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百貨店店舗別売上高ベスト10から見えてくること ~高島屋の力強さと大阪地区のインバウンド需要の好調さ~

先日、阪急百貨店うめだ本店の2018年3月期の売上高が9%増の2403億円に達したと報道された。

阪急本店、売上高日本一へ肉薄なるか 荒木社長「2700億円目指す」
https://www.wwdjapan.com/612989

百貨店の単独店舗売上高としては阪急百貨店うめだ本店は不動の2位である。
1位はこれまた不動の伊勢丹新宿本店で2700億円の売上高がある。

阪急の「2700億円目指す」というのは、伊勢丹新宿に追いつきたいということの表れである。

この記事はウェブ版だが、同じ記事の紙媒体には面白い表が付けられていたのでそちらをご紹介したい。

あまり美しくない画像で申し訳ない。

1位 伊勢丹新宿本店 2741億円 2・1%増
2位 阪急うめだ本店 2403億円 9・0%増
3位 西武池袋本店  1851億円 0・8%減
4位 JR名古屋高島屋 1557億円 21・1%増
5位 三越日本橋店  1553億円 5・9%減
6位 高島屋大阪店  1414億円 8・6%増
7位 高島屋日本橋  1342億円 1・0%増
8位 高島屋横浜店  1316億円 1・7%増
9位 あべのハルカス近鉄本店 1176億円 15・0%増
10位 松坂屋名古屋店 1176億円 0・3%減

となっている。

単独店舗で売上高2000億円を越えているのは伊勢丹新宿と阪急うめだ本店しかないから、その販売力は大したものだといえる。

しかし、このランキングで浮かび上がってくるのは高島屋の強さである。
トップテンに高島屋が3店舗(大阪、日本橋、横浜)もランクインしている。
JRとの合弁会社であるJR名古屋高島屋を入れると4店舗がランクインしていることとなり、トップテンのうちその4割が高島屋だということになる。

逆にそれ以外の伊勢丹、阪急、西武、近鉄、松坂屋は、強い単独店があるものの、それ以外の店舗が弱いということがいえる。
三越もいまや日本橋だけがランクインしており、銀座店は売上高が1000億円にも届いていない。

そして、もう少し見て行くと、前年比で大幅増となっているのは4店舗あり、そのうち3店舗は大阪だということにも気が付く。

阪急うめだ本店 9・0%増
高島屋大阪店  8・6%増
あべのハルカス 15・0%増

である。

JR名古屋高島屋も21・1%増と大幅に伸びているが、この表の注釈には「JR名古屋高島屋は17年4月開業のタカシマヤゲートタワーモールを含む」と書かれてある。
新ビルの売上高を含んで21・1%増なので実際の単独店舗の伸び率はもっと低いということになり、前年度の売上高は1250億円ほどということになる。
故にタカシマヤゲートタワーモールの初年度売上高は150~200億円くらいと考えられるのではないかと思う。

阪急うめだ本店が好調だった理由を記事では

阪急本店の商品別売上高は、婦人服が同6%増、ラグジュアリーブランドが同13%増、化粧品が同24%増となった。勢いを象徴するのが3階の婦人モードのゾーンで、デザイナーブランドからガールズブランド、ジュエリー、雑貨、化粧品などを混在させた構成が買い回りを促し、同16%増で推移する。

としているが、重要な視点が欠けているのではないだろうか。

阪急に限らず、難波(高島屋)、阿倍野・天王寺(近鉄)がそろって大幅売上高増ということは、大阪地区全体の売上高が良かったということになる。
一方、東京の各店舗は微増か微減である。

となると、阪急の売り場構成が巧みだったというよりも、大阪全体の好調に引きずられたという要素が強いということになる。

考えられる要因は2つ

1、前年までの大阪の各店舗が悪すぎた (悪すぎたために前年増が容易だった)
2、大阪地区が好調だった要因が何かある

である。

そして、2の要因でいうなら、これはまさしく外国人観光客の増加、インバウンド需要の好調ということになるのではないか。

インバウンド需要の増加だといえる理由は難波と天王寺の好調である。

2015年末~2016年前半にかけてインバウンド需要が苦戦した際、それでも高島屋大阪店は好調で、その理由はインバウンド需要の堅調な推移だと言われた。
実際に、当時、高島屋難波店に行ったところ、平日の昼下がりだというのに免税レジは長蛇の列だった。
いかにインバウンド需要が底堅かったかを物語っている。

そして、天王寺(近鉄)の急上昇である。
天王寺はこれまでほとんど外国人観光客はいなかった。心斎橋・難波や梅田に比べて著しく外国人観光客は少なかった。
それが2016年末から2017年初頭にかけて外国人観光客が急増した。
実際にJR天王寺駅に直結している阪和線(堺、関空、和歌山方面行き)や大和路線(奈良行き)は平日昼間でも外国人観光客でいっぱいである。

2017年初頭までは、朝夕の通勤ラッシュは満員だったが、平日昼間はそれほど混雑しない路線だった。
それが今は平日昼間でも座席が埋まっている。埋まっている原因は外国人観光客である。

あべのハルカス近鉄本店の急上昇は間違いなくインバウンド需要の増加といえる。

一方、東京はこれまででインバウンド需要をあらかた取り込みきっており、すでに分母が大きいため増加率が低いということになったと考えられるのではないか。

さて、阪急うめだ本店は意気軒高だが、果たして順調にこのまま300億円上積みできるだろうか。
不可能ではないと思うが、不安定なインバウンド需要に支えられている点に危うさも感じる。
これは急上昇した大阪地区の全店舗にもいえることだ。
今のインバウンド需要がいつまで続くのか。うまく行けば世界有数の観光地として定着できるが、一時のブームで終わる可能性もある。

インバウンド需要に対応することは重要だが、「インバウンドはボーナス」とでも考えて、インバウンド抜きでもぐらつかない経営姿勢が求められるのではないか。

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三越伊勢丹が今夏から「バーゲン後倒し」を撤回で「バーゲン開始後倒し派」は消滅

無印良品へ行くために近鉄百貨店あべのハルカス店を通ったり、テキスタイルマルシェを開催するために阪急百貨店うめだ本店に1週間通い詰めたり、13階のユニクロへ行くために大丸梅田店を上がったりするものの、「買い物客」という立場ではもう10年近く百貨店では買い物をしていない。

欧米のラグジュアリー系ブランドは高すぎてとても手が出ないし、他の国内アパレルのブランドは、低価格ブランドとそんなに見た目が変わらない物が多いから、百貨店で服を買うことはなくなった。
美肌プリンスではないので化粧品も使わないし、元から食には興味がない。
呉服やインテリアなんてもっと興味がない。

必然的に百貨店では物は買わないし、売り場にもよほどの用事がない限り行かない。

連休明けの今週、専門学校生をマーケティングリサーチの授業の一環として大丸心斎橋店北館に連れて行った。
連休明けの平日昼間はいつもにも増して売り場は閑散としている。

普段ならそれで終わるが、リサーチ目的の目で見てみると、百貨店の各ブランドのインショップは整然としているものの、POPなどが一切ないから逆に殺風景だと感じるし、店構えや洋服のディスプレイを見ただけではショップに入ろうとも思わない。

郊外型ショッピングセンターやファッションビルとはそのあたりが異なり、そちらの方が親近感が湧く当方のような人間にとっては、百貨店はますます縁遠くなる。多分今後もよほどの何かがない限り百貨店では物は買わないだろう。

郊外型ショッピングセンターやファッションビルならPOPとして「メンバーズカードに登録してくれたら〇〇ポイント贈呈」とか「会員価格10%オフ」なんていうPOPが貼られていて、どういう販促やセールが行われているかが一目でわかる。

それに比べると百貨店のインショップはファッションビルと同じブランドでもどういう販促があるのかとか、セールだとか、会員の特典情報なんかは一切わからない。
逆に不親切極まりないし、販売の機会損失を引き起こしているんじゃないかとさえ思える。
百貨店の不振の原因の一つはPOPで一切告知していない殺風景さもあるのではないかとも思う。

さて、ファッションビルや郊外型ショッピングセンターに行くと、バーゲンは夏と冬の2回だけという不文律なんてどこかに忘れ去られたかのように、常に何かしらのセールや値引きが行われている。
上場するするポーズを繰り返して見せるストライプインターナショナルのブランドが毎日何度もタイムセールを開催している。

2枚買うと2枚目半額という売り方の店もある。

2枚買うと2枚目半額という売り方はメンズスーツの青山やAOKIでも常に行われているが、フォーエバー21はよほど在庫がダブついているのか、2枚目半額どころか2枚目無料という恐るべき投げ売りをやっている。
しかも半額に値下げされたアイテムも2枚目無料だから、実質のところは4分の1の値段にまで値下げされており、バッタ屋並みの価格になっている。

昨日のエントリーにも書いたが、ネット通販はこれよりももっと激烈に常に何かしらのセールや値引き販売を行っている。
殺風景な百貨店インショップブランドでもZOZO店や自社ECサイトでは何らかの値引き販売が行われていることは珍しくない。

こういう状況になると、これまで業界が基準としていた夏と冬のバーゲンなんてもうほとんど意味がなくなっている。
常に何かしらの値引き販売が行われているのである。

そんな状況下で「バーゲンセール開始時期の後倒し」を掲げていた伊勢丹とルミネはちょっと意味が分からなかった。

ルミネは常に何らかの詭弁を弄する癖があり、うまい具合に論点をズラして昨年あたりから他の商業施設とバーゲンセール開始時期を合わせるようになった。残ったのは固執した三越伊勢丹だけだったが、頑なな後倒し論者の大西洋前社長が電撃更迭されてから、推進者は消えたといえる。

今回、夏のバーゲンセールから伊勢丹も他の商業施設とバーゲンセール開始時期で歩調を合わせることとなった。
実質的にこれで「バーゲンセール後倒し論者」は消滅したといえる。

三越伊勢丹がセール時期を見直し、6月下旬から段階的に実施
https://www.fashionsnap.com/article/2018-05-09/mi-summer-sale/

三越伊勢丹が、グループ全店の夏のクリアランスセールを6月29日から開催する。春物と初夏物、盛夏物と晩夏物のセール時期をずらし、”メリハリ”をつけたクリアランスを行う。

同社は近年、7月中旬から春物と夏物のセールを同時に行っていた。しかし「7月中旬は春物や初夏物を売るには少し時期が遅い。お客様の欲しい時期に、適正価格で販売したい」(広報担当者)という考えから、6月29日から春物と初夏物のセールを決めた。盛夏物や晩夏物のセールは7月末以降で検討しているという。

とのことだ。

ここまでネットとリアル店舗で値引き販売が常態化している中で、セール後倒しをいくら叫んだところで無駄なあがきでしかない。
同じ商品があるとするなら、だれでも先に値下げされている方で買う。別に店で買わずともネットで買ったって何ら問題ない。
いくら、伊勢丹の社長が声を大にしても時計の針は巻き戻せない。セールが夏と冬の年二回しかなかったころには戻れないのである。

毎年盛り上がらない夏のバーゲンだが、伊勢丹が歩調を合わせたことで少しは盛り上がるかもしれない。

しかし、6月末に初夏物はさておき、春物をバーゲンされたところでだれが買うのだろうか。
盛夏物を7月末にもう一度バーゲンするらしいので、2回行くのもめんどくさいなと思ってしまう。

実際のところ、本格的に暑くなるのは、関東・関西だと梅雨明けからだ。
梅雨明けは毎年平均すると、7月20日前後になる。
だから盛夏物を7月末にバーゲンするという伊勢丹の売り方は、業界人から見ると「遅い」「後倒し」と見えるかもしれないが、体感温度から考えるとまさに暑くなってすぐというタイミングということになる。
意外に悪くない政策ではないか。ただし、7月下旬まで盛夏物は動かないだろうけど。
安くなるとわかってて定価で買う人間なんてそんなにはいない。

とはいえ、これで「セール後倒し論者」は壊滅した。まさに勝負あったとしか言いようがない。

前回の「プロパー消化率」についてのエントリーでも書いたように、もうセールや値引き販売は常態化しているから、無理に「プロパー消化率」なんて珍妙な指数を持ち出すことは情勢に合っていない。客寄せのために値下げするのも立派な売り方の一つだし、ユニクロよろしく滞留在庫はその期中に投げ売ってしまう方が利益は確保しやすいともいえる。

周囲の商環境と洋服不振による過剰在庫が、往年の「セールは夏と冬の二回だけ」という構図を成り立たなくさせた。
それを無理やり後倒ししても結局のところ時流には勝てなかったということである。

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WAONカードと提携するなら、Tポイントカードとの提携のままで良かったんじゃない?三越伊勢丹さん

物事は1年くらいではあまり変わらないから仕方がないとはいえ、三越伊勢丹HDの政変から1年が経過したが現段階では大した変化は何も見られない。

外野から見ていて一番ずっこけるのがTポイントカードとの提携解消で、後継としてWAONカードとの提携を打ち出したことだ。
はっきり言って何の意味もない交代としかいえない。

Tポイントカードとの提携に批判があったことは周知の事実だ。
三越伊勢丹のイメージに、Tポイントカードのイメージがそぐわないというものだ。
また自前のMIカードもあるのにどうして外部との提携が必要なのかという声もあった。

中には、三越伊勢丹の高級イメージに、低所得者層のTポイントカードはミスマッチだとの声もあった。
しかし、Tポイントカードのアクティブユーザー数は6500万人であり、日本の総人口のほぼ半分にあたるから、所有者が一概に低所得者層とは言えない。
むしろ、富裕層もアクティブユーザーに入っているだろう。

以前にも何度も書いたが、Tポイントカードの増田宗昭社長と大西洋・前社長の両方にインタビューした経験からいうと、6500万人という圧倒的数量のビッグデータを持って、需要予測をすることで、三越伊勢丹の品ぞろえや販売戦略に好影響をもたらすことが狙いだった。
当然、失敗する可能性もあるが、今のままで三越伊勢丹の経営環境が上向く要因はほとんど考えられないから、やってみる価値はあった。

大西洋・前社長の電撃解任に伴ってCCCとの提携解消が発表されたのは残念だが仕方がない。
粛清人事というのはどこの組織にもある。三越伊勢丹もその例に漏れないというだけのことである。
人間は感情で動く不合理・非効率な生き物だということだ。だから当方は人間があまり好きではない。

提携解消をして従来のMIカードに戻すのなら話はわかる。
まあ、往々にして他組織でもよくある話だ。

しかし、イオングループのWAONカードとの提携は解せない。
なら、Tポイントカードとの提携のままで良かったのではないかと思う。

Tポイントカードのイメージが悪いと言っていた人たち(外野の評論家含む)は、WAONカードのイメージは良いとでも思っているのだろうか。
十分にWAONカードのイメージも低いと思うが。

イメージなんて個人の主観でしかないから個人的な主観でいうと、TポイントカードよりWAONカードの方がずっとチープなイメージがある。
当方からすればこちらの方がよほどイメージダウンだと感じる。

この提携から当方が感じることは2つある。

1、大西洋・前社長への憎悪は強烈であること
2、いろいろカッコウを付けてはいるが、MIカードでは足りないからビッグデータが必要

この2点である。
なんやかんや言い訳はしているが、ビッグデータは欲しいというのが透けて見える。

大西・前社長が手掛けたTポイントは、とりあえず気に入らないから同じくらいの規模感のあるところを選んだらWAONだったというところが実情ではないかと見ている。

http://diamond.jp/articles/-/164634

ここでは

また大西時代に始まり、3月末で終わるTポイントカードから切り替わる提携先が、なんとイオンの電子マネー「WAONポイント」。三越や伊勢丹の店頭で、端末にWAONカードをかざした際に「ワオン!」の“鳴き声”が響き渡る光景はなかなかインパクトがありそうだが、百貨店のブランドイメージにそぐわないと従来指摘されてきたTポイントカードの後継がWAONカードとあって、社の内外で落胆を呼んでいる。

とある。
そりゃそうだ。(笑)
Tポイントカードの代わりがWAONカードならイメージの低さは同じかむしろ強まっている。イメージアップにはまったくならない。
感情論を抜きにしていえば提携先を変える必要はまったくなかった。
むしろ、新たな作業が発生する分だけコスト増になって単年度とはいえ、収益を削るだけである。

 

もっとも「イオンとの提携を進め、不採算の地方店舗をイオンに譲渡する深謀遠慮」(別の三越伊勢丹関係者)との見方もある。とはいえ、旧三越と旧伊勢丹の企画や管理畑が労働組合と組んで大西前社長を追い出し、ひたすら営業畑の幹部を冷遇することに血道を上げる現体制が、イオンを相手にそれだけの大立ち回りを演じられるかどうかは疑問である。

 

とも記事は結んでいるが、このイオンとの提携はどうだろうか?
むしろ今更大手量販店と提携するのは愚策でしかないのではないか。

イオン本体も決して順調とは言えない決算が続いているし、セブンアイの子会社になったそごう・西武の凋落ぶりを見れば、容易に描ける未来予想図ではないか。

ほら、思った通りにかなえられてる~♪

なんて歌える状況でもない。
深謀遠慮などはなく、辛抱と遠慮しかないのではないか。(笑)

逆にイオンとすれば、セブンアイにあって自社グループにない百貨店はぜひとも欲しいだろう。
百貨店の凋落は凄まじいが、まだ百貨店固定客はいる。
ビッグビジネスではなく、固定層に向けたスモールビジネスに徹するなら百貨店は有効に使える部分もある。
また意味がわからないけど百貨店というブランドイメージは高い。

格安で手に入るならイオンは間違いなく入手するだろう。
もしも、政変の行き着く先がイオン傘下になるのだったら、まったく意味のない騒動だったとしかいえない。

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たぶん沈んじゃうと思う。

既製服に「手縫い」「手作業」を求める百貨店部長の愚かしさ

洋服の価格下落を食い止める方策として、付加価値を高めるというやり方が注目されているが、難しいのは何をもって「高付加価値」をアピールするかである。
作り手側・売り手側の響くポイントと、消費者が響くポイントはあまり重なり合わない。
もう一ついうと、作り手側・売り手側の響くポイント、消費者が響くポイント、メディアが響くポイントと「事実」は往々にして異なる場合があり、当方はその場合、事実を絶対的に尊重すべきだと考えている。

最近、流行りの「高付加価値」化の一つとして、少量生産とか手作業というポイントがある。

まあ、これはこれで一つの価値だといえる。当方はほとんどそこには価値は見出さないが、それが価値だと感じる人がいることは否定しないし、それもまた価値だと思う。

その影響からか、過度に「手作業」を神聖視したり、過剰な演出を求めることが増えて、これは逆に事実を歪曲してしまい危険な行為だといえる。

先日、ある縫製業者が百貨店で自社ブランドのポップアップショップを開催した。
百貨店でもっともファッションが充実しているのは、単独店舗では伊勢丹新宿本店、次いで阪急百貨店うめだ本店だとされており、これに異論を唱える業界人はいないだろう。

余談だが、伊勢丹、阪急ともに本店のみが強く、他の地方店が弱いという構図はそっくりで、大量生産メーカーとして付き合うにはロットがまとまりにくいのでお勧めはできない。
日本全国に満遍なく大型店舗を所有していてロットがまとまるのは高島屋である。

まあ、それはおいておいて。

縫製業者は自社の工場風景を動画にして、店頭のディスプレイで流した。
ところが、そのフロアの部長がやってきて、「動画を作り直してほしい」と言い出した。

なぜか。

当たり前だが縫製工場は国内といえども大量生産が前提で、少人数でも5人~10人程度でミシンでの流れ作業が当たり前となっている。
中型、大型だとその人数がもっと増えるだけであり、構図は小型でも大型でも変わらない。
中国、アジアの大型工場はその規模が格段に大きいといえる。

当然、工場風景の動画ではミシンで縫製する姿が流されている。
それを流さなければ何を流すのかということになる。

部長はそれがダメだという。
そして、「手縫い」の風景を動画で流してほしいと言ったのである。

まったくアホかバカかアボカドバナナかと。

ファッションの百貨店のフロア部長がこの程度の認識なのである。
そりゃあ、ファッションも凋落するはずである。(笑)

手縫いの量産縫製工場なんてどこの世界にあるというのか。
くだらない社内政治ばかりしている暇があれば縫製工場の1つでも見学して実情を認識すべきである。

そして百貨店の店頭でこの「嘘の動画」を流すことで、消費者をミスリードし、それを拡大再生産してしまうという危険性がある。
そのことを理解しているのだろうか?多分理解していないだろう。だからそんなアホなことが言えるのである。

小規模工場とはいえ、月産何百枚程度は最低でもこなさなければ、経営者も従業員も生活ができない。
手縫いで月産何百枚がこなせると思っているのだろうか?

もしかしたら、件の部長は「演出として」と言いたいのかもしれないが、それは演出ではなく完全なるフィクションである。
じゃあ、動画に「この動画はフィクションです」っていうテロップでも入れるべきだ。

しれっとノンフィクションみたいな顔して流してるんじゃねえよ!

衣料品業界、繊維の製造加工にはこの手の「過剰演出」「嘘の神話」がまかり通っていて、それが消費者間で拡大再生産されてしまっている。

例えば、オーガニックコットンだ。
このブログにも以前に書いたことがあるが、オーガニックコットンとは有機栽培された綿花である。
土壌汚染とか栽培している作業員の健康を守るとか、そういうことを主眼に置いた社会運動である。

はっきり言えば、オーガニックコットンには、肌に優しい成分は何一つ含まれていないし、通常の綿花と手触りが異なることもない。
科学的にはこれらは何一つとして証明されていない。
それが事実である。

稀に肌荒れに効いたとかアトピーが軽減されたという人がいるが、それはほかの要因で効いたと考えられる。
製品のペーハーが通常の製品とは異なっていたのかもしれないし、プラシーボ効果が発揮されたのかもしれない。

にもかかわらず、製造している人間がその「効果」を吹聴している場合も多いし、その製品を扱っている業者がその効果を吹聴していることも決して珍しくない。
かくして、科学的に何の証明もされていないオーガニックコットンが、肌荒れの救世主みたいにあがめる信者が誕生してしまう。
鰯の頭も信心から、とはよく言ったものだ。
まさに鰯の頭である。

オーガニックコットンも信心から、だ。

話を手縫いに戻すと、当方は手縫いの何が良いのかさっぱりわからない。
手縫いステッチを施しましたという商品もいくつか持っているが、微妙に歪んでいるため、ミシンのまっすぐなステッチの方が1億倍くらい好きだ。
これを重宝がる人の気持ちはまったく理解できない。

そして、こういう「手作業信仰」は既製服にとって何の益もない。
既製服は大量生産・大量販売を前提とした工程・機械で成り立っており、手作業の工芸品とはまったく別物だ。
この2つを混同することは、既製服にとっては有害でしかない。

手塗の漆器やら、一枚の銅板を職人が槌で叩いて鍋を作るのとは違う。
既製服は生地も付属も染色加工も縫製も大量生産の流れ作業である。

その仕組み、機械なくしては現在の既製服は生産できないし、イシキタカイ系の好きなブランドだって商品(作品ではない)を生産することはできなくなる。

そういうミスリードを増幅させ、誤った手作業信仰を百貨店のフロア部長という要職にある者が助長するのは、まったくアホの所業でしかない。
猛省を願いたい。

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技術書だけど、これでも読んでみたら?

大衆は「ファッション」にそれほど興味がない

一口に衣料品というが、実用衣料から先端のモードまでさまざまある。
実用衣料というと作業服などになるが、通常の人が普通に使用している衣料品は実用衣料寄りのファッション衣料ということになる。

先端のモードやそれに追随するような高感度ブランドがいわゆる「本当のファッション衣料」だと思うが、はっきり言ってしまうとそのジャンルを理解できる人は少数派である。
当方はまったく理解できない。する気もないのだが。

先日、ファッションど真ん中の人が

「機能性繊維を使用していると聞くと気持ちが萎える。こんな感覚は少数派なんだろうけど」

というような内容のことをツイートしておられたが、まさしく少数派だと思う。
決してディスっているのではなく、そういう嗜好の人がいてもいいし、当方はこの人が「少数派」だと自覚しているところに好感を持つ。

というのも、アパレル・ファッション業界にはその自覚のない人があまりにも多く、自覚がないだけなら全く問題はないのだが、自覚のないままにその感覚で「大衆向け商品」を作ろう・売ろうとするから話がおかしくなっているのだと思う。
洋服不振の原因の一つはその自覚のなさだと思っている。

70年代~90年代後半くらいまでは、そういう「ファッションど真ん中の人」の発信・発言が重宝されていたし、それに沿って世論というか風潮が形成されていたのではないかと思う。
70年代・80年代は学生だったので実際のところはどうだかわからないが、90年代後半はそうだった。

2000年以降徐々にそういう状況ではなくなっていったし、2010年以降はまったくそうではなくなっている。
にも関わらず衣料品業界はその90年代後半の構図が通用すると思っていて、そこにも衣料品不振の原因の一つがあるといえる。

先日、そごう西武の自社企画商品リミテッドエディションが失敗に終わったことを紹介した。
シャネルなどのトップブランドを担当し続ける超有名デザイナー、カール・ラガーフェルドを起用したにもかかわらずだ。

ファッションに疎い当方ですら、カール・ラガーフェルド起用には感心した。
しかし、結果は惨敗だ。
ツイートを見ていると、カール・ラガーフェルドという人が何者なのかしらないという声が多かった。
大衆からすると「誰?そのオッサン」という状態で、どこの馬の骨ともしらないオッサンがデザインした服になどまったく興味がなかったというわけである。

これは、ファッション業界人と大衆の認識が著しく乖離していることの好例といえるのではないか。

そごう西武と同じセブンアイグループのイトーヨーカドーも自社企画商品にゴルチエなどの有名デザイナーを起用したがこれも惨敗に終わっており、原因は同じだと考えられる。

ファッションど真ん中を嗜好する人や最先端に追随したい人にはこの売り方は効果的だが、百貨店というマス向け・イトーヨーカドーという大衆向けにはこの売り方は不適格であり、今後もその構図は変わらないだろう。

それは他の百貨店の商況を見ても如実に表れていると感じる。

最先端ファッションを売り物にする伊勢丹新宿本店は停滞しているが、最先端ファッションが一切ない静岡伊勢丹は5期連続増益となっている。

また、地味な印象が強く旧来型百貨店の代表といえる高島屋は好調に推移している。

高島屋/3~11月は、百貨店事業堅調で増収増益
https://www.ryutsuu.biz/accounts/j122543.html

高島屋が12月25日に発表した2018年2月期第3四半期決算は、売上高6788億9400万円(前年同期比3.1%増)、営業利益217億1000万円(5.6%増)、経常利益243億7600万円(5.8%増)、当期利益144億7700万円(9.5%増)となった。

百貨店業での売上高は5967億6500万円(4.3%増)、営業利益は80億7500万円(15.4%増)となった。

とのことだ。

三越伊勢丹HDや阪急・阪神のH2Oリテイリングやそごう西武などは地方小型百貨店が苦戦しているが、オチマーケティングオフィスの生地雅之さんのブログによると、

高島屋は全店黒字化と発表されており素晴らしいものです。

とあり、他の百貨店の状況とは大きく異なっている。

「ファッション売り場」としての高島屋の評価はどうだかわからないが、「百貨店」という業態として見れば、現在の「盟主」は三越伊勢丹ではなく、高島屋といえるだろう。
大丸・松坂屋のJフロントは「脱百貨店」を自認しているから、「百貨店」業としていうなら高島屋が業界の最良モデルだといえる。

結局、マスに向けて売らねばならない百貨店という業態は、最先端ファッションでは支持されにくいということだろう。
もちろん需要がないわけではない。
需要があるからこそ伊勢丹新宿本店は2500億円を越える売上高を誇っている。
しかし、その需要はそれが限界だということでもある。それ以上の売上高が欲しければ最先端ファッションだけでは無理だ。
ましてや地方小型店を再生する手段は最先端ファッションの導入ではないことを高島屋と静岡伊勢丹が証明している。

小規模に最先端ファッション層に売るなら話は別だが、マスに売りたい・大衆に売りたいのであれば、90年代後半までのファッション嗜好とは決別する必要があるのではないか。

そして、最先端ファッションを嗜好しながらマスに売りたい・大衆に売りたいというのは虫が良すぎる話で、そんな趣味の延長線上のような活動でマス向けビジネスは実現できない。
マスに売りたいならマスに売れるような「売り方」や「商品作り」が必要になる。そんな当たり前のことがなぜ理解できないのか不思議でならない。

NOTEを更新~♪
専業ジーンズメーカーは決して新しいことに取り組まなかったわけではない
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/nd4bc9e30188b

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三越伊勢丹とルミネの「セール後ろ倒し」が失敗したのは当然

三越伊勢丹が来年1月の冬バーゲンは、他の商業施設に歩調を合わせて1月4日からにするということで、適切な判断だといえる。

大西洋・前社長が「セール後ろ倒し」を言い始めたが、個人的にこれは最大の失策だったと思っている。
「定価販売できる時期を長く」という気持ちと狙いはわからないではないが、時流にあまりにも逆行しすぎていた。
逆行していてもその意見が業界のスタンダードになることもあるが、セール後ろ倒し派はそのスタンダード化にも失敗して、敗退してしまったといえる。

三越伊勢丹、「冬セール」6年ぶり前倒しの衝撃
今冬は1月4日、同業他社と歩調合わせる
http://toyokeizai.net/articles/-/200578

一体何が衝撃なのかよくわからない。

大西・前社長に同調したルミネが昨年からセール開始時期を元に戻しているのには呆れ果てた。
相変わらず、ルミネは口先だけの綺麗事ばかりである。

ただそのルミネも、冬のセールに関しては昨年から通常時期に戻している。

ルミネは常に上っ面の綺麗事しか言っていない。

ところで、今年は昨年よりもインターネット通販を積極的に利用してみた。
昨年までは、ほぼガンダムのプラモデルとパソコン回りの備品をインターネット通販で買うのみだったが、今年は服や靴も買ってみた。
また、Amazon以外にAmazonのマーケットプレイスや、Yahoo!ショッピングへの出店者ページ、アダストリアなどの通販サイトも「利用するつもり」でじっくりと見てみた。

登録していたライトオンやジーンズメイトなどのメルマガも一通りは目を通すようにしてみた。
また、フェイスブックなどに出てくるドゥクラッセの広告ページも念入りに見てみた。

そうすると、さまざまな通販サイトが今秋なら11月から頻繁に値引きセールや投げ売りセールを行っていることがわかった。
また検索をすると、セールはやっていないものの、定価自体が驚くほど安い商品も数多くある。
さらにバッタ屋的に在庫品を低価格で販売しているサイトもある。

今年11月初旬にiPhoneを機種変更した。
それまで使っていた6Sから7に変更した。
その際に、丸2年間使用したスマホカバーを廃棄して、新しいスマホカバーをネットで探したが、148円送料無料とか198円送料無料というのを発見して、それを購入した。

現在は148円送料無料のを使っていて、予備として198円送料無料のも購入した。
これであと2年間は安泰である。

また、すでに11月中旬からアダストリアはネット通販で先行セールを開催しているし、シークレットセールも開催している。
ライトオンは12月8日の金曜日からネットだけで日替わりの投げ売りセールを開催している。
一昨年からの在庫品と思われる丸八ダウンが12月9日の土曜日は1日間限定で4900円にまで値引きされていた。

こういうことがインターネット上ではあちこちで起きている。
安い商品が欲しい人は当然インターネットで買うようになる。

以前にこのブログでインターネット通販利用者が予想よりも少ないだろうということを書いたが、それでもジワジワとは増えてきているし、ネット検索を使う人の比率は圧倒的に高いから、実店舗での定価販売期間をいくら引き延ばしたところで、売れるようにはなりにくい。

なぜなら、インターネット検索で低価格をいくらでも見つけられるし、買わないまでも目当てのブランドが低価格販売していることも見えてしまうからだ。

大西・前社長もルミネの社長も、業界のセール後ろ倒し論者もインターネットで買い物をしていないのではないかと思う。
もしくはインターネットで商品ページやブランドページを見ていないのではないか。

我が国の「セール後ろ倒し」論者には、フランスやイタリアが実店舗でのバーゲン開始時期や値引き率を政府が規制している状態を羨ましいと感じる人が多いようだ。
しかし、フランスやイタリアでも状況は同じで、インターネット販売はそのセール規制に引っかからないといわれている。

そうなると状況は我が国とさして変わらない。

結局実店舗でセール開始時期をいくら遅くしようと、インターネットで安く売られていれば、そちらを買うようになる。
また、三越伊勢丹やルミネがバーゲン開始時期を10日やそこらを後ろ倒しにしたところで、実際の「定価販売期間」なんてほとんど伸びない。たかだか10日ほど伸びたところで何が変わったのだろうか?
やるなら1か月とか2か月くらい後ろ倒しにしないと何の効果もない。

しかし、衣料品が売れていない状況下で三越伊勢丹もルミネも1か月や2か月も後ろ倒しにはできない。
それだけの体力がない。

また、ルミネはインターネット上では今年も11月から早々に値引き販売をしており、何を言っているのかと呆れ果てる。
実店舗にはセール後ろ倒しをいい、インターネット上では前倒しで売る。
そんな二枚舌みたいな施策でだれが納得するというのだろうか。

三越伊勢丹とルミネの「セール後ろ倒し」政策は敗れるべくして敗れたとしか言いようがない。

NOTEを更新~♪
三越伊勢丹HDが「ケイタマルヤマ」を手放す理由とは?
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n06274a064cba

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百貨店がSPA化できない理由

百貨店の自主企画商品は過去に何度も挑戦されているが、なかなか成功しない。

https://senken.co.jp/posts/mete-171128

大手百貨店が拡大した自主商品開発は、何をもたらしたのだろうか。先行した三越伊勢丹、そごう・西武は拡大路線から一転し、この一年で整理・縮小して収益重視を徹底する。

とのことである。

そもそもなぜ百貨店がSPA化を目指したのかというと、昨年夏にインタビューした三越伊勢丹HDの大西洋・元社長は次のような意味のことを語っていた。

「大手アパレル各社が業績不振によって大規模な生産調整を行った。その結果、商品供給量が減り、都心旗艦店は別として地方の小型店にまで商品が供給できなくなり、売り場が埋まらなくなった」

売り場にスペースを開けるわけにはいかないから、例えば近鉄百貨店あべのハルカス本店ウイング館のように、「お客様なんたらカウンター」みたいなものを設置するというのも一つの手だが、「なんたらカウンター」ばかりの売り場になるのも極めて不格好である。
そうなると、量の多寡は別として、自主企画商品を開発するほかない。

また大西・元社長は、売り場を埋めること以外にも、現在の「洋服小売業」ではこれ以上の成長が望めないから、「卸売業」にも進出したいという考えがあり、自主企画商品を他社へ卸したがっていた。
伊勢丹の婦人靴PB「ナンバー21」は他社にも卸売りを行っているので、この考えのモデルケースだといえる。

一方、そごう西武が自主企画商品を強化した理由は、「売り場が埋まらない」というところは共通だと思えるが、卸売業への進出ではなかったと思う。
そごう西武は大手百貨店グループの中でもっとも決算内容が悪い。
しかも残念ながら現在のステイタス性も低い。

そういう百貨店が卸売業なんて模索するはずもなく、開発の理由は収益性を高めるためだろうと考えられる。
自主企画商品は安値で売っても利幅が大きい。この開発に成功すれば、理論上は利益面は大きく改善できる。
それが最大の眼目だったのではないかと個人的には見ている。

しかし、両社とも自主企画商品の開発はすんなりとは行っていない。
三越伊勢丹には「ナンバー21」という成功事例はあるものの、後続商品が表れていない。
そごう西武のリミテッドエディションは空振りが続いている。

先の記事では失敗の原因について

要因の一つは、生産から販売までのサプライチェーンを構築できなかったことだ。産地の構造や素材、縫製など物作りを理解せずに、生産、納期管理は取引先任せだった。買い取りでありながらも返品や未引き取りが横行し、在庫を抱えて撤退を余儀なくされた。



と指摘しているが、原因はこれだけではない。

そもそも百貨店には商品企画・商品デザインのノウハウがない。
大手セレクトショップ各社も同じだが、彼らには優秀なベンダーと優秀な企画屋がバックに付いている。
百貨店各社にそれはない。
だから「企画」が失敗する。

生産管理のノウハウもないだろう。

またマーチャンダイジングのノウハウも持っていないのではないかと推測される。
マーチャンダイジングは日本語では「商品計画」と訳されるが、商品の計画だけを立案していれば良いというものではない。
在庫の管理、利益の管理、天候や社会情勢への柔軟な対応が求められる。

今の百貨店平場で「真の意味」でのマーチャンダイジングができている店があるだろうか。
当方の知る限りにおいてはない。

管理できているとしたら、商品の投入時期と、帳簿上の利益率の確認程度だろう。
商品の投入時期はこれまでの小売業の慣例に従っていることが多く、お盆明けに秋物の本格立ち上げ、10月21日に防寒アウター投入という具合で、これは20年以上前からまったく変わっていない。

「販売員付き消化仕入れ」という仕組みにドップリ漬かりすぎて、そういうマーチャンダイジングは長らく手掛けてこなかった。年配社員ができないものを新人に教えることはできないから、百貨店の新人がこれを身に着けられる機会は永遠にない。

サプライチェーンなんて今の百貨店に構築できるはずもないし、構築できたところで、企画やマーチャンダイジングのノウハウがまったくないのだから、どっちにしろ在庫の山が積みあがったという結果は変わらない。

逆にサプライチェーンを構築できれば売れていたと考えているのなら、その発想そのもののナンセンスさに驚く。
工場のおっさんと同列の考え方である。

企画が良くない商品をいくらたくさん作ったって売れるはずもない。
また真の意味での商品計画が機能していなければ、売れるはずもない。

そごう西武のリミテッドエディションが成功しない理由は、「カール・ラガーフェルド」などの超一流デザイナーとのコラボが原因ではないのか。
最近、百貨店に限らず「コラボ」流行りだが、成功するコラボと失敗するコラボがある。
その相違点はなんだろう。失敗するコラボには確実に共通点があると思うのだが、いずれ別の機会で考えてみたい。

ただ、そごう西武のコラボの場合、今の日本の消費者にとって、欧米の超一流デザイナーとのコラボというのはそんなに魅力的に映らないのではないか。自分たちの日々の暮らしとまったくかけ離れた印象を与えているのではないかと思う。

あくまでも仮説だが、そういう超一流デザイナーとのコラボよりも、例えば「上質なレザーを30000円で」とか「モンゴル奥地から取り寄せた高品質カシミヤを3万円で」とかそういう「高品質・割安感」商品の方が、今の消費者には響くのではないかと思う。
いかがだろうか?

それにしても先ほどの一節にはもう一つ驚くべき箇所がある。
「買い取りでありながらも返品や未引き取りが横行し」という部分である。
これは明らかに法令違反だ。
下請け法違反で摘発されるべき案件だ。

これが事実だとしたら百貨店は法令違反集団だといえる。

それにしても、衣料品に関してはイオンやイトーヨーカドーなどの大型量販店も自主開発商品は上手く行っていない。
百貨店も量販店も無理に衣料品にこだわり続ける必要はないのではないか。

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衣料品に固執している限り百貨店の業績は回復しない

百貨店という業種の業績回復を目指すなら、所詮は単なる小売店に過ぎないのだから、「売れる物を売れ」としか言いようがない。
「売れない物」「売りにくい物」に固執して何を嘆いているのかと思う。

今、百貨店で「売りにくい物」といえば衣料品、とくに婦人服である。
これを減らして「売りやすい物」である化粧品と食品の売り場を拡張すれば良い。
それだけのことである。

一方、「百貨店=ファッション売り場」だと考えている人からすると、婦人服売り場は減らせないというだろう。
百貨店という業態をどう捉えるかによって結論は異なるが、そもそも百貨店は「ファッション売り場」だったのだろうか?
80年代ごろから「勝手に」ファッション売り場へと変貌させたのではないのか?

なまじ「ファッション売り場」として死守しようとするから苦戦しているのではないか。

失速したはずの”爆買い”が帰ってきた理由
「百貨店業界の底入れは本物だ」
http://president.jp/articles/-/23609

この記事に書かれているように「底入れは本物」だとはまったく思わないが、富裕層の消費が回復しているのは事実である。

インバウンド以外では時計など高額品が堅調だ。高島屋の広報担当者は「日経平均で2万をつけた6月ごろから伸びが顕著になった」と説明。株高の恩恵を受けた富裕層の消費が支えているという。宝飾品は4.0%、美術品は7.9%、それぞれプラスになった。



とのことで、ここに加えて外商も回復しているという。
知り合いの某毛皮業者は、2年ほど前から外商向けの30万円~50万円くらいの毛皮製品(フェイクファーではない)の売れ行きが回復してきて、今年は毎月追加発注が来るという。

これまでは黒、茶、ベージュなどのベーシックカラーの需要ばかりだったが、2年くらい前からはピンクなどの綺麗な色のファーの発注が主流だという。

一方、再三各方面でも報道されているように、インバウンド消費が回復しているが中身は変わっている。
以前は高級ブランド品だったのが化粧品などが主体となっている。

インバウンド消費をことさら重要だとは思わないが、そこに照準を当てても洋服よりは化粧品を強化すべきなのである。

このプレジデントの記事にも


一方で米アマゾンなどのインターネット通販に押される中間所得層は厳しい戦いが続く。高島屋は婦人服が1.7%減、紳士服が4.6%減と衣料品は相変わらず不振だ。

 

とある。
「アマゾンなどのインターネット通販に押される」とはステレオタイプの紋切り型で失笑するほかないが、高島屋だけの数字で見ても衣料品は苦戦している。
百貨店協会の売上速報でも衣料品は押しなべて不調である。

だとしたら、百貨店という「単なる一小売店」がファッション衣料品に固執する意味があるのだろうか。
当方はまったく意味がないと考える。
それは単なる自己満足じゃないのか。

小島健輔さんや松岡真宏さんが指摘しておられるように、百貨店の衣料品売り場は80年代から拡大し始めた。
80年代、90年代と拡大を続けて2010年代に至っている。

http://www.apalog.com/kojima/archive/2077

 

80年頃には1.7倍程度の差(婦人服売り場と紳士服売り場の広さの差)だったのが90年頃には2倍強になり90年代末には3倍にまで開いた経緯を振り返っても、消費の実勢を超えた拡大であった事が伺われる。

 

じゃあ、どうして80年代と90年代はひたすら衣料品売り場を拡張し続けてきたのだろうか。
それは百貨店にとって最も「売りやすい」「売れやすい」物だったからにほかならない。
別に百貨店は元から「服屋」なのではない。
服が売りやすく、売れやすかったから衣料品売り場を広げただけで、当時、ほかの物が売りやすかったなら、それを広げていただろう。
しかし、90年代だとすでに家電量販店が成長しており、家電と玩具は最早値段と品ぞろえの豊富さでは百貨店が勝負できなくなっていた。
だから百貨店は家電と玩具を切り捨てた。

別に衣料品が百貨店のアイデンティティだったわけでもあるまい。
バブル景気とファッションブームでそれが最も売りやすい品物だったというだけに過ぎない。

先ほどの小島健輔さんのブログから再び引用しよう。

 

衣料品は前年(16年)も大きく落としているため前々年比で見ると、紳士服・洋品が8~10月平均で93.4とヒト桁の落ち込みに踏み止まったのに対し、婦人服・洋品は同88.7と大きく落としており、その差は4.7ポイントも開いている。前々年からの減少額(年間)は紳士服・洋品の339.5億円に対して婦人服・洋品は1451.9億円と4.3倍近く、そこにこそ衣料不振の本質が潜んでいるように思われる。
家計支出調査では紳士衣料の1.8倍弱の婦人衣料が百貨店では紳士衣料の三倍近い売場を占めて三倍強を売り上げており、婦人服が過大供給になっている事は間違いない。

 

とのことで、結局は80年代・90年代に婦人服偏重になったままで、それをいまだに維持しようとするから百貨店は苦戦し続けるのである。

今なら、家電量販店の家電に飽き足らないと思っている層を呼び込むというのはどうだろうか?
また自転車やサイクリング用の衣服なんていうのを強化してみてはどうか?

たしかに消費者教育は必要だが、要らない物を無理やりに売り続けるというのはいかがな姿勢だろうか。
百貨店の婦人服売り場なんて伝統芸能でも重要文化財でも国宝でもないのだから、売れなくなればさっさと縮小すれば良いのではないか。
そういう硬直したマインドそのものが百貨店を凋落させていることに気が付くべきである。

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洋服への関心が薄れているのに、洋服売り場が多いから百貨店が苦戦するのは当然

先日、久しぶりに会ったアパレル業界の人と雑談していたら、最近、キャンプをはじめたとのこと。
当方が子供のころ、子供会とか学校で夏休みにキャンプがあったが、嫌で嫌でしょうがなかった。
簡易宿舎みたいなところに泊まるのは、暑いし蚊に刺されて眠れないし、汗だくになったのに風呂にも入れずに気持ち悪いし。
地面にテントを張る方はもっと不快だった。
地面が固くて寝にくいし、暑くて虫が多くて。

そんなわけで当方は今でも真夏のアウトドアは嫌いだし、キャンプは嫌いなままだ。
真夏はクーラーの効いた部屋でのんびりして、夜になったら布団で寝るのが一番である。

しかし、最近はグランピングなる言葉ができていて、ほとんどホテルに近い環境で宿泊することが可能になっている。
まあ、これなら機会があれば参加してみてもいいかなと少しは思うようになった。

身の回りのアパレル業界でもキャンプ愛好家はけっこう多いが、話を聞いてみるといわゆる「グランピング」の人がほとんどで、あと、関西大学探検部OBから教えてもらったが、真夏に野宿はしないそうだ。野宿は春と秋が最適だとのことである。

で、そのグランピング用品の値段を聞くと、驚くほど高い。
3万円や5万円は当たり前、10万円や20万円でも高すぎるとはいわれない。
そういう道具を平気でみんな買っている。

当方だってがっしりとしたノートパソコンが7万円なら「安いな」と思って買ってしまう。

ところが、洋服だとどうだ?
物にもよるが、どんなに高品質でも5万円の商品をポンと買う人はなかなかいない。
当方も2万円くらいまでなら、よほど欲しい服なら買うがそれ以上はちょっと買わないし、所得的にも買えない。

最近だと自転車を趣味にしている人も多いが、10万円くらいの自転車は普通に買っているし、道具類も洋服ほど安くはない。
当方は2万円くらいのママチャリを長年愛用しているが、逆に5000円くらいの自転車だと安すぎて不安になる。

そういう状況を考えると、業界の人も含めて洋服への関心が2000年以降は薄まっているといえる。
趣味は多様化しており、その趣味には少なくとも洋服よりはカネをかけている。

しかし、洋服への関心はゼロにはなっていない。現に下がったとはいえ、国内のアパレル市場規模は9兆円強もある。

ただ、キャンプ用品や自転車用品、釣道具などに比べて、洋服の場合は価格の高低が機能の高低とは結び付いていないので、「見た目が同じ」なら低価格の物でも構わないというふうに考えられがちになる。

実際のところ洋服の低価格代替品は見た目の良さは向上しており、それらだけで身を固めてもほとんど問題はなくなっている。

さて、先日、週刊現代から「百貨店が苦戦しているのはなぜか?」という取材を受けたが、上に書いたことが原因の1つといえる。
そういう状況下にありながら、百貨店の売り場構成は今でも過度に洋服に集中している。

婦人服、婦人ファッション用品のフロアがだいたい3~5層くらいある。
メンズが1フロアか2フロア、子供服が1フロアあり、場合によっては、欧米ラグジュアリーブランドのフロアが1フロアか2フロアある。

これ以外は化粧品と食品で、あとは申し訳程度に呉服やリビングのフロアがある程度に過ぎない。

洋服への関心が薄まっているのに、洋服の売り場が7割から8割も占めていては、そりゃ売上高が低下するのは当然である。
逆に百貨店でも食品と化粧品の売上高は好調だ。

大丸東京店は好調店舗として知られているが、牽引しているのは地下1階と地上1階の食品売り場で、地上1階も食品売り場にしたことが好調の要因だと指摘されている。
また、伊勢丹新宿本店でも地下1階の食品売り場は好調で、今年春に電撃解任された大西洋・前社長も昨年夏の時点で「ファッションは停滞気味だが食品は好調です。ただ、ファッションの伊勢丹なのでファッションが評価されないのは複雑ですが」と述べていた。

最近のファッション専門学校生は百貨店で洋服を買わない。
しかし、その中にも化粧品は百貨店で買っているという生徒はいる。
専門学校生からして百貨店への評価基準は「化粧品>洋服」なのである。

こういう消費動向なのに過度に洋服に偏重した売り場を維持している百貨店の売上高が回復するはずがない。
さらに滑稽なのが、洋服を回復させるために無駄な労力と金を投入し続けているところである。
魚のいない場所に餌を巻き続けているようなものだ。

80年代以降、百貨店は洋服の売り場を増やし続けた。
2000年頃まではそれが効率的だったからだ。
しかし、状況が変わって今はその「選択と集中」に苦しめられている。
アホみたいに液晶テレビに「選択と集中」しすぎて経営破綻したシャープと同じ轍を踏んでいる。

35年くらい前の百貨店の売り場は薄ぼんやりとしか覚えていないが、洋服のフロアは今よりも少なかった。
家電やら自転車やら仏壇やら玩具の売り場があった。

80年代からファッションが盛り上がって、そちらの方が収益が高いから洋服偏重を強めて行っただけのことで、洋服偏重は伝統でも何でもない。

重要文化財でも国宝でもなく、百貨店なんて所詮は「単なる売り場」に過ぎないんだから、消費動向に応じて売り場編成を変えれば済む話だ。
売上高を増やして収益性を高めたいなら、今の消費動向に合わせた売り場構成にすれば良い。
早い話が、洋服売り場を減らして、グランピング用品だの高級釣り具だの高級自転車だのの売り場を作れば良いだけのことではないか。
売れ行きは別として蔦屋家電よろしく、高感度家電を集めた売り場や高級カメラ売り場なんていうのも作れば良いのではないか。

洋服そのものへの関心が薄れているのに、さらに「洋服強化」とか「洋服復活」なんて何を言っているのか意味がわからない。
80年代の残滓としての「洋服」にこだわり続けているうちは、百貨店の復活なんていうのは絶対にあり得ない。

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百貨店のECはゾゾタウンには到底追いつけない

猫も杓子もEC販売強化で本当に大丈夫なのかなと思う。
先日、三越伊勢丹HDもEC強化を改めて説明していたが、正直なところ、大きくは成功しないのではないかと思っている。

三越伊勢丹HD、デジタル活用した新成長戦略を発表
https://www.fashionsnap.com/news/2017-11-08/mi-digital/

記事の中身には別段目新しい箇所はない。
まあ、ありふれたオーソドックスなECについて再説明しているに過ぎない。

そういえば、ECの強化と、その中でのアパレル各社との連携については、退任させられる前の大西洋前社長が構想を漏らしていた。
偶然にも当方もその構想を直接聞いたことがある。

その際の構想では、アパレル各社・各ブランドと連携して物流倉庫を一元化したいという考えだった。
三越伊勢丹のECへの出店・出品者と共同で専用の倉庫を持ち、そこから出荷することでコストを削減したいという考えがあった。
まあ、これも実現せずに終わってしまったのだが。

自前での商品開発機能をほとんど持たない百貨店としては、ECでできることはさまざまなメーカーやブランドからの商品を仕入れて(委託も含めて)サイト上で売るしかない。
オリジナル品は「別注」という形でメーカーやブランド品に作らせるしかない。

記事で気になる箇所がある。

杉江社長は「ゾゾタウンに近いビジネスになるんじゃないか」と展望を語った。

とある。
ここは2つの意味が考えられる。

1、わかりやすい実例としてZOZOを出した
2、本気でそう考えている

である。
案の定、メディアでは「ZOZOのような」という部分が独り歩きして、センセーショナルに煽られているが、実際のところ実現は不可能である。
ZOZOと同じような形態のウェブモールは作ることができるだろうが、売り上げ規模や存在感で並ぶことはないだろう。

この会見での空気感や杉江社長の人となりがわからないので、なんとも言えないが、メディアや出席者にわかりやすい実例としてモール型のZOZOを持ち出して説明したということは十分に考えられる。
1、の場合なら何の心配もないが、もし2だったら、先行きには不安を感じる。

はっきり言ってしまえば、ウェブ上にZOZOは二つ要らないのである。
ファッション衣料品に特化したウェブモールはZOZOが一つあれば十分であり、並立するにはZOZOとよほど差別化されている必要がある。
差別化されていないなら、存在価値はない。
消費者にとっても同じようなモールが二つあっても意味がない。

そして、さらにいうなら、ZOZOには先行者メリットがあり、後発組が簡単に追いつけるものではないということである。

ZOZOTOWNはまだネット通販がそれほど行き渡っていない2004年に開始されている。
そういえば、この時期にすでにAmazonも上陸していた。
当方はネット通販デビューが2015年ごろになるので実際に2004年にネットで物を買ったことはなかったが、Amazonは名前は知っていた。

2004年当時勤務していた編集プロダクションのスタッフたちが何人かAmazonで本を買っていたからだ。
Amazonは当初、本の通販サイトとして上陸していた。
当時の販売形態は、同僚によると、1500円以上で送料無料になるので、彼らはいつも3冊くらいまとめて購入して送料を浮かせていた。

その当時にZOZOの名前は聞いたことがなかった。
当方のECリテラシーなんてその程度のものでしかない。

13年前からサイトを構築して、ノウハウを蓄積したZOZOTOWNに、金看板に胡坐をかいたままの百貨店ECモールが追いつけると思っているのだろうか。すでにZOZOTOWNのブランドは確立されてしまっている。
それに13年遅れで後追いしようということをもしも本気で考えているなら、ちょっとアレすぎるのではないか。

いわゆるランチェスターの法則でいうなら、大手は資本力に物を言わせて後追いで物量作戦を展開すればよいのだが、三越伊勢丹HDはそこまで圧倒的な大手だろうか?
開始当初は一点突破主義の小資本だったZOZOTOWNは13年が経過した現在では大手となっている。
大手に対してそうい後追いは、まるでユニクロを後追いするイオンやイトーヨーカドーなどの大型スーパーの衣料品施策と同じではないか。

ネット通販勃興期の2004年頃に、「インターネットで服を売る」ということを考えた人はたくさんいると思う。
当方だって考えた。
当時、交流があった小規模のIT業者に相談したところ、面白いということで、大阪市内の卸売り型メーカーに何社か声をかけた。
ところが卸売り型メーカー各社は「前例がない」「取引先への説明が難しい」という理由でまったく相手にもしてもらえなかった。

他方、ZOZOTOWNはスタート当初にユナイテッドアローズなどの有力セレクトショップに賛同してもらい、スタートすることができた。

やっぱり持ち込む先は選良しなくてはならない。
古めかしい会社に持ち込んだところで意味はない。

百貨店自体が仕入れ型専門店(委託販売が多いけど)である以上、セレクトショップを取り込んだモールであるZOZOTOWNとは土台、ビジネスモデルが違う。
さらにいうなら、ZOZOTOWNは良くも悪くも、好き嫌いも別にして、前澤社長が露出をすることで消費者への認知度を高めている。
今の百貨店にそれと同等の露出ができる経営陣がいるだろうか。拝見したことがない。

経営陣の顔出しは除いたとしても、今の百貨店の発信はZOZOTOWNの発信には量・質ともに足元にも及ばない。
ECサイトは作っただけでは人は流れてこない。

人を引き込むコンテンツ制作、発信の質量が重要であり、今の百貨店にはその両方を作れるだけの力がない。
本気で「ゾゾタウンに近いビジネス」を模索しているとしたら、なんと身の程しらずなことかww

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