カテゴリー: 売り場探訪 (1ページ / 7ページ)

カシヤマ・ザ・スマートテーラーの出張採寸を見学した話

先日、カシヤマ・ザ・スマートテーラーの出張採寸を見学した。
オンワード樫山が開始した低価格パターンオーダースーツで、今は地域限定だが、採寸師が出張採寸してくれるというサービスだ。

いつもの深地雅也さんが予約をしたというので早速、見に行った。

その顛末はすでに深地さんがまとめている。よければご一読を。

KASHIYAMA the Smart Tailorの出張採寸が超便利な件

https://note.mu/fukaji/n/nf1604735f624

横で見学していた限りにおいては、通常のパターンオーダーの採寸と各種オプションで、極めて標準的なサービスに見えた。

当方も12年くらい前に一度、オンリーでパターンオーダースーツを作ってみたことがある。
また、先日は大手生地ブランドからの依頼で、東京と大阪のテーラーでパターンオーダースーツづくりの取材をした。

それらと比較してみても、まあ標準的なサービスだといえる。

ただ、パターンオーダーにつきものの基準となる「ゲージ服」の着用はなかった。
カシヤマのショップでなら「ゲージ服」を着用しての採寸もあるのではないかと思う。

価格はジャケットとパンツで

ウール50%・ポリエステル50%生地が3万円
ウール100%国産生地が4万円
インポート生地が5万円

となっている。

各種のオプションは

・袖口のボタンの数
・切羽にするかどうか
・裏地の色
・ベント(ノーベントかセンターベントかサイドベンツか)
・ジャケットの両脇のポケットの形
・胸ポケットの形
・パンツのタック(ノータックかワンタックかツータックか)
・ボタンの色と材質

くらいになる。

で、スーツはこれまであまり着たことがなかった深地さんを横で観察していたのだが、これらの各種オプションを選ぶのがちょっとめんどくさそうだったのが印象的だった。

スーツの好きな人、スーツに慣れている人なら、これらのオプションは標準的で、それを選ぶことが「楽しい」と感じる。
決してこのオプションは多すぎるとは思わない。

しかし、慣れない人にとっては、これらのオプションを選ぶことはけっこう面倒に感じる場合があるということを初めて知った。

もしかすると、スーツ慣れしていない人やスーツに詳しくない人に対しては、もっと提案機能を持たせた方が顧客満足度が高くなるのではないかと思った。

来店した客を「スーツ慣れした人」か「スーツ慣れしていない人」か見分けるのがなかなか難しいが、何らかの方法で見分けて、それによってスーツ慣れしていない客にはもっと積極的に提案した方が良いのかもしれない。

カシヤマの採寸師の方は、決して投げっぱなしというわけではなかったが、お客の要望に合わせるというスタンスだった。
当方ならそういうスタンスの接客で十分なのだが、慣れていない人にとっては、逆にそちらがサジェスチョンしてほしいと思うようだった。

それとその時に採寸師の方からいろいろとお聞きしたことが興味深かったのが、おもにこのパターンオーダー事業の業績に関することだった。

中国の大連にすでに専用の縫製工場を作っており、第二工場ももうすぐ稼働し、第三工場も建設することが決まっているという。
最近のOEM丸投げアパレルの水準からすると1つでも工場を作るというのがすごいが、まあ1つくらいならわからないではない。
しかし、事業がスタートしたばかりでもう第三工場まで作ることが決まっているというのは、相当に売れ行きが好調なのだろう。

1日あたりの売れ行きを尋ねてみると、「だいたい毎日800着」だという。
これは予想外にすごい数字ではないか。

客単価3万円としても1日に3万×800着で2400万円の売上高になる。
1か月だと2400万円×30日で7億2000万円となる。

このペースで1年が経過したと仮定すると、7億2000万円×12か月で86億4000万円の売上高となる。

深地さんは、客単価4万円で計算しているが、4万円だとだいたい115億円強の売上高となる。

実際の売上高はこの86億と115億円の間ということになるのではないか。

しかし、それにしても事業開始と同時に縫製工場を作るというのは、さすがは老舗アパレルであるオンワード樫山だといえる。

もちろん老舗アパレルだってOEMやODMに丸投げするのは珍しくないが、このオーダースーツ事業に関しては、製造の段階から自社で用意しており、その力の入れ具合がわかる。
物作りをどうするかということを最初から考えるのは、さすがは老舗アパレルで、泥縄式に製造関係者を募集しているZOZOとは姿勢がまるで異なっている。

話は少し戻るが、スーツに慣れていない人・初心者をターゲットにした、「なるべく選ぶオプションが少ないパターンオーダー」というのも考えてみてはどうだろうか。

極言すれば「標準服」のサイズを修正するだけである。

そのキモとなる「標準服」のデザインやシルエットはよほど魅力的なものにする必要がある。
選ぶことに慣れていない人にとっては、選択肢を制限する、もしくは無くすことが最高のサービスになる。

逆説的だが、顧客サービスとは、たくさんの中から選ぶようにしてあげることばかりではないということである。

10何種類もシルエットが存在するジーンズ専業メーカーのジーンズよりも、4種類くらいしかシルエットのないユニクロや無印良品のジーンズの方が売れていることを考えてみても、選択肢を制限することが対象によっては、顧客サービスになり得るということがわかるのではないだろうか。

久しぶりに有料NOTEを更新しました~♪
ジーンズメーカーとジーンズショップの変遷と苦戦低迷する理由
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/ne3e4f29b4276

 

【告知】多数の要望があり、8月24日のマサ佐藤(佐藤正臣)氏とのトークショーを昼間から夜の飲み会へと変更しました。(笑)
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8月1日から始まった、はるやまの新パターンオーダー、イージーセレクトもどうぞ
今度試してレポートしてみようかな?

ブランドロゴ入りのTシャツは意外と売りやすいアイテム

8月4日の土曜日、ビッグジョン大阪店のプレオープンにお邪魔した。

ジーンズメーカーのビッグジョンが、直営の大阪店を出店した。
今回は、8月5日に東京と大阪の同時オープンだという。

東京店は東京支社と併設で9坪の小さな店だが、大阪店は40坪の面積がある。
しかし、ビッグジョンとしてはとりあえず1年間の挑戦と位置付けており、ダメだった場合、1年間で撤退する。
売れ行きが良ければ、2年目が始まるということになる。

これに先駆けて、エドウインも堀江に大阪店をオープンした。

ジーンズメーカーもようやく直営店出店に積極的になり始めたといえる。

もちろん、これまでもエドウインもビッグジョンも直営店は出店していたが、これまで成功しないままに今に至っており、両社とも何度目かの仕切り直しだといえる。

ビッグジョンが今回、直営店出店に改めて積極的になったのは、岡山・児島の大型直営店が好調だからだとのことだ。

これまで何度か直営店を出店してきたが、いずれも長続きしていない。
長続きしていないということは、売上高が厳しかったということだろう。
売れていれば続けている。

これはエドウインとて同じだ。
売れ行きが悪かったから直営店が減ったのである。

これまで失敗続きだった直営店だが、児島店で好成績となったことからビッグジョンは自信を取り戻したのだろうと思う。

これに先駆けて、ビッグジョンとアダム・エ・ロペとのコラボ商品発売も始まった。

ムードだけでいうなら、ビッグジョンは少し上昇する兆しが出てきたのではないかと感じる。

これまでビッグジョンは、アダム・エ・ロペみたいな「イケてる」セレクトショップやブランドとコラボはあまりなかった(少しはあったが)し、それがウェブメディアに大きく載ることはなかった。今回はファッションスナップドットコムが掲載している。
それはなぜかというと、ブランド側もメディア側も「専業ジーンズメーカーはダサい」と思っていたからだ。これは当方の妄想ではない。はっきりと何度も目の前でそう言い切られた。

そのことから考えると、少しムードは好転しつつあるのではないかと感じられる。

背景には、大手有名各店はメジャーブランドをこぞって扱っており、同質化が進んでいたことが挙げられる。同質化を小手先の別注品番やらコラボ商品で凌いでいたにすぎず、同質化を回避するためにマイナーブランドを取り入れたいという各社の意向が働いているのではないかと考えられる。

とはいえ、このチャンスをぜひモノにしてもらいたいと願わずにはいられない。

両社の店舗は当たり前だが、ジーンズがほとんどで、ジーンズがメインに見えている。

しかし、ボトムスというのは売れにくい。
なぜかというと、どこかで教えてもらったのだが、だいたいの人は、パンツ1本に対してトップス3~5種類を着まわすのだそうだ。

例えば、ビッグジョンのワンウォッシュのスキニージーンズを1本買ったとする。
これに対して3種類~5種類くらいのトップスを着まわす人が多いらしい。
自分で考えてみてもそうで、トップスの所有数に比べるとズボンの所有数は少ない。
一つのジーンズに対して、いろいろなTシャツ、いろいろなポロシャツ、セーターなどを着まわす。

そうするとトップスほどズボンは売れないということになる。
売れる枚数はトップスより絶対的に少ない。

だからパンツ専門店はなかなか成立しにくい。

ハニーズのパンツ専門の新業態「パンツワールド」もあっという間にひっそりとなくなってしまった。

エドウインにしろビッグジョンにしろ、ジーンズが主力商品なのでどうしてもパンツ主体の店になってしまう。
今更、この2社にトータルアイテムを作れと言ったところで、不良在庫を増やしてお終いになるだろう。

しかし、どんなブランドでも作りやすくて効果的なトップスアイテムが一つある。

ブランドのロゴ入りTシャツである。

これはある人に指摘されて気が付いたのだが、ブランドのロゴ入りTシャツというのはすごく売れやすいのだそうだ。
そのショップなりブランドのファンなら、ロゴ入りTシャツは買ってしまう商品なのだという。
おまけにジーンズやジャケットに比べると、Tシャツは安いからこれまた買いやすい。

だから、その人は、あるブランドに対して「比較的低価格のロゴ入りTシャツを作ればいい」と提案していた。

ところがブランド側は「俺たちダサいから」とか「俺たちのロゴ入りTシャツなんて誰が欲しいの?」と否定的になりがちだが、そのブランドの愛用者なら、ロゴ入りTシャツを買うことには抵抗はほとんどない。むしろ喜んで買うくらいではないかと思う。

だからエドウインとビッグジョンのショップももっとロゴ入りTシャツを全面的に打ち出して売れば良いのではないかと思う。
値段はジーンズより安くて買いやすいし、ちょうど今は夏だから半袖のTシャツは売りやすいし、売れやすい。

先日、ZOZOとしまむらのコラボTシャツがZOZOで売り出された。
シュプリームを丸パクリしたデザインと「しまむら」という平仮名のロゴが絶妙にダサかった。
値段もしまむらではあり得ないほど高い値段設定で2160円だった。
ダサい上に高いなんてTシャツを誰が買うのかと思ったが初日に完売していた。
完売といっても、製造関係者によると初回は、たった600枚投入しただけだということで、まあ、個人的にはあんなのを2000円も払って買いたいとは思わないから、最初から1万枚とか2万枚を用意しても売れ残っただろうと思っている。

まあ、それはさておき、あんなのでもそれなりに売れるのだから、エドウインやビッグジョンのロゴ入りTシャツもそれなりに売れるだろう。
何より、エドウインのグループ会社である、LEEのロゴ入りTシャツは売れているではないか。

また、あんなにクソダサいチャンピオンのロゴ入りTシャツだって売れているじゃないか。

ということは、ブランドロゴのデザインが少々ダサくても売れやすいということである。

そんなわけで、もう少し両店ともブランドロゴ入りTシャツを目立つように陳列して販売してみてはどうか。

また、売れ行きが鈍いブランドやショップは、自ブランドのロゴ入りTシャツの発売を検討してみてはどうか。その店を利用しているファンからするとブランドロゴ入りTシャツというのは絶対に欲しいアイテムの一つだからだ。

業界人の嗜好とお客の嗜好はちょっと違っていることが多く、ブランドロゴ入りTシャツに関する嗜好もその一つといえるのではないか。

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ジーンズメーカーとジーンズショップの変遷と苦戦低迷する理由
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エドウインのロゴ入りTシャツをどうぞ~

業績の明暗が表すユニクロとジーユーの値下げ方針の違い ~今春夏の店頭を見て~

今春物から、ユニクロとジーユーがそれぞれ異なった値下げの手法をとるようになった。

ユニクロは今春夏物から値下げパターンが変えた。
自動的・段階的値下げはこれまでと同じだが、その値下げ幅が小さくなった。
反面、同じ商品でも色柄によって値下げ幅が異なるようになった。

昨年冬物までは、自動的・段階的値下げされ、それまで同様、期末には驚くほどの安値になった。
それが今春物からはそこまで値下げされなくなった。

お気づきだろうか?

2990円のパンツはせいぜいが1990円までにしか値下げされない。
1290円に値下げされるのはよほど時間が経過してからになっている。

シャツしかり、アウター類しかりだ。

しかし、売れ行きが鈍いと思われる商品は容赦なく値下げされる。
アンダーソンとトーマス・マイヤーは値下げされている物が多いが、アンダーソンは昨年秋冬物に比べると値下げ幅が小さい。
昨年秋冬物でデビューとなったJWアンダーソンコラボだが、はっきりいって投げ売りされまくっていた。

ウールをふんだんに使ったセーター類は本来なら製造コストが高いからそこまでの値引きはされないはずなのに、「魚柄ラムウールセーター」は最終500円にまで値下げされていた。
また、フェアアイルモックネックセーターも990円にまで値下げされたし、カラフルボーダー柄のファインゲージセーターも990円に値下げされた。これらをいずれも当方は底値または底値に近い価格で買っており、全然アンダーソンなんて注目していなかったのに、昨年秋冬にユニクロで買った商品の中で最も多かったのがアンダーソンコラボになってしまった。

今春夏のアンダーソンも通常ラインに比べて値下げされている物が多いが、秋冬物ほど値下がりしていない。切り替えボーダー柄Tシャツだっていまだに990円で踏ん張っている。
ロング丈シャツは3990円が最終1990円に値下がりしたが、1990円になる前にほどんど完売となっている。

また、これまでユニクロは同一品番は同一価格で値下げされていたが、今春物から、同一品番でも動きの鈍い色柄だけが大幅に値下げされるようになった。
例えば、春先に綿セーターが何種類か投入されたが、薄手の家庭洗濯可能なセーターの中で赤とピンクが不人気だったのか、いきなり500円に値下げされた。他のカラーが990円でとどまっているにもかかわらずだ。当然、当方はその赤を500円で買った。

今夏のユニクロUのTシャツもそうだ。袖リブの色だけが本体と異なる「カラーブロックTシャツ」という品名の商品があるが、黒、グリーン、紺は990円でとどまっているのに対し、赤茶色だけが790円に値下げされているし、「ユニクロU」のボーダー柄Tシャツも同様で赤茶色とあせたピンクのボーダー柄だけが790円に早くも値下げされている。

これと対照的なのが今夏のジーユーで、190円・390円・590円・790円というバッタ屋価格の商品が目白押しである。
はっきり言ってなまじのバッタ屋よりも安い商品が多い。
バッタ屋を越えたジーユーというのはなかなかすごい。

390円に値下げされていて、5月に買ったデニムの水玉プリントシャツ

 

 

キム・ジョーンズとのコラボアイテムなんてもうとっくに投げ売り価格で、カラーブロックセーター(冬向け素材)なんて今や390円である。ルイ・ヴィトン、ディオールなどのスーパーブランドを歴任したデザイナーの商品とは思えないバッタ屋価格となっている。

夏物に関してはユニクロよりもジーユーで買うことが増えた。
麻混の開襟シャツを790円で買ったし、先日、このブログでも紹介した切りっぱなしスキニージーンズも790円で買った。
ワイドボーダー柄Tシャツも590円になったときに3枚買った。

この安さを体験するとまともな店で服は買えなくなるほどの衝撃がある。

ユニクロとジーユーの値下げの違いを考察すると、ユニクロが以前よりもあまり値下がりしなくなった理由として、業界の製造関係からは「今春物から製造原価率を上げたから」だという声が聞こえる。それによると「製造原価率を5%上げてさらに品質を高めた。そのため、以前ほどの値下げはされなくなった」と言われている。それが正しいとするとユニクロの平均製造原価率は45%前後ということになり、あの数十万枚という量の多さで、その原価率の高さは驚異的といえる。
そこらの細かいロットしかないくせに「原価率50%ガー」とアホの一つ覚えのようにいっている某ブランドの商品とはまったく比べ物にならない。

一方、ここまで投げ売りするジーユーは恐らく在庫がダブついているのだろうと推察される。

さて、ユニクロとジーユーを擁するファーストリテイリングの2018年8月期第三四半期決算が発表された。
それによるとユニクロは増収増益であるものの、ジーユーは減益となった。特に3~5月は既存店売上高が前年を割り込み、大幅減益となっている。大幅減益となった理由は、在庫処分を進めた結果だ。

そしてジーユーは第4四半期も在庫処分を進めるため、粗利率が低下し、赤字幅が拡大すると見通している。

ジーユー/3~5月既存店売上減、春夏商品不振・在庫処分で赤字拡大

ジーユー/3~5月既存店売上減、春夏商品不振・在庫処分で赤字拡大

ジーユーの2018年8月期第3四半期の売上収益は1666億円(前年同期比6.4%増)、営業利益は150億円(1.7%増)と、増収増益になった。

一方、ジーユーの3~5月の既存店売上高は、減収となった。
春夏のキャンペーンで打ち出したマドラスチェックのボトムス、トップスや、ロングスカートなどの商品の販売が不振で、計画を大幅に下回った 。

売上が計画を大幅に下回ったため、値引きを早期に進めたことにより、3~5月の売上総利益率は前年同期比1.9ポイント低下し、また、売上高販管費率は同1.2ポイント上昇した。
営業利益は同20.0%の大幅な減益となった。

また、第4四半期は、シーズン末の在庫処分が増え、粗利益率が低下、赤字幅が拡大する見込みで、下期、通期ともに減益となることを予想している。

とのことである。
当方が喜んで買っている値下げ品はやはり在庫処分だったのである。

だいたい当方が喜んで投げ売り品を買うブランドは、その時、苦戦傾向にある場合が多い。
今年5月、6月のジーユーもそうだし、2017年のライトオンもそうだし、ジーンズメイトもそうだ。
だから当方が「これは破格値!」と紹介するブランドは概してその時点では不良在庫を抱えており、苦肉の策として投げ売りをしているということである。

ジーユーの春夏の店頭を見ると、たしかに商品のクオリティもデザインも良くなってるが、トレンドに偏重しすぎていると感じる。ベーシックアイテムが減った。そのあたりを当方が面白いと見ていてその投げ売り価格に魅力を感じているのだが、マス層のニーズとは少し異なっているといえる。

もちろん、ジーユーもそれに気が付いていて、夏物には無地のポロシャツとか無地のTシャツなんていうベーシック品も差し込まれているが、必然性のなさと売り場での見せ方の下手さが災いして全く売れずに590円の投げ売り価格となっている。

例えば、マーセライズドTシャツだ。今590円にまで値下がりしている。
無地で色展開も多く、通常ならもっと売れるはずだが、全商品がビニール袋に入れられている。
これは触られて汚れないようにという工夫とともに、マーセライズド加工された生地がテロっとしていて畳みにくいからではないかと思う。
マーセライズド加工とはシルケット加工とも呼ばれ、シルクみたいなソフト感と光沢感を綿に与える加工である。

そのため、ビニール袋に入ったままではその肌触りの良さはまったく実感されない。
なぜならビニール袋に入っているため触れないからだ。

いくらPOPで「マーセライズド加工」なんて書いたって意味がない。
それに一般消費者からすれば「マーセライズド加工」なんていわれたところで何のこっちゃでしかない。

完全に売り方・見せ方のミスである。

下期は、商品構成を見直し、防寒衣料、デニム、Tシャツ、ラウンジウエアといった実需商品の割合を増し、これらの実需商品の中にもジーユーらしいトレンドの要素を取り入れる。

とのことで増えすぎた品番数を絞り、ベーシックアイテムを強化するとのことだが、結局洋服屋というのはベーシック一辺倒でもダメだし、トレンド一辺倒でもダメだということで、ベーシックとトレンドのバランスをどう取るのかということが永遠の課題だといえる。
そしてそのバランスの取り方を誤ると今回のジーユーのようになるし、過去のユニクロの伸び悩みのようになってしまう。

それにしても、店頭の動きがそのままジーユーの3~5月の業績に反映されていたことには笑ってしまう。
店頭を見ていると、AIだ、POSだ、KPI指標だ、と難しいことを言わずとも、ある程度の売れ行きは推察できてしまう。店頭の動きをどれだけ正しく見るか、衣料品ビジネスはその一点にかかっており、それができていない人が多すぎるから「斜陽産業」と呼ばれるような事態に陥ってしまったといえるだろう。

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トウキョウベースの香港店は活況なのか?売上高から入店客数を類推してみたhttps://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n78d0021044a2

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苦し紛れの思い付きで専門外の商品を扱ったって絶対に成功しない

先日、某大手SPA企業の中の1ブランドのOEM(実態はODM)を担当している方とお会いした。

その企業が抱えるブランド群はこのところそろって不振で決算は大幅減益となっている。
またインターネット通販を見ていても、タイムセールの連発や2点購入割引などの値引き販売が続いており、在庫を捌くためになりふり構わない様子が見て取れる。

その方の担当しているブランドは、少し前から200円くらいのボールペンやノートなどの文具も販売を始めており、洋服販売の不振を何を使ってでも穴埋めしたいという姿勢が露わとなっていた。

ところがさらに驚くことに、このブランドは秋口からシャンプーやヘアワックスなどの販売も計画しているという。
これが事実なら、最早、そこまで手を出さなければならないほどに洋服の販売は不振を極めているといえる。

しかし、これは苦し紛れとしか言いようがないし、恐らく成果は出ないだろうと見ている。

なぜなら、シャンプーやヘアワックスなどの整髪剤を洋服ブランドの店で買う理由がないからだ。

コンビニでも販売しているし、今は隆盛を極めるドラッグストアでも販売している。
しかもドラッグストアは幾分か割引販売している。

さらに言えば、行きつけの美容室やヘアサロンでも買える。
美容室やヘアサロンでは通常のコンビニ、ドラッグに置いていない整髪剤を買える。

こうなると、洋服の店で「わざわざ」整髪剤を買わねばならない理由は何一つない。

ナショナルブランドの割引品が欲しければドラッグに、定価のナショナルブランドが欲しければコンビニに、価格は高いがコンビニにもドラッグにもない本格商品が欲しければ美容室に、という消費行動となり、そこに髪についてズブの素人だった洋服店が入り込む余地はまったくない。

そして、シャンプーなどのその手の商品は無印良品でも売っている。

これだけ強力なライバルに挟まれていて、活路があると思う方がおかしい。
よほど市場の現状を見ていないのではないかと思う。

近年、ライフスタイル提案型ショップが流行っているが、多くの洋服ブランドは洋服店の域を越えられていない。
餅は餅屋という言葉があるように、洋服屋は洋服屋でしかなく、その壁を乗り越えることは並大抵の努力ではできない。
だから多くの場合は、洋服にバッグ類と靴を数点ずつ置いてお茶を濁しているが、通常の洋服ブランドではそれが限界なのである。

無印良品のように、洋服から住宅、インテリア、食品、整髪剤などライフスタイル全般を網羅したブランドを構築することは至難の業で、無印良品も30年近い歴史を積み重ねてたどり着いており、苦し紛れの思いつきで追いつけるレベルでは到底ない。

唯一、シャンプーやヘアワックスが売れる可能性があるなら、コンビニにもドラッグにも美容室にも置いていない希少性の高い商材を集められた場合だけだろう。

それとてもプロモーションが上手く行っての話であり、プロモーションは必ず成功するという類のものではない。

また店構えも無印良品のごとくトータルライフスタイル提案にふさわしいものが要求され、通常の30坪とか40坪程度の洋服店にシャンプーの棚を1つ作りました程度では売れるはずがないし、このSPA企業の過去からの実績を顧みると、シャンプーの棚を1つか2つ作ってお終いとなるのが関の山である。

こんな当たり前のことがなぜわからないのか不思議でならない。
それとも負けるとわかっているがやらざるを得ないほどに洋服の販売が不振を極めているのか。

もちろん、何事もトライ&エラーを繰り返すことでしか成功しない。
頭でわかっているがやってみなくては実際のところは理解できない。

このブランドが将来的に「真のライフスタイルブランド」を目指すという覚悟があるのなら、今回の取り組みは第一歩となるだろうが、そこまでの覚悟があるのだろうか。
何年間もの試行錯誤を繰り返して投資を続けるだけの覚悟があるのだろうか。
外野から見ていると、失礼ながらそこまでの覚悟は感じらない。

余談ながら、この大手企業は最近会議が頻発しており、毎週月曜日から水曜日までの3日間が会議だといわれている。
会議をすべて否定するわけではないが、毎週3日間もの会議は必要なのだろうかと疑問に思う。
1か月で12日間も会議に費やしており、それこそ生産性が著しく低いのではないかと思う。

一般的に、長い会議を頻繁に行う企業は業績を伸ばすことができない。
とくにアパレルでそういう企業は必ず退勢となる。

苦し紛れでの思いつきの異分野商材の取り扱い、長時間会議の頻発、と、この大手はかなり危うい状況にあるといえる。
過去20年間の経験則だけでいうと、こうなった企業はほぼ間違いなく凋落した。
だから、この大手が凋落する可能性は高いのではないかと個人的に見ている。

文具には東急ハンズとか雑貨専門店、100円均一、コンビニ、無印良品という強力なライバルがひしめき合っている。
整髪剤にもコンビニ、ドラッグストア、美容室、無印良品などの超強力なライバルがひしめき合っている。

どちらの分野も生半可な覚悟と投資では戦えないことは誰が見てもわかりそうなものである。
毎月12日間もの会議を繰り返しながら、何を見てどう分析してその答えにたどり着いているのだろうか。
まったく理解不能である。

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個人的にはナカノスタイリングワックスがええと思う

「大量生産・大量販売から脱却する」という意味不明なルミネの主張

ルミネという商業施設のコメントはどうしていつも屁理屈臭が漂うのだろう。
これこそ企業の風土というやつかもしれない。

ルミネの夏のセール日が決定 昨年と同時期の7月末から
https://www.wwdjapan.com/635519

今年の冬セールは他の施設とほぼ同時の1月4日から開催したが、夏セールは他の施設から遅れて7月27日からするそうだ。
で、遅らせる理由だが

広報担当者は「しっかりとプロパーで販売し、適正な時期にセールをするという方針を取っている。これまでと変わらず、大量生産、大量販売から脱却し、素材やデザインにこだわった商品の価値を丁寧に伝えて販売していく」としている。

と書かれており、はっきり言って意味不明だ。
ルミネは真面目のこんなことを考えているのだろうか。だとしたら上層部は相当アレな人がそろっている。

そもそもルミネというファッションビルに入店しているテナントブランドのほとんどは「大量生産・大量販売」である。

例えばルミネ新宿を見てみようか。

1階にはユナイテッドアローズとトゥモローランドという「ほぼSPA」化した大手セレクトショップである。すでにこの2店でも相当に大量生産・大量販売だ。大量生産・大量販売という仕組みがなければこの2店はここまで大手になっていない。

2階にはガリャルダガランテ、デミルクスビームス、ドゥージィエムクラス、マークジェコブス
3階はイエナ、ピーチジョン、グレースコンチネンタル、ルシェルブルー
4階はユナイテッドトウキョウ、スピック&スパン、ブラックバイマウジー

などというふうになっており、目玉テナントはすべて大量生産・大量販売である。
そうではないと完全に言い切れるのは4階の大塚呉服店くらいだろう。その大塚呉服店とて、仕入れている着物のうち何割かは大量生産品が含まれている。

現代の大手アパレルブランドで大量生産・大量販売でないところはない。

「素材やデザインにこだわった」と陳腐化した言葉を並べているが、ルミネ内の店以外でも同じ商品が並んでおり、ルミネ内の店で買う必要性はまるでない。

以前に、バーゲンセールを後倒しし始めた際に持ち出したルミネの屁理屈は「産地の保護」だった。
しかし、上記のテナントにどれほど国内生産品が並んでいるのか。上記のテナントが扱っている商品はほぼアジア工場で生産されている。
生地や染色加工の段階にまでさかのぼれば、国内品比率が増えるが、縫製段階で限っていえば、当時ですら97%(数量ベース)は海外製造品だ。「産地の保護」で掲げている「産地」というのはどこを指しているのか?アジアの縫製工場のことか?
まったく笑わせてくれる。

ルミネの「理由」を聞いて前回も今回も納得する人がいるのだろうか。
いるとしたらその人たちの頭の中身は相当におめでたい仕様になっている。

で、これらのルミネの目玉テナントの各ブランドのウェブサイトに行くと、すでにウェブ上では一部セールが5月から始まっている。
ZOZOTOWNも5月にすでに大々的なセールを行っているし、割引きクーポンの乱発は日常茶飯事だ。

ウェブだけではない。実店舗でも今年は夏のセール開始が早い。
ショッピングセンター内や都心路面店では5月半ばから「店内一部セール」「最大〇〇%オフ」というデカイ看板が掲げられているし、ストライプインターナショナルとそれに触発されたブランドが毎日「タイムセール」を繰り返している。

言ってしまえば、消費者は常に割引品を買うことができる状況にあり、ネット通販の進展によってそれはさらに周知されている。
突き詰めればネット通販の最大の集客手法は「安売り」だからネット通販が盛んになればなるほど、各サイト間の競争は激化して安売りは進む。ZOZOTOWNの5月の大セールや割引クーポンの乱発はそれを証明している。

2008年ごろまでのインターネットがそれほど普及していない時代なら、ネットと実店舗は違うという理屈でも押し通せたかもしれないが、これほど多くの人が日常的にインターネットを使用している状況下ではその理屈は最早通用しない。
それにルミネのネット通販、アイルミネも早期に割引セールを行っている。自社のサイトがやっていることを実店舗で否定する意味がわからない。こういうのをダブルスタンダードというのである。

加えて、常に店内に「値下げセールコーナー」を持つユニクロ、ジーユー、GAP、ストライプインターナショナルの各ブランド、アダストリアの各ブランド、などのSPAブランドが浸透している。
消費者からすると、店内に見切り品コーナーがあることは最早常態と化している。

このような状況下で、90年代の遺物のような夏と冬の年二回の大幅値下げセールに固執する意味があるのだろうか。
当方はまったくないと思う。ルミネで値下げされていないブランドだってそのブランドのウェブサイトでは値下げされているのだから、そちらで買えば良いだけのことである。

こうなると、いくら、大手流通が「セール後倒し」を叫んだってもとには戻らない。
ネット通販とSPAブランドがすべて壊滅しないと実現できないので、事実上実現不可能ということである。

となると、ここでやらねばならないことはノスタルジー丸出しでの「セール後倒し」模索よりも、SPA方式での売れ行き不振商品の自動的段階的値下げである。それとともに、ZARA式の「売り切れ御免」方式を組み合わせるマーチャンダイジングの模索であろう。

ZARA式を取り入れることで「値下げまで待てない」という心理を消費者が持てば、セール品は減る。
それでも売れ行き不振商品が出るならそれは、企画と販売が下手くそなせいだから、諦めて値下げすればいい。
後生大事に定価で抱えていても最終的に投げ売るよりも早い段階で、30%オフくらいで枚数を減らした方が利益率が高いはずだ。
また、廃棄するにも廃棄料としてカネがかかるから、不振だと気が付いた段階で少し値下げする方が適切な処置だといえる。

定価で買うのは嫌だが、30%オフでこのデザインなら買っても悪くはないと考える消費者は多い。

まとめると、

・SPA方式の自動的かつ段階的値下げ
・ZARA方式の「売り切れ御免」の商品手配の確立と、商品企画の精度向上

セール後倒し派はつまらない日程操作よりも、この2つに注力すべきだろう。

それにしてもルミネの主張はいつもまったく共感も支持もできない。

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そんなルミネに関する本をAmazonでどうぞ

ジーンズショップオサダの経営破綻から見るジーンズカジュアルチェーン店が苦戦する理由

静岡の有力チェーン店と呼ばれたジーンズショップオサダが民事再生法を申請した。

静岡拠点のジーンズショップオサダが民事再生法適用を申請
https://www.wwdjapan.com/627235

地域の有力チェーン店と呼ばれていたが、最近は資金繰りの悪化が指摘されていた。
4月にお会いした某カジュアルメーカーの社長は「銀行からオサダと取引を控えるように勧告されている。理由はオサダの経営状態が悪いから」と話していた。
それほどに悪化しているのかと驚いたが、はからずもその話が現実化したといえる。

このブログでも6月8日の朝に

ジーンズカジュアルチェーン各社の状況はさらに厳しさを増している 夜明け前どころか真夜中の暗さ
http://minamimitsuhiro.info/archives/2573.html

を上げたが、文中に匿名で「銀行から取引中止を勧告された」と書いてあるのはオサダのことで、その日の夕方に民事再生法申請が報道された。

なお記事によると

8日付で企業再生支援のKSG(東京)との間でスポンサー契約を結んでおり、支援を受けながら再建を図ることになる。

とのことで早速スポンサーが確定している。

このオサダ以外にも業界での知名度は高いが近年は苦戦に転じていると言われている地域有力チェーン店が何社もある。
これまで何度も危機を乗り越えてきた地域有力チェーン店だが、ついに息切れし始めたといえる。
もちろんすべてのチェーン店がなくなるとは思わないが、ジーンズカジュアルチェーン店という業態そのものが時流には合わなくなってきており、今のままの業態で営業を続けると、最終的には何社かを残してあとはすべて淘汰されてしまうのではないだろうか。

衣料品業界の流れを見てみよう。
90年代半ばからSPA(製造小売り)がブームとなって大きく進んだ。
SPA化がすべて正しいとは思わないが、商品の独自化を極限まで追求すると、小売店がSPA化せざるを得ない。

これはカルチュアコンビニエンスクラブの増田宗昭社長も以前のインタビューで指摘されていたことだが、商品の独自化を追求すればするほど、SPA化に行き着く。
考えてみれば当たり前のことだ。

例えば、リーバイス501という名作ジーンズがあるが、これを何千店もが販売していたら同質化してしまう。
リーバイス501はジョイントで買おうが、三信で買おうが、フロムUSAで買おうが同じである。
だったら、安く買えるところが一番良いということになる。
実店舗の場合、店長や販売員に惹かれて多少高くてもそこで買うという人もいるが、大多数の人は安いところで買う。
そしてその安売りで人気を集めたのが昔のジーンズメイトである。

一方、同質商品を扱っているなら小型店よりも大型店の方が良いということになる。
リーバイス501は90年代前半でもブルーの濃淡だけで10色くらいあったから、3色しかそろえていない小型店よりも10色すべてそろえている大型店の方が良いと消費者は評価する。
その結果が90年代から進んだジーンズチェーン店の大型化であり、この90年代で街角の30坪くらいの小型店は軒並み死に絶えたといえる。

それによって、各地の国道沿いに大型ジーンズチェーン店が生まれたが、商品の独自性がなかったことと、98年からのユニクロフリースブームに端を発した低価格カジュアルブームによって、フロムUSAもロードランナーも三信衣料も倒産してしまった。

97年、98年というのは今から見るとターニングポイントともいえる時期で、このころ、東大阪のジーンズチェーン店だったジグ三信はセレクトショップ「アーバンリサーチ」を開業した。また、水戸のジーンズチェーン店だった「ポイント」は自社SPAブランド「ローリーズファーム」を開発した。

そして、2000年を越えるあたりから、他のジーンズチェーン店もSPA化を模索するようになるが、なかなかうまく行かずに、揺らぎ続けたままに2018年を迎えている。

その代表例がライトオンだろう。3年~5年ごとに「SPA化推進」を掲げてみたり、「仕入れ品強化」を掲げてみたり、を繰り返している。
リーバイスやエドウインからの仕入れ品が何割かあって、残りをSPAで埋めるのが本来は理想的だといえる。

しかし、実際の業務ではそれを守り続けることが難しく、決算によって施策が揺れ動くことを繰り返している。

ジーンズメイト、マックハウスも同様でSPA化に乗り出してはいるもののそれほどそのバランスのとり方には苦心が見える。

一方、オサダを含めた地域有力チェーン店はSPA化にはあまり取り組んでこなかった。
取り組んでこなかったという側面と、店舗数の関係で取り組めなかったという側面の両方があると思う。

オサダと仲の良かった他地域のチェーン店も構成比で2割程度のSPA商品があったが、これも多少増えたり減ったりを繰り返しているが、数年前の状況でいえば、オサダはほとんど自社製品がなかった。
売れ残るリスクを考えるとそれはそれで間違いではないが、品ぞろえの独自性ということから考えると、オサダにそろっている物はすべて他店でも買えるということになってしまう。
そうすると、品ぞろえという観点では競争力が低下する。

また、彼らが主力としてきた「ジーンズ」という商品がそこまで大量に求められているのかという疑問もある。

バッタ屋の店頭で立っていると「デニム生地のズボン」を求める割合は、明らかに50代以上の年配層が多い。
20代、30代はそこまで「デニム生地のズボン」を求める人はいない。

もちろん、身の周り検査だけのことだが、実際にメーカーに尋ねても40代半ば以上の男女の方がジーンズを求める声が大きいという答えが返ってくる。

ジーンズは決してなくならないが、それを主力にするということは、「年配向けの店」ということに自動的になってしまっている。
年配向けの店ならそれに徹した品ぞろえ、販促をすべきだが、チェーン店の多くはいまだに若者向けを目指しており、現状の品ぞろえとの乖離が激しい。ここにもライトオン、マックハウス、ジーンズメイトを含めた全ジーンズチェーン店の苦戦の原因があるのではないか。

スポンサーのサポートで再建を目指すオサダだが、従来型のジーンズチェーン店を志向するのであれば、業績が上向くことは考えにくい。早晩、二度目の経営破綻に陥るだろう。

現在の市場で求められているカジュアルはどういうものかを固定概念を捨てて考えてみる必要がある。
これはオサダに限らず、ライトオン、マックハウス、ジーンズメイトも含めた全ジーンズチェーン店が真剣に向き合うべき課題である。

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ほんまか?

ジーンズカジュアルチェーン各社の状況はさらに厳しさを増している 夜明け前どころか真夜中の暗さ(追記あり)

最近、ポジショントークな人々が「ジーンズカジュアルチェーン店に復活の兆し」と言い始めているがまったくそれは感じられない。

ライトオン、マックハウス、ジーンズメイトの全国チェーン店3社はピーク時の売上高に比べると著しく売上高を低下させたままだ。

売上高1000億円あったライトオンは800億円を割り込む勢いで推移している。
ライトオンの2018年8月期見通しでは売上高770億円となっている。

マックハウスは売上高500億円台から転落して、2018年2月期決算では売上高308億5200万円にまで低下している。

ジーンズメイトは先日も書いたが、ピーク時300億円台の売上高だったが現在は95億円しかない。

その差額はライトオンで230億円、マックハウスで200億円、ジーンズメイトも200億円以上で、3社合計で700億円近くも売上高が低下している。

ジーンズメイトの売上高が回復基調にあると見る人もいるが、それは低下し切って底打ちしたからだといえる。
売上高95億円では最早、全国チェーン店とも大手とも呼べない。

もともとの売り上げ規模が大きかったこの3社の苦戦が報じられる中、地域密着の有力チェーン店は減少しつつあるとはいえ、残存していた地域チェーン店はさまざまな工夫を凝らしてこれまで生き延びてきた。
健闘と評される地域チェーン店も少なからずあった。

だが昨年あたりから、健闘と評されてきた地域の雄も息切れし始めているように見える。

具体的な地域名は挙げない。
地域名を挙げると、地域密着型の雄直チェーン店は、たとえ店名をボカしてもすぐにわかってしまうからだ。

先日、お目にかかったカジュアルウェアメーカーの社長は、銀行から某地域の有力チェーン店への納入を縮小するように勧告されているという。

その話を聞いたときに、当方は「まさかあのチェーン店がそこまで追い詰められているとは・・・」と驚きを隠せなかった。

銀行はそのチェーン店が相当に資金繰りに苦しんでいることをつかんでおり、帳簿上の計算では、最悪、経営破綻に至ると判断しているのである。
また、別の地域店は、これまで根強い顧客がいたが、それも徐々に時代の流れとともに減り始めており、表面化していないが、内情は相当に厳しいという噂が、昨年あたりから聞こえてきた。

さらに別の地域店も同様の状況で、好調な店舗もあるものの、苦戦している店舗もあるようで、会社としての売上高は低下傾向にあるといわれている。

今、挙げた3つとも、ジーンズカジュアル業界なら誰でも知っている各地域の有力チェーン店であり、ライトオン・マックハウス・ジーンズメイトの全国チェーン店3社のみならず、これまで踏ん張ってきた地域有力店もそろそろ持ちこたえられなくなりつつあるといえる。
もちろんいまだに踏みとどまっている有力チェーン店もあるが、全社そろって隆とできるような状態ではなくなりつつあるということになる。
これも時代の流れだろう。

これらの状況を目にしている当方とすると、業界の一部から挙がっている「ジーンズカジュアルチェーン店の夜明けが近い」という言葉は何を指しているのだろうと理解に苦しむ。
夜明けが近いどころか草木も眠る丑三つ刻としか思えない。

ではジーンズカジュアルチェーン店はどうしてここまで衰亡の危機に瀕しているのだろうか。

理由を考えてみたが、客を奪われたからとしか考えられない。
ユニクロ、しまむら、グローバルワーク、GAP、ローリーズファーム、無印良品、ハニーズなどの低価格SPAカジュアルブランドに客を奪われたと当方は見ている。

もちろん、彼らもその登場時からすんなりと客に受け入れられたとは思わない。
どのブランドも初期のころのジーンズはひどく安物くさかった。
90年代後半にユニクロが急成長しているときのジーンズでさえ、はっきりというと色合いから生地の風合いすべてがダサく、エドウインやリーバイスのジーンズには見た目は遠く及ばなかった。

メディアでは「2900円でこのクオリティ」と過剰に持ち上げていたが、あの当時のデニム生地は、ジーンズメーカーに比べるとへんてこなブルーのトーンだったし、リーバイスのパクリみたいな赤いタブもダサかった。
例え2900円でも買う気にもならなかった。

それが徐々に修正されて今に至っている。
黙っていたらユニクロのジーンズだとはわからないレベルにまで達している。

その他のブランドも同様である。
おまけにリーバイスやエドウインのジーンズよりも最低でも3000円くらいは安い。
安くて見た目に遜色がないのであれば、だれでも安い方で買う。

また商品以外でも、ジーンズカジュアルチェーン店の店作りや品ぞろえは今の消費者の気分をとらえていないといえる。

ユニクロやジーユーや無印良品を見慣れた目で見ると、チェーン店は明らかに雰囲気が異なっている。
前者の多くが、白を基調とした無機的でモダンな感じの内装が多いのに対して、チェーン店はなんとも言えない中古感のある店作りや品ぞろえに特徴がある。

どちらが正しいとか正しくないとかではなく、消費者の気分にチェーン店の内装や店作りは寄り添えていないといえる。

今の消費者の多くは、そういう中古感や土臭さ、ワーク特有の汚さを好まず、白を基調としたモダンでシンプルでツルっとした内装や店作りを好むのではないだろうか。
そういうモダンな店を見た直後にワーク感の汚い店を見ると、やっぱりかなり雰囲気が違うと感じる。

( ジーンズカジュアルチェーン店は大抵こんなイメージ。これが今の消費者には受け入れられにくいのでは?)

それはチェーン店の特徴だから工夫して残すべきだと考えるが、同時にもう少し現代風にアレンジしても良いのではないかとも思う。
ここを解決しない限りにおいて、チェーン店が再浮上や急回復することはあり得ないだろう。

とはいえ、マックハウスの新業態のような劣化版ユニクロみたいな店作りも商品をさらにチープに見せるだけなのだが。

社員の士気を高めるためにチェーン店各社の経営者が話を盛ることは仕方がない側面がある。
しかし、それに第三者や第三者機関までが同調してどうするのか。
かえって世間をミスリードするだけである。

この課題を乗り越えるのはなかなか難しいのだろうと思うが、水戸のジーンズカジュアルショップだった「ポイント」がアダストリアホールディングスへと転身できたのだから、不可能ではないのだろう。成功する可能性は決して高くはないが。

(追記)6月8日に静岡の地域有力チェーン店であるジーンズショップオサダの経営破綻が伝えられた。

静岡県を中心に17店舗展開 カジュアルウェア(株)ジーンズショップオサダが民事再生法を申請
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180608-00010009-biz_shoko-bus_all

このブログの文中で、「銀行から取引を止めるように勧告されている先」として名前を伏せたのがこのジーンズショップオサダだった。
奇しくもこのブログをアップした日に経営破綻が発表された。
他の地域有力店も決して安泰ではない。

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ライトオンの自社ブランド「バックナンバー」の和紙繊維のシャツジャケット。
こんな珍しい商品もそろえているけど、イマイチ認知されていないのも苦戦の要因。

ユニクロ心斎橋店に自動レジが導入されたので試してみた

今年の春からユニクロ心斎橋店にクレジットカード専用の自動レジがついに設置された。つい最近のことだ。

先日、初めてこれを試してみた。

同じ会社でありながらジーユーの自動レジとはシステムが異なる。
ジーユーの自動レジは、レジに設置してあるボックスの中に商品を放り込んで、蓋を閉めれば数秒で値段が表示されるという仕組みだが、ユニクロのは商品の下げ札に書いてあるバーコードをスキャンして読み取らせるという仕組みだ。

この点はスーパーのセルフレジに近い。

値段が表示されたらクレジットカードをスラッシュして決済を終える。

これで終了だ。

このときは、期間限定値引きされたスリムストレッチチノパンを買っていて、裾上げがあるので預けて帰ったため、袋に入れるのはどうするのかは体験できなかった。

ジーユーの場合は自分で備え付けのビニール袋に放り込む。
丁寧に畳みたい人は畳めばいいし、丁寧に畳んでなくても気にならない人はそのように放り込めばいい。

当方が買ったのはユニクロ心斎橋店の3階だが、今までレジが6~7台くらい並んでいたが、そのうちの半分がカード専用セルフレジに代わった。台数は3~4台ほどだ。

それにしても同じ会社でありながらどうしてジーユーとは異なるレジ台にしたのだろうか。
ジーユーと同じレジにすれば調達コストは削減できたはずだ。

ユニクロも自動レジ化を見越して、昨年か一昨年あたりから下げ札にあICタグが付けられている。
準備は万端のはずなのに、仕組みの異なる自動レジ機を備え付ける意図がまるで理解できない。
今回はクレジットカード専用機だが、日本人は現金取引が好きだから、ジーユーみたいにカードと現金どちらも対応できる機械が本来は好ましい。

外国人観光客が多い心斎橋店だから、キャッシュレスに慣れているという判断から、クレジットカード専用機にしたのだろうか?

このあたりはまったく謎である。

もしかしたらさらに何かの仕掛けを考えており、そのための布石なのだろうか。

ところで、ジーユーのようにすべて自動レジにせよとは言わないが、ユニクロも自動レジ化を大いに進めるべきだと思う。
今回の自動レジ設置がはじめの一歩なのだろうと思うが、例えば、当方が頻繁に利用するユニクロあべのキューズモール店だとレジ台だけで20台前後はある。

閑散期はそのうちの半分~4分の1程度の稼働だから、レジに入っている人間は5~6人ということになるが、繁忙期だとレジ台はすべて稼働しているから少なくともレジ要員だけで20人くらいは必要になる。

ジーユーよりも客数が多いユニクロだからこそ、自動レジ化は大いに進めるべきだろう。
少なくともレジ要員は半分に減らせる。

しかし、その逆もあり、老人客が少ないジーユーだからすべて自動レジ化できたが、老人客も多いユニクロは大々的な自動レジ化は難しいだろう。
本来、機械の操作なんて慣れでしかないから、若かろうが最初は戸惑う。
若くても物覚えの悪い人もいるから、そういう人は1回や2回では操作が覚えられない。
それを我慢して使っていくうちに慣れて使えるようになる。

老人には機械操作に対して抵抗感のある人が多いように感じるが、それは思い過ごしである場合が多く、実際は慣れが足りないのではないかと思う。
とはいえ、ユニクロがジーユーのように全面自動レジ化すれば老人客からの不満は多くなるだろうと予測する。

業界の大御所と呼ばれる年配者でも頑なに自動レジに抵抗感を示す人がいるくらいだから、業界外の老人客ならさらに激烈な抵抗を示すだろうことは容易に想像できる。

今でこそ、JR、地下鉄、私鉄すべてで自動改札機は当たり前になったが、30年ほど前まではほとんどの鉄道は自動改札機がなかった。
駅員が切符にハサミを入れていたのである。

自動改札機がいち早く登場したのは大阪で、地下鉄は30年以上前から自動改札化されていた。
大阪の地下鉄にJR西日本や他府県のJR、地下鉄、私鉄が追随したのが実態であり、東京もその一つである。

東京の各鉄道が全面的に自動改札化した際、ちょうど30年くらい前のことだが、そのとき、一部の全国紙では「人の暖かみが失われる」なんて論評記事を掲載しており、当時高校生だった当方はその記事を読んで「この記事を書いたオッサンらはアホじゃないのか」と思った。
切符にハサミを入れてもらう行為にどれほどの暖かみがあるというのだろうか。

当時、電車で高校通学をしていた当方は改札で温かみを感じたことなど一度もなかった。

少し脱線するが、居酒屋やファミリーレストランなどで、席に備え付けられたタブレット端末で注文する店が増えた。
当方はこれがすごく便利で使いやすい。

ホールスタッフを一々呼んで注文を聞いてもらう方式だと、店が混雑するとなかなかスタッフに来てもらえない。
もしくは店内の騒音でこちらが呼んでいる声が通りにくい。

はっきり言ってストレスしか感じない。
また注文の聞き取りを間違えることも珍しくない。

これもストレスでしかない。
タブレット端末での注文ならそれは一切ない。
多くのストレスから解放される。

今でもときどき、タブレット端末のない店に必要に迫られて入ることがあるが、タブレット端末注文に慣れている身にはイラっとさせられっぱなしだ。

このタブレット端末や、海外のマクドナルドに導入された自動食券機についても否定的な意見があると聞くが、一体何に不満を感じているのかさっぱりわからない。

自動レジに頑なに抵抗する人は、30年前の自動改札機反対派や現在のタブレット端末注文反対派と同じくらい当方にとっては理解不能な存在である。

『人が人に服を売る暖かみ』を感じさせる

なんて文言を目にしたことがあるが、レジを販売員が打ってくれることにそんなに「暖かみ」とやらがあるのだろうか?当方は48歳になった今まで感じたことなどまるでないが。

何事をするにしても反対派というのは確実に存在する。全員が納得して賛成できることなんて世界にはほとんどない。
ピントのズレた反対派の意見に過剰に振り回されることなく、粛々とユニクロもその他洋服店も自動レジの導入を進めてもらいたいと思うし、日本のマクドナルドも自動食券機を全面的に導入すべきだと思う。

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原料と直結した数少ないアパレル製品の一つがジーンズ ~エドウインはどうなる?~
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大手アパレルだけではなくセレクトショップとSPAブランドも同質化している

かつての大手アパレルの各ブランドが限りなく同質化してしまっていることは多くの人が認めるところで、その理由については以前にもこのブログで書いた。

もう一度おさらいしておくと、

1、情報源が同じ
2、製造を商社に委託した。国内の商社は数えるほどしかなく、すべてのブランドがそれら少数の商社の手で作られるから必然的に似る
3、商品企画をOEM/ODM業者に丸投げした

この3つが渾然一体となって得も言われぬ同質化のハーモニーを生み出すのである。(美味しんぼ風に)

しかし、同質化しているのはワールド、オンワード樫山、ファイブフォックス、TSIホールディングス、イトキンなどの大手アパレルだけではない。
その後、隆盛を極めている大手セレクトショップやSPAブランドもすでに同質化している。

例えば、アダストリアの「ベイフロー」とアーバンリサーチの「サニーレーベル」なんてほとんど同じ店にしか見えない。
おそらく「ロンハーマン」の廉価版なのだと思うが、それにしても似すぎていて、当方では区別ができない。

どのセレクトショップに行っても、最近だとチャンピオンのTシャツ・スエット・帽子、ディッキーズのチノパンやジャケットが並んでいる。アダストリアのグローバルワークにまでディッキーズが今春並ぶようでは、ディッキーズももう国内では広がりきったといえる。
チャンピオンのTシャツ・スエット類の人気はオッサンにとっては理解不能だ。

あの「C」マークなんて昔の体操服か、部活の練習着のイメージ丸出しである。

セレクトだ、セレクトミックスのSPAだ、といったところで、所詮は同じ人気ブランドを各店で売っているだけである。
そうなると価格競争に入るから、各ブランドはそれを回避するために「別注」「コラボ」「ダブルネーム」を盛んに打ち出す。
盛んに打ち出すというよりは乱発、アホの一つ覚えというのが正確なる実態といえる。

チャンピオンと〇〇ブランドのコラボ、ダブルネーム、別注というわけだ。

これだとチャンピンの赤色は、〇〇でしか手に入らないから値崩れしないというのが、セレクトショップ、SPA側の理由だが、そもそもチャンピオンの「C」マーク、ディッキーズの「D」マークがどの店にも並ぶのだから、消費者から見るとどこもそれほど変わらないように見える。
ラベンハムだって同じだ。〇〇ならグレーがあるが、××は黒がある、とかその程度の差異しかない。

セレクト、SPAが同質化してしまった理由も大手アパレルの同質化とまったく同じである。

1、情報源が同じ(トレンドソースが同じ)
2、製造を大手商社に委託している
3、商品企画をOEM/ODMに丸投げしている

あと、もう一つ付け加えるとすると、

安全パイの人気ブランドに頼ろうとする

である。チャンピオン、ディッキーズへの依存はまさにこれの象徴といえる。

そしてこのあたりの商品はライトオン、ウィゴー、スピンズあたりまで並んでおり、普段、小規模ブランドには「バッティングが~」なんて圧力をかけているのに、よくもまあ自ら望んでバッティングをやりたがるものだと、そのダブルスタンダードぶりには唖然とするほかない。

そして彼らは滑稽なことに、チャンピオンやディッキーズが溢れ出すと、まったく違った商品を探すのではなく、それらに似ているけど知名度の低いブランドを探すのである。

要は「チャンピオンやディッキーズに似ているけど、まだ知られていない別のブランドですよ」という売り方をしたいのだが、客からすると「なんで似たような別の無名ブランドを買わねばならんのか?」ということになる。
それなら、チャンピオンやディッキーズで良いじゃないかということになる。

どうだろうか?当方ならそうなるが、業界の「感度高いファッソニスタさんたち」の理屈は違うのだろうか?

昔話をしてもたいていの場合は意味がないが、今回ばかりは例外的に昔の方がまだ矜持があったのではないかと思う。
もちろん人気ブランドはどこでも扱われていたが、店作りを差別化しようとする努力とか、無名ブランドを発掘しようとする努力は80年代・90年代の方があったのではないかと思う。

2005年以降は「〇〇で売れているあのブランドを導入したい」とか「〇〇で売れているのと同じ素材が欲しい」とか「現在人気の〇〇と似たような店舗設計にしたい」とかそんなことばかりで、自ら進んで同質化している。

先日、あるワーキングカジュアルブランドの展示会にお邪魔したが、滑り出しは上々だという。
その理由は「ディッキーズが広がりすぎたので、それに代わる同じようなテイストのブランドを各ショップが探しているから」だという。
各ショップはアホじゃないのか。

このサイクルをやっている限りは洋服は絶対に価格競争に陥る。

人は、同じ物や似たような物なら絶対に安い方で買うからだ。

当方は投げ売り商品しか買わないから、どんどん価格競争をやっていただいても構わない。その価格競争品のさらに投げ売りを買うだけのことだ。
しかし、業界のファッソニスタたちが価格競争をやめたいと思うのなら、このサイクルをどこかで断ち切らねばならないだろう。

結局は「口では個性」と言いながら、根底では「安全パイを求める」という業界人特有の心理が現在の同質化を生み出しているといえる。

価格競争に陥っているのは消費者のせいではなく、同質化で安心している業界自らが招いた結果であることを認識する必要がある。

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5年後ダメになっているアパレルを3つ挙げてみたよ
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この「C」ロゴはダサいと思うんだけどなあ。(笑)

現状と原因を正しく認識していないブランドは有効な施策を打ち出せない

販売員のための「Topseller.style」なんかに参加している割には洋服店で接客されるのが嫌いである。
もちろん、ラグジュアリーブランドの接客なんて受けたことがないから、もしかしたらそういう店の常連になれるほど金持ちになれば、接客マンセーするようになるかもしれない。

異論もあるだろうが、個人的にはユニクロや無印良品のセルフ形式の売り場の方がずっと気が楽であり、居心地が良い。
仕事としては誰かと話すことは別に苦ではないが、誰かと話すのがすごく好きなわけでもない。
だから仕事以外では見知らぬ他人とはまったく話したいとは思わない。

それ故、客としては販売員と話したいとは思わないし、必要以上の会話は避けたい。
こちらの質問にキチンと正しい内容で答えてくれればそれで良い。

2月に入って、初めて店を回った。
1月の下旬に回って以来だ。

自分が買えるレベルの各店頭を見て回ったが、2月の売れ行きはやっぱり厳しそうだし、売り場は荒れている。
今年の1月、2月は暖かい日と強烈に寒い日が交互に訪れるという気候で、ときどき暖かい日があるとはいえ、まだ春物を着る気分ではない。かといって、2月もあと2週間で終わるから、今更、いくら安くなっていても冬物を買うのも抵抗がある。1000円とかの投げ売り品は別として中途半端に半額とか60%オフ程度の防寒アウターは特に買う気にもならない。

寒いので春物を買う気にもなれない。

おしゃれな人は先物買いで、とはよく言われるが、今買って1か月間も寝かせておくほど心にゆとりはないし、そこまでして「おしゃれな人」と思われたくもない。

今月と3月上旬の当方のスタンスは

「破格値に値下がりしていて、3シーズンは使えるような服を探す」

である。

そんな中、たまたま立ち寄ったGAPは店内が空いていたので、ちょっと長居していろいろと物色してみた。
ジャパン社の社長が「投げ売りはやめます」と宣言したからか、以前よりは投げ売り品が減っていてセールコーナーも以前に比べると整然としていた。

以前のような赤い値札シールの商品が山盛りになっている状態ではなくなっていた。
ただし、その分、店内が空いているような気がした。

いろいろと物色していると、中には投げ売り品もあって、その中に、キャメルとかブラウンに近い濃いベージュのチノパンがあった。
ストレッチ混素材を使っている。
この商品以外でもズボン類にストレッチ混素材が増えた。
ほんの4年ほど前まではかたくなにストレッチ混素材を使わなかったGAPだがいよいよ抵抗できなくなったのだろうか。
逆に5年前から大々的にストレッチ素材を使用していればGAPはここまで苦戦しなかったのではないかと思う。
細身シルエットが全盛のころ、なぜあそこまでかたくなに綿100%素材にこだわったのだろうか。まったく意味がわからない。

それが売上高5億円程度の「こだわりブランド」ならまだしも世界規模のブランドがなぜ市場ニーズを無視し続けたのだろう。
GAP苦戦の一因はこういう「わけのわからないこだわり」もあると思う。

余談だが、当方は薄い色のボトムスを穿くのが苦手で、黒か濃紺を穿くのが一番落ち着く。
とくにベージュ系はだめだ。白でもなく濃色でもないあの中途半端さが嫌いだし、着用した姿を見ても似合っていると思えない。
ベージュのズボンを穿くくらいならグレーを選ぶ。
それほどにベージュのズボンは苦手だ。

それでも克服しようとときどき買ってはみるもののやっぱりなんだかしっくりこない。

そこで今回、このストレッチチノパンを買ってみようと思い立ったわけだ。
価格は定価7900円が1990円まで値引きされている。
さらにレジにて20%オフで、メンバー会員はそこからさらに5%オフされる。
税込み1512円にまで値下がりした。

1512円で買ったストレッチチノパン

これくらいの値段なら、試すにはちょうど良い。
そんなわけで一応、試着してサイズ感も確かめて買った。

しかし、今回はGAPの販売員の接客が以前にも増して丁寧になっており、ちょっと薄気味が悪かった。

物色中に、ホテルウーマンみたいな感じのプロっぽい熟女店員が声掛けをしてきて、まあ、それはそれでやりすごせた。
以前から、GAPではこういう声掛けはよくあった。

で、しばらく物色してからこのチノパンを試着しようと、近くにいた別の販売員に声をかけて、試着室へ行った。
扉を閉めて、穿き替えていると、扉の外から声がかかり、「担当が私に代わりました」と言われた。
声の主は先ほどのプロ販売員っぽい熟女である。

いやいや、1512円のチノパンに「担当」とか付けられても困るよな~。

ここまで丁寧にする必要があるのだろうか。甚だ疑問だ。
GAPの販売員の接客は以前から割合に丁寧な感じだったので、可もなく不可もなかった。
最初に声掛けはあるものの、それ以降は必要があるまでは声もかからなかったし、「担当」なんてつくこともなかった。

元来、接客されるのが好きではないので、たかが1512円のチノパンでここまで丁寧にされると、良い気分になるどころか逆に薄気味悪ささえ感じた。

ここからは完全なる推測だが、GAPは不振を克服するために接客をより丁寧にしようとしているのではないかと思う。
しかし、それは逆効果とは言わないまでもあまり意味がない。
なぜなら、GAPの販売員は以前からそれなりに丁寧だったからだ。

GAPが売れない原因は間違いなく接客ではない。

しかし、先日のジャパン社の社長の「これからは投げ売りはしません」という発言を見てもわかる通り、自分たちの不振の原因が何なのかさっぱりわからないのではないかと思う。
投げ売りをしているから売れないのではなく、商品の定価設定が高すぎるから投げ売りしないと売れないのである。
認識の順番が逆なのである。

この1512円で買ったチノパンだって1512円にしては良い商品だが、7900円出す商品かと問われたら即座にNOと答える。
それならエドウインの7500円パンツの方がバリューがある。

だったら、定価を4900円とか5900円に最初から設定すべきだろう。

もしくは、高値で売りたいなら高値で売れるような商品作りをするか、ブランディングをするか、である。
接客のより一層の丁寧化とか、投げ売り廃止とかそういうことが求められているのではない。

現状認識が正しくできない間は、有効的な施策は打ち出せない。
マーケティングの基本である。

GAPは米国本社もジャパン社も、自分たちが思い描いている自画像を一度捨てて、外野の人間になりきって自社を見つめなおしてみてはどうか。それができて初めて有効的な施策が打ち出せるだろう。

まあ、投げ売りされてて良い商品があればこれからも買いますけどね。(笑)

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プライベートブランド「ZOZO」の生産システムは、現時点では「完全オーダーメイド」ではない
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