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「センス」と「感覚」だけでのブランド運営はすぐに行き詰まる

先日、雑貨ショップASOKO南堀江店が5月20日に閉店した。

入店していたビルの耐震補強工事が閉店の理由だそうだ。
ただ、もしすごく売れ行きが好調なら、工事終了後に再開するだろうから、それがないということは再開するほどの旨味がなかったのではないかと思う。

オープン当時のASOKO南堀江店の外観

オープン当時のASOKO南堀江店の内装

先日、アメリカ村を通ったら、雑貨ショップ「フライングタイガー」アメリカ村店を久しぶりに見た。
オープン当初は連日スゴイ客入りだったが、今はそんなことはない。
まあ、普通の店である。

ASOKO南堀江店も同様だ。オープン当時は連日の賑わいでテレビや新聞、雑誌の報道合戦だったが、ここ2年くらいは当方はその存在すら忘れていたほどだ。

フライングタイガーがあちこちに店ができた。大阪でいうなら、あべのキューズモールにもある。
買い物するのは楽になったが希少性はなくなり、話題性もなくなった。

オープン→ブーム加熱→沈静化

という流れは、フライングタイガー、ASOKOともにその歩みはほぼ同一である。

報道によるブームのなんと一時的なものか。

各地方の大河ドラマ商法もこれと似たような印象がある。

さて、フライングタイガーも、オープン当初のASOKOも品ぞろえ、商品の陳列法・ディスプレイともに「センス」があり、「良い感覚」だと思った。もちろん、商品の一つ一つをつぶさに見れば「なんじゃこれ?」という商品もあったが、ブランドやショップというのは、トータルで見ての整合性がとれていることの方が重要だと思うので、当初の在り方はありなのだと思う。

この2ブランドの特徴は、ある程度「低価格」であるということ。
中には低価格でない商品も一部にはあるが、全体的には低価格なので、基本的には「薄利多売」となる。
そのため、「センス」や「感覚」「雰囲気」もさることながら、商品の発注、補充、追加などのシステム構築が重要になる。
単価の安い商品を大量に販売しなくてはならなくなるため、その商品の供給、補充・追加、そしてそれを備蓄して店頭に運ぶ物流システムの構築が何よりも重要になる。

物流に関してはド素人なので詳細はまるでわからないが、従業員や店舗運営担当者が商品を手運びしているのでは到底間に合わないことぐらいはわかる。
1店舗だけで営業するならそれも可能だろうが、両ブランドともに多店舗化を目的としていたので、それでは到底追いつかなくなる。
さらにいえば、低価格店なので多店舗化しなければ収益はまるで高まらないので、多店舗化は目標であり、義務だった。

ところが、フライングタイガー1号店であるアメリカ村オープン時の混乱はこの物流システムがまるでなかったことが原因の一つであり、連日の過熱報道で客が多数押し寄せ品切れ状態となって何か月か休店していた。

オープン当時のフライングタイガーアメリカ村店の外観

ASOKOも同様である。
ASOKOは現在は雑貨店スリーコインズを運営するパルグループの傘下だが、当初は遊心クリエイションが自社で開発した業態だった。しかし、遊心クリエイションは2016年1月に会社解散してしまい、その後、ASOKOはパルグループに引き取られて今に至る。

当時の遊心クリエイションのメンバーに聞いたところ、オープン当初のASOKOは南堀江と原宿の2店舗体制で、物流会社とは契約しておらず、商品の供給、追加補充はすべて社員が人力(手運び)で運び、在庫の棚卸も社員が行っていたという。そのためすさまじい労力が必要だったとのことだった。

ASOKOが多店舗化を目標として公言していたにもかかわらず、まったく店舗数が増えなかった理由はここにもあった。
物流を自社で賄ったままで店舗数を50店舗だの100店舗だのまで増やすことは物理的に不可能で、それをやればそれこそ過労死する社員が続出したのではないかと思う。

フライングタイガーの当初も同様だ。
システムを構築せずにアメリカ村店をオープンさせた結果、商品供給が追い付かずに何か月も休店する事態となった。

売り方にはさまざまある。
低価格店、中価格店、高価格店。

それぞれ、損益分岐点に達する販売数量があり、それを継続的に越え続けないと事業やブランドは継続できない。

とくに薄利多売、大量生産・大量販売を基本とする低価格店はそれを支えるシステム構築が不可欠である。
だからASOKOはパルに、フライングタイガーはサザビーリーグの傘下となった現在の方がはるかに商品供給がスムーズである。
なぜなら、パルもサザビーリーグもそれなりに大手なので物流システムは小規模企業だった遊心クリエイションやゼブラジャパンよりははるかにしっかりとしているからだ。

何の変哲もない雑貨を安く売るのではなく、ある程度「ファッション」的に売るから「センスや感覚が重要」と言われがちだが、この手の低価格店を運営するには、物流も含めたシステムや仕組みの構築が重要になる。
もちろん、走りながら構築するというやり方もありで、システムや仕組みの構築なんて凄まじく莫大な投資が必要だから、小規模企業では一度には支払えない。走りながら投資して構築するというやり方しかない。

しかし、そういうシステムや仕組みの構築が「まったく頭になかった」というのはお話にならない。
旧運営会社の2社は「まったく頭になかった」とまでは言わないが、そこを重視していなかったということはできるのではないかと思う。

「センス」「感覚」も重要だが、それと同様にシステムや仕組みの構築も重要なのである。

嗜好の成熟化や情報量の増大によって、以前のように「かっこいい物を並べれば、それで売れる」という時代ではなくなっているから、もしかすると、中価格、高価格ブランドの売り方もそういうシステムや仕組みの構築が重要なのではないかと思う。

各社、各創業者によって目指すべき企業規模やブランド規模は異なる。
一概に大規模化することが良いとは思わないが、それでもブランドや企業を永続的に続けるにはそういう物流を含めたシステム構築が不可欠だろうし、単に「センス」「感覚」「イケてる」と言っているだけでは永続的な収益は上がらない。

国内の小規模ブランドがいつまでも損益分岐点に達しないのは、価格政策や販売政策もさることながら、「センス」「感覚」のみに頼りすぎているからではないかと思う。「センス」「感覚」のみのブランドは価格帯にかかわらず事業拡大はできない。まあ、事業拡大を目指していないブランドはそんなことを考える必要はないが。

「センス」「感覚」だけで走っていた遊心クリエイション時代のASOKOがまったく店舗数が増えず、結局は破綻したことはそれを象徴しているといえる。

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そんなASOKOの商品をどうぞ。

ポイントを使った値引きがこれだけ広まっているのに「プロパー消化率」にこだわる意味がわからない

今年から某プリンスの押し付けでマーケティングの授業を受け持つことになったのだが、実は昨年からこれも某プリンスの押し付けで、計数管理の授業を受け持っている。
とはいえ、こちらも計数管理なんて素人だし、これまでの決算会見だとかの聞きかじりをつなぎ合わせてなんとかやっている。

計数管理の教科書には必ず「プロパー(定価)販売」が出てきて、それに関連して「プロパー消化率」という言葉が出てくる。

アパレル・繊維業界の俗語では「プロパー」にはもう一つ「生え抜き」という意味がある。
アパレル・繊維業界は中途採用や同業他社への移籍が多い業界なので、どんな企業も生え抜き組と移籍組が混在している。
その「生え抜き社員」を指して「プロパー社員」ということもある。

まあ、それは置いておいて。

定価販売というのは、店やブランドにとって利益を確保する最大の手段である。
定価で販売できればかなりの粗利益が確保できる。
だからどれだけ定価で販売できるかが重要であり、それを測定する指標としてプロパー消化率がある。

理論上ではそれはわかる。
値引きせずに定価で売るのが最大の利益をもたらす。
だからプロパー消化率を高めるというのも意味はわかる。

ところが、自身の消費行動を振り返ってみたとき、この「プロパー消化率」なる指標は、現代社会ではほとんど使えないのではないかと思ってしまう。

これはなにも2018年現在のことではなく、少なくとも2000年頃に各社がこぞってポイントカードを導入したときから、ほとんど使えなくなってしまったといえる。

少なくとも15年くらい前からは計測できなくなっているのではないかと思う。

例えば、先日、趣味のガンプラでリアルグレード(RG)「トールギス」という機種を購入した。
定価は税込みで2700円だ。

武装とバックパックが未完成なRGトールギスの本体

購入を考えるルートはいくつもある。
1つは近所のジョーシン、次はAmazon、その次が駿河屋の通販サイト、ヨドバシカメラドットコムあたりだ。
この中から最も割引率の高いところで買うのが当方である。

だいたいどこも2100~2000円くらいまで値引きされている。

Amazonはその当時は1930円くらいまで値引きされていたが、プライム会員ではないから2000円未満は送料が必要になってしまうからAmazonは除外だ。

残りはだいたい同じくらいの値段だが、ジョーシンとヨドバシは1000円分くらいのポイントがたまっている。
ポイントを使えば1000円ちょっとで買える。支払い総額を抑制する目的ならそのどちらかを選ぶのがもっとも理にかなっている。

ジョーシンはわざわざ自転車で20分もかけて出かけるのがめんどくさい。
となると、選択肢はヨドバシカメラドットコムということになる。

いくら安くてもヨドバシカメラドットコムは送料無料だ。
41円の消しゴムを買っても送料無料だ。

持っていたポイントをすべて使って1095円で購入した。
なんという安さ。

これはガンダムのプラモデルに限らず、洋服でも同じではないか。
当方は少し値引きされていたガンプラにポイントを使ったが、値引きされていない定価の洋服にポイントを使って安く買ったり、場合によっては無料にしたりすることがある。

他の皆さんも同様だろう。
メンバーズカードを提示して、ポイントが貯まれば、そのポイントを使って定価の服を安く買ったり、タダにしたりできる。
この場合のプロパー消化率はどう測定するのだろうか。
表示は定価販売でも場合によっては無料進呈になってしまっている。

2015年以降はメンバーズカードがスマホのアプリに置き換わった。

アプリにポイントが貯まる。
ポイントシステムは各ブランドによって異なる。
例えば、アダストリアの各ブランドは貯まったポイントはいくらからでも使える。10ポイントしかたまってなくてもそれを全部使える。
一方、ジーユーは最低でも100ポイントを貯めないと100円割引クーポンに交換できない。

ライトオンのメンバーズカードはアダストリア方式で貯まったポイント分だけ使える。

Amazonも貯まった分だけすぐにポイントが使えるし、Yahoo!ショッピングも同様だ。

こうなると、帳簿上プロパーで販売していても実質はポイントで値引きされているというケースは珍しくないだろうと推測できる。

そして、そのブランドの愛好者であればあるほどポイントは貯まりやすく、実質的に値引き販売を繰り返すことになっている。
だってそうだろう。例えば、ライトオンの太い顧客だとするとたくさん買うからそれだけたくさんポイントが貯まる。
それを使ってまた買うわけでその分値引き販売されているが、またポイントは貯まる。

それの繰り返しになる。

こうなるとプロパー消化率なんて指標は一体どうやって測定するのかということになる。

そしてロイヤルカスタマーになればなるほど、ポイントは貯まりやすく、その分値引き販売を繰り返していることになる。
もちろん、セール品にポイントを使ってさらに安く買うという当方のような人間も存在するだろうが、ロイヤルカスタマーは定価でも購入しているはずで、そのロイヤルカスタマーは常に定価品をポイントで値引き購入しているということになる。

ポイントカードが出現する前の時代ならプロパー消化率なる指標も測定できただろうが、ポイントカード出現後はプロパー販売なる指標はほとんど意味がなくなってしまったのではないか。
そしてポイントカードが出現したのはここ1,2年のことではなく、すでに15年くらい前から存在しており、現在はそれがアプリに置き換わってますます各ブランドに広がっている。

ポイントカード草創期はまだしも定着化した10年くらい前からはプロパー消化率という指標はほとんど意味をなさなくなったということになる。

にもかかわらず「プロパー消化率65%を目指せ」なんていう業界誌もあるのだが、この人たちはポイントカードやポイントアプリを一切使っていないのだろうか。
一切のポイントカードやアプリを絶滅させないことにはプロパー消化率なんて高まるはずもなく、むしろロイヤルカスタマーを作れば作るほどポイントによる値引き販売は増える一方になる。

意味をなさなくなった「プロパー消化率」にこだわるのは愚かしい行為であり、それよりも投資と同様に迅速に損切りをする方が重要である。死筋になる前に少しずつ値引きして消化率を高めて現金化するという手法こそが現在に則しているのではないか。

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RGトールギスをどうぞ。

夏と冬の年二回バーゲンにこだわるのはオッサン連中のノスタルジーに過ぎない

百貨店とルミネの「夏と冬の年2回バーゲン」にこだわる姿勢は、多分、オッサン・オバハンのノスタルジーなのだと思う。

なぜそう思ったのかというと、謎の美人(多分)ツイッタラーちまきさんがこんな返答をくれたからだ。

多分美人のちまきさんは、きっと40代くらいなのだと思う。
40代だと、こういう風景を若い頃に見たことがある。

48歳の当方だと若い頃に見た風景はセレクトショップではなくてDCブランドの長蛇の列だった。
恐らく、当方の高校生の頃(86年春~89年春)はデザイナーズキャラクターズブランド(DCブランド)の人気がピークだったと思う。
当方は大学を卒業するまでファッションに興味がなかったから、DCブランド人気はテレビのニュースで見るだけだった。
当時は、「たかが服を買うためになぜ並んでいるのか?」と不思議でしょうがなかった。衣料品の仕事をし始めてそういう消費行動も理解できるようになったが、本音を言うと今でもたかが服を買うために何時間も並ぶのは嫌いだ。

並ぶという行為そのものが嫌いで、行列のできるラーメン屋とか行列のできるスイーツとかは行ったことがない。
何時間も並ぶくらいなら、不味くて空いている店で食った方がマシだと思っている。

まあ、当方の嗜好はさておき、当時はアトリエサブだ、ビギだ、ナイスクラップだ、コムサだ、というDCブランドのバーゲン時にはオープン前から長蛇の列ができていた。
これは事実だ。

しかもバーゲンで半額と言っても定価が高いから、それでも高い。
10万円のスーツが5万円みたいな価格でもそれでもみんな買っていた。
かくいう当方だってブームがピークアウトし始めた93年か94年にバーゲンで6万円に値下がりしたアトリエサブの黒無地スーツを買った。
今なら、ジーユーで上下セットを5800円くらいでしか買わないのに。(笑)

どうして、ケチで貧乏な当方が6万円の黒無地スーツを買ったのかというと、安い店にはそれが売っていなかったからだ。

洋服の青山にもはるやまにも黒無地スーツは略礼服しか売っていなかった。
だから嫌でもDCブランドで買うしかなかった。

洋服の価格低下を嘆くブランドは多いが、このころみたいに「高い店にしかない差別化された商品」があれば、消費者は嫌でも高い服を買う。安い服が売れているのは、高い服と安い服の見た目がほとんど変わらなくなったからで、高いブランド側の商品企画の内容が低下しているからだということを自覚すべきである。

で、百貨店やルミネが追い求めているのはこのころの消費なのだろうと思う。

高い定価設定でも飛ぶように売れ、夏の終わりと冬の終わりにわずかに残った在庫を少しだけ値引いて売り切ってしまう。

これが彼らの掲げる理想で、その理想は少なくとも20年前には崩壊していることをまだ納得していないのだろう。

しかし、昨日も書いたように、ユニクロのフリースブームから20年が経過して、低価格SPAが消費者に浸透してすでに15年以上が経過している。低価格SPAは売れ残った商品を随時自動的に値下げして、セール品コーナーが常に店内にある。

またネット通販が浸透してすでに10年近くになる。

ネット通販の集客方法は値下げである。
楽天スーパーセール、ZOZOTOWNの割引クーポンのばら撒き、Amazonのタイムセールすべて同じ理屈である。
アダストリアのドットエスティだってタイムセール乱発中だ。

SPAとネット通販の値下げに慣れてしまった消費者が今更、夏の終わりと冬の終わりまでおとなしく待てるはずがない。

百貨店とルミネが理想とするバーゲンの風景はSPAブランドとネット通販が消滅してしまわない限りは実現されることは絶対にない。
そのことを理解していないのではないか。

48歳の当方ですら、DCブランドブームの狂乱をうっすらと覚えている。
ましてやそのころには就業していた50代以上の今の流通幹部にとっては、そのころの成功体験は鮮明に残っているのだろう。

しかし、年配層がノスタルジーをいくら追求したところで、時代が逆戻りすることはあり得ない。

当方の父親は若い頃、金がなくなったらよく質屋に時計を入れていたというが、今ならメルカリで販売することだろう。
質屋がすべてなくなるわけではないが、それでもかつての質屋がすべて残っているわけでもない。

もうメルカリを消滅させることはできないし、メルカリがなくなったところでヤフオクは残る。

アパレルの上層部も流通の上層部もいつまで20年前のノスタルジーの幻影を追い求めるのだろうか。
年配層がノスタルジーを追い求めれば求めるほど現状とは乖離していく。
年配層のノスタルジー追求は百害あって一利もない。むしろ有害だといえる。

アパレルも流通も上層部が現実を直視しない限りはますます苦戦し続けるだけのことである。

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「大量生産・大量販売から脱却する」という意味不明なルミネの主張

ルミネという商業施設のコメントはどうしていつも屁理屈臭が漂うのだろう。
これこそ企業の風土というやつかもしれない。

ルミネの夏のセール日が決定 昨年と同時期の7月末から
https://www.wwdjapan.com/635519

今年の冬セールは他の施設とほぼ同時の1月4日から開催したが、夏セールは他の施設から遅れて7月27日からするそうだ。
で、遅らせる理由だが

広報担当者は「しっかりとプロパーで販売し、適正な時期にセールをするという方針を取っている。これまでと変わらず、大量生産、大量販売から脱却し、素材やデザインにこだわった商品の価値を丁寧に伝えて販売していく」としている。

と書かれており、はっきり言って意味不明だ。
ルミネは真面目のこんなことを考えているのだろうか。だとしたら上層部は相当アレな人がそろっている。

そもそもルミネというファッションビルに入店しているテナントブランドのほとんどは「大量生産・大量販売」である。

例えばルミネ新宿を見てみようか。

1階にはユナイテッドアローズとトゥモローランドという「ほぼSPA」化した大手セレクトショップである。すでにこの2店でも相当に大量生産・大量販売だ。大量生産・大量販売という仕組みがなければこの2店はここまで大手になっていない。

2階にはガリャルダガランテ、デミルクスビームス、ドゥージィエムクラス、マークジェコブス
3階はイエナ、ピーチジョン、グレースコンチネンタル、ルシェルブルー
4階はユナイテッドトウキョウ、スピック&スパン、ブラックバイマウジー

などというふうになっており、目玉テナントはすべて大量生産・大量販売である。
そうではないと完全に言い切れるのは4階の大塚呉服店くらいだろう。その大塚呉服店とて、仕入れている着物のうち何割かは大量生産品が含まれている。

現代の大手アパレルブランドで大量生産・大量販売でないところはない。

「素材やデザインにこだわった」と陳腐化した言葉を並べているが、ルミネ内の店以外でも同じ商品が並んでおり、ルミネ内の店で買う必要性はまるでない。

以前に、バーゲンセールを後倒しし始めた際に持ち出したルミネの屁理屈は「産地の保護」だった。
しかし、上記のテナントにどれほど国内生産品が並んでいるのか。上記のテナントが扱っている商品はほぼアジア工場で生産されている。
生地や染色加工の段階にまでさかのぼれば、国内品比率が増えるが、縫製段階で限っていえば、当時ですら97%(数量ベース)は海外製造品だ。「産地の保護」で掲げている「産地」というのはどこを指しているのか?アジアの縫製工場のことか?
まったく笑わせてくれる。

ルミネの「理由」を聞いて前回も今回も納得する人がいるのだろうか。
いるとしたらその人たちの頭の中身は相当におめでたい仕様になっている。

で、これらのルミネの目玉テナントの各ブランドのウェブサイトに行くと、すでにウェブ上では一部セールが5月から始まっている。
ZOZOTOWNも5月にすでに大々的なセールを行っているし、割引きクーポンの乱発は日常茶飯事だ。

ウェブだけではない。実店舗でも今年は夏のセール開始が早い。
ショッピングセンター内や都心路面店では5月半ばから「店内一部セール」「最大〇〇%オフ」というデカイ看板が掲げられているし、ストライプインターナショナルとそれに触発されたブランドが毎日「タイムセール」を繰り返している。

言ってしまえば、消費者は常に割引品を買うことができる状況にあり、ネット通販の進展によってそれはさらに周知されている。
突き詰めればネット通販の最大の集客手法は「安売り」だからネット通販が盛んになればなるほど、各サイト間の競争は激化して安売りは進む。ZOZOTOWNの5月の大セールや割引クーポンの乱発はそれを証明している。

2008年ごろまでのインターネットがそれほど普及していない時代なら、ネットと実店舗は違うという理屈でも押し通せたかもしれないが、これほど多くの人が日常的にインターネットを使用している状況下ではその理屈は最早通用しない。
それにルミネのネット通販、アイルミネも早期に割引セールを行っている。自社のサイトがやっていることを実店舗で否定する意味がわからない。こういうのをダブルスタンダードというのである。

加えて、常に店内に「値下げセールコーナー」を持つユニクロ、ジーユー、GAP、ストライプインターナショナルの各ブランド、アダストリアの各ブランド、などのSPAブランドが浸透している。
消費者からすると、店内に見切り品コーナーがあることは最早常態と化している。

このような状況下で、90年代の遺物のような夏と冬の年二回の大幅値下げセールに固執する意味があるのだろうか。
当方はまったくないと思う。ルミネで値下げされていないブランドだってそのブランドのウェブサイトでは値下げされているのだから、そちらで買えば良いだけのことである。

こうなると、いくら、大手流通が「セール後倒し」を叫んだってもとには戻らない。
ネット通販とSPAブランドがすべて壊滅しないと実現できないので、事実上実現不可能ということである。

となると、ここでやらねばならないことはノスタルジー丸出しでの「セール後倒し」模索よりも、SPA方式での売れ行き不振商品の自動的段階的値下げである。それとともに、ZARA式の「売り切れ御免」方式を組み合わせるマーチャンダイジングの模索であろう。

ZARA式を取り入れることで「値下げまで待てない」という心理を消費者が持てば、セール品は減る。
それでも売れ行き不振商品が出るならそれは、企画と販売が下手くそなせいだから、諦めて値下げすればいい。
後生大事に定価で抱えていても最終的に投げ売るよりも早い段階で、30%オフくらいで枚数を減らした方が利益率が高いはずだ。
また、廃棄するにも廃棄料としてカネがかかるから、不振だと気が付いた段階で少し値下げする方が適切な処置だといえる。

定価で買うのは嫌だが、30%オフでこのデザインなら買っても悪くはないと考える消費者は多い。

まとめると、

・SPA方式の自動的かつ段階的値下げ
・ZARA方式の「売り切れ御免」の商品手配の確立と、商品企画の精度向上

セール後倒し派はつまらない日程操作よりも、この2つに注力すべきだろう。

それにしてもルミネの主張はいつもまったく共感も支持もできない。

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そんなルミネに関する本をAmazonでどうぞ

無印良品の記事からわかるインフルエンサー の言葉のいい加減さ

経済系インフルエンサーとか著名コンサルタントとかいう人の言説を見ていると、「この人本当に売り場で商品を見たことがあるのかな?」と感じることがある。

例えば、先日流れてきたこの記事。

UMS主義者、かく語りき――衣のユニクロ、住の無印良品、食のサイゼリヤ
http://bunshun.jp/articles/-/7665

この人はユニクロ、無印良品、サイゼリヤを衣食住のそれぞれの分野で評価している。
個人的には、そこの好みは同じである。
ただ、当方は住、インテリアにはほとんど興味がないので、まったく買わない。
この3つのブランドはたしかに低価格・高品質を地で行っていて、低価格で良い商品が手に入る。

だから主張していることの8割方は賛同できる。

しかし、賛同できない部分もある。
出だしのApple製品がナンタラでイヤホンの音質がドウタラでという部分は当方にとってはどうでもいい。
当方は音楽にはまったく興味がないし、その微細な音質の違いなどもっとどうでもいい。
どうでもいいことで1ページ目は終わっている。

疑問を感じる箇所は2つだ。

まず、3ページ目の無印良品についてだ。ここがはっきり言って最大に疑問を感じる。

無印良品のデザインに飽きがこないのは、それが独自の基準で練り上げられているからだ。それが証拠に、無印良品の家具や生活雑貨はほとんどが超ロングセラーで、デザインの変更は滅多にない。本当に良いものをつくれば、あとから新製品を出す必要はそもそもない。

この箇所は疑問で、そこまで無印愛を語っているのに、この人は商品を見ていないのではないかと感じられる。
もしくは見ているのだろうけど、ほとんど記憶していないかのどちらかではないか。

ここに、的確な突っ込みがあった。ご紹介しよう。

まず、これ。

続いて核心を突いたこのツイート。

もうこれが答えである。

無印良品は頻繁に商品のデザインや仕様をマイナーチェンジするし、新商品も発売し続けている。
これが事実である。

インテリア商品に関しては比較できるほど見ていないので、衣料品で考えてみようか。
衣料品に限っていえば、毎年商品のデザインや仕様、素材が変えられている。
デザインの変更が滅多にないと見えるのなら、それは商品を見ていないか、昨年の商品を記憶していないかのどちらかでしかない。

例えば、昨日のブログで紹介した「脱げにくいフットカバー」。
昨年はミディアムグレーがあって、それを購入した。しかし今年はミディアムグレーは廃版となっており、再販されていない。
もっといえば一昨年の同商品とは履き口のゴムと編み方が異なっている。一昨年の同商品の方が履き口が伸びやすい。
それを昨年改良しており、今年はそれを引き継いだ設計となっている。

また、14年前の冬に買ったウールのカーディガンと、13年前に買ったウールのカーディガンは一見すると同じシリーズだが、サイズ感や生地の厚さが異なっていた。

14年前の冬にウールのカーディガンを買った。
ベージュの丸首カーディガンで前身ごろの左右に紺色のアーガイルチェック柄があった。

実はこれはVネックもあり、そちらも本当は欲しかったのである。
Vネックはミディアムグレーを買うつもりだったが、金がなかったのでベージュの丸首だけを買った。

そして、翌年、Vネックのミディアムグレーを買った。一見すると同じだが、なんか違う。

まず身幅のサイズが違う。
ベージュの丸首はほぼジャストサイズ(細すぎず大きすぎず)だが、グレーのV首は今でいうオーバーサイズっぽいゆとりがあった。

あれ?おかしいな。

生地の厚さはベージュの方が厚く、グレーは意外に薄かった。

結果としては似て非なる商品だったといえる。
無印良品の衣料品は毎年こんな感じでマイナーチェンジされていて、同じ物を買うことは二度とはできない。

これは毎年の商品をきちんと把握していれば容易にわかることで、無印愛を語りながら、それを把握していないというところに疑問を感じる。

また傾向は異なるがこの部分も疑問だ。

デフレ真っ盛りの頃に取りざたされた、ひたすら低価格を追求する商売とは一線を画している。安さだけではアジアでは通用しない。

この3ブランドがアジアや中国で好調なことに触れた部分だが、「安さだけではアジアでは通用しない」という書き口に違和感がある。
安さだけで通用しない国は日本が最右翼である。
だから安さを売りにしたオールドネイビーは売れずに撤退したし、安さだけしか取り柄のないフォーエバー21はジリジリと店舗数を減らし続けている。

97年、98年の価格破壊ブームの時に170円スニーカーを発売して注目を集めた靴のヒラキがビッグブランドに成長できなかったのも同じである。

安さしか取り柄がなかった韓国のビッグブランド「MIXXO」「SPAO」はあえなく日本から姿を消した。

そうそう、フランスのカルフールも日本から撤退してしまっている。

経済系インフルエンサーや著名コンサルタントの多くは、戦略論や概論はさすがだと唸らされるが、商品や商品価格に踏み込んだ場合、首を傾げたくなるような記述がある。

結局のところ、この手の人はそれほど熱心に商品を見比べていないし、商品にはそれほど興味はないのだろう。
そのあたりは起用する企業やブランドが人の用途を使い分けるべきだろう。

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そんな無印良品の商品をどうぞ

ジーンズカジュアルチェーン各社の状況はさらに厳しさを増している 夜明け前どころか真夜中の暗さ(追記あり)

最近、ポジショントークな人々が「ジーンズカジュアルチェーン店に復活の兆し」と言い始めているがまったくそれは感じられない。

ライトオン、マックハウス、ジーンズメイトの全国チェーン店3社はピーク時の売上高に比べると著しく売上高を低下させたままだ。

売上高1000億円あったライトオンは800億円を割り込む勢いで推移している。
ライトオンの2018年8月期見通しでは売上高770億円となっている。

マックハウスは売上高500億円台から転落して、2018年2月期決算では売上高308億5200万円にまで低下している。

ジーンズメイトは先日も書いたが、ピーク時300億円台の売上高だったが現在は95億円しかない。

その差額はライトオンで230億円、マックハウスで200億円、ジーンズメイトも200億円以上で、3社合計で700億円近くも売上高が低下している。

ジーンズメイトの売上高が回復基調にあると見る人もいるが、それは低下し切って底打ちしたからだといえる。
売上高95億円では最早、全国チェーン店とも大手とも呼べない。

もともとの売り上げ規模が大きかったこの3社の苦戦が報じられる中、地域密着の有力チェーン店は減少しつつあるとはいえ、残存していた地域チェーン店はさまざまな工夫を凝らしてこれまで生き延びてきた。
健闘と評される地域チェーン店も少なからずあった。

だが昨年あたりから、健闘と評されてきた地域の雄も息切れし始めているように見える。

具体的な地域名は挙げない。
地域名を挙げると、地域密着型の雄直チェーン店は、たとえ店名をボカしてもすぐにわかってしまうからだ。

先日、お目にかかったカジュアルウェアメーカーの社長は、銀行から某地域の有力チェーン店への納入を縮小するように勧告されているという。

その話を聞いたときに、当方は「まさかあのチェーン店がそこまで追い詰められているとは・・・」と驚きを隠せなかった。

銀行はそのチェーン店が相当に資金繰りに苦しんでいることをつかんでおり、帳簿上の計算では、最悪、経営破綻に至ると判断しているのである。
また、別の地域店は、これまで根強い顧客がいたが、それも徐々に時代の流れとともに減り始めており、表面化していないが、内情は相当に厳しいという噂が、昨年あたりから聞こえてきた。

さらに別の地域店も同様の状況で、好調な店舗もあるものの、苦戦している店舗もあるようで、会社としての売上高は低下傾向にあるといわれている。

今、挙げた3つとも、ジーンズカジュアル業界なら誰でも知っている各地域の有力チェーン店であり、ライトオン・マックハウス・ジーンズメイトの全国チェーン店3社のみならず、これまで踏ん張ってきた地域有力店もそろそろ持ちこたえられなくなりつつあるといえる。
もちろんいまだに踏みとどまっている有力チェーン店もあるが、全社そろって隆とできるような状態ではなくなりつつあるということになる。
これも時代の流れだろう。

これらの状況を目にしている当方とすると、業界の一部から挙がっている「ジーンズカジュアルチェーン店の夜明けが近い」という言葉は何を指しているのだろうと理解に苦しむ。
夜明けが近いどころか草木も眠る丑三つ刻としか思えない。

ではジーンズカジュアルチェーン店はどうしてここまで衰亡の危機に瀕しているのだろうか。

理由を考えてみたが、客を奪われたからとしか考えられない。
ユニクロ、しまむら、グローバルワーク、GAP、ローリーズファーム、無印良品、ハニーズなどの低価格SPAカジュアルブランドに客を奪われたと当方は見ている。

もちろん、彼らもその登場時からすんなりと客に受け入れられたとは思わない。
どのブランドも初期のころのジーンズはひどく安物くさかった。
90年代後半にユニクロが急成長しているときのジーンズでさえ、はっきりというと色合いから生地の風合いすべてがダサく、エドウインやリーバイスのジーンズには見た目は遠く及ばなかった。

メディアでは「2900円でこのクオリティ」と過剰に持ち上げていたが、あの当時のデニム生地は、ジーンズメーカーに比べるとへんてこなブルーのトーンだったし、リーバイスのパクリみたいな赤いタブもダサかった。
例え2900円でも買う気にもならなかった。

それが徐々に修正されて今に至っている。
黙っていたらユニクロのジーンズだとはわからないレベルにまで達している。

その他のブランドも同様である。
おまけにリーバイスやエドウインのジーンズよりも最低でも3000円くらいは安い。
安くて見た目に遜色がないのであれば、だれでも安い方で買う。

また商品以外でも、ジーンズカジュアルチェーン店の店作りや品ぞろえは今の消費者の気分をとらえていないといえる。

ユニクロやジーユーや無印良品を見慣れた目で見ると、チェーン店は明らかに雰囲気が異なっている。
前者の多くが、白を基調とした無機的でモダンな感じの内装が多いのに対して、チェーン店はなんとも言えない中古感のある店作りや品ぞろえに特徴がある。

どちらが正しいとか正しくないとかではなく、消費者の気分にチェーン店の内装や店作りは寄り添えていないといえる。

今の消費者の多くは、そういう中古感や土臭さ、ワーク特有の汚さを好まず、白を基調としたモダンでシンプルでツルっとした内装や店作りを好むのではないだろうか。
そういうモダンな店を見た直後にワーク感の汚い店を見ると、やっぱりかなり雰囲気が違うと感じる。

( ジーンズカジュアルチェーン店は大抵こんなイメージ。これが今の消費者には受け入れられにくいのでは?)

それはチェーン店の特徴だから工夫して残すべきだと考えるが、同時にもう少し現代風にアレンジしても良いのではないかとも思う。
ここを解決しない限りにおいて、チェーン店が再浮上や急回復することはあり得ないだろう。

とはいえ、マックハウスの新業態のような劣化版ユニクロみたいな店作りも商品をさらにチープに見せるだけなのだが。

社員の士気を高めるためにチェーン店各社の経営者が話を盛ることは仕方がない側面がある。
しかし、それに第三者や第三者機関までが同調してどうするのか。
かえって世間をミスリードするだけである。

この課題を乗り越えるのはなかなか難しいのだろうと思うが、水戸のジーンズカジュアルショップだった「ポイント」がアダストリアホールディングスへと転身できたのだから、不可能ではないのだろう。成功する可能性は決して高くはないが。

(追記)6月8日に静岡の地域有力チェーン店であるジーンズショップオサダの経営破綻が伝えられた。

静岡県を中心に17店舗展開 カジュアルウェア(株)ジーンズショップオサダが民事再生法を申請
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180608-00010009-biz_shoko-bus_all

このブログの文中で、「銀行から取引を止めるように勧告されている先」として名前を伏せたのがこのジーンズショップオサダだった。
奇しくもこのブログをアップした日に経営破綻が発表された。
他の地域有力店も決して安泰ではない。

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ライトオンの自社ブランド「バックナンバー」の和紙繊維のシャツジャケット。
こんな珍しい商品もそろえているけど、イマイチ認知されていないのも苦戦の要因。

前年増減比をつなぎ合わせただけの折れ線グラフは意味がない ~ジーンズメイトの決算資料より~

企業やブランドの業績を測る指標には様々な物があり、それを複数活用して見定める必要がある。
しかし、最近、活用に疑問を感じるのが「前年比増減の折れ線グラフ」である。

トウキョウベースを除く上場企業は一応の目安にしてもらう目的から、月次売上高の増減を開示している。

〇月度 〇%増というやつだ。

当然のことながら、年間通じて増収するブランドでも単月で見れば前年割れすることもある。

この「〇%増、〇%減」をつなぎ合わせて折れ線グラフとして、その企業やブランドの好不調を論じるむきがあるが、はっきりといえばミスリードを引き起こすだけでほとんど有害ではないかとさえ思う。

例えば、先日開示されたジーンズメイトの決算報告用の資料を題材に取ろう。

http://www.jeansmate.co.jp/data/uploads/ir/2018/05/resuits_30.pdf

ジーンズメイトの2018年3月期決算をどう読むかだが、ライザップやジーンズメイト側は高評価をしてもらいたいから、「好調だった」「回復傾向にある」という認識を示したがる。
それは致し方のないことであり、どの企業だって多かれ少なかれ手前味噌な持ち上げ方をしている。

問題は第三者がそれをどう判断するかであり、その場合、ライザップやジーンズメイトへの忖度は必要ない。
忖度は一切不要だ。

現在という時代は国も企業もブランドもロビー活動が盛んである。
ロビー活動の成否がコトを有利に運ぶ。
ジーンズメイトの決算に対して、過剰に持ち上げる第三者もいるが、それはロビー活動の成果なのではないかとさえ思う。
ロビー活動の成果のゆえに生まれたポジショントークともいえる。

第三者は事実に基づき淡々と断じればそれで良い。

ジーンズメイトの2018年3月期決算を改めて見てみる。
今回の決算で最も重要なことはライザップ傘下に入った初年度とかそんなことではない。
今回気を付けなくてはならないのは、決算期変更による13か月の変則決算だということである。
1か月前年よりも多いから、増収増益して当たり前だということを前提条件として頭に入れておかねばならない。

売上高 97億2700万円
営業損失 6億900万円
経常損失 5億9100万円
当期損失 7億8900万円

で終わった。
赤字幅縮小という報道があったが、13か月やっているんだから縮小して当然である。
それよりも特筆すべきは10期連続の赤字というところだ。

また2017年2月期の売上高が91億9500万円だったことからすると増収していると見えるが、13か月分あることを考慮すると手放しの増収とは呼べない。

2017年2月期は、1か月あたり平均7億6600万円の売上高があった。

2018年3月期は、1か月あたり平均7億4800万円の売上高があった。

このため、仮に2018年を12か月の通常決算で行った場合、2017年よりも売上高合計は下がる可能性がある。
1か月平均売上高は2018年の方が少ないのである。

これを見て、「回復傾向にある」と論ずることができる第三者は一体何を根拠としているのだろうか?

さらに疑問な数値が先ほど挙げた決算説明資料である。

既存店売上高(13.3ヶ月比較)が、15期ぶりに 対前年プラスに転換

とあるが、その根拠となる「前年比増減の折れ線グラフ」は突っ込みどころが満載であり、これに納得する第三者がいるなら、その見識を疑う。

その前に、15年間既存店売上高がマイナス続きだったというのはなんともすさまじい不振といえる。

 

このグラフに沿って見てみようか。
2003年2月期は前年比102%だった。いわゆる2%増である。
翌年から減少が始まっており、ピーク時は2011年2月期の約20%減である。
その後持ち直しても前年実績をクリアすることなく、ようやく2018年3月期で106%になった。6%増である。

その増減率だけで折れ線グラフを作るとこのようになるが、こんなものに何の意味があるのだろうか。
このグラフからだけではまったく事実は浮かび上がらない。

増減率はバラバラではっきりした数字がこのグラフから読み取れないので、仮に15年連続で前年比10%減が続いたとしよう。
これでもおそらくは甘めの設定である。

2003年の売上高を1とすると、2004年は0・9になる。
2005年は0・81となる。
この調子で0・9をかけ続けてみてほしい。

0・25以下にまでなる。正確には0・229である。

要するに2017年時点では2003年の既存店売上高の4分の1以下にまで縮小してしまっているといえる。

これで2018年が6%増したと言っても、0・24になっただけで、2003年の既存店売上高には遥か遠く及ばず、その当時の既存店売上高の4分の1にも満たないということがわかる。

これのどこが「好調」だといえるのだろうか。
たしかに底打ちとはいえるかもしれないが、上昇基調とか回復傾向とまでは口が裂けても言えない。
言える人はポジショントークをしているのだろうと思う。

企業、ブランド側は自社の業績を良く評価してもらいたいからこの手の「資料」を提示する。
しかし、第三者であるマスコミや評論家がそれを鵜呑みにすることはどうかと思う。
実際の実績はどれくらいだったのかを計算してみるくらいの一手間は必要なのではないか。

みだりにポジショントークをすることは、ミスリードを引き起こすので百害あって一利なしだ。

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そんなライザップの特集本をどうぞ。

ワールドの投資案件が冴え始めるも過去の失敗を繰り返さないことが望まれる

先日、ワールドがクラウドファンディング大手のキャンプファイヤーとの資本業務提携を発表した。

ワールド/クラウドファンディングのキャンプファイヤーと資本業務提携
https://www.ryutsuu.biz/strategy/k060120.html

今年に入ってからのワールドの投資案件は冴えていると感じる。
4月にもラグタグとサスティナの買収を発表した。

ワールドがラグタグとレンタルサービス「サスティナ」のM&Aを発表
https://www.wwdjapan.com/594621

「古着(ラグタグ)」「レンタルサービス(サスティナ)」を傘下におさめ、さらにはクラウドファンディング大手とも業務提携した。これまでワールドにない機能を持った企業を手中におさめており、外野から見た限りにおいては非常に効率的な内容だといえる。
win-winという言葉はあまり信用しないが、この3つの案件はwin-winに近いといえるのではないだろうか。

数年前まで意味のわからない新規事業ばかり手掛けて無駄な投資を繰り返していたワールドとは雲泥の差がある。
この2か月の冴えは、90年代後半のころの冴えを彷彿とさせるのは、単なるオッサンの感慨だろうか。

90年代後半にもワールドはその当時「旬」と呼ばれていた小規模ブランドをいくつか買収した。
もちろんレンタルサービスもクラウドファンディングもない時代である。それどころかインターネットすら存在していなかった。

古着はあったが、「大手」と呼ばれるような古着屋はなかった。

当時買収したのはコキュとミニマムという2つの小規模ブランドである。
この当時は、こういう個性派の小規模ブランドが注目されていたし、ワールドあたりも独立系デザイナーに商品デザインを外注していた。まあ、当時の看板ブランドだったオゾックもインディヴィもデザイナー・田山淳朗氏を起用して大ヒットを記録したから、「デザイナーや個性派はイケる」という社内ムードだったのではないかと思う。

当方も含めた業界の外野は、この買収に期待を持っていた。
どんな進化を遂げるのだろうと期待していた。

しかし、買収後この2ブランドが輝くことはなく、そのうちにまったく話題にも上らなくなった。
陳腐なそこら辺のSPAブランドに同化してしまって、不人気となって消えた。
文字通りブランドそのものがなくなったのである。

今回の買収は、この当時の愚を繰り返してもらいたくはないと思う。

先日、この当時、コキュの買収の担当だったという人と偶然にもお会いすることがあった。

ワールドの本社は神戸なので、関西での話である。
この当時はまだ神戸本社機能は相当に残っていた。

京都の藤井大丸にコキュの店があり、担当氏はそれを視察に行った。買収直前の話である。

担当氏はコキュの店を見て度肝を抜かれたという。

「回転寿司の回転テーブルに商品を乗せて開店させているじゃないですか」

で、さっそく、当時の上司に

「回転寿司のテーブルというアイデアは非常に面白いですが、あれをそのまま続けるんですか?新店出店するときなんかすごい費用になりますけど?」

とお伺いを立てたところ、上司は

「アホ。そんなもんそのままするわけないやろ。もっと平準化した店にするに決まってるやろ(ワールド基準のな)」

と答えたという。
ちなみに()内は上司の心の声を推測で再現してみた。

そして買収決定以後、コキュのそういう「個性的」な店作りはなくなり、平準化した陳腐でつまらないありふれたブランドとなった。
たしか、コキュの創業メンバーも次々に離脱して、最終的には誰も残っていなかったと記憶している。

結局のところ、「コキュ」という看板だけを付けたワールドの陳腐なSPAブランドが一つ出来上がっただけに過ぎなかったということである。

ミニマムも同じ経緯・同じ末路をたどることになる。

ワールドからすると、不採算・非効率な部分を廃止したといえるだろうが、その「不採算・非効率」な部分こそがその2ブランドの「面白味」だった。
個性派小規模ブランドなんて「面白味」を取ったら何も残らない。
だから「面白味」を取られた2ブランドは最終的に何も残らなかった。
それだけのことだ。

「角を矯めて牛を殺す」ということわざがあるが、角を矯正して良くしようとした結果、逆に牛の身体に負担がかかって牛が死んでしまって元も子もなくなったという意味であり、コキュとミニマムの平準化はまさに、コキュとミニマムという「牛」の角を矯めて殺してしまったといえる。

ことわざの再現ドラマを見ているようだった。

さて、今回、珍しく冴えた投資を見せたワールドだが、この90年代後半の失敗を繰り返すのかどうか。

当時のワールドとは経営陣もあらかた代わっているし(完全には代わっていないが)、スタッフも大きく代わっている。
まるまる同じ轍を踏むとは思えないが、完全に代わりきっていない経営陣に対して、正直なところ一抹の不安を感じる。

少し横道に逸れるが、非常な業界通も現在のワールドは社内で何が起きているかわからないという。
それは情報があまり出てこないからである。今、どういうことがトップの間で考えられているかは発表された案件以外は皆目わからない。

良い方向へ変わるのか、それとも・・・。

とりあえず外野からは、ラグタグ、サスティナ、キャンプファイヤーという3匹の牛の角が矯められないように祈るばかりである。

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最盛期のオゾックとは全く違う今のオゾックの商品をどうぞ。

Eコマースはアパレルブランドの起死回生の切り札ではない

製造加工業者にかかわらず、小規模個店などでもいまだに「インターネット通販への過剰信仰」が見られる。

先日、アパレルメーカーの社長と雑談したところ、取引のある縫製工場の社長が「インターネット通販を開始すればすぐさま売れると勘違いして困っている」という話があった。
最近は、工場がブランドを立ち上げることも流行しているが、実店舗・ネットを問わず売れるブランドは一握りで、その他大勢のブランドは知ってもらうことさえできずにいるのが現状である。

また、最近では新しい販路としてクラウドファンディングが注目されている。
オールユアーズのようなクラウドファンディング強者も現れ、付き合いのあるナインオクロックも連戦連勝ではないが、クラウドファンディングには比較的強い方だといえる。

こういう動きを見て、無責任に「クラウドファンディングしたらええねん」と勧めるコンサル?みたいな人も多くいる。

しかし、冷静になってマクアケでもキャンプファイヤーでも覗いてみればいい。
衣料品類、繊維製品のクラウドファンディングは山のように掲載されているが、達成しているブランドの方が数少ない。
その多くは未達で終わっている。

ネットでの情報発信をしていないブランドがいきなりクラウドファンディングしても成功率は低い。
ネット通販とて同じである。
集客できなければ、1円も売れない。

アパレル業界・繊維業界は本当にこういう「売れるツールに乗っかる」ことが大好きである。
それで今まで売れてきたから仕方がない。

高度経済成長期からバブル期にかけては百貨店に出店していればそれなりに売れた。
DCブームのころはそれに乗っかって類似ブランドを立ち上げればそのおこぼれに預かれた。

90年代後半からは郊外型ショッピングセンターに乗っかって出店していればそれなりに売れた。

メディア戦略なんてまるで理解していなくてもファッション雑誌の言うことに乗っかって広告とタイアップ記事を掲載していればそれなりに反応はあった。

しかし、ネット通販もクラウドファンディングもそうではない。
単にサイトを構築・公開しただけでは集客はできないし、物は売れない。支持もされない。
そこを理解していない人は業界には多いし、それを煽る無責任なコンサルタントやウェブ業者も数多くいる。
また、知識がないくせにそれを煽る無責任な同業他社も多い。

ネット通販を救世主かのように持ち上げるコンサルタントやメディア関係者も多いが、実際のところ集客するのに一苦労だし、集客できたところで売上高を拡大するためには、値引き販売が常態化しているのが現実である。

このところ仲良くしていただいているコンサルタントの河合拓さんがこんなブログを上げておられる。

https://ameblo.jp/takukawai/entry-12380916640.html

日経新聞の「アマゾンの風圧、日本株にも 百貨店2~4割安」という記事を受けてのことだが、Amazonだけでなく、ZOZOTOWNだってYahoo!ショッピングだって楽天だって有名な通販サイトはすべからく安売りで集客しているのである。

自身の著書である「ブランドで競争する技術」(ダイヤモンド社)から引用して

第七章 コンサルタントに踊らされた人々

 「私自身が実際に経験した話を紹介しよう。(中略)そこで、幾人かのeコマースの「コンサルタント」と会い、彼らの提案をきいた。彼らの提案の中で私が最も驚いたのは、「eコマース」と「リアル店舗」は食い合いをしない、という話だった。(中略)彼らは、一つのデータを提示し、eコマースに参入しても、リアル店舗の売り上げは落ちない、ということをあらゆる角度から説明し始める。そこで、彼らは「一刻も早くサイトを立ち上げなさいと経営者を焚きつける」

とある。
別に今となってはコンサルだけではなく、無責任な同業他社も数多い。
そして、以下が引用のキモだと思う。


「しかし、よく考えてみれば、日本でビジネスをしている以上、まったく新しい消費者が増えるようなことはなく、消費全体のの数はむしろ減っており、一人あたりの支出も減っている。新しい消費が増えるなどということはない(中略)それでは、食い合わない理由はどこにあるのか。それは、日本のブランドの二つの特徴が関係している。一つは、日本のブランドの多くは、ブランドとして確立していないため、特定の顧客を囲い込むほどのパワーをもっておらず、多くのファッション・ブランドは消費者からみればコモディティ化していること。もう一つは旧態化したチャネルから新しいチャネルに消費者が購買を移行しているということだ。(中略)したがって、勝っているブランドは食い合いを逃れ、逆に負けているブランドから消費を奪う。(中略)こうした構造を分析もせず、「リアル店舗に影響をあたえませんから」といって、負けているブランドの起死回生の一発として、eコマースを耳元でささやくコンサルの提案がいかに危険かおわかりだろうか」

とある。

要するに、日本のブランドの多く(百貨店とかファッションビルに出店しているブランド全部)は「ブランド」として強固ではないから、コモディティ化しやすい。その結果、低価格ブランドと比較されて購買されない。

また、これらのブランドの多くが「ネット通販はまったく新しい消費者を連れてくる」と勘違いしているが、実際のところは消費者の数は変わらないからこれまで店舗で買っていた人や他社のブランドを買っていた人がネットにやってくるだけである。
アパレル小売の市場規模は変わらず、どこで買うかという買い先が変化しているだけに過ぎないということである。

ネット通販はリアル店舗に確実に影響を与える。
同じ物がネットで安く売られていれば誰だってネットで買う。
ZOZOTOWNで割引クーポンが配布されていれば誰だってそれを使って安く買う。
だからZOZOTOWNに出店しているブランドの客単価は前年比20%減で落ち続けているのである。

これらのことを理解した上で、ネット通販に乗り出すならそれはそれで構わないが、これを理解せずに「地上の楽園」を夢見てネット通販に参入するのは完全なる愚か者である。

河合さんのブログには「この本の内容は古いと批判されることもある」と書かれているが、これは具体的な手段を論じているのではなく、ネット通販の根本的な構造を論じているわけだから古いも新しいもない。根本的な構造を理解せずに表層の上下動だけで判断を下す輩がいかにアパレル業界・繊維業界に多いかということの証明である。

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引用された河合さんの著書はこれね。

ファッショントレンド陰謀論は論理破綻していると思う

一部からは「トレンド不要論」「トレンド陰謀論」があるが、2018年の現在にどうしてこれを唱える必要があるのか甚だ理解に苦しむ。

2010年以降は本当にファッショントレンドの変化が緩やかになるとともに、多様化が定着してきた。
例えばズボンの形を見ると、2008年から超細身のスキニーパンツが流行した。その反動が2015年の極太シルエットのガウチョパンツブームといえる。
現在はガウチョパンツ人気から派生したワイドパンツ着用者をけっこう見かける。

これが2000年前半までの日本なら、スキニーパンツ着用者は絶滅してしまうのだが、2018年現在でもスキニーパンツ着用者はそれなりに見かける。しかもそれが「ダサい」と言われることなく、普通に街を闊歩している。

なんなら、同じ人が月曜日はワイドパンツを穿き、火曜日にはスキニーパンツを穿くというようなライフスタイルになっている。

トップスもそれまでの超タイトシルエットからゆったりシルエットが増えたが、それでもタイトシルエットトップスが絶滅したわけではない。日によって、気分によって着用し分けているというのがリアルな生活者のスタイルである。

ファッションジャンルも多岐に渡って細分化されていて、それぞれがそういうジャンルとして認められている。

アメカジ、ミリタリー、スポーツ、モード、セクシー系、ワーク系、ナチュラル系などなどだ。

80年代のようにDCブランド一辺倒とか、90年代半ばのようにビンテージジーンズ一辺倒なんていう偏りはない。

80年代や90年代、2000年前半に比べて2018年はファッションに関しては格段に暮らしやすくなっているといえる。
トレンドの変化が激しく、トレンド一辺倒だったころに「トレンド追随の愚」を説くのなら理解できるが、今、この状況でそれを唱える意味がわからない。

ファッショントレンド自体は、ローマ時代からあるし、我が国の衣服だって時代とともに流行り廃りがあって今に至っている。
平安時代と室町時代と江戸時代でそれぞれ服装が異なっているのはそのためだ。

トレンド不要論は、現在のトレンドが人為的に作り出されているという点に立脚していることに特徴がある。
トレンドを作り出しているのは、ラグジュアリーブランドであり、グローバルブランドであり、素材メーカーであり、国内アパレルブランドだといういわば「陰謀論」だといえる。

しかし、これにも疑問があって、世界的人気ブランドといえども全世界で満遍なく売れているわけではなく、各国の気質も違うので売れ行きには差がある。
例えば、ZARAだが、最近ようやく上昇基調になったとはいえ、アメリカでは進出してから20年間苦戦し続けてきた。
店舗数もいまだに100店舗もない。

フォーエバー21は、日本に上陸した当初は華々しかったが、そこから停滞しており、店舗数も20店舗に達したが、そこから徐々に減っている。

ヴェルサーチが一度日本から撤退したこともある。

ファッショントレンドはもちろんブランド側が仕掛ける場合も数多くあるが、その仕掛けが成功しないことも数多くある。
その一方で、やっぱり着こなしにはそれなりのトレンドがいつの間にか生まれることもある。

2010年ごろまでは上下ともにピタピタの細身シルエットだったが、やっぱり長年そればかり着ていると飽きてくるから、2015年ごろからはビッグシルエットやルーズシルエットを支持する人が増えた。
かといって、昔のようにビッグシルエット一辺倒にならないのが今の我が国の消費者心理なのだが。

今では冬の定番となったビジネススーツのインナーにダウンベストを着るという着こなしだが、あれはもちろん業界が仕掛けた側面も強いが、試してみて不具合があれば支持されない。具合が良ければ支持される。

多くの人が試してみて具合が良いと感じたのだろう、今ではサラリーマンのおっちゃんの多くが、ジャケットの下に薄手のダウンベストを着ている。

ところが、それが定着すると「あれはサラリーマンみたいでダサい」という声が挙がり、ジャケットの下に薄手ダウンベストを着用することを避けるファッション好きも現れてくる。

定着と揺り戻しの繰り返しがファッショントレンドだといえる。

ビッグシルエット着用者が増えると、今春夏はブラウスの前だけをタックインして後ろを垂らしているという着こなしが流行している。

https://arine.jp/articles/8799

理由はいろいろと考えられる。

1、キメ過ぎないさりげなさを演出している

2、ビッグシルエットをインせずに着ると、単に太っている人に見えやすいから、「ウエストはくびれていますよ」ということをアピールしている

3、ダラっと長く見えてしまうから前だけをタックインすることでバランスを取って、さらに足を長く見せるために腰の位置をアピールしている

などなどだ。

ファッション雑誌がレクチャーしているとはいえ、やってみて不具合を感じたらだれも継続しないが、それなりに具合が良いと感じる人が多いから継続されているといえる。

こんなふうに企業や業界の仕掛けと消費者の評価が合致すればトレンドはマス化するし、合致しなければ即座に終わってしまう。
トレンドなんてそんなもんである。

ブランドが人為的にファッショントレンドを作り上げ、人為的にマス化させることが仮にできるとするなら、どうして各国と我が国のアパレル企業はこれほどに業績を悪化させているのか。
そこまでの全能さがあれば、業績は少なくとも悪化しないはずだ。トレンドを自在に引き起こしてその商品を大衆に売りつけるのだから業績が良くなることはあっても悪くなることはないはずだ。

ところが現実は逆で、多くのアパレル企業の業績は悪化している。

安倍政権になってから我が国は株価が伸びている。
これを指して「政府だから株価を操作できる」という陰謀論を唱える者がいるが、ならどうして、民主党は政権時に株価を操作して上げなかったのかということになる。仮に操作できるのにしなかったとしたらよほどのバカがそろっていたということになる。

政治にしろ、経済にしろ、歴史にしろ過度な「陰謀論」はフィクションとしては面白いが現実的ではない。
トレンド陰謀論もこの類だといえる。

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