人口を増やしたいのなら、不便なボタンフライより便利なジッパーフライを店頭投入した方がはるかに理にかなっている。
ブタンフライを発売したければマニア向け商品として発売すれば良いだけのことだ。

ところが、コアなジーンズマニアはその「マニア向け」商品を「本物」だとして、初心者やライトユーザーにも押し付ける傾向が強い。
マニアの気持ちはわからなくもないが、それではかえってジーンズが敬遠されるだけのことになる。

着物も同様だ。

昨日、上下セパレートの着物「レ・モン」のことをこのブログで紹介した。
値段も比較的安く(安物のスーツ程度)、着るのも簡単だから初心者向けとしては良いのではないかと思ったからだ。

しかし、着物上級者からは批判的な意見もあった。

うーん。レ・モンが想定しているターゲットは上級者じゃないのにな。(多分)

そういう上級者の意見がさらに着物離れを助長しているのではないかと思う。
上級者が「あんなものは着ない」と思うのは当然だが、それをわざわざ言う必要はあるのかと思う。

何の分野においても上級者やマニアは自分たちの愛好する「本物」を広めたいと考えているが、それは土台が無理な話である。

裾野を広げてマス化させたいなら、初心者が手に取りやすいように、簡単な廉価版を開発するべきである。
ヒノヤのチノパンが好調なことがそれを証明している。

いくら本物の風合いとか言ったって、一日に何度もトイレに行くたびに不便感を味わうボタンフライよりも手軽なジッパーフライの方が万人受けすることは誰が考えてもわかる。

マニアがいくら「ボタンフライも慣れたら楽だよ」と言ったって、その慣れるまでの時間を我慢することを想像すると、初心者は萎えてしまう。
着物も同じで、上級者が「慣れたら着付けも楽」と言ったところで、そこに至るまでどれほどの時間が必要になるのかと想像すると、当方のような着物を着ない層からすると億劫になってしまって、棺桶に入るまで着物を着ないという考えになってしまう。
現実的なことでいえば、着物を着ないことでの不利益が何一つない。だったらそんなめんどくさい服は着る必要がないということになる。

伝統工芸品も同じではないかと思う。
いくら「本物」か知らないが、そんな超高額品をライトユーザーが容易く買うはずがない。
それよりも買いやすい価格帯の商品を開発した方がユーザーは増えやすい。

マス化させたいと願うなら、どのジャンルもライトユーザーが手を出しやすい商品を作るべきで、「本物」はコアなファンに向けて作れば良いだけのことだ。
それこそ「本物」はハイエンドモデルと位置付けて初心者が憧れるような見せ方をすれば、初心者もいずれは上級者になって「本物」を購入することになる。

本来、ハイエンドモデルと位置付けられる「本物」をマス化させようとするから広まらないのである。
着物もジーンズも伝統工芸品も。

その部分を間違えている分野がマスに支持されることは永遠にあり得ない。

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リーバイス502

日常的に広めたいなら和服も変化する必要がある

先日、こんな記事を読んでなかなか良い取り組みだと思った。

洋服感覚で楽しむ”セットアップ”キモノ「レ・モン」がデビュー、京友禅と西陣織の老舗企業がタッグ

https://www.fashionsnap.com/article/2018-06-18/lesmondes-debut/

ジャケットとロングスカートの上下に分けた”二部式着物”で、最後に簡易帯で仕上げるというこれまでにないスタイルを考案し、洋服感覚で着物を楽しめるようにしたという。

スタイリングはセットアップだけではなく、柄を組み合わせるなどのアレンジも楽しめる。

ロングスカートにはファスナーを備えており、着付けは約5分で行うことができる。簡易帯はカルタ結びや兵児帯(へこおび)など5型で、ファーベルトも揃える。生地には京友禅や西陣織の伝統技術は用いずにポリエステルなど洋服に使われる素材を使用しているため、自宅での洗濯が可能。また、ジャケットが2万8,000円〜、ロングスカートが1万8,000円〜、簡易帯が9,800円〜と手に取りやすい価格を実現するなど、呉服業界の課題となっていた部分を解決した。

とのことだ。

ちょっと文面で意味のわからない箇所があるが、概ねこの商品には賛同する。

当方は着物を着たことがない。
多分、今後も棺桶に入るとき以外は着ないと思う。

着物を着ない理由は

1、商品価格が高い
2、自分では着付けができず、着るたびにお金を取られる
3、正絹の着物は洗濯・保管・メンテナンスがめんどくさい

である。

1,2,3の理由どれもが当方にとっては重要で優先順位は付けがたい。
しかし、1は清水の舞台から飛び降りたつもりで10万円前後なら買えなくもない。(パソコンを買ったと思えば)
3は頑張れば何とかできるかもしれない。まあ、年に2回以上は洗濯も保管メンテナンスもやりたくないが。

2は致命的だ。
自分一人では着れなくて、着るのには有料で手伝ってもらわなくてはならない。
おまけに時間がかかる。

こんな不便な服を着ようとは思わない。

少なくともこの3点を改良しない限りは、着物のマス化なんて絶対に起きないと断言できる。

なぜなら、現在の洋服はこの3点を軽々とクリアしてしまっているからだ。
今の着物のままならマスには広がらない。

SNSを始めてから、着物を着ない当方になぜだか、和装関係の人とのつながりがけっこうできてしまった。

和装の衰退を憂う方が多く、それを食い止める手段の一つとして「着物の日常着化」とか「着物のマス化」に言及されることも多い。

じゃあ、具体的どのようにそれに取り組むかということになると、意見はバラバラで、当方のうがった見方かもしれないが、「今の着物のままで何とかマスに広がらないか」と考えている人が多いように見えてしまう。
どのような願望を持とうがそれは個人の自由だが、あまりにも現状と離れた願望は成就することは難しい。

もちろん、「晴れの日」向けの着物は今のままで良いと思う。当方はそれでも着ないが。
式典・会合・記念日、そういう「ハレの日」に着る着物は今のままでも着る人は存在し続ける。

しかし、多くの人が目指す「日常着化」という点は、現状維持の商品では解決できない。
そんなめんどくさい服を日常的に着る人なんてよほどの変わり者か変態である。
そして変わり者も変態も絶対的に人口が少ない。
少数の人間にしか支持されない商品が日常着化することなんて絶対にあり得ない。

日常着化を目指すなら、日常着にふさわしい商品を開発し、何なら、今の着物の形や形状を変える必要がある。
「俺たちは変わらないけど大勢に広まってほしい」なんてそんな虫の良い話はない。

実際、洋服だって時代を経るごとに形状が変わってきて現在に至っている。
形状はほぼ変化がなくなったが、今度は使用素材が変わってきている。
機能性素材の広まりはそれを表している。

いまだにフランス革命以前みたいに、長ズボンの上に「キュロット」と呼ばれる半ズボンを重ね穿きしている人なんて存在しない。
フランス革命を経て「サン・キュロット(半ズボンなし)」の服装が一般化したのである。

マーケティングの基本に4P戦略というのがある。

商品(product)
価格(price)
販売場所(place)
販売促進・告知(promotion)

である。
こんなものは業界にいる多くの人が基礎知識として有しているはずで、じゃあ、今の着物はこの4P戦略に則っているかどうかを考えてみればすぐにわかるのではないかと思う。

商品的にはめんどくさいし、価格は高い。
promotionの手法も微妙だ。

4つのうち3つまでが則っていない。少なくとも「商品」と「価格」の2つは則っていないとなると、売れるはずがないということになぜ気が付かないのかと不思議でならない。

日ごろから尊敬する和装関係の染色作家、仁平幸春さんはこんな記事を書いておられる。

衣服の変容は日本だけじゃないわけで。。。https://note.mu/yukiharu_nihei/n/n420922ab4732

 

良く「日本人は日本の伝統的民族衣服であるキモノを着ない」という言われ方をされますが、それは事実でしょうか?
事実は「衣服の変容は日本だけが特殊なのではなく、全世界的に同じように変わった」という事ではないでしょうか?
私は、日本だけが特殊で日本だけが西洋かぶれして和服を捨ててしまった、という論調はおかしいと思っています。
上記のように、どの国でも、同じような変化があったのです

とあり、仁平さんの意見に禿しく激しく賛同する。

結局のところ、日常生活においては衣服に限らず、利便性の高い物が支持され、不便な物は淘汰されてしまう。
仁平さんが記事中で指摘されているように「不便な燐寸(マッチ)」は「便利な100円ライター」に駆逐されてしまう。
物好きな変態が「マッチの方が風情があるのにぃぃぃ」と叫んだところで、そんな不便な物を多くの人は使わないのである。

もし、本当に「着物の日常着化」を目指す人がいるなら、今回登場した「レ・モン」のような商品をもっと開発して市場に投入すべきだろう。

あと、紹介した記事の中で1か所どうしても意味が分からない部分があるので蛇足ながら紹介する。

6月11日には恵比寿にショールームを開設。若者を中心に幅広い年代の人が楽しめる”東京発”のブランドとして打ち出し、将来的には海外展開を視野に入れているという。

なぜわざわざ「東京発」にする必要があるのかちょっと当方には理解できない。
着物で京都の会社が開発してそこに京都府が参加したのなら「京都発」で良いのではないかと思う。
個人的には京都という土地は好きではないが、国内の他地域からもブランドイメージが高く、海外からも評価されている。「京都発」の方がわかりやすいのではないかと思うのだがどうだろうか。

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こんなセパレート着物もあるでよ。

「センス」と「感覚」だけでのブランド運営はすぐに行き詰まる

先日、雑貨ショップASOKO南堀江店が5月20日に閉店した。

入店していたビルの耐震補強工事が閉店の理由だそうだ。
ただ、もしすごく売れ行きが好調なら、工事終了後に再開するだろうから、それがないということは再開するほどの旨味がなかったのではないかと思う。

オープン当時のASOKO南堀江店の外観

オープン当時のASOKO南堀江店の内装

先日、アメリカ村を通ったら、雑貨ショップ「フライングタイガー」アメリカ村店を久しぶりに見た。
オープン当初は連日スゴイ客入りだったが、今はそんなことはない。
まあ、普通の店である。

ASOKO南堀江店も同様だ。オープン当時は連日の賑わいでテレビや新聞、雑誌の報道合戦だったが、ここ2年くらいは当方はその存在すら忘れていたほどだ。

フライングタイガーがあちこちに店ができた。大阪でいうなら、あべのキューズモールにもある。
買い物するのは楽になったが希少性はなくなり、話題性もなくなった。

オープン→ブーム加熱→沈静化

という流れは、フライングタイガー、ASOKOともにその歩みはほぼ同一である。

報道によるブームのなんと一時的なものか。

各地方の大河ドラマ商法もこれと似たような印象がある。

さて、フライングタイガーも、オープン当初のASOKOも品ぞろえ、商品の陳列法・ディスプレイともに「センス」があり、「良い感覚」だと思った。もちろん、商品の一つ一つをつぶさに見れば「なんじゃこれ?」という商品もあったが、ブランドやショップというのは、トータルで見ての整合性がとれていることの方が重要だと思うので、当初の在り方はありなのだと思う。

この2ブランドの特徴は、ある程度「低価格」であるということ。
中には低価格でない商品も一部にはあるが、全体的には低価格なので、基本的には「薄利多売」となる。
そのため、「センス」や「感覚」「雰囲気」もさることながら、商品の発注、補充、追加などのシステム構築が重要になる。
単価の安い商品を大量に販売しなくてはならなくなるため、その商品の供給、補充・追加、そしてそれを備蓄して店頭に運ぶ物流システムの構築が何よりも重要になる。

物流に関してはド素人なので詳細はまるでわからないが、従業員や店舗運営担当者が商品を手運びしているのでは到底間に合わないことぐらいはわかる。
1店舗だけで営業するならそれも可能だろうが、両ブランドともに多店舗化を目的としていたので、それでは到底追いつかなくなる。
さらにいえば、低価格店なので多店舗化しなければ収益はまるで高まらないので、多店舗化は目標であり、義務だった。

ところが、フライングタイガー1号店であるアメリカ村オープン時の混乱はこの物流システムがまるでなかったことが原因の一つであり、連日の過熱報道で客が多数押し寄せ品切れ状態となって何か月か休店していた。

オープン当時のフライングタイガーアメリカ村店の外観

ASOKOも同様である。
ASOKOは現在は雑貨店スリーコインズを運営するパルグループの傘下だが、当初は遊心クリエイションが自社で開発した業態だった。しかし、遊心クリエイションは2016年1月に会社解散してしまい、その後、ASOKOはパルグループに引き取られて今に至る。

当時の遊心クリエイションのメンバーに聞いたところ、オープン当初のASOKOは南堀江と原宿の2店舗体制で、物流会社とは契約しておらず、商品の供給、追加補充はすべて社員が人力(手運び)で運び、在庫の棚卸も社員が行っていたという。そのためすさまじい労力が必要だったとのことだった。

ASOKOが多店舗化を目標として公言していたにもかかわらず、まったく店舗数が増えなかった理由はここにもあった。
物流を自社で賄ったままで店舗数を50店舗だの100店舗だのまで増やすことは物理的に不可能で、それをやればそれこそ過労死する社員が続出したのではないかと思う。

フライングタイガーの当初も同様だ。
システムを構築せずにアメリカ村店をオープンさせた結果、商品供給が追い付かずに何か月も休店する事態となった。

売り方にはさまざまある。
低価格店、中価格店、高価格店。

それぞれ、損益分岐点に達する販売数量があり、それを継続的に越え続けないと事業やブランドは継続できない。

とくに薄利多売、大量生産・大量販売を基本とする低価格店はそれを支えるシステム構築が不可欠である。
だからASOKOはパルに、フライングタイガーはサザビーリーグの傘下となった現在の方がはるかに商品供給がスムーズである。
なぜなら、パルもサザビーリーグもそれなりに大手なので物流システムは小規模企業だった遊心クリエイションやゼブラジャパンよりははるかにしっかりとしているからだ。

何の変哲もない雑貨を安く売るのではなく、ある程度「ファッション」的に売るから「センスや感覚が重要」と言われがちだが、この手の低価格店を運営するには、物流も含めたシステムや仕組みの構築が重要になる。
もちろん、走りながら構築するというやり方もありで、システムや仕組みの構築なんて凄まじく莫大な投資が必要だから、小規模企業では一度には支払えない。走りながら投資して構築するというやり方しかない。

しかし、そういうシステムや仕組みの構築が「まったく頭になかった」というのはお話にならない。
旧運営会社の2社は「まったく頭になかった」とまでは言わないが、そこを重視していなかったということはできるのではないかと思う。

「センス」「感覚」も重要だが、それと同様にシステムや仕組みの構築も重要なのである。

嗜好の成熟化や情報量の増大によって、以前のように「かっこいい物を並べれば、それで売れる」という時代ではなくなっているから、もしかすると、中価格、高価格ブランドの売り方もそういうシステムや仕組みの構築が重要なのではないかと思う。

各社、各創業者によって目指すべき企業規模やブランド規模は異なる。
一概に大規模化することが良いとは思わないが、それでもブランドや企業を永続的に続けるにはそういう物流を含めたシステム構築が不可欠だろうし、単に「センス」「感覚」「イケてる」と言っているだけでは永続的な収益は上がらない。

国内の小規模ブランドがいつまでも損益分岐点に達しないのは、価格政策や販売政策もさることながら、「センス」「感覚」のみに頼りすぎているからではないかと思う。「センス」「感覚」のみのブランドは価格帯にかかわらず事業拡大はできない。まあ、事業拡大を目指していないブランドはそんなことを考える必要はないが。

「センス」「感覚」だけで走っていた遊心クリエイション時代のASOKOがまったく店舗数が増えず、結局は破綻したことはそれを象徴しているといえる。

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そんなASOKOの商品をどうぞ。

ポイントを使った値引きがこれだけ広まっているのに「プロパー消化率」にこだわる意味がわからない

今年から某プリンスの押し付けでマーケティングの授業を受け持つことになったのだが、実は昨年からこれも某プリンスの押し付けで、計数管理の授業を受け持っている。
とはいえ、こちらも計数管理なんて素人だし、これまでの決算会見だとかの聞きかじりをつなぎ合わせてなんとかやっている。

計数管理の教科書には必ず「プロパー(定価)販売」が出てきて、それに関連して「プロパー消化率」という言葉が出てくる。

アパレル・繊維業界の俗語では「プロパー」にはもう一つ「生え抜き」という意味がある。
アパレル・繊維業界は中途採用や同業他社への移籍が多い業界なので、どんな企業も生え抜き組と移籍組が混在している。
その「生え抜き社員」を指して「プロパー社員」ということもある。

まあ、それは置いておいて。

定価販売というのは、店やブランドにとって利益を確保する最大の手段である。
定価で販売できればかなりの粗利益が確保できる。
だからどれだけ定価で販売できるかが重要であり、それを測定する指標としてプロパー消化率がある。

理論上ではそれはわかる。
値引きせずに定価で売るのが最大の利益をもたらす。
だからプロパー消化率を高めるというのも意味はわかる。

ところが、自身の消費行動を振り返ってみたとき、この「プロパー消化率」なる指標は、現代社会ではほとんど使えないのではないかと思ってしまう。

これはなにも2018年現在のことではなく、少なくとも2000年頃に各社がこぞってポイントカードを導入したときから、ほとんど使えなくなってしまったといえる。

少なくとも15年くらい前からは計測できなくなっているのではないかと思う。

例えば、先日、趣味のガンプラでリアルグレード(RG)「トールギス」という機種を購入した。
定価は税込みで2700円だ。

武装とバックパックが未完成なRGトールギスの本体

購入を考えるルートはいくつもある。
1つは近所のジョーシン、次はAmazon、その次が駿河屋の通販サイト、ヨドバシカメラドットコムあたりだ。
この中から最も割引率の高いところで買うのが当方である。

だいたいどこも2100~2000円くらいまで値引きされている。

Amazonはその当時は1930円くらいまで値引きされていたが、プライム会員ではないから2000円未満は送料が必要になってしまうからAmazonは除外だ。

残りはだいたい同じくらいの値段だが、ジョーシンとヨドバシは1000円分くらいのポイントがたまっている。
ポイントを使えば1000円ちょっとで買える。支払い総額を抑制する目的ならそのどちらかを選ぶのがもっとも理にかなっている。

ジョーシンはわざわざ自転車で20分もかけて出かけるのがめんどくさい。
となると、選択肢はヨドバシカメラドットコムということになる。

いくら安くてもヨドバシカメラドットコムは送料無料だ。
41円の消しゴムを買っても送料無料だ。

持っていたポイントをすべて使って1095円で購入した。
なんという安さ。

これはガンダムのプラモデルに限らず、洋服でも同じではないか。
当方は少し値引きされていたガンプラにポイントを使ったが、値引きされていない定価の洋服にポイントを使って安く買ったり、場合によっては無料にしたりすることがある。

他の皆さんも同様だろう。
メンバーズカードを提示して、ポイントが貯まれば、そのポイントを使って定価の服を安く買ったり、タダにしたりできる。
この場合のプロパー消化率はどう測定するのだろうか。
表示は定価販売でも場合によっては無料進呈になってしまっている。

2015年以降はメンバーズカードがスマホのアプリに置き換わった。

アプリにポイントが貯まる。
ポイントシステムは各ブランドによって異なる。
例えば、アダストリアの各ブランドは貯まったポイントはいくらからでも使える。10ポイントしかたまってなくてもそれを全部使える。
一方、ジーユーは最低でも100ポイントを貯めないと100円割引クーポンに交換できない。

ライトオンのメンバーズカードはアダストリア方式で貯まったポイント分だけ使える。

Amazonも貯まった分だけすぐにポイントが使えるし、Yahoo!ショッピングも同様だ。

こうなると、帳簿上プロパーで販売していても実質はポイントで値引きされているというケースは珍しくないだろうと推測できる。

そして、そのブランドの愛好者であればあるほどポイントは貯まりやすく、実質的に値引き販売を繰り返すことになっている。
だってそうだろう。例えば、ライトオンの太い顧客だとするとたくさん買うからそれだけたくさんポイントが貯まる。
それを使ってまた買うわけでその分値引き販売されているが、またポイントは貯まる。

それの繰り返しになる。

こうなるとプロパー消化率なんて指標は一体どうやって測定するのかということになる。

そしてロイヤルカスタマーになればなるほど、ポイントは貯まりやすく、その分値引き販売を繰り返していることになる。
もちろん、セール品にポイントを使ってさらに安く買うという当方のような人間も存在するだろうが、ロイヤルカスタマーは定価でも購入しているはずで、そのロイヤルカスタマーは常に定価品をポイントで値引き購入しているということになる。

ポイントカードが出現する前の時代ならプロパー消化率なる指標も測定できただろうが、ポイントカード出現後はプロパー販売なる指標はほとんど意味がなくなってしまったのではないか。
そしてポイントカードが出現したのはここ1,2年のことではなく、すでに15年くらい前から存在しており、現在はそれがアプリに置き換わってますます各ブランドに広がっている。

ポイントカード草創期はまだしも定着化した10年くらい前からはプロパー消化率という指標はほとんど意味をなさなくなったということになる。

にもかかわらず「プロパー消化率65%を目指せ」なんていう業界誌もあるのだが、この人たちはポイントカードやポイントアプリを一切使っていないのだろうか。
一切のポイントカードやアプリを絶滅させないことにはプロパー消化率なんて高まるはずもなく、むしろロイヤルカスタマーを作れば作るほどポイントによる値引き販売は増える一方になる。

意味をなさなくなった「プロパー消化率」にこだわるのは愚かしい行為であり、それよりも投資と同様に迅速に損切りをする方が重要である。死筋になる前に少しずつ値引きして消化率を高めて現金化するという手法こそが現在に則しているのではないか。

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RGトールギスをどうぞ。

夏と冬の年二回バーゲンにこだわるのはオッサン連中のノスタルジーに過ぎない

百貨店とルミネの「夏と冬の年2回バーゲン」にこだわる姿勢は、多分、オッサン・オバハンのノスタルジーなのだと思う。

なぜそう思ったのかというと、謎の美人(多分)ツイッタラーちまきさんがこんな返答をくれたからだ。

多分美人のちまきさんは、きっと40代くらいなのだと思う。
40代だと、こういう風景を若い頃に見たことがある。

48歳の当方だと若い頃に見た風景はセレクトショップではなくてDCブランドの長蛇の列だった。
恐らく、当方の高校生の頃(86年春~89年春)はデザイナーズキャラクターズブランド(DCブランド)の人気がピークだったと思う。
当方は大学を卒業するまでファッションに興味がなかったから、DCブランド人気はテレビのニュースで見るだけだった。
当時は、「たかが服を買うためになぜ並んでいるのか?」と不思議でしょうがなかった。衣料品の仕事をし始めてそういう消費行動も理解できるようになったが、本音を言うと今でもたかが服を買うために何時間も並ぶのは嫌いだ。

並ぶという行為そのものが嫌いで、行列のできるラーメン屋とか行列のできるスイーツとかは行ったことがない。
何時間も並ぶくらいなら、不味くて空いている店で食った方がマシだと思っている。

まあ、当方の嗜好はさておき、当時はアトリエサブだ、ビギだ、ナイスクラップだ、コムサだ、というDCブランドのバーゲン時にはオープン前から長蛇の列ができていた。
これは事実だ。

しかもバーゲンで半額と言っても定価が高いから、それでも高い。
10万円のスーツが5万円みたいな価格でもそれでもみんな買っていた。
かくいう当方だってブームがピークアウトし始めた93年か94年にバーゲンで6万円に値下がりしたアトリエサブの黒無地スーツを買った。
今なら、ジーユーで上下セットを5800円くらいでしか買わないのに。(笑)

どうして、ケチで貧乏な当方が6万円の黒無地スーツを買ったのかというと、安い店にはそれが売っていなかったからだ。

洋服の青山にもはるやまにも黒無地スーツは略礼服しか売っていなかった。
だから嫌でもDCブランドで買うしかなかった。

洋服の価格低下を嘆くブランドは多いが、このころみたいに「高い店にしかない差別化された商品」があれば、消費者は嫌でも高い服を買う。安い服が売れているのは、高い服と安い服の見た目がほとんど変わらなくなったからで、高いブランド側の商品企画の内容が低下しているからだということを自覚すべきである。

で、百貨店やルミネが追い求めているのはこのころの消費なのだろうと思う。

高い定価設定でも飛ぶように売れ、夏の終わりと冬の終わりにわずかに残った在庫を少しだけ値引いて売り切ってしまう。

これが彼らの掲げる理想で、その理想は少なくとも20年前には崩壊していることをまだ納得していないのだろう。

しかし、昨日も書いたように、ユニクロのフリースブームから20年が経過して、低価格SPAが消費者に浸透してすでに15年以上が経過している。低価格SPAは売れ残った商品を随時自動的に値下げして、セール品コーナーが常に店内にある。

またネット通販が浸透してすでに10年近くになる。

ネット通販の集客方法は値下げである。
楽天スーパーセール、ZOZOTOWNの割引クーポンのばら撒き、Amazonのタイムセールすべて同じ理屈である。
アダストリアのドットエスティだってタイムセール乱発中だ。

SPAとネット通販の値下げに慣れてしまった消費者が今更、夏の終わりと冬の終わりまでおとなしく待てるはずがない。

百貨店とルミネが理想とするバーゲンの風景はSPAブランドとネット通販が消滅してしまわない限りは実現されることは絶対にない。
そのことを理解していないのではないか。

48歳の当方ですら、DCブランドブームの狂乱をうっすらと覚えている。
ましてやそのころには就業していた50代以上の今の流通幹部にとっては、そのころの成功体験は鮮明に残っているのだろう。

しかし、年配層がノスタルジーをいくら追求したところで、時代が逆戻りすることはあり得ない。

当方の父親は若い頃、金がなくなったらよく質屋に時計を入れていたというが、今ならメルカリで販売することだろう。
質屋がすべてなくなるわけではないが、それでもかつての質屋がすべて残っているわけでもない。

もうメルカリを消滅させることはできないし、メルカリがなくなったところでヤフオクは残る。

アパレルの上層部も流通の上層部もいつまで20年前のノスタルジーの幻影を追い求めるのだろうか。
年配層がノスタルジーを追い求めれば求めるほど現状とは乖離していく。
年配層のノスタルジー追求は百害あって一利もない。むしろ有害だといえる。

アパレルも流通も上層部が現実を直視しない限りはますます苦戦し続けるだけのことである。

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