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限界点が露呈したトウキョウベースのビジネスモデル

やはりというか、当然というか、「ステュディオス」「ユナイテッドトウキョウ」を展開するトウキョウベースの業績が崩れた。
もちろん、早晩崩れると思っていたし、同社が発表しているような成長戦略は到底不可能だと思っていた。

2018年2月期の第一四半期決算は

売上高が29億3000万円(前期比0・6%増)
営業利益が3億2500万円(同28・2%減)

と微増収大幅減益に終わった。
さらに、微増収といっても、「出店増加にもかかわらず、売上高が横ばいだった」(WWD)ことから、既存店は前年割れだと考えられる。
このため、連休前の7月13日のトウキョウベースの株価はストップ安となり、連休明けの7月17日の株価は600円台にまで落ち込んでいる。

トウキョウベースの2018年2月期決算の売上高は127億8000万円で、客単価3万円前後の高い洋服を売る商売は、このあたりが成長の限界点だと常々思ってきた。
恐らく150億円か200億円くらいまでは中長期的には成長が可能だろうが、1000億円という売り上げ目標は何十年かかるのだろうかと思うし、今の「高価格帯商品」だけではたどり着くことは絶対に不可能である。

売上高1000億円に到達したユナイテッドアローズが売上高を大幅に伸ばすことができたのは、中価格帯のグリーンレーベルリラクシングを開発したからだ。店舗数もグリーンレーベルリラクシングが圧倒的に多い。
昔の「高価格セレクトショップだったころのユナイテッドアローズ」のファンからは少し馬鹿にしたような目で見られているグリーンレーベルリラクシングだが、お高い本体ラインを買うことに抵抗感のある人からは支持を集めている。
また、スタート当初はクソダサい商品が多かった低価格ブランド「コーエン」だがこちらもそれなりに支持を集めていて、企画内容も向上している。

洋服業界の人やそれを取材するマスコミはいつも考え違いをするのだが、

低価格=利益は薄いが、買う人の人数は多く数量がさばける
高価格=利益は厚いが、買う人の人数は少ない

という絶対的な条件をいつも忘却し、「高価格帯で買う人も多い」というブランドが出現できると考えてしまう。

トウキョウベースの売上高1000億円構想なんてその典型だろう。
トウキョウベースの店頭に並んでいる高価格な洋服が1000億円も売れることは到底あり得ない。

トウキョウベースのスタイルはよくて200億円くらいが限界点だろう。

それに価格帯以外でもトウキョウベースのビジネスモデルには疑問を感じるところが多々ある。

5月に行われた2018年2月期決算発表では、EC(いわゆるインターネット通販)の不振に言及されているが、トウキョウベースのECはZOZOTOWNへの依存度が病的なほどに高い。
依存比率は86%もあり、自社ECはたったの14%しかなく、ほとんどないに等しい。

そのECが崩れた理由は「ZOZOTOWNの低価格化と合わなかったから」とトウキョウベース側が発表している。
にもかかわらず、5月の株主総会では「ZOZOTOWNとの連携を強化する」とも発表しており、価格帯が合わない販路とさらに連携を強化するという意味がまるでわからない。
というより自社ECの比率を上げるノウハウがないから他力本願でZOZOTOWNに任せるという意味にしか聞こえない。

5月の株主総会をレポートしてくれているありがたいブログがある。

この方は株主なので期待しておられる書き口だが、その期待は極めて残念なものとなるのではないかと当方は見ている。

その一部をご紹介したい。

2、当面のターゲットを売上高1000億と宣言したが、期間は10年程度と考えている(現在127億)

と売上高1000億円目標の到達時期をかなり後倒しにしている。
まあ、これは賢明な判断だろう。ただし、今のブランドラインナップのままで1000億円を到達できることは永遠にないと当方は見ているが。

また、トウキョウベースの営業・販売姿勢でもマスに売ることは難しい。

トウキョウベースの各店は店長やスタッフによっても差があるが、強引な売り付けが多いことで有名である。(もちろん例外店員もいる)
それが批判されるとトウキョウベースの谷正人社長は決まって「99%に嫌われても1%に好かれればいい」と説明するが、99%に嫌われるようなブランドがマスに売れるはずもない。1%の顧客を捕まえたいなら、そういうニッチでスモールなビジネスを展開すべきで、拡大志向とブランド構築の方向性がちぐはぐで、当方から見ると、学生ノリのまま100億円まで拡大できてしまったようにしか見えない。

また、ここのブランドは、3つか4つあるが、どれも似ており見分けがつかない。
これはアダストリアやストライプも同様の弱点があるのだが、ブランド同士が似ており、イメージの違いが思い描けない。
ユナイテッドアローズなら細かいブランドは置いておいても、本体とグリーンレーベルリラクシングとコーエンの違いくらいはイメージが思い描ける。
屋号だけ変えて似たようなブランドをいくら増やしても、そのテイスト好きな客しか集まらず、支持は広がらない。
だからトウキョウベースはこれ以上売上高を伸ばすことは難しいだろう。

さらにいえば、盛んに掲げてきた「原価率50%」とか「原価率60%」というのは本当なのだろうかといぶかしく思う。

例えば、オンライン通販専用のソーシャルウェアというブランドをここは盛っているが、ZOZOTOWNで10%オフセールを開催している。
原価率60%を公言していながら、10%も値引きできるのはどうしてだろうか。
これが自社サイトなら残り30%粗利益が残るってことになるが、ZOZOTOWNの場合は売上手数料が引かれる。
後発でZOZOTOWNに参加したブランドは35%引かれると言われているが、トウキョウベースの手数料はもう少し安いようだ。

前述の株主総会レポートでは

当社のZOZO取引を決算書から推定するとかなりいい条件で取引していると思われるが、どうか?

有価証券報告書に販売手数料の金額が記載されており、それがすべてZOZOへの支払いだと仮定すると、ZOZO売上高(売上高×EC率×ZOZO率)に対する手数料率17.8%と試算されます。あくまで推定ですが・・・

とのやり取りが記されており、17・8%だとしたら、ほとんど粗利益はなくなる。
17・8%未満としても粗利益は極めて薄くなる。

そして粗利益には「経費」が含まれているから、経費を除けばほとんど利益は残らないことになる。

そんな設定で本当にやっていけるのか極めて疑問しかない。

何にせよ、ノリと勢いだけで127億円まで到達したトウキョウベースだが、そろそろ正念場に差し掛かっている。
これまでのようなノリと勢いだけでは、今後の成長戦略を描くことは難しい。冷静な分析と緻密な施策が必要になるが、現時点で外野から眺めていると、トウキョウベースという会社にそれがあるとも思えないし、今後それらを備えていくとも思えない。

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業績の明暗が表すユニクロとジーユーの値下げ方針の違い ~今春夏の店頭を見て~

今春物から、ユニクロとジーユーがそれぞれ異なった値下げの手法をとるようになった。

ユニクロは今春夏物から値下げパターンが変えた。
自動的・段階的値下げはこれまでと同じだが、その値下げ幅が小さくなった。
反面、同じ商品でも色柄によって値下げ幅が異なるようになった。

昨年冬物までは、自動的・段階的値下げされ、それまで同様、期末には驚くほどの安値になった。
それが今春物からはそこまで値下げされなくなった。

お気づきだろうか?

2990円のパンツはせいぜいが1990円までにしか値下げされない。
1290円に値下げされるのはよほど時間が経過してからになっている。

シャツしかり、アウター類しかりだ。

しかし、売れ行きが鈍いと思われる商品は容赦なく値下げされる。
アンダーソンとトーマス・マイヤーは値下げされている物が多いが、アンダーソンは昨年秋冬物に比べると値下げ幅が小さい。
昨年秋冬物でデビューとなったJWアンダーソンコラボだが、はっきりいって投げ売りされまくっていた。

ウールをふんだんに使ったセーター類は本来なら製造コストが高いからそこまでの値引きはされないはずなのに、「魚柄ラムウールセーター」は最終500円にまで値下げされていた。
また、フェアアイルモックネックセーターも990円にまで値下げされたし、カラフルボーダー柄のファインゲージセーターも990円に値下げされた。これらをいずれも当方は底値または底値に近い価格で買っており、全然アンダーソンなんて注目していなかったのに、昨年秋冬にユニクロで買った商品の中で最も多かったのがアンダーソンコラボになってしまった。

今春夏のアンダーソンも通常ラインに比べて値下げされている物が多いが、秋冬物ほど値下がりしていない。切り替えボーダー柄Tシャツだっていまだに990円で踏ん張っている。
ロング丈シャツは3990円が最終1990円に値下がりしたが、1990円になる前にほどんど完売となっている。

また、これまでユニクロは同一品番は同一価格で値下げされていたが、今春物から、同一品番でも動きの鈍い色柄だけが大幅に値下げされるようになった。
例えば、春先に綿セーターが何種類か投入されたが、薄手の家庭洗濯可能なセーターの中で赤とピンクが不人気だったのか、いきなり500円に値下げされた。他のカラーが990円でとどまっているにもかかわらずだ。当然、当方はその赤を500円で買った。

今夏のユニクロUのTシャツもそうだ。袖リブの色だけが本体と異なる「カラーブロックTシャツ」という品名の商品があるが、黒、グリーン、紺は990円でとどまっているのに対し、赤茶色だけが790円に値下げされているし、「ユニクロU」のボーダー柄Tシャツも同様で赤茶色とあせたピンクのボーダー柄だけが790円に早くも値下げされている。

これと対照的なのが今夏のジーユーで、190円・390円・590円・790円というバッタ屋価格の商品が目白押しである。
はっきり言ってなまじのバッタ屋よりも安い商品が多い。
バッタ屋を越えたジーユーというのはなかなかすごい。

390円に値下げされていて、5月に買ったデニムの水玉プリントシャツ

 

 

キム・ジョーンズとのコラボアイテムなんてもうとっくに投げ売り価格で、カラーブロックセーター(冬向け素材)なんて今や390円である。ルイ・ヴィトン、ディオールなどのスーパーブランドを歴任したデザイナーの商品とは思えないバッタ屋価格となっている。

夏物に関してはユニクロよりもジーユーで買うことが増えた。
麻混の開襟シャツを790円で買ったし、先日、このブログでも紹介した切りっぱなしスキニージーンズも790円で買った。
ワイドボーダー柄Tシャツも590円になったときに3枚買った。

この安さを体験するとまともな店で服は買えなくなるほどの衝撃がある。

ユニクロとジーユーの値下げの違いを考察すると、ユニクロが以前よりもあまり値下がりしなくなった理由として、業界の製造関係からは「今春物から製造原価率を上げたから」だという声が聞こえる。それによると「製造原価率を5%上げてさらに品質を高めた。そのため、以前ほどの値下げはされなくなった」と言われている。それが正しいとするとユニクロの平均製造原価率は45%前後ということになり、あの数十万枚という量の多さで、その原価率の高さは驚異的といえる。
そこらの細かいロットしかないくせに「原価率50%ガー」とアホの一つ覚えのようにいっている某ブランドの商品とはまったく比べ物にならない。

一方、ここまで投げ売りするジーユーは恐らく在庫がダブついているのだろうと推察される。

さて、ユニクロとジーユーを擁するファーストリテイリングの2018年8月期第三四半期決算が発表された。
それによるとユニクロは増収増益であるものの、ジーユーは減益となった。特に3~5月は既存店売上高が前年を割り込み、大幅減益となっている。大幅減益となった理由は、在庫処分を進めた結果だ。

そしてジーユーは第4四半期も在庫処分を進めるため、粗利率が低下し、赤字幅が拡大すると見通している。

ジーユー/3~5月既存店売上減、春夏商品不振・在庫処分で赤字拡大

ジーユー/3~5月既存店売上減、春夏商品不振・在庫処分で赤字拡大

ジーユーの2018年8月期第3四半期の売上収益は1666億円(前年同期比6.4%増)、営業利益は150億円(1.7%増)と、増収増益になった。

一方、ジーユーの3~5月の既存店売上高は、減収となった。
春夏のキャンペーンで打ち出したマドラスチェックのボトムス、トップスや、ロングスカートなどの商品の販売が不振で、計画を大幅に下回った 。

売上が計画を大幅に下回ったため、値引きを早期に進めたことにより、3~5月の売上総利益率は前年同期比1.9ポイント低下し、また、売上高販管費率は同1.2ポイント上昇した。
営業利益は同20.0%の大幅な減益となった。

また、第4四半期は、シーズン末の在庫処分が増え、粗利益率が低下、赤字幅が拡大する見込みで、下期、通期ともに減益となることを予想している。

とのことである。
当方が喜んで買っている値下げ品はやはり在庫処分だったのである。

だいたい当方が喜んで投げ売り品を買うブランドは、その時、苦戦傾向にある場合が多い。
今年5月、6月のジーユーもそうだし、2017年のライトオンもそうだし、ジーンズメイトもそうだ。
だから当方が「これは破格値!」と紹介するブランドは概してその時点では不良在庫を抱えており、苦肉の策として投げ売りをしているということである。

ジーユーの春夏の店頭を見ると、たしかに商品のクオリティもデザインも良くなってるが、トレンドに偏重しすぎていると感じる。ベーシックアイテムが減った。そのあたりを当方が面白いと見ていてその投げ売り価格に魅力を感じているのだが、マス層のニーズとは少し異なっているといえる。

もちろん、ジーユーもそれに気が付いていて、夏物には無地のポロシャツとか無地のTシャツなんていうベーシック品も差し込まれているが、必然性のなさと売り場での見せ方の下手さが災いして全く売れずに590円の投げ売り価格となっている。

例えば、マーセライズドTシャツだ。今590円にまで値下がりしている。
無地で色展開も多く、通常ならもっと売れるはずだが、全商品がビニール袋に入れられている。
これは触られて汚れないようにという工夫とともに、マーセライズド加工された生地がテロっとしていて畳みにくいからではないかと思う。
マーセライズド加工とはシルケット加工とも呼ばれ、シルクみたいなソフト感と光沢感を綿に与える加工である。

そのため、ビニール袋に入ったままではその肌触りの良さはまったく実感されない。
なぜならビニール袋に入っているため触れないからだ。

いくらPOPで「マーセライズド加工」なんて書いたって意味がない。
それに一般消費者からすれば「マーセライズド加工」なんていわれたところで何のこっちゃでしかない。

完全に売り方・見せ方のミスである。

下期は、商品構成を見直し、防寒衣料、デニム、Tシャツ、ラウンジウエアといった実需商品の割合を増し、これらの実需商品の中にもジーユーらしいトレンドの要素を取り入れる。

とのことで増えすぎた品番数を絞り、ベーシックアイテムを強化するとのことだが、結局洋服屋というのはベーシック一辺倒でもダメだし、トレンド一辺倒でもダメだということで、ベーシックとトレンドのバランスをどう取るのかということが永遠の課題だといえる。
そしてそのバランスの取り方を誤ると今回のジーユーのようになるし、過去のユニクロの伸び悩みのようになってしまう。

それにしても、店頭の動きがそのままジーユーの3~5月の業績に反映されていたことには笑ってしまう。
店頭を見ていると、AIだ、POSだ、KPI指標だ、と難しいことを言わずとも、ある程度の売れ行きは推察できてしまう。店頭の動きをどれだけ正しく見るか、衣料品ビジネスはその一点にかかっており、それができていない人が多すぎるから「斜陽産業」と呼ばれるような事態に陥ってしまったといえるだろう。

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前年増減比をつなぎ合わせただけの折れ線グラフは意味がない ~ジーンズメイトの決算資料より~

企業やブランドの業績を測る指標には様々な物があり、それを複数活用して見定める必要がある。
しかし、最近、活用に疑問を感じるのが「前年比増減の折れ線グラフ」である。

トウキョウベースを除く上場企業は一応の目安にしてもらう目的から、月次売上高の増減を開示している。

〇月度 〇%増というやつだ。

当然のことながら、年間通じて増収するブランドでも単月で見れば前年割れすることもある。

この「〇%増、〇%減」をつなぎ合わせて折れ線グラフとして、その企業やブランドの好不調を論じるむきがあるが、はっきりといえばミスリードを引き起こすだけでほとんど有害ではないかとさえ思う。

例えば、先日開示されたジーンズメイトの決算報告用の資料を題材に取ろう。

http://www.jeansmate.co.jp/data/uploads/ir/2018/05/resuits_30.pdf

ジーンズメイトの2018年3月期決算をどう読むかだが、ライザップやジーンズメイト側は高評価をしてもらいたいから、「好調だった」「回復傾向にある」という認識を示したがる。
それは致し方のないことであり、どの企業だって多かれ少なかれ手前味噌な持ち上げ方をしている。

問題は第三者がそれをどう判断するかであり、その場合、ライザップやジーンズメイトへの忖度は必要ない。
忖度は一切不要だ。

現在という時代は国も企業もブランドもロビー活動が盛んである。
ロビー活動の成否がコトを有利に運ぶ。
ジーンズメイトの決算に対して、過剰に持ち上げる第三者もいるが、それはロビー活動の成果なのではないかとさえ思う。
ロビー活動の成果のゆえに生まれたポジショントークともいえる。

第三者は事実に基づき淡々と断じればそれで良い。

ジーンズメイトの2018年3月期決算を改めて見てみる。
今回の決算で最も重要なことはライザップ傘下に入った初年度とかそんなことではない。
今回気を付けなくてはならないのは、決算期変更による13か月の変則決算だということである。
1か月前年よりも多いから、増収増益して当たり前だということを前提条件として頭に入れておかねばならない。

売上高 97億2700万円
営業損失 6億900万円
経常損失 5億9100万円
当期損失 7億8900万円

で終わった。
赤字幅縮小という報道があったが、13か月やっているんだから縮小して当然である。
それよりも特筆すべきは10期連続の赤字というところだ。

また2017年2月期の売上高が91億9500万円だったことからすると増収していると見えるが、13か月分あることを考慮すると手放しの増収とは呼べない。

2017年2月期は、1か月あたり平均7億6600万円の売上高があった。

2018年3月期は、1か月あたり平均7億4800万円の売上高があった。

このため、仮に2018年を12か月の通常決算で行った場合、2017年よりも売上高合計は下がる可能性がある。
1か月平均売上高は2018年の方が少ないのである。

これを見て、「回復傾向にある」と論ずることができる第三者は一体何を根拠としているのだろうか?

さらに疑問な数値が先ほど挙げた決算説明資料である。

既存店売上高(13.3ヶ月比較)が、15期ぶりに 対前年プラスに転換

とあるが、その根拠となる「前年比増減の折れ線グラフ」は突っ込みどころが満載であり、これに納得する第三者がいるなら、その見識を疑う。

その前に、15年間既存店売上高がマイナス続きだったというのはなんともすさまじい不振といえる。

 

このグラフに沿って見てみようか。
2003年2月期は前年比102%だった。いわゆる2%増である。
翌年から減少が始まっており、ピーク時は2011年2月期の約20%減である。
その後持ち直しても前年実績をクリアすることなく、ようやく2018年3月期で106%になった。6%増である。

その増減率だけで折れ線グラフを作るとこのようになるが、こんなものに何の意味があるのだろうか。
このグラフからだけではまったく事実は浮かび上がらない。

増減率はバラバラではっきりした数字がこのグラフから読み取れないので、仮に15年連続で前年比10%減が続いたとしよう。
これでもおそらくは甘めの設定である。

2003年の売上高を1とすると、2004年は0・9になる。
2005年は0・81となる。
この調子で0・9をかけ続けてみてほしい。

0・25以下にまでなる。正確には0・229である。

要するに2017年時点では2003年の既存店売上高の4分の1以下にまで縮小してしまっているといえる。

これで2018年が6%増したと言っても、0・24になっただけで、2003年の既存店売上高には遥か遠く及ばず、その当時の既存店売上高の4分の1にも満たないということがわかる。

これのどこが「好調」だといえるのだろうか。
たしかに底打ちとはいえるかもしれないが、上昇基調とか回復傾向とまでは口が裂けても言えない。
言える人はポジショントークをしているのだろうと思う。

企業、ブランド側は自社の業績を良く評価してもらいたいからこの手の「資料」を提示する。
しかし、第三者であるマスコミや評論家がそれを鵜呑みにすることはどうかと思う。
実際の実績はどれくらいだったのかを計算してみるくらいの一手間は必要なのではないか。

みだりにポジショントークをすることは、ミスリードを引き起こすので百害あって一利なしだ。

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ジーンズの洗い加工はレーザー光線で行う時代
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/na09a16d24294

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そんなライザップの特集本をどうぞ。

団塊世代が定年退職を迎えて10年が過ぎるのに、今頃危機感をにじませているスーツ大手4社幹部の甘さ

5月27日までジーユーの安売りがあった。

そこで、奮発してスーパーストレッチドライスーツのオリーブグリーンを買った。
定価4990円のジャケットが3490円に、定価2490円のパンツが1990円に値下がりしたからだ。
総額で1500円値引きされたことになる。
さらに100円割引クーポンを使って、消費税込み5810円だった。5000円以上は送料無料なのでオンラインで買って自宅に送付してもらった。

この同じ商品でベージュを4月にも購入している。

残るはネイビーだけだが、3490円+1990円になったら来月以降に買おうと思っているが、同様の商品がドゥクラッセのECでも販売されており、こちらは定価14900円が9490円(税抜き)に値下げされている。
色バリエーションもジーユーとまったく同じで、ベージュ、オリーブ、ネイビーの3色だから、この3色は今年夏の注目カラーなのだろうと思う。ただし、こちらのベージュはもっと白っぽい。黄色味が強いジーユーのベージュとは異なる。

ジーユーの価格の2倍するが、最後のネイビーをジーユーにするか、奮発してドゥクラッセにするか目下悩んでいるところである。
悩みは根深い。ネブカドネザル。

のっけからカジュアルスーツの個人的注目商品を書いてみたのは、カッチリとしたお堅い職業以外、ジーユーやドゥクラッセのようなカジュアルスーツで十分というご時世になっている。
これらのスーツ類は定価でも7000~15000円くらいで、通常のウール生地・ウール混生地のビジネススーツの半額くらいの値段で買えてしまう。

しかもカジュアルシーンにも着用できて一挙両得であるから、よほどの制約がない限り、誰だってこの手のカジュアルスーツを買う。

これで影響を受けるのは、当然、従来型スーツを販売する低価格店ということになる。

スーツ販売が低迷、紳士服大手が抱える苦悩
大手4社の既存店は前年割れ、ユニクロも攻勢
https://toyokeizai.net/articles/-/222667

正直なところ2018年の今頃に何の寝言を言っているのかと思う。

従来型ビジネススーツが苦境に陥るのは、団塊世代の定年退職が始まる2007年にはすでに予見されていた。
60歳でそのまま定年リタイアできる人・したい人というのはどちらかというと少数派だからそこから定年延長されて10年が経過している。
当時60歳手前だった人は70歳手前になっているし、60代前半だった人は70代前半になっている。

当方の父親も今年74歳になるが、往年の酒の飲みすぎがたたったのかめっきりと老け込んでいる。
若々しい人も見かけるが、70歳前後になっては通常の会社勤務をすることは体力的に難しいと感じるから、団塊世代はほぼリタイアしきってしまったといえる。

スーツの需要が人口的に最大だった団塊世代が70歳リタイアしてしまうと、スーツの需要は嫌でも激減する。
仕事でもないのに、青山・アオキ・はるやま・コナカのスーツを着たいなんて人はほとんどいないからだ。

これを見越してスーツ大手4社(青山、アオキ、はるやま、コナカ)は女性スーツやメンズカジュアルをこの10年間で強化してきたはずだった。

にもかかわらず、直近の決算は悪い。
施策の方向性は間違っていないが、その効果は出ていないといえる。
一つには、これら4社のブランドステイタスが低いから「必要に迫られて買うスーツ」以外の需要は取り込めていないと考えられる。
カジュアル衣料というのは嗜好品の面が強いから、わざわざ「青山・アオキ・はるやま・コナカでカジュアルを買いたい」と考える男性はほとんどいない。まったくいないと言っても過言ではないだろう。

紳士服メーカー大手の青山商事、AOKIホールディングス、コナカ、はるやまホールディングスが発表した4月の既存店売上高は、4社とも前年同月比で2~4ポイント下回った。2017年度(コナカのみ2017年9月期、ほか3社は2018年3月期)決算は、青山とAOKIがわずかに営業増益だったが、年間累計での既存店売上高は4社そろって前年割れとなっている。

そして

各社は20代の就活生や新卒社員、50代以上の固定客の需要を取り込む一方、苦戦するのが30~40代への訴求だ。カジュアル化の波に加え、低価格志向やネット通販の広まりも、30~40代の顧客の囲い込みを難しくしている。

とのことだが、カジュアル化が進めば進むほどネームバリューやブランドステイタスのない4社が選ばれる可能性は低くなる。
「リーバイスが欲しい」と思う30代・40代男性はいるが、わざわざ「青山・アオキが欲しい」と思う30代・40代男性はまずいないからだ。

にもかかわらず

紳士服大手の幹部は「危機感が足りなかった。スーツ市場のパイが広がらない今、現状維持が精いっぱいだ」と率直に認める。

というのだから、よほどこれらの企業の幹部の頭の中身はよほど花畑だったのだろうと思う。すでに10年以上前の2007年に団塊世代の定年によるスーツ需要の激減が指摘されていたにもかかわらずだ。惰眠を貪るというのはこういう幹部のことを言うのである。

業界には根拠のないネット通販救世主論がまかり通っているが、従来型ビジネススーツはネット通販で買うのはなかなか難しい側面がある。
カジュアル服とは異なり、サイズがピッタリであることが求められるからだ。
どこぞのキャッチフレーズの「ミリ単位の精度」とやらがもっとも求められるのはメンズビジネスウェア(スーツとシャツ)である。生地自体が何センチも伸びるTシャツやセーターにミリ単位の精度なんてのは必要ないし掲げているだけ滑稽である。

アパレル市場のネット通販比率が約1割に達する一方、紳士服大手のネット販売比率は1~2%程度にとどまる。

とあるが、ジャストサイズのビジネススーツやビジネスシャツを買うなら試着や採寸ができないネット通販は不向きである。
実は、Amazonにはるやまが出品している。これがタイムセールでときどき激安になることがある。
スーツは9000円くらいにまで値下がりする。
今年の正月、9000円に値下がりしたはるやまのスーツをAmazonで見かけて購入してみた。

サイズ表に沿って自分のサイズを選んで、それが送られてきたのだが、試着してみるとズボンはピッタリなのにジャケットは肩幅がパンパンにキツくて腕が上がらない。これでは電車で吊り革もつかめない。
幸い「返品無料」だったので返品して事なきを得たが、カッチリとしたスーツをサイズ表だけを頼りに買うのは危険だと痛感した。
だからよほどの仕掛けがないことにはネット通販でカッチリとしたビジネススーツの売り上げ枚数が増えることはないだろう。

この記事はユニクロの脅威を説いているが、ユニクロよりもジーユーやドゥクラッセの方が実は脅威だと見ている。

いずれにせよ、青山・アオキ・はるやま・コナカのスーツ大手4社は今のままではさらに業績が低下し続ける。
ネット通販も不向きだし、ユニクロやジーユーが競合になっており、これらを打破する取り組みが求められているのだが、10年間も惰眠を貪ってきた4社の幹部が急速に目覚めるとは思えない。安定的需要を取り込むことは重要だが、それに胡坐をかき続けるとこうなるという見本ではないか。

NOTEの有料記事を更新~♪
原料と直結した数少ないアパレル製品の一つがジーンズ ~エドウインはどうなる?~
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n96317a6e146f

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こちらがAmazonで売っているはるやまの激安スーツ。現在8200円くらいでジーユー並み。(笑)

百貨店店舗別売上高ベスト10から見えてくること ~高島屋の力強さと大阪地区のインバウンド需要の好調さ~

先日、阪急百貨店うめだ本店の2018年3月期の売上高が9%増の2403億円に達したと報道された。

阪急本店、売上高日本一へ肉薄なるか 荒木社長「2700億円目指す」
https://www.wwdjapan.com/612989

百貨店の単独店舗売上高としては阪急百貨店うめだ本店は不動の2位である。
1位はこれまた不動の伊勢丹新宿本店で2700億円の売上高がある。

阪急の「2700億円目指す」というのは、伊勢丹新宿に追いつきたいということの表れである。

この記事はウェブ版だが、同じ記事の紙媒体には面白い表が付けられていたのでそちらをご紹介したい。

あまり美しくない画像で申し訳ない。

1位 伊勢丹新宿本店 2741億円 2・1%増
2位 阪急うめだ本店 2403億円 9・0%増
3位 西武池袋本店  1851億円 0・8%減
4位 JR名古屋高島屋 1557億円 21・1%増
5位 三越日本橋店  1553億円 5・9%減
6位 高島屋大阪店  1414億円 8・6%増
7位 高島屋日本橋  1342億円 1・0%増
8位 高島屋横浜店  1316億円 1・7%増
9位 あべのハルカス近鉄本店 1176億円 15・0%増
10位 松坂屋名古屋店 1176億円 0・3%減

となっている。

単独店舗で売上高2000億円を越えているのは伊勢丹新宿と阪急うめだ本店しかないから、その販売力は大したものだといえる。

しかし、このランキングで浮かび上がってくるのは高島屋の強さである。
トップテンに高島屋が3店舗(大阪、日本橋、横浜)もランクインしている。
JRとの合弁会社であるJR名古屋高島屋を入れると4店舗がランクインしていることとなり、トップテンのうちその4割が高島屋だということになる。

逆にそれ以外の伊勢丹、阪急、西武、近鉄、松坂屋は、強い単独店があるものの、それ以外の店舗が弱いということがいえる。
三越もいまや日本橋だけがランクインしており、銀座店は売上高が1000億円にも届いていない。

そして、もう少し見て行くと、前年比で大幅増となっているのは4店舗あり、そのうち3店舗は大阪だということにも気が付く。

阪急うめだ本店 9・0%増
高島屋大阪店  8・6%増
あべのハルカス 15・0%増

である。

JR名古屋高島屋も21・1%増と大幅に伸びているが、この表の注釈には「JR名古屋高島屋は17年4月開業のタカシマヤゲートタワーモールを含む」と書かれてある。
新ビルの売上高を含んで21・1%増なので実際の単独店舗の伸び率はもっと低いということになり、前年度の売上高は1250億円ほどということになる。
故にタカシマヤゲートタワーモールの初年度売上高は150~200億円くらいと考えられるのではないかと思う。

阪急うめだ本店が好調だった理由を記事では

阪急本店の商品別売上高は、婦人服が同6%増、ラグジュアリーブランドが同13%増、化粧品が同24%増となった。勢いを象徴するのが3階の婦人モードのゾーンで、デザイナーブランドからガールズブランド、ジュエリー、雑貨、化粧品などを混在させた構成が買い回りを促し、同16%増で推移する。

としているが、重要な視点が欠けているのではないだろうか。

阪急に限らず、難波(高島屋)、阿倍野・天王寺(近鉄)がそろって大幅売上高増ということは、大阪地区全体の売上高が良かったということになる。
一方、東京の各店舗は微増か微減である。

となると、阪急の売り場構成が巧みだったというよりも、大阪全体の好調に引きずられたという要素が強いということになる。

考えられる要因は2つ

1、前年までの大阪の各店舗が悪すぎた (悪すぎたために前年増が容易だった)
2、大阪地区が好調だった要因が何かある

である。

そして、2の要因でいうなら、これはまさしく外国人観光客の増加、インバウンド需要の好調ということになるのではないか。

インバウンド需要の増加だといえる理由は難波と天王寺の好調である。

2015年末~2016年前半にかけてインバウンド需要が苦戦した際、それでも高島屋大阪店は好調で、その理由はインバウンド需要の堅調な推移だと言われた。
実際に、当時、高島屋難波店に行ったところ、平日の昼下がりだというのに免税レジは長蛇の列だった。
いかにインバウンド需要が底堅かったかを物語っている。

そして、天王寺(近鉄)の急上昇である。
天王寺はこれまでほとんど外国人観光客はいなかった。心斎橋・難波や梅田に比べて著しく外国人観光客は少なかった。
それが2016年末から2017年初頭にかけて外国人観光客が急増した。
実際にJR天王寺駅に直結している阪和線(堺、関空、和歌山方面行き)や大和路線(奈良行き)は平日昼間でも外国人観光客でいっぱいである。

2017年初頭までは、朝夕の通勤ラッシュは満員だったが、平日昼間はそれほど混雑しない路線だった。
それが今は平日昼間でも座席が埋まっている。埋まっている原因は外国人観光客である。

あべのハルカス近鉄本店の急上昇は間違いなくインバウンド需要の増加といえる。

一方、東京はこれまででインバウンド需要をあらかた取り込みきっており、すでに分母が大きいため増加率が低いということになったと考えられるのではないか。

さて、阪急うめだ本店は意気軒高だが、果たして順調にこのまま300億円上積みできるだろうか。
不可能ではないと思うが、不安定なインバウンド需要に支えられている点に危うさも感じる。
これは急上昇した大阪地区の全店舗にもいえることだ。
今のインバウンド需要がいつまで続くのか。うまく行けば世界有数の観光地として定着できるが、一時のブームで終わる可能性もある。

インバウンド需要に対応することは重要だが、「インバウンドはボーナス」とでも考えて、インバウンド抜きでもぐらつかない経営姿勢が求められるのではないか。

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EC売上高においてZOZO比率の高い企業と低い企業 ~ZOZOに依存している企業と離脱可能な企業~

アパレル業界は猫も杓子もネット通販という感じになっており、その中でもアパレル製品に関してのみ影響力が強いとされるのがスタートトゥデイの運営するECモール「ZOZOTOWN」である。

水面下では有力ブランドがゾゾ離れを画策しているといわれるが、果たしてそういう有力ブランドのECにおけるゾゾ比率はどの程度なのか。
それをまとめてくれたお役立ちNOTEがある。

「業界の美肌プリンス」の異名を欲しいままにする深地雅也さんがまとめてくれているので紹介する。

大手アパレルのEC売上におけるZOZO比率をまとめてみた
https://note.mu/fukaji/n/n4888917d9f0c

ユナイテッドアローズ、パルグループ、ベイクルーズ、アダストリアホールディングス、オンワード樫山、トウキョウベースの6社のゾゾ比率をまとめている。

本文記事を読んでもらえればわかるが、決算書類に書かれてあることをもとにしてゾゾ比率を算出している。
算出というほどのことではなく、各社はゾゾ比率がどれくらいかを自社で発表している。

まず、ユナイテッドアローズ。

ユナイテッドアローズのZOZO売上構成比は全体の57%。232億円の57%ですから正確な売上は132億円。2017年と比較すると、EC全体が202億円でZOZO売上構成比が60%で121億円。まとめたものが下記になります。

   2017年3月期 2018年3月期
EC全体    202億円   232億円
ZOZO売上   121億円   132億円
自社EC売上  40億円    54億円
ZOZO比率    60%     57%

となっている。

また

ユナイテッドアローズのECはスタートトゥデイがフルフィルメントを担当していますから、自社ECが伸びてもスタートトゥデイに恩恵があります。

とのことで、ユナイテッドアローズはゾゾへの依存度が少し高すぎるといえる。

続いてパルグループである。

パルは先日、公開されてましたのですぐわかります。

EC全体   110億2100万円
ZOZO売上 71億8300万円
自社売上   19億8700万円
ZOZO比率    65%

となっており、自社運営のサイト「パルクローゼット」の売上高は微々たるものだということがわかる。
ここもゾゾ依存度が高すぎる。

3番目はベイクルーズ。

2017年末の記事ではその当時の数字が、

EC全体   275億円
ZOZO売上 107億円 ※ZOZO比率39%から逆算
自社売上   137億円
ZOZO比率    39%

とのことで、ここはゾゾ比率を下げることに成功している。

アダストリアもゾゾ比率は比較的低い。

EC全体    333億円
自社売上   172億円
ZOZO比率  48%以下

アダストリアは自社ECサイトのドットエスティがあり、こちらはなかなか健闘している。
ドットエスティは4000円以上で送料が無料となるため、何万円買おうが送料200円が必要なZOZOTOWNで買うよりもお得だから、アダストリアの商品をネットで買う際には必ずドットエスティで買っている。
ここもゾゾ比率は今後さらに下がると見ている。

オンワード樫山もゾゾ比率は低い。

EC全体    203億円
自社     152億円 ※自社比率75%から逆算
ZOZO比率   25%以下

オンワード樫山の主力ブランドは23区にしろ組曲にしろ、40代以上が主力客層となっており、30代前半がメイン顧客のZOZOTOWNとは最初から親和性が低い。
このため、今後もオンワード樫山のゾゾ比率は高まらないまま推移するだろう。
オンワード樫山にとってはゾゾはほとんど必要ではないと思う。

最後のトウキョウベースは反対にゾゾ依存度がもっとも高い。
個人的には高すぎて逆に危険ではないかとさえ思う。

EC全体    49億7000万円
ZOZO比率    86%
自社比率    14%以下

自社ECはほとんど売れていないに等しい。

スタートトゥデイとトウキョウベースは経営者のタイプがビッグマウス同士で似ていると感じる。
似ている者同士は同族嫌悪になるか、べったりになるかのどちらかなので、この場合は後者なのではないかと見ている。
いくら馬が合うといっても、ここまで他社に依存しているのは危険極まりないと思うのだが。

ざっと深地さんのNOTEを引用抜粋してきたが、今後、ゾゾ離脱が早期に可能な企業はこの6社のうち、ベイクルーズとオンワード樫山とアダストリアホールディングスだろう。そこにストライプデパートメントを立ち上げたストライプインターナショナルも加わる。
この4社はすぐにでもゾゾ離脱が可能なので、今後何かのきっかけがあればゾゾを離脱してもまったく不思議ではない。
とくにオンワード樫山はZOZOTOWNの必要性をまったく感じてないのではないかと見ているがどうだろうか?

逆にゾゾと心中しかねないのがトウキョウベースであり、自社比率14%というのは危険水域に達しているのではないか。
パルグループも同様であり、ちょっと自社サイトの力が弱すぎる。

離脱する腹積もりはあるが、なかなか踏ん切りがつかないのがユナイテッドアローズではないか。

トウキョウベースやパルほどは依存していないが、離脱するには依存度が高すぎる。
ユナイテッドアローズは今後どうするのだろうか?
自社ECサイトを強化するのか、このままゾゾ比率を50~40%くらいで維持するのか。
どちらの方向を選ぶのだろうか。
ちょっと注目して観察してみたいと思う。

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オンワード樫山の商品はAmazonでも買える。

スタートトゥデイの「中期経営計画」と「新ゾゾスーツ」に対する疑問

4月28日からゴールデンウィークの連休が始まった。
連休に入る直前の27日夕方、株式市場が終わった直後くらいに、スタートトゥデイから「ゾゾスーツの失敗と新ゾゾスーツ」「中期経営計画」の2つが発表されたが、個人的にはどちらも疑問しか感じない内容だった。

まず、ゾゾスーツの失敗と新ゾゾスーツだが、生産に至ることができずに新方式でのゾゾスーツを発表した。

スタートトゥデイ、“ZOZOSUIT”生産失敗で約40億円の損失を計上
https://www.wwdjapan.com/607378

体型を採寸できるスーツとして注目を浴びたゾゾスーツだったが結局は量産化できずに終わった。
旧ゾゾスーツは、着用してスマホと連動させることで一瞬で体型が採寸できるという触れ込みで、ここに未来性を感じた人が多く、その人々から高く評価された。
昨年10月末に発表されたものの、年が明けてもほんの一部の人間にしか配布されておらず、いわば掛け声だけの「幻」の状態が4月まで続いていた。

どうなっているのかという声も多数上がっていたが、2月にはスタートトゥデイは別のアイデアを3億円で買ったという報道があった。

「ゾゾスーツ」超えるアイデア 3億円で買い取り
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26992020W8A210C1000000/

この時点で複数の業界人からは「これは先に発表されて動きがないゾゾスーツを諦めて、こちらに乗り換えるつもりだろう」という指摘が出ていたが、まさしくその通りの展開になった。

旧ゾゾスーツを申し込んだ人はもれなく、新ゾゾスーツに替えて送付されるとのことだが、この対応は個人的には疑問だ。
まず、旧ゾゾスーツの量産失敗、もしくは量産断念を先にアナウンスすべきではないのか。
それを4月末まで隠しておいて、いきなり「新ゾゾスーツに替えて送付します」というのはちょっといただけない。

今回は、販促戦略もあって無料送付だったから、各人に金銭的被害は発生していないが、通常買い物をした場合なら、その商品がなければ先にそれを説明する。そのうえで、代替品を用意すると説明する。
いきなり、代替品のアナウンスと同時に量産断念をアナウンスするのはどうかと思う。

生産コストは1着1000円で、費用は広告宣伝費に計上するという。発表会ではデモンストレーションを実施したが、音声にしたがって全身の撮影をするため、旧型に比べると計測にかなりの時間がかかるようだ。

着ただけで採寸できるのではなく、着てそれを音声に従ってカメラで撮影して採寸するという新ゾゾスーツがすごく性能が良いという擁護記事がさっそく書かれているようだが、フェイスブックの書き込みでは「使いにくい」「採寸が正しいのかどうかわからない」という書き込みもあり、一概に擁護派のいうようなメリットばかりではないと考えられる。

また、中期経営計画だが、ちょっと実現は困難なのではないかと思う。
株価対策のために盛ったのだろうか。

ゾゾ初の中期計画、2年後に商品取扱高5000億円突破、PBは3年で2000億円へ
https://www.wwdjapan.com/605521

19年3月期決算では商品取扱高が前期比33.1%増の3600億円、売上高が同49.3%増の1470億円、営業利益が同22.4%増の400億円、純利益が同38.9%増の280億円を見込む。PB事業の売り上げ目標は200億円。2年後の20年3月期には商品取扱高5080億円、21年3月期には7150億円、営業利益900億円を目指す。

今期のPB売上高は135億〜225億円を見込む。6月にはカジュアルシャツやデニムなど3型を追加する予定で、今後フルオーダーのビジネススーツ、ドレスシャツ、ワンピースを計画する。7月以降は世界72カ国でも販売を開始し、2年目にはグローバルで売上高800億円、3年目には2000億円を目指す。

とあり、取扱高5000億円の目標はともかくとして、自社企画ブランド「ゾゾ」の初年度売上高200億円、3年目2000億円という数字と、新ゾゾスーツの今期は600万〜1000万個の発送予定はちょっと盛りすぎた数字で実現性に乏しいと感じる。

これを端的に深地雅也さんがまとめている。

https://note.mu/fukaji/n/n9ff1ca89028d

 

 

(ゾゾの)昨年度のアクティブ会員が5,112,861人。ゲスト会員が2,110,366人。トータルで年間購入者数が7,223,227人。アクティブ会員の定義は年間1回以上購入なので僕はアクティブ会員に属していますから、少なくとも既に主要な会員500万人にリーチしている情報で100万件の発注数。SUIT発表のタイミングで新規登録した人もいるかとは思っていましたが、昨年度からトータルで17450人しか購入者数が増えていませんし、むしろゲスト購入者数は減少しています。ZOZOSUIT購入者はカウントしていないのかもしれませんが特に記載はありません。

とのことで、ゾゾスーツ購入者はカウントしていないのかもしれないが、アクティブ会員とゲスト購入者を合わせたトータル利用者数は1年間で1万7450人しか増えていない。
個人的な考えでいえば、ゾゾの会員数はほぼ極大値に近づいていると思う。ファッションやファッションテックに興味のある人はとっくに会員になるかゲスト購入者になっているだろう。当方のようにゾゾが嫌いな人はいくらもてはやされてもこれからも利用しないだろう。
ましてやファッションやファッションテックに興味のある人はマスの中では少数派である。逆に興味のないマス層が今後、服しか売っていないゾゾで積極的に買い物をするとは考えられない。
服に興味のないマス層は、服以外の商材が豊富なAmazonやYahoo!ショッピング、楽天あたりで買い物をする。
みんながみんな服に興味があると思ったら大間違いだ。当方だってこの仕事をしていなかったら服なんか買わずにもっとガンプラを買っている。

だからゾゾの会員数とゲスト購入者はここから大きくは伸びにくいと考えられる。

そんな状況で新ゾゾスーツ600万枚配布はちょっと難しいといわねばならない。

仮に今の発注数である100万件が6月中に届いたとして、残りの500万件はどのタイミングでお届けするのでしょうか。

という疑問がすべてを物語っている。

また自社企画ブランド「ゾゾ」の売上高も同様にかなり難しい数字を出していると見ている。

ユニクロのTシャツ・ジーンズ売上の何%売れば、どのくらいの売上になるかの指標が書かれています。ユニクロのヒートテックですら初年度150万枚。1枚1200円のZOZOのTシャツが仮に150万枚売れても18億円です。ユニクロのジーンズは毎年1000万枚以上販売しているようですが、仮にその10%販売出来ても100万枚×3800円なので38億円です。


とある。ゾゾはこれからジーンズとTシャツ以外にも商品の種類を増やすと発表しているが、それを入れても初年度200億円というのは難しい。5月1日現在、まだ売り物は1200円のTシャツと3800円のジーンズしかない。ゾゾがいうようにフルオーダーのスーツ、ドレスシャツ、ワンピースなどの新商品を投入したって、あと10か月でどれほどの売上高が見込めるのだろうか。
そしてあと10か月となった5月1日現在もまだ新商品の具体的な発表はなされていないし、もちろん投入もされていない。

一般的に考えて、1200円のTシャツが150万枚も売れることはないし、3800円のジーンズが100万本売れることはない。

また、この自社企画ブランドが3年後2000億円というのも眉唾物だ。個人的には「言うだけはタダ」ではないかと見ている。

年間売上高2000億円というと現在のジーユーと同等ということになる。
またアダストリアホールディングス全体の売上高と同等ということになる。

マス層にそこまで知られていないゾゾタウン、さらに自社企画ブランド「ゾゾ」がマス層にも知られているジーユー、アダストリアに匹敵する売上高をたった3年で作るのは至難の業である。
ファーストリテイリングという強力な後ろ盾があったジーユーだって方向転換してから年商2000億円に達するまで7年間もかかっている。

「ゾゾは世界に向けて売るから達成できる」という人もいるだろうが、世界こそそんなに簡単ではないのではないか。
中国にはすでにアリババやタオバオなどの巨大ECがあるし、高級ゾーンでは欧米のネッタポルテがある。
ここにウィゴーやらジーンズメイトやらタカキューなんかの低価格ブランドが増加したゾゾが新規参入してそこまで世界から支持を受けるとは当方は到底考えられない。

一気に生産枚数や配送数を増やしたり、一気に流入者を増やしたりできるような「魔法」はこの世には存在しない。
そしてゾゾはそんな「魔法」を持ち合わせてはいないと当方は見ている。
「魔法」に期待している人はさぞかし天真爛漫・純粋無垢なのだろうと思う。

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ライトオンとマックハウスが解決すべきそれぞれの課題とは

ジーンズ専門店チェーンの大手3社といえば、ライトオン、マックハウス、ジーンズメイトでしたが、すでに売上高100億円を下回ってしまったジーンズメイトが大手と呼ぶに相応しいのかどうかは大いに疑問を感じる。
しかし、全国展開しているのはその3社だから一先ずその枠組みは残しておこうと思う。

ユニクロに客を奪われたのは大手総合スーパーよりもこれらジーンズ専門店チェーンではないかと思う。

ジーンズメイトのことは散々書いてきたから、今回は先日、決算が発表されたライトオンとマックハウスについて考えてみたい。

ライトオンの2018年8月期中間決算は

売上高397億9000万円(前期比7・1%減)
営業利益9億3800万円(同302・1%増)
経常利益9億2200万円(同306・2%増)
当期利益4億1600万円

と減収ながら大幅増益となった。
理由は前年の利益額が悪すぎたからだ。

マックハウスの2018年2月期決算は

売上高308億5200万円(同8・5%減)
営業利益2億1600万円(同64・9%減)
経常利益2億6400万円(同61・3%減)
当期損失2億2400万円

と減収大幅減益に終わった。

ライトオンは中間決算、マックハウスは本決算ということで一概には並べられないので、ライトオンの通期見通しも書いておこう。

売上高770億円(同3・8%減)
営業利益12億円
経常利益11憶5000万円
当期利益1億5000万円

となっており、黒字転換を見通すものの、売上高はさらに低下しており、800億円を下回る見通しとなっている。

マックハウスも売上高500億円はとっくの昔に割り込んでおり、このままでは300億円台も維持できるかどうか怪しい。
すでに売上高100億円を割り込んで久しいジーンズメイトと合わせて3社ともにピーク時の売上高まで回復させることは至難の業といえるだろう。

ライトオンは今更、52週MDを持ち込もうとしているようだが、かつてのワールドが編み出した52週MDをいまだに信奉している者が業界には多数いるが、その後のワールドの経営不振を見れば、結果は一目瞭然ではないかと思う。
なぜ、失敗した会社の手法をいまだに持ち込みたがる企業が後を絶たないのか不思議でならない。

ジーンズメイトも含めてキャッシュフローは潤沢であり、バランスシートも重くないと経済各紙は指摘するが、それは「倒産しないという保証」に過ぎず、売り上げ回復や業績回復の手段とはなり得ない。

なぜなら、金を潤沢に持っていることと、売れ行きが回復することはイコールではないからだ。
潤沢な資金があるから、売れる商品を開発できる可能性がある、売れる売り方を見出せる可能性がある、売れる販促ができる可能性がある、ということに過ぎない。

カネは使ってこそ初めて効果を発揮するのであって、金庫に眠っている間は何の効果も発揮しない。
せいぜいが倒産しないというお守りになるくらいだ。

その潤沢な資金を使って、商品開発、売り方の刷新、効果的な販促ができなければ、企業はジリ貧となっていく。

ジーンズ専門店チェーン3社の課題は資金繰りではなく、品ぞろえ・店構え・販促・売り方にあるのではないかと思う。

まず、ライトオンだが、ショッピングセンターに入店している他社ブランドと見比べると店構えが完全に違う。
この差異が良いのか悪いのかを精査すべきで52週MDの導入なんぞで業績は上向かない。

例えば、ショッピングセンターの他社ブランドと比べると、ユニクロやグローバルワーク、コーエン、ジーユーあたりは、床や柱が白く近未来的な店作りとなっている。
商品の積み上げ量も少なく、店舗には圧迫感がない。
ユニクロは商品を積み上げているが、不思議なことに圧迫感はない。
ジーユーはスタート当初は商品を積み上げすぎて圧迫感のある店作りだったが2011年頃から解消された。

それに比べるとライトオンは、従来型のワーキングやアメリカンカジュアル色の強い土臭さの漂う内装となっている。
また商品の積み上げ量が多く先に挙げた店舗に比べて見通しが悪く、得も言われぬ圧迫感がある。

先に挙げた店舗の後追いをすることが良いとは決して思わないが、そのあたりを比較して要素を取り入れることを考えても良いのではないかと思う。

ライトオンが今、真剣に考えるべきはこれまで通りの土臭い店作りを続けるのか、それともやめるのかである。
一概に後追いする必要はないので、これを「ブランド色」として追求するのか、それとも方向転換するのか、幾分か緩和してアレンジするのか、経営陣はそれを考えるべきで本社を原宿に移すことなんていうのはどうでも良いことである。

マックハウスの問題点は、都心一等地に店があまりにも少ないことにある。
大阪府内だと堺市駅前と吹田駅前にあるのを知っているくらいだ。
だから、必然的に都会に住んでいる人には著しく知名度が低い。
ちなみに週に1度講義に通っている大阪市内のファッション専門学校の生徒は誰もマックハウスを知らない。
それほどの知名度の低さであることを自覚した方が良い。

また店作りが非常にチープ感溢れている。
これではいくら商品が良かろうと客を引き付けることはできない。
チープさでいえば20年前のユニクロか、今のしまむら並みといえる。

ユニクロの後追いみたいな新業態も始めているが、それは単なるユニクロの劣化コピーに過ぎず、ユニクロをやめてでもそこで買いたいと思わせる物がなければ、単なる二番煎じに過ぎない。
それならまだ謎の中国ブランド「メイソウ」の方がはるかに売り方・見せ方が上手いといえる。

ジーンズメイトは自社ブランド「ブルースタンダード」「メイト」が20代後半~35歳くらいをターゲットにしているにもかかわらず、店の内装やその他の品ぞろえが中学生向けになっていることが問題である。自社ブランドと店があまりにもミスマッチに過ぎる。
これを解消しない限り自社ブランドが売れることは見込めないだろう。

3社とも中には良い商品もある。しかし、今の売り方・店構えではその商品が見えにくい。
それを自覚して解消する方法を考えるべきで、52週MDの導入とか、ユニクロの後追い店舗とか、ユニ辞め社員を登用するとか、そういう小手先の対処療法ではまったく結果を出せないだろう。

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ライトオンのお買い得品

ジーユーの伸び悩みはトレンドの多様化が原因 現状のままで売上高1兆円を達成することは不可能

業界紙記者時代ほどにはアパレルや生地問屋の展示会を多数回ってはいないが、それでも幸いなことに何社かはいまだに展示会案内をいただくので、時間が合う限りは見て回るようにしている。

バブル崩壊後から洋服不振が始まったとはいえ、90年代や2000年代前半はそれでもアパレルにとってはまだやりやすい環境だったのではないかと今にして思う。

バーバリーブルーレーベルのチェック柄ミニスカートが売れに売れて「アムラー」という言葉が流行ったのが97年、ビンテージジーンズブームで2万円~3万円のレプリカジーンズが売れたのは96~98年、ローライズジーンズが売れたのが2000年ごろ、神戸エレガンスブームが2005年、インポートプレミアムジーンズブームが2005~2007年といった具合だ。

2008年のスキニージーンズブームを最後にこういう単品による大量販売は見られなくなる。

2015年頃のジーユーのガウチョパンツブームが例外的といえる。
ただし、個人的にはジーユーを含んだガウチョブームは2008年までのものとは傾向が少し異なると見ている。

ガウチョはガウチョという形(シルエット)のみが支持されただけで、色・柄・素材・テイストに関しては何の統一性もなかった。
それまではスキニージーンズにしろ、アムラーにしろ、素材や色・柄、テイストは画一的だった。
ガウチョの場合は、ポリエステル素材でもデニム素材でもレーヨン素材でもなんでもありだ。また、色・柄もなんでもありだ。
無地あり、細ストライプあり、チェックありだし、色も黒・白・ベージュ・紺・グレー・ボルドー・マスタードと何色でも構わない。

テイストもナチュラルカジュアルもあればオフィスカジュアルもある。エレガンスフェミニンもある。

だからジーユーでも構わなかったということになる。
また、ブームを牽引したトップブランドもない。

それまでのブームは最終的に廉価版が発売されてマスに普及するが、まず先端層が食いつくトップブランドがあった。

アムラーならバーバリーブルーレーベルだし、神戸エレガンスならビッキーでありクイーンズコートであり、プレミアムジーンズならセブンやらヤヌーク、といった具合だ。

しかし、ガウチョブームにはそれがない。
だからジーユーで十分だったと考えられる。

おまけにテイストは様々だから一人の女性が複数本買う必要があり、そのためジーユーでのまとめ買いが起こり、結果として100万本売れた考えられる。

基本的にスキニージーンズブーム以降は、ガウチョを除いてビッグトレンドが存在しない。
とくにこの3年間は本当に消費者の嗜好は多様化しており、トレンド傾向も多様化している。

売り場担当者からは「スカートが好調」との声も聞こえるが、一口にスカートと言ったって、色も柄も素材もシルエットもテイストも多種多様である。
デニムスカートもあれば、ポリエステルのスカートもある。フレアスカートもある。タイトスカートもあるし、ナチュラルアメカジテイストもあればセクシーテイスト、フェミニンテイストもある。

かつてのように「タイトミニスカート」という具合に決め打ちするわけにはいかない。

展示会をいくつか回ってもアパレルメーカーも生地問屋も「多様化するトレンドにそれぞれ対応するしかない」と口をそろえるのが印象的である。

こうなると、トレンド対応型のブランドは収益を伸ばすのは厳しい。
さらなる多品種小ロットでの対応を迫られるから、製造コストがかさみ、在庫処分の値引き販売が増えざるを得ない。
しかも売上高は容易に伸びない。

ジーユーの伸び悩みも同じ原因ではないかと個人的には見ている。

ジーユー、じわり復活でも満足できない理由
「売上高1兆円」を目指すが、ハードルは高い
https://toyokeizai.net/articles/-/216532

この記事だが、今のままのジーユーなら売上高1兆円はまず無理だろう。期待している方がアホなんじゃないかと思う。

ジーユーの第二四半期の業績は

2月期上期決算は、売上収益1058億円(前年同期比8.3%増)、営業利益91億円(同23.3%増)。防寒アイテムが少なく十分に需要を取り込めなかったため、既存店売上高は前年同期をやや下回ったが、新規出店が寄与して増収となった。値引き処分も減り、利益は大幅に改善した。

とあるが、トレンド対応型とはいえ、ガウチョのように100万本単位で売れる商品が見当たらない状況下ではジーユー、ひいてはファーストリテイリングの強みは思うようには発揮できない。
多品種小ロット化すると、その他大勢のアパレルブランドと同じ構造になってしまうからだ。
お得意の大量発注による製造原価引き下げもそれほどはできなくなる。
とはいえ、製造を担当する商社に取られる手数料の%は他ブランドに比べて格段に低いのだが。(笑)

ジーユーが悪いというよりは、トレンドの多様化という状況ではやむを得ない。

それでも店頭を見ていると、ジーユーの今春夏物は昨年春夏物に比べて随分と良い商品が増えたと感じる。
商品企画はがんばっているといえるが、売上高が稼げるビッグトレンドが存在しない。

ベーシックアイテム・機能アイテムを核とするユニクロとは顧客層やビジネスモデルが根本から異なる。

ところで、この「売上高1兆円構想」というのは、現状のジーユーでは達成不可能だろう。
まず、ジーユーの展開店舗はほぼ国内のみである。
正確には358店舗(2017年8月期末)だが海外店舗は14店舗しかない。
現状では96%が国内店舗だといえる。

国内店舗のみで1兆円を達成するのは不可能だろう。
王者・ユニクロだって国内売上高はいまだに8000億円台である。

しかも、多様化したトレンド対応ブランドということになると、売上高を急激に伸ばすことは難しい。

それができるのだったら、そういうビジネスモデルを構築してきたワールドやオンワード樫山がとっくに1兆円企業になっているだろうが、現状彼らとて3000億円弱で止まったままである。

1兆円達成ができるとしたら、海外に大量出店した暁ということになるだろう。
というか、それしか達成できる方法はない。

現状のジーユーを見ながら「1兆円構想の達成は可能か」なんて論じたってまったくの無駄でしかない。
ジーユーの1兆円構想が現実味を帯びることはまだまだ先の話で、それまでは単なるビジョンを掲げているとして流しておくのが正解だろう。

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値下げ販売で収益を圧迫したのは実店舗じゃなくてECサイトでは? ~アダストリアの場合~

アダストリアホールディングスの2018年2月期連結が発表された。

売上高2227億8700万円(対前期比9・4%増)
営業利益50億500万円(同66・4%減)
経常利益54億2800万円(同64・1%減)
当期利益8億6300万円(同92・5%減)

と増収ながら大幅減益に終わった。

大幅減益の理由については、各メディアで、

また、頻繁なセールの実施や、客のニーズをとらえきれなかった商品の在庫消化のための値下げ販売を推し進めたことで、売上総利益率は54.2%と2.1ポイント悪化した。

https://www.wwdjapan.com/595815

などと伝えられている。
これについてはその通りだろうと思う。
実際に店頭を見ていると、頻繁に値下げセールが開催されており、現に今の春物だってすでに50%オフにまで値下げされており、この値下げ販売は「終わった話」などではなく、現在も進行形の話であり、これが収益悪化の原因なら2019年2月期の収益だって悪化したままになるのではないかとすら思う。

趣味で店頭を見る際、レディースには興味がないので見ない。
アダストリアの場合、メンズのレイジブルーとグローバルワークの店頭を見た感想でいえば、値引きは2017年度だけに行われたものではなく、毎年頻繁に行われていた。
2016年秋冬物でも、ウール系のコートは2016年末にすでに40~50%オフにまで下げられていた。

この2ブランドに関しては防寒アウターが割安になるというのが、個人的な評価である。

一方、同じWWDの記事でも

EC売上高は同17.3%増の333億円と順調に推移した。

と報道されており、他メディアでもだいたい似たような論調が主流だが、アダストリアのECを定点観測していると容易にわかることだが、ECでの値引きはリアル店舗とは比べ物にならないほどに凄まじい。

リアル店舗ではやらない「タイムセール」も頻繁に行われている。
値下げで収益を圧迫しているのはリアル店舗よりも各紙が「好調」と報じているECの方ではないのかとさえ思う。

例えば、2016年秋冬商品も、ECサイトのドットエスティを見ている限りにおいては多数在庫を抱えている。
それが2017年12月にはいきなり当時の店頭価格の半額以下で販売される。
もう店頭にはない2017年秋冬物だってECでなら今でも買える。
しかも値下げされたままだ。

多くの2017年秋冬アイテムは半額から6割程度にまで値下げされている。
今年秋に備えて買うなら今がお買い得だろう。もっとも今年秋にはさらに値下げされる可能性も十分に高いが。

そんな中でなぜかレイジブルーのウール混のチェスターフィールドコートだけは頑なに16%オフでとどまったままだ。
よほど製造原価が高かったのだろうか。それ以上は値下げしたくないというのがありありと伝わってくる。

一方、昨年12月から頻繁にドットエスティでは数日間の「タイムセール」が行われている。
例えば、50%オフされている商品があったとして、数日間だけはそこからさらに20~30%オフくらいになる。
しかもそれが毎月とか月に2回とかの頻繁なペースで行われており、早速2018年春物のタイムセールも行われた。

値引き販売で収益を圧迫しているのはリアル店舗ではなく、ECの方ではないのか。

ここを見ないとアダストリアの値引きの本質は見えないだろう。

その一方で、ECサイトの使い方としては上手いと思う。
某ワールドのようになんでもかんでもすぐにアウトレットストアの「ネクストドア」に放り込むというのは乱暴に過ぎてお話にならない。
あんたらの会社ごとネクストドアに放り込んだらどうかと思ってしまう。(笑)

リアルなアウトレットストアを大規模に展開すれば、どうしてもそちらと見比べて正規店のイメージダウンにつながる可能性がある。
また、シーズン遅れ商品や昨年の売れ残り商品はアウトレットでもなかなか売り切りづらい。

しかし、ECサイトなら話は別だ。

リアルなアウトレットストアとは異なり、誰でも見られるというわけでもない。
その存在を知らない人は見つけようもない。ウェブの苦手な人は一生見つけることはできない。

シーズン遅れ品や昨年度の在庫を値引き販売していたところでイメージもあまり悪化しない。
むしろ、ネットで買う場合こういう格安品を探すことが醍醐味となっている部分もある。

リアル店舗と異なり、陳列場所の広さにも制限はないから、売れ残りの格安品をいくらでも表示できる。

このように見ると、アダストリアのECサイト「ドットエスティ」の使い方は他ブランドよりも上手いと思う。
さらに頻繁なタイムセールで消化を高めている。

逆にちょっと笑ってしまうこともドットエスティではある。

お気に入りに登録したアイテムが残り少なくなると「残りわずかです」というお知らせメールと、その商品が再入荷したら「再入荷しました」メールが送られてくる。
これはこれで非常に便利な機能なのだが、ときどき「残りわずかです」というメールが送られてきた10分後くらいに「再入荷しました」というメールが送られてくることがある。

これには笑うしかなく、単なるマッチポンプではないのか。

そもそも10分後に再入荷することもわからないのかということにもなるし、10分後に再入荷させるくらいならあらかじめ数量を積んどけよって話でもある。

まあ、もしかしたら、現在、スタートアップ界隈の騒ぎ屋連中がワーワー言っているAI(人工知能)のなせる技かもしれないが、数十年後はどこまで進化しているのかわからないが、現状はこの程度だとするとAIに職を奪われるということはあり得ないといえる。

まあ、なんにせよ、アダストリアのブランドを安値で買いたいという人がいたら、もっともお勧めできるのはECサイトのドットエスティである。リアル店舗で買うよりも格段に安い。返品不可だったり試着できないという不便があったりするが、コストパフォーマンスを狙うならこちらで買う方が圧倒的にお得だといえる。

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こんなの見つけた。なんだこれ?

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