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「ウールのフェイクファー」とか「本物に見えるフェイクファー」をもっと売り込むチャンスなのに

リアルファーに対する風当たりが強まってきたが、リアルファー業界からの反撃も始まった。
リアルファーVSフェイクファーの宗教戦争は、ドイツ30年戦争のようにこれから長い間続くのだろうと思う。

個人的には右翼と左翼の対立のように、どちらかがどちらかを殲滅するまで終わらないだろうと思う。

まあ、それはさておき。

だったらこの隙に乗じて、ウール100%のフェイクファーをもっと拡販してしまえばどうだろうと個人的には思っている。

岡田織物のウール100%(毛足部分)のシープフェイクファー

 

ウール100%のフェイクファーなんて実は10年以上前から業界には存在する。
フェイクファーというのは通常、ポリエステルやナイロンやアクリルを使って毛足を再現するが、その代わりにウールを使うだけのことで、原材料費の高低という問題はあるにしても、技術的にはそう難しいものではない。

さらにいえば、これだけ良くも悪くも「フェイクファー」が注目されているんだったら、日本で唯一のフェイクファー産地である高野口産地はもっとニュースを発信すべきではないかと思う。

当方が初めて高野口産地の仕事に携わらせてもらったのが、2010年頃のこと。
産地企業にさまざまなフェイクファーを見せてもらったが、やっぱりフェイクファーは合繊独特の手触りがある。
その中に、まるで本物のファーみたいな手触りのフェイクファーが何種類かあった。

フェイクファーの作り方を簡単にいうと、基布があって、その基布の編み目・折り目から糸を垂直に出す。
そして裏をバインダーで止める。
この出した糸がファーの毛足になり、バインダーの工夫で、できるだけソフトでなおかつ毛が抜けにくいというのが理想的なフェイクファーであり、高野口産地はそれを売りにしている。

基布と毛足は別の素材組成になる。

だからウール100%のフェイクファーも基布は合繊生地になる。

しかし、毛足の部分がウール100%になると、まるで本物の毛皮のような手触りになる。

言葉で表現するのは難しいが、合繊のフェイクファーは脂分がなく、キシキシした手触りがある。
これに対してウールのフェイクファーは、脂分があるのでしっとりした手触りになる。

カツラでも合繊毛髪だとキシキシした手触りだが、人毛カツラは脂分があるからしっとり、ぬめぬめした手触りになる。
それと同じような感じである。

せっかく10年以上前からあるウールのフェイクファーを高野口産地はもっと積極的にアピールすべきではないかと思う。
今が絶好の好機ではないか。

それに加えて、高野口産地には、「合繊フェイクファーだけで限りなく本物に見えるフェイクファー」というのもある。
本物のキツネとかミンクに限りなく近く見えるという優れものだ。

これも10年以上前から産地にはある。

特にこの「本物に見えるフェイクファー」は産地の中でも岡田織物が得意とするところである。

岡田織物の本物に見えるフォックスフェイクファー

 

もちろん手触りは合繊フェイクファーとは変わらないが、見た目は本物のキツネやミンクにそっくりである。

これも大いに発信されるべきではないかと思う。

もちろん、産地合同展示会ぷわぷわも毎年開催されて発信はしているのだが、展示会開催以外の情報発信は本当にほとんどない。
一部の業界新聞が定期的にごく小さく報道する程度である。

一般紙、経済紙、ウェブメディアではまず見ない。

それにそのごく一部の業界新聞だって、産地側から発信しないと、時々巡回に来てネタを拾ってやっと掲載される程度にしかならない。

最近だと各地の産地でブログで近況を報告している企業も増えてきたが、残念ながら高野口産地はそれもない。

以前にも、「フェイクファーの名称を変更しよう」という会議があったときに結局はそれも果たせず、その1年後か2年後に欧米で「フェイクファーをエコファーと呼び変える」という動きになって、悔しい気持ちになったことがあると、このブログで書いたが、今もそういう歯がゆさを感じている。

高野口産地に限らず、どこの産地でも業界団体でも「組合全体が足並みをそろえて発信する」「足並みをそろえてアクションを起こす」というのは不可能である。

個人だって10人いれば意見がそれぞれ異なって意識統一することは難しい。
組合に加入している企業は10どころじゃないし、それぞれの企業も何十人というスタッフを抱えている。
だからどんなに良い議案でも必ず反対者は出るし、反対者に考慮すればするほどアクションは起こせない。

もっとも良いのは少数の企業が独断でアクションを起こすことなのだが、産地でそれをやる企業はそれほど多くない。

まあ、産地企業からすれば「そんなめんどくさいことをせずとも、既存の取引先でそれなりに食えている」ということなのだろうけど、なんとももったいないと思う。

ちなみに高野口産地のフェイクファーは安くはない。
1メートル1000円を越える生地は珍しくない。

先ほど紹介した岡田織物もネット通販でウール100%のフェイクファーや本物みたいなフェイクファーを売っているが、1メートル5000円以上になる生地もある。

しかし、高い生地だからこそ、注目が集まりやすい今、発信して「高くても欲しい」という状態にすべきではないかと思う。

それを怠ると海外(とくにアジア)の生地がまたそういう需要をかっさらうのではないかと思う。
後発の海外企業が儲けるくらいなら国内企業に儲けてもらいたいと思うのだが。

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トウキョウベースの香港店は活況なのか?売上高から入店客数を類推してみたhttps://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n78d0021044a2

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合繊メンズカジュアルスーツはマス層に広がる可能性が高いお買い得商品

先日、あるメーカーの役員を交えた会合に出席したので、50歳手前のオッサンがTシャツ1枚というのもさすがに憚れたので、先日、ジーユーで買ったスーパーストレッチドライスーツのオリーブグリーンの上下を着てみた。

暑いのが苦手なので、もちろん、上着は冷房の効いた部屋のみの着用である。
夏に上着を着ることが信じられない。

以前にも書いたが、これはジャケットの定価4990円(税抜き)、パンツ2490円(同)だが、期間限定値下げでジャケット3490円(同)、パンツ1990円(同)になったのをさらに100円割引クーポンを使って、5810円(税込み)で購入したものである。

ナイロン86%・ポリウレタン14%の平織り生地で作られている。

その画像をインスタグラムに上げて、翌日に某生地問屋の展示会に行くと、マッハの速さで即日にチェックしていた男性社員さんに「昨日、ジーユーの上下をアップしていましたね」と言われてしまった。
何これ?怖い。汗

で、ついでに話していると、その社員さんもスーツは着用するものの、ここ何年間か、とくに夏場はこの手のイージーケアスーツを着用しているそうで、その日もジャーナルスタンダードのポリエステル100%のスーツを着用しておられた。
定価は18000円くらいだったそうだ。

ジーユーの商品との違いは、価格差以外にも生地にあり、ジーユーは平織り、こちらは綾織りであり、こちらの方がシワになりにくい。さらに軽くシワ加工が施してあるので余計にシワは目立ちにくい。
ジーユーのはシワ加工のない平織りなのでシワになりやすい。実際にオンライン購入したが、そのときにすでに畳みジワができていた。
まあ、カジュアルな見え方なのでシワが入っていてもあまり気にはならないが、その部分に価格差が現れているような気がした。

ついでに気になって、ジャーナルスタンダードのオンライン通販を覗いたところ、東レの「プライムフレックス」という機能性素材を使用した2ボタンセットアップがなんと、40%オフの9020円(税込み)にまで下がっていた。定価は15120円である。

https://baycrews.jp/item/detail/journalstandard/jacket/18010600805010?q_sclrcd=036

で、何が言いたいのかというと、この手の機能性素材、リラックス素材を使用したメンズのスーツは今後さらに需要を伸ばすのではないかということである。

正確にいうと3年くらい前からジャーナルスタンダードのような大手セレクトショップで発売され始めたが、現在のところ、完全なるマス層にまで広がっているとは言いにくい。
ピラミッドの一番下の「マス層」にはまだ認知されていない状態だといえる。

マス層はトレンド追随も遅く、また所得も低い場合が多い。

しかし、この手の機能性素材のスーツは、認知さえされれば「マス層」に爆発的に受け入れられる可能性が高いのではないか。

当然、「スーツはウール生地、またはウール混生地」というこだわりを持った層が根強いことは承知しているが、そういう「こだわり」は快適さ・便利さ・安さの前にはニッチ市場でしかありえないと見ている。

断っておくと、ウールスーツが滅びれば良いとは考えていないが、今後の需要は圧倒的にあちらに流れる可能性が高いと考えている。

この手の機能性素材スーツはジーユーが最安値で、次がユニクロの感動ジャケット+感動パンツだと見ている。
その上にジャーナルスタンダードなどの大手セレクトショップの商品が位置する。

その商品群のメリットを考えてみよう。

1、イージーケア性が高い
2、ストレッチ性や速乾性があり快適である
3、価格が安い
4、保管が楽
5、カジュアルにも使える

である。

1と4は重複している部分もあるので同時に見てみる。

ポリエステルやナイロンを主体としているため、家庭洗濯が可能で、夏シーズンが終わって保管する場合も雑に保管しても虫に食われる心配がない。
ウール生地やウール混生地の風合いの良さやなんとも言えない表面感の良さは理解しているが、保管に失敗するとたちどころに虫に食われて穴が開いてしまう。
数千円で買った物ならあきらめもできるが、5万円以上で買った物だとショックの大きさが半端ではない。

また合繊主体なのでシワになりにくい。このため畳んで収納しておくことも可能で、保管に場所を取らないと同時に出張などの移動の際でも持ち運びが楽である。

2も合繊主体の生地だからこその特色である。
ストレッチ性があり、速乾性がある。汗で濡れてもすぐに乾く。
もちろん、綿やウールなどの天然繊維愛好者には評判はあまり良くないが、合繊が気にならない人は着用感に抵抗はないだろう。

そしてマスに広がる要素として最も重要な点が3の価格が安いということである。

どの道でも愛好家とか数寄者というのはほとんど変態だから、変態は愛好する物に金に糸目は付けないし、その人口は少ない。
ウールの高級スーツを愛好する人は所得の面から考えても人口は少ない。

貧困層が背伸びをして35万円のオーダースーツを買う必要なんてさらさらない。
もっとも35万円のオーダースーツが破格に高いとは全く思わない。副総理がそれを着ているからと言って叩く奴の気が知れない。

とはいえ、普通の所得者からするとぜいたく品だし、高いから頑丈ではなく、その逆で非常にデリケートで着用にも気を使うし、保管も雑にはできない。ワーキングユニホームのようにスーツを着る層からすると、非常にコスパの悪い商品であり所有することをお勧めはできない。

しかし、機能性スーツなら価格も安く合繊主体なので頑丈だ。

ジーユーで上下合わせて定価は7000円くらい、ユニクロの感動ジャケット+感動パンツは定価で9000円くらいである。
そしてジャーナルスタンダードで15120円だし、ユナイテッドアローズやビームスでも1万円台から2万円台で売られている。

ドゥクラッセで14000円くらいだ。

圧倒的に価格が安く、これなら普通に働いている人ならだれでも1着か2着買える。
しかもカジュアルブランドと違って、ロゴマークやロゴプリントが付いているわけではないから、ジーユーやユニクロを着ていてもほとんどバレない。

青山やAOKI、はるやま、コナカに行かずとも有名なセレクトショップでも1万円前後で買えてしまう。

青山などにもストレッチ混やウォッシャブルのビジネススーツはあるが、カジュアルシーンには使いにくい。

あくまでも見え方はビジネス用だ。
しかし、ジーユーを最下層とするセットアップはカジュアルにも使える見え方であるから、こちらの方が利用頻度が高くなり、コスパが高い。

認知さえ高まればマス層のサラリーマンは飛びつくことが予想される。
一方、青山やAOKIなどの大手スーツ専門店は、夏の客をセレクトショップやSPAカジュアルブランドに取られる可能性もある。

50歳手前のオッサンたる我が身からすれば、この手の楽チンな商品がもっと広がって欲しいと思うが、さてさて、どのブランドがどのように市場を占有するのか興味を持って見守りたいと思う。

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ジーンズの洗い加工はレーザー光線で行う時代
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時流に応じてアップデートできることが本物の「伝統」

先日といっても3月末のことだが、とある会合で、以前から面識があった「ごのみ」という雑貨ブランドを展開している方と久しぶりにお会いした。

西陣織の技術を生かして数年以上前から活動されている雑貨ブランドなのだが、その日は、「正絹ではなく、摩擦に強いポリエステルで織った生地を使いました」というポーチを持ってきておられた。

「ごのみ」のポーチはこんなイメージ

これは正解だと思う。

バッグやポーチは自分や他人の身体と常に摩擦するから、摩擦に弱いシルクは不適合である。
バッグ類や名刺入れなど、摩擦して当然というアイテムには、いくら西陣織の伝統だからといって頑なに正絹を使うのは最低の愚策だと思う。
それこそ、製造側の自己満足にすぎず、消費者のことは何も考えていないのではないかと思う。

こういうことを書くと、製造業の人の多くはお怒りになるのだが、何も正絹の西陣織を否定しているわけではない。
それはそれとして技術伝承すれば良いし、製造し続ければよいと思っているが、用途も何も無視して頑なに正絹を何のアイテムにでも使用することは全く意味がないと言っているだけである。

現在、和装に限らず、日本の製造業には共通する宿病なのではないかと思う。

例えば、漆器にしろ銅器にしろデニム生地にしろ同じではないかと感じる。

デニム生地だと、製造業者の多くは「〇〇年代のビンテージ感覚あふれた凹凸感のある表面感、綿100%で厚みのあるデニム生地」が最高だと認識しているし、実際のところ当方だってそういうデニム生地を見るのは好きである。

ただし、当方の場合は、50歳手前の初老になっていることもあり、洋服に対して「我慢」することはしたくなくなっている。
シルエットやパターン(型紙)、サイズ取りにもよるが、綿100%厚地デニム生地で作られたジーンズは動きにくいのであまり穿きたくない。ここ5年間で綿100%ジーンズは1本も買っていない。

とくに細いシルエットのスキニージーンズが全盛だったということもあるだろう。
あんなものを綿100%で作られたら、拘束衣でしかない。

スキニージーンズならストレッチデニムでないと不快で仕方がない。
極太のワイドシルエットジーンズなら綿100%厚地デニムでも苦痛はかなり軽減される。

要するに用途やシルエットによって生地を使い分ければ良いだけの話ではないのか。

だが製造業者や愛好家の中には「ストレッチ混デニム生地は邪道」という人がいまだにいる。

漆器だってそうだ。
昔ながらの外側が黒で、内側が赤い手塗の漆器がある。
それはそれでよいと思うが、いかんせん値段が高すぎる。
味噌汁椀が3万円とか平気でしてしまう。

一方、職人の手間を考えれば、それは妥当な値段であることは間違いない。

しかしながら、今、あのデザインの3万円の味噌汁椀が欲しい人がどれほど存在するだろうか。
当方は買わない。

日常使いには値段的にもったいなくてできないし、かと言って、漆器を鑑賞用にする趣味もない。

職人側も売れないことには生活が成り立たない。
だったら、現在、売れるデザイン、売れる値段に漆器をリニューアルさせるしかない。

くどい様だが、伝統的な漆器を全部やめちまえと言っているのではない。
それはそれとして「伝統モデル」とか「クラシックモデル」とか「ハイエンドモデル」とか名称は何でもよいが、そういう形で製造し続ければよい。
リニューアル品で儲けたカネでそれを作り続けて伝承し続ければよいだけのことではないのか。

何が何でも旧来品を旧来の値段で売ろうとする方がよほど傲慢ではないかと思う。

デニム生地しかり西陣織しかりだ。

旧来の文物をそのまま保存したがるのは日本の良いところであり悪いところである。
長所と短所なんて同じ性質の見え方が異なるだけだから、良い方に発揮されたのが古い文物が今も残る日本であるし、悪い方に発揮されれば旧来品を旧来の値段で頑なに売りたがる製造業、ということになる。

良い事例も少し挙げておくと、当方の浅い知識では繊維から離れてしまう。

中華で散逸した文献が我が国だけで残っているということはよくある。
宋版史記なんかもそうだ。
これは略奪したのでもなんでもなく、我が国はそういう保存文化なので散逸を免れたということである。

正倉院の宝物として教科書なんかによく掲載されている琵琶がある。
阮咸琵琶というのだが、三国時代末期といえば良いのか、魏晋南北朝時代初期といえば良いのか迷うところだが、西暦3世紀ごろの中華では、「竹林の七賢」という政府高官であり文化人でもある7人グループがあった。
そのうちの一人が阮咸という人物で琵琶の名手だったという。彼が愛用した形の琵琶をそれにちなんで阮咸琵琶と呼ぶようになったが、本場の中華では相次ぐ戦乱によってとっくの昔に阮咸琵琶は消滅してしまった。
しかし、我が国の正倉院には今もそれが残っている。

雅楽なんかも中華では滅んで我が国には残っている文物の一つといえる。

そういう風土なので、旧来の物を旧来の値段で売りたがるという心情もわからないではない。
しかし、いくら「伝統ガー」とか「本物ガー」と叫んでみたところで要らない物は要らない。
大衆が欲しがらない物にいくら「伝統」とか「本物」というキャッチフレーズを付けてもマスには売れない。

時流に合わせてアップデートした物を売りながら、守りたければそれを売ったカネで旧来品を作ってその技術を伝承し続ければよいだけのことだと思う。

そのように考えれば、伝統工芸品に限らず、洋服もまだまだ新しい切り口があるのではないだろうか。

スポーツウェア用の素材を使ったストレッチ性があり洗濯性もあり、シワになりにくいというスーツがあちこちから発売されている。
ミズノのムーブスーツとかビームスのトラベルスーツとかはその代表だろうし、それの廉価普及版がジーユーのカットソースーツであり、スーパーストレッチドライスーツだと思う。

「スーツは純ウールまたはウール高混率素材しか認めない」

という原理主義者から見るとこれらの商品はいかにも邪道だが、利便性からこれらの商品を選ぶ消費者も増えている。
見た目が著しくおかしいならこれらの商品は到底売れないだろうが、見た目が従来のスーツと変わらなく、価格も値ごろだから当たり前に売れる。
決して消費者の感性が退化したわけでもなく、スーツの伝統が破壊されているわけでもない。

ロングランな商品はつねにアップデートされるものだし、派生品も数多く生み出される。

そのあたりを冷静に考えないと、本当に製造業は終わってしまう。
自分の代で廃業するなら守旧し続ければよいが、生き残りたいなら時代に適応するべきであり、守旧したままで生き残りたいというのは虫が良すぎる願望だろう。

当方が「まったく働かずに月給100万円欲しい」というのと同じくらいに虫が良すぎる願望だといえる。

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心斎橋筋商店街がドラッグストア街に変貌した理由とこれまでの変遷の推移
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竹林の七賢についてはこんな本で

日本の繊維関連工場の技術は高いのか低いのか?総悲観論も楽観論もナンセンス

現在の、日本の製造加工場の技術が高いのか低いのかという議論があるが、一概に高いとも低いとも言えないのが実情だと考えている。
とくに繊維関連では、その傾向が強い。

繊維分野においては、技術の高い低いとは何かという部分の見極めが難しい側面がある。
上質とされる生地、糸は「風合い」が良く、希少性の高さを評価されることが多いと感じるが、その一方で耐久性はまるでないことも珍しくない。
一方で、合繊メーカーが主導で開発するような機能性繊維・機能性生地は、機能性の高さが高品質だとされる。

ここが繊維分野のめんどくさくてややこしいところで、二つの評価軸が入り乱れている。

近年の風潮では、中国やアジアの工場の技術水準が上がり「日本ではできないが中国でならできる」という生地も多く見られるようになった。
例えば、手編みセーターを量産することは最早日本では難しくなっていて、数年前までは中国がその量産基地だった。

また、ハイキックストレッチデニムは日本の工場ではなく、トルコのISKOが最初に開発したもので、ユニクロのウルトラストレッチデニムも初期はほとんどがISKO製ハイキックストレッチデニム生地を使用していた。
またISKOは変型版二重織りストレッチデニムの特許を獲得していて、一見、裏毛(編み物)に見えるデニム生地(織物)はISKOが独占的に製造できるようになっており、そういう技術面からいえば、ある意味で日本よりも技術水準が高いともいえる。

じゃあ、日本の工場の技術が低いかというとそうでもない。
以前に取材した松原市のスポーツ靴下製造工場コーマは、旧型の編み機を使って3D編みを実現している。
足裏の部分部分によって編みの厚さを変えるという技法で、これを旧型の編み機を使ってやれる工場は数少ない。
工場というより工員が少ないと言った方が適切だろうか。
中国やアジアの最新鋭の編み機でもできないともいわれている。

このように一概には、高い低いが言えないのが繊維分野の技術であり、これは他の分野でも同様なのではないかと思う。

中国やアジアに追いつかれたことで危機感を募らせて、日本衰退論を唱える自虐的な人が多いが、中国が経済発展し始めて25年くらいが経過している。
赤ちゃんだって25年も経てば結婚するくらいにまで成長するのだから、中国やアジアの工場の技術が進歩するのは当然といえる。
逆に25年間進歩しないのなら、よほどのアホがそろった国だとしか言いようがない。

一方、繊維分野に限っていえば、国内工場は設備投資がほとんどされず人員も補充されなかったから、できないことが増えるのは当然で、それでもかつての水準を全分野において維持せよというのは、タケヤリでB29を落とせと言っていた旧日本軍と同様のアホな精神論でしかない。

それぞれの分野ごとで是々非々で比較対象し、努力するほかない。
極端な楽観主義も意味がないが、総悲観主義も意味がない。

日本よりも前に繊維製造大国だったのはアメリカだが、アメリカには現在ほとんど繊維の製造加工業は残っていない。
製造基地の海外移転によって、なくなってしまった。
日本は繊維関連工場がアメリカに比べれば残っている方だといえる。

じゃあ、日本の次の繊維製造大国になった中国はどうか。
すでに中国でも繊維関係の工場の工員が集まらないといわれている。
目先の利益に敏い(悪く言えば強欲な)中国人だから、今後経済成長が続けばさらに繊維関連の工場は工員が集まらなくなり、いずれはアメリカのようになるのかもしれない。日本ほどは工場が残らないだろうと思う。

日本の工場の現在の弱点は、ディレクションやプロデュースする人がいない、もしくはそれに対して頑強に抵抗するという工場側のマインドが一つ挙げられるのではないかと思う。

先日、このブログで書いたように、デニム製造関連の人々は、「色落ちしないデニム」や「合繊混デニム」をことのほか嫌う。
幾人も接したことがあるが、40代以上の人々の多くからは「できればやりたくない」という雰囲気を感じるし、あからさまにそう言われたこともある。

バブル期のファッションが見直されて、その当時の主流だったモヤっと色落ちする空紡糸デニムの需要が高まっているのに、国内メーカーは長らく腰をあげなかった。
彼らからするとデニムとは、リング糸で織られて、タテ落ち感があってヒゲ状に色落ちするビンテージタイプのデニム生地が正当で、80年代の空紡糸デニムは邪道だという感覚があるからだ。

しかし、ビンテージ風デニム生地を全廃する必要もなく、需要がある80年代調デニム生地を織りながら、ビンテージ風デニム生地も作り続ければ良いだけのことだが、なぜかそういう割り切りを嫌う人が多く、その心理は理解しがたい。

以前、こんなこともあった。

某産地で、若手デザイナー(当時)が生地提案をした。これはそういう業務と内容だったからだ。
全部で3色だったと記憶している。
黄色×パープル、ミントグリーン×紫、あとグレー×黒だったという記憶だ。

このうち、生地工場はミントグリーンを作ることを拒否した。
あからさまな拒否ではなく、最初のサンプルは色のトーンをグレーベースのくすんだものに変えたのである。
デザイナーの指示した色番号ではない。

理由は「明るすぎて売れないと思ったから勝手に変えた」である。
日本の工場にはこういう癖がある。これが良いように出れば、工場のアレンジによって売れたということにもなるが、悪い方に出れば工場が指示を守らなかったから売れなかったということにもなる。
そして、両方が繊維分野に限らず多々ある。

これが日本の工場の強さでもあり弱さでもある。

それをまあ、無理やり当初通りに修正させて展示会に出展させたところ、非常に評判が良かった。
そうするとその工場の社長は手のひらを返したように「ワシは最初から売れると思っていた」と言い始めた。
繊維工場あるあるである。

売れると思っていたならどうして最初から指示を守らなかったのか。
アホらしすぎて突っ込むことさえやめた。

こんなことは繊維関連の工場では日常茶飯事だ。何も珍しいことではない。
頑強に合繊を打ち込むことを拒否していたが、無理やりに打ち込まさせるとその生地は非常に評判が良かった。
そうすると、工場の社長は「ワシは最初から合繊混がイケると思っていた」と言い始める。
笑い話ではなく、これが業界標準である。

しかし、この工場メンタリティがある限り、日本の繊維関連工場が世界に先んじることは難しいだろうと思う。
繊維に限らず、日本の工場がもっとも真価を発揮するのは、詳細が明確でないモヤっとした指示を、工場が独自にアレンジしたときであり、それでは計画的な開発を続けるメーカーやブランドには太刀打ちできないのも事実である。

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「知名度主義」の人材起用がアパレル業界を低迷させている
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80年代調のデニムアイテムはこんな感じ

スポーツ向け素材を使用した機能性スーツはメンズスーツの主流になる

ファッション初心者で顔も体型も残念な人がいたら、男性なら間違いなくスーツを着ることをお勧めする。
世のビジネスマンを見てもわかるようにスーツがめちゃくちゃ似合ってないオッサンはいない。
どんなにブサだろうとデブだろうとスーツを着ていれば「ひどくダサく」は見えない。

これがネルシャツだとかトレーナーだとかパーカだとか純カジュアル服を着るともうだめだ。
すごくかっこ悪い。
だから会社でのスーツ姿はそんなに悪くないのに、休日にカジュアル服で会うとひどくモサっとした感じになる人が多い。

スーツはある意味で「完成された形」となっているため、今後も大きくは形は変わらないだろう。
もちろん、トレンドによって細くなったり太くなったりVゾーンが狭くなったりはあるだろうけど、大きく姿を変えることは考えにくい。

しかし、今後はスーツの使用素材が大きく変わり、カジュアルシーンでの着用が増えるのではないかと思う。

普段、スーツを着用しないのでどんなに上質な商品を見ても「買いたい」とは思わない。
ところが、昨年の秋口だったと記憶しているが、雑誌を読んでいて「このスーツは一度試してみたいなあ」と思う商品があった。
オンリーの「トラベラーズシリーズ」だ。

いわゆる、出張・旅行に適したシワになりにくいスーツである。
オンリーの2017秋冬商品はウール100%素材となっているが、個人的にここに不満がある。
もちろん、従来からのスーツファンはここが良いと判断するだろうということは承知の上だ。

シワになりやすいというウールの特性を克服した点はすごいと思うが、ウールは虫に食われるという欠点がある。
保管にはかなり気を遣う。
その部分でのイージーケア性は低い。

だから、最近、注目しているのは合繊機能素材を使用した高機能スーツである。

先日、小島健輔さんが、ミズノが発表した「ムーブスーツ」を取り上げておられたが、これはポリエステル100%でストレッチ性・洗濯性・防汚性・耐久性がある。
価格も28000円とツープライススーツ並みの低価格となっている。
もともとは野球ユニフォーム用に開発した素材なのだそうだ。

そのほか類似商品は、ビームスやユナイテッドアローズなどの各人気セレクトショップでも発売されており、ポケッタブル性やら撥水性やらが加味されている商品もある。

上質なウール素材の高級スーツというのは見ているとなるほどカッコイイと思うが、そのメンテナンスのめんどくささを考えると、買おうという気にはなかなかならない。

余談だが、ある高級靴関係者によると、芸能関係の富裕層ですら最近は何十万円という高価格スーツをあまり仕立てなくなったそうだ。10万円前後の既製服を買って、何年間か着古して買い替えるという消費サイクルなのだそうだ。
富裕層もある意味でコスパ志向となっており、何十万円もするスーツを気を使いながらメンテナンスするのは面倒だと考えているようで、10万円前後のスーツを何年間か使い倒す方がコスパが良いと考えているらしい。

当方がウールスーツに対して感じる「めんどくささ」と通じる部分があるように感じる。

シルエットやら形を試してみてからでないとなんとも言えないが、ミズノのムーブスーツは28000円という買いやすい価格なので一度購入してみたいと思っている。
ビームスやらユナイテッドアローズの商品もさほど高くはなく38000円くらいだから、こちらも試してみたいと感じている。

これらの「高機能素材」ではないが、イージーケア性に特化したのがジーユーのカットソースーツで、当方も昨年秋に2着購入してみた。
黒とライトグレーである。
当方の体格だと通常のジーユーのジャケットはLになる。
ところがLだと手が長く、当方は手が短いので袖丈はMサイズの方が合う。

ジーユーのカットソースーツのジャケット

ジーユーは布帛素材のカジュアルスーツも発売しているが、こちらだと当方はLサイズを買わねばならないが、カジュアルジャケットなら問題はないがスーツで手が長いというのは致命的である。
いくら安くても買わない。くだらんこだわりなのだが。

しかし、採寸やパターンは同じだと思われるが、カットソースーツだと生地の伸縮性が高いので、Mサイズでも着用が可能だった。
実際に店頭で試着して試してみた。

そこで黒とライトグレーを買った。
素材はレーヨン・ナイロン・ポリウレタンでいわゆるTシャツ類と同じカットソー素材である。
取り立てて高機能性は付加されてないが、素材本来の機能としてシワになりにくく、伸縮性が高い。

価格は裾上げが300円ずつプラスされて(計600円)、2着合計で11800円(税込み)ほどだった。
ジャケットが3490円に、パンツが1690円に値下がりした時に買ったからだ。

これだと、家庭の洗濯機で洗濯もできるし、ウールよりも虫に食われにくい。
おまけにニット素材なのでソフトで伸縮性がある。

惜しむらくは、紺の出来があまり良くなくて買わなかったが、今春物は少し値上がりしているが65番色の紺が出来が良いのでこちらを買ってみようかと考えている。

以前、そこそこ知名度のある経済系インフルエンサーが「ジーユーのカットソースーツで政府諮問会議に出席できるか」みたいなことを実験していたが、何を意味の分からんことをいっているのかと思った。

恐らく、彼は「カットソー素材というカジュアルな素材なのに大丈夫か?」という恐れがあったのだと思うが、形がスーツなのだから別に素材で叱責されることはない。
それにそもそも政府関係者が一目見ただけでその素材がウール布帛か合繊ニットかなんて判別できるはずもない。
スーツとはウール布帛に限るなんてそんな規則はどこにも存在しない。
それを恐れるなら夏用の綿スーツやら麻スーツもタブーになってしまう。

このエピソードは、一般人の衣服に対する理解度がこれほど低いということと、メンズのスーツに対する規律の厳しさを裏付けるといえるのではないか。

結果からいうと全く問題なかったそうだ。(当たり前だ)

このジーユーのカットソースーツはトラベラーズシリーズ、トラベルスーツ、ムーブスーツなどの高機能・リラックス性・イージーケア性スーツにつながる商品開発の流れだと当方は見ている。

これらのスーツはいずれ、スーツ市場の主要商品へと躍り出ると見ている。
なぜなら、すべてにおいて「楽」であるということは、圧倒的に大多数に受け入れられやすいからだ。

例えば、デニム村の人々からは散々邪道扱いされてきたが、ストレッチ混デニム生地はいまや綿100%デニム生地よりも多く、衣服に使用されている。理由は消費者が支持しているからだ。
なぜ支持しているかというと着用していて楽だからだ。

いくら「表面の凹凸感ガー」とか「たて落ち感ガー」と叫んでみたところで、綿100%の固くて重くて分厚いデニム生地でできた服なんて一部のマニア以外はノーサンキューだ。
それよりも伸縮性があって動きやすい方が良い。

ツイードだって同じだ。
本来の固くて重いツイードでできたジャケットなんて一部のマニアしか好んでいない。多くの人は軽くて動きやすい現代版のツイード生地を支持する。

そうなると、スーツも同じになる。
これまでは生地の見え方がウール布帛と合繊素材では差があったが、技術の進歩によって、見え方があまり変わらなくなってきているから、何も我慢してウール布帛生地のスーツを着る必要はない。
それよりも動きやすくてイージーケア性に富んだスーツの方が支持を受けるだろう。

おまけに現在もウール素材の高騰は続いており、今後は合繊や代替素材の使用が増えるだろうから、この手の機能性素材スーツも増えるだろう。

そして、これらのイージーケアスーツはいずれ、カジュアルシーンに多く取り入れられるのではないかと思う。
今のウール布帛生地だとカジュアルに使うには生地の傷みや汚れをどうしても気にしてしまう。

しかし、洗濯機でザブザブ洗えて、ストレッチ性が高いなら、例えばカジュアルシーンで、スーツの上下にTシャツを合わせることもハードルが下がる。(襟部分の汚れが気にならなくなるから)
また重ね着にも適しているからジャケットの下にパーカを着てみたり、Gジャンを着ることもよりやりやすくなる。

これらの商品は大いに支持を集めると考えられるし、カジュアルシーンでのスーツの着用のハードルを下げるのではないだろうか。

本来のスーツマニアからすると邪道かもしれないが、個人的にはジーユーのカットソースーツ、ムーブスーツに大いに期待したい。
マニアの嗜好がマス層に受け入れられることはない。
マニアの嗜好をマス層に押し付けてきたから衣料品業界は凋落したし、ソッポを向かれているのではないのか。

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プライベートブランド「ZOZO」の生産システムは、現時点では「完全オーダーメイド」ではない
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ファッション業界にはびこる「過剰なフィクション」と「嘘の神話」

衣料品をわかりにくくしている原因の一つに、業界の内外にはびこる「過剰なフィクション」がある。

モノ余り状態の現在において、商品を売るには「ストーリー作り」「物語性」が必要であることは言うまでもないが、あまりにも過剰にフィクション性が取り入れられた場合、かえって消費者を惑わせてしまう。

衣料品に関してはこれは今に始まったことではなく、かなり昔から連綿と続いているのだが。

80歳縫製士が最後の挑戦、クラウドファンディングで”究極のシャツ”発売
https://www.fashionsnap.com/article/2018-01-12/teruko-original-shirt/

奈良の縫製工場がシャツでクラウドファンディングに挑戦しており、これはこれでがんばってもらいたいのだが、業界人から一斉に突っ込みが入ったのは、動画で「一生着られるシャツ」という発言の部分にだった。

もちろん、動画の編集工程でカットされた言葉があるのかもしれないが、この動画ではシャツというアイテムの性質自体をミスリードさせる。

断言すると、一生着られるシャツなんていうのは存在しない。
リペア(補修、修理)を加えれば着られるシャツはある。しかし、リペアなしで一生着続けられるシャツなんていうものはこの世には存在しない。今のところ。

まず、長年着続ければ袖口と襟が擦り切れる。
以前にお会いしたことのある積水ハウスのベテラン営業マン(推定40代)はシャツの袖口が擦り切れていた。
それが気になって仕方がなく、何を話したか覚えていないが、袖口が擦り切れたシャツだけは鮮明に覚えている。

またこのシャツのように白シャツは着用を繰り返せば、皮脂がこびりついて必ず黄ばむ。
また襟の内側には「汚れの首輪」が確実に刻み込まれる。
どんなにウタマロ石鹸で丹念にこすっていても、何十年かの間には確実に汚れの首輪は刻み込まれる。

これらを解決しないかぎりは一生着られるシャツなんていう商品にはなり得ない。

衣服の傷みは着用回数と洗濯の回数に反比例するから、年に1度くらいしか着用しないというならもしかしたら一生着られるかもしれないが、デイリーユースで月に何回か着用するのであれば、確実に20年は持たない。

おまけにいえば、「縫製士」なる職業も実在するのかどうかすら怪しい。
40年前とか50年前には存在していたのかもしれないが、少なくとも20年前からこの称号を持つ人には会ったことはないし、見聞きしたこともない。もし、「縫製士」に関してご存知の方が居られたらご教授いただきたい。

この過剰に盛られたストーリー性と「縫製士」なる実在未確認職業がなんとも気色悪い。

最近は「10年持つ服」だとか「100年持つ服」なんていうキャッチフレーズが横行しているが、はっきりいえば、ユニクロの商品は10年持つ。10年持つ服が欲しければユニクロで買えば解決する。

当方のタンスには10年前に買ったユニクロの服が何枚もある。
いずれ画像付きで紹介しよう。

先ほども書いたように、衣服の耐久性は、着用回数と洗濯回数に反比例するから、デイリーユースでも10年持つユニクロの服を極限まで着用回数と洗濯回数を減らせば30年くらいは優に持つだろう。
それだけのことで、そこに過剰なフィクションを差し込むことが気色悪くてならない。

衣料品だけでなく、原料や製造工程にもわけのわからない過剰なフィクションがあふれている。

例えば、

https://ameblo.jp/takukawai/entry-12344165904.html



彼らは「イタリアの素材と日本の素材の大きな違いはエージングにある。イタリアは生産した生地を数年寝かし風合いをだして出荷するが、日本は生産したら直ぐに出荷する。だから、ワインと一緒で滑らかさが違うのだ」という説明でした。

実は、これは大嘘で、日本に二次情報や推測で、このような「嘘」や「神話」がまかり通っています。

とのことで、この「生地のエージング」は素材メーカーや商社、生地問屋などで当方も何度か耳にした。
完全なる嘘っぱちである。

また、ユニクロと契約したことで一挙に注目を集めた完全無縫製のニット製造機、ホールガーメントも過剰なフィクションで彩られている。

一体成型でセーターが編めることが特徴のホールガーメントだが、これの最大の利点は

1、プログラミングが正しくでき、機械の操作を正しくできれば、驚くほどの少人数でセーターが量産できること
2、リンキングが不要であること
3、ホールガーメントでしか実現できないデザインがあること

この3点である。

にもかかわらず「一体成型でフィット感が良い」とか「着心地に優れる」などと言ったまやかしの言説が売り場にもメーカーにもあふれている。

以前、ジーンズメイトで1000円に値下がりしたホールガーメントセーターを購入して何年間か着続けた経験でいえば、そんなものは一切ないと断言できる。
着心地も普通のセーターと変わらないし、そもそもセーターは編み方にもよるが、3センチ~5センチは伸び縮みするので、そこまで厳密な採寸は必要ない。
さらにいえばどうして一体成型だからフィット感が高まるという理屈になるのかも理解できない。それなら丸編みのTシャツのボディはフィット感が良いのだろうか。

セーターは首とか袖や裾部分のリブとかそういうところを本体に取り付ける。
布帛だと普通に「縫製」するのだが、セーターの場合はリンキングという処理を行う。
パーツと本体を目立たないようにつなぐのである。
そしてリンキングにはリンキング専門の工場がある。

リンキング工場はリンキングしかできないため、セーター工場と異なりオリジナル商品は作りにくい。
そのため自立化もできず倒産廃業が相次いでいる。

ホールガーメントはそのリンキングが不要になる技術であり、だからこそ、ホールガーメントが注目を集めているともいえる。
着心地云々ではなく製造側のメリットがあってのことである。

じゃあ、なぜそれを説明しないのかと書いたところ、老年のパタンナーから「そんな後ろ向きのことが言えるか!」と反発を受けたが、だからといって、まったく別のしかも間違ったメリットをでっち上げて良いとはこれっぽっちも思わない。
一体、この人は何を言っているのだろうか。

だったら、人員の削減やら生産効率の上昇やらそこを強調すべきであり、ありもしない着心地やらフィット感をでっち上げることは消費者にとっても業界にとっても何のメリットもない。むしろ害悪だ。

そしてこういう間違った評判が定着し、それゆえに衣料品はわかりにくくなる。
今までからそれを繰り返してきた。
衣料品業界はこういう「過剰なフィクション」にいつまで頼るつもりだろうか。そして過去の「過剰なフィクション」が衣料品をわかりにくいものにし、それが衣料品不振の原因の一つになっているにもかかわらずだ。

ナントカは死ななきゃ治らないといわれるが、まさに衣料品業界は一度完全にクラッシュしてみないとわからないのだろう。

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値段を3割下げてもシップスは復活しない
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庶民向け商品での「本物追求」が販売不振を招く

冷たい雨が降ったりやんだりしていた金曜日。

いつものスニーカーのSTEPを覗いた。
スポーツブランドのスニーカー類はここが現在は業界最安値ではないかと思う。
ABCマートは一昨年くらいから露骨に値上げしており、いまだにABCマートが売れている理由がわからない。
同じ品物ならスニーカーのSTEPの方が断然に安い。
もしくはYahoo!ショッピングで探すか。

そこにはベージュのリーボックのクラッシックタイプのスニーカーが3990円に値下げされて並べられていた。

これはなかなかいいな、と思って見ていたら、販売員が声をかけてきた。

「これ本革なんですよ。ほかにも黒とか紺もあるんですがそちらは合皮なんです。お買い得ですよ」。

たしかにお買い得である。
本革でしかもデザインも悪くない。3990円なら破格値だ。

一口にベージュといってもいろんな色がある。

例えていうなら、エンダースキーマみたいな感じだ。

エンダースキーマのスニーカー
http://www.arknets.co.jp/category/ABC_1041/A3_MIP_06.html

値段と材質を聞いて俄然、購買意欲が頭をもたげてきた。
当方の購買意欲は値段で大きく左右される。

どんなに「良い物」でも1万円を越えるものには購買意欲はわかない。
5000円以下に値下げされると購買意欲がわく。

だから6万円もするエンダースキーマはどんなに力説されようともちっとも買おうとは思わない。

どうしよう、買おうと思えば買えるが・・・・。

しばらく逡巡していたが、ふと「本革」という部分に引っかった。
ちょうど雨がシトシトと降っていた。

黒とか濃い茶なら水に濡れても乾かしてクリームを塗れば大丈夫だが、ベージュだと乾かしても染みが残る。
そういうときは全体を水に漬けてから乾かせばある程度解消されるのだが、黒とか濃い茶の本革に比べてメンテナンスがめんどくさい。
おまけに汚れも見えやすい。
白とかベージュなどの淡色は汚れと水の染みに弱い。

灰色の空から落ちてくる雨を見ながらそんなことを考えていた。

よし、心残りではあるが、めんどくさがりの当方としては買わないでおこう。
そう結論付けてスニーカーのSTEPを後にした。
販売員さんごめんなさい。

で、歩きながら内心で疑問が次々にわいてきた。

なぜ、リーボックはベージュだけ本革にしたのだろう?
黒や紺と同じように合皮にすべきだったのではないか?
ベージュだけ本革で作ったから売れ残ってSTEPでたたき売られているのではないか?
だとしたらリーボックの商品計画は失敗ではないか?

などなど。

繊維・アパレル・ファッション業界にはいまだに「本物信仰」が根強く残っている。
「本物は良い」「本物は評価してもらえる」「本物は売れる」と。
だが果たしてそれは本当だろうか?

現に「本物の革」のベージュのリーボックは売れ残って3990円でたたき売られているではないか。

もちろん、本物を評価する客層は存在する。
それは富裕層に限られているといえる。
富裕層向けの商品なら、ある程度「本物」を追求してもそれなりの値段で売れるだろう。

しかし、リーボックのスニーカーのような、低価格品ではないが大衆向け商品で「本物」にこだわることは却って営業不振の原因にもなりかねないのではないか。

大衆向けにはイージーケア性・イージーメンテナンス性が大前提として求められるのではないか。
同じベージュのスニーカーでも合皮なら間違いなく買っていた。
もしかしたら合皮なら値下げされずとも売れていたかもしれない。

話は少し逸れるが、11月29日から12月4日まで阪急百貨店うめだ本店10階で恒例の生地販売会「テキスタイル・マルシェ」を開催した。
さまざまな種類の生地があるので、当然、通常の洗濯には適さない生地もある。
しかし、「洗濯機でザブザブ洗えないと嫌」と言って、購入しないお客は予想以上に多かった。

百貨店とはいえ、大阪の百貨店は阪急に限らず天神橋筋商店街で値切ってるような富裕層でない客も多く来るから、いわゆる庶民がほとんどで、この庶民はイージーケア性や洗濯性をことのほか重視する。
いくら風合いが良かろうと手間暇かけて製造加工しようと、そんなところに価値は見出さない。

まず第1はイージーケア性で、風合いの良さやモノづくりへのこだわりはその次の価値である。

そういえば、先日、こんなお客もいた。
「最近、ウールのセーターの暖かさを再認識した。でも最近はあまりウールのセーターが売られていなくなった。どうしてですか?」と尋ねたお客がいた。

マジレスすると、

1、ウールの値段が高くなって低価格ブランドではコストが合わなくなった
2、ウールは洗濯や保管の手間がめんどくさくて避けられるようになった

理由はこの二つである。
もちろん、それを説明したところ納得してお買い上げいただいた。

「本物」のウールよりもお手軽なアクリルセーターの方が庶民には好まれやすい。
アクリルセーターは洗濯も保管も楽ちんで、虫に食われて穴が開くこともない。

こうして見ると、大衆向けの低価格~中価格帯を企画製造販売している企業が「本物の良さ」なんてことを追求するのは営業方針としておかしいということになる。

もちろん「本物」を知ることは大事だし、それは否定しない。
しかし、それは富裕層向け商品で追求すれば良いのであって、庶民向けの商品でそれを追求することは、単に販売不振を招くだけで何の利益もない。

国内の繊維・アパレル・小売り企業が低迷する理由はさまざまあるが、この「本物信仰」が自社の客層と適合していないというのも一つの理由ではないか。本物を追求したければ富裕層向けの商品を開発してはどうか。
庶民は過剰な本物なんて求めておらず、それよりもイージーケア性・機能性を求めている。
そんな客層に本物を売るのは至難の業だし、売れたところで無用なクレームを引き起こすだけではないか。

本物が売りたければ富裕層向けの商品を開発すべきで、庶民向け商品で「本物」を追求する必要はまるでない。

NOTEを更新~♪
三越伊勢丹HDが「ケイタマルヤマ」を手放す理由とは?
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画期的な方法で作られた耐久性の高いTシャツを見つけた

衣料品のバリエーションも行き着くところまで行き着いてしまったような感じがあるが、それでも目新しい商品というのは開発されるもので、その創意工夫には感心するしかない。

先日、ウェブで発見して感心したのがこのTシャツである。

BMCオリジナル メンズ半袖Tシャツ コーデュラ 日本製 東北支援/福島縫製工場
https://item.rakuten.co.jp/bmc-tokyo/bms13-14-15-set/

昨年からこのブログにバナー表示されているBMC(ブルーモンスタークロージング)だが、ジーンズやカジュアルパンツの新進ブランドとして認識していた。
定期的に商品の話も聞くが、おもにはジーンズを中心としたカジュアルパンツのことばかりで、Tシャツについてはノーマークだった。

それは、話を聞く当方の「ジーンズとカジュアルパンツ」という先入観があったからだし、話すほうのBMC側の話題の選び方もそちらに偏っていたからで、この辺り、当事者間の認識と他者から見ての客観的評価というのがいかに一致しにくいかということがよくわかる。

最近はどんな商品が出てるのかな?

と軽い気持ちで商品をウェブで見ていたら発見したのがこのTシャツだった。

Tシャツもそうだが、最近は洋服全般で「機能性」が求められることが増えた。
ただ、その機能性は各人の要望に応じて異なる。

ストレッチ性が欲しいという人もあれば、速乾性が欲しいという人もある。
また消臭機能が欲しい人もいるし、汗染み防止機能が欲しい人もいる。

要望される機能は様々あり、それに応じた商品がそれぞれ世間には流通している。

このTシャツは耐久性を高めることを目的として企画製造されている。
正直なところ、耐久性の高いTシャツを求める人がどれほどいるかはリサーチしたわけではないからわからない。
しかし、買って数か月でTシャツがダメになれば、がっかりする人は多いだろうから、2900円という手の届く価格であれば欲しくなる人もそれなりにいるのではないかと思う。

通常、Tシャツの耐久性を高めるには生地を分厚くする。
8オンス以上の分厚さにすればかなり耐久性は高くなる。
しかし、生地が厚くなりすぎて着心地が悪くなったり動きにくくなったりする。

ウェブだけでTシャツを販売する京都イージーも、「8オンスを越えるTシャツは普段着に適さない」と考えて7オンスのTシャツを上限にしている。

で、生地が薄いまま耐久性を高めるにはどうしたらよいのかということを考えて、BMCはコーデュラと綿を配合することを思い立った。
コーデュラというのは耐久性の強い素材で、リュックなどに盛んに使われている。

そのコーデュラと綿を配合することで5・6オンスという薄手生地でありながら耐久性を高めることに成功したという。
楽天のサイトで、髭の濃い長瀬智也みたいな顔をした人が語っているが、これがBMCの青野社長である。

当方が感心したのは、コーデュラという以前から知られた合繊を配合してTシャツの強度を高めるというアイデアである。
コーデュラは業界ではポピュラーな合繊で、その強度も知られている。

しかし、「Tシャツ=綿」みたいな固定観念が強すぎて、今まで当方が知る限りにおいてはこれを実現したブランドはなかった。
新商品開発というと「今まで誰も見たこともない商品を作ること」と思い込みがちだが、これだけあらゆる物が出そろった現在において、そんな画期的な商品はそうそう簡単には生まれない。

むしろ、これまでにある技術をどう組み合わせるかがカギになる。
iPhoneだってこれまでにあった技術の組み合わせである。

強度を高めるなら強度が高いコーデュラを配合すればいいじゃないの?

こういう素直なやり方は一見すると簡単なことのようだが、実は固定観念やら業界の謎の風習やらに阻まれてなかなか挑戦しにくいのが現状である。

それに挑戦し、商品化したその取り組みには本当に感心させられる。

これと同じように感心させられたのが、オールユアーズの新商品、色落ちしないジーパン「パンジー」である。

https://camp-fire.jp/projects/view/51767

詳細は後日取材するとして、現段階で分かっているのは、ポリエステルだから色落ちしないということである。
ポリエステルは合繊の中でも強度が高く、洗濯を繰り返しても色落ちしにくい。
その特性を利用してデニム生地風の織物に仕上げて、それを洋服化した。

これまで「色落ちしにくいデニム」という挑戦はいくつかあった。
しかし、「デニム=綿」という固定観念に縛られて、ほとんどのブランドは綿100%もしくは綿主体素材でそれを実現しようとした。
だが、ポリエステルが色落ちしにくいのであればそれを使えばイイだけのことである。

業界人はおそらく「そんな合繊の塊はデニムじゃない」と反論するだろうが、そういうことに縛られているからジーンズ専業ブランドが売れなくなったのである。

デニム=綿、デニム=色落ち、という強固な固定観念に縛られてしまえば、その中だけでの競争になり、「どれだけ色落ちがしやすいか」とか「どれだけ綺麗に色落ちするか」というひどくミクロな競争に陥ってしまい、差別化することは難しくなる。
一般の消費者から見ればどれもほとんど同じにしか見えないし、ブランドごとの違いも判らなくなる。
だったら、3990円のユニクロや3980円の無印良品のジーンズでも構わないと考えるようになる。

BMCのコーデュラ配合Tシャツや、オールユアーズの色落ちしないパンジー、こういう固定観念にとらわれない商品開発こそが市場を活性化させる要因になり得る。

両ブランドには今後ともぜひとも頑張ってもらいたい。

あ、一つケチをつけるならやっぱり楽天は使いにくいと思う。
SNSでシェアをするのに、いちいち楽天IDを入力しなくてはならない。入力も面倒だが、それ以上に楽天に登録していない人はSNSで拡散もできないということになり、他のウェブショップやポータルサイトに比べるとひどく狭量といえる。
だから楽天は衰退し続けているのだろう。こんな不便なサイトの作りをしていては利用者も出展者も離れていくのが当然である。
このままだと楽天はもっと衰退するだろう。

NOTEを更新~♪
日本製デニム生地の現状をまとめてみた
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/nf1f2b20fc0b6

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今度こそ「再生ポリエステル」は広まるか?

生地問屋の展示会を見ていると、2年くらい前から急速に「エシカル素材」の取り扱いが増えたと感じる。
「エシカル素材」とはなんぞや?というと、オーガニックコットンだったり、リサイクル繊維だったり、そういう「環境に良い」と思われている素材を使った生地のことである。

個人的には、素材に限らず「熱く」エシカルを語る企業、ブランド、人は好きではない。胡散臭く感じる。
人間が生きて現代文明生活を営むこと自体が環境破壊しか生まないのに、そんな表層的に取り繕って何の意味があるのかと思う。

とはいっても、現在の中国の工場のように廃液垂れ流しで良いとは思わない。
公害を減らすことは重要である。ただ、生来のへそ曲がりとしてはそれを華々しく打ち出す行為が嫌いである。

そんな初老のオッサンの好き嫌いはどうでも良いとして、欧米に向けた商売をする場合は、エシカルな取り組みを見せる必要がある。
このあたりは、さすがは偽善的な綺麗事の建前が大好きな欧米人だとしか言いようがない。

先日、お邪魔した瀧定名古屋の2018年秋冬素材展でも、海外販路を意識した「エシカル素材群」を発表していた。
同社の様式でいえば「サスティナブル素材群」ということになる。

瀧定名古屋の2018秋冬素材展の表示

今回の展示会でいえば、この「サスティナブル素材群」と「機能性素材群」の2つが目玉といえる。

機能性素材群とは、撥水、防風、ハイストレッチ、抗菌などの機能性を有した素材群で、サスティナブルは海外向け、こちらは国内市場向けというふうに見ることができる。

当方も含めて、日本人の多くはそんなにサスティナブルとかエシカルに興味はなく、機能性素材の方に関心が集まっているからだ。

初老のオッサンになると、もう「見た目がかっこいい」とか「色柄が素敵」とか「トレンドだから」ということだけでは服は買わなくなる。撥水だとか吸水速乾だとかストレッチだとか、そういう便利機能が付与されて初めて購買意欲が湧く。
別に初老に限らず、若い人でもそういう機能性への関心は高い。だから機能性素材を使用した衣服が売れるのだろう。同じ服ならやっぱり便利な方が良いに決まっている。

そういう業界がいう「エシカル」「サスティナブル」素材の一つに、再生ポリエステルが含まれている。
若い人たちは「再生ポリエステル」と聞いて、斬新さを感じるだろうか?
ペットボトルを再生したポリエステルのことだ。

しかし、実はこの素材は20年前に注目されたが、あまり普及せずに終わった素材で、これが最近「エシカル」「サスティナブル」によって再注目されているということになる。

2000年間近のころ、当方は駆け出しの業界紙記者だった。
このころ、注目を集めていたのが再生ポリエステルで、おもにワーキングユニフォーム業界に多く使われていた。

一般衣料品にも広めようという動きは合繊メーカーではあったが、あまり普及せずにそのうちに耳にすることもなくなった。
2003年にはほとんど聞かなくなっていたと記憶している。

理由は二つある。

1、再生するコストが高い
2、糸そのものの品質が悪い

品質の悪い糸に高値が付くのだから、そりゃ誰も使わない。
よほど暑苦しいイシキタカイ系しかそんなメンドクサイ素材は使わなくて当たり前だ。

それが近年のブームで再注目されているというわけだ。

そこで、当方は過去に普及が妨げられた2つの要素が解消されたのかどうかを何社かに雑談程度に尋ねてみた。
将来的には解消されるかもしれないが、現時点では解消されていないということだった。

ただ、再生ポリエステルにせよ、エシカル原料ばかり使えということではなく、混ぜて使っても良いということで、「使っているという姿勢が重要」なのだというから、まあ、その程度の取り組みにとどめた方が暑苦しくなくて良いと思う。

ところで、その「エシカル」「サスティナブル」とされている素材、原料も「定義」が複数あり、統一されていない場合もあるので要注意だ。

例えば、オーガニックコットンだと日本には協会が2つあって、お互いに相容れていない。「定義」が異なるのである。
また、業者が勝手に定義を広げたり再解釈する例もある。

ある工場は、オーガニックコットン工場で出た「落ち綿」を集めて、それを糸にして「オーガニックコットン糸」として比較的安値で発売しているが、別の生産業者からするとこの手法は邪道だという。

オーガニックコットンとは、国だけではなく畑までトレーサビリティが可能であるべきだとされているから、各国・各農園の落ち綿が混じり合っていればオーガニックコットンとは言えないという主張がある。
また落ち綿を拾い集めると必然的にゴミやホコリも混じる。そういう物が混じっていてオーガニックコットンと呼べるのかという疑問も呈されている。

このあたりの論争はなかなか終結を迎えないだろうから、この分野もなかなか厄介であり、当方はますます興味がなくなる。
まあ、暑苦しくない程度でとどめておいてもらうのが一番マシだと感じる。

再生ポリエステルにせよ、オーガニックコットンにせよ、美名と大義名分は理解できるが、現状はその程度のものだから、美名に踊らされすぎないようにするのが、消費者の自己防衛の手段である。

NOTEを更新しました⇓
「数字だけ」を見て失敗したアパレル経営者たちの事例
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n3260aa3e5852

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ジョガーパンツ風ジーンズで生じている「織物」と「編み物」の錯誤

今日はかなりニッチでミクロな話を。

衣料品や生地で、誤解が生じやすい原因の一つとして「名称の定義」があやふや、誤って使われやすいということがある。

例えば、ディーゼルが先行発売し、他社が追随してあっという間に消費者にも浸透したジョガーパンツ風のジーンズ。

通常のストレッチジーンズよりもキックバック性の高いストレッチデニム生地が使用されている。

ウエスト部分がゴム入りだったり、裾がリブ使い・ゴム入りになっていたりというデザインが多いので、着想の元ネタはいわゆるスエットのズボンだったと考えられる。

スエットのズボン風のジーンズがあれば面白いんじゃないかという発想ではないかと想像する。

デニム生地にもストレッチ入りは普及していたが、スエットズボンのリラックス感を再現するためには通常のストレッチデニム生地では不十分でもっとソフトで伸縮性があることが求められる。

そこで、当初の業界には二つの商品があった。

●ディーゼルのジョグジーンズのように、あくまでも織物であるデニム生地で伸縮性の高さとソフト感を追求した商品群。

●もう1つは、スエット生地(編み物)をデニム風に見せた商品群。

とこの2つである。

当初は、デニム風スエット生地を着用した商品群がけっこう店頭に出回っていたが、今はほとんど消えた。

理由は、スエット生地(正規名称は裏毛)はいくら見た目や色合いをデニムに似せても、所詮は編み物なので、ヒゲ加工を施した際にもし、1本でも糸が切れるとそこから穴が拡大して破れてしまうという欠点がある。
また、織物のデニム生地と異なり、ヒゲ加工を施してもメリハリの効いたヒゲが表現しにくいという欠点もあった。

 

そのため、ディーゼルのジョグジーンズに追随したデニム生地使用の商品群が現在の店頭ではほとんどとなっている。
デニム風スエット生地の商品が根絶されたわけではないが、それはあくまでも「デニムっぽいスエット」として商品デザインされていて、デニムの代わりにはなりえていない。

 

各店頭をざっと見まわした感じでいうと、ディーゼルはじめエドウイン、ユニクロとほぼすべてが「ニットデニム」とか「ジョガーパンツ」とか名乗っていながら織物であるストレッチデニム生地を使用している。
だから、もともとは「デニム風ニット(スエット生地は編み物だからニット)」だったのが、現状は「ニット風デニム生地」へと逆転しているのである。

「ニットデニムパンツ」ではなく「ニット風デニムパンツ」が正しい。

まあ、以上のような状況を頭に入れて、続きを読んでいただきたい。

しかし、業界人でもこの「ニット風デニム生地(織物)」と「デニム風裏毛生地(編み物)」の区別ができない人が相当数存在する。
それは、製造方法の違いだけでなく、見た目でも判別できていない。

例えば、名実ともに国内ナンバーワンブランドといえるユニクロでさえそうだ。

現在、ユニクロは「イージージーンズ」というソフトでストレッチ性の高い生地を使用したジーンズを発売している。

そのソフト感、ストレッチ性はほとんどスエットやTシャツなどと変わらないので、ニット(編み物)のように感じられる。
生地の裏面を見ても、パイル状っぽくなっているので、トレーナー類と同じ裏毛生地なのかと見誤ってしまう。

しかし、このイージージーンズに使われている生地はれっきとした「織物」なのである。
経糸と緯糸で構成された織物だ。
純然たるデニム生地ではなく、二重織の技術を応用したデニム風織物というのが正式な生地の説明になる。

それをユニクロでさえ「ニット生地」と認識しているようで、「裏地パイル」と説明してしまっている。
それは弛んだ緯糸で決して、タオル生地のような「パイル」ではない。

ユニクロのイージージーンズ

イージージーンズに使用されている生地の裏面が白くて裏毛状になっている理由は、

1、二重織なので表面と裏面に出てくる色や柄が異なる
2、ループ状に見えるのは緯糸が弛んでいるから。
それは不良品ではなく、ストレッチ性とソフト感を出すためにわざと緯糸を弛ませている

というこの2つである。

実は同じ技法で織った二重織り生地でも緯糸をもっとピンと張ることで、裏面の見え方はまったく異なる。

過去の他社製品に使用された二重織りの裏面

しかし、ピンと張るとソフト感とストレッチ性は幾分か損なわれる。

結局どこまでソフトにするのか、ストレッチ性を高めるのか、で緯糸の張り具合を変えるのであり、それを考えることが本来の商品企画である。

ソフト感とストレッチ性を幾分か殺しても良いのか、逆に高めたいのか。
ならそれを実現できる生地はどのように織るのか。緯糸は弛ませるのか張るのか。

それが企画の仕事だ。

ユニクロでさえ見分けができないということは、そういうことをすべて生地問屋や生地メーカー、製造業者に丸投げしているから、わからないのである。

かくして、安易な誤った説明が流布され、消費者も混乱するし、メディアも混乱する。
だからファッション、衣料品業界は「ええかげん」とみなされがちになる。

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アパレル業界は丸投げ体質か?
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