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安くて良い商品があればそちらが売れるのは当たり前 服もその一つにすぎない

先日、ある有名なコンサルタント氏と飲みながら雑談をした。
コンサルタント氏は7月から大阪での仕事が増えたそうで、そこからお会いする回数が増えた。

で、まあ、いろいろと雑談をするといっても、趣味も生活レベルも当方とは異なるので、必然的に話題は衣料品業界のことになってしまう。

衣料品業界についての見方は比較的一致する。

で、同じ50代前後という世代だから昔からの衣料品業界の記憶もある程度合致していて、有益な意見交換ができるので、こちらとしてはいつも楽しい時間を過ごさせてもらっている。

で、やっぱり現況の衣料品業界においては、国内とアジア圏ではユニクロ、世界的にはZARAの2ブランドが勝ち組となっているという見方も一致するところである。

低価格なユニクロと、比較的低価格なZARAをはじめとする低価格衣料品が国内外で支持されている理由は、やはり「低価格衣料品がマシになったから」というところに帰結する。
もちろん、可処分所得の伸び悩みとか所得の減少傾向とかそういう背景はあるにせよ、20年前・30年前に比べると、低価格衣料品ブランドはかなりマシになっている。
品質的にもそうだし、見た目(デザイン、シルエット、色柄)もマシになっている。

20年前のジャスコやイズミヤで売っていた1900円のTシャツはひどくダサかった。
美濃屋のコンバースTシャツは比較的マシだったが、それ以外は見た目のおかしなTシャツが多かった。
だから、20年前の当方の世代は、ある意味で「仕方なしに」高いブランドで高いTシャツを買っていた。

スーツしかり、ジーンズしかり、セーターしかり、である。

しかし、ユニクロやZARAに象徴されるような低価格ブランドがマシになり、それに引きずられるように、小マシな低価格ブランドが増えれば、「そちらで買った方がいいや」と思う消費者が多数出現してしまうことは自然な流れだといえる。

衣料品業界関係者やファッション好きはこれを差して「あんな安物は邪道だ」とか「消費者の感性が退化している」とかいうが、それは自分達が「ファッション好き」「衣料品好き」だからである。

こだわりのない人からすると、衣料品はユニクロやジーユー、ZARAで十分なのである。

そして、他分野を見渡すと、どの分野でも同じことが世界的に起きている。

コンサルタント氏は、衣料品と自動車がお好きで、使用するブランドにはこだわっておられる。
スーツはイタリアブランドだし、自動車はドイツ車である。それでもTシャツはユニクロで買っておられるのだから、ユニクロのコスパの高さがうかがい知れるのだが。

そんなコンサルタント氏でも家具やインテリアにはあまりこだわりがないのでニトリで十分なのだという。

しかし、インテリア関係者や家具業界人からすると「ニトリなんて」という声があるが、家具に対してこだわりのない人からすると安くて見た目も品質もそれほど悪くないニトリの家具で十分なのである。
当方なんて、もう10年以上家具なんて買ったことがないが、もし今後買いなおすことがあるなら迷わずニトリにする。
安いが少し感度を求める人はIKEAがお好きなようだが、買って帰って組み立てるのがめんどくさい。小さな棚くらいなら組み立てるが、大きな家具になるとそんなめんどくさいことはしたくない。
だったら最初から組み立ててくれてて安いニトリの方が良い。

またコンサルタント氏は眼鏡にはこだわりがなくJINSを愛用しておられる。
当方も眼鏡にはこだわりがなく、JINSでもZOFFでもオンデーズでも構わない。
当方はJINSの眼鏡をすでに3本所有している。

レンズ込みで5900円くらいから買えて、しかもフレームのデザインは多彩だ。
よほど困った症状の人を除いて通常の近視程度ならJINS、ZOFF、オンデーズあたりで十分だ。

だが、眼鏡の愛好家は違うだろう。
999.9だ、金子眼鏡店だ、アランミクリだ、という高額のブランドを押すだろう。

もちろん、違いは相応にあるとはいえ、JINSあたりの眼鏡を見て「見るからに安かろう悪かろうな商品だ」と思う人はいない。
なら、眼鏡に格別のこだわりのある「趣味人」を除いてはそれで十分だという人が増えることはまったく当たり前である。

自動車だって腕時計だって飲食店だって同じだ。

それぞれの分野で、それを趣味や職業にしている人はこだわりがあるだろうが、それ以外の人はそれほどこだわりがない。
昔は安物=粗悪品だったが、今では、安物は必ずしも粗悪品ではなくなっている。
品質スペックは安物でもそれなりに高い。
あとは見た目の良さとか使い勝手の良さとかが注目点になるが、それもそれなりに良くなっているから、趣味や職業ではない人からするとそれで十分だということになる。

そしてそういう人が、世界的に「マス」なのである。

スイス製の高級腕時計は数多くあるが、機能スペックはそれほど高くない物が多い。
反対に日本のシチズンやセイコー、カシオのデジタル時計の方が機能スペックは高い上に、価格は安い。
腕時計にこだわりがない当方からすると、なぜ、わざわざ性能的に劣っているスイス製の腕時計を高値で買う必要があるのかわからない。

1万円くらいのシチズンやセイコーやカシオで十分じゃないかと思う。
これで見た目のデザインが変てこなら買わないが、今はデザインだってそれなりにマシだから、だったら腕時計ファンじゃない人からするとそっちでイイやということになる。

当方が使っている2本の腕時計は両方ともカシオの太陽電池デジタル10気圧防水で、Amazonで3500円、4500円で買った。
2本合わせても8000円である。

Amazonで4500円で買ったカシオの太陽電池腕時計

 

 

自動車だってこだわる人はドイツ車だ、イタリア車だ、と言っているが、こだわらない人からすると、スズキとかダイハツの今のグレードアップされた軽自動車で十分だろう。性能スペックは決して低くないし、見た目だって昔の軽自動車に比べるとはるかにマシになっている。
当方はそうだ。

飲食店だって、こだわればキリがないが、こだわりのない当方は鳥貴族とかサイゼリヤで十分である。

結局、衣料品も同じことで、こだわっているのは「趣味」だからであり、そういう趣味人はマスではない。どの分野でも同じだ。

洋服にこだわっている「趣味人」だって、生活スタイルすべてにこだわっているという人はかなり少ないだろう。
興味のない分野はいわゆる「大衆向けブランド」で満足しているのではないか。
それに全分野にこだわろうと思えば、恐ろしいほどに金がかかるから、平均収入の少ないアパレル業界人では物理的に全分野にこだわることは不可能である。少なくとも当方の収入では不可能だ。

自動車や飲食にこだわらない人がいるように、衣料品に格別のこだわりのない人が少なからずいるのは何の不思議もないし、衣料品もそういうさまざまな商品の一つに過ぎないということである。

それを理解できない業界人が多いからいまだに「品質スペックガー」とか「おしゃれガー」と叫んでみても大衆に見向きもされないのではないか。

とはいえ、性能スペックが劣っていながらも「趣味人」に選ばれる高級ブランドというのはどの分野にもある。
自動車しかり腕時計しかり洋服しかり家電しかりである。

そういう方向を目指さないとユニクロとZARA以外のブランドは生き残れないのではないかと思う。

とはいえ、そういう「ブランド化」がどんなブランドでも成功できるわけではないし、そんなものが多数存在できるほど、世界の市場の容量は大きくない。(欧米中国を含めてもだ)

それができた少数のブランドだけが、価格競争やスペック競争に巻き込まれずに生き残ることができるだろう。

そして、衣料品業界人やファッション好きが主張するところの「こだわり」とは、所詮は「趣味人の蘊蓄や造詣」に過ぎないということを自覚しないと、マス層の嗜好性とはますます乖離するだけのことである。

当方は、外野で眺めているだけである。

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ジーンズメーカーとジーンズショップの変遷と苦戦低迷する理由
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カシオの優れもの太陽電池腕時計タフソーラーをどうぞ~

キャリアアップの道筋が見えにくいアパレル企業が多すぎる

ある組合の方によると、アパレル企業には最近人が集まりにくいという。
そりゃそうだろうな。
今の世の中でわざわざアパレル関連企業に就職したい学生なんてそんなに多くないと思う。

また、入社したとしてもすぐさま退職するということも多いそうだ。

一方、当方がたまに講義をするファッション専門学校生はそれはそれなりに就活にいそしんでいるものの、内定がなかなか出ない学生がいたりする。そんなに人が集まらないといわれているのに、内定が出ないこともあるのかとちょっと驚いたりしてしまう。

アパレル関連企業が人気がない理由として、

1、斜陽産業だと思われている(実際斜陽産業だが)
2、一部の会社を除いて、入社後のキャリアアップが思い描きにくい

というこの2つがあると見ている。

当方は、25年ほど前に衣料品販売店に入社してしまったのだが、この衣料品販売店もキャリアアップの道筋は極めて不透明だった。

販売員から店長になり、店長からエリアマネージャーになり、そこからさらに上という具合になるのだが、一体どういう業績を上げれば、エリアマネージャーになれるのかが皆目わからなかった。(すごくなりたかったわけではないが)

また、当時のエリアマネージャーはどういうことをやってその地位に上ったのかもまったくわからなかった。

幸い?店長には何年か勤めていればなれるので、そこは何の疑問も抱かなかったが、そこから上に行く道筋は見えなかった。

そんなわけで当方も退職してしまったわけだが、アパレル企業に人が集まらない理由はここにあるのではないかと思う。

そんな一方で、入社してもすぐにやめるという悩みもアパレル企業にはある。
これも組合の方から伺ったのだが、せっかく入社してきてもガッツのない若い人が多いという嘆きも企業側にはあるという。

たしかに最近の若い人は、昔みたいにガツガツ・ギラギラしている人はそんなに多くないように感じる。
それが物足りないとオッサン世代・ジジイ世代の上役からは見えてしまうようだ。

さらにいえば、企業の採用活動も昔に比べるとスマートになっている。
また、大学側も学生に就活のノウハウ、マニュアルを叩き込む。
優秀な学生になればなるほどノウハウ、マニュアルの飲み込みは早い。
だから、非常にスマートな態度の学生が出来上がる。
学生のマニュアル化を叩いたって意味がない。どの企業だってアホ丸出しの学生よりも少しは賢そうな学生を採用したいだろう。それが人情というものである。当方だってアホ丸出しの学生は採用しない。

学生がスマートだから採用活動もスマートなのか、採用活動がスマートになったから学生もスマートになったのかどちらが先なのかはわからない。

当方の就職活動当時でも、一発芸をやって入社したなんて人も何人もいる。

某大手商社の人は、喫茶店で、高校野球のピッチャーの牽制球のマネをやって採用を勝ち取ったはずだ。

今時、そんな一発芸で採用を決める大手企業はないだろうと思う。

とはいえ、そういう就職活動で入社した猛者たちはわけのわからんバイタリティがあった。良くも悪くも。
アパレル企業の今の上役の一部はそういう猛者を懐かしく思い、欲しがっているようだ。

だから一部からは「今風のスマートな採用活動をやめて、勢いのある若い人を取れ!」なんて声も出ているといわれている。

超大手アパレル企業でそんな採用活動は難しいだろうが、業界を支えている中小のアパレル企業ならなんとでもできるのではないかとも思う。

社会が成熟化し、複雑化、高度化してくると、勢いだけの型破りな「サラリーマン金太郎」みたいな学生は少なくなるし、そういう学生を企業は採用しなくなる。

ただ、その一方で、アパレル企業側はバイタリティのある若手社員を求める気持ちもどこかにはある。

所詮、それはない物ねだりでしかないのだが、それもまた人情といえる。

しかし、なんだかんだでいろいろなファッション専門学校を見ていると、凄まじく程度の低い学生にも出くわすことがある。
程度の低さにもさまざまな低さがあるのだが、仕事をしないとか仕事にならないような学生はさておき、猛烈に勢いだけはあるような学生なんかは活力が欲しい中小アパレルは一度採用してみてはどうか?

いろいろと教えるのは苦労するだろうし、飲み込みも悪いかもしれないが、もしかしたら何年かしたら成長するかもしれない。

いずれにせよ、アパレル業界の人材確保はますます難しくなっているにもかかわらず、就活で四苦八苦するファッション専門学校生もそれほど珍しくないのだから、需給のミスマッチはなかなかいびつな形になっているといえる。

あすから、お盆休みなのでブログはお休みします。
また16日から再開の予定です。
皆様楽しいお盆生活を。

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すべての段階を網羅しにくいのが繊維・衣料品業界

一口に衣料品業界と言っても、店頭販売員、デザイナー、パタンナー、生地問屋、生地工場、染色加工場、紡績、合繊メーカーなどさまざまな職業に別れている。

そして、各段階の人の多くは他段階のことをまるで知らない。
同じ業界に属しているのに、各人が持っている知識はまるで別物なのである。

これが衣料品業界、繊維業界の構造改革が一向に進まない理由の一つでもある。

例えば、先日ちょっと驚いたのだが、某大手衣料品ブランドのEC担当責任者が「ホールガーメント」を知らなかった。
この担当責任者はインポートアパレルで長年勤務し、そして大手衣料品ブランドに転職して今はEC責任者になっているのだが、それほどの人でも「ホールガーメント」についてはまったく知識を持ち合わせていない。

ZOZOで取沙汰されてからようやく「ホールガーメント」の名前だけを知ったという具合だ。

また、別の事例だと、これもたびたび登場する深地プリンス氏だが、ダウンジャケット類の生産リードタイムの長さを知らなかった。
Tシャツやカジュアルシャツなんかは特殊な生地を求めない限り、要はベーシック生地で良いのであれば、縫製工場のスペースさえあいていればすぐに期中生産できる。

ありもののベーシック生地を使えば恐らく3週間程度で店頭に納品することができる。

しかし、ダウンジャケット類の場合はそんなに簡単に期中生産はできない。
まず、何よりも原料の羽毛を押さえることが大変で、これはほとんど1年くらい前から押さえておく必要がある。

Tシャツやカジュアルシャツがありもののベーシック生地を使えば、クイックに生産できる理由は、それらの生地を生地問屋や商社が備蓄しているからである。
レザーも皮革問屋があるから、ベーシックなものでよければすぐに手配できる場合が多い。

しかし、業界には羽毛問屋は存在しない。

Tシャツ用の天竺生地が欲しければ、ミナミとかヤギとか瀧定名古屋とかそのあたりの生地問屋に行けば、ベーシックな生地なら備蓄から選ぶことができる。選んだらあとは縫製するだけということになる。

しかし、羽毛を専門に備蓄しているような羽毛問屋は国内業界には存在しない。

だから、期中で思い立ったとしても、2か月後にダウンジャケットを店頭投入することは物理的に不可能なのである。
まともに国内で作っているブランドは、ほぼ1年前から生産数量を固め、業者に頼んでその数量に見合うだけの羽毛を確保するのである。

ちなみに、ここ数年で国内ダウンジャケット工場として知名度をアップさせた滋賀のナンガダウンは、自社である程度、羽毛を備蓄しているそうである。

とはいえ、早めに欲しい数量を言っておかないと、ナンガダウンでも対応はできない。

カジュアルブランドでデザイナーをしている知り合いは、ほぼ1年前からダウンジャケット類の企画に取り掛かる。
店頭投入半年前の春ごろにはほとんど商品の製造の目途がついているという状態である。

深地プリンス氏も衣料品業界に携わって10数年が経過しているが、ダウンジャケット類のこういう製造サイクルを知らなかった。

とはいえ、20年以上この業界にいる当方だって、パターン(型紙)のことはさっぱりわからない。
またメンズスーツの細かいことや芯地のことなんていうのはさっぱりわからない。

以前にも書いたように、生地だって織物に詳しい人は、編み物(ニット類)のことはわからないし、編み物の人は織物のことにあまり詳しくない。

これほどに衣料品業界というのは、すべてを網羅することは難しく、実質は不可能ではないかと思う。

大手総合商社というのは縁のない人からすると何をやっているところなのかさっぱりわからない。当方だってあまりよくわかっていない。
一方、商社育ちの人は商社の業務内容と機能はよく知っているが、アパレル店の店頭作業のことはあまり知識がない。

最近、ネット通販で注目されているファッションテック系の人々は、製造や実店舗のオペレーションの知識がまるっきり欠けている場合がほとんどで、ZOZOの社長以下全員がパターンオーダーとフルオーダーの区別がつかないのはその典型だろう。
また、同じ型番のTシャツなのにメンズに40双糸天竺を使い、レディースに20単糸天竺を使うのも知識のなさが露わになっているといえる。

よく、ZOZOがイノベーションを起こしているという衣料品業界人やファッションテック系の人間がいるが、ZOZOが起こしているイノベーションは今のところは「ウェブを使った売り方」にだけイノベーションを起こしているに過ぎない。
製造段階や加工段階には何のイノベーションも起こしていない。

これはZOZOに限ったことではなく、ネット通販系が起こすイノベーションは現時点ではすべて「売り方のイノベーション」に過ぎない。

紡績・合繊メーカーから店頭までをすべて標準的に網羅している人がいるとするなら、その人は超人的で、そういう人がそれこそウェブを使って業界全体を俯瞰したシステムを構築してもらいたいと思う。

そういう超人が今後現れるのかどうか。そういう超人が現れない限りは、いつまでも小手先の売り方や小手先の作り方でイノベーションごっこを繰り返すだけで終わってしまうのが関の山だろう。

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猛暑ですがナンガダウンをどうぞ~

カシヤマ・ザ・スマートテーラーの出張採寸を見学した話

先日、カシヤマ・ザ・スマートテーラーの出張採寸を見学した。
オンワード樫山が開始した低価格パターンオーダースーツで、今は地域限定だが、採寸師が出張採寸してくれるというサービスだ。

いつもの深地雅也さんが予約をしたというので早速、見に行った。

その顛末はすでに深地さんがまとめている。よければご一読を。

KASHIYAMA the Smart Tailorの出張採寸が超便利な件

https://note.mu/fukaji/n/nf1604735f624

横で見学していた限りにおいては、通常のパターンオーダーの採寸と各種オプションで、極めて標準的なサービスに見えた。

当方も12年くらい前に一度、オンリーでパターンオーダースーツを作ってみたことがある。
また、先日は大手生地ブランドからの依頼で、東京と大阪のテーラーでパターンオーダースーツづくりの取材をした。

それらと比較してみても、まあ標準的なサービスだといえる。

ただ、パターンオーダーにつきものの基準となる「ゲージ服」の着用はなかった。
カシヤマのショップでなら「ゲージ服」を着用しての採寸もあるのではないかと思う。

価格はジャケットとパンツで

ウール50%・ポリエステル50%生地が3万円
ウール100%国産生地が4万円
インポート生地が5万円

となっている。

各種のオプションは

・袖口のボタンの数
・切羽にするかどうか
・裏地の色
・ベント(ノーベントかセンターベントかサイドベンツか)
・ジャケットの両脇のポケットの形
・胸ポケットの形
・パンツのタック(ノータックかワンタックかツータックか)
・ボタンの色と材質

くらいになる。

で、スーツはこれまであまり着たことがなかった深地さんを横で観察していたのだが、これらの各種オプションを選ぶのがちょっとめんどくさそうだったのが印象的だった。

スーツの好きな人、スーツに慣れている人なら、これらのオプションは標準的で、それを選ぶことが「楽しい」と感じる。
決してこのオプションは多すぎるとは思わない。

しかし、慣れない人にとっては、これらのオプションを選ぶことはけっこう面倒に感じる場合があるということを初めて知った。

もしかすると、スーツ慣れしていない人やスーツに詳しくない人に対しては、もっと提案機能を持たせた方が顧客満足度が高くなるのではないかと思った。

来店した客を「スーツ慣れした人」か「スーツ慣れしていない人」か見分けるのがなかなか難しいが、何らかの方法で見分けて、それによってスーツ慣れしていない客にはもっと積極的に提案した方が良いのかもしれない。

カシヤマの採寸師の方は、決して投げっぱなしというわけではなかったが、お客の要望に合わせるというスタンスだった。
当方ならそういうスタンスの接客で十分なのだが、慣れていない人にとっては、逆にそちらがサジェスチョンしてほしいと思うようだった。

それとその時に採寸師の方からいろいろとお聞きしたことが興味深かったのが、おもにこのパターンオーダー事業の業績に関することだった。

中国の大連にすでに専用の縫製工場を作っており、第二工場ももうすぐ稼働し、第三工場も建設することが決まっているという。
最近のOEM丸投げアパレルの水準からすると1つでも工場を作るというのがすごいが、まあ1つくらいならわからないではない。
しかし、事業がスタートしたばかりでもう第三工場まで作ることが決まっているというのは、相当に売れ行きが好調なのだろう。

1日あたりの売れ行きを尋ねてみると、「だいたい毎日800着」だという。
これは予想外にすごい数字ではないか。

客単価3万円としても1日に3万×800着で2400万円の売上高になる。
1か月だと2400万円×30日で7億2000万円となる。

このペースで1年が経過したと仮定すると、7億2000万円×12か月で86億4000万円の売上高となる。

深地さんは、客単価4万円で計算しているが、4万円だとだいたい115億円強の売上高となる。

実際の売上高はこの86億と115億円の間ということになるのではないか。

しかし、それにしても事業開始と同時に縫製工場を作るというのは、さすがは老舗アパレルであるオンワード樫山だといえる。

もちろん老舗アパレルだってOEMやODMに丸投げするのは珍しくないが、このオーダースーツ事業に関しては、製造の段階から自社で用意しており、その力の入れ具合がわかる。
物作りをどうするかということを最初から考えるのは、さすがは老舗アパレルで、泥縄式に製造関係者を募集しているZOZOとは姿勢がまるで異なっている。

話は少し戻るが、スーツに慣れていない人・初心者をターゲットにした、「なるべく選ぶオプションが少ないパターンオーダー」というのも考えてみてはどうだろうか。

極言すれば「標準服」のサイズを修正するだけである。

そのキモとなる「標準服」のデザインやシルエットはよほど魅力的なものにする必要がある。
選ぶことに慣れていない人にとっては、選択肢を制限する、もしくは無くすことが最高のサービスになる。

逆説的だが、顧客サービスとは、たくさんの中から選ぶようにしてあげることばかりではないということである。

10何種類もシルエットが存在するジーンズ専業メーカーのジーンズよりも、4種類くらいしかシルエットのないユニクロや無印良品のジーンズの方が売れていることを考えてみても、選択肢を制限することが対象によっては、顧客サービスになり得るということがわかるのではないだろうか。

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8月1日から始まった、はるやまの新パターンオーダー、イージーセレクトもどうぞ
今度試してレポートしてみようかな?

洋服の製造を完全受注生産にしても廃棄問題・売れ残り問題はなくならない

洋服の廃棄が話題になっているが、なぜか「焼却」という言葉が頻繁につかわれているが、洋服が生地だけで作られているなら焼却も可能だろうが、付属や副資材が使われているから焼却は無理で、産業廃棄物として処理される。
もしかして「償却」という言葉を聞いて「焼却」と変換されてしまったのだろうか。

それ以外に、日本には何十年も前から「バッタ屋」という職種があり、さまざまなブランドの在庫品を安く仕入れてきて安く売る。
当方が手伝っているラック・ドゥもその一つだし、大手メディアでときどき取り上げられるショーイチもその一つだ。
ジーンズメイトも創業当時はジーンズ関連のバッタ屋だったといわれている。
それ以外にもそういう業者は数えきれないほど存在する。
実際、当方は、違うバッタ屋何軒かで何度か買い物をしたことがある。

http://doluck.jp/

 

本当にさまざまなブランドの不良在庫品がバッタ市場には流れてくる。
アーバンリサーチ、タケオキクチ、ユナイテッドアローズという錚々たるブランドの不良在庫品もバッタ屋の店頭で見たことがあるし、世間的には安売りで知られ、最後の一枚まで売り切ると思われているしまむらの在庫品もバッタ屋の店頭で見たことがある。
しまむらの値札は1500円だったが、バッタ屋はそれを590円に値下げして販売して無事完売していた。
中には大手セレクトショップや有名ブランドのサンプル品もバッタ屋に流れてくる。

産廃として処分するのと、バッタ屋に安値で払い下げるという2通りの処分方法があるのだが、どちらにもメリットとデメリットが存在する。

産廃として処理されるのメリットは、安売り市場に出回らないのでブランド価値が維持できる。
デメリットは、産廃処理費用がかかるということと、近年注目されているサスティナビリティとエシカルに反するというところである。
ちなみに個人的には過剰なサスティナビリティも過剰なエシカルもあまり好きではない。

バッタ屋に払い下げたときのデメリットは、産廃だと金を払わないといけないのに、バッタ屋だと少額とはいえ金をもらえる点にある。
デメリットは、ブランド価値が大きく毀損する点である。

そういえば、今年7月上旬に、天満のバッタ屋でアースミュージック&エコロジーのサンダルが399円で売られていて、その3週間後くらいに訪れた際、299円に値引きされていた。今でも何足か残ってて売られているはずだ。

 

どちらの処分方法を選ぶのかは、経営者判断にならざるを得ない。
ブランド価値を維持するのか、目先の少額な現金を取るのか、である。

売れ残り品の処分をしなくて済むようにするなら、過剰供給はやめねばならない。
その一つの方法としてオーダーメードのような受注生産が注目されている。

じゃあ、それで解決でめでたしめでたしとはならない。

洋服を作るための生地、裏地、芯地、ボタン、ファスナー、織りネームなどは常に大量生産され続けている。

そしてそれらをメーカーや問屋が大量に備蓄しているのである。

例えば、タレントが思い付きでブランドを開始するときに、どうしてすぐに商品が作れるのかというと、洋服を作るためのそれら材料がメーカーや問屋にたっぷり備蓄されているからである。

小規模ブランドや小規模デザイナーズブランドがいとも簡単に直近で商品を作ることができるのは、それらの材料がメーカーや問屋にたっぷり備蓄されているからである。

そして需要が少なくなれば、備蓄されていて動きの悪い商材は廃棄されるかこれまた材料のバッタ屋に二束三文で売り飛ばされることになる。

エドウインの本社がある西日暮里には1メートル100円くらいの安い生地を売っている店が何軒もあるが、あれらはそういう材料のバッタ屋なのである。

洋服製造の部分だけをオーダーメードや受注生産に切り替えたところで廃棄ないし安売りはなくならず、材料段階でそれが行われるだけのことであり、さらにいえば、いつでも生地が織れる・編めるように、糸も大量に備蓄されているし、糸の元となる原料も大量に備蓄されている。

これが事実であり、そこまでを解決するとなるとどれほどの費用やシステムの構築が必要になるのか想像もできない。

じゃあ、どうして、そういう生産しかできないのかというと、各段階で採算ベースに乗る「経済ロット」というものがあるからだ。

その一端はこのブログに詳しい。編み生地の場合がわかりやすく説明されている。

ロットと在庫とわたし

http://www.ulcloworks.net/posts/4611965

しかし、生地商社さんは各色のバランスを生産コストを一律にしてストックしておく必要があるため一色辺りの経済ロットで生産して在庫を持つことになる。

染色の経済ロットは染色工場によって様々だが、概ね6反/色というのがある程度の規模の工場が提示している経済ロットである。
なのでこれ以下の数量に関しては加工賃にチャージアップなどの経費が加算されるので基本的にはこの経済ロットに応じて加工していることが多い。

一つの生地品番あたり、染色ロットが満たせても、色数が少なければ編みの経済ロットをクリアすることができない可能性がある。
無地編みの場合、生機(染色前の生地)の経済ロットは生地組織によるが基本的には「糸ひと立て分」が提示されるケースが多い。
「糸ひと立て分」とは、編み機のフィーダーと呼ばれる糸を送り込む糸口の数に合わせて糸を買うロットのことを意味するので生地によるのだが、わかりやすくするために例として今回は一般的な量産型の30インチ28ゲージという編機を利用した天竺という生地を編む場合で話を進めていく。

30インチ28ゲージ天竺の機械のフィーダーは高速機なら国内はほとんどが90口である。
つまり「糸ひと立て分」は糸90本分ということになる。
糸は分割といって小割して使うこともできるが、このひと立て分という意味の中に分割してという言葉は付かない。
糸は綿糸の場合1本1.875kgが中心で、糸ひと立て分は90口x1.875kg=168.75kg(30/1天竺40m巻き1反がだいたい11kgくらいなので15反とちょっと)が編みの経済ロットという認識になる。

ところが、綿糸は90本という綺麗な数字で買うことができない。
1ケースという単位で買い取る必要があり、1ケースは12本入りの22.5kgが糸を買う際の最小ロットになる。
90本揃えなければならないので90口÷12本=7.5ケース。そして糸は半端ケースで買えないため切り上げ8ケースという量の糸を買うことになる。
8ケース×22.5kg/ケース÷11kg/反=16反と余り糸4kgが編みの経済ロットになる。

これと、先程の染色ロットの最小公倍数がいわゆる経済ロットということになる。
色数はストック生地を販売していく上で2色展開などではあまりにも寂しいので、4-6色が少なくとも容易されている。
そして一色6反以上×色数でアソートを組んで編みの経済ロットと染色ロットの最小公倍数を探していくのである。
例として単純に全部の色が6反の加工をするとした場合、染め6反と編み16反の最小公倍数は48反編んで8色染めるのが答えになる。

アパレルメーカーさんに別注の生地提案をして一色6反染めて編みで48反という注文をもらうのは簡単ではない。
なのでニッター編工場は生地問屋めがけて営業をかけたほうが工場稼働をまもりやすい。

しかしこうした経済ロットをクリアして積み込まれた在庫をキレイに売り捌くのは非常に難しい。必ず売れ残りの在庫が出る。
こうしたものがバッタ屋などに破格で流通していくことになる。生地の世界でもこのようなことはザラである。

ちょっと長いが読んでいただければ、生地作りの数量問題の一端が理解できる。

編みの場合は、重さ(㎏)が基本となっているが、織りの場合は、長さ(メートル)が基本となる。
これは生地の場合だが、ほかの付属や副資材、織りネームなども同様の理屈で「経済ロット」が求められる。

廃棄問題に心を痛めるのは個人の自由だが、ここの部分を変えない限りは廃棄問題はなくならない。
そしてそれを変えるには膨大な費用と膨大な手間がかかる。綺麗事のスローガンを念仏のように唱えるだけでは何も変わらないし、変えられない。

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ジーンズメーカーとジーンズショップの変遷と苦戦低迷する理由
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/ne3e4f29b4276

 

【告知】多数の要望があり、8月24日のマサ佐藤(佐藤正臣)氏とのトークショーを昼間から夜の飲み会へと変更しました。(笑)
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バッタ屋の小説があったよ~

低価格ブランドが売れているのは「価格」だけが評価されているのではない

インターネット、とりわけブログも含めたSNSが普及したことによっていろんな人が意見を発信することができるようになった。
デメリットもあるがメリットも大きく、当方もいろいろとデメリットを感じることもあったが、何とか生きていられるのもSNSの普及によるところが大きい。

で、様々なファッション業界人(あえて衣料品業界とはいわない)の発信を見ていると、「ズレ」てるなあと感じることが多い。

その多くはやっぱり自分たちの飯のタネに直結する「商品価格」のことである。
中には被害妄想ではないのかと思う人も少なからず見かけられて辟易させられる。

よくある論調として

「ユニクロなどの低価格ブランドが持て囃されているが、高い服を着ることで精神がウンタラカンタラ」(うざっ)

というものである。

もちろん、バブル崩壊以降の可処分所得の低下・伸び悩みによって、バブル期以前のような高価格な洋服が売れにくくなった。

バブル崩壊直後の93年とか94年には、このケチな当方でさえ、10万円のスーツが6万円に値引きされたのを買っていたのである。
その理由は、何度も書いているが、低価格店にそういうデザインのスーツがなかったからである。

もちろん当時は今より平均的な可処分所得は多かった。
しかし、似たように見える商品があったら間違いなくそちらで買っていた人は多かっただろう。

何度も書くが、93年当時に黒い無地のスーツは、DCブランド系の店にしか売ってなかったのである。
ロードサイドの青山、はるやまには黒無地スーツは略礼服しかなかった。

DCブランドならセールで6万円だが、もし、青山やはるやまに売っていたら定価でも3万~4万円くらいだっただろうし、バーゲンになればそこからさらに2割か3割は安くなっただろう。

だから、もし、当時、黒い無地のスーツが青山やはるやまにあればそちらで買うという人が多かっただろう。

ない物は買えないから、高いDCブランド系で買うしかない。
それだけのことだ。

これはスーツに限らず、Tシャツしかりジーンズしかりドレスしかりである。

元嫁は93年当時、今は亡きビバユーというサンエーインターナショナルのブランドの服を高値で買っていた。
生地はいわゆるスーツっぽいウールまたはウール混で、モスグリーンのロングベストだった。
モスグリーンというだけですでにイズミヤやジャスコには売ってなかったのだが、襟(ラペル)の形状が変わっていて、雲形定規で切り抜いたような丸いグニャグニャした形状をしていた。

グリーンでグニャグニャした形の襟のついたベストなので、当方は「昆布ベスト」と呼んでいた。

昆布ベストのイメージ画
自分で書いたので下手くそご容赦

 

そんな変な襟の形をしたベストはイズミヤにもジャスコにも売っていなかったから、それが欲しければ、高値でビバユーで買うしかなかった。
それだけのことだ。

上の論調のようなファッション業界人は、当方より若い人が多いが、20年前の売り場を見ていない、もしくは記憶が薄いからそういうことをいうのだろうが、ユニクロなり無印良品なりジーユーなり、その他低価格ブランドが売れているのは「価格」だけでは決してない。
百貨店納入ブランドが売れないのは、消費者の意識が低いからでは決してない。

今、黒い無地のスーツといった場合、素材や縫製の品質の良し悪しを除くと、どこでも買える。
ユニクロの「感動ジャケット」+「感動パンツ」だって黒無地のセットがあって、定価で1万円くらいで買える。

25年前なら、低価格品は色や柄は同じでも形がおかしかったり、素材の表面感が違ったりしたが、今の低価格ブランドはそこもそれほど差はない。

だったら、服マニアや服オタクみたいな人以外はそちらで買うのが当然だろう。
6万円と1万円じゃ、見た目にほとんど差がなければ1万円の商品をマスは買う。

黒い無地のスーツに限らず、セーターしかりジーンズしかりである。
昔のイズミヤやジャスコの平場に並んでいた低価格ジーンズはクソダサかった。2010年ごろまでのユニクロのジーンズもクソダサかった。
それが細かい差異はあるにせよ、今ではほとんど見た目がジーンズブランドと変わらなくなっている。
それでいて値段は最低でも2倍はちがうのだから、安い方がマスに売れるのは当たり前である。

被害妄想丸出しの自称ファッションクラスタあたりは、消費者心理や世の中の風潮を責める前に、低価格ブランドと見た目の区別がつかない物しか作れなくなった百貨店アパレルを責めるべきである。

そして「価格」問題以前に、低価格品の見た目が良くなったことを飲み込まないと、売れる商品なんて永遠に作れない。
もう「日本製だから」とか「職人がナンタラ」とかそんなありきたりな文言だけでは高い衣料品なんて売れない。

昨日も取り上げたが、ブルーモンスタークロージングのジーンズは、カイハラのデニム生地を使って3000円台とか4000円台で発売している。

高い服が売りたいなら、「昆布ベスト」みたいに明らかに「見た目から違う服」を作り、それの値打ちを響くように伝える必要がある。
先日取り上げた6000円のデザインタンクトップが良い例である。

上手く見せて伝えることができれば、たかがタンクトップに6000円払う人が少なくとも毎月100人は存在する。
年間にすればのべ1200人が買うことになる。

下手をすると、半場不振にチビって安全パイばかりの百貨店ブランドよりも、ユニクロのデザイナーコラボの方がよほどデザイン性の高い服になっている。おまけに価格は安い。
左右で切り替えられたボーダー柄Tシャツなんていう「デザイン物」はユニクロにしかなかったりする。(今夏のアンダーソンコラボ)

990円に値下がりしたときに買ったユニクロアンダーソンのボーダー柄Tシャツ 今は500円に値下がりしている

商品を「価格」だけで切り取って、上から目線のピントの外れた啓蒙活動を行っているから、ファッション業界人は一般人から理解されないのである。
そういうピントの外れた啓蒙活動がカルト的な小規模集団になることはあってもカルトは所詮カルトでマスにはなれない。

それにしてももう一回、どこかのブランドで「昆布ベスト」発売しないかな。(笑)

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雲形定規をどうぞ~

今、ビバユーはバッグしかやってないね~

銭湯からジーンズショップに転換した企業があったほど、昔はジーンズが「売れる商品」だった

先日、ワークとジーンズカジュアルを両刀で攻めるブランド「ブルーモンスタークロージング」を運営するブリッツワークスの青野睦社長と対談した。対談というと大げさだが雑談した。

この雑談はブリッツワークスのウェブサイトに記事として近々掲載される予定となっている。

https://www.bmc-tokyo.com/

↑ここね。

で、ついでに告知・拡散を頼まれたのでやっておくと、5月の連休にセメントプロデュースデザインの金谷勉社長と居酒屋で対談した。その様子が動画で編集されているので興味のある人は見ていただきたい。

当方は自分の顔と声が嫌いなので見ようとは思わないが。(笑)
金持ちになったら中条きよしみたいな顔に整形したいと思っている。

8月から配信開始なのでどうぞ。 ↑

それはさておき、青野社長との対談で、様々なジーンズカジュアル店や国内ジーンズメーカーの話が出たが、その中で、ジーンズカジュアルチェーン店の生い立ちみたいなのも話題に上った。

某大手チェーン店はもともとワーキングウェア販売店(今でいうところのワークマン)だったが、ジーンズブームを見た創業者が、これを商機だと考えてジーンズ販売店に変えた。

また、2015年末で廃業したジーンズショップ デンバーを運営していたモリオカという会社は、もともとは銭湯として起業している。ところが折からのジーンズブームを見た創業者がジーンズ販売店へと業種を変更した。

当方は生まれてなかったり、生まれて間もなかったりするが、1960年代後半~1970年代にかけて、ジーンズが爆発的に売れた。
ジーンズというのはホットなアイテムだったといえる。
だから、それを見ていた人たちが「チャンスがある」ということで、ジーンズ販売店に業種を変更することが相次いだ。
ワーキングウェアからジーンズとか、スーツからジーンズというのはまだわかるが、銭湯からジーンズというのは今からするとちょっと想像できない。

しかし、80年代~90年代前半に続々と街中にコンビニができ、酒屋や小間物屋がフランチャイズでコンビニに変わっていったが、それと同様だと考えれば何となく当時のムードはわかる。

90年代後半~2005年くらいにかけては携帯電話ショップが続々とできて、商店街の電器屋なんかが携帯電話ショップに変わっていった。

まあ、そういうことである。

現在、わざわざジーンズショップを開業したり、コンビニを開業したり、携帯電話ショップを開業したりしようとする人はほとんどいない。
もう優勝劣敗がついてしまったし、マーケットも飽和状態にある。いるとしたらよほどのお馬鹿さんか変わり者だろう。

そして90年代後半からはジーンズショップが業態変更を始めている。
従来型のジーンズとジーンズショップが曲がり角になりつつあると見えたのだろう。

水戸のジーンズショップ「ポイント」は「ローリーズファーム」という自社ブランドを開発して、SPA企業へと転身を図った。
これが現在のアダストリアホールディングスである。

また、東大阪のジーンズショップであるジグ三信はセレクトショップ「アーバンリサーチ」を97年に立ち上げた。現在は社名もアーバンリサーチに変わっている。

こうして見ると、90年代後半は従来型のジーンズが曲がり角に差し掛かっており、その当時のホットな業態はSPAかセレクトショップだったといえる。

それから20年が経過した現在では、わざわざSPAブランドやセレクトショップを立ち上げようという人は減っている。
ゼロではないが20年前と比べると減っていると感じる。

今、起業したり業態を転換したりしようという人は、必ずウェブを前面に押し出す。
衣料品を売るにしてもウェブを介在させることがほとんどだ。

SPAブランドもセレクトショップも優勝劣敗が決しているし、市場を見渡しても飽和状態にある。
だから「海外へ進出せよ」とか「海外需要を取り込め」という議論になるが、SPAブランドはまだしも、いわゆる教科書的「セレクトショップ」では利益率も低く、各地のローカルトレンドに細かく対応しなくてはならないため、大規模企業にはなりにくい。

欧米のセレクトショップのほとんどが零細規模であることがそれを証明している。

SPAとて、海外進出とはいわず、立ち上げるだけでも莫大な資金が必要になる。

物事は何でもそうだが、黎明期には小規模企業が大雑把なプランと勢いだけでやっても何とかなるが、市場が成熟してくると、徐々に細分化され大規模な資本投下が求められるようになる。
今更、零細企業がSPAブランドを立ち上げることはかなり難しくなっている。
新たにSPAブランドを立ち上げるなら、中規模以上の企業が新ブランドとして立ち上げるか、そういう企業から支援されるかでないと不可能になっている。

デザイン業の黎明期には、オンワード樫山のデザイナーだった大河原邦男氏が、アニメのメカニックデザインへ転身して、後年、ガンダムのモビルスーツをデザインして大ヒットを飛ばしたが、今はそんなことは不可能になっている。

アパレルブランドのデザイナーが、アニメ制作会社にメカニックデザイナーやキャラクターデザイナーとして転身することは現在はほぼ不可能である。
これは成熟化し、細分化した結果そうなっており、SPAもセレクトショップも同様の状況にある。

そんなことをツラツラと考えると、「こだわり」だとか「本物」だとか掲げているジーンズショップの多くも当時の「売れるアイテム」「売りやすいアイテム」に飛びついただけだし、90年代に立ち上がったSPAやセレクトショップも同様だということがわかる。

「売れる物」「売りやすい物」を売るというのはビジネスとしては正解なので、そういう意味では、ジーンズもSPAもセレクトも今までの商品ややり方で売れないのなら、売れるように変わるというのが自然な流れなのではないかと思う。

とはいえ、どのように変われば良いのかというのは当方にもわからない。わかるならそれを指南して巨万の富を得て、中条きよしみたいな顔にとっくの昔に整形している。

とりあえずいえることは、「今まで通りのやり方以外は邪道」とか「新しいやり方は偽物」というような思考停止のままでは、永遠に売れるようにはならないということだけである。

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そんなブルーモンスタークロージング(BMC)のパンツをAmazonでどうぞ~

「ワークマン」がカジュアル業界に進出 ~ワーキングのカジュアル進出は昔からあった~

スーツ業界が、団塊世代の定年退職による需要激減を緩和するために4つの施策を採っていることを何度か書いた。

1、レディースビジネススーツの強化
2、カジュアルウェアの強化
3、低価格パターンオーダースーツの導入
4、カラオケや結婚式場運営などの異業種参入である。

需要激減に備えているのは、ワーキングユニホーム業界も同じで、大手販売店ワークマンのカジュアルウェア参入も同様の傾向であるといえる。

ワークマンがファッション市場に参入 新業態をSCに出店

https://www.wwdjapan.com/662658

作業着のワークマン(群馬県伊勢崎市、栗山清治・社長)は、新業態のカジュアルウエア店「ワークマンプラス(WORKMAN PLUS)」を東京・立川のショッピングセンター(SC)「ららぽーと立川立飛」に9月5日オープンする。これを手始めに全国のSCに大量出店し、数年後には100店舗、売上高120億円を計画する。主戦場である建設業に関わる労働者が減少傾向にあるため、作業着で培った機能性をスポーツウエアやアウトドアウエアに活用して、新しい需要を開拓する。

とのことである。

新業態の屋号に「プラス」を付けるのは、なんだか2004年当時に、デザインをファッション寄りに一新したユニクロが「ユニクロ プラス」を名乗っていたのと重なる。
「プラス」を付けるのは常道なのだろうか?

Zガンダムの量産機にZプラスがあったり、デルタガンダムの量産型にデルタプラスがあったりするようなものなのだろう。

ワークマンのカジュアル用途は数年前から盛んに「高機能なのに低価格がすごい」とSNSなどで拡散されている。

ワークマンは全国825店舗でプロ向けの作業着を販売しているが、2年前から一般客に向けた3つのPBの販売を始めた。PBは初年度の17年3月期に30億円、18年3月期に60億円を売り上げ、19年3月期は115億円に届く見通し。

100億円を突破する見込みなので一つのブランドとして独立しても良い規模になったといえる。

この記事ではちゃんと触れられているが、ワークマンはワークマン単体として見ていては誤る。

ワークマン単体では800億円弱の売上高があるのだが、それ以上の資金力がワークマンにはある。
知っている人は知っているが、知らない人は業界人でも知らない人が多い。

ワークマンは、売上高8500億円のベイシアグループの企業で、ホームセンターのカインズと同じグループ企業なのである。
800億円でもそれなりのパワーはあるが、8500億円という桁違いの資金力が背景にあることを忘れてはならない。

ワークマンの18年3月期業績は、チェーン全店売上高が797億円、純利益が78億円で7期連続で最高益を更新した。北関東を拠点にして売上高8500億円のベイシアグループに属しており、スーパーのベイシア、ホームセンターのカインズと並ぶ中核企業でもある。

とのことである。

需要減に苦しみ始めたワークウェア業界だが、カジュアルウェア業界への進出は今に始まったことではない。
例えば、ワーキングユニホームメーカー最大手の自重堂だが、量販店向けにカジュアルチノパンやカジュアルシャツを以前から企画生産している。そのほかにも量販店向けにカジュアルパンツなどを企画製造していたワーキングメーカーは数多くあった。

一定の数量は売れて、それなりの売上高にはなったが、各社ともブランドステイタスの向上にはつながらなかった。

ワークマンはそれを打ち破ることができるのかどうかというところに注目が集まる。

個人的な思い付きなのだが、ワークマンは「ワーク」を現場作業や屋外作業に限定するのではなく、オフィスワークにまで範疇を広げてみてはどうか。
吸汗速乾やストレッチ、軽量、防シワなどの機能性合成繊維を主体とするお得意の素材を使って、カジュアルセットアップやカジュアルスーツを低価格で発売してみてはどうだろうか。

ジーユーのスーパーストレットドライスーツのように、合繊主体のカジュアルスーツで、スーツとしても着用できるし、上下バラバラでも着用できるというカジュアルスーツだ。

ユニクロの「感動ジャケット」と「感動パンツ」はセットで定価1万円くらいだ。
ジーユーのセットアップは定価7000円くらいだ。

これらと同等かそれ以下の価格で発売してみてはどうだろうか。

某業界紙では「ユニフォーム担当」は「ワーキング」「オフィス」「白衣」などの分野を兼任する。
オフィスユニフォームとは何かというと、いわゆる事務員が着ている制服で、男性も女性もスーツ調のデザインが多い。
業界紙の大区分では同じユニフォームなのだから、オフィス分野への越境を名目にして、機能性低価格カジュアルスーツへ進出するのはどうだろうか。

ノースフェイスやらヘリーハンセンやらスノーピークやらロゴスやらの強力な競合が犇めくアウトドア分野よりもよほど勝ち目は大きいような気がするが。

ワークマンなら積極的に展開しそうな気がするのだが。

いずれにせよ、大手各社は従来の事業以外に、新規分野への参入をドンドンはたすようになる。
業界やら専門分野やらの壁は崩され、ますますボーダレスな時代になりつつある。

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ワーキングユニフォームメーカー、クロダルマのカジュアルっぽいパンツ

カジュアルとワーキングの両業界を攻めているブルーモンスタークロージング(BMC)の商品もどうぞ~

今後、マス化するスーツは「低価格パターンオーダー」ではなく「機能性カジュアルスーツ」では?

ZOZOの参入によってオーダースーツ(実際はパターンオーダー)が注目を集めているが、このブログで書いているように低価格パターンオーダースーツは何も去年や今年に始まったわけではない。

もう10年以上前から、青山、オンリー、はるやまなどの大手スーツ販売店各社が導入していた。
理由は2007年から始まる団塊世代の定年によるスーツ需要の激減に備えるためである。

各社の対応策は主に4つである。

1、レディーススーツの拡充
2、カジュアルウェアの拡充
3、低価格パターンオーダーの導入
4、異分野への進出

1はいわずもがなで理解いただけるだろう。
2は青山商事のリーバイスストアのフランチャイズ運営であったり、アメリカンイーグルの導入、はるやま商事のストララッジョ買収、イーブス買収、テットオム買収などである。

3は連日注目されている通りである。

4はAOKIのようにカラオケ店や結婚式場運営などのことを指す。

で、パターンオーダースーツに戻ると、この手のオーダースーツはたいがいはZOZOのオーダースーツの定価よりも安い。
だから購入しやすい。価格的に低価格既製服と変わらないのだから、既製服を買うくらいならパターンオーダーの方が良いという評価にもなりやすい。

当方だって3万円で既製服を買うならカシヤマ・ザ・スマートテーラーでパターンオーダー作るわということになる。

そうそう、深地プリンス雅也さんが先日、カシヤマ・ザ・スマートテーラーの出張採寸を受けてパターンオーダーでスーツを購入した。
採寸の様子を見学に行ってきたが、商品到着後NOTEでレポートするらしいので乞うご期待だ。

https://note.mu/fukaji

まあ、それはさておき。

とはいえ、各社のパターンオーダーが今後「スーツ」の中心商材になるかと言われると、当方はZOZOも含めてそうはならないと思っている。
もちろん需要はなくならないし、ある程度の売り上げ規模は維持し続けると思うが、マス層に広がり切るとまでは言えないのではないかと思っている。

なぜなら、どれほど低価格であろうと高品質であろうと、使用素材はウールが主体で、スーツそのものはビジネスまたはセミフォーマル用途である。

休日にまで着用したいかといわれると、なんだか気が進まない。
またウール素材なのでメンテナンスや保管がめんどくさい。洗濯も気を使う。

だから、当方は「スーツ」として今後マス層に広がり切るのは現行のパターンオーダーではなく、合繊素材や機能性素材を使用したカジュアルスーツ、カジュアルセットアップの類ではないかと思っている。

例えば、ユニクロの「感動ジャケット」+「感動パンツ」である。
上下定価で買っても1万円くらいで、値下げ品を買えば上下セットで5000円くらいで買える。
しかもストレッチ混の合繊素材で洗濯もできるし、保管もウールほどは気を使わない。

当方がジーユーで昨年の秋から合計6着も買った上下セットアップだ。
秋冬に買ったのはレーヨン・ポリエステルのカットソー素材のスーツで、今春夏買ったのはナイロン・ポリウレタン混のスーパーストレッチドライスーツである。

定価で7000円くらい、値下げの最安値では上下セットで3580円で買った。

ユニクロ、ジーユーはちょっとという人には有名セレクトショップ各社の商品もふんだんにある。

ナノユニバースやジャーナルスタンダードあたりでも合繊ストレッチ素材のスーツを定価2万円ほどで発売しており、セール価格だと1万円くらいにまで値下がりしている。

オッサン向けならドゥクラッセもある。
定価14900円でも安いが、セール価格は7990円で、一時期は7490円にまで下がっていた。
ポリエステル100%である。

ドゥクラッセのセットアップ。(同ブランドサイトから)

当方がどうしてこれらの方がマスに広がりやすいと考えているかというと、先ほども書いたが「ラクさ(着用感、保管、メンテナンス)」である。
それ以外には

1、低価格
2、カジュアル用途にも使いやすい

がある。

低価格パターンオーダーよりもまだ安い。サイズさえ合えばお買い得といえる。

が、それ以上に重宝するのが、カジュアル用途にも使えるである。
昨今はクールビズやカジュアル化でネクタイさえすればカジュアルスーツでもビジネスに着用できる。
カジュアル用途なのでもちろんカジュアルシーンには使えるし、上下分割でも使える。

現行のパターンオーダースーツはビジネス仕様なので、カジュアルにはちょっと使いにくい。
下手をすると服を持ってないから休日でもスーツを着ているオッサンに見えてしまう。

そうなると、カジュアルスーツの方が着用シーンが多く想定でき、着用回数も増える。
価格が安いからコストパフォーマンスが高い。

だから、こちらの方がマス層に広がるのではないかと思う。

もちろん、これらのカジュアルスーツ、機能性スーツがパターンオーダーを取り入れた場合は、販売価格は少し高くなってしまうが、さらに消費者の利便性が高まることは間違いない。

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ナノユニバースのカジュアルセットアップめちゃ値下がりしてる。5961円やて。

外資ファストファッションは国内低価格ブランドに負けた

2008年ごろに上陸し、猛威を振るった外資系グローバル低価格SPAの勢いが目に見えて衰えてきた。

H&Mの銀座店もついに閉店してしまった。H&M自体は日本撤退は考えられないものの、フォーエバー21は店舗数も20店舗を下回っているし、いつ日本から撤退してもおかしくはない。

遅れて上陸したオールドネイビーはわずか4年半で2017年1月に日本から撤退してしまった。
まあ、それだけ売れてなかったということである。

それについてポストセブンに原稿を書いた。

H&Mなど外資ファストファッションが苦戦に転じた3つの理由

https://www.news-postseven.com/archives/20180718_720418.html

多くの業界メディア人が論考を書いているが正直どれもしっくりこない。
もちろん自分の見方がすべて正しいとはいわない。

それでも例えば、

ギンザシックスで人の流れが変わったとか、洋服を長く使いたい人が増えた、とかそういう見方はちょっと的外れではないかと思う。

まずギンザシックスだが、たしかに前身の松坂屋銀座店よりは売上高が大幅に増えたが、しかし今後さらに伸びる気配はなく、600億円くらいで横ばいから微減になると見ている。

「600億円はすごい」という称賛が業界からはあふれたが、三越銀座店もそれくらい売っているから、銀座という立地ならそれくらい売れて当然なのではないかと思う。
逆に前身の松坂屋銀座店がたった100億円程度しか売れなかった方があの立地ではおかしい。

洋服を長く使いたいというのも疑問だ。
可処分所得の伸び悩みや減少で、短期間で買い替えたくないというニーズはあるとは思うが、「洋服を長く使いたい」が先に来るのではなく、「気に入った洋服があったら」長く使いたいのであって、順序が逆である。

「長く使いたい」が前提条件ではない。
気に入らない服ならすぐに捨てても良いというのが消費者である。
しかも、そのために「安い」ファストファッションを利用してきたのだから、まるっきり順序が逆だ。

当方が考える外資系グローバル低価格SPA(ファストファッションと略す)が日本国内で苦戦し始めた理由は次の3つだ。

(1)価格が安いだけで品質が劣っていた
(2)日本独自のトレンドに対応できなかった
(3)日本独自の低価格トレンドブランドが成長した

である。
1については、上陸当初からさんざん言われてきて、何を今更である。
まあ、一度か二度買ってみたが、品質が悪いのでリピーターにはならなかったということだろう。

ユニクロはおろかジーユーにも品質的に遠く及ばないブランドがほとんどで、価格帯はそのジーユーと変わらない。
だったらジーユーで買えば良いということになるのは当たり前だろう。

2は、業界では知られているが、例えば2015年のガウチョパンツブームは世界的トレンドなどではなく、日本国内の限定トレンドだった。
それに対応したジーユーは100万本を売ったが、グローバル企画である外資系ファストファッションはほとんど対応できなかった。

ローカルトレンドが存在する国は日本だけではなく、どの国でもローカルトレンドは存在する。
ユニクロだってイスラム教徒が多い中東向けにはローカルトレンドに対応した商品を販売している。
日本にローカルトレンドが存在するからと言って、日本が遅れているとか日本が負けるとかそういう論調になることは的外れでしかない。

アメリカだってローカルトレンドはある。ジョギングの帰りみたいな服装が「アスレジャー」として一大トレンドになるなんていうのは完全なるローカルトレンドで服装に無頓着なアメリカ人らしいといえる。

そして、あまり指摘されないが3が一番大きな要因なのではないかと思う。

「廉価版粗悪ユニクロ」として2006年にスタートしたジーユーがトレンド対応低価格ブランドへと変身したのは2010年のこと。
2012年には562億円まで売上高を拡大し、そこからわずか6年で1500億円前後も売上高を増やしている。(2018年8月期決算では2000億円超の売上高を見込む)
この1500億円は外資ファストファッションからもぎ取った売上高だといえる。

ジーユーだけではない。
ストライプインターナショナル(旧社名クロスカンパニー)もそうだ。
決算を公開していないが、2010年の売上高は400億円だったが、2017年1月期は単体の売上高は990億円となっている。
7年間で600億円弱も売上高を伸ばしており、これも頻発するタイムセールと低価格商品で外資ファストファッションからもぎ取った売上高だといえる。

また、アダストリアホールディングスもそうだ。
2015年にトリニティアーツと合併したので、単純比較はできないが、今では2000億円以上の巨大SPAアパレルに成長した。
この成長も外資ファストファッションから売上高をもぎり取った結果といえる。

そのほか、ユナイテッドアローズの低価格ブランド「コーエン」の成長や、アーバンリサーチが開始した低価格ブランド「センスオブプレイス」など国内企業の低価格ブランドは増えているし、この8年間で売上高を拡大したものも多い。

となると、それだけ外資ファストファッションは売上高を国内各ブランドに売上高を削り取られてきたといえる。

外資ファストファッションが2008年、2009年の上陸時に持て囃され、その後数年間支持されたのは、「高トレンド」という部分にあったと思う。
低価格・高トレンドというブランドが日本には少なく、その需要が取り込めたのだと思うが、上記の各社がトレンド性を強め、価格据え置きになれば、グローバル企画でピントがぼけたブランドよりも、国内の雰囲気を反映する国内ブランドの方が支持されるのは当たり前だ。おまけに素材や縫製の品質は国内ブランドの方が高い。

2010年以降のジーユーはグローバルファストファッションキラーだったし、ストライプやアダストリアもキラーぶりを発揮したといえる。

ファッション業界やメディア業界には外資ブランドが受けないことが「ファッションへの渇望がなくなった」とか「感度が退化した」とかいう人が多いが、そんな見方は強度の舶来コンプレックスでしかないし、当方としては国内ブランドはよくぞ外資ファストファッションを追い込んだと各社を褒め称えたいほどである。

よくやった!国内ブランド。

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トウキョウベースの香港店は活況なのか?売上高から入店客数を類推してみたhttps://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n78d0021044a2

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